JP4712321B2 - 改質器、水素製造システム及び燃料電池システム - Google Patents
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Description
しかし、このような改質器では、装置の大型化が避けられず、システムユニットのコンパクト化に逆行してしまうという問題があり好ましくない。
一方、バーナー一体型の改質器において、バーナー部分を冷却するために熱エネルギーを吸収して、そのままシステム外に廃棄することは、熱エネルギーのロスによるシステム効率の低下が生じるという問題があり好ましくない。
気化部の冷却手段を設けることにより、改質器バーナーの過熱に起因する気化部や配管等でのコーキングトラブル等を防止でき、バーナーの安定運転が可能となる。
また、このような冷却手段により、改質器バーナーの温度を所望の範囲に制御することができるので、バーナー気化部の材質をステンレス(SUS)等から安価で加工しやすいアルミナダイキャスト等へ変更することができる。
これらのシステムは、本発明の改質器を有しているので、改質器部分でのコーキングトラブルによるシステム運転不可等の問題を回避することができる。
図1は、本発明の一実施形態にかかる改質器の概略図であり、(a)は上面方向断面図を、(b)はA−A断面図を、(c)は改質器バーナー部分の拡大図を示している。
同図において、改質器1は、中心部から外周方向に向かって、バーナー2、内側輻射筒3、改質容器4及び真空断熱容器5を設けた筒状形状の構成としてある。
本実施形態の改質器1には、炭化水素原料の改質操作に必要な関連機器、例えば、水蒸発器、炭化水素原料気化器、炭化水素原料と水蒸気を混合する混合ノズル等を設けることができる。即ち、改質器1は、炭化水素原料改質装置としてユニット化することもできるし、また、関連機器等から独立した状態で燃料電池システム等に使用することもできる。
この改質容器4は、内側筒状体41と外側筒状体42を円筒とし、これら円筒に円環状の上蓋43及び底蓋(図示せず)を溶接した二重円筒としてあるが、その形状は特に制限されない。
改質容器4に供給された炭化水素原料は、改質容器4内部を上昇しながら改質触媒40によって水素に改質される。
尚、炭化水素原料供給管44は、8本に限定されるものではなく、例えば、16本や24本等でもよい。
ここで、各リターンパイプ6を炭化水素原料供給管44の間に配設することにより、炭化水素原料供給管44から供給された炭化水素原料が、ほぼ上方に流れるので、偏流が発生するといった不具合を防止でき、改質触媒40の反応速度を周方向においてほぼ均一にすることができる。従って、改質触媒40の寿命が尽きるまで、安定した状態で水素を生成することができる。
また、リターンパイプ6を改質容器4の内部に設けることにより、生成された高温の水素がリターンパイプ6を流れる際、周囲の改質触媒40及び炭化水素原料を加熱するので、その分熱効率を向上させることができる。
また、このバーナー2と改質容器4の間に、バーナー2からの炎(図示せず)が改質容器4に直接当たらないように、改質容器4とほぼ同じ高さを有する内側輻射筒3が設けてある。この内側輻射筒3と改質容器4との間には、排ガス内側流路30が形成され、バーナー2によって上方に吹き上げられた排ガスの一部は、この排ガス内側流路30を通って下方向に流れ、この際、改質容器4の内側側面と接触して、改質容器4を加熱する。
尚、本実施形態では、断熱手段として、真空断熱容器5とその内側に設けた断熱材48を使用している。また、断熱材48を収納する外殻筒47の内側側板を、熱を内側に輻射するために利用することもできる。
尚、バーナー2は、一本の炎が噴き出す構成としてあるが、このタイプのバーナーに限定されるものではなく、たとえば、円環状に炎が噴き出すバーナーを使用してもよい。
改質器1では、まず、バーナー2が点火されると、内側輻射筒3を通って上昇した排ガスが排ガス内側流路30及び排ガス外側流路46を流れ、改質容器4の内側側面及び外側側面の両側面から改質容器4を加熱する。そして、改質容器4等が所定の温度まで加熱されると、炭化水素原料供給管44から約500℃に昇温された炭化水素原料が供給される。この炭化水素原料は、脱硫器を通過させて、予め脱硫処理しておくことが好ましい。
供給された炭化水素原料は、改質容器4内を上昇しながら加熱されるとともに改質触媒40によって化学反応を起こし、改質容器4の上部に到達するころには水素に改質されるとともに、約700℃の高温ガスに昇温される。
尚、本実施形態では、図1(c)に示すように、改質器1の運転時には、改質器バーナー2が過熱されないように、バーナー2の下方から空気ライン31を通して空気14を流して気化部7を外部から空冷する。この空気14は、気化部7を空冷した後、バーナー部8の下面から、バーナー部8の内部に送り込まれ、液体燃料燃焼用として利用される。この空気14は、気化部7の温度が伝熱して暖められた状態のまま、バーナー部8に送り込まれるので、熱エネルギーをロスすることなく有効に利用することができる。
また、空気14の一部は空気用配管18を通って気化部7に送り込まれ、液体燃料用配管19を通って気化部7に送り込まれた液体燃料と共に気化された後、バーナー部8で燃焼される。
本実施形態では、気化部7を冷却することにより、その温度を、好ましくは300℃以下、より好ましくは250℃以下に制御することが好ましい。
また、生成された高温の水素を改質容器4の内部に配設されたリターンパイプ6を流すことにより、炭化水素原料及び改質触媒40を加熱することもできるので、熱効率をさらに向上させることができる。
また、改質器1の運転時にバーナー2を空冷することによって、バーナー2の過熱を防止できるので、改質器1における各種コーキングトラブルを予防することができる
本実施形態では、改質器1の運転時に、改質器バーナー2が過熱されないように、冷却水ライン15に水を流して気化部7を水冷する。
冷却水ライン15を後述する気化器に連結すると、冷却水ライン15を流れた水は、気化部7の温度が伝熱して暖められた状態のまま、熱エネルギーをロスすることなく、改質器1の反応等に有効に利用することができる。
図3は、本発明の他の実施形態にかかる水素製造システムの構成を示す図である。
この図において、番号10が水素製造システムを示す。水素製造システム10は、原料タンク11、脱硫器12、脱硫原料タンク13、気化器16、ボイラー17、実施形態1の改質器1、CO変成器20、CO除去器22、循環水タンク24、エア供給源26、ブロワー27等から主に構成されている。
炭化水素原料としては、例えば、メタン、LPG(液化天然ガス)、ナフサ、ガソリン、灯油、軽油等が挙げられる。これらのうち、輸送が容易な液体燃料の中では供給網が発達し、全国各地で入手が容易であること、また、ガソリン等と比較して取り扱い易いことから、灯油が好ましい。
脱硫剤としては、例えば、活性炭、ゼオライト又は金属系の吸着剤等が好ましい。原料が灯油等の重質の炭化水素である場合は、特開2001−279255号公報に示すように、Ni系あるいはNi−Cu系脱硫剤が好ましい。
脱硫された炭化水素原料(脱硫原料)は、脱硫原料タンク15に貯えられた後、ポンプP3により汲み上げられ、気化器16に供給される。
スチーム源の水は、循環水タンク24からポンプP4により汲み上げられ、ボイラー17に供給される。
改質触媒は、例えば、Ru、Rh、Pt、Pd等の貴金属や、Ni、Co等の金属を、活性金属成分として用いている。この中で、特にRuを活性金属成分とした触媒が好ましく用いられる。
水素と共に改質器1から発生する高温の排気ガスは、スチームを発生させるボイラー17の熱源として利用される。これにより、システム全体のエネルギー効率を高めることができる。
シフト触媒としては、特に限定されないが、Pt等の貴金属や、Cu、Zn、Fe等の金属を活性金属としたもの等を好適に用いることができる。
プロックス触媒としては、特に限定されないが、Ru、Pt、Au等の貴金属を活性金属としたもの等を好適に用いることができる。
図3は、本発明の他の実施形態にかかる燃料電池システムの構成を示す図である。
この図において、燃料電池システム60は、実施形態3の水素製造システム10、燃料電池スタック50、気水分離器56等から主に構成されている。
例えば、実施形態1の改質器バーナー2の気化部7に、実施形態2の冷却水ラインを設け、気化部7の空冷と水冷を同時に行なってもよい。
また、実施形態2において、気化部7の内部に設けた冷却水ライン15は、例えば、コイル状にして、気化部7の外部に設けてもよい。
また、実施形態3の水素製造システムに、実施形態2の改質器を設けてもよい。この場合、冷却水ライン15と、CO変成器20及びCO除去器22の冷却水ラインを繋ぎ、CO変成器20及びCO除去器22の冷却水ラインを流れる水を利用することができる。
また、実施形態3の水素製造システムでは、CO変成器20及びCO除去器22が設けられているが、CO変成器20又はCO除去器22のみを設けてもよい。
また、実施形態3、4では、システム内を循環する水を循環水タンク24に回収して再利用しているが、循環水の温度が上がりすぎた場合(例えば、循環水量が少ない場合や触媒量が少ない場合等)は、システムの系外に排水する仕様としても構わない。また、直接循環水タンク24に水を返さず、循環水タンク24において熱交換を行い、その熱で循環水タンク24を加熱してもよい。
Claims (5)
- 炭化水素原料を改質する改質器において、
液体燃料を気化する気化部と、気化された前記液体燃料を燃焼するバーナー部からなる改質器バーナーと、
前記気化部の冷却手段とを有し、
前記冷却手段が、前記気化部の周囲及び/又は内部に設けられた冷却水ラインであることを特徴とする改質器。 - 前記改質器が、中心部から外周方向に向かって、バーナー、内側輻射筒、改質容器及び真空断熱容器を設けた筒状形状を有する請求項1に記載の改質器。
- 前記冷却水ラインが、前記気化部につながり、前記冷却水ラインを流れる水が、前記改質器の反応に利用される請求項1又は2に記載の改質器。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の改質器を有する水素製造システム。
- 請求項4に記載の水素製造システムを有する燃料電池システム。
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