以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において、互いに同一又は相当する装置には同一符号を付し、重複した説明は省略する。なお、図1中、破線は制御信号を表す。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る燃料電池発電システム100を説明するブロック図である。燃料電池発電システム100は、図2で詳細に構成を説明する本発明の第2の実施の形態に係る燃料処理装置1と、燃料処理装置1によって生成される一酸化炭素低減ガスgと酸化剤ガスtとの電気化学的反応により発電する燃料電池130とを備える。
燃料処理装置1は、都市ガス、灯油などの原料燃料mを供給する原料燃料供給部2と、原料燃料mを燃焼するための燃焼空気aを供給する燃焼空気供給部3と、原料燃料mと改質剤、本実施の形態では改質用水sを供給して原料燃料mを改質し、水素に富む改質ガスrを生成する改質部4と、改質部4を加熱する燃焼部5と、改質ガスr中の一酸化炭素を低減して一酸化炭素低減ガスgを水素に富む燃料ガスとして生成する一酸化炭素低減部6とを備えている。
燃料処理装置1は、さらに、一酸化炭素低減部6に取り付けられ、一酸化炭素低減部6の温度を検知する一酸化炭素低減部温度検知手段としての温度測定器9と、一酸化炭素低減部6に取り付けられ、温度測定器9によって検知される温度に応じて電気を入切する電気ヒータ10と、一酸化炭素低減ガスgを当該一酸化炭素低減部6から導出する一酸化炭素低減ガス導出流路17を閉止する一酸化炭素低減ガス導出流路閉止手段としての一酸化炭素低減ガス導出流路開閉弁11と、温度測定器9によって検知される温度に基づいて電気ヒータ10の電気の入切と一酸化炭素低減ガス導出流路開閉弁11の開閉とを制御する制御装置12を備える。なお、本実施の形態では、制御装置12は、電気ヒータ10、一酸化炭素低減ガス導出流路開閉弁11の制御の他にも、燃料電池発電システム100を構成する各部分の制御も行うように構成されており、これにより燃料電池発電システム100をより合理的な構成とすることができる。
原料燃料供給部2は、都市ガス、LPG、消化ガス、メタノール、GTLや灯油のような原料燃料mを定量的に供給するように構成されている。原料燃料mを貯蔵するタンクを備えていてもよいし、原料燃料mを系外から導入してもよい。都市ガスやLPGのように供給元の気体の圧力が高く維持されている場合には、流量調節弁を備える。供給元の圧力が高くない場合には、ブロワを備え、原料燃料を改質部4内へ供給するための圧力を確保する。また、GTLや灯油のように原料燃料mが液体の場合には、定量ポンプを備えてもよいし、流量調節機能を有さないポンプと流量調節弁とを備えてもよい。原料燃料供給部2は、典型的には、制御装置12からの指示信号i1により、その原料燃料供給量の増減を制御されている。
燃焼空気供給部3は、燃焼部5での燃焼で消費される酸素を供給する装置である。ブロワにより大気を燃焼空気aとして送り込む構成でよく、大気中の浮遊物の混入を防止するためのフィルターを有するのが好適である。また、燃焼空気aの供給量を調整するための流量調整弁を有するのが好適である。燃料電池発電システム100では、配管14を介して燃焼部5と接続されているが、燃焼部5に直接接続されていてもよい。
改質部4は、原料燃料mと改質用水sから改質反応により水素に富む改質ガスrを生成するように構成されている。改質反応は、高温下において改質触媒(不図示)により原料燃料m中の炭化水素と水分とから、水素と二酸化炭素、一酸化炭素を生成する反応である。改質反応は、吸熱反応であり、改質反応のために外部より熱を供給する必要がある。改質部4は、改質触媒を収容した略円筒形状とするのが、強度的にも製造上も好適である。ただし、高温に保つために、その内部に、後述する燃焼部5が配置されているとよい。
燃焼部5は、灯油、都市ガス、LPGなどの原料燃料m、あるいは燃料電池130のアノードオフガスpと多種の燃料に対応できるバーナーノズルを有している。あるいはそれぞれ異なるバーナーノズルを有していてもよい。燃焼部5は、定常運転時には、燃料電池130のアノード極のオフガスであるアノードオフガスpを燃料として燃焼空気aと共に燃焼させて、改質部4を加熱するように構成されている。原料燃料mが灯油などの液体であるときに備え、好適には気化器を有している。燃焼部5は、改質部4を加熱する装置であるので、改質部4と一体で形成されることが好ましく、改質部4の中央に配置され、燃焼部5で燃焼することにより周囲の改質部4を加熱する構成としてもよいし、燃焼部5で燃焼した高温ガスが改質部の周囲に流れ改質部4を加熱する構成としてもよく、改質部4を加熱すればどのような構成であってもよい。なお、典型的に、燃焼部5は、起動時には、原料燃料m、一酸化炭素が充分に減じられずに一酸化炭素低減部6から送出される燃焼用ガス(不図示)を燃料として燃焼空気aと共に燃焼させて、改質部4を加熱するように構成されている。
一酸化炭素低減部6は、図2で後述するように、改質ガスr中の一酸化炭素を変成する変成触媒を充填した変成触媒充填層72、74(図2参照)を有する変成部7(図2参照)と、改質ガスr中の一酸化炭素を除去する選択酸化触媒を充填した選択酸化触媒充填層82(図2参照)を有する選択酸化部8(図2参照)とを含んで構成されている。変成部7(図2参照)は、一酸化炭素低減部6の前段部として、改質ガスr中の一酸化炭素を改質ガスr中の水分との変成反応により二酸化炭素と水素を生成するように構成されている。ここで、変成部7により改質ガスr中の一酸化炭素を低減したガスを、特に断りのない限り変成ガスという。選択酸化部8(図2参照)は、一酸化炭素低減部6の後段部として、変成ガス中の一酸化炭素を外部より供給される空気中の酸素との一酸化炭素選択酸化反応により、さらに低減・除去するように構成されている。ここで、変成部7により改質ガスr中の一酸化炭素を低減した変成ガス及び選択酸化部8により変成ガス中の一酸化炭素をさらに低減・除去した選択酸化ガスを、特に断りのない限り広義に一酸化炭素低減ガスgといい、本実施の形態では、燃料電池130等の燃料ガスとして用いていることとしている。
燃料電池130として、例えば固体高分子形燃料電池を用いると、燃料ガス中の一酸化炭素により、アノード極(燃料極)のプラチナPt触媒が被毒し、発電効率の低下が起こるという問題がある。そこで、一酸化炭素に対する選択酸化性が高い選択酸化触媒を用いて、一酸化炭素を二酸化炭素に酸化するのである。なお、本実施の形態では、燃料処理装置1は変成部7と選択酸化部8とを備え、一酸化炭素を低減・除去しているが、いずれか一つだけを備える構成としても、一酸化炭素濃度が低減・除去されればよい。ただし、変成部7と選択酸化部8とを備えることにより、変成部7で、一酸化炭素濃度が低減させられると共に、燃料としての水素濃度が高められ、さらに、選択酸化部8で一酸化炭素濃度が充分に低下させられるので、好適である。
温度測定器9は、例えば熱電対、サーミスタ、赤外式温度計等を用い、典型的には選択酸化触媒充填層82(図2参照)の温度を検知するように取り付けられている。温度測定器9には、検知した温度を温度信号i3として制御装置12に伝達する信号ケーブルが配線され、温度測定器9は、当該温度信号i3を制御装置12に送信するように構成されている。
電気ヒータ10は、例えば、抵抗率が大きく、融点が高く、酸化しにくい抵抗線に電流を通し、電気エネルギーを熱エネルギーに変えてその発熱を利用し、典型的には変成触媒充填層72、74(図2参照)を加熱するように取り付けられている。電気ヒータ10には、温度信号i3に基づいて制御装置12から送信される電気ヒータ通電信号i2を伝達する信号ケーブルが配線され、電気ヒータ10は、当該電気ヒータ通電信号i2を受信し、電気を入切するように構成されている。
一酸化炭素低減ガス導出流路開閉弁11は、ソレノイドあるいはモータ駆動により作動し、一酸化炭素低減ガス導出流路17を閉止することで、一酸化炭素低減ガス導出流路17を介して一酸化炭素低減部6から導出する一酸化炭素低減ガスgの流れを停止させるように構成されている。一酸化炭素低減ガス導出流路開閉弁11には、制御装置12から送信される弁開閉信号i4を伝達する信号ケーブルが配線され、一酸化炭素低減ガス導出流路開閉弁11は、当該弁開閉信号i4を受信し、開閉することにより一酸化炭素低減ガス導出流路17を閉止・開放するように構成されている。
燃料電池130は、水素に富む一酸化炭素低減ガスgを燃料ガスとしてアノード極(不図示)に導入し、酸化剤ガスtとしての空気等をカソード極(不図示)に導入して発電を行う装置で、例えば固形高分子形燃料電池が好適に用いられるが、他の形の燃料電池であってもよい。アノード極に導入された一酸化炭素低減ガスg中の水素は、カソード極の酸化剤ガスt中の酸素と反応して、水蒸気となるが、水素が総て消費されることはなく、残留水素を含むアノードオフガスpを排出する。燃料電池130で発電された電力は、電力ケーブル131を通じて、外部の電気需要(不図示)に供給される。燃料電池130は、典型的には、制御装置からの制御信号i5により、その発電電流量の増減を制御されている。
制御装置12は、上述したように温度信号i3に基き電気ヒータ10に電気ヒータ通電信号i2を、燃料電池発電システム100、燃料処理装置1の停止の際に一酸化炭素低減ガス導出流路開閉弁11に弁開閉信号i4をそれぞれ送信するように構成されている。典型的には、制御装置12は、原料燃料供給部2が供給する原料燃料を停止する旨の指示信号i1を原料燃料供給部2に送信する際、好ましくは略同時に一酸化炭素低減ガス導出流路開閉弁11を閉止する旨の弁開閉信号i4を送信するように構成されている。
なお、上述した各部は配管、流路等により適宜接続されている。原料燃料供給部2から改質部4に改質原料注入流路13が、燃焼空気供給部3から燃焼部5に前述した配管14が敷設される。また、燃焼部5には、燃焼した後の排ガスを放出するための配管15が接続される。改質部4と一酸化炭素低減部6との間には連結流通管16が敷設される。一酸化炭素低減部6に接続された前述の一酸化炭素低減ガス導出流路17は一酸化炭素低減ガス導出流路開閉弁11に接続し、一酸化炭素低減ガス導出流路開閉弁11からは燃料電池130に至る配管18が敷設される。配管19は、燃料電池130と燃焼部5との間に敷設され、燃料電池130のアノード極のオフガスであるアノードオフガスpは、配管19を介して燃焼部5に供給される。さらに、改質部4には、改質反応に用いられる水分である改質用水sを供給する第1改質用水注入流路20も接続される。
以下では燃料処理装置1の具体的な構成について詳細に説明する。
図2は、本発明の第2の実施の形態に係る燃料処理装置1の具体的な構成を説明するための縦断面図であり、特に改質部4、燃焼部5、一酸化炭素低減部6の構成を示す部分縦断面図である。
改質部4は、略円筒形状に形成された改質部内側円筒体41と、改質部内側円筒体41の外側に間隔をあけて改質部内側円筒体41と同軸に配置された改質部外側円筒体42と、改質部内側円筒体41と改質部外側円筒体42とによって画成された改質触媒充填層43とを含んで構成されている。改質触媒充填層43は、当該画成された空間に、略円環体状に改質触媒が充填されている。改質触媒充填層43に充填される改質触媒は、改質反応を促進するものであれば何でもよく、例えば触媒の種類としてNi系改質触媒やRu系改質触媒などが用いられる。また、改質触媒の形状は、効率的に反応を行うために粒状、円柱状、ハニカム状やモノリス状とするとよい。
燃焼部5は、改質部内側円筒体41と同軸に配置され、供給される燃料を燃焼させるバーナー51と、バーナー51と同軸に配置された燃焼円筒体52と、燃焼円筒体52によって周壁が形成される燃焼室53と、燃焼円筒体52と改質部内側円筒体41とによって画成される燃焼ガス流路54とを含んで構成されている。
燃焼円筒体52と改質部外側円筒体42との間隙には、バッフル板200と燃焼ガス流路54の出口201が設けられている。出口201は、上述の燃焼した後の排ガスを放出するための配管15(図1参照)に接続されている。バッフル板200は、燃焼ガス流路54での燃焼ガスの流れ分布を均一化させるもので、その構造は円環状で、多数の孔が形成されている。さらに、改質部内側円筒体41のバーナー51が取り付けられている面と対向する面には隔壁57が取り付けられている。隔壁57は、燃焼ガス流路54と改質ガス流路44とを隔離するもので、耐熱性の高い金属材料等で形成されている。さらに、燃焼室53と隔壁57の間には、断熱材58が配設されている。断熱材58は、改質部4を出た改質ガスと燃焼ガスとの間の熱伝達を抑制する。なお、バーナー51の詳細に関する図示は省略している。
また、改質部外側円筒体42のバーナー51と対向する面には、外側円筒体底面45が配設されており、外側円筒体底面45は中央部に連結流通管16に通じる開口部を有している。連結流通管16は、改質部4の外側円筒体底面45と、次に説明する一酸化炭素低減部6の第1変成部円筒体71の外側円筒体底面45と対向する面に配設される第1変成部円筒体上面75とを連結するもので、例えば連結流通管16の軸方向に伸縮するコルゲート形伸縮管を用いる。連結流通管16にコルゲート形伸縮管を用いると、伸縮管の軸方向の変形によって改質部4と一酸化炭素低減部6の熱伸縮を吸収可能なので、外側円筒体底面45と第1変成部円筒体上面75には剛性の高い材料を用いても良い。
一酸化炭素低減部6は、上述したように変成部7と選択酸化部8とを含んで構成されている。本実施の形態では、変成部7は、略円柱状に形成された第1変成触媒充填層72を収容した第1変成部円筒体71と、第2変成触媒充填層74を収容した第2変成部円筒体73とを含んで構成されている。第1変成部円筒体71、第1変成触媒充填層72、第2変成部円筒体73及び第2変成触媒充填層74は、ともに改質部内側円筒体41等と略同軸に配置されている。
また、一酸化炭素低減部6は、第1変成触媒充填層72が配置されている側、すなわち第1変成部円筒体上面75側で連結流通管16を介して改質部4に接続されている。第1変成部円筒体上面75と第1変成触媒充填層72の間隙には、ガス分散板202が配設されている。ガス分散板202は、連結流通管16から流れてくる改質ガスが均一に第1変成触媒充填層72に流れるように多孔板が用いられる。第2変成部円筒体73の第1変成部円筒体上面75と反対側の面には、第2変成部円筒体底面76が配設されている。
さらに、第2変成部円筒体73、第2変成触媒充填層74の円形部の半径は、第2変成部円筒体73の外周に沿って次に説明する選択酸化部8が配置されているため、第1変成部円筒体71、第1変成触媒充填層72にと比べてやや短くなっている。
第1変成触媒充填層72、第2変成触媒充填層74にはそれぞれ第1変成触媒、第2変成触媒が充填されている。第1変成触媒充填層72に用いる第1変成触媒としては、例えばFe−Cr系の高温変成触媒やPt系の中高温変成触媒などがある。第2変成触媒充填層74に用いる第2変成触媒としては、例えばCu−Zn系低温変成触媒やPt系低温変成触媒などがある。第1変成触媒充填層72と第2変成触媒充填層74に用いられる触媒の形状としては、粒状、円柱状、ハニカム状やモノリス状などが挙げられる。
第1変成触媒充填層72と第2変成触媒充填層74との間隙には、円環状バッフル板203が設置されており、当該円環状バッフル板203は円環の中心部にガス分散板204が設けられている。ガス分散板204は、ガス分散板202と同様に、第1変成触媒充填層72から流れてくる変成ガスが均一に第2変成触媒充填層74に流れるように多孔板が用いられる。
選択酸化部8は、第2変成部円筒体73の外周に沿って同軸円筒状に位置し、略円筒形状に形成された選択酸化部円筒体81と、選択酸化部円筒体81に収容され、略円環状に形成された選択酸化触媒充填層82とを含んで構成されている。選択酸化部円筒体81は、典型的には第1変成部円筒体71と連続的に形成されており、第1変成部円筒体上面75と反対側の面には、選択酸化部円筒体底面83が配設されている。選択酸化部円筒体底面83は、中央部から若干ずれた位置に、上述した一酸化炭素低減ガス導出流路17に通じる開口部を有している。また、選択酸化部円筒体81の選択酸化部円筒体底面83と対向する面は、円環状バッフル板203によって蓋をされたように構成されている。
なお、選択酸化触媒充填層82は、典型的には選択酸化部円筒体81とさらに内側に形成される壁とによって画成され、本実施の形態では選択酸化部円筒体81と第2変成部円筒体73とによって画成されている。
また、選択酸化触媒充填層82には選択酸化触媒が充填されており、選択酸化触媒充填層82に用いる選択酸化触媒としては、COに対する選択酸化性が高いものであれば何でもよく、例えばPt系選択酸化触媒、Ru系選択酸化触媒やPt−Ru系選択酸化触媒などがある。選択酸化触媒充填層82に用いられる触媒の形状として粒状、円柱状、ハニカム状やモノリス状などが挙げられる。
第2変成部円筒体73の内側には、略円筒形状に形成され、第2変成部円筒体73と軸方向を同じくする内円筒体205が配設されている。内円筒体205は、軸方向と直交する方向では、選択酸化部円筒体底面83の一酸化炭素低減ガス導出流路17に通じる開口部とほぼ等しい位置に配設されている。内円筒体205は、第2変成触媒充填層74を貫通し、第2変成部円筒体73内の第2変成部円筒体底面76側と選択酸化部円筒体81内の円環状バッフル板203側とを、内円筒体205に対して直交するように形成された管路206を介して接続するように構成されている。内円筒体205、管路206によって形成された空間である変成ガス流路207は、第2変成触媒充填層74を通過した変成ガスを選択酸化触媒充填層82に導入する流路として機能する。
選択酸化触媒充填層82の上流側にはガス分散板211が配設されている。ガス分散板211は、ガス分散板202と同様に、第2変成触媒充填層74から流れてくる変成ガスが均一に選択酸化触媒充填層82に流れるように多孔板が用いられる。また、選択酸化部8は、選択酸化部円筒体81の内周面、第2変成部円筒体73の外周面、第2変成部円筒体底面76、選択酸化部円筒体底面83、並びに一酸化炭素低減ガス導出流路17の内周面によって形成される選択酸化ガス導出流路84を備えている。選択酸化ガス導出流路84は、選択酸化触媒充填層82を通過した選択酸化ガスを一酸化炭素低減ガス導出流路17に導く構成となっている。
一酸化炭素低減ガス導出流路17の選択酸化ガス出口には、上述した一酸化炭素低減ガス導出流路開閉弁11が取り付けられており、起動時、停止時には閉止されると共に、定常運転時には開放にされ、選択酸化触媒充填層82を通過した選択酸化ガスを燃料ガスとして燃料電池130(図1参照)に導入するように構成されている。
選択酸化用の空気を導入するための選択酸化用空気導入管208は、選択酸化部円筒体底面83に一酸化炭素低減ガス導出流路17ともに二重管状に設けられている。選択酸化用空気導入管208の端面であって第2変成部円筒体73の内側に位置する端面である導入口209は、内円筒体205の端面であって選択酸化部円筒体底面83側に位置する端面である開口部210の近傍に配置されている。導入口209は、好ましくは、開口部210の内側に若干挿入された態様で配置されているとよい。選択酸化用の空気の導入口209が、開口部210の近傍に設置されているので、変成部7にて変成された変成ガスと選択酸化用の空気とが適切に混合されて、選択酸化部8での選択酸化反応が効果的に進行する。
このように第2変成触媒充填層74と選択酸化触媒充填層82を同心円状に構成すると、ガスの流れる量が多くなりがちな中心部に第2変成触媒充填層74が位置しているので、第2変成触媒充填層74の外周縁部に位置する選択酸化触媒充填層82に対して改質ガスが均一に流れ、選択酸化反応が均一に進行する。そこで、選択酸化触媒充填層82に充填される選択酸化触媒の量が最適化されると共に、温度分布も最適化される。
さらに、燃料処理装置1は、連結流通管16によって連結される改質部4と一酸化炭素低減部6を一体に収容する容器212とを備えている。容器212は、略円筒形状に形成され、底面には改質用水を燃料処理装置1内に導入するための第1改質用水注入口213と一酸化炭素低減ガス導出流路17と接続するノズルが形成されている。容器212は、典型的には、略円筒状の改質部内側円筒体41、第1変成部円筒体71等に対して同軸に配設されている。容器212の外周及び改質部4、燃焼部5の上面には断熱層214が配設されており、断熱層214には、例えば真空断熱層が好適である。
改質部外側円筒体42の外周、第1変成部円筒体71の外周及び選択酸化部円筒体81の外周(上述したように第1変成部円筒体71と選択酸化部円筒体81とは連続、一体に形成されている)と、容器212の内周との間隙には、第1改質用水流路215が形成されている。第1改質用水注入口213には、前述した第1改質用水注入流路20(図1参照)が接続されている。第1改質用水注入流路20は、流量調整弁216と第1改質用水注入口213を経由して、第1改質用水流路215に改質用水を供給する配管である。ドレン電磁弁217は、起動時に開放されて第1改質用水流路215を改質用水又は水蒸気が逆流することを可能とし、定常運転時には閉止されて、第1改質用水流路215に供給された改質用水が外部に洩れないようにする。
第1改質用水流路215の第1改質用水注入口213とは反対側の端部には混合室218が形成されている。混合室218は、略円環状に形成され、略円筒状の改質部内側円筒体41、第1変成部円筒体71等に対して同軸に配設されている。さらに、混合室218は、第1改質用水流路215、第2改質用水流路219、改質原料流路220並びに改質部入口ガス流路221が連通しており、定常運転時には改質用水と改質原料が供給されて、改質用水と改質原料の混合されたガスを改質部4に送出するように構成されている。
第2改質用水流路219は、混合室218と連通されるように設けられているもので、例えば円環状をしている。第2改質用水流路219には、分散板222と注入口223が設けられ、第2改質用水注入流路224に設けられた流量調整弁225を介して改質用水が供給される。第2改質用水注入流路224は、典型的には、第1改質用水注入流路20(図1参照)と共通のものとするとよい。改質原料流路220は、混合室218に連通されるように設けられている円環状の流路であり、分散板226と注入口227が設けられる管路であり、注入口227には上述した改質原料注入流路13(図1参照)が接続されている。
外側円筒体底面45と第1変成部円筒体上面75との間隙には、円環状バッフル板228が配設されている。円環状バッフル板228は、第1改質用水流路215の流れを邪魔して、連結流通管16側に改質用水の流れを導くことで、改質用水の外側円筒体底面45と第1変成部円筒体上面75との熱交換を効率良くさせている。熱交換部229は、外側円筒体底面45、第1変成部円筒体上面75、円環状バッフル板228並びに連結流通管16によって形成される円環状の空間で、改質ガスと第1改質用水との熱交換が行われる。
温度測定器9は、容器212の底面、第1改質用水流路215、選択酸化ガス導出流路84を順に貫通し、温度測定器9の先端が選択酸化触媒充填層82内に位置するように取り付けられている。温度測定器9は、選択酸化触媒充填層82の温度を測定し、上述のように温度信号i3を制御装置12に送信する。選択酸化部8は、一酸化炭素低減部6の中でも比較的低温側、典型的には、変成部7よりも相対的に低温側に配設されている。ここで、低温側とは、容器212内のバーナー51から離れた側で、容器212の外周部付近、外気に近い側のことをいい、すなわち、選択酸化部8は、変成部7と比較して容器212内のバーナー51から離れた位置で、容器212の外周部付近、外気に近い位置に配置される。つまり、温度測定器9は、一酸化炭素低減部6の中でも、比較的に低温となりやすい選択酸化部8の選択酸化触媒充填層82の温度を検知するように取り付けられるのである。
電気ヒータ10は、容器212の底面、第1改質用水流路215、選択酸化ガス導出流路84、第2変成触媒充填層74を順に貫通し、電気ヒータ10の先端が第1変成触媒充填層72内のガス分散板202付近に位置するように取り付けられている。さらに、電気ヒータ10は、略円柱状に形成されており、第1変成触媒充填層72、第2変成触媒充填層74と同軸に配置されている。すなわち、電気ヒータ10は、第1変成触媒充填層72、第2変成触媒充填層74の略重心付近を加熱するように構成される。ここで、略重心付近とは、物体に働く重力の合力が通る物体内の固定点付近のことをいい、本実施の形態では、電気ヒータ10は、略重心付近を含む略軸芯を加熱するように構成される。電気ヒータ10は、前述のように制御装置12から電気ヒータ通電信号i2を受信し、電気を入切するように構成されている。電気ヒータ10によって第1変成触媒充填層72、第2変成触媒充填層74の略軸芯が加熱されるように構成されていることで、図3で後述するように燃料処理装置1の運転が停止され電気ヒータ10が通電される際に、熱が触媒等を伝熱して一酸化炭素低減部6内を満遍なく温めることができ、温度分布が最適化される。
制御装置12は、上述したように指示信号i1、電気ヒータ通電信号i2、温度信号i3、弁開閉信号i4等に基き、電気ヒータ10、一酸化炭素低減ガス導出流路開閉弁11を制御するように構成されており、さらに、制御装置12は、以上のように構成される燃料処理装置1の各部を制御するように構成されている。以下では制御装置12によって制御される燃料処理装置1の運転方法を説明する。
まず起動時における運転方法を説明すると、バーナー51を着火し、バーナー51の着火が確認されたら、第2改質用水注入口223より起動時熱媒としての第2改質用水を注入し始める。着火後高温の燃焼ガスが、燃焼円筒体52の底部で折り返し、燃焼ガス流路54を通過しながら改質触媒充填層43を予熱すると共に、第2改質用水流路219と混合室218を流過する起動時熱媒としての第2改質用水を蒸発し過熱する。起動時には一酸化炭素低減ガス導出流路開閉弁11を閉に、第1改質用水流路のドレン電磁弁217を開にしているので、発生した過熱蒸気が第1改質用水流路215を逆流し、一酸化炭素低減部6を予熱する。
改質触媒充填層43の温度が一定の温度に到達したら、一酸化炭素低減ガス導出流路開閉弁11を開に、ドレン電磁弁217を閉に切り替える。そして、燃料注入口227と選択酸化用空気導入管208の導入口209から、定格負荷時の30〜50%程度の原料燃料及び選択酸化用の空気をそれぞれ供給し、燃料の改質を開始する。燃料の改質が始まると、後述する変成反応及び選択酸化反応は発熱反応なので、第1変成触媒充填層72と第2変成触媒充填層74と選択酸化触媒充填層82とが自らの反応発熱によって昇温する。
第2変成触媒充填層74の温度が一定温度に到達したら、第1改質用水注入口213より第1改質用水の注入を開始し、燃料及び選択酸化用空気の導入量を定格流量まで徐々に増加させて、起動状態を終了して定常状態に移行する。
次に、定常運転時における運転状態を説明する。第1改質用水注入口213より注入される第1改質用水は、一酸化炭素低減部6の内部を流れるガスと対向流で第1改質用水流路215を流過する。第1改質用水流路215を流れる第1改質用水は、選択酸化部8、変成部7を冷却すると同時に蒸発し、熱交換部229にて改質部4を出た高温の改質ガスによって過熱され、混合室218に導かれる。燃料注入口227から注入される原料燃料は、灯油など液体燃料の場合には混合室218にて第1改質用水の過熱蒸気によって気化され、都市ガスなど気体燃料の場合には予熱される。
一方、第2改質用水注入口223より注入される第2改質用水は、第2改質用水流路219を流過しながら燃焼ガスによって加熱されて蒸発し、混合室218にて第2改質用水及び改質原料の混合ガスと合流し、改質部入口ガス流路221を経て改質触媒充填層43に導かれる。改質触媒充填層43において主に燃料の水蒸気改質反応が行われる。例えば改質原料がメタンの場合、次式による水蒸気改質反応が行われる。
CH4+H2O→CO+3H2 ・・・(1)
なお、改質触媒充填層43への改質反応熱の供給は、燃焼室53でのバーナー燃料の燃焼熱を熱源として、燃焼円筒体52からの熱輻射と、燃焼ガス流路54を流過する燃焼ガスからの熱伝達とによって行われる。
改質部4を出た改質ガスが熱交換部229にて減温された後、変成部7の第1変成触媒充填層72、第2変成触媒充填層74に導かれ、下式の変成反応が行われる。
CO+H2O→CO2+H2 ・・・(2)
この変成反応は発熱反応なので、反応温度を低くすれば、有利な点として変成後の改質ガスのCO濃度が低くなる点があり、不利な点として反応速度が遅くなる点がある。そこで、本実施形態では比較的反応温度の高い第1変成触媒充填層72と、反応温度の低い第2変成触媒充填層74とを設け、第1変成触媒充填層72にて反応速度を早くし、第2変成触媒充填層74にてガスのCO濃度を低くすることで、総合的な変成反応の効率を高めている。
第2変成触媒充填層74を出た変成ガスは、変成ガス流路207等を介して選択酸化触媒充填層82に導かれ、選択酸化用空気導入管208の導入口209から導入された選択酸化用の空気との間で下式のCO選択酸化反応が行われる。
CO+(1/2)O2→CO2 ・・・(3)
選択酸化用空気中の酸素は、反応式(3)により変成ガス中のCOを酸化して除去する他に、改質ガス中の水素をも酸化し消費するので、燃料処理装置の水素製造効率、即ち熱効率を高くする上で酸素と水素との酸化反応を抑制することが重要である。
選択酸化触媒充填層82を通過した選択酸化ガスは、一酸化炭素低減ガス導出流路17、一酸化炭素低減ガス導出流路開閉弁11、配管18(図1参照)を介してを燃料ガスとして燃料電池130(図1参照)に導入され、発電に用いられる。一般に、炭化水素の改質ガスを燃料とする燃料電池発電の場合、改質ガス中の水素の70〜80%が消費され、残りの水素がアノードオフガスp(図1参照)として排出される。本実施の形態では、燃料電池130のアノードオフガスpをバーナー燃料として用いることができる。
次に、図3は、制御装置12による燃料処理装置1の停止制御について示した流れ図である。本図を参照して燃料処理装置1の運転停止について説明する。なお、構成の符号に関しては適宜図1又は図2を参照するものとする。
燃料処理装置1の運転停止では、まず、制御装置12は、原料燃料供給部2が供給する原料燃料を停止する旨の指示信号i1を原料燃料供給部2に送信して原料燃料と改質用水の供給を停止する(S300)。典型的には、原料燃料と改質用水の供給は略同時に停止され、選択酸化用の空気の供給停止、バーナー51の消火も実行される。さらに、制御装置12は、原料燃料と改質用水の供給を停止する際、典型的には指示信号i1を原料燃料供給部2に送信するのと略同時に、一酸化炭素低減ガス導出流路開閉弁11に、一酸化炭素低減ガス導出流路開閉弁11を閉止する旨の弁開閉信号i4を送信し、一酸化炭素低減ガス導出流路開閉弁11を閉止する(S302)。
原料燃料と改質用水の供給を停止するのと略同時に一酸化炭素低減ガス導出流路開閉弁11を閉止し燃料処理装置1と外部との流通を遮断することで、外気が燃料処理装置1へ漏れ込むことを防ぐことができる。さらに、触媒が酸素によって酸化され、徐々に劣化することがなくなる。燃料処理装置1内部には、外部に導出されなかった水素リッチなガスが閉じ込められ、これにより燃料処理装置1内部が非酸化性あるいは還元性雰囲気に維持される。その結果、改質触媒、変成触媒、選択酸化触媒の劣化を防ぎ、また、運転中酸化した各触媒が、燃料処理装置1内部に残留する水素リッチな改質ガスによって還元され、効率的に触媒活性を回復することが出来る。
次に、制御装置12は、温度測定器9から送信される温度信号i3を受信して、選択酸化触媒充填層82の温度が第1の温度としての電気ヒータ通電開始温度T1まで低下したか否かを判定する(S304)。電気ヒータ通電開始温度T1まで低下していなければ、再び温度信号i3を受信して判定を繰り返し、電気ヒータ通電開始温度T1まで低下したと判定されたら次段に移行する。ここで、電気ヒータ通電開始温度T1は、燃料処理装置1内部に残留するガスが、冷却されその水蒸気分圧が飽和水蒸気圧になる温度すなわち該ガスの露点温度よりもやや高い温度であり、これ以下の温度以下になると、水蒸気が凝縮し水滴(結露)ができる。電気ヒータ通電開始温度T1は、好ましくは70℃から180℃、さらに好ましくは90℃から120℃、最も好ましくは約90℃程度である。
制御装置12は、選択酸化触媒充填層82の温度が電気ヒータ通電開始温度T1まで低下したと判定すると、通電を開始する旨の電気ヒータ通電信号i2を電気ヒータ10に送信し、電気ヒータ10が入状態となるよう通電を開始する(S306)。電気ヒータ10は、第1変成触媒充填層72、第2変成触媒充填層74を中心として、熱が触媒等を伝熱して一酸化炭素低減部6内を満遍なく加熱し、燃料処理装置1内の温度を水蒸気の露点温度以上に維持する。これにより燃料処理装置1内に残留する水蒸気が結露することを防止することができ、例えば、停止時に水分が触媒の表面凹凸部に吸収され、燃料処理装置1の再起動時の温度上昇による水分の蒸発膨張により触媒を崩壊し、触媒が粉化することがなくなる。
次に、制御装置12は、再び温度測定器9から送信される温度信号i3を受信して、選択酸化触媒充填層82の温度が第2の温度としての電気ヒータ通電停止温度T2まで上昇したか否かを判定する(S308)。電気ヒータ通電停止温度T2まで上昇していなければ、再び温度信号i3を受信して判定を繰り返し、電気ヒータ通電停止温度T2まで上昇したと判定されたら次段に移行する。ここで、電気ヒータ通電停止温度T2は、電気ヒータ通電開始温度T1よりも高い温度であり、電気ヒータ10の性能等を考慮して、適度に電気ヒータの入切が行われる程度に設定すればよい。電気ヒータ通電開始温度T1よりも、好ましくは10℃から50℃、さらに好ましくは20℃から40℃、最も好ましくは約30℃程度高い温度である。
制御装置12は、選択酸化触媒充填層82の温度が電気ヒータ通電停止温度T2まで上昇したと判定すると、通電を停止する旨の電気ヒータ通電信号i2を電気ヒータ10に送信し、電気ヒータ10が切状態となるよう通電を停止する(S310)。その後再びS304に戻り、以降燃料処理装置1が再起動されるまでS304からS310までを繰り返し実行する。これにより、燃料処理装置1内の温度を水蒸気の露点温度以上に維持しつつも、余計な電力を消費することがなく、燃料処理装置1内を過度に加熱してしまうこともなく、経済的にも効果的である。
図4は、本発明による燃料処理装置1の停止時における選択酸化触媒充填層82の温度の経時変化の一例を示すグラフである。本図では、縦軸を選択酸化触媒充填層82の温度、横軸を経過時間としている。原料燃料、改質用水供給の停止及び一酸化炭素低減ガス導出流路開閉弁11の閉止(S300、S302)がなされると、定常運転時の温度T5にあった選択酸化触媒充填層82の温度は徐々に下降していく。電気ヒータ通電開始温度T1まで低下すると、電気ヒータ10への通電を開始し、一酸化炭素低減部6(図3参照)が加熱され、上向きに転じる(S304、S306)。電気ヒータ通電停止温度T2まで上昇すると、電気ヒータ10への通電を停止し、選択酸化触媒充填層82の温度は、再び下向きに転じる(S308、S310)。電気ヒータ10の入切は、燃料処理装置1が再起動されるまで繰り返される。本図中では、グラフが波線状を示している部分がこれに該当し、谷状部が電気ヒータ10の通電開始、山状部が停止を示している。なお、図中、T3は停止時の燃料処理装置1内部ガスの露点温度、T4は停止時の環境温度を示しており、電気ヒータ通電開始温度T1は、停止時の燃料処理装置1内部ガスの露点温度T3よりも若干高い温度となっている。
以上で説明した本発明の第1の実施の形態及び第2の実施の形態に係る燃料電池発電システム100及び燃料処理装置1によれば、燃料処理装置1内を非酸化性あるいは還元性雰囲気に保ち、さらに燃料処理装置1内の温度を水蒸気の露点温度以上に維持するため、窒素等不活性パージガス等によるパージをすることなく触媒の劣化を防ぐことができ、また、原料燃料が気体燃料、液体燃料いずれの場合にも適用することができる。
また、以上で説明した本発明の第1の実施の形態及び第2の実施の形態に係る燃料電池発電システム100及び燃料処理装置1によれば、パージをする必要がないため、パージガスの管理や補充をする煩わしさがなく、装置も小型化することができるので、いわゆる分散発電設備として広くオフィスビル、店舗や家庭に分散設置する場合にも適しており、また、設置作業も容易に行うことができる。
さらに、以上で説明した本発明の第1の実施の形態及び第2の実施の形態に係る燃料電池発電システム100及び燃料処理装置1によれば、通常、起動時間及び起動時消費熱量は、燃料処理装置、また燃料処理装置の中でも一酸化炭素低減部6の昇温条件によって支配されるが、停止時に電気ヒータ10により一酸化炭素低減部6の温度が露点温度以上に維持されているため、再起起動時間が短く、再起動時の昇温に使われる熱量も少なくてすむ。これにより利便性も向上する。
また、以上で説明した本発明の第1の実施の形態及び第2の実施の形態に係る燃料電池発電システム100及び燃料処理装置1によれば、家庭やオフィスビルに設置されDSS方式で運用される場合、停止状態がほとんど深夜時間帯にあるので、燃料処理装置1の電気ヒータ10が通電状態になった時に、消費する電力が価格の非常に安い深夜電力で、またその消費電力の大部分をもって翌日起動時の消費熱量が減ることから、システムの経済性も高い。
なお、以上で説明した本発明の第1の実施の形態及び第2の実施の形態に係る燃料電池発電システム及び燃料処理装置は、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
以上の説明では、燃料処理装置の改質方式は、改質用水を用いて改質する水蒸気改質方式として説明したが、部分改質方式あるいは自己熱改質方式(オートサーマル方式)とすることができる。部分改質方式は、原料燃料と改質剤としての空気とを混合し、原料燃料を部分燃焼させて水素に富む改質ガスを得る方式である。部分改質方式では、例えば(4)式で示される部分酸化反応が起こる。
CH4+(1/2)O2→CO+2H2 ・・・(4)
原料燃料を直接燃焼させる方式であるため水素発生までの時間を短縮することができる。また、原料燃料と空気のモル比が一定以上であると(5)式で示される反応が起こることがある。
CH4+O2→CO+H2+H2O・・・(5)
すなわち一酸化炭素、水素に加えて水も生成されるのであるが、この場合でも運転停止時には、電気ヒータ10による加熱によって燃料処理装置1内の温度を水蒸気の露点温度以上に維持されるため、パージをしなくとも触媒を劣化させることはない。
自己熱改質方式は、原料燃料と水蒸気の混合ガスに空気を混合する方法である。すなわち、改質剤として改質用水と空気の両方を用いる方法であり、触媒の存在下で原料燃料を部分燃焼させて熱を得て、水蒸気改質反応によって水素を得る方式である。この自己熱改質方式によれば、水蒸気改質反応で必要とされる熱を原料燃料の部分酸化反応による燃焼熱で賄うため、バーナー51等を必要としない燃料処理装置を構成することが可能となり、燃料処理装置、燃料電池発電システムのさらなる小型化に資することとなる。つまり、第1、第2の実施の形態では、燃焼部は、バーナー51によって燃料を燃焼させることで改質部を加熱するものとして説明したが、ここでの燃焼部は、原料燃料の部分酸化反応によって発生する燃焼熱により、水蒸気改質反応を行う改質部を加熱するように構成されている。
以上の説明では、温度測定器9は、運転停止時に、一酸化炭素低減部6内で相対的に低温となりやすい、つまり一酸化炭素低減部6内で最もはやく露点温度以下となりやすい選択酸化触媒充填層82(図2参照)の温度を検知するように取り付けられるものとして説明したが、一酸化炭素低減部6の温度を検知すればどこでもよく、変成触媒充填層72、74の温度を検知するように構成してもよいし、複数箇所に設けてもよい。
以上の説明では、電気ヒータ10は、略円筒形状の第1変成触媒充填層72、第2変成触媒充填層74の略軸芯を加熱するものとして説明したが、例えば、第1変成触媒充填層72、第2変成触媒充填層74が略円筒形状ではなく、軸を有さない形状であったとしても、一酸化炭素低減部6内を満遍なく温めるように略重心付近を加熱するとよい。
以上の説明では、一酸化炭素低減部6は、変成部7と選択酸化部8とを含んで構成されるものとして説明したが、改質ガス中の一酸化炭素を十分に低減できるような構成であればよく、例えば選択酸化部8を備えない構成とすることができる。この場合、装置をよりコンパクトな構成とすることができる。
以上の説明では、変成部7は、比較的反応温度の高い第1変成触媒充填層72と、反応温度の低い第2変成触媒充填層74とを設け、第1変成触媒充填層72にて反応速度を早くし、第2変成触媒充填層74にて改質ガスのCO濃度を低くすることで、総合的な変成反応の効率を高めているが、例えば第2変成触媒充填層74を設けない構成とすることもでき、この場合も装置をコンパクトな構成とすることができる。
以上の説明では、選択酸化触媒充填層82は、第2変成部円筒体73の外周に略円環状に形成されるものとして説明したが、第2変成触媒充填層74の下流側に直列的に形成してもよく、この場合、装置をより簡明な構成とすることができる。
以上の説明では、燃料処理装置1の改質部4と一酸化炭素低減部6とが互いに連結されており、一酸化炭素低減部6の温度が改質部4の温度より200〜500℃程度低いため、運転停止後の自然冷却において一酸化炭素低減部6の温度が改質部4の温度よりも先に燃料処理装置1内に封入されているガスの露点温度に低下することから、温度測定器9及び電気ヒータ10は、一酸化炭素低減部6のみに設けるものとして説明したが、一酸化炭素低減部6だけでなく改質部4にも電気ヒータを配設してもよいことはいうまでもない。