以下図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお各図において、互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。
まず図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る改質器10を説明する。図1は、改質器10の縦断面図である。改質器10は、改質用原料としての原料ガスrの水蒸気改質に用いる改質熱を発生させる加熱部としての燃焼部11と、原料ガスrを水蒸気改質して準改質ガスjを生成する改質部21と、準改質ガスjから一酸化炭素濃度を低減した改質ガスgを生成する一酸化炭素低減部22と、燃焼部11で生じた排ガスeを外部に排出する排ガス流路16と、原料ガスrの水蒸気改質に用いる水sを流す水管25と、改質器10の運転を制御すると共に改質ガスgの生成を停止したときの改質器10の冷却方式を制御する制御部を有する制御装置40と、制御装置40に行わせる冷却方式の手動入力を受け付ける冷却指定手段としての操作パネル45とを備えている。一酸化炭素低減部22は、準改質ガスj中の一酸化炭素を変成して準改質ガスjから一酸化炭素が低減した変成ガスhとする変成部23と、変成ガスh中の一酸化炭素を選択酸化して変成ガスhからさらに一酸化炭素が低減した改質ガスgを生成する選択酸化部24とを有している。
燃焼部11は、燃焼用燃料としての燃焼燃料fを燃焼させるバーナー12と、燃焼によって生じる炎を収容する燃焼室13とを含んでいる。燃焼室13は、筒状部材である内筒14の内側に形成されている。本実施の形態では、バーナー12が内筒14の内部に収容され、バーナー12の先端の空間が内筒14に囲まれることによって燃焼室13が形成されている。本実施の形態では、内筒14は、その軸が鉛直方向に対して略平行になるように配設されている。内筒14の長さは、後述する改質部21の鉛直方向の長さ以上となっている。バーナー12は、火炎が下向きに形成されるように内筒14内に配設されている。内筒14の下端は開口になっている。他方、内筒14の上端14aは閉塞されている。バーナー12の、火炎が形成されるのと反対側は、内筒14の上端14aを貫通して空気燃料導入管29に接続されている。空気燃料導入管29は、燃焼燃料fを流す流路を形成している。空気燃料導入管29にはチーズ29Tが取り付けられている。
内筒14は、自身より一回り大きい筒状部材である外筒15によって覆われている。外筒15の下端15bは閉塞されている。外筒15は、その軸が内筒14の軸と略一致するように配設されている。これにより、内筒14の外側と外筒15の内側との間に、バーナー12で燃焼燃料fを燃焼させた後の排ガスeを流す排ガス流路16が形成されている。バーナー12に向けて燃焼燃料fを供給せずに燃焼空気aを冷却流体として送気することにより、燃焼空気aが排ガス流路16を流れるようにすることもできる。すなわち、本実施の形態の排ガス流路16は、冷却流体流路を兼ねている。内筒14よりも一回り大きい外筒15のサイズは、排ガス流路16を流れる排ガスe及び燃焼空気aの流量を勘案して適宜決定すればよい。排ガス流路16は排ガス管54に接続され、排ガスeを系外に排出することができるように構成されている。
改質部21は、外筒15の両端及び上部を除く外周に、改質触媒が設けられることにより構成されている。改質触媒は、内筒14や外筒15と同軸の筒状部材である改質触媒保持筒17によって保持されている。言い換えると、外筒15と改質触媒保持筒17との間に改質触媒が充填されている。改質触媒は、原料ガスrの水蒸気改質反応を促進させる触媒であり、典型的には、ニッケル系改質触媒やルテニウム系改質触媒が用いられる。また、改質触媒の形状は、水蒸気改質反応を効率的に行うため、粒状、円柱状、ハニカム状やモノリス状とするとよい。水蒸気改質反応は吸熱反応である。それゆえ、燃焼部11において燃焼燃料fを燃焼させて改質熱を発生させている。改質部21とバーナー12との位置関係は、改質部21の鉛直方向の略中央にバーナー12の火炎が位置するように構成されている。このような位置関係とすると、改質部21全体を加熱することができる。
改質触媒保持筒17の下端は開口になっている。この開口により改質部21は変成部23と連通している。他方、改質触媒保持筒17の上端は閉塞しており、この上端の一部に原料ガスrを改質部21に導入する原料ガス導入管26が接続されている。改質部21の上部には、原料ガス導入管26を介して導入した原料ガスrが改質触媒保持筒17の上部全体に行き渡るように改質触媒が充填されていない空間が形成されている。原料ガス導入管26は、燃焼部11と反対方向に(すなわち外側に)向かって延びている。原料ガス導入管26には、原料ガスrの流れを遮断する原料ガス遮断弁36が配設されている。原料ガス遮断弁36より下流の原料ガス導入管26には、後に詳説する水管25が接続されている。
変成部23は、外筒15の上部を残して、改質部21より上方の外筒15の外周に変成触媒が設けられることにより構成されている。変成触媒は、改質触媒保持筒17の上部をも覆っている。この変成触媒が改質触媒保持筒17を覆っている部分は、改質触媒保持筒17で区画されているため改質部21とは連通していない。上述のように、変成部23は改質触媒保持筒17の下端の開口により改質部21と連通している。変成触媒は、改質部21における水蒸気改質反応によって生成された準改質ガスjに含まれる一酸化炭素を水と反応させる変成反応を促進させる触媒であり、典型的には、鉄−クロム系変成触媒、銅−亜鉛系変成触媒、白金系変成触媒等が用いられる。また、変成触媒の形状は、変成反応を効率的に行うため、粒状、円柱状、ハニカム状やモノリス状とするとよい。変成反応は、一酸化炭素を二酸化炭素にシフトする。変成反応は発熱反応である。
選択酸化部24は、変成部23より上方の外筒15の外周に選択酸化触媒が設けられることにより構成されている。選択酸化部24と変成部23との境界は、パンチングメタル等で区画されていてもよいが、選択酸化部24と変成部23とは連通するように構成される。選択酸化触媒は、変成部23における変成反応によって生成された変成ガスhに含まれる一酸化炭素を酸素と反応させる選択酸化反応を促進させる触媒であり、典型的には、白金系選択酸化触媒、ルテニウム系選択酸化触媒、白金−ルテニウム系選択酸化触媒等が用いられる。また、選択酸化触媒の形状は、選択酸化反応を効率的に行うため、粒状、円柱状、ハニカム状やモノリス状とするとよい。選択酸化反応は発熱反応である。
変成触媒及び選択酸化触媒は、内筒14等と同軸の筒状部材であるCO低減触媒保持筒18によって保持されている。言い換えると、外筒15及び改質触媒保持筒17の一部とCO低減触媒保持筒18との間に変成触媒が充填されており、外筒15の上部とCO低減触媒保持筒18との間に選択酸化触媒が充填されている。CO低減触媒保持筒18は、変成部23の下方にも延びており、改質部21の下部を覆っている。変成部23より下方のCO低減触媒保持筒18は、改質触媒保持筒17より一回り大きく形成されている。CO低減触媒保持筒18の下端18bは閉塞されている。改質触媒保持筒17の下端はCO低減触媒保持筒18の下端18bに接触しないように配設される。これにより改質部21と変成部23とが連通する。変成部23より下方の、改質触媒保持筒17の外側とCO低減触媒保持筒18の内側との間には、準改質ガスjを流す準改質ガス流路19が形成されている。準改質ガス流路19は、変成触媒の直下で、変成触媒の下面全体に準改質ガスjが行き渡るように、外側に向けて放射状に広がっている。改質触媒保持筒17よりも一回り大きいCO低減触媒保持筒18のサイズは、準改質ガス流路19を流れる準改質ガスjの流量を勘案して適宜決定すればよい。
CO低減触媒保持筒18には、変成部23直近の選択酸化部24で、選択酸化空気cを選択酸化部24に導入する選択酸化空気導入管27が接続されている。選択酸化空気導入管27は、外側に向かって延びている。選択酸化空気導入管27には、選択酸化空気cの流れを遮断する選択酸化空気遮断弁37が配設されている。また、CO低減触媒保持筒18には、変成部23に隣接する側とは反対側の選択酸化部24で、改質ガスgを導出する改質ガス管28が接続されている。改質ガス管28は、外側に向かって延びている。改質ガス管28には、改質ガスgの流れを遮断する改質ガス遮断弁38が配設されている。
水管25は、以下のように配設されている。選択酸化部24の上方からCO低減触媒保持筒18の外側に接触し、選択酸化部24の上部からCO低減触媒保持筒18の外側を螺旋状に下方に巻いていく。螺旋状に下方に巻いていって変成部23の上から2/3程度の位置に至ったところでCO低減触媒保持筒18から外側に離れ、さらに上方に向きを変えて原料ガス導入管26に接続する。水管25が原料ガス導入管26に接続されることで水管25は改質部21に連通している。水管25をこのように配設すると、水sは選択酸化部24の傍らから変成部23の傍らを流れ、原料ガス導入管26に流入するまでに選択酸化部24及び変成部23から受熱して液体から気体となる。なお、図1に示すように、水管25の一部が選択酸化部24及び/又は変成部23の内部を通り、外筒15に接触するように配設されることとすると、受熱量が増加するので好ましい。水管25には、CO低減触媒保持筒18に接触するよりも上流に、水sの流れを遮断する水遮断弁35が配設されている。
準改質ガス流路19には、改質部21の圧力を検出する圧力検出手段としての圧力センサ41が配設されている。改質部21は、一酸化炭素低減部22(変成部23及び選択酸化部24)と連通しているので、改質部21の圧力を検出することで一酸化炭素低減部22の圧力も検出することができる。また、改質触媒保持筒17及びCO低減触媒保持筒18には、改質部21、変成部23、選択酸化部24の温度をそれぞれ検出する温度検出手段としての温度センサ42が取り付けられている。温度センサ42の個数は、各部21、23、24の大きさ等に応じて適宜決定するとよい。圧力センサ41及び温度センサ42は、それぞれ信号ケーブルを介して制御装置40に接続されており、検出した圧力あるいは温度を信号として制御装置40に送信することができるように構成されている。
水管25の最下部(本実施の形態では変成部23の上から2/3程度の位置)より下方の変成部23及び改質部21の外周は、断熱材46で覆われている。断熱材46よりも上方の変成部23及び選択酸化部24の外周は、断熱材47で覆われている。各部21、23、24が断熱材46、47で覆われていることにより、各部21、23、24を運転時における反応に適した温度に維持することができると共に、改質器10外周の温度を各部21、23、24の温度よりも低くすることができて火傷防止等に寄与する。断熱材46は、典型的には、珪石原料、石灰原料及び水を含有する原料スラリーと熱線反射材、耐熱性繊維等を配合した混合物を約500kg/m3以下の密度でプレス脱水成型させて成型した無機質多孔体である。断熱材47は、典型的には、シリカ・アルミナ系微粒子粉末、アルカリ金属珪酸塩、過酸化水素、及び熱線反射材を配合した混合物を約500kg/m3以下の密度で発泡、硬化させて成型した無機質発泡体である。断熱材46、47は、表面材48で覆われており、改質器10の外観は概ね円筒状に形成されている。表面材48は、典型的には無機質短繊維をフェルト状に成型した無機質短繊維フェルトである。
上述した各弁35、36、37、38及び空気燃料導入管29に取り付けられたチーズ29Tは、表面材48の外側に配設されている。原料ガス遮断弁36には原料ガス管56が接続されている。原料ガス管56には原料ガスrを圧送する原料ガスブロワ31が配設されている。原料ガスブロワ31を起動したときと同等の圧力で原料ガスrが系外から圧送されてくる場合は、原料ガスブロワ31を備えていなくてもよい。選択酸化空気遮断弁37には選択酸化空気管57が接続されている。選択酸化空気管57には選択酸化空気cを圧送する選択酸化ブロワ33が配設されている。改質ガス遮断弁38には改質ガス管68が接続されている。また、水遮断弁35には水供給管55が接続されている。水供給管55には水sを圧送する水ポンプ34が配設されている。また、空気燃料導入管29に取り付けられたチーズ29Tの残りの接続口の1つには燃焼燃料fを流す燃焼燃料管59が接続されており、他の残りの接続口には燃焼空気管52が接続されている。燃焼空気管52には燃焼空気aを圧送する燃焼空気ブロワ32が配設されている。
操作パネル45は表面材48の外側に配設されており、改質器10の冷却方式を、強制冷却とするか自然冷却とするかの選択結果の入力を受け付ける装置である。強制冷却は、典型的には、改質ガスgの生成を停止後に排ガス流路16に冷却流体として燃焼空気aを流して改質器10の温度低下を促進させる冷却方式である。他方、自然冷却は、改質器10を積極的に冷却せずに周囲環境の温度に依存した冷却方式である。操作パネル45には、改質器10停止後の冷却方式を強制冷却とするか自然冷却とするかを人が選択できるボタン(不図示)が設けられている。操作パネル45に設けられているボタンは、例えば、改質器10が停止したときに強制冷却を行わせるボタン、改質器10が停止したときに自然冷却を行わせるボタン、改質器10の運転中であっても直ちに強制冷却に移行させるボタン、将来の任意の時間(例えば1週間後の所定の時間)以降に強制冷却を行わせるボタン等がある。ボタンはタッチパネル等の画面に表示されるものを含む概念である。操作パネル45は制御装置40と電気的に接続されており、選択結果を制御装置40に信号として伝達できるように構成されている。
制御装置40は表面材48の外側に配設されており、改質器10の運転を制御する。制御装置40は、圧力センサ41から圧力信号を受信し、温度センサ42から温度信号を受信する。また、制御装置40は、各弁35、36、37、38のそれぞれに開閉信号を送信し、各弁35、36、37、38の開閉動作を制御する。また、制御装置40は、各ブロワ31、32、33に接続された動力系統(不図示)を介して供給される電力を調節することにより、各ブロワ31、32、33の発停や流体の吐出量を制御する。また、制御装置40は、強制冷却又は自然冷却のうち選択された冷却方式に従った改質器10の停止工程を行うように、燃焼空気ブロワ32の発停を制御する制御部を有している。制御部は、操作パネル45や後述する強制冷却起動検出器から選択信号を受信して、選択された冷却方式に従った改質器10の停止工程を行うように制御する。本実施の形態では、制御部は制御装置40と一体不可分に構成されているが、別々に構成されていてもよい。また、制御装置40と操作パネル45とは、概念上は別物として示されているが、物理的には一体に構成されていてもよく、あるいは分離して構成されていてもよい。
次に図2を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る燃料電池システム100を説明する。図2は燃料電池システム100の模式的系統図である。燃料電池システム100は、これまで説明した改質器10と、水素と酸素との電気化学的反応により発電する燃料電池60と、自然冷却に優先して強制冷却を行う事情が発生したことを検出する強制冷却起動検出器としての異常検出手段49と、制御装置70とを備えている。
燃料電池60は、典型的には固体高分子形燃料電池である。燃料電池60は、改質ガスgを導入するアノード61と、酸化剤ガスtを導入するカソード62と、電気化学的反応により発生した熱を奪う冷却部(不図示)とを含んで構成されている。酸化剤ガスtは、典型的には所定の加湿度に加湿された空気である。燃料電池60は、図では簡易的に示されているが、実際には、固体高分子膜をアノード61とカソード62とで挟んで単一のセルが形成され、このセルを冷却部を介し複数枚積層して構成されている。燃料電池60では、アノード61に供給された改質ガスg中の水素が水素イオンと電子とに分解し、水素イオンが固体高分子膜を通過してカソード62に移動すると共に電子がアノード61とカソード62とを結ぶ導線(不図示)を通ってカソード62に移動して、カソード62に供給された酸化剤ガスt中の酸素と反応して水を生成し、この反応の際に発熱する。この反応における、電子が導線を通ることにより、直流の電力を取り出すことができる。燃料電池60は、典型的には、直流電力を交流電力に変換するパワーコンディショナ(不図示)と電気的に接続される。
燃料電池60のアノード61では、導入された改質ガスg中の水素のすべてが上述の電気化学的反応(燃料電池60における発電)に利用される訳ではなく、一部の水素が利用される。アノード61からは、燃料電池60での電気化学的反応に利用されなかった水素を含むアノードオフガスpが排出される。アノードオフガスpには、水素、二酸化炭素、窒素等が含まれている。燃料電池60のカソード62では、導入された酸化剤ガスt中の酸素のすべてが上述の電気化学的反応(燃料電池60における発電)に利用される訳ではなく、一部の酸素が利用される。カソード62からは、燃料電池60での電気化学的反応に利用されなかった酸素を含むカソードオフガスqが排出される。
アノード61には、改質ガスgをアノード61に供給する改質ガス管68と、アノードオフガスpを排出するアノードオフガス管69とが接続されている。改質ガス管68は改質ガス遮断弁38に接続されている。改質ガス管68には、改質ガス遮断弁88が配設されている。アノードオフガス管69は、燃焼用原料遮断弁39よりも下流の燃焼燃料管59に接続されている。燃焼燃料管59は、原料ガスブロワ31と原料ガス遮断弁36との間の原料ガス管56から分岐した管となっている。燃焼燃料管59を原料ガス管56から分岐することにより、原料ガスrを燃焼燃料fとしてバーナー12に導くことが可能となる。アノードオフガス管69には、アノードオフガス遮断弁89が配設されている。改質ガス遮断弁88より上流の改質ガス管68とアノードオフガス遮断弁89より下流のアノードオフガス管69とはバイパス管67で接続されている。バイパス管67にはバイパス遮断弁87が配設されている。バイパス管67の分岐と改質ガス遮断弁38との間の改質ガス管68には、改質器10に封入されたガスを系外に排出するためのパージ管98が接続されている。パージ管98には、ガスの流通を遮断可能なパージ弁99が配設されている。カソード62には、酸化剤ガスtをカソード62に供給する酸化剤ガス管65と、カソードオフガスqを排出するカソードオフガス管66とが接続されている。酸化剤ガス管65には、酸化剤ガスtを圧送する酸化剤ガスブロワ64が配設されている。なお、酸化剤ガスブロワ64は、燃焼空気ブロワ32及び/又は選択酸化空気ブロワ33を兼ねていてもよい。
異常検出手段49は、燃料電池システム100を即時に停止すべき異常が改質器10又は燃料電池60に発生したことを検出する装置である。異常検出手段49としては、例えば、可燃性のガスが漏洩したことを検知する可燃性ガス漏洩検知器、燃料電池60の発電電圧が低下したことを検出するスタック電圧低下検知器等が挙げられ、典型的にはメンテナンス員によるメンテナンスを必要とするような改質器10又は燃料電池60についての異常を検出する装置である。本実施の形態では、異常検出手段49は、改質器10の異常も燃料電池60の異常も検出する装置であるが、改質器10及び燃料電池60のうち少なくとも一方の異常を検出するように構成されていてもよい。
制御装置70は、燃料電池システム100を制御する。制御装置70は、燃焼用原料遮断弁39、バイパス遮断弁87、改質ガス遮断弁88、アノードオフガス遮断弁89に各々信号を送信し、各弁の開閉動作をさせることができるように構成されている。また、制御装置70は、酸化剤ガスブロワ64を制御する。また、制御装置70は、改質器10の制御装置40(図1参照)と連係して改質器10を制御する。また、制御装置70は、異常検出手段49から信号を受信して、燃料電池システム100(改質器10及び燃料電池60を含む)を停止することができる。なお、制御装置70は、異常検出手段49と一体に構成されていてもよい。また、制御装置70は、制御装置40(図1参照)と一体に構成されていてもよい(すなわち、制御装置40(図1参照)、操作パネル45(図1参照)、制御装置70、異常検出手段49が一体に構成されていてもよい。)。
引き続き図1及び図2を参照して、改質器10及び燃料電池システム100の作用を説明する。ここで、改質器10の作用は、燃料電池システム100の作用の一環として説明する。
燃料電池システム100の停止時は、弁35、36、37、38、88、89が閉になっている。燃料電池システム100を停止中の状態から起動すると、制御装置70は、燃焼用原料遮断弁39を開にして、原料ガスブロワ31及び燃焼空気ブロワ32を起動する。すると、原料ガスrが燃焼燃料fとして改質器10内のバーナー12に供給されると共に、燃焼空気aもバーナー12に供給される。原料ガスrは、典型的には、メタン、エタン等の鎖式炭化水素(都市ガスや天然ガス等も含む)であるが、メタノール、石油製品(灯油、ガソリン、ナフサ、LPG等)等の炭化水素を主成分とする混合物等の炭化水素系の燃料を気化したものであってもよい。燃焼燃料f及び燃焼空気aがバーナー12に供給されたらバーナー12を点火して改質部21を昇温する。燃焼によって生じた排ガスeは、排ガス流路16を流れて排ガス管54に流入し、系外に排出される。また、水遮断弁35を開にし水ポンプ34を起動して水sを水管25に送水する。これとほぼ同時に原料ガス遮断弁36を開にして原料ガスrを原料ガス導入管26に供給する。
水sは、水管25を流れて原料ガス導入管26に至るまでに受熱して水蒸気となる。水蒸気と原料ガスrとは原料ガス導入管26内で混合されて改質部21に到達する。改質部21では、原料ガスr中の炭化水素と水sが気化した水蒸気とが燃焼部11から改質熱を得て反応し(水蒸気改質反応)、水素と一酸化炭素とを含む準改質ガスjが生成される。許容量を超えた一酸化炭素含むガスを燃料電池60のアノード61に供給すると燃料電池60の電極触媒(不図示)が被毒するので、準改質ガスj中の一酸化炭素濃度を低減するために改質部21で生成された準改質ガスjは変成部23に送られる。
変成部23に送られた準改質ガスjは、生成された一酸化炭素が残存していた水蒸気と反応して(変成反応)、水素と二酸化炭素とになる。つまり、変成部23で生成される変成ガスhは、準改質ガスjに比べて、一酸化炭素が減少し、水素と二酸化炭素が増加している。変成ガスhは、準改質ガスjに比べて一酸化炭素濃度が低減しているものの、通常、定常運転時で5000〜10000ppm程度の一酸化炭素を含んでおり、この一酸化炭素濃度では燃料電池60の電極触媒が被毒するおそれがある。このため、変成ガスh中の一酸化炭素濃度を低減するために変成部23で生成された変成ガスhは選択酸化部24に送られる。
選択酸化部24に変成ガスhが送られるとき、制御装置70は選択酸化空気遮断弁37及び改質ガス遮断弁38を開にし選択酸化空気ブロワ33を起動して、選択酸化空気cを選択酸化部24に供給する。なお、選択酸化空気遮断弁37及び改質ガス遮断弁38の開並びに選択酸化空気ブロワ33の起動は、原料ガス遮断弁36開等の動作と同時に行ってもよく、あるいは原料ガス遮断弁36を開いてから所定の時間が経過した後に行ってもよい。また、選択酸化空気遮断弁37及び改質ガス遮断弁38の動作は異なるタイミングで行ってもよい。
選択酸化部24に送られた変成ガスhは、残存している一酸化炭素が、供給された選択酸化空気c中の酸素と反応して(選択酸化反応)二酸化炭素となる。選択酸化反応により生成された改質ガスgは、含有する一酸化炭素が、定常運転時で10ppm以下程度となる。この程度の一酸化炭素濃度とすると、燃料電池60の電極触媒が被毒することを回避することができる。
なお、改質器10の定常運転時とは、改質部21、変成部23、選択酸化部24の各部が、それぞれの部における反応に適した温度となっている状態である。定常運転時の各部の温度は、改質部21が約550℃〜800℃、変成部23が約160℃〜280℃、選択酸化部が約100℃〜250℃である。改質器10の起動初期で、各部21、23、24が定常運転時の温度に達していないときは、改質ガス管28に導出される改質ガスgは組成が安定しておらず、燃料電池60の電極触媒が被毒するおそれのある濃度の一酸化炭素を含んでいる。したがって、組成が安定していない改質ガスgは、燃料電池60のアノード61に供給せずに燃焼部11に導いて、燃焼燃料fとして燃焼することとしている。
制御装置70は、バイパス遮断弁87を開にし、燃焼用原料遮断弁39を閉にして、組成が安定していない改質ガスgを、改質ガス管68、バイパス管67、アノードオフガス管69、燃焼燃料管59を経由して空気燃料導入管29からバーナー12に供給する。このとき、制御装置40は、温度センサ42により各部21、23、24の温度を検出している。各部の温度が定常運転時の温度になったら、制御装置70は、改質ガス遮断弁88及びアノードオフガス遮断弁89を開にし、バイパス遮断弁87を閉にする。この弁の動作により、改質ガスgが燃料電池60のアノード61に供給される。改質ガスgがアノード61に供給されるようになると、制御装置70は酸化剤ガスブロワ64を起動して酸化剤ガスtをカソード62に供給する。
燃料電池60ではアノード61に導入された改質ガスg中の水素と、カソード62に導入された酸化剤ガスt中の酸素とによる電気化学的反応が行なわれる。電気化学的反応は、アノード61では以下の(1)式に示す反応が行なわれ、カソード62では以下の(2)式に示す反応が行なわれる。
2H2 → 4H+ + 4e− ・・・(1)
O2 + 4H+ + 4e− → 2H2O ・・・(2)
この電気化学的反応によって発電し、発熱すると共に水分が生成される。さらに説明を加えると、アノード61の電子が外部電気回路(不図示)を通ってカソード62に移動する際に電力を得ることができる。アノード61の水素イオンは固体高分子膜を通過してカソード62に移動し、酸素と結合して水分が発生する。上述のように、この電気化学的反応は発熱反応である。
燃料電池60によって得られる電力は直流電力であり、必要に応じてパワーコンディショナ(不図示)で交流電力に変換されて電力負荷(不図示)に送電される。他方、燃料電池60で発生する熱は、燃料電池60を冷却する冷却水(不図示)を媒体として、例えば貯湯タンク(不図示)に蓄えられ、必要に応じて給湯や暖房等の熱負荷において消費される。貯湯タンク(不図示)には、蓄えられている温水の再加熱(炊き上げ)を行う加熱装置(不図示)が設けられていてもよい。加熱装置(不図示)が作動するときは、燃料電池60の冷却水温度が許容値以上となる場合があるため、燃料電池60の発電(ひいては改質器10における改質ガスgの生成)を速やかに停止させることが好ましい。したがって、加熱装置(不図示)が作動したことは、自然冷却に優先して強制冷却を行う事情と捉えることができるため、加熱装置(不図示)が設けられた場合は強制冷却起動検出器としての加熱装置作動検出器(不図示)を併せて設けることが好ましい。燃料電池60で発生した熱を有効利用することにより、燃料電池システム100の効率が向上することとなる。
また、貯湯タンク(不図示)内の水(温水)によって、燃料電池60を冷却する冷却水(不図示)を、燃料電池60の運転の継続ができるように冷却することができなくなった場合も、自然冷却に優先して強制冷却を行う事情が発生したこととなる。貯湯タンク(不図示)内の水によって冷却水(不図示)を冷却することができなくなった場合の例としては、貯湯タンク(不図示)内の水を抜く必要が生じた場合や、給湯や暖房等の熱を利用する側において異常が発生して貯湯タンク(不図示)に蓄えられた熱を利用することができなくなった場合等が挙げられる。例えば、貯湯タンク(不図示)から導出された温水と暖房に用いられる空気との熱交換を行う暖房熱交換器(不図示)において流体(温水又は空気)のリークが発生したときは、暖房熱交換器(不図示)への温水の供給を停止して暖房熱交換器(不図示)のメンテナンスを行うことになるが、暖房熱交換器(不図示)への温水の供給を停止すると貯湯タンク(不図示)内の温度が下がらずに燃料電池60の冷却水温度が許容値以上となる場合がある。燃料電池60の冷却水温度が許容値以上となると、燃料電池60を冷却することができなくなって発電の継続ができなくなるため、燃料電池60の発電、ひいては改質器10における改質ガスgの生成を速やかに停止させることが好ましい。このように、燃料電池システム100の運転を継続しがたい異常(例えば、貯湯タンク(不図示)内の水を抜いてメンテナンスを行う必要があるような異常や、給湯や暖房等の熱を利用する側の機器等の2次側機器(不図示)における異常)が発生した場合は、強制冷却を行うことが好ましい。このとき、2次側機器(不図示)において燃料電池システム100の運転を継続しがたい異常が発生したことを検出する強制冷却起動検出器としての2次側機器異常検出器(不図示)を併せて設けることが好ましい。なお、異常検出手段49が2次側機器異常検出器(不図示)を兼ねていてもよい。
燃料電池60の作動中、アノード61からはアノードオフガスpが排出される。排出されたアノードオフガスpは、改質器10の燃焼部11に導かれ、燃焼燃料fとして燃焼させられる。つまり、アノード61から排出されたアノードオフガスpは、アノードオフガス管69、燃焼燃料管59を経由して空気燃料導入管29からバーナー12に流入する。燃焼部11におけるアノードオフガスpの燃焼により、改質部21における改質に用いる改質熱を発生させることができる。
次に図3のフローチャートを併せて参照して、燃料電池システム100の停止時の作用を説明する。図3のフローチャートに示される例では、燃料電池システム100は、停止時における改質器10の冷却方式が自然冷却であるか強制冷却であるかが操作パネル45を介してあらかじめ入力されている。自然冷却が指定されている場合は、燃料電池システム100を停止する旨の指令が制御装置70に入力されると、アノードオフガス遮断弁89を閉にして(燃焼燃料fとして原料ガスrがバーナー12に供給されている場合は燃焼用原料遮断弁39を併せて閉にして)バーナー12への燃焼燃料fの供給を停止し、バーナー12の燃焼を停止する(ST1)。併せて、酸化剤ガスブロワ64を停止すると共に遮断弁(不図示)を閉にすることにより、酸化剤ガスtがカソード62に供給されないようにする。これにより、燃料電池60の固体高分子膜の乾燥を防ぐと共に触媒の酸化を防いで、燃料電池60の性能低下を防いでいる。また、各ブロワ31、32、33及び水ポンプ34を停止すると共に水遮断弁35、原料ガス遮断弁36、選択酸化空気遮断弁37、改質ガス遮断弁38を閉にして、改質器10への水s、原料ガスr、選択酸化空気cの供給を停止する(ST2)。これにより、改質器10の改質部21及び一酸化炭素低減部22が準改質ガスj等(改質器10で原料ガスrが改質されて生成されたガスであり、準改質ガスj、変成ガスh、改質ガスgのいずれか、又はこれらの混合ガス)で密封される(ST3)。なお、改質器10の停止時に改質器10の内部に封入される改質ガスとは、改質ガスgのみならず準改質ガスj、変成ガスhを含む概念である(一酸化炭素濃度にかかわらず改質用原料が改質されたガスの意)。このように、改質部21及び一酸化炭素低減部22を、準改質ガスj等で封入してその外部よりも正圧にすることにより、改質部21及び一酸化炭素低減部22への外気の侵入を防ぎ、改質触媒、変成触媒、選択酸化触媒が酸素に触れることに起因して劣化することを防いでいる。なお、燃料電池システム100の停止時は、改質ガス遮断弁88も閉にする。自然冷却では、強制冷却に比べて改質器10の温度低下が小さいので、次回燃料電池システム100を起動するときに定常運転時の温度まで昇温するのに要する時間及びエネルギー(燃料)が少なくて済み、燃料電池システム100が発電可能となるまでに要する時間も短くなる。
他方、強制冷却が指定されている場合は、燃料電池システム100を停止する旨の指令が制御装置70に入力されると、改質熱の発生を停止し(ST1)、改質部21への改質ガスrの供給を停止し(ST2)、改質部21を準改質ガスj等で封入する(ST3)ことは自然冷却の場合と同様であるが、以下の点で自然冷却の場合と異なっている。すなわち、強制冷却の場合は、改質部21を準改質ガスj等で封入(ST3)した後に燃焼室13に燃焼空気aを供給することにより改質部21を強制的に冷却する(ST4)。冷却工程(ST4)では、バーナー12への燃焼燃料fの供給が停止されているので、燃焼室13に供給された燃焼空気aはそのまま冷却流体流路としての排ガス流路16を流れて改質器10外へ排出される。燃焼空気aは典型的には外気であるので、停止直後の改質部21の温度(約600℃前後)に比べて著しく温度が低い。したがって、燃焼空気aを排ガス流路16に流すことにより、改質器21の温度が低下するまでの時間(改質器10の停止からメンテナンスが可能となるまでの時間)を自然冷却の場合に比べて短縮することができる。
なお、改質器10が強制冷却されるのは、操作パネル45を介してあらかじめ強制冷却が選択されていた場合以外に、改質器10の運転中であっても直ちに強制冷却に移行させるボタン(不図示)をユーザーが押したことにより操作パネル45を介して強制冷却が選択された場合、異常検出手段49が改質器10又は燃料電池60の異常を検出した場合、加熱装置作動検出器(不図示)が加熱装置(不図示)の作動を検出した場合も起こりうる。つまり、操作パネル45を介してあらかじめ自然冷却が選択されていたとしても、ユーザーによって直ちに強制冷却に移行させるボタン(不図示)が押された場合、異常検出手段49が改質器10又は燃料電池60の異常を検出した場合、加熱装置作動検出器(不図示)が加熱装置(不図示)の作動を検出した場合は異常が発生した旨の信号が制御装置40に送信されて強制冷却(ST4)が行なわれる。
ところで、定常運転時の改質器10の温度は上述したような温度(例えば改質部21で約550℃〜800℃)であるが、燃料電池システム100の停止に伴い改質器10が停止すると、改質器10の温度が低下する。改質器10の温度が低下すると改質部21及び一酸化炭素低減部22の圧力が低下し、許容値以上の負圧になると外気が侵入して各部21、22の触媒、特に変成触媒が劣化することとなる。これを防ぐために、改質部21及び一酸化炭素低減部22の圧力が所定の圧力以下の場合に、原料ガス遮断弁36を開けて原料ガスブロワ31を起動し、改質部21に原料ガスrを導入して圧力低下を防ぐとよい。原料ガスrを用いて改質部21等を正圧に維持するようにすると、他のガスを用いる場合に必要となる特別な設備が不要となり、システムを簡略化することができる。しかしながら、改質部21が高温の状態で炭化水素系の原料ガスrを導入すると炭化水素が熱分解されて炭素が析出し、改質器10の性能が低下することとなる。このような不都合を回避するため、制御装置40は以下のような制御を行う。
以降の図3についての説明は自然冷却の場合及び強制冷却の場合共通である。自然冷却の場合は改質部21を準改質ガスj等で封入(ST3)した後に、強制冷却の場合は改質部21の強制冷却(ST4)が開始した後に、制御装置40は温度センサ42により改質部21の温度を随時検出し、圧力センサ41により改質部21の圧力を随時検出する(ST5)。温度センサ42及び圧力センサ41による改質部21の温度及び圧力の検出(ST5)は、改質器10の停止直後から、あるいは改質器10の定常運転時から随時検出するようにしてもよい。
改質部21の温度及び圧力を検出したら(ST5)、制御装置40は改質部21の温度が所定の温度以下であるか否かを判断する(ST6)。所定の温度は、原料ガスrが熱分解をする温度をやや下回る温度(原料ガスrが熱分解する温度に余裕分を見込んだ温度)であり、例えば400℃である。所定の温度以下となっていなければ、改質部21の温度及び圧力の随時の検出(ST5)、並びに改質部21の温度が所定の温度以下であるか否かの判断(ST6)を続ける。他方、所定の温度以下の場合、制御装置40は、原料ガスブロワ31を起動すると共に原料ガス遮断弁36、改質ガス遮断弁38、パージ弁99を開にして改質器10内に封入されている準改質ガスj等を原料ガスrで置換し、置換したら原料ガス遮断弁36、改質ガス遮断弁38、パージ弁99を閉にすることで改質器10内に原料ガスrを封入する(ST7)。
改質器10内に準改質ガスj等が封入されている状態のときは、温度低下に伴って改質器10内に残存する水蒸気が結露することがある。結露した水蒸気が改質器10内の触媒に付着すると、次回改質器10を起動して昇温したときに触媒に付着した結露水が蒸発し、この蒸発によって触媒が粉化する可能性がある。しかし、改質器10内に封入されている準改質ガスj等を原料ガスrで置換することにより、改質器10内で水蒸気が結露することを回避することができる。改質器10内に封入されている準改質ガスj等を原料ガスrで完全に置換し、改質器10内に原料ガスrを封入したら、ユーティリティの供給の遮断が可能になるが、本実施の形態では、さらなる温度低下に伴う圧力低下に起因して改質器10内に外気が侵入することを回避するため、以下の制御を続行する。
その後制御装置40は、改質器10の内部圧力が所定の圧力以下であるか否かを判断する(ST8)。ここで、所定の圧力は、改質部21及び一酸化炭素低減部22への外気の侵入が生じない圧力に余裕分を見込んだ圧力であり、例えば15kPa(ゲージ圧)あるいは20kPa(ゲージ圧)である。水遮断弁35、原料ガス遮断弁36、選択酸化空気遮断弁37、改質ガス遮断弁38のシール性が優れていること等により許容される場合には、所定の圧力は負圧(例えば−20kPa(ゲージ圧)程度まで)であってもよい。所定の圧力以下でなければ、改質器10の内部圧力が所定の圧力以下であるか否かを判断する工程(ST8)に戻る。他方、所定の圧力以下の場合、制御装置40は、原料ガスブロワ31を起動すると共に原料ガス遮断弁36を開にして、改質部21に原料ガスrを圧送する(ST9)。そして、制御装置40は、圧力センサ41からの信号により改質部21の内部圧力が昇圧したか否かを判断する(ST10)。昇圧していなければ改質部21への原料ガスrの圧送(ST9)を続ける。他方、昇圧していれば、改質器10の内部圧力が所定の圧力以下であるか否かを判断する工程(ST8)に戻って以降の工程を続ける。上述の、改質器10の内部圧力を所定の圧力以上に維持する工程(ST8〜10)においては、改質器10内に原料ガスrが封入されている(される)ので、適切な時期(例えば改質器10の温度が低下しても外気の侵入が生じるほどに内部圧力が低下することがないと判断される時期)にユーティリティの供給の遮断をしてもよい。
なお、以上の説明では、改質器10内に封入されている準改質ガスj等を原料ガスrで置換する(ST7)際に、改質ガス遮断弁38及びパージ弁99を開にしてそれまで改質器10内に封入されていた準改質ガスj等を系外に排出することとしたが、準改質ガスj等をそのまま系外に排出しないようにすることもできる。この場合、パージ管98及びパージ弁99を設けなくてもよい。準改質ガスj等をそのまま系外に排出しないようにするには、例えば、改質器10内に封入されていた準改質ガスj等を燃焼部11に導いて燃焼させればよい。ただし、準改質ガスj等を燃焼部11で燃焼させると改質部21の温度が上昇し、改質部21の温度が400℃を超えると、置換した原料ガスrの炭化水素成分が熱分解するおそれがあるため、封入していた準改質ガスj等を燃焼部11で燃焼させても改質部21の温度が400℃を超えないような改質部21の温度(例えば170℃程度)を工程(ST6)における所定の温度に設定するとよい。
以上説明したように、本発明に係る改質器10によれば、特別な設備を設けることなく改質部21及び一酸化炭素低減部22の内圧の低下を防ぐことができ、改質器10の劣化を防ぐことができる。このような改質器10を備えた本発明に係る燃料電池システム100は、耐久性に優れた燃料電池システム100となる。
以上の説明では、改質用原料が原料ガスrであるとしたが、液体の原料を改質用原料として用いてもよい。この場合、改質効率の観点から、気化器を備えて液体の改質用原料を改質部21に導入する前に気化することが好ましい。
以上の説明では、加熱部がバーナー12を有する燃焼部11であるとしたが、バーナー12に代えて電気ヒータを設け、電気ヒータにより改質熱を発生させるようにしてもよい。しかしながら、バーナー12とすると、排ガス流路16を冷却流体流路と兼用することができて改質器10の小型化を図ることができると共に、改質熱を発生させるのに必要なエネルギー単価も少なくて済むので好ましい。
以上の説明では、改質器10を停止するときの強制冷却の際の冷却流体として燃焼空気aを用いるとしたが、他の用途の空気や空気以外のガスを用いてもよく、あるいは冷却流体として水等の液体を用いてもよい。以下に図4を参照して冷却流体として水を用いた改質器を説明する。
図4は、本発明の第3の実施の形態に係る改質器10Aの模式的系統図である。改質器10Aと改質器10(図1参照)との主な相違点として、改質器10Aには、改質器10(図1参照)における水管25(図1参照)に相当する部材の構成と、排ガス流路16(図1参照)に代えて選択酸化部24の近傍を通過しない排ガス流路16Aが設けられている点が挙げられる。改質器10Aでは、水管25(図1参照)に代えて水管83が設けられている。水管83は、内部に冷却流体としての水wを流す流路である。水管83は、改質部21に隣接する部分を通り、次に変成部23に隣接する部分を通り、次に選択酸化部25に隣接する部分を通るように配設されている。ここで「隣接する」とは、当該隣接する部位(改質部21等)と水管83内の水wとの間で熱の授受がある程度の近さで両者が配置されていることをいう。水管83は、当該隣接する部位と水wとの交換熱量を増やすために、当該部位と隣接する部分で蛇行するように配設してもよい。交換熱量の増加という趣旨に鑑み、水管83を例えば渦巻状に配設することも蛇行の概念に含まれることとする。また、当該部位と隣接する部分における伝熱面積を増加するために、当該部位と隣接する部分の水管83をジャケット(熱交換器)などのように流路面積を大きく構成したものも「流路」の概念に含まれることとする。
水管83の、改質部21に隣接して配設された部分から変成部23への方向とは逆の方向に延びた先の端部は、改質用の水sを改質部21に導く改質用水管85に接続されている。換言すれば、水管83と改質用水管85とは、接続点J1で接続されている。改質用水管85の接続点J1とは反対側の端部は、改質部21に接続されている。改質用水管85には、改質用水sの流れを遮断可能な開閉弁85vが挿入配置されている。開閉弁85vは、制御装置40と信号ケーブルで接続されており、制御装置40からの信号を受信して弁の開閉をすることができるように構成されている。
また、接続点J1には、内部に水wを流す強制冷却水管82が接続されている。強制冷却水管82は、接続点J1とは反対側の端部で、水管83の選択酸化部25に隣接して配設された部分から変成部23への方向とは逆の方向に延びた先の端部と接続されている。換言すれば、強制冷却水管82と水管83とは、接続点J2で接続されている。強制冷却水管82には、水wの流れを遮断可能な開閉弁82vが挿入配置されている。接続点J2と選択酸化部25に隣接する部分との間の水管83には、水wの流れを遮断可能な開閉弁83vが挿入配置されている。開閉弁82v及び開閉弁83vは、それぞれ制御装置40と信号ケーブルで接続されており、それぞれ制御装置40からの信号を受信して弁の開閉をすることができるように構成されている。
また、接続点J2には、系外から強制冷却水管82及び水管83に水wを導く水供給管55が接続されている。水ポンプ34は制御装置40から信号を受信して強制冷却水管82又は水管83への水wの導入量を調節することができるように構成されている。選択酸化部25に隣接する部分と接続点J2との間の水管83には、水wを改質器10外へ導出する冷却水導出管84が接続されている。冷却水導出管84には、水wの流れを遮断可能な開閉弁84vが挿入配置されている。開閉弁84vは、制御装置40と信号ケーブルで接続されており、制御装置40からの信号を受信して弁の開閉をすることができるように構成されている。
制御装置40は、上述の改質器10(図1参照)に設けられた場合の構成のほか、各開閉弁82v、83v、84v、85vのそれぞれに、弁の開度(全開及び全閉を含む)を調節する開度信号を送信する。また、制御装置40は、水ポンプ34に対し、流体(水w)の流量を調節する流量調節信号を送信する。
改質器10Aは以下のように作用する。なお、本実施の形態では、冷却流体及び改質用の水を共に水としている。したがって、両者は物質としては同じものであるが、その機能に着目して、水が冷却流体として作用しているときは水wと、改質用原料rの改質に用いる水として作用しているときは水sと呼称している。定常運転(改質ガスgの生成を行う運転)の際は、制御装置40は開閉弁82v、84vを閉にし、開閉弁83v、85vを開にして、水sを改質部21に供給する。このとき水sは、選択酸化部24に隣接する部分、変成部23に隣接する部分、改質部21に隣接する部分を順に流れて改質部21に導入される。次に改質器10Aを停止する際、自然冷却が行なわれる場合は制御装置40は開閉弁82v、83v、84v、85vを閉にし、さらに水ポンプ34も停止する。
他方、強制冷却が行なわれる場合、制御装置40は、開閉弁83v、85vを閉にすると共に、開閉弁82v、84vを開にして、水wを水管83に供給する。このとき水wは、改質部21に隣接する部分、変成部23に隣接する部分、選択酸化部24に隣接する部分を順に流れ、冷却水導出管84を介して改質器10A外に排出される。このように、冷却流体を水wとしても強制冷却を行うことができる。