JP4550407B2 - 廃芳香族ポリカーボネート樹脂から芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を得る方法 - Google Patents
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Description
1.廃芳香族ポリカーボネート樹脂を有機溶媒に溶解し、この有機溶媒溶液をろ過して、その濾液中のポリカーボネート樹脂をアルカリ金属水酸化物水溶液の存在下に分解し、分解後の反応溶液を有機溶媒相とアルカリ水溶液相とに分液し、得られたアルカリ水溶液とハロゲン化炭化水素溶剤とを接触させた後、アルカリ水溶液とハロゲン化炭化水素溶剤とに分液し、アルカリ水溶液を回収することを特徴とする精製された芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を得る方法。
6.前項1〜5のいずれか1項に記載の方法により得られた芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を、あるいは芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液から回収した芳香族ジヒドロキシ化合物固型分を芳香族ポリカーボネートの製造工程に用いる芳香族ポリカーボネートの製造方法。
が提供される。
本発明において、使用される廃芳香族ポリカーボネートは、界面重合法や溶融重合法等公知の方法で製造されたものでよく、分子量は粘度平均分子量で1000〜100000のものが好ましく、10000〜30000のものが特に好ましい。廃芳香族ポリカーボネートの形状はパウダー、ペレット、シート、フィルム、成形品等特に限定されない。また、分解に用いられる廃芳香族ポリカーボネートとして、ポリカーボネート製造途中に目標とする分子量に到達せず、パウダーあるいはペレット化されなかったポリカーボネートの溶液から溶媒を除去し、乾燥した固形物でもよい。本発明では、特にCD、CD−R、DVD等の光ディスクにおいて、廃棄されたものや成形不良のものなど不要になった廃光ディスクが好ましく使用される。ここで、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(M)は塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液から求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたものである。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−4M0.83
c=0.7
前記有機溶媒としては25℃における芳香族ポリカーボネート樹脂の溶解度が50g/L以上である溶媒が好ましく、具体的にはジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、ジクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素化合物溶媒が好ましく、ジクロロメタン、ジクロロエタンまたはクロロホルムがより好ましく、ジクロロメタン(塩化メチレン)が特に好ましく用いられる。これらの溶媒は芳香族ポリカーボネート樹脂の良溶媒で、芳香族ポリカーボネート樹脂の製造工程に反応溶媒として用いられており、分解して得られた芳香族ジヒドロキシ化合物にこれらの有機溶媒が残留していても、芳香族ポリカーボネート樹脂の製造に悪影響を及ぼさない利点がある。
ポリカーボネート樹脂ペレットを射出成形機(日本製鋼所(株)製:日鋼アンカー V−17−65型)を用い、シリンダー温度340℃で、厚さ2mmの50mm角板を成形した。その成形板を色差計(日本電色(株)製)を用いてb値を測定した。
ポリカーボネート樹脂ペレットを射出成形機(日本製鋼所(株)製:日鋼アンカー V−17−65型)を用い、シリンダー温度340℃で10分間滞留させたものとさせないものの試験片(厚さ2mmの50mm角板)をそれぞれ作成し、その色相の変化(△E)を測定した。色相の変化は、色差計(日本電色(株)製)でそれぞれのL、a、b値を測定し、下記式を用いて算出した。ΔEは値が小さいほどが熱安定性に優れる。
ΔE=[(L′−L)2+(a′−a)2+(b′−b)2]1/2
(L、a、bは滞留させないもの、L′、a′、b′は10分間滞留させたもの)
ビスフェノールAアルカリ水溶液を0.1〜0.5重量%になるように水酸化ナトリウム水溶液で薄め、UV計で波長294nmで吸光度を測定し、あらかじめ作成した検量線によりアルカリ水溶液中のビスフェノールA濃度を測定した。
Waters社製高速液体クロマトグラフィを用い、サンプル(有機物)0.2gに内部標準としてo−クレゾールを添加したアセトニトリル1mLを加え、溶解し、アセトニトリル/0.2%酢酸水溶液を展開溶媒としてクロマトグラフを得、あらかじめ作成した検量線により、ビスフェノールAの純度を求めた。
攪拌槽に市販のコンパクトディスク100部と塩化メチレン600部を投入し、6時間攪拌した。コンパクトディスクの膜は、ポリカーボネートの塩化メチレン溶液中に分散していた。この溶液を目開き10μmのセルロース製フィルタを取り付けたろ過器(アドバンテック製)に通し、コンパクトディスクの膜(印刷、UV硬化樹脂、アルミ膜等)を除去した。温度計、撹拌機及び還流冷却器、水浴付き反応器に、該ポリカーボネートの塩化メチレン溶液264部(ドープ濃度14.2%)、50%水酸化ナトリウム水溶液71部、ハイドロサルファイトナトリウム0.6部を投入し、攪拌した。その後、水浴温度を40℃に調節したところ、8分後に激しく還流が始まり、20分後には激しさは収まった。反応5時間後、内部は固体が析出しており、固体を一部取り分析したところ、ビスフェノールAナトリウム塩と炭酸ナトリウムであった。水浴の温度調節を止めて、337.5部の純水を投入し、1時間攪拌を継続して固体を溶解した。
実施例1において、分離した水相455部に塩化メチレン182部を加え1時間激しく攪拌混合した後、静置し、水相と塩化メチレン相と分離する以外は実施例1と同様の操作を行ない固体のビスフェノールAを得た。このビスフェノールA純度を測定したところ99.8%であった。
実施例1において、分離した水相455部に塩化メチレン320部を加え1時間激しく攪拌混合した後、静置し、水相と塩化メチレン相と分離する以外は実施例1と同様の操作を行ない固体のビスフェノールAを得た。このビスフェノールA純度を測定したところ99.8%であった。
実施例1において、ポリカーボネートの分解後の溶液に337.5部の純水を投入し、1時間攪拌を継続して固体を溶解した反応混合物を、温度計、撹拌機及び還流冷却器付き容器に移し、攪拌しながら98%濃硫酸36.1部を滴下ロートを使用し1時間かけて滴下する(塩化メチレンによる洗浄なし)以外は実施例1と同様の操作を行ない固体のビスフェノールAを得た。このビスフェノールA純度を測定したところ98.8%であった。
(A)温度計、撹拌機、還流冷却器、循環器付き反応器に、イオン交換水650部、25%水酸化ナトリウム水溶液252部を仕込み、これに実施例1で得られたビスフェノールA170部、塩化メチレン13部およびハイドロサルファイト0.34部を加え、循環しながら温度を30℃に保持し40分間で溶解し、ビスフェノールA水溶液を調合した。
実施例4において、(A)で使用するビスフェノールAとして実施例2で得られたビスフェノールAを使用した以外は、実施例4と同様な操作をして、ペレットを得た。得られたペレットを成形して、色相と熱安定性を評価し、その結果を表1に示した。
実施例4において、(A)で使用するビスフェノールAとして実施例3で得られたビスフェノールAを使用した以外は、実施例4と同様な操作をして、ペレットを得た。得られたペレットを成形して、色相と熱安定性を評価し、その結果を表1に示した。
実施例4において、(A)で使用するビスフェノールAとして比較例1で得られたビスフェノールAを使用した以外は、実施例4と同様な操作をして、ペレットを得た。得られたペレットを成形して、色相と熱安定性を評価し、その結果を表1に示した。
Claims (6)
- 廃芳香族ポリカーボネート樹脂を有機溶媒に溶解し、この有機溶媒溶液をろ過して、その濾液中のポリカーボネート樹脂をアルカリ金属水酸化物水溶液の存在下に分解し、分解後の反応溶液を有機溶媒相とアルカリ水溶液相とに分液し、得られたアルカリ水溶液とハロゲン化炭化水素溶剤とを接触させた後、アルカリ水溶液とハロゲン化炭化水素溶剤とに分液し、アルカリ水溶液を回収することを特徴とする精製された芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を得る方法。
- 廃芳香族ポリカーボネート樹脂を有機溶媒に溶解し、この有機溶媒溶液をろ過して、その濾液中のポリカーボネート樹脂をアルカリ金属水酸化物水溶液の存在下に分解し、分解後の反応溶液に水を加えて析出した固型分を溶解させ、有機溶媒相とアルカリ水溶液相とに分液し、得られたアルカリ水溶液とハロゲン化炭化水素溶剤とを接触させた後、アルカリ水溶液とハロゲン化炭化水素溶剤とに分液し、アルカリ水溶液を回収することを特徴とする精製された芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を得る方法。
- 前記ハロゲン化炭化水素溶剤が、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタンまたはジクロロエチレンである請求項1または請求項2記載の精製された芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を得る方法。
- 前記ハロゲン化炭化水素溶剤の使用量が、アルカリ水溶液100重量部に対して5〜100重量部である請求項1または請求項2記載の精製された芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を得る方法。
- 前記廃芳香族ポリカーボネート樹脂が、廃光ディスクである請求項1または請求項2記載の精製された芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を得る方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法により得られた芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を、あるいは芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液から回収した芳香族ジヒドロキシ化合物固型分を芳香族ポリカーボネートの製造工程に用いる芳香族ポリカーボネートの製造方法。
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