JP4567397B2 - 廃芳香族ポリカーボネートから芳香族ジヒドロキシ化合物を得る方法 - Google Patents
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Description
1.廃芳香族ポリカーボネートを、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタンおよびジクロロエチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種のハロゲン化炭化水素化合物溶媒ならびに水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カリウムからなる金属水酸化物触媒の存在下、炭素数1〜4のアルコールでエステル交換により分解し、分解後の反応混合液に液温を0〜70℃の範囲に保持しながら塩酸、硫酸、硝酸およびリン酸の水溶液からなる群より選ばれた少なくとも一種の無機酸水溶液を加えて中和し、有機溶媒相と水溶液相とを分液して有機溶媒相を回収し、回収した有機溶媒相から固体の芳香族ジヒドロキシ化合物を得ることを特徴とする廃芳香族ポリカーボネートから芳香族ジヒドロキシ化合物を得る方法。
が提供される。
本発明において、使用される廃芳香族ポリカーボネートは、界面重合法や溶融重合法等公知の方法で製造されたものでよく、分子量は粘度平均分子量で1000〜100000のものが好ましい。廃芳香族ポリカーボネートの形状はパウダー、ペレット、シート、フィルム、成形品等特に限定されない。例えば、CD、CD−R、DVD等の光ディスクにおいて、廃棄されたものや成形不良のものなど不要になった廃光ディスクをそのままあるいは印刷膜や金属膜を剥離し除去したものを分解に使用することもできる。また、分解に用いられる廃芳香族ポリカーボネートとして、ポリカーボネート製造途中に目標とする分子量に到達せず、パウダーあるいはペレット化されなかったポリカーボネートの溶液から溶媒を除去し、乾燥した固形物でもよい。ここで、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(M)は塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液から求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたものである。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−4M0.83
c=0.7
(1)色相(b値)
ポリカーボネート樹脂ペレットを射出成形機(日本製鋼所(株)製:日鋼アンカー V−17−65型)を用い、シリンダー温度340℃で、厚さ2mmの50mm角板を成形した。その成形板を色差計(日本電色(株)製)を用いてb値を測定した。
ポリカーボネート樹脂ペレットを射出成形機(日本製鋼所(株)製:日鋼アンカー V−17−65型)を用い、シリンダー温度340℃で10分間滞留させたものとさせないものの試験片(厚さ2mmの50mm角板)をそれぞれ作成し、その色相の変化(△E)を測定した。色相の変化は、色差計(日本電色(株)製)でそれぞれのL、a、b値を測定し、下記式を用いて算出した。
ΔE=[(L′−L)2+(a′−a)2+(b′−b)2]1/2
(L、a、bは滞留させないもの、L′、a′、b′は10分間滞留させたもの)
Waters社製高速液体クロマトグラフを用い、サンプル(有機物)0.2gに内部標準としてo−クレゾールを添加したアセトニトリル1mLを加え、溶解し、アセトニトリル/0.2%酢酸水溶液を展開溶媒としてクロマトグラフを得、あらかじめ作成した検量線により、ビスフェノールAの純度を求めた。
Metrohm社製カールフィッシャー水分測定器を用い、サンプル2gを投入して測定した。
温度計、撹拌機、還流冷却器及び水浴付き反応器に、固体の水酸化ナトリウム4部(芳香族ポリカーボネートのカーボネート結合に対し20モル%)、メタノール80部(芳香族ポリカーボネートのカーボネート結合1モルに対し5モル)を投入し、25℃で攪拌して溶解した。次に、酸化防止剤としてハイドロサルファイトナトリウム2部、塩化メチレン200部、市販のCD−Rを約2cm角の大きさにカッターで切断し、攪拌しながら5分間超音波処理して膜をはがした樹脂基板(主成分ビスフェノールAポリカーボネート樹脂、粘度平均分子量15200、青色色素を含む)127部を投入し、25℃で攪拌を継続した。投入直後は樹脂が団子状態になっていたが、内部の温度が上昇するにつれて固形分が溶解し、攪拌10分後に完全に溶解した。ここで、系内の濃度を測定するため溶液の一部をサンプリングして水分量を測定したところ、0.05重量%であった。その後、内温を85℃にするため、水浴を調節した。樹脂投入から2時間後、反応混合物中のカーボネートオリゴマーを1H−NMRで分析したところ、カーボネートオリゴマーのピークが完全に消失しており、メタノール/ジメチルカーボネートのピーク面積比が1.5であり理論量のジメチルカーボネートが生成していることを確認できたので、水浴温度を下げ40まで冷却した後、0.5mol/L塩酸水溶液202部投入し、中和して分解反応を停止させた。塩酸投入後の温度は41℃であった。また、水相はpH7であった。
実施例1において、カーボネートオリゴマーのピークが完全に消失したことを確認後、水浴温度を下げずに85℃のまま、0.5mol/L塩酸水溶液202部投入し、中和して分解反応を停止させた(塩酸投入後の温度は87℃、水相はpH7)以外は実施例1と同様の操作を行い固体のビスフェノールAを得た。ビスフェノールAの純度は99.3%であった。
(A)温度計、撹拌機、還流冷却器、循環器付き反応器に、イオン交換水650部、25%水酸化ナトリウム水溶液252部を仕込み、これに購入した市販のビスフェノールA170部、塩化メチレン13部およびハイドロサルファイト0.34部を加え、循環しながら温度を30℃に保持し40分間で溶解し、ビスフェノールA水溶液を調製した。
参考例1(A)において、市販のビスフェノールAの代わりに、実施例1で得られたビスフェノールAを使用する以外は、参考例1と同様な操作を行いペレットを得た。得られたペレットを成形して、色相および熱安定性を評価し、その結果を表1に示した。
参考例1(A)において、市販のビスフェノールAの代わりに、比較例1で得られたビスフェノールAを使用する以外は、参考例1と同様な操作を行いペレットを得た。得られたペレットを成形して、色相および熱安定性を評価し、その結果を表1に示した。
Claims (3)
- 廃芳香族ポリカーボネートを、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタンおよびジクロロエチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種のハロゲン化炭化水素化合物溶媒ならびに水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カリウムからなる金属水酸化物触媒の存在下、炭素数1〜4のアルコールでエステル交換により分解し、分解後の反応混合液に液温を0〜70℃の範囲に保持しながら塩酸、硫酸、硝酸およびリン酸の水溶液からなる群より選ばれた少なくとも一種の無機酸水溶液を加えて中和し、有機溶媒相と水溶液相とを分液して有機溶媒相を回収し、回収した有機溶媒相から固体の芳香族ジヒドロキシ化合物を得ることを特徴とする廃芳香族ポリカーボネートから芳香族ジヒドロキシ化合物を得る方法。
- 前記ハロゲン化炭化水素化合物は、ジクロロメタン、ジクロロエタンまたはクロロホルムである請求項1記載の廃芳香族ポリカーボネートから芳香族ジヒドロキシ化合物を得る方法。
- 請求項1記載の方法で廃芳香族ポリカーボネートから芳香族ジヒドロキシ化合物を得、得られた芳香族ジヒドロキシ化合物を芳香族ポリカーボネートの製造原料として用いる芳香族ポリカーボネートの製造方法。
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