JP4558435B2 - 芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を得る方法および有機溶媒を回収する方法 - Google Patents

芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を得る方法および有機溶媒を回収する方法 Download PDF

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Description

本発明は、廃芳香族ポリカーボネート樹脂有機溶液中のポリカーボネート樹脂をアルカリ金属水酸化物水溶液により分解し、芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を得るとともに、発生する廃有機溶媒溶液から有機溶媒を回収する方法に関する。また、得られた芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液をポリカーボネートの製造工程の原料として使用する芳香族ポリカーボネートの製造方法に関する。
芳香族ポリカーボネート(以下、PCと略すことがある)は、優れた機械的性質、電気的性質、耐熱性、耐寒性、透明性等を有しており、建築材料用の透明シート、液晶テレビやプロジェクションテレビ用の拡散板あるいはレンズシート、レンズ、コンパクトディスク等の光ディスク、自動車部品、OA機器のシャーシー、カメラボディー等様々な用途に利用されている材料であり、その需要は年々増加している。これに伴って排出される廃PCの量も増加している。廃棄されるPC製品の多くは、一般のプラスチック同様に焼却や埋め立て等の方法で処理されている。しかしながら、これはPC等プラスチックの需要の増加から石油資源の枯渇を加速させるだけでなく、地球環境の悪化を招く。そこで、廃棄されたプラスチックを再利用(リサイクル)することが重要になってきた。
廃プラスチックをリサイクルする方法としては、(1)廃プラスチックを熱エネルギーとして回収するサーマルリサイクル、(2)廃プラスチックを製品にある割合で混合し、加工して製品とするマテリアルリサイクル、(3)廃プラスチックを化学的に分解してプラスチックの原材料として回収して、プラスチック製造に再利用するケミカルリサイクルがある。これらのうち、サーマルリサイクルはプラスチックを焼却して熱を取り出すので、二酸化炭素を生成し、本質的には地球環境を破壊し、資源を減少させていることになる。マテリアルリサイクルは、資源の消費や環境の負荷は一番少なく望ましいが、プラスチック自身の劣化は否めず、混合できる製品が限定され、混入できる割合が少なく、リサイクルできる量が限られるという問題がある。一方ケミカルリサイクルはプラスチックを原材料まで分解するので、新たなプラスチックの製造に利用され、元の製品を含め広範囲の用途に利用できるので、産業上有用なりリサイクル方法といえる。
PCをケミカルリサイクルする方法として、過剰のアルカリ水溶液で分解させ、中和して芳香族ジヒドロキシ化合物を生成する方法は昔から知られており、例えば特許文献1には、PCと1〜30%のアルカリ水溶液を耐圧容器に入れ、100℃以上、好ましくは150℃以上で加水分解後、酸性にした後メタノールに溶解し、活性炭処理して着色成分を除去後、再沈殿して白色ビスフェノールを得ている。特許文献2には、ポリカーボネートスクラップをバルクまたは溶液でケン化し、未ケン化の成分を分離し、ケン化混合物をホスゲン化し、まったく精製工程および処理工程なしでポリカーボネート重合工程に用いる方法が示されている。特許文献3には、アルカリ触媒存在下、PCをフェノールで分解し、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジアリールを回収する方法が示されている。また、特許文献4には、トルエン、キシレン、ベンゼンまたはジオキサン溶剤中で、少量のアルカリを触媒として、エステル交換反応を行い、炭酸ジアルキルと芳香族ジヒドロキシ化合物を得る方法が示されている。また、特許文献5には、PCを塩化アルキル、エーテル類または芳香族炭化水素系溶媒等の溶媒と触媒としての3級アミンの存在下、低級アルコールとエステル交換させて芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジアルキルを得る方法が提案されている。
しかしながら、特許文献1の方法は薄いアルカリ性水溶液を用いているので反応が高温になり、得られた芳香族ジヒドロキシ化合物の純度が低く、精製に大きな労力が必要となる。この方法では、高温でPCを分解反応させたために着色した芳香族ジヒドロキシ化合物が得られ、これを脱色させるために活性炭処理を用いるなど煩雑な操作が必要となる。特許文献2の方法は精製工程なしで重合反応に使用するので、プラスチックにほぼ必須である、添加剤、着色剤などをPC製造工程に混入することになり、製品品質に影響を及ぼす。また、末端停止剤が反応初期段階に混入することになるので、レンズやコンパクトディスク等の市場で求められているような精密な分子量制御は困難である。特許文献3〜5の方法は、炭酸ジアリールや炭酸ジアルキル等の副生成物が生成し、目的とする芳香族ジヒドロキシ化合物の分離回収工程が煩雑になる。また、いずれの文献においても発生する有機溶媒廃液から不純物を経済的に、且つ効率的に取り除き、有機溶媒を回収する方法については、何ら言及されていない。さらに、回収された有機溶媒を自工程内で再利用する事については全く記述されていない。
特公昭40−016536号公報 特開昭54−048869号公報 特開平06−056985号公報 特開平10−259151号公報 特開2002−212335号公報
本発明の第1の目的は、廃芳香族ポリカーボネートを安価で大量に処理し、高純度の芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を得るとともに、芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を得る際に発生する廃有機溶媒溶液から、廃液中に含有する不純物を経済的に且つ効率的に除去し、高純度の有機溶媒を回収する方法を提供することにある。
本発明の第2の目的は、廃有機溶媒溶液から回収した実質的に不純物が除去された有機溶媒を自工程内で再利用する方法を提供することにある。
本発明の第3の目的は、得られた芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を用いてCD等に使用できる高品質の芳香族ポリカーボネートを製造する方法を提供することにある。
本発明者は、前記目的を達成するために鋭意検討した結果、廃芳香族ポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液中のポリカーボネート樹脂をアルカリ金属水酸化物水溶液の存在下に分解して、芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を得る際に、発生する廃有機溶媒溶液から高純度の有機溶媒を回収する方法として、薄膜式蒸発濃縮機を使用して廃有機溶媒溶液を処理することにより、廃有機溶媒溶液中に含有する不純物を経済的に且つ効率的に取り除くことができることを見出した。また、回収した高品質の有機溶媒は廃芳香族ポリカーボネート樹脂溶液の溶媒として再利用できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、
1.廃芳香族ポリカーボネート樹脂を有機溶媒に溶解し、この有機溶媒溶液中のポリカーボネート樹脂をアルカリ金属水酸化物水溶液の存在下に分解して、分解後の反応溶液を有機溶媒相とアルカリ水溶液相とに分液し、(i)芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を得、且つ(ii)有機溶媒相は、薄膜式蒸発濃縮機により処理して有機溶媒を回収する方法。
2.廃芳香族ポリカーボネート樹脂を有機溶媒に溶解し、この有機溶媒溶液中のポリカーボネート樹脂をアルカリ金属水酸化物水溶液の存在下に分解して、分解後の反応溶液を有機溶媒相とアルカリ水溶液相とに分液し、芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を得る方法において、分液して得た有機溶媒相を薄膜式蒸発濃縮機により処理して有機溶媒を回収し、回収した有機溶媒を廃芳香族ポリカーボネート樹脂の分解反応の溶媒として再使用することを特徴とする廃芳香族ポリカーボネート樹脂から芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を得る方法。
3.使用するアルカリ金属水酸化物が、水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カリウムである前項1または2記載の方法。
4.使用する有機溶媒が、ジクロロメタン、ジクロロエタンおよびクロロホルムからなる群より選ばれる少なくとも1種の溶媒である前項1または2記載の方法。
5.前項1または2記載の方法により得られた芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液をポリカーボネート樹脂の製造原料として使用する芳香族ポリカーボネートの製造方法。
が提供される。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、使用される廃芳香族ポリカーボネート樹脂は、界面重合法や溶融重合法等公知の方法で製造されたものでよく、分子量は粘度平均分子量で1000〜100000のものが好ましく、10000〜30000のものが特に好ましい。廃芳香族ポリカーボネートの形状はパウダー、ペレット、シート、フィルム、成形品等特に限定されない。また、分解に用いられる廃芳香族ポリカーボネートとして、ポリカーボネート製造途中に目標とする分子量に到達せず、パウダーあるいはペレット化されなかったポリカーボネートの溶液から溶媒を除去し、乾燥した固形物でもよい。
ここで、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(M)は塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液から求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたものである。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−40.83
c=0.7
上記廃芳香族ポリカーボネート成形品の具体例としては、液晶ディスプレイや液晶テレビに使用されるポリカーボネート樹脂製光拡散板(紫外線吸収能を有する膜で被覆されたものも含む)や表面を保護膜で被覆されたポリカーボネート樹脂製窓ガラス、紫外線吸収能や耐擦傷性を有する保護膜で被覆されたポリカーボネート樹脂製眼鏡レンズ、耐擦傷性を有する保護膜で被覆された自動車用ポリカーボネート樹脂製ヘッドランプレンズ、耐擦傷性を有する保護膜で被覆されたオートバイ用ポリカーボネート樹脂製風防が挙げられる。また、他の具体例としては、CD、CD−R、DVD等の光ディスクであり、廃棄されたものや成形不良のものなど不要になった廃光ディスクをそのまま、あるいは印刷膜や金属膜を剥離し除去したもの等が挙げられる。
該ポリカーボネートは、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4′−ジヒドロキシジフェニル、1,4−ジヒドロキシナフタレン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−イソプロピル−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−フェニル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレン、α,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−o−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4′−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテルおよび4,4′−ジヒドロキシジフェニルエステル等のジヒドロキシ化合物の単独または2種以上の混合物から製造されたものである。
また、末端停止剤(分子量調節剤)としては、1価のフェノール化合物が好ましく用いられ、フェノール、p−クレゾール、p−エチルフェノール、p−イソプロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノール、p−シクロヘキシルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、2,4−キシレノール、p−メトキシフェノール、p−ヘキシルオキシフェノール、p−デシルオキシフェノール、o−クロロフェノール、m−クロロフェノール、p−クロロフェノール、p−ブロモフェノール、ペンタブロモフェノール、ペンタクロロフェノール、p−フェニルフェノール、p−イソプロペニルフェノール、2,4−ジ(1’−メチル−1’−フェニルエチル)フェノール、β−ナフトール、α−ナフトール、p−(2’,4’,4’−トリメチルクロマニル)フェノール、2−(4’−メトキシフェニル)−2−(4’’−ヒドロキシフェニル)プロパン等のフェノール類等の単独または2種以上の混合物が用いられる。
本発明において、まず、廃芳香族ポリカーボネート樹脂を有機溶媒に溶解し、この有機溶媒溶液中のポリカーボネート樹脂をアルカリ金属水酸化物水溶液の存在下に分解する工程が行われる。
この工程では、有機溶媒の存在下で芳香族ポリカーボネートの分解(解重合反応)が行われる。有機溶媒を使用すると分解反応が低温で進み易く好ましい。
前記有機溶媒としては25℃における芳香族ポリカーボネート樹脂の溶解度が50g/L以上である溶媒が好ましく、具体的にはジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、ジクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素化合物溶媒が好ましく、ジクロロメタン、ジクロロエタンまたはクロロホルムがより好ましく、ジクロロメタン(塩化メチレン)が特に好ましく用いられる。これらの溶媒は芳香族ポリカーボネート樹脂の良溶媒で、芳香族ポリカーボネート樹脂の製造工程に反応溶媒として用いられており、分解して得られた芳香族ジヒドロキシ化合物にこれらの有機溶媒が残留していても、芳香族ポリカーボネート樹脂の製造に悪影響を及ぼさない利点がある。
有機溶媒の使用量は、廃芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し40〜2000重量部が好ましく、200〜1000重量部の範囲がより好ましい。有機溶媒の使用量が40重量部より少ないと芳香族ポリカーボネート樹脂が十分に溶解せず不溶部が増え収量が低下し、2000重量部より多いと分解反応時に分解速度が低下し分解反応時間が長くなり、また溶媒の回収コストも高くなる。なお、光ディスク等の成形品はあらかじめ0.1〜2cm程度の大きさに粉砕し、この粉砕物を溶解すると溶解時間が短縮されるため好ましい。
芳香族ポリカーボネート樹脂を有機溶媒に溶解した有機溶媒溶液はそのまま分解反応に使用してもよく、あるいはろ過してその濾液を分解反応に使用してもよい。有機溶媒にポリカーボネート樹脂を溶解させた場合、有機溶媒に溶解しない不純物、例えば成型品中に含まれる添加剤、金属膜、コーティング剤、充填剤等をろ過し、除去することが可能である。除去しないで分解反応を行った場合、これらの不純物も分解され、芳香族ジヒドロキシ化合物金属塩水溶液に混入し、不純物分解物が混ざったままポリカーボネート製造工程に該水溶液を使用すると、製品のポリカーボネート樹脂の品質に悪影響を及ぼす可能性があるので、あらかじめ不溶物を除去することが好ましい。
前記芳香族ポリカーボネート樹脂を有機溶媒に溶解した有機溶媒溶液は、この溶液中のポリカーボネート樹脂をアルカリ金属水酸化物の存在下に分解させる。
ポリカーボネート樹脂の分解反応においてアルカリ金属水酸化物水溶液が使用される。アルカリ金属水酸化物として、調達コスト、水溶液の調整の容易さ等の点で、具体的には水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムが好ましく使用され、特に水酸化ナトリウムが好ましい。
アルカリ金属水酸化物の使用量は、ポリカーボネート樹脂のカーボネート結合1モルに対し4.1〜8.0モルが好ましい。使用量が4.1モルより少ないと分解反応が非常に遅く、8.0モルより多いとコストが高くなり、かつ、芳香族ジヒドロキシ化合物を単離、回収する際に使用する酸水溶液の量も多くなり、経済的に不利となる。
アルカリ金属水酸化物は水溶液の状態で使用する。アルカリ金属水酸化物の濃度は、35重量%〜55重量%が好ましい。35重量%より低いと分解速度が遅くなり、55重量%を超えるとアルカリ金属水酸化物が析出しスラリーになりやすく、スラリーになった場合かえって反応が遅くなる。
本発明において、分解反応を行う温度は30℃〜120℃が好ましく、30℃〜50℃がより好ましい。30℃未満の場合は分解反応時間が長くなり、処理効率が著しく劣ることがある。また、120℃を越えると、加熱のエネルギーが多く必要となり、さらに分解処理中に溶液の色が褐色に着色し易くなり、品質の良い芳香族ジヒドロキシ化合物の水溶液が得られなくなることがある。また、沸点以上においての反応は圧力容器が必要となり、設備費がかかり経済的に不利となる。
分解反応中に生成した芳香族ジヒドロキシ化合物は、塩基性条件下では酸化されやすいので、反応溶液中に酸化防止剤を添加することが好ましい。また、工程内の酸素濃度を不活性ガスにより、低減しておくことも有効である。
酸化防止剤として、重亜硫酸ナトリウム(Na)、亜硫酸ナトリウム(NaSO)、ハイドロサルファイトナトリウム(Na)等が挙げられる。これらを1種または2種以上混合して用いても差し支えない。酸化防止剤の使用量は芳香族ポリカーボネート100重量部に対し、0.05〜4.0重量部が好ましい。0.05〜4.0重量部の範囲であると酸化防止効果があり、また、コスト的に有利で、分解反応速度が低下せず好ましい。
不活性ガスの種類として、窒素、アルゴン等が挙げられる。窒素がコスト的に有利であり好ましい。
本発明における芳香族ポリカーボネート樹脂の分解反応は、界面反応であり、有機溶媒に溶解、または膨潤している芳香族ポリカーボネート樹脂がアルカリ金属水酸化物水溶液と攪拌され、界面で接触して分解される。この反応は不可逆であり、芳香族ポリカーボネート樹脂のカーボネート結合が切れ、芳香族ジヒドロキシ化合物金属塩と炭酸金属塩に分解する。
解重合反応後、生成する芳香族ジヒドロキシ化合物金属塩と炭酸金属塩が金属水酸化物水溶液に溶解せず、固型分として析出している場合は、解重合反応後の反応液に水を加えて析出した固型分を溶解させる。
解重合反応後の反応液に水を加えて析出した固型分を溶解させる工程では、解重合反応後の反応液に水を加えて攪拌し、析出した芳香族ジヒドロキシ化合物金属塩と炭酸金属塩を溶解させる。加える水の量は、完全に固型分が溶解する量以上を投入するが、多く投入しすぎると水溶液中の芳香族ジヒドロキシ化合物金属塩濃度が低下し、この水溶液を芳香族ポリカーボネート製造工程の原料として使用した場合に反応速度が低下し、またこの水溶液から芳香族ジヒドロキシ化合物を回収する場合に廃液を蒸留する際にコスト増となるので、完全に固体が溶解する量の最小量が好ましい。解重合反応後の反応液に水を加え析出した固型分を溶解させると有機溶媒相と芳香族ジヒドロキシ化合物金属塩の水溶液相(芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液相)との2つの相に分離する。
次に、有機溶媒相とアルカリ水溶液相とを分液する工程が行われる。この工程では有機溶媒相と芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液相との2つの相をデカンター等の液液分離器で分離して有機溶媒相とアルカリ水溶液相を回収する。
本発明において、回収した有機溶媒相は、薄膜式蒸発濃縮機により処理して有機溶媒を回収する。薄膜式蒸発濃縮機を使用して有機溶媒相(廃有機溶媒溶液)を処理することにより、廃有機溶媒溶液中の不純物を効率的に除去することができ、高品質の有機溶媒が回収される。
廃有機溶媒溶液から有機溶媒を回収する一般的な方法として、例えば蒸留法が挙げられるが、本発明に適用した場合、原料として使用する廃芳香族ポリカーボーネート樹脂中の不純物に応じて、廃有機溶媒中に様々な不純物を含有する事になり、不純物の種類や量に応じて、蒸留残渣の粘度が上昇する為、通常の蒸留法では、有機溶媒を完全に回収することができず(有機溶媒を完全に回収する前に蒸留操作を停止させる必要がある)、有機溶媒の回収率が低下する。また、取出した不純物(蒸留法で処理した後の残さ)を廃棄物として処理する際、特に、ハロゲン化炭化水素化合物溶媒を多く含有する場合、処理コストは通常高く、必ずしも経済的な方法とは言えない。さらに、濃縮された不純物である蒸留残渣を取出す際の取り扱い性の点でも、粘着性があり取り扱い性に劣る。
本発明の薄膜式蒸発濃縮機を使用した場合、本機械内部に導入された廃有機溶媒溶液は、遠心力の作用で、直ちに装置内壁の円周方向に押し付けられ薄膜化される。薄膜式蒸発濃縮機の本体部は、例えばジャケット構造等により加熱が可能な構造になっており、かつ、ジャケット内部は飽和水蒸気等の加熱媒体で外部より十分に加熱されている為、内壁部で薄膜化された廃有機溶媒溶液を瞬時に蒸発させ、実質的に残さが有機溶媒を含有しない程度に濃縮する事が可能である。また、機械内部に設置された攪拌翼によって、内壁部に付着した残渣を周期的に掻き落として外部に取出す事により、運転コスト、廃棄量の最小化による廃棄コストの点で経済的であるばかりでなく、不純物の粘着性を低くする事ができ、不純物の取り扱い性を著しく効率化させる事が可能である。さらに、水を使用しない処理方法であり、廃水処理の問題が発生しない利点もある。その結果として、煩雑な操作が不要となり、設備の削減等が可能となる。
薄膜式蒸発機濃縮機へ廃有機溶媒溶液を供給する方法は連続式でも、回分式でもよく、薄膜式蒸発機濃縮機以外の工程との関係、設置する設備の投資額、運転人員等の点で決めれば良い。
使用する薄膜式蒸発濃縮機は、縦型式でも横形式でもどちらでもよいが、濃縮した不純物(残さ)の取出しの容易さの点で縦型式が好ましい。また、運転条件として、機器圧力、加熱温度および加熱方法も特に限定されるものではなく、供給される廃有機溶媒溶液の沸点等の物性、揮発溶媒蒸気の凝縮器に使用する冷媒温度、回収された有機溶媒の品質、濃縮された不純物の品質等に応じて、適宜決定すれば良い。
廃有機溶媒を薄膜式蒸発濃縮機によって処理し蒸発後、凝縮されて回収された有機溶媒は、その品質に問題はない為、廃芳香族ポリカーボネート樹脂の分解反応の溶媒として自工程内で使用することができる。全体プロセスの最適化およびコスト最小化の観点より、自工程内で再利用する事が好ましい。
一方、解重合反応後、分液して回収した芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液は、そのまま芳香族ポリカーボネートの製造工程に使用できる。好適には、回収した芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を、ハロゲン化炭化水素化合物溶媒に接触させ、アルカリ水溶液相に粒状に浮遊している有機溶媒相を可能な限り除去することが好ましい。この方法は、洗浄塔による接触、撹拌機、液液分離器による分離、遠心分離機など、公知の方法が使用できる。
回収した芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液と、購入した芳香族ジヒドロキシ化合物を調合した水溶液を任意の割合で混合して、芳香族ポリカーボネートの製造工程に使用することもできる。
また、回収した芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液に酸を加えて、芳香族ジヒドロキシ化合物を析出させ、芳香族ジヒドロキシ化合物を単離、回収することもできる。固体化することにより、より純度の高い芳香族ジヒドロキシ化合物原材料を得ることができる。
芳香族ジヒドロキシ化合物を析出させる好適な方法は、ハロゲン化炭化水素化合物溶媒の存在下あるいは非存在下、芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を攪拌および/または循環している造粒槽に、酸水溶液を加えるという方法である。該方法によれば、水相および有機溶媒相に溶解しない芳香族ジヒドロキシ化合物がスラリーとして得られ、このスラリーをろ過することにより、芳香族ジヒドロキシ化合物を得ることができる。水相の最終pHは4〜10の範囲にするのが好ましい。さらに好ましくはpH6〜8.5の範囲である。
使用する酸水溶液の酸の種類は特に限定はないが、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸が好ましく用いられる。
固体として得られた芳香族ジヒドロキシ化合物のろ過の方法は、ろ過器、遠心分離機、遠心沈降装置等を挙げることができる。遠心分離機がろ過後の含液率が低く、好ましい。
上記方法で得られた芳香族ジヒドロキシ化合物は、未精製であり、水相および有機溶媒相に存在していた芳香族ジヒドロキシ化合物以外の不純物、例えば、末端停止剤、成形品の着色剤等の添加剤、ポリカーボネート由来の炭酸塩、金属水酸化物と酸水溶液が反応して生成した中性塩等が含まれている。これらの不純物は、純水および塩素化化合物有機溶媒と接触、洗浄することにより、除去が可能であり、芳香族ジヒドロキシ化合物の純度が向上する。
洗浄の方法としては、固体の芳香族ジヒドロキシ化合物を攪拌槽に移し、水、ハロゲン化炭化水素化合物溶媒を同時、または別々に投入し、攪拌、ろ過する方法、遠心分離機内で水、ハロゲン化炭化水素化合物溶媒を同時、または別々に振りかけそのまま遠心分離で脱液する方法などが挙げられる。
本発明の方法で回収された固形の芳香族ジヒドロキシ化合物は、芳香族ポリカーボネートの製造工程に再使用することができる。再使用する方法としては、溶融重合法ではそのまま使用することができ、また、界面重合法では金属水酸化物水溶液に所望の濃度で溶解し、芳香族ポリカーボネートの製造に使用することが可能である。その際、芳香族ジヒドロキシ化合物を金属水酸化物水溶液に溶解した溶液を加熱し、残存するハロゲン化炭化水素化合物溶媒を揮発したものを使用することも好ましい。
また、回収した芳香族ジヒドロキシ化合物と市販の芳香族ジヒドロキシ化合物とを一緒に芳香族ポリカーボネートの製造に使用しても構わない。回収した芳香族ジヒドロキシ化合物と市販の芳香族ジヒドロキシ化合物を混合する方法は、固体同士、固体と液体、液体同士を混合する方法のどの方法であってもよい。
本発明の製造方法で得られるポリカーボネート樹脂には、熱安定剤、酸化防止剤、離型剤(脂肪酸エステル等)、滑剤、可塑剤、帯電防止剤、増白剤、紫外線吸収剤、耐候剤、抗菌剤、顔料、染料、充填剤、強化剤、他樹脂やゴム等の重合体、難燃剤等の改質改良剤を適宜添加して用いることができる。
上記熱安定剤としてはリン系の熱安定剤が好ましく用いられ、例えば亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル等が挙げられ、具体的には、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリメチルホスフェート、4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)等が好ましく使用される。これらは単独又は2種以上を混合して使用できる。これらの熱安定剤の配合量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、好ましくは0.001〜0.1重量部、より好ましくは0.002〜0.05重量部である。
前記熱安定剤をポリカーボネート樹脂に配合する方法としては、重合反応後のポリカーボネート樹脂溶液に添加する方法、ポリカーボネート樹脂パウダーに添加する方法のいずれの方法で加えてもよい。特に、重合反応後のポリカーボネート樹脂溶液に添加する方法が得られるポリカーボネート樹脂の色相および熱安定性がより向上し好ましく、精製終了後のポリカーボネート樹脂溶液に添加する方法または温水で造粒する際に温水中に添加する方法が好ましい。熱安定剤は、溶媒に溶解してあるいはそのまま添加しても構わない。
また、本発明の製造方法により得られるポリカーボネート樹脂は、色相および熱安定性に優れることから、例えば光磁気ディスク、各種追記型ディスク、デジタルオーディオディスク(いわゆるコンパクトディスク)、光学式ビデオディスク(いわゆるレーザディスク)、デジタル・バーサイル・ディスク(DVD)等の光学ディスク基板用の材料、シリコンウエハー等の精密機材収納容器の材料として好適に使用できる。また、光拡散板、窓ガラス、眼鏡レンズ、自動車用ヘッドランプレンズ、オートバイ用風防等のポリカーボネート樹脂製成形品としてリサイクルして使用することができる。
本発明によれば、廃芳香族ポリカーボネート樹脂をアルカリ金属水酸化物水溶液により分解し、芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を得る際に、発生する廃有機溶媒溶液から高純度の有機溶媒を回収することが可能となり、さらに、回収された有機溶媒を自工程内で廃芳香族ポリカーボネート樹脂の分解反応の溶媒として再利用することも可能となり、本発明の奏する工業的効果は格別である。
以下に実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。特に断り書きのない場合、部は重量部を表す。なお、評価は次に示す方法で行った。
(1)色相(b値)
ポリカーボネート樹脂ペレットを射出成形機(日本製鋼所(株)製:日鋼アンカー V−17−65型)を用い、シリンダー温度340℃で、厚さ2mmの50mm角板を成形した。その成形板を色差計(日本電色(株)製)を用いてb値を測定した。
(2)熱安定性(△E)
ポリカーボネート樹脂ペレットを射出成形機(日本製鋼所(株)製:日鋼アンカー V−17−65型)を用い、シリンダー温度340℃で10分間滞留させたものとさせないものの試験片(厚さ2mmの50mm角板)をそれぞれ作成し、その色相の変化(△E)を測定した。色相の変化は、色差計(日本電色(株)製)でそれぞれのL、a、b値を測定し、下記式を用いて算出した。
ΔE=[(L′−L)2+(a′−a)2+(b′−b)2]1/2
(L、a、bは滞留させないもの、L′、a′、b′は10分間滞留させたもの)
(3)ビスフェノールA水溶液中のビスフェノールA濃度
ビスフェノールA水溶液を0.1〜0.5重量%になるように水酸化ナトリウム水溶液で薄め、UV計で波長294nmで吸光度を測定し、あらかじめ作成した検量線により水溶液中のビスフェノールA濃度を測定した。
(4)濃縮不純物(残さ)中の塩化メチレン濃度
ケット化学研究所製赤外線水分計(FD−240)を使用し、サンプルを120℃で30分保持した前後での重量変化より、塩化メチレン濃度を算出した。
[実施例1]
(解重合操作)
攪拌槽に市販のポリカーボネート樹脂製光拡散板(平均粒径2μmのシリコン系光拡散剤を含有した厚み2mmのポリカーボネート樹脂製シートに、厚み40μmのアクリル系ラミネートが施されたもの)100部と塩化メチレン600部を投入し、6時間攪拌した。シリコン系光拡散剤は、ポリカーボネートの塩化メチレン溶液中に分散していた。この溶液を目開き1μmの金属製フィルタを取り付けたろ過器(アドバンテック製)に通し、拡散剤を除去した。
温度計、撹拌機、還流冷却器及び水浴付き反応器に、該ポリカーボネートの塩化メチレン溶液264部(ドープ濃度14.2%)、50%水酸化ナトリウム水溶液71部(ポリカーボネートのカーボネート結合1モルに対し6.0モル)、ハイドロサルファイトナトリウム0.6部を投入し、攪拌した。その後、水浴温度を40℃に調節したところ、8分後に激しく還流が始まり、20分後に激しさは収まった。反応5時間後、内部は固体が析出しており、固体を一部取り分析したところ、ビスフェノールAナトリウム塩と炭酸ナトリウムであった。水浴の温度調節を止めて、337.5部の純水を投入し、1時間攪拌を継続して固体を溶解した。
(分液操作)
分液ロートに反応混合物を移し、455部の水相と224部の有機相に分離した。水相はアルカリ性水溶液であり、ビスフェノールA、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、p−ターシャリーブチルフェノールナトリウム塩を含んでいた。有機相中には、アクリル系ポリマー、未反応の芳香族ポリカーボネート、およびその他の不純物が含まれており、これらの合計濃度は0.6重量%であった。尚、アクリル系ポリマーは、赤外分析により有機相のみに含有している事を確認した。
(溶媒回収操作)
分液操作によって得られた有機相100部を、縦型式の薄膜式蒸発濃縮機(櫻製作所製 商品名:ハイエバオレーター、伝熱面積:0.14m)に70Kg/Hrの割合で供給して、処理を行った。この時、薄膜式蒸発濃縮機の内部運転圧力は大気圧であり、加熱方法として薄膜式蒸発濃縮機の胴部ジャケットに飽和水蒸気(蒸気圧力0.3MPaゲージ圧、温度約130℃)を、発生する塩化メチレン蒸気の凝縮機には水道水(温度22℃)を供給しながら運転を行った。
回収された塩化メチレンは99.4部であった。一方、濃縮回収された固形部は0.6部であり、固形部中に含有する塩化メチレン濃度は1.6重量%であった。固形部の形状は大粒の顆粒状であり、かつ、粘着性は全く無く、取り扱い性に優れるものであった。
[実施例2]
実施例1において、薄膜式蒸発濃縮機の胴ジャケット部に供給する飽和水蒸気の圧力を0.2MPaゲージ圧(温度約105℃)とした以外は実施例1と同様の操作を行い、薄膜式蒸発濃縮機を使用して有機相100部の処理を行った。
回収された塩化メチレンは99.4部であった。一方、濃縮回収された固形部は0.6部であり、固形部中に含有する塩化メチレン濃度は1.7重量%であった。固形部の形状は大粒の顆粒状であり、かつ、粘着性は全く無く、取り扱い性に優れるものであった。
[比較例1]
前記の解重合操作、および、分液操作により得られた有機相100重量部を蒸留スチルに仕込み、加熱して蒸留操作を行なった。
回収された塩化メチレンは85部であった。また、スチル内残渣の粘度が著しく増加して、スチルから不純物濃縮部を取り出す事が出来なくなる為、これ以上塩化メチレンの回収量を増加させる事は実質的に不可能であった。
[参考例1] (ポリカーボネート樹脂の製造)
(A)温度計、撹拌機、還流冷却器、循環器付き反応器に、イオン交換水650部、25%水酸化ナトリウム水溶液252部を仕込み、これに購入したビスフェノールA170部、塩化メチレン13部およびハイドロサルファイト0.34部を加え、循環しながら温度を30℃に保持し40分間で溶解し、ビスフェノールA水溶液を調合した。
(B)温度計、撹拌機及び還流冷却器付き反応器に、(A)で調合したビスフェノールA水溶液367部を仕込み、塩化メチレン181部を加え、撹拌下15〜25℃でホスゲン28.3部を40分要して吹込んだ。ホスゲン吹き込み終了後、48%水酸化ナトリウム水溶液7.2部および固体のp−ターシャリーブチルフェノール1.55部を加え、乳化せしめた後、10分後にトリエチルアミン0.06部を加え、さらに28〜33℃で1時間撹拌して反応を終了した。反応終了後生成物に塩化メチレン400部を加え混合した後、攪拌を停止し、水相と有機相とを分離して、ポリカーボネート樹脂濃度14.5重量%有機溶媒溶液を得た。
この有機溶媒溶液に水150部を加えて攪拌混合した後、攪拌を停止し、水相と有機相とを分離した。この有機相にpH3の塩酸水200部を加え、攪拌混合しトリエチルアミン等を抽出した後、攪拌を停止し、水相と有機相とを分離した。次いでさらに分離した有機相にイオン交換水200部を加え攪拌混合した後、攪拌を停止し、水相と有機相とを分離した。この操作を水相の導電率がイオン交換水と殆ど同じになるまで(4回)繰返した。得られた精製ポリカーボネート樹脂溶液をSUS304製の濾過精度1μmフィルターで濾過した。
次に、該有機溶媒溶液を軸受け部に異物取出口を有する隔離室を設けた内壁の材質がSUS316L製の1000Lニーダーにイオン交換水100Lとともに投入し、水温42℃にて塩化メチレンを蒸発させて粉粒体とし、該粉粒体と水の混合物を水温95℃にコントロールされた攪拌機付熱水処理槽に投入し、粉粒体25部対水75部の混合比で30分間攪拌混合した。この粉粒体と水の混合物を遠心分離機で分離して塩化メチレン0.5重量%と水45重量%を含有する粉粒体を得た。この粉粒体を140℃にコントロールされているSUS316L製伝導受熱式溝型2軸攪拌連続乾燥機に50kg/h(ポリカーボネート樹脂換算)で連続供給して、平均乾燥時間3時間の条件で乾燥して粉粒体を得た。
この粉粒体100重量部にトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトを0.01重量部、4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)を0.01重量部およびステアリン酸モノグリセリドを0.08重量部加え混合した。かかる粉粒体をベント式二軸押出機[東芝機械(株)製TEM−50B]によりシリンダー温度280℃、乾式真空ポンプを用いてベント吸引圧700Paで吸引脱気しながら溶融混練押出し、ペレットを得た。得られたペレットを用いて粘度平均分子量、色相(b値)および熱安定性(ΔE)を評価し、その結果を表1に示した。
[実施例3]
実施例1の解重合操作、分液操作および溶媒回収操作を数回繰り返して回収塩化メチレン600部を得た。この回収塩化メチレン600部を実施例1の解重合操作における塩化メチレンとして使用し、解重合操作および分液操作を実施した(回収塩化メチレン以外の塩化メチレンは使用していない。)。
分液操作により得られた水相455部に塩化メチレン100部を加え、激しく混合したあと静置し、水相と塩化メチレン相とを分離して、洗浄されたビスフェノールA水溶液(ビスフェノールA濃度76.6g/L)を得た。
参考例1(B)において、得られたビスフェノールA水溶液9.5部と参考例1(A)で調合した水溶液362.6部とを、参考例1(A)で調合した水溶液367部の代わりに使用した以外は、参考例1と同様の操作をして、ペレットを得た。得られたペレットを用いて粘度平均分子量、色相(b値)および熱安定性(ΔE)を評価し、その結果を表1に示した。
Figure 0004558435

Claims (5)

  1. 廃芳香族ポリカーボネート樹脂を有機溶媒に溶解し、この有機溶媒溶液中のポリカーボネート樹脂をアルカリ金属水酸化物水溶液の存在下に分解して、分解後の反応溶液を有機溶媒相とアルカリ水溶液相とに分液し、(i)芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を得、且つ(ii)有機溶媒相は、薄膜式蒸発濃縮機により処理して有機溶媒を回収する方法。
  2. 廃芳香族ポリカーボネート樹脂を有機溶媒に溶解し、この有機溶媒溶液中のポリカーボネート樹脂をアルカリ金属水酸化物水溶液の存在下に分解して、分解後の反応溶液を有機溶媒相とアルカリ水溶液相とに分液し、芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を得る方法において、分液して得た有機溶媒相を薄膜式蒸発濃縮機により処理して有機溶媒を回収し、回収した有機溶媒を廃芳香族ポリカーボネート樹脂の分解反応の溶媒として再使用することを特徴とする廃芳香族ポリカーボネート樹脂から芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を得る方法。
  3. 使用するアルカリ金属水酸化物が、水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カリウムである請求項1または2記載の方法。
  4. 使用する有機溶媒が、ジクロロメタン、ジクロロエタンおよびクロロホルムからなる群より選ばれる少なくとも1種の溶媒である請求項1または2記載の方法。
  5. 請求項1または2記載の方法により得られた芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液をポリカーボネート樹脂の製造原料として使用する芳香族ポリカーボネートの製造方法。
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