JP4558435B2 - 芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を得る方法および有機溶媒を回収する方法 - Google Patents
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Description
1.廃芳香族ポリカーボネート樹脂を有機溶媒に溶解し、この有機溶媒溶液中のポリカーボネート樹脂をアルカリ金属水酸化物水溶液の存在下に分解して、分解後の反応溶液を有機溶媒相とアルカリ水溶液相とに分液し、(i)芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を得、且つ(ii)有機溶媒相は、薄膜式蒸発濃縮機により処理して有機溶媒を回収する方法。
が提供される。
本発明において、使用される廃芳香族ポリカーボネート樹脂は、界面重合法や溶融重合法等公知の方法で製造されたものでよく、分子量は粘度平均分子量で1000〜100000のものが好ましく、10000〜30000のものが特に好ましい。廃芳香族ポリカーボネートの形状はパウダー、ペレット、シート、フィルム、成形品等特に限定されない。また、分解に用いられる廃芳香族ポリカーボネートとして、ポリカーボネート製造途中に目標とする分子量に到達せず、パウダーあるいはペレット化されなかったポリカーボネートの溶液から溶媒を除去し、乾燥した固形物でもよい。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−4M0.83
c=0.7
この工程では、有機溶媒の存在下で芳香族ポリカーボネートの分解(解重合反応)が行われる。有機溶媒を使用すると分解反応が低温で進み易く好ましい。
ポリカーボネート樹脂の分解反応においてアルカリ金属水酸化物水溶液が使用される。アルカリ金属水酸化物として、調達コスト、水溶液の調整の容易さ等の点で、具体的には水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムが好ましく使用され、特に水酸化ナトリウムが好ましい。
不活性ガスの種類として、窒素、アルゴン等が挙げられる。窒素がコスト的に有利であり好ましい。
固体として得られた芳香族ジヒドロキシ化合物のろ過の方法は、ろ過器、遠心分離機、遠心沈降装置等を挙げることができる。遠心分離機がろ過後の含液率が低く、好ましい。
ポリカーボネート樹脂ペレットを射出成形機(日本製鋼所(株)製:日鋼アンカー V−17−65型)を用い、シリンダー温度340℃で、厚さ2mmの50mm角板を成形した。その成形板を色差計(日本電色(株)製)を用いてb値を測定した。
ポリカーボネート樹脂ペレットを射出成形機(日本製鋼所(株)製:日鋼アンカー V−17−65型)を用い、シリンダー温度340℃で10分間滞留させたものとさせないものの試験片(厚さ2mmの50mm角板)をそれぞれ作成し、その色相の変化(△E)を測定した。色相の変化は、色差計(日本電色(株)製)でそれぞれのL、a、b値を測定し、下記式を用いて算出した。
ΔE=[(L′−L)2+(a′−a)2+(b′−b)2]1/2
(L、a、bは滞留させないもの、L′、a′、b′は10分間滞留させたもの)
ビスフェノールA水溶液を0.1〜0.5重量%になるように水酸化ナトリウム水溶液で薄め、UV計で波長294nmで吸光度を測定し、あらかじめ作成した検量線により水溶液中のビスフェノールA濃度を測定した。
ケット化学研究所製赤外線水分計(FD−240)を使用し、サンプルを120℃で30分保持した前後での重量変化より、塩化メチレン濃度を算出した。
(解重合操作)
攪拌槽に市販のポリカーボネート樹脂製光拡散板(平均粒径2μmのシリコン系光拡散剤を含有した厚み2mmのポリカーボネート樹脂製シートに、厚み40μmのアクリル系ラミネートが施されたもの)100部と塩化メチレン600部を投入し、6時間攪拌した。シリコン系光拡散剤は、ポリカーボネートの塩化メチレン溶液中に分散していた。この溶液を目開き1μmの金属製フィルタを取り付けたろ過器(アドバンテック製)に通し、拡散剤を除去した。
分液ロートに反応混合物を移し、455部の水相と224部の有機相に分離した。水相はアルカリ性水溶液であり、ビスフェノールA、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、p−ターシャリーブチルフェノールナトリウム塩を含んでいた。有機相中には、アクリル系ポリマー、未反応の芳香族ポリカーボネート、およびその他の不純物が含まれており、これらの合計濃度は0.6重量%であった。尚、アクリル系ポリマーは、赤外分析により有機相のみに含有している事を確認した。
分液操作によって得られた有機相100部を、縦型式の薄膜式蒸発濃縮機(櫻製作所製 商品名:ハイエバオレーター、伝熱面積:0.14m2)に70Kg/Hrの割合で供給して、処理を行った。この時、薄膜式蒸発濃縮機の内部運転圧力は大気圧であり、加熱方法として薄膜式蒸発濃縮機の胴部ジャケットに飽和水蒸気(蒸気圧力0.3MPaゲージ圧、温度約130℃)を、発生する塩化メチレン蒸気の凝縮機には水道水(温度22℃)を供給しながら運転を行った。
実施例1において、薄膜式蒸発濃縮機の胴ジャケット部に供給する飽和水蒸気の圧力を0.2MPaゲージ圧(温度約105℃)とした以外は実施例1と同様の操作を行い、薄膜式蒸発濃縮機を使用して有機相100部の処理を行った。
前記の解重合操作、および、分液操作により得られた有機相100重量部を蒸留スチルに仕込み、加熱して蒸留操作を行なった。
(A)温度計、撹拌機、還流冷却器、循環器付き反応器に、イオン交換水650部、25%水酸化ナトリウム水溶液252部を仕込み、これに購入したビスフェノールA170部、塩化メチレン13部およびハイドロサルファイト0.34部を加え、循環しながら温度を30℃に保持し40分間で溶解し、ビスフェノールA水溶液を調合した。
実施例1の解重合操作、分液操作および溶媒回収操作を数回繰り返して回収塩化メチレン600部を得た。この回収塩化メチレン600部を実施例1の解重合操作における塩化メチレンとして使用し、解重合操作および分液操作を実施した(回収塩化メチレン以外の塩化メチレンは使用していない。)。
Claims (5)
- 廃芳香族ポリカーボネート樹脂を有機溶媒に溶解し、この有機溶媒溶液中のポリカーボネート樹脂をアルカリ金属水酸化物水溶液の存在下に分解して、分解後の反応溶液を有機溶媒相とアルカリ水溶液相とに分液し、(i)芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を得、且つ(ii)有機溶媒相は、薄膜式蒸発濃縮機により処理して有機溶媒を回収する方法。
- 廃芳香族ポリカーボネート樹脂を有機溶媒に溶解し、この有機溶媒溶液中のポリカーボネート樹脂をアルカリ金属水酸化物水溶液の存在下に分解して、分解後の反応溶液を有機溶媒相とアルカリ水溶液相とに分液し、芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を得る方法において、分液して得た有機溶媒相を薄膜式蒸発濃縮機により処理して有機溶媒を回収し、回収した有機溶媒を廃芳香族ポリカーボネート樹脂の分解反応の溶媒として再使用することを特徴とする廃芳香族ポリカーボネート樹脂から芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を得る方法。
- 使用するアルカリ金属水酸化物が、水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カリウムである請求項1または2記載の方法。
- 使用する有機溶媒が、ジクロロメタン、ジクロロエタンおよびクロロホルムからなる群より選ばれる少なくとも1種の溶媒である請求項1または2記載の方法。
- 請求項1または2記載の方法により得られた芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液をポリカーボネート樹脂の製造原料として使用する芳香族ポリカーボネートの製造方法。
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