JP4571413B2 - 廃芳香族ポリカーボネート樹脂から芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を得る方法 - Google Patents
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Description
1.廃芳香族ポリカーボネート樹脂を有機溶媒に溶解し、この有機溶媒溶液中のポリカーボネート樹脂をアルカリ金属水酸化物水溶液により分解して芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を得る方法において、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、一価アルコールと脂肪酸のエステル、または多価アルコールと脂肪酸との部分エステルあるいは全エステルである非イオン界面活性剤0.01〜0.3重量部の存在下に前記ポリカーボネート樹脂の分解反応を行なうことを特徴とする廃芳香族ポリカーボネート樹脂から芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を得る方法。
が提供される。
本発明において、使用される廃芳香族ポリカーボネートは、界面重合法や溶融重合法等公知の方法で製造されたものでよく、分子量は粘度平均分子量で1000〜100000のものが好ましく、10000〜30000のものが特に好ましい。廃芳香族ポリカーボネートの形状はパウダー、ペレット、シート、フィルム、成形品等特に限定されない。また、分解に用いられる廃芳香族ポリカーボネートとして、ポリカーボネート製造途中に目標とする分子量に到達せず、パウダーあるいはペレット化されなかったポリカーボネートの溶液から溶媒を除去し、乾燥した固形物でもよい。本発明では、特にCD、CD−R、DVD等の光ディスクにおいて、廃棄されたものや成形不良のものなど不要になった廃光ディスクが好ましく使用される。これらの光ディスクには、染料(着色されたディスク中に含まれる)や色素(記録層)が使用される場合があり、本発明の精製方法が好適に使用される。ここで、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(M)は塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液から求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたものである。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−4M0.83
c=0.7
前記有機溶媒としては25℃における芳香族ポリカーボネート樹脂の溶解度が50g/L以上である溶媒が好ましく、具体的にはジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、ジクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素化合物溶媒が好ましく、ジクロロメタン、ジクロロエタンまたはクロロホルムがより好ましく、ジクロロメタン(塩化メチレン)が特に好ましく用いられる。これらの溶媒は芳香族ポリカーボネート樹脂の良溶媒で、芳香族ポリカーボネート樹脂の製造工程に反応溶媒として用いられており、分解して得られた芳香族ジヒドロキシ化合物にこれらの有機溶媒が残留していても、芳香族ポリカーボネート樹脂の製造に悪影響を及ぼさない利点がある。
ポリカーボネート樹脂ペレットを射出成形機(日本製鋼所(株)製:日鋼アンカー V−17−65型)を用い、シリンダー温度340℃で、厚さ2mmの50mm角板を成形した。その成形板を色差計(日本電色(株)製)を用いてb値を測定した。
ポリカーボネート樹脂ペレットを射出成形機(日本製鋼所(株)製:日鋼アンカー V−17−65型)を用い、シリンダー温度340℃で10分間滞留させたものとさせないものの試験片(厚さ2mmの50mm角板)をそれぞれ作成し、その色相の変化(△E)を測定した。色相の変化は、色差計(日本電色(株)製)でそれぞれのL、a、b値を測定し、下記式を用いて算出した。ΔEは値が小さいほどが熱安定性に優れる。
ΔE=[(L′−L)2+(a′−a)2+(b′−b)2]1/2
(L、a、bは滞留させないもの、L′、a′、b′は10分間滞留させたもの)
粘度平均分子量は塩化メチレン100mLにポリカーボネート樹脂0.7gを溶解した20℃の溶液から求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めた。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−4M0.83
c=0.7
ビスフェノールAアルカリ水溶液を0.1〜0.5重量%になるように水酸化ナトリウム水溶液で薄め、UV計で波長294nmで吸光度を測定し、あらかじめ作成した検量線によりアルカリ水溶液中のビスフェノールA濃度を測定した。
Waters社製高速液体クロマトグラフィを用い、サンプル(有機物)0.2gに内部標準としてo−クレゾールを添加したアセトニトリル1mLを加え、溶解し、アセトニトリル/0.2%酢酸水溶液を展開溶媒としてクロマトグラフを得、あらかじめ作成した検量線により、ビスフェノールAの純度を求めた。
Waters社製高速液体クロマトグラフィ(GPC、検出器RI)を用い、内部標準としてジフェニルを添加したTHF1mLを加え、溶解し、THFを展開溶媒としてクロマトグラフを得、あらかじめ作成した検量線により、非イオン系界面活性剤量を定量した。
Waters社製高速液体クロマトグラフィ(GPC、検出器UV)を用い、THFを展開溶媒としてクロマトグラフを得、ポリカーボネートのピーク有無を確認した。
攪拌槽に市販のコンパクトディスク100部(50ppmのステアリン酸モノグリセリドを含む)とステアリン酸モノグリセリド0.1部と塩化メチレン600部を投入し、6時間攪拌した。コンパクトディスクの膜は、ポリカーボネートの塩化メチレン溶液中に分散していた。この溶液を目開き10μmのセルロース製フィルタを取り付けたろ過器(アドバンテック製)に通し、コンパクトディスクの膜(印刷、UV硬化樹脂、アルミ膜等)を除去した。温度計、撹拌機及び還流冷却器、水浴付き反応器に、該ポリカーボネートの塩化メチレン溶液264部(ドープ濃度14.2%)、50%水酸化ナトリウム水溶液71部、ハイドロサルファイトナトリウム0.6部を投入し、攪拌した。その後、水浴温度を40℃に調節したところ、8分後に激しく還流が始まり、20分後には激しさは収まった。GPCにてポリカーボネートの消失状態を確認したところ、完全消失に3時間を要した。その後水浴の温度調節を止めて、337.5部の純水を投入し、1時間攪拌を継続して固体を溶解した。
実施例1において、コンパクトディスク100部に対しステアリン酸モノグリセリド0.25部を使用する以外は実施例1と同様に解重合反応を行った。ポリカーボネートが消失するまでに2.5時間を要した。さらに、実施例1と同様の操作を行ないビスフェノールA粉粒体を得た。このビスフェノールA粉粒体の純度を測定したところ99.6%であった。
実施例1において、コンパクトディスク100部に対しステアリン酸モノグリセリド0.02部を使用する以外は実施例1と同様に解重合反応を行った。ポリカーボネートが消失するまでに4時間を要した。さらに、実施例1と同様の操作を行ないビスフェノールA粉粒体を得た。このビスフェノールA粉粒体の純度を測定したところ99.7%であった。
実施例1において、コンパクトディスク100部に対しペンタエリスリトールテトラステアレート0.02部を使用する以外は実施例1と同様に解重合反応を行った。ポリカーボネートが消失するまでに2.5時間を要した。さらに、実施例1と同様の操作を行ないビスフェノールA粉粒体を得た。このビスフェノールA粉粒体の純度を測定したところ99.7%であった。
実施例1において、コンパクトディスク100部に対しステアリン酸モノグリセリドを添加しない以外は実施例1と同様に解重合反応を行った。ポリカーボネートが消失するまでに5時間を要した。さらに、実施例1と同様の操作を行ないビスフェノールA粉粒体を得た。このビスフェノールA粉粒体の純度を測定したところ99.8%であった。
実施例1において、コンパクトディスク100部に対しステアリン酸モノグリセリド0.5部を使用する以外は実施例1と同様に解重合反応を行った。ポリカーボネートが消失するまでに2時間を要した。さらに、実施例1と同様の操作を行ないビスフェノールA粉粒体を得た。このビスフェノールA粉粒体の純度を測定したところ98.7%であった。
(A)温度計、撹拌機、還流冷却器、循環器付き反応器に、イオン交換水650部、25%水酸化ナトリウム水溶液252部を仕込み、これに実施例1で得られたビスフェノールA粉粒体170部、塩化メチレン13部およびハイドロサルファイト0.34部を加え、循環しながら温度を30℃に保持し40分間で溶解し、ビスフェノールA水溶液を調合した。
この有機溶媒溶液に水150部を加えて攪拌混合した後、攪拌を停止し、水相と有機相を分離した。この有機相にpH3の塩酸水200部を加え、攪拌混合しトリエチルアミン等を抽出した後、攪拌を停止し、水相と有機相を分離した。次いでさらに分離した有機相にイオン交換水200部を加え攪拌混合した後、攪拌を停止し、水相と有機相を分離した。この操作を水相の導電率がイオン交換水と殆ど同じになるまで(4回)繰返した。得られた精製ポリカーボネート樹脂溶液をSUS304製の濾過精度1μmフィルターで濾過した。
実施例5において、(A)で調合するビスフェノールAとして実施例2で得られたビスフェノールA粉粒体を使用した以外は、実施例5と同様な操作を行いペレットを得た。得られたペレットの粘度平均分子量の評価およびペレットを成形して色相と熱安定性の評価を行ない、その結果を表1に示した。
実施例5において、(A)で調合するビスフェノールAとして実施例3で得られたビスフェノールA粉粒体を使用した以外は、実施例5と同様な操作を行いペレットを得た。得られたペレットの粘度平均分子量の評価およびペレットを成形して色相と熱安定性の評価を行ない、その結果を表1に示した。
実施例5において、(A)で調合するビスフェノールAとして実施例4で得られたビスフェノールA粉粒体を使用した以外は、実施例5と同様な操作を行いペレットを得た。得られたペレットの粘度平均分子量の評価およびペレットを成形して色相と熱安定性の評価を行ない、その結果を表1に示した。
実施例5において、(A)で調合するビスフェノールAとして比較例2で得られたビスフェノールA粉粒体を使用した以外は、実施例5と同様な操作を行いペレットを得た。得られたペレットの粘度平均分子量の評価およびペレットを成形して色相と熱安定性の評価を行ない、その結果を表1に示した。
Claims (4)
- 廃芳香族ポリカーボネート樹脂を有機溶媒に溶解し、この有機溶媒溶液中のポリカーボネート樹脂をアルカリ金属水酸化物水溶液により分解して芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を得る方法において、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、一価アルコールと脂肪酸のエステル、または多価アルコールと脂肪酸との部分エステルあるいは全エステルである非イオン界面活性剤0.01〜0.3重量部の存在下に前記ポリカーボネート樹脂の分解反応を行なうことを特徴とする廃芳香族ポリカーボネート樹脂から芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を得る方法。
- 非イオン界面活性剤が、多価アルコールと脂肪酸との部分エステルあるいは全エステルである請求項1記載の廃芳香族ポリカーボネート樹脂から芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を得る方法。
- 非イオン界面活性剤が、グリセリンまたはペンタエリスリトールと脂肪酸との部分エステルあるいは全エステルである請求項1記載の廃芳香族ポリカーボネート樹脂から芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を得る方法。
- 請求項1に記載の方法により芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を得、得られた芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を、あるいは芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液から回収した芳香族ジヒドロキシ化合物固型分を芳香族ポリカーボネート樹脂の製造工程に用いる芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法。
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