JP4571414B2 - 廃芳香族ポリカーボネート樹脂の分解により得られた芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液の貯蔵方法 - Google Patents

廃芳香族ポリカーボネート樹脂の分解により得られた芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液の貯蔵方法 Download PDF

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Description

本発明は、廃芳香族ポリカーボネートをアルカリ金属水酸化物水溶液の存在下に分解し、芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を得、これを貯蔵する方法に関する。また、貯蔵した芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液をポリカーボネートの製造工程の原料として使用する芳香族ポリカーボネートの製造方法に関する。
芳香族ポリカーボネート(以下、PCと略すことがある)は、優れた機械的性質、電気的性質、透明性、耐熱性、耐候性等を有していて、コンパクトディスク等の光ディスク、シート、レンズ、自動車部品、OA機器部品、カメラボディー、建築材料等多様な用途に利用されている材料であり、その需要は年々増加している。これに伴って排出される廃PCの量も増加している。廃棄されるPC製品の多くは、一般のプラスチック同様に焼却や埋め立て等の方法で処理されている。しかしながら、これはPC等プラスチックの需要の増加から石油資源の枯渇を加速させるだけでなく、地球環境の悪化を招く。そこで、廃棄されたプラスチックを再利用(リサイクル)することが重要になってきた。
廃プラスチックをリサイクルする方法としては、(1)廃プラスチックを熱エネルギーとして回収するサーマルリサイクル、(2)廃プラスチックを製品にある割合で混合し、加工して製品とするマテリアルリサイクル、(3)廃プラスチックを化学的に分解してプラスチックの原材料として回収して、プラスチック製造に再利用するケミカルリサイクルがある。これらのうち、サーマルリサイクルはプラスチックを焼却して熱を取り出すので、二酸化炭素を生成し、本質的には地球環境を破壊し、資源を減少させていることになる。マテリアルリサイクルは、資源の消費や環境の負荷は一番少なく望ましいが、プラスチック自身の劣化は否めず、混合できる製品が限定され、混入できる割合が少なく、リサイクルできる量が限られるという問題がある。一方ケミカルリサイクルはプラスチックを原材料まで分解するので、新たなプラスチックの製造に利用され、元の製品を含め広範囲の用途に利用できるので、産業上有用なりリサイクル方法といえる。
PCをケミカルリサイクルする方法として、過剰のアルカリ水溶液で分解させ、中和して芳香族ジヒドロキシ化合物を生成する方法は昔から知られており、例えば特許文献1には、PCと1〜30%のアルカリ水溶液を耐圧容器に入れ、100℃以上、好ましくは150℃以上で加水分解後、酸性にした後メタノールに溶解し、活性炭処理して着色成分を除去後、再沈殿して白色ビスフェノールを得ている。特許文献2には、ポリカーボネートスクラップをバルクまたは溶液でケン化し、未ケン化の成分を分離し、ケン化混合物をホスゲン化し、まったく精製工程および処理工程なしでポリカーボネート重合工程に用いる方法が示されている。特許文献3には、アルカリ触媒存在下、PCをフェノールで分解し、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジアリールを回収する方法が示されている。また、特許文献4には、トルエン、キシレン、ベンゼンまたはジオキサン溶剤中で、少量のアルカリを触媒として、エステル交換反応を行い、炭酸ジアルキルと芳香族ジヒドロキシ化合物を得る方法が示されている。また、特許文献5には、PCを塩化アルキル、エーテル類または芳香族炭化水素系溶媒等の溶媒と触媒としての3級アミンの存在下、低級アルコールとエステル交換させて芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジアルキルを得る方法が提案されている。
しかしながら、特許文献1の方法は薄いアルカリ性水溶液を用いているので反応が高温になり、得られた芳香族ジヒドロキシ化合物の純度が低く、精製に大きな労力が必要となる。特許文献2の方法は精製工程なしで重合反応に使用するので、プラスチックにほぼ必須である、添加剤、着色剤などをPC製造工程に混入することになり、製品品質に影響を及ぼす。また、末端停止剤が反応初期段階に混入することになるので、レンズやコンパクトディスク等の市場で求められているような精密な分子量制御は困難である。特許文献3〜5の方法は、炭酸ジアリールや炭酸ジアルキル等の副生成物が生成し、目的とする芳香族ジヒドロキシ化合物の分離回収工程が煩雑になる。いずれの特許文献においてもPCの分解により得られた芳香族ジヒドロキシ化合物を貯蔵する方法については記載がない。PCの分解により得られた芳香族ジヒドロキシ化合物をアルカリ水溶液の状態で使用する場合、製造工程との供給バランスが崩れた場合や工程トラブルなどにより芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液が二日以上滞留するような事態になると芳香族ジヒドロキシ化合物が着色し廃棄処分とする必要が生じることがあり、このような問題を解消することが課題となっていた。
特公昭40−016536号公報 特開昭54−048869号公報 特開平06−056985号公報 特開平10−259151号公報 特開2002−212335号公報
本発明の目的は、廃芳香族ポリカーボネート(例えば不要となったCD、CD−ROM、DVD等の芳香族ポリカーボネート製品)を安価で大量に処理し、高純度の芳香族ジヒドロキシ化合物またはそのアルカリ水溶液を得て、芳香族ジヒドロキシ化合物をアルカリ水溶液の状態で品質を保持しながら貯蔵する方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、貯蔵した芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を用いてCD等に使用できる高品質の芳香族ポリカーボネートを製造する方法を提供することにある。
本発明者は、前記目的を達成するために鋭意検討した結果、廃芳香族ポリカーボネートを有機溶媒に溶かし、アルカリ金属水酸化物水溶液の存在下、芳香族ポリカーボネートの分解を行い、得られた芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液をそのまま貯蔵して芳香族ポリカーボネートの製造原料として使用した場合に、ポリカーボネートの品質(色相、熱安定性等)に悪影響を及ぼすこと、そして得られた芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液中に酸化防止剤を含有させて貯蔵することにより、この貯蔵した芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を芳香族ポリカーボネートの製造原料として用いた際に、得られる芳香族ポリカーボネートの品質は市販の芳香族ジヒドロキシ化合物を用いて製造した芳香族ポリカーボネートの品質と遜色ないことを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明によれば、
1.廃芳香族ポリカーボネート樹脂を有機溶媒に溶解し、この有機溶媒溶液中のポリカーボネート樹脂をアルカリ金属水酸化物水溶液の存在下に分解し、分解後の反応溶液を有機溶媒相とアルカリ水溶液相とに分液し、得られたアルカリ水溶液に、重亜硫酸ナトリウム(Na )、亜硫酸ナトリウム(Na SO )、ハイドロサルファイトナトリウム(Na )またはチオ硫酸ナトリウム(Na )である酸化防止剤を芳香族ジヒドロキシ化合物100重量部に対して0.05〜10重量部含有させて貯蔵することを特徴とする廃芳香族ポリカーボネート樹脂の分解により得られた芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液の貯蔵方法。
2.廃芳香族ポリカーボネート樹脂を有機溶媒に溶解し、この有機溶媒溶液中のポリカーボネート樹脂をアルカリ金属水酸化物水溶液の存在下に分解し、分解後の反応溶液を有機溶媒相とアルカリ水溶液相とに分液し、得られたアルカリ水溶液から固体の芳香族ジヒドロキシ化合物を得、次いで得られた固体の芳香族ジヒドロキシ化合物を、溶解させる芳香族ジヒドロキシ化合物100重量部に対して0.05〜10重量部の重亜硫酸ナトリウム(Na )、亜硫酸ナトリウム(Na SO )、ハイドロサルファイトナトリウム(Na )またはチオ硫酸ナトリウム(Na )である酸化防止剤を含有するアルカリ金属水酸化物水溶液に溶解し貯蔵することを特徴とする廃芳香族ポリカーボネート樹脂の分解により得られた芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液の貯蔵方法。
.前項1〜のいずれか1項に記載の方法により貯蔵された芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を得、得られた芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を芳香族ポリカーボネートの製造工程に用いる芳香族ポリカーボネートの製造方法。
が提供される。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、使用される廃芳香族ポリカーボネートは、界面重合法や溶融重合法等公知の方法で製造されたものでよく、分子量は粘度平均分子量で1000〜100000のものが好ましく、10000〜30000のものが特に好ましい。廃芳香族ポリカーボネートの形状はパウダー、ペレット、シート、フィルム、成形品等特に限定されない。また、分解に用いられる廃芳香族ポリカーボネートとして、ポリカーボネート製造途中に目標とする分子量に到達せず、パウダーあるいはペレット化されなかったポリカーボネートの溶液から溶媒を除去し、乾燥した固形物でもよい。本発明では、特にCD、CD−R、DVD等の光ディスクにおいて、廃棄されたものや成形不良のものなど不要になった廃光ディスクが好ましく使用される。ここで、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(M)は塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液から求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたものである。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−40.83
c=0.7
該芳香族ポリカーボネートは、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4′−ジヒドロキシジフェニル、1,4−ジヒドロキシナフタレン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−イソプロピル−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−フェニル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレン、α,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−o−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4′−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテルおよび4,4′−ジヒドロキシジフェニルエステル等のジヒドロキシ化合物の単独または2種以上の混合物から製造されたものである。
また、末端停止剤(分子量調節剤)としては、1価のフェノール化合物が好ましく用いられ、フェノール、p−クレゾール、p−エチルフェノール、p−イソプロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノール、p−シクロヘキシルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、2,4−キシレノール、p−メトキシフェノール、p−ヘキシルオキシフェノール、p−デシルオキシフェノール、o−クロロフェノール、m−クロロフェノール、p−クロロフェノール、p−ブロモフェノール、ペンタブロモフェノール、ペンタクロロフェノール、p−フェニルフェノール、p−イソプロペニルフェノール、2,4−ジ(1’−メチル−1’−フェニルエチル)フェノール、β−ナフトール、α−ナフトール、p−(2’,4’,4’−トリメチルクロマニル)フェノール、2−(4’−メトキシフェニル)−2−(4’’−ヒドロキシフェニル)プロパン等のフェノール類等の単独または2種以上の混合物が用いられる。
本発明においては、まず廃芳香族ポリカーボネート樹脂を有機溶媒に溶解する。
前記有機溶媒としては25℃における芳香族ポリカーボネート樹脂の溶解度が50g/L以上である溶媒が好ましく、具体的にはジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、ジクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素化合物溶媒が好ましく、ジクロロメタン、ジクロロエタンまたはクロロホルムがより好ましく、ジクロロメタン(塩化メチレン)が特に好ましく用いられる。これらの溶媒は芳香族ポリカーボネート樹脂の良溶媒で、芳香族ポリカーボネート樹脂の製造工程に反応溶媒として用いられており、分解して得られた芳香族ジヒドロキシ化合物にこれらの有機溶媒が残留していても、芳香族ポリカーボネート樹脂の製造に悪影響を及ぼさない利点がある。
有機溶媒の使用量は、廃芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し40〜2000重量部が好ましく、200〜1000重量部の範囲がより好ましい。有機溶媒の使用量が40重量部より少ないと芳香族ポリカーボネート樹脂が十分に溶解せず不溶部が増え収量が低下し、2000重量部より多いと分解反応時に分解速度が低下し分解反応時間が長くなり、また溶媒の回収コストも高くなる。なお、光ディスク等の成形品はあらかじめ0.1〜2cm程度の大きさに粉砕し、この粉砕物を溶解すると溶解時間が短縮されるため好ましい。
芳香族ポリカーボネート樹脂を有機溶媒に溶解した有機溶媒溶液はそのまま分解反応に使用してもよく、あるいはろ過してその濾液を分解反応に使用してもよい。有機溶媒にポリカーボネート樹脂を溶解させた場合、有機溶媒に溶解しない不純物、例えば成型品中に含まれる添加剤、金属膜、コーティング剤、充填剤等をろ過し、除去することが可能である。除去しないで分解反応を行った場合、これらの不純物も分解され、芳香族ジヒドロキシ化合物金属塩水溶液に混入し、不純物分解物が混ざったままポリカーボネート製造工程に該水溶液を使用すると、製品のポリカーボネート樹脂の品質に悪影響を及ぼす可能性があるので、あらかじめ不溶物を除去することが好ましい。
前記芳香族ポリカーボネート樹脂を有機溶媒に溶解した有機溶媒溶液は、この溶液中のポリカーボネート樹脂をアルカリ金属水酸化物の存在下に分解させる。
ポリカーボネート樹脂の分解反応においてアルカリ金属水酸化物水溶液が使用される。アルカリ金属水酸化物として具体的には水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムが好ましく使用され、特に水酸化ナトリウムが好ましい。
アルカリ金属水酸化物の使用量は、ポリカーボネート樹脂のカーボネート結合1モルに対し4.1〜8.0モルが好ましい。使用量が4.1モルより少ないと分解反応が非常に遅く、8.0モルより多いとコストが高くなり、かつ、芳香族ジヒドロキシ化合物を単離、回収する際に使用する酸水溶液の量も多くなり、経済的に不利となる。
アルカリ金属水酸化物は水溶液の状態で使用する。アルカリ金属水酸化物の濃度は、35重量%〜55重量%が好ましい。35重量%より低いと分解速度が遅くなり、55重量%を超えるとアルカリ金属水酸化物が析出しスラリーになりやすく、スラリーになった場合かえって反応が遅くなる。
本発明において、分解反応を行う温度は30℃〜120℃が好ましく、30℃〜50℃がより好ましい。30℃未満の場合は分解反応時間が長くなり、処理効率が著しく劣ることがある。また、120℃を越えると、加熱のエネルギーが多く必要となり、さらに分解処理中に溶液の色が褐色に着色し易くなり、品質の良い芳香族ジヒドロキシ化合物の水溶液が得られなくなることがある。また、沸点以上においての反応は圧力容器が必要となり、設備費がかかり経済的に不利となる。
分解反応中に生成した芳香族ジヒドロキシ化合物は、塩基性条件下では酸化されやすいので、反応溶液中に酸化防止剤を添加することが好ましい。また、工程内の酸素濃度を不活性ガスにより、低減しておくことも有効である。
酸化防止剤として、重亜硫酸ナトリウム(Na)、亜硫酸ナトリウム(NaSO)、ハイドロサルファイトナトリウム(Na)、チオ硫酸ナトリウム(Na)等が挙げられる。これらを1種または2種以上混合して用いても差し支えない。酸化防止剤の使用量は芳香族ポリカーボネート100重量部に対し、0.05〜4重量部が好ましい。0.05〜4重量部の範囲であると酸化防止効果があり、また、コスト的に有利で、分解反応速度が低下せず好ましい。
不活性ガスの種類として、窒素、アルゴン等が挙げられる。窒素がコスト的に有利であり好ましい。
本発明における芳香族ポリカーボネート樹脂の分解反応は、界面反応であり、有機溶媒に溶解、または膨潤している芳香族ポリカーボネート樹脂がアルカリ金属水酸化物水溶液と攪拌され、界面で接触して分解される。この反応は不可逆であり、芳香族ポリカーボネート樹脂のカーボネート結合が切れ、芳香族ジヒドロキシ化合物金属塩と炭酸金属塩に分解する。
生成する芳香族ジヒドロキシ化合物金属塩と炭酸金属塩が金属水酸化物水溶液に溶解せず、固型分として析出している場合は、解重合反応後の反応液に水を加えて析出した固型分を溶解させる。加える水の量は、完全に固体が溶解する量以上を投入するが、多く投入しすぎると水溶液中の芳香族ジヒドロキシ化合物金属塩濃度が低下し、次の芳香族ポリカーボネート製造工程において反応速度の低下、廃液蒸留コスト増となるので、完全に固体が溶解する量の最小量が好ましい。解重合反応後の反応液に水を加え析出した固型分を溶解させると有機溶媒相と芳香族ジヒドロキシ化合物金属塩の水溶液相(芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液相)との2つの相に分離する。
有機溶媒相と芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液相との2つの相をデカンター等の液液分離器で分離して水相を回収する。この回収した芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液は液液分離器において分離が不十分であると、アルカリ水溶液相に粒状に浮遊している有機溶媒相が次の工程に混入し、製品に影響を及ぼすので、アルカリ水溶液相をハロゲン化炭化水素化合物溶媒に接触させ、可能な限り除去することが好ましい。この方法は、洗浄塔による接触、撹拌機、液液分離器による分離、遠心分離機など、公知の方法が使用できる。
上記の操作により得られた芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液は、(i)そのまま芳香族ポリカーボネート製造工程に使用することができ、あるいは(ii)かかるアルカリ水溶液から固体の芳香族ジヒドロキシ化合物を得、精製した固体の芳香族ジヒドロキシ化合物をアルカリ水溶液に溶解し、この芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を芳香族ポリカーボネート製造工程に使用することができる。
しかしながら、これらの芳香族ポリカーボネート製造工程に使用する芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液をそのまま貯蔵しておくと、芳香族ジヒドロキシ化合物の酸化が進み徐々に色相が悪化する。このような芳香族ジヒドロキシ化合物の酸化が進んだアルカリ水溶液を芳香族ポリカーボネートの原料として使用すると得られる芳香族ポリカーボネートは色相や熱安定性等の品質に劣ることとなる。
本発明においては、前記貯蔵する芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液に酸化防止剤を含有させて貯蔵する。
使用する酸化防止剤としては、重亜硫酸ナトリウム(Na)、亜硫酸ナトリウム(NaSO)、ハイドロサルファイトナトリウム(Na)、チオ硫酸ナトリウム(Na)等が挙げられ、特にハイドロサルファイトナトリウムが好ましい。これらを1種または2種以上混合して用いても差し支えない。
酸化防止剤の使用量は芳香族ポリカーボネート100重量部に対し0.05〜10重量部であり、0.05〜5重量部が好ましく、0.05〜3重量部がより好ましく、0.05〜1重量部がさらに好ましく、0.05〜0.5重量部が特に好ましい。前記範囲量の酸化防止剤を使用することにより、回収された芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を着色なく安定して貯蔵でき、この芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を芳香族ポリカーボネートの原料として使用すると色相および熱安定性の良好な芳香族ポリカーボネートが得られる。なお、貯蔵した芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を芳香族ポリカーボネートの原料として使用する際には酸化防止剤の量を芳香族ポリカーボネート100重量部に対し好ましくは0.05〜1重量部の範囲、より好ましくは0.05〜0.5重量部の範囲に調整することが望ましい。酸化防止剤の量が多すぎると反応性が低下しポリカーボネートが所望の分子量に達しないことがある。
また、貯蔵する芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液中のアルカリ金属水酸化物の濃度は5〜8重量%とすることが芳香族ジヒドロキシ化合物の溶解度が十分に高くなり好ましい。芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液中の濃度は14〜16.5重量%とすることが溶液の容積効率がよく生産性に優れ工業的に好ましい。なお、溶解した芳香族ジヒドロキシ化合物の析出を防ぐため25〜40℃の温度範囲で貯蔵することが好ましく、30〜35℃の温度範囲で貯蔵することがより好ましい。
また、回収した芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液と、購入した市販の芳香族ジヒドロキシ化合物を調合したアルカリ水溶液を任意の割合で混合して、芳香族ポリカーボネート製造工程に使用することもできる。
前記(ii)においてアルカリ水溶液から固体の芳香族ジヒドロキシ化合物を得る方法としては、アルカリ水溶液に酸を加えて、芳香族ジヒドロキシ化合物を析出させ、芳香族ジヒドロキシ化合物を単離、回収する方法が望ましい。
芳香族ジヒドロキシ化合物を析出させる好適な方法は、ハロゲン化炭化水素化合物溶媒の存在下あるいは非存在下、芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を攪拌および/または循環している造粒槽に、酸水溶液を加えるという方法である。該方法によれば、水相、有機溶媒相に溶解しない芳香族ジヒドロキシ化合物がスラリーとして得られ、このスラリーをろ過することにより、芳香族ジヒドロキシ化合物を得ることができる。水相の最終pHは4〜10にするのが好ましい。さらに好ましくはpH6〜8.5の範囲である。
使用する酸水溶液の酸の種類は特に限定はないが、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸が好ましく用いられる。
固体として得られた芳香族ジヒドロキシ化合物のろ過は、ろ過器、遠心分離機等を使用する方法が挙げられる。遠心分離機を使用する方法がろ過後の含液率が低く好ましい。
該方法で得られた芳香族ジヒドロキシ化合物は、水相、有機溶媒相に存在していた芳香族ジヒドロキシ化合物以外の末端停止剤、成型品中に含まれる安定剤等の添加剤、ポリカーボネート由来の炭酸塩、金属水酸化物と酸水溶液が反応して生成した中性塩等が含まれていることがある。これらの不純物は、純水およびハロゲン化炭化水素化合物溶剤と接触、洗浄することにより、除去が可能であり、芳香族ジヒドロキシ化合物の純度がさらに向上する。
洗浄の方法は、固体の芳香族ジヒドロキシ化合物を攪拌槽に移し、水、ハロゲン化炭化水素化合物溶剤を同時、または別々に投入し、攪拌、ろ過する方法、遠心分離機内で水、ハロゲン化炭化水素化合物溶剤を同時、または別々に振りかけそのまま遠心分離で脱液する方法などが挙げられる。
回収された固形の芳香族ジヒドロキシ化合物は、上述したように酸化防止剤を含有するアルカリ金属水酸化物水溶液に所望の濃度で溶解し、芳香族ポリカーボネートの製造に使用する。その際、芳香族ジヒドロキシ化合物をアルカリ金属水酸化物水溶液に溶解した溶液を加熱し、残存する有機溶媒を揮発したものを使用することも好ましい。
本発明の方法で回収した芳香族ジヒドロキシ化合物を原料として用いて得られるポリカーボネート樹脂は、色相および熱安定性に優れることから、例えば光磁気ディスク、各種追記型ディスク、デジタルオーディオディスク(いわゆるコンパクトディスク)、光学式ビデオディスク(いわゆるレーザディスク)、デジタル・バーサイル・ディスク(DVD)等の光学ディスク基板用の材料として、あるいはシリコンウエハー等の精密機材収納容器の材料として好適に使用でき、殊に光学ディスク基板用の材料として好適に採用される。
本発明によれば、廃芳香族ポリカーボネート樹脂を分解して得られた芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を酸化防止剤を含有させて貯蔵することにより、高品質の芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液が保持され、この芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液は芳香族ポリカーボネート製造の原材料として再利用できる。したがって、本発明の奏する工業的効果は格別である。
以下に実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。特に断り書きのない場合、部は重量部を表す。なお、評価は次に示す方法で行った。
(1)ビスフェノールAのアルカリ水溶液のAPHA
実施例で得られたビスフェノールAのアルカリ水溶液(ビスフェノールAの濃度16重量%、アルカリ濃度7重量%)をJIS K 0071に準拠してAPHAを求めた。
(2)粘度平均分子量
粘度平均分子量は塩化メチレン100mLにポリカーボネート樹脂0.7gを溶解した20℃の溶液から求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めた。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−40.83
c=0.7
(3)色相(b値)
ポリカーボネート樹脂ペレットを射出成形機(日本製鋼所(株)製:日鋼アンカー V−17−65型)を用い、シリンダー温度340℃で、厚さ2mmの50mm角板を成形した。その成形板を色差計(日本電色(株)製)を用いてb値を測定した。
(4)熱安定性(△E)
ポリカーボネート樹脂ペレットを射出成形機(日本製鋼所(株)製:日鋼アンカー V−17−65型)を用い、シリンダー温度340℃で10分間滞留させたものとさせないものの試験片(厚さ2mmの50mm角板)をそれぞれ作成し、その色相の変化(△E)を測定した。色相の変化は、色差計(日本電色(株)製)でそれぞれのL、a、b値を測定し、下記式を用いて算出した。ΔEは値が小さいほどが熱安定性に優れる。
ΔE=[(L′−L)+(a′−a)+(b′−b)1/2
(L、a、bは滞留させないもの、L′、a′、b′は10分間滞留させたもの)
[実施例1]
攪拌槽に市販のコンパクトディスク100部と塩化メチレン600部を投入し、6時間攪拌した。温度計、撹拌機及び還流冷却器、水浴付き反応器に、前記攪拌したポリカーボネートの塩化メチレン溶液264部(ドープ濃度14.2%)、50%水酸化ナトリウム水溶液71部、ハイドロサルファイトナトリウム0.6部を投入し、攪拌した。その後、水浴温度を40℃に調節したところ、8分後に激しく還流が始まり、20分後には激しさは収まった。反応5時間後、内部は固体が析出しており、固体を一部取り分析したところ、ビスフェノールAナトリウム塩と炭酸ナトリウムであった。水浴の温度調節を止めて、337.5部の純水を投入し、1時間攪拌を継続して固体を溶解した。溶解液を目開き5μmの金属製フィルターで濾過した。
分液ロートに反応混合物を移し、455部の水相と224部の有機相に分離した。水相はアルカリ性水溶液であり、ビスフェノールA、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、p−ターシャリーブチルフェノールナトリウム塩を含んでいた。また、有機相はエバポレータで塩化メチレンを蒸発、回収し、残さは廃棄した。残さは未反応ポリカーボネートと添加剤の分解物であり、重量を測定したところ1.1部であった。
分離した水相455部に塩化メチレン100部を加え、激しく混合したあと静置し、水相と塩化メチレン相と分離した。塩化メチレンはエバポレータで回収した。この操作を3回繰り返し行い、洗浄されたビスフェノールA水溶液(ビスフェノールA濃度76.6g/L)を得た。
ビスフェノールA水溶液455部を、温度計、撹拌機及び還流冷却器付き反応器に移し、新たに塩化メチレン170部を加えて攪拌した。攪拌しながら98%濃硫酸36.1部を滴下ロートを使用し1時間かけて滴下した。攪拌を停止させ、内部を確認すると、反応器内は水相、塩化メチレン相、析出したビスフェノールAの3相に分かれていた。
このスラリーを遠心分離機で濾過し、遠心分離機内で運転しながら、塩化メチレン45部、電気伝導度が10μS/cmの純水45部、塩化メチレン45部、電気伝導度が10μS/cmの純水45部をそれぞれ5分間かけてこの順番で固体に振りかけ、リンス洗浄を行いビスフェノールAの固体を得た。
攪拌槽に、イオン交換水650部、25%水酸化ナトリウム水溶液252部、ジクロロメタン13部およびハイドロサルファイトナトリウム0.34部を入れ、混合した。その後、前記固体のビスフェノールA170部を加え、内温を30℃に保持しながら40分間で溶解し、ビスフェノールA水溶液を調製した。なお、このビスフェノールA水溶液のAPHAを測定したところ、溶解直後で10、3日後で10、7日後でも10であった。
[実施例2]
実施例1において、ハイドロサルファイトナトリウムを0.09部とした以外は実施例1と同様の操作を行なった。なお、このビスフェノールA水溶液のAPHAを測定したところ、溶解直後で10、3日後で10、7日後でも15であった。
[実施例3]
実施例1において、ハイドロサルファイトナトリウムを3.4部とした以外は実施例1と同様の操作を行なった。なお、このビスフェノールA水溶液のAPHAを測定したところ、溶解直後で10、3日後で10、7日後でも10であった。
[比較例1]
実施例1において、固体のビスフェノールAを溶解する水酸化ナトリウム水溶液にハイドロサルファイトナトリウムを加えなかった以外は実施例1と同様の操作を行なった。なお、このビスフェノールA水溶液のAPHAを測定したところ、溶解直後で20、3日後で40、7日後では100以上であった。
[参考例1]ポリカーボネート樹脂の製造
(A)温度計、攪拌機、還流冷却器および水浴付き反応器に、イオン交換水650部、25%水酸化ナトリウム水溶液252部を入れ、これに購入したビスフェノールA170部、ジクロロメタン13部およびハイドロサルファイトナトリウム0.34部を加え、内温を30℃に保持しながら40分間で溶解し、ビスフェノールA水溶液を調製した。
(B)温度計、攪拌機、還流冷却器、ホスゲン吹き込み管および水浴付き反応器に、(A)で調製したビスフェノールA水溶液367部とジクロロメタン181部を加え、攪拌下15〜25℃でホスゲン28.3部を40分間を要して、吹き込んだ。ホスゲン吹き込み終了後48%水酸化ナトリウム水溶液7.2部および固形のp−t−ブチルフェノール1.55部を添加、乳化せしめた後、10分後にトリエチルアミン0.06部を加え、さらに28〜33℃で1時間攪拌して反応を終了した。反応終了後生成物にジクロロメタン400部を加え混合した後、攪拌を停止し、水相と有機相を分離して、ポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液を得た。(この操作を反応器2機用いて繰り返し行った。)
この有機溶媒溶液に水150部を加えて攪拌混合した後、攪拌を停止し、水相と有機相を分離した。この有機相にpH3の塩酸200部を加え、攪拌混合しトリエチルアミンを水相に抽出した後、攪拌を停止して有機相と水相とを分離した。分離して得た有機相にイオン交換水200部を加え、攪拌混合した後、攪拌を停止し有機相と水相とを分離した。この操作を水相の導電率がイオン交換水とほとんど同じになるまで(4回)繰り返した。得られた精製PC有機溶媒溶液をSUS304製の孔径1μmのフィルターでろ過した。
次に該有機溶媒溶液を軸受け部に異物取り出し口を有する隔離室を設けた内壁の材質がSUS316L製の1000Lニーダーにイオン交換水100Lとともに投入し、水温42℃にてジクロロメタンを蒸発させて粉粒体とし、該粉粒体を水温95℃に制御された攪拌機付き熱水処理槽に投入し、粉粒体25部対水75部の混合比で30分間攪拌混合した。この粉粒体を遠心分離機で脱水してジクロロメタン0.5重量%と水45重量%を含有する粉粒体を得た。この粉粒体を140℃に制御されているSUS316L製伝導受熱式溝型2軸攪拌連続乾燥機に50Kg/h(ポリカーボネート樹脂換算)で連続供給して、平均乾燥時間3時間の条件で乾燥し粉粒体を得た。
該粉粒体100部にトリス(2,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト0.01部、4,4′−ビフェニレンジホスホフィン酸テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)0.01部およびステアリン酸モノグリセリド0.08部を加え混合した後、この粉粒体をベント式2軸押出し機(東芝機械(株)製TEX−50B)にてシリンダー温度280℃、乾式真空ポンプを用いてベント吸引圧700Paで吸引脱気しながら溶融混練押出し、ペレットを得、このペレットの粘度平均分子量を測定した。また得られたペレットを成形して、色相と熱安定性を評価し、その結果を表1に示した。
[実施例4]
参考例1(B)において、参考例1(A)で調製したビスフェノールA水溶液の代わりに実施例1で調製した7日後のビスフェノールA水溶液を用いた以外は参考例1と同様な操作を行いペレットを得、このペレットの粘度平均分子量を測定した。また得られたペレットを成形して、色相と熱安定性を評価し、その結果を表1に示した。
[実施例5]
参考例1(B)において、参考例1(A)で調製したビスフェノールA水溶液の代わりに実施例1で得られた洗浄されたビスフェノールA水溶液(ビスフェノールA濃度76.6g/L)に実施例1で得られた固体のビスフェノールAを加えビスフェノールA濃度を調製して(ビスフェノールA濃度16重量%)、この水溶液を7日間放置して用いた以外は参考例1と同様な操作を行いペレットを得、このペレットの粘度平均分子量を測定した。また得られたペレットを成形して、色相と熱安定性を評価し、その結果を表1に示した。
[実施例6]
参考例1(B)において、参考例1(A)で調製したビスフェノールA水溶液の代わりに実施例2で調製した7日後のビスフェノールA水溶液を用いた以外は参考例1と同様な操作を行いペレットを得、このペレットの粘度平均分子量を測定した。また得られたペレットを成形して、色相と熱安定性を評価し、その結果を表1に示した。
[実施例7]
参考例1(B)において、参考例1(A)で調製したビスフェノールA水溶液の代わりに実施例3で調製した7日後のビスフェノールA水溶液を用いた以外は参考例1と同様な操作を行いペレットを得、このペレットの粘度平均分子量を測定した。また得られたペレットを成形して、色相と熱安定性を評価し、その結果を表1に示した。
[比較例2]
参考例1(B)において、参考例1(A)で調製したビスフェノールA水溶液の代わりに比較例1で調製した7日後のビスフェノールA水溶液を用いた以外は参考例1と同様な操作を行いペレットを得、このペレットの粘度平均分子量を測定した。また得られたペレットを成形して、色相と熱安定性を評価し、その結果を表1に示した。
Figure 0004571414

Claims (3)

  1. 廃芳香族ポリカーボネート樹脂を有機溶媒に溶解し、この有機溶媒溶液中のポリカーボネート樹脂をアルカリ金属水酸化物水溶液の存在下に分解し、分解後の反応溶液を有機溶媒相とアルカリ水溶液相とに分液し、得られたアルカリ水溶液に、重亜硫酸ナトリウム(Na )、亜硫酸ナトリウム(Na SO )、ハイドロサルファイトナトリウム(Na )またはチオ硫酸ナトリウム(Na )である酸化防止剤を芳香族ジヒドロキシ化合物100重量部に対して0.05〜10重量部含有させて貯蔵することを特徴とする廃芳香族ポリカーボネート樹脂の分解により得られた芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液の貯蔵方法。
  2. 廃芳香族ポリカーボネート樹脂を有機溶媒に溶解し、この有機溶媒溶液中のポリカーボネート樹脂をアルカリ金属水酸化物水溶液の存在下に分解し、分解後の反応溶液を有機溶媒相とアルカリ水溶液相とに分液し、得られたアルカリ水溶液から固体の芳香族ジヒドロキシ化合物を得、次いで得られた固体の芳香族ジヒドロキシ化合物を、溶解させる芳香族ジヒドロキシ化合物100重量部に対して0.05〜10重量部の重亜硫酸ナトリウム(Na )、亜硫酸ナトリウム(Na SO )、ハイドロサルファイトナトリウム(Na )またはチオ硫酸ナトリウム(Na )である酸化防止剤を含有するアルカリ金属水酸化物水溶液に溶解し貯蔵することを特徴とする廃芳香族ポリカーボネート樹脂の分解により得られた芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液の貯蔵方法。
  3. 請求項1〜のいずれか1項に記載の方法により貯蔵された芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を得、得られた芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を芳香族ポリカーボネートの製造工程に用いる芳香族ポリカーボネートの製造方法。
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