JP4571414B2 - 廃芳香族ポリカーボネート樹脂の分解により得られた芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液の貯蔵方法 - Google Patents
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Description
1.廃芳香族ポリカーボネート樹脂を有機溶媒に溶解し、この有機溶媒溶液中のポリカーボネート樹脂をアルカリ金属水酸化物水溶液の存在下に分解し、分解後の反応溶液を有機溶媒相とアルカリ水溶液相とに分液し、得られたアルカリ水溶液に、重亜硫酸ナトリウム(Na 2 S 2 O 5 )、亜硫酸ナトリウム(Na 2 SO 3 )、ハイドロサルファイトナトリウム(Na 2 S 2 O 4 )またはチオ硫酸ナトリウム(Na 2 S 2 O 3 )である酸化防止剤を芳香族ジヒドロキシ化合物100重量部に対して0.05〜10重量部含有させて貯蔵することを特徴とする廃芳香族ポリカーボネート樹脂の分解により得られた芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液の貯蔵方法。
が提供される。
本発明において、使用される廃芳香族ポリカーボネートは、界面重合法や溶融重合法等公知の方法で製造されたものでよく、分子量は粘度平均分子量で1000〜100000のものが好ましく、10000〜30000のものが特に好ましい。廃芳香族ポリカーボネートの形状はパウダー、ペレット、シート、フィルム、成形品等特に限定されない。また、分解に用いられる廃芳香族ポリカーボネートとして、ポリカーボネート製造途中に目標とする分子量に到達せず、パウダーあるいはペレット化されなかったポリカーボネートの溶液から溶媒を除去し、乾燥した固形物でもよい。本発明では、特にCD、CD−R、DVD等の光ディスクにおいて、廃棄されたものや成形不良のものなど不要になった廃光ディスクが好ましく使用される。ここで、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(M)は塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液から求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたものである。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−4M0.83
c=0.7
前記有機溶媒としては25℃における芳香族ポリカーボネート樹脂の溶解度が50g/L以上である溶媒が好ましく、具体的にはジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、ジクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素化合物溶媒が好ましく、ジクロロメタン、ジクロロエタンまたはクロロホルムがより好ましく、ジクロロメタン(塩化メチレン)が特に好ましく用いられる。これらの溶媒は芳香族ポリカーボネート樹脂の良溶媒で、芳香族ポリカーボネート樹脂の製造工程に反応溶媒として用いられており、分解して得られた芳香族ジヒドロキシ化合物にこれらの有機溶媒が残留していても、芳香族ポリカーボネート樹脂の製造に悪影響を及ぼさない利点がある。
実施例で得られたビスフェノールAのアルカリ水溶液(ビスフェノールAの濃度16重量%、アルカリ濃度7重量%)をJIS K 0071に準拠してAPHAを求めた。
粘度平均分子量は塩化メチレン100mLにポリカーボネート樹脂0.7gを溶解した20℃の溶液から求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めた。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−4M0.83
c=0.7
ポリカーボネート樹脂ペレットを射出成形機(日本製鋼所(株)製:日鋼アンカー V−17−65型)を用い、シリンダー温度340℃で、厚さ2mmの50mm角板を成形した。その成形板を色差計(日本電色(株)製)を用いてb値を測定した。
ポリカーボネート樹脂ペレットを射出成形機(日本製鋼所(株)製:日鋼アンカー V−17−65型)を用い、シリンダー温度340℃で10分間滞留させたものとさせないものの試験片(厚さ2mmの50mm角板)をそれぞれ作成し、その色相の変化(△E)を測定した。色相の変化は、色差計(日本電色(株)製)でそれぞれのL、a、b値を測定し、下記式を用いて算出した。ΔEは値が小さいほどが熱安定性に優れる。
ΔE=[(L′−L)2+(a′−a)2+(b′−b)2]1/2
(L、a、bは滞留させないもの、L′、a′、b′は10分間滞留させたもの)
攪拌槽に市販のコンパクトディスク100部と塩化メチレン600部を投入し、6時間攪拌した。温度計、撹拌機及び還流冷却器、水浴付き反応器に、前記攪拌したポリカーボネートの塩化メチレン溶液264部(ドープ濃度14.2%)、50%水酸化ナトリウム水溶液71部、ハイドロサルファイトナトリウム0.6部を投入し、攪拌した。その後、水浴温度を40℃に調節したところ、8分後に激しく還流が始まり、20分後には激しさは収まった。反応5時間後、内部は固体が析出しており、固体を一部取り分析したところ、ビスフェノールAナトリウム塩と炭酸ナトリウムであった。水浴の温度調節を止めて、337.5部の純水を投入し、1時間攪拌を継続して固体を溶解した。溶解液を目開き5μmの金属製フィルターで濾過した。
実施例1において、ハイドロサルファイトナトリウムを0.09部とした以外は実施例1と同様の操作を行なった。なお、このビスフェノールA水溶液のAPHAを測定したところ、溶解直後で10、3日後で10、7日後でも15であった。
実施例1において、ハイドロサルファイトナトリウムを3.4部とした以外は実施例1と同様の操作を行なった。なお、このビスフェノールA水溶液のAPHAを測定したところ、溶解直後で10、3日後で10、7日後でも10であった。
実施例1において、固体のビスフェノールAを溶解する水酸化ナトリウム水溶液にハイドロサルファイトナトリウムを加えなかった以外は実施例1と同様の操作を行なった。なお、このビスフェノールA水溶液のAPHAを測定したところ、溶解直後で20、3日後で40、7日後では100以上であった。
(A)温度計、攪拌機、還流冷却器および水浴付き反応器に、イオン交換水650部、25%水酸化ナトリウム水溶液252部を入れ、これに購入したビスフェノールA170部、ジクロロメタン13部およびハイドロサルファイトナトリウム0.34部を加え、内温を30℃に保持しながら40分間で溶解し、ビスフェノールA水溶液を調製した。
参考例1(B)において、参考例1(A)で調製したビスフェノールA水溶液の代わりに実施例1で調製した7日後のビスフェノールA水溶液を用いた以外は参考例1と同様な操作を行いペレットを得、このペレットの粘度平均分子量を測定した。また得られたペレットを成形して、色相と熱安定性を評価し、その結果を表1に示した。
参考例1(B)において、参考例1(A)で調製したビスフェノールA水溶液の代わりに実施例1で得られた洗浄されたビスフェノールA水溶液(ビスフェノールA濃度76.6g/L)に実施例1で得られた固体のビスフェノールAを加えビスフェノールA濃度を調製して(ビスフェノールA濃度16重量%)、この水溶液を7日間放置して用いた以外は参考例1と同様な操作を行いペレットを得、このペレットの粘度平均分子量を測定した。また得られたペレットを成形して、色相と熱安定性を評価し、その結果を表1に示した。
参考例1(B)において、参考例1(A)で調製したビスフェノールA水溶液の代わりに実施例2で調製した7日後のビスフェノールA水溶液を用いた以外は参考例1と同様な操作を行いペレットを得、このペレットの粘度平均分子量を測定した。また得られたペレットを成形して、色相と熱安定性を評価し、その結果を表1に示した。
参考例1(B)において、参考例1(A)で調製したビスフェノールA水溶液の代わりに実施例3で調製した7日後のビスフェノールA水溶液を用いた以外は参考例1と同様な操作を行いペレットを得、このペレットの粘度平均分子量を測定した。また得られたペレットを成形して、色相と熱安定性を評価し、その結果を表1に示した。
参考例1(B)において、参考例1(A)で調製したビスフェノールA水溶液の代わりに比較例1で調製した7日後のビスフェノールA水溶液を用いた以外は参考例1と同様な操作を行いペレットを得、このペレットの粘度平均分子量を測定した。また得られたペレットを成形して、色相と熱安定性を評価し、その結果を表1に示した。
Claims (3)
- 廃芳香族ポリカーボネート樹脂を有機溶媒に溶解し、この有機溶媒溶液中のポリカーボネート樹脂をアルカリ金属水酸化物水溶液の存在下に分解し、分解後の反応溶液を有機溶媒相とアルカリ水溶液相とに分液し、得られたアルカリ水溶液に、重亜硫酸ナトリウム(Na 2 S 2 O 5 )、亜硫酸ナトリウム(Na 2 SO 3 )、ハイドロサルファイトナトリウム(Na 2 S 2 O 4 )またはチオ硫酸ナトリウム(Na 2 S 2 O 3 )である酸化防止剤を芳香族ジヒドロキシ化合物100重量部に対して0.05〜10重量部含有させて貯蔵することを特徴とする廃芳香族ポリカーボネート樹脂の分解により得られた芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液の貯蔵方法。
- 廃芳香族ポリカーボネート樹脂を有機溶媒に溶解し、この有機溶媒溶液中のポリカーボネート樹脂をアルカリ金属水酸化物水溶液の存在下に分解し、分解後の反応溶液を有機溶媒相とアルカリ水溶液相とに分液し、得られたアルカリ水溶液から固体の芳香族ジヒドロキシ化合物を得、次いで得られた固体の芳香族ジヒドロキシ化合物を、溶解させる芳香族ジヒドロキシ化合物100重量部に対して0.05〜10重量部の重亜硫酸ナトリウム(Na 2 S 2 O 5 )、亜硫酸ナトリウム(Na 2 SO 3 )、ハイドロサルファイトナトリウム(Na 2 S 2 O 4 )またはチオ硫酸ナトリウム(Na 2 S 2 O 3 )である酸化防止剤を含有するアルカリ金属水酸化物水溶液に溶解し貯蔵することを特徴とする廃芳香族ポリカーボネート樹脂の分解により得られた芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液の貯蔵方法。
- 請求項1〜2のいずれか1項に記載の方法により貯蔵された芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を得、得られた芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を芳香族ポリカーボネートの製造工程に用いる芳香族ポリカーボネートの製造方法。
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