JP4571398B2 - 廃芳香族ポリカーボネート樹脂から芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を得る方法 - Google Patents

廃芳香族ポリカーボネート樹脂から芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を得る方法 Download PDF

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Description

本発明は廃芳香族ポリカーボネートを化学的に分解し、芳香族ジヒドロキシ化合物を得る方法に関する。また、分解して得られた芳香族ジヒドロキシ化合物を原料として用いる芳香族ポリカーボネートの製造方法に関する。
芳香族ポリカーボネート(以下、PCと略すことがある)は、優れた機械的性質、電気的性質、透明性、耐熱性、耐候性等を有していて、コンパクトディスク等の光ディスク、シート、レンズ、自動車部品、OA機器部品、カメラボディー、建築材料等多様な用途に利用されている材料であり、その需要は年々増加している。これに伴って排出される廃PCの量も増加している。廃棄されるPC製品の多くは、一般のプラスチック同様に焼却や埋め立て等の方法で処理されている。しかしながら、これはPC等プラスチックの需要の増加から石油資源の枯渇を加速させるだけでなく、地球環境の悪化を招く。そこで、廃棄されたプラスチックを再利用(リサイクル)することが重要になってきた。
廃プラスチックをリサイクルする方法としては、(1)廃プラスチックを熱エネルギーとして回収するサーマルリサイクル、(2)廃プラスチックを製品にある割合で混合し、加工して製品とするマテリアルリサイクル、(3)廃プラスチックを化学的に分解してプラスチックの原材料として回収して、プラスチック製造に再利用するケミカルリサイクルがある。これらのうち、サーマルリサイクルはプラスチックを焼却して熱を取り出すので、二酸化炭素を生成し、本質的には地球環境を破壊し、資源を減少させていることになる。マテリアルリサイクルは、資源の消費や環境の負荷は一番少なく望ましいが、プラスチック自身の劣化は否めず、混合できる製品が限定され、混入できる割合が少なく、リサイクルできる量が限られるという問題がある。一方ケミカルリサイクルはプラスチックを原材料まで分解するので、新たなプラスチックの製造に利用され、元の製品を含め広範囲の用途に利用できるので、産業上有用なりリサイクル方法といえる。
PCをケミカルリサイクルする方法として、過剰のアルカリ水溶液で分解させ、中和して芳香族ジヒドロキシ化合物を生成する方法は昔から知られており、例えば特許文献1には、PCと1〜30%のアルカリ水溶液を耐圧容器に入れ、100℃以上、好ましくは150℃以上で加水分解後、酸性にした後メタノールに溶解し、活性炭処理して着色成分を除去後、再沈殿して白色ビスフェノールを得ている。特許文献2には、ポリカーボネートスクラップをバルクまたは溶液でケン化し、未ケン化の成分を分離し、ケン化混合物をホスゲン化し、まったく精製工程および処理工程なしでポリカーボネート重合工程に用いる方法が示されている。特許文献3には、アルカリ触媒存在下、PCをフェノールで分解し、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジアリールを回収する方法が示されている。また、特許文献4には、トルエン、キシレン、ベンゼンまたはジオキサン溶剤中で、少量のアルカリを触媒として、エステル交換反応を行い、炭酸ジアルキルと芳香族ジヒドロキシ化合物を得る方法が示されている。また、特許文献5には、PCを塩化アルキル、エーテル類または芳香族炭化水素系溶媒等の溶媒と触媒としての3級アミンの存在下、低級アルコールとエステル交換させて芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジアルキルを得る方法が提案されている。
しかしながら、特許文献1の方法は薄いアルカリ性水溶液を用いているので反応が高温になり、得られた芳香族ジヒドロキシ化合物の純度が低く、精製に大きな労力が必要となる。特許文献2の方法は精製工程なしで重合反応に使用するので、プラスチックにほぼ必須である、添加剤、着色剤などをPC製造工程に混入することになり、製品品質に影響を及ぼす。また、末端停止剤が反応初期段階に混入することになるので、レンズやコンパクトディスク等の市場で求められているような精密な分子量制御は困難である。特許文献3〜5の方法は、炭酸ジアリールや炭酸ジアルキル等の副生成物が生成し、目的とする芳香族ジヒドロキシ化合物の分離回収工程が煩雑になる。
特公昭40−016536号公報 特開昭54−048869号公報 特開平06−056985号公報 特開平10−259151号公報 特開2002−212335号公報
本発明の目的は、廃芳香族ポリカーボネート(例えば不要となったCD、CD−ROM、DVD等の芳香族ポリカーボネート製品)を安価で大量に処理し、高純度の芳香族ジヒドロキシ化合物を得る方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、得られた芳香族ジヒドロキシ化合物を用いてCD等に使用できる高品質の芳香族ポリカーボネートを製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、廃芳香族ポリカーボネートを有機溶媒に溶かし、これにアルカリ金属水酸化化合物を加え、芳香族ポリカーボネートの分解を行い芳香族ジヒドロキシ化合物を得る方法において、廃芳香族ポリカーボネートを分解した後の溶液中に不溶異物が多いと、得られた芳香族ジヒドロキシ化合物を芳香族ポリカーボネート製造の原料に用いた際に、得られる芳香族ポリカーボネート中の異物量が市販の芳香族ジヒドロキシ化合物を用いた場合より増えることが判り、その対処法を種々検討した結果、廃芳香族ポリカーボネートを分解した後の溶液をろ過してそのろ液を使用することにより、上記目的が達成されることを見出し本発明に到達した。
すなわち、本発明によれば、
1.廃芳香族ポリカーボネート樹脂を有機溶媒に溶解し、この有機溶媒溶液中のポリカーボネート樹脂をアルカリ金属水酸化物水溶液の存在下に分解して芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を得る方法において、(ii)分解後の反応溶液を水相と有機相に分液して水相を回収し、その後水相をろ過することを特徴とする廃芳香族ポリカーボネート樹脂から芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を得る方法。
2.廃芳香族ポリカーボネート樹脂を有機溶媒に溶解し、この有機溶媒溶液中のポリカーボネート樹脂をアルカリ金属水酸化物水溶液の存在下に分解して芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を得る方法において、分解後の溶液に水を加えて析出した固型分を溶解させ、(ii)この溶液を水相と有機相に分液して水相を回収し、その後水相をろ過することを特徴とする廃芳香族ポリカーボネート樹脂から芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を得る方法。
3.廃光ディスクを有機溶媒と混合して廃光ディスクに使用されている芳香族ポリカーボネート樹脂を有機溶媒に溶解し、この有機溶媒溶液中のポリカーボネート樹脂をアルカリ金属水酸化物水溶液の存在下に分解して芳香族ジヒドロキシ化合物を得る方法において、(ii)分解後の反応溶液を水相と有機相に分液して水相を回収し、その後水相をろ過することを特徴とする廃芳香族ポリカーボネート樹脂から芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を得る方法。
4.廃光ディスクを有機溶媒と混合して廃光ディスクに使用されている芳香族ポリカーボネート樹脂を有機溶媒に溶解し、この有機溶媒溶液中のポリカーボネート樹脂をアルカリ金属水酸化物水溶液の存在下に分解して芳香族ジヒドロキシ化合物を得る方法において、分解後の反応溶液に水を加えて析出した固型分を溶解させ、(ii)この溶液を水相と有機相に分液して水相を回収し、その後水相をろ過することを特徴とする廃芳香族ポリカーボネート樹脂から芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を得る方法。
5.有機溶媒は、ハロゲン化炭化水素化合物からなる有機溶媒である前項1〜4のいずれか1項に記載の廃芳香族ポリカーボネート樹脂から芳香族ジヒドロキシ化合物を得る方法。
6.有機溶媒は、ジクロロメタン、ジクロロエタンまたはクロロホルムである前項1〜4のいずれか1項に記載の廃芳香族ポリカーボネート樹脂から芳香族ジヒドロキシ化合物を得る方法。
7.前記ろ過は、孔径1〜10μmのフィルターでろ過する前項1〜4のいずれか1項に記載の廃芳香族ポリカーボネート樹脂から芳香族ジヒドロキシ化合物を得る方法。
8.前記ろ過は、孔径20μm以上のフィルターでろ過した後、孔径1〜10μm以下のフィルターでろ過する前項1〜4のいずれか1項記載の廃芳香族ポリカーボネート樹脂から芳香族ジヒドロキシ化合物を得る方法。
9.前項1〜4のいずれか1項記載の方法で芳香族ジヒドロキシ化合物を得、得られた芳香族ジヒドロキシ化合物をポリカーボネートの製造工程に用いる芳香族ポリカーボネートの製造方法。
が提供される。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、使用される廃芳香族ポリカーボネートは、界面重合法や溶融重合法等公知の方法で製造されたものでよく、分子量は粘度平均分子量で1000〜100000のものが好ましく、10000〜30000のものが特に好ましい。廃芳香族ポリカーボネートの形状はパウダー、ペレット、シート、フィルム、成形品等特に限定されない。また、分解に用いられる廃芳香族ポリカーボネートとして、ポリカーボネート製造途中に目標とする分子量に到達せず、パウダーあるいはペレット化されなかったポリカーボネートの溶液から溶媒を除去し、乾燥した固形物でもよい。本発明では、特にCD、CD−R、DVD等の光ディスクにおいて、廃棄されたものや成形不良のものなど不要になった廃光ディスクが好ましく使用される。ここで、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(M)は塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液から求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたものである。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−40.83
c=0.7
該芳香族ポリカーボネートは、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4′−ジヒドロキシジフェニル、1,4−ジヒドロキシナフタレン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−イソプロピル−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−フェニル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレン、α,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−o−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4′−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテルおよび4,4′−ジヒドロキシジフェニルエステル等のジヒドロキシ化合物の単独または2種以上の混合物から製造されたものである。
また、末端停止剤(分子量調節剤)としては、1価のフェノール化合物が好ましく用いられ、フェノール、p−クレゾール、p−エチルフェノール、p−イソプロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノール、p−シクロヘキシルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、2,4−キシレノール、p−メトキシフェノール、p−ヘキシルオキシフェノール、p−デシルオキシフェノール、o−クロロフェノール、m−クロロフェノール、p−クロロフェノール、p−ブロモフェノール、ペンタブロモフェノール、ペンタクロロフェノール、p−フェニルフェノール、p−イソプロペニルフェノール、2,4−ジ(1’−メチル−1’−フェニルエチル)フェノール、β−ナフトール、α−ナフトール、p−(2’,4’,4’−トリメチルクロマニル)フェノール、2−(4’−メトキシフェニル)−2−(4’’−ヒドロキシフェニル)プロパン等のフェノール類等の単独または2種以上の混合物が用いられる。
本発明においては、まず廃芳香族ポリカーボネート樹脂を有機溶媒に溶解する。
前記有機溶媒としては25℃における芳香族ポリカーボネート樹脂の溶解度が50g/L以上である溶媒が好ましく、具体的にはジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、ジクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素化合物溶媒が好ましく、ジクロロメタン、ジクロロエタンまたはクロロホルムがより好ましく、ジクロロメタン(塩化メチレン)が特に好ましく用いられる。これらの溶媒は芳香族ポリカーボネート樹脂の良溶媒で、芳香族ポリカーボネート樹脂の製造工程に反応溶媒として用いられており、分解して得られた芳香族ジヒドロキシ化合物にこれらの有機溶媒が残留していても、芳香族ポリカーボネート樹脂の製造に悪影響を及ぼさない利点がある。
有機溶媒の使用量は、廃芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し40〜2000重量部が好ましく、200〜1000重量部の範囲がより好ましい。有機溶媒の使用量が40重量部より少ないと芳香族ポリカーボネート樹脂が十分に溶解せず不溶部が増え収量が低下し、2000重量部より多いと分解反応時に分解速度が低下し分解反応時間が長くなり、また溶媒の回収コストも高くなる。なお、光ディスク等の成形品はあらかじめ0.1〜2cm程度の大きさに粉砕し、この粉砕物を溶解すると溶解時間が短縮されるため好ましい。
芳香族ポリカーボネート樹脂を有機溶媒に溶解した有機溶媒溶液はそのまま分解反応に使用してもよく、あるいはろ過してその濾液を分解反応に使用してもよい。
前記芳香族ポリカーボネート樹脂を有機溶媒に溶解した有機溶媒溶液は、この溶液中のポリカーボネート樹脂をアルカリ金属水酸化物の存在下に分解させる。
ポリカーボネート樹脂の分解反応においてアルカリ金属水酸化物水溶液が使用される。アルカリ金属水酸化物として具体的には水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムが好ましく使用され、特に水酸化ナトリウムが好ましい。
アルカリ金属水酸化物の使用量は、ポリカーボネート樹脂のカーボネート結合1モルに対し4.1〜8.0モルが好ましい。使用量が4.1モルより少ないと分解反応が非常に遅く、8.0モルより多いとコストが高くなり、かつ、芳香族ジヒドロキシ化合物を単離、回収する際に使用する酸水溶液の量も多くなり、経済的に不利となる。
アルカリ金属水酸化物は水溶液の状態で使用する。アルカリ金属水酸化物の濃度は、35重量%〜55重量%が好ましい。35重量%より低いと分解速度が遅くなり、55重量%を超えるとアルカリ金属水酸化物が析出しスラリーになりやすく、スラリーになった場合かえって反応が遅くなる。
本発明において、分解反応を行う温度は30℃〜120℃が好ましく、30℃〜50℃がより好ましい。30℃未満の場合は分解反応時間が長くなり、処理効率が著しく劣ることがある。また、120℃を越えると、加熱のエネルギーが多く必要となり、さらに分解処理中に溶液の色が褐色に着色し易くなり、品質の良い芳香族ジヒドロキシ化合物の水溶液が得られなくなることがある。また、沸点以上においての反応は圧力容器が必要となり、設備費がかかり経済的に不利となる。
分解反応中に生成した芳香族ジヒドロキシ化合物は、塩基性条件下では酸化されやすいので、反応溶液中に酸化防止剤を添加することが好ましい。また、工程内の酸素濃度を不活性ガスにより、低減しておくことも有効である。
酸化防止剤として、重亜硫酸ナトリウム(Na)、亜硫酸ナトリウム(NaSO)、ハイドロサルファイトナトリウム(Na)等が挙げられる。これらを1種または2種以上混合して用いても差し支えない。酸化防止剤の使用量は芳香族ポリカーボネート100重量部に対し、0.05〜4.0重量部が好ましい。0.05〜4.0重量部の範囲であると酸化防止効果があり、また、コスト的に有利で、分解反応速度が低下せず好ましい。
不活性ガスの種類として、窒素、アルゴン等が挙げられる。窒素がコスト的に有利であり好ましい。
本発明における芳香族ポリカーボネート樹脂の分解反応は、界面反応であり、有機溶媒に溶解、または膨潤している芳香族ポリカーボネート樹脂がアルカリ金属水酸化物水溶液と攪拌され、界面で接触して分解される。この反応は不可逆であり、芳香族ポリカーボネート樹脂のカーボネート結合が切れ、芳香族ジヒドロキシ化合物金属塩と炭酸金属塩に分解する。
生成する芳香族ジヒドロキシ化合物金属塩と炭酸金属塩が金属水酸化物水溶液に溶解せず、固型分として析出している場合は、解重合反応後の反応液に水を加えて析出した固型分を溶解させる。加える水の量は、完全に固体が溶解する量以上を投入するが、多く投入しすぎると水溶液中の芳香族ジヒドロキシ化合物金属塩濃度が低下し、次の芳香族ポリカーボネート製造工程において反応速度の低下、廃液蒸留コスト増となるので、完全に固体が溶解する量の最小量が好ましい。
これらの操作により得られた溶液は有機溶媒相と芳香族ジヒドロキシ化合物金属塩の水溶液相との2つの相からなる。そして、(ii)この溶液を水相と有機相に分液して水相を回収し、その後水相をろ過する操作が行なわれる。この操作により、溶液中に存在する添加剤、充填剤等の異物が取り除かれる。特に廃光ディスクを使用する際は、光ディスクの表面に印刷膜、金属膜、UV硬化膜等が施されており、これらの異物を除去することが重要である。これらの異物が存在すると芳香族ジヒドロキシ化合物の純度が低下し、この芳香族ジヒドロキシ化合物を芳香族ポリカーボネート樹脂の製造工程に使用すると得られる芳香族ポリカーボネート樹脂は色相に劣り熱安定性が低下し、芳香族ポリカーボネート樹脂中の異物量も多くなり、微小異物を嫌う光ディスク用の基板等の用途に使用できないこととなる。
記溶液を水相と有機溶剤相に分液して水相を回収する方法は、例えばデカンター等の液液分離器を使用して水相と有機溶剤相に分離して水相を回収する方法が採用される。
また、ろ過の方法としてはろ過器、遠心分離機等を使用する方法が挙げられる。
ろ過器は、好ましくは孔径1〜100μm、より好ましくは1〜50μm、さらに好ましくは1〜20μm、特に好ましくは1〜10μmのフィルターを備えている。この範囲の孔径を有するフィルターを使用することにより濾過時間が短く、またろ過されるべき印刷膜、金属膜、UV硬化膜、添加剤、充填剤等の異物がろ液と共に流出し難くなり好ましい。フィルターの材質はPET、ナイロン、セルロース等の樹脂製、もしくはセラミック、ステンレス等の金属製のものが好ましく用いられる。
また、ろ過時の差圧は好ましくは0.01〜0.5MPa、特に好ましくは0.1〜0.4MPaである。
また、遠心分離機は、その金属製脱水部(バスケット部)の孔径は1〜50mmが好ましく、5〜20mmが特に好ましい。また金属製脱水部に取り付ける濾過フィルターの材質は綿やPET、ナイロン製等の樹脂製が好ましく、濾過フィルターの孔径が好ましくは5〜100μmである。遠心分離機を用いて好ましくは遠心力100〜1000G、より好ましくは遠心力200〜700Gの条件によりろ過する。
前記溶液は、前述の方法でろ過されるが、最終的には孔径1〜10μm、好ましくは1〜5μmのフィルターでろ過することが望ましい。また、孔径20μm以上、好ましくは20〜100μmのフィルターでろ過した後に孔径1〜10μm、好ましくは1〜5μmのフィルターでろ過する方法が望ましい。また、ろ過した後の水相中の10μm以上の不溶異物量は芳香族ジヒドロキシ化合物100重量部に対して0.02重量部以下が好ましく、0.01重量部以下が特に好ましい。
記(ii)の操作により回収した芳香族ジヒドロキシ化合物金属塩の水溶液はそのまま芳香族ポリカーボネート製造工程に使用できる。しかしながら、液液分離器において分離が不十分であると、水相に粒状に浮遊している重液相が次の工程に混入し、製品に影響を及ぼすので、水相をハロゲン化炭化水素化合物溶媒に接触させ、可能な限り除去することが好ましい。この方法は、洗浄塔による接触、撹拌機、液液分離器による分離、遠心分離機など、公知の方法が使用できる。また、回収した芳香族ジヒドロキシ化合物金属塩の水溶液と、購入した市販の芳香族ジヒドロキシ化合物を調合した水溶液を任意の割合で混合して、芳香族ポリカーボネート製造工程に使用することもできる。
一方、前記(ii)の操作により回収した芳香族ジヒドロキシ化合物金属塩の水溶液に酸を加えて、芳香族ジヒドロキシ化合物を析出させ、芳香族ジヒドロキシ化合物を単離、回収することもできる。
芳香族ジヒドロキシ化合物を析出させる好適な方法は、ハロゲン化炭化水素化合物溶媒の存在下あるいは非存在下、芳香族ジヒドロキシ化合物金属塩の水溶液を攪拌および/または循環している造粒槽に、酸水溶液を加えるという方法である。該方法によれば、水相、有機溶媒相に溶解しない芳香族ジヒドロキシ化合物がスラリーとして得られ、このスラリーをろ過することにより、芳香族ジヒドロキシ化合物を得ることができる。水相の最終pHは4〜10にするのが好ましい。さらに好ましくはpH6〜8.5の範囲である。
使用する酸水溶液の酸の種類は特に限定はないが、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸が好ましく用いられる。
固体として得られた芳香族ジヒドロキシ化合物のろ過は、ろ過器、遠心分離機等を使用する方法が挙げられる。遠心分離機を使用する方法がろ過後の含液率が低く好ましい。
該方法で得られた芳香族ジヒドロキシ化合物は、未精製であり、水相、有機溶媒相に存在していた芳香族ジヒドロキシ化合物以外の不純物、例えば、末端停止剤、成型品の着色剤等の添加剤、ポリカーボネート由来の炭酸塩、金属水酸化物と酸水溶液が反応して精製した中性塩等が含まれている。これらの不純物は、純水および塩素化化合物からなる有機溶媒と接触、洗浄することにより、除去が可能であり、芳香族ジヒドロキシ化合物の純度が向上する。
洗浄の方法は、固体の芳香族ジヒドロキシ化合物を攪拌槽に移し、水、ハロゲン化炭化水素化合物溶媒を同時、または別々に投入し、攪拌、ろ過する方法、遠心分離機内で水、ハロゲン化炭化水素化合物溶媒を同時、または別々に振りかけそのまま遠心分離で脱液する方法などが挙げられる。
本発明の方法で回収された固形の芳香族ジヒドロキシ化合物は、芳香族ポリカーボネートの製造工程に再使用することができる。再使用する方法としては、溶融重合法ではそのまま使用することができ、また、界面重合法では金属水酸化物水溶液に所望の濃度で溶解し、芳香族ポリカーボネートの製造に使用することが可能である。その際、芳香族ジヒドロキシ化合物をアルカリ金属水酸化物水溶液に溶解した溶液を加熱し、残存する有機溶媒を揮発したものを使用することも好ましい。
また、回収した芳香族ジヒドロキシ化合物と市販の芳香族ジヒドロキシ化合物とを一緒に芳香族ポリカーボネートの製造に使用しても構わない。回収した芳香族ジヒドロキシ化合物と市販の芳香族ジヒドロキシ化合物を混合する方法は、固体同士、固体と液体、液体同士を混合する方法のどの方法であってもよい。
本発明の方法で回収した芳香族ジヒドロキシ化合物を原料として用いて得られるポリカーボネート樹脂は、色相および熱安定性に優れることから、例えば光磁気ディスク、各種追記型ディスク、デジタルオーディオディスク(いわゆるコンパクトディスク)、光学式ビデオディスク(いわゆるレーザディスク)、デジタル・バーサイル・ディスク(DVD)等の光学ディスク基板用の材料として、あるいはシリコンウエハー等の精密機材収納容器の材料として好適に使用でき、殊に光学ディスク基板用の材料として好適に採用される。
本発明によれば、廃ポリカーボネート樹脂溶液を分解させて得られる芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水酸化金属水溶液を濾過することによって、高品質の芳香族ジヒドロキシ化合物が得られ、この芳香族ジヒドロキシ化合物は芳香族ポリカーボネート製造の原材料として再利用できる。したがって、本発明の奏する工業的効果は格別である。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。特に断らない限り、部は重量部を表す。なお、評価は次に示す方法で行った。
(1)色相(b値)
ポリカーボネート樹脂ペレットを射出成形機(日本製鋼所(株)製:日鋼アンカー V−17−65型)を用い、シリンダー温度340℃で、厚さ2mmの50mm角板を成形した。その成形板を色差計(日本電色(株)製)を用いてb値を測定した。
(2)熱安定性(△E)
ポリカーボネート樹脂ペレットを射出成形機(日本製鋼所(株)製:日鋼アンカー V−17−65型)を用い、シリンダー温度340℃で10分間滞留させたものとさせないものの試験片(厚さ2mmの50mm角板)をそれぞれ作成し、その色相の変化(△E)を測定した。色相の変化は、色差計(日本電色(株)製)でそれぞれのL、a、b値を測定し、下記式を用いて算出した。ΔEは値が小さいほどが熱安定性に優れる。
ΔE=[(L′−L)+(a′−a)+(b′−b)1/2
(L、a、bは滞留させないもの、L′、a′、b′は10分間滞留させたもの)
(3)ビスフェノールA水溶液中のビスフェノールA濃度
ビスフェノールA水溶液を0.1〜0.5重量%になるように水酸化ナトリウム水溶液で薄め、UV計で波長294nmの吸光度を測定し、あらかじめ作成した検量線により水溶液中のビスフェノールA濃度を測定した。
(4)ビスフェノールAの純度(有機物中のビスフェノールA純度)
Waters社製高速液体クロマトグラフィを用い、サンプル(有機物)0.2gに内部標準としてo−クレゾールを添加したアセトニトリル1mLを加え、溶解し、アセトニトリル/0.2%酢酸水溶液を展開溶媒としてクロマトグラフを得、あらかじめ作成した検量線により、ビスフェノールAの純度を求めた。
(5)芳香族ポリカーボネートペレット中の0.5μm以上の異物量
芳香族ポリカーボネートペレット1gを塩化メチレン100mlに溶解させ、微粒子測定器(ハイヤックロイコ社製He−Neレーザー光散乱方式)により0.5μm以上の微粒子数を測定した。
参考例A
攪拌槽に市販のコンパクトディスク100部と塩化メチレン600部を投入し、6時間攪拌した。温度計、撹拌機及び還流冷却器、水浴付き反応器に、該ポリカーボネートの塩化メチレン溶液264部(ドープ濃度14.2%)、50%水酸化ナトリウム水溶液71部、ハイドロサルファイトナトリウム0.6部を投入し、攪拌した。その後、水浴温度を40℃に調節したところ、8分後に激しく還流が始まり、20分後には激しさは収まった。反応5時間後、内部は固体が析出しており、固体を一部取り分析したところ、ビスフェノールAナトリウム塩と炭酸ナトリウムであった。水浴の温度調節を止めて、337.5部の純水を投入し、1時間攪拌を継続して固体を溶解した。溶解液を孔径5μmのステンレス製フィルターで濾過した。
分液ロートに反応混合物(濾液)を移し、455部の水相と224部の有機相に分離した。水相はアルカリ性水溶液であり、ビスフェノールA、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、p−ターシャリーブチルフェノールナトリウム塩を含んでいた。また、有機相はエバポレータで塩化メチレンを蒸発、回収し、残さは廃棄した。残さは未反応ポリカーボネートと添加剤の分解物であり、重量を測定したところ1.1部であった。
分離した水相455部に塩化メチレン100部を加え、激しく混合したあと静置し、水相と塩化メチレン相と分離した。塩化メチレンはエバポレータで回収した。この操作を3回繰り返し行い、洗浄されたビスフェノールA水溶液(ビスフェノールA濃度76.6g/L)を得た。
ビスフェノールA水溶液455部を、温度計、撹拌機及び還流冷却器付き反応器に移し、新たに塩化メチレン170部を加えて攪拌した。攪拌しながら98%濃硫酸36.1部を滴下ロートを使用し1時間かけて滴下した。攪拌を停止させ、内部を確認すると、反応器内は水相、塩化メチレン相、析出したビスフェノールAの3相に分かれていた。
このスラリーを遠心分離機で濾過し、遠心分離機内で運転しながら、塩化メチレン45部、電気伝導度が10μS/cmの純水45部、塩化メチレン45部、電気伝導度が10μS/cmの純水45部をそれぞれ4分かけてこの順番で固体に振りかけ、リンス洗浄を行った。固体を遠心分離機内から掻き出し、乾燥後この固体のビスフェノールAの純度を測定したところ99.6%であった。
[実施例2]
攪拌槽に市販のコンパクトディスク100部と塩化メチレン600部を投入し、6時間攪拌した。温度計、撹拌機及び還流冷却器、水浴付き反応器に、該ポリカーボネートの塩化メチレン溶液264部(ドープ濃度14.2%)、50%水酸化ナトリウム水溶液71部、ハイドロサルファイトナトリウム0.6部を投入し、攪拌した。その後、水浴温度を40℃に調節したところ、8分後に激しく還流が始まり、20分後には激しさは収まった。反応5時間後、内部は固体が析出しており、固体を一部取り分析したところ、ビスフェノールAナトリウム塩と炭酸ナトリウムであった。水浴の温度調節を止めて、337.5部の純水を投入し、1時間攪拌を継続して固体を溶解した。
分液ロートにこの溶液を移し、455部の水相と224部の有機相に分離した。水相はアルカリ性水溶液であり、ビスフェノールA、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、p−ターシャリーブチルフェノールナトリウム塩を含んでいた。また、有機相はエバポレータで塩化メチレンを蒸発、回収し、残さは廃棄した。分離した水相を孔径8μmのステンレス製フィルターで濾過した。
この水相(濾液)455部に塩化メチレン100部を加え、激しく混合したあと静置し、水相と塩化メチレン相と分離した。塩化メチレンはエバポレータで回収した。この操作を3回繰り返し行い、洗浄されたビスフェノールA水溶液(ビスフェノールA濃度76.6g/L)を得た。
ビスフェノールA水溶液455部を、温度計、撹拌機及び還流冷却器付き反応器に移し、新たに塩化メチレン170部を加えて攪拌した。攪拌しながら98%濃硫酸36.1部を滴下ロートを使用し1時間かけて滴下した。攪拌を停止させ、内部を確認すると、反応器内は水相、塩化メチレン相、析出したビスフェノールAの3相に分かれていた。
このスラリーを遠心分離機で濾過し、遠心分離機内で運転しながら、塩化メチレン45部、電気伝導度が10μS/cmの純水45部、塩化メチレン45部、電気伝導度が10μS/cmの純水45部をそれぞれ4分かけてこの順番で固体に振りかけ、リンス洗浄を行った。固体を遠心分離機内から掻き出し、乾燥後この固体のビスフェノールAの純度を測定したところ99.5%であった。
参考例B
参考例Aにおいて、孔径5μmのステンレス製フィルターに代えて、孔径40μmのPET製バック式フィルターで濾過を行った後、孔径8μmのステンレス製フィルターで濾過をした以外は参考例Aの操作を行ない固体のビスフェノールAを得た。ビスフェノールAの純度は99.6%であった。
[比較例1]
参考例Aにおいて、孔径5μmのステンレス製フィルターを使用しない以外は参考例Aと同様の操作を行い固体のビスフェノールAを得た。ビスフェノールAの純度は99.0%であった。
[参考例1]ポリカーボネート樹脂の製造
(A)温度計、攪拌機、還流冷却器および水浴付き反応器に、イオン交換水650部、25%水酸化ナトリウム水溶液252部を入れ、これを購入した市販のビスフェノールA170部、ジクロロメタン13部およびハイドロサルファイト0.34部を加え、内温を30℃に保持しながら40分間で溶解し、ビスフェノールA水溶液を調製した。
(B)温度計、攪拌機、還流冷却器、ホスゲン吹き込み管および水浴付き反応器に、(A)で調製したビスフェノールA水溶液367部とジクロロメタン181部を加え、攪拌下15〜25℃でホスゲン28.3部を40分間を要して、吹き込んだ。ホスゲン吹き込み終了後48%水酸化ナトリウム水溶液7.2部および固形のp−t−ブチルフェノール1.55部を添加、乳化せしめた後、10分後にトリエチルアミン0.06部を加え、さらに28〜33℃で1時間攪拌して反応を終了した。反応終了後生成物にジクロロメタン400部を加え混合した後、攪拌を停止し、水相と有機相を分離して、PC有機溶媒溶液を得た。(この操作を反応器2機用いて繰り返し行った。)
この有機溶媒溶液に水150部を加えて攪拌混合した後、攪拌を停止し、水相と有機相を分離した。この有機相にpH13の塩酸200部を加え、攪拌混合しトリエチルアミンを水相に抽出した後、攪拌を停止して有機相と水相を分離した。分離して得た有機相にイオン交換水200部を加え、攪拌混合した後、攪拌を停止し有機相と水相を分離した。この操作を水相の導電率がイオン交換水とほとんど同じになるまで(4回)繰り返した。得られた精製PC有機溶媒溶液をSUS304製の孔径1μmのフィルターでろ過した。
次に該有機溶媒溶液を軸受け部に異物取り出し口を有する隔離室を設けた内壁の材質がSUS316L製の1000Lニーダーにイオン交換水100Lとともに投入し、水温42℃にてジクロロメタンを蒸発させて粉粒体とし、該粉粒体を水温95℃に制御された攪拌機付き熱水処理槽に投入し、粉粒体25部対水75部の混合比で30分間攪拌混合した。この粉粒体を遠心分離機で脱水してジクロロメタン0.5重量%と水45重量%を含有する粉粒体を得た。この粉粒体を次に140℃に制御されているSUS316L製伝導受熱式溝型2軸攪拌連続乾燥機に50Kg/h(PC換算)で連続供給して、平均乾燥時間3時間の条件で乾燥し粉粒体を得た。
この粉粒体100部にトリス(2,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト0.01部、4,4′−ビフェニレンジホスホフィン酸テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)0.01部およびステアリン酸モノグリセリド0.08部を加え混合した後、この粉粒体をベント式2軸押出し機(東芝機械(株)製TEX−50B)にてシリンダー温度280℃、乾式真空ポンプを用いてベント吸引圧700Paで吸引脱気しながら溶融混練押出しペレットを得た。得られたペレットの異物量、色相および熱安定性を評価した結果を表1に示した。
参考例C
参考例1(A)において、市販のビスフェノールAの代わりに参考例Aで得られたビスフェノールAを使用する以外は参考例1と同様な操作を行いペレットを得た。得られたペレットの異物量、色相および熱安定性を評価した結果を表1に示した。
[実施例5]
参考例1(A)において、市販のビスフェノールAの代わりに実施例2で得られたビスフェノールAを使用する以外は参考例1と同様な操作を行いペレットを得た。得られたペレットの異物量、色相および熱安定性を評価した結果を表1に示した。
参考例D
参考例1(A)において、市販のビスフェノールAの代わりに参考例Bで得られたビスフェノールAを使用する以外は参考例1と同様な操作を行いペレットを得た。得られたペレットの異物量、色相および熱安定性を評価した結果を表1に示した。
[比較例2]
参考例1(A)において、市販のビスフェノールAの代わりに比較例1で得られたビスフェノールAを使用する以外は参考例1と同様な操作を行いペレットを得た。得られたペレットの異物量、色相および熱安定性を評価した結果を表1に示した。
Figure 0004571398

Claims (9)

  1. 廃芳香族ポリカーボネート樹脂を有機溶媒に溶解し、この有機溶媒溶液中のポリカーボネート樹脂をアルカリ金属水酸化物水溶液の存在下に分解して芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を得る方法において、(ii)分解後の反応溶液を水相と有機相に分液して水相を回収し、その後水相をろ過することを特徴とする廃芳香族ポリカーボネート樹脂から芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を得る方法。
  2. 廃芳香族ポリカーボネート樹脂を有機溶媒に溶解し、この有機溶媒溶液中のポリカーボネート樹脂をアルカリ金属水酸化物水溶液の存在下に分解して芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を得る方法において、分解後の溶液に水を加えて析出した固型分を溶解させ、(ii)この溶液を水相と有機相に分液して水相を回収し、その後水相をろ過することを特徴とする廃芳香族ポリカーボネート樹脂から芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を得る方法。
  3. 廃光ディスクを有機溶媒と混合して廃光ディスクに使用されている芳香族ポリカーボネート樹脂を有機溶媒に溶解し、この有機溶媒溶液中のポリカーボネート樹脂をアルカリ金属水酸化物水溶液の存在下に分解して芳香族ジヒドロキシ化合物を得る方法において、(ii)分解後の反応溶液を水相と有機相に分液して水相を回収し、その後水相をろ過することを特徴とする廃芳香族ポリカーボネート樹脂から芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を得る方法。
  4. 廃光ディスクを有機溶媒と混合して廃光ディスクに使用されている芳香族ポリカーボネート樹脂を有機溶媒に溶解し、この有機溶媒溶液中のポリカーボネート樹脂をアルカリ金属水酸化物水溶液の存在下に分解して芳香族ジヒドロキシ化合物を得る方法において、分解後の反応溶液に水を加えて析出した固型分を溶解させ、(ii)この溶液を水相と有機相に分液して水相を回収し、その後水相をろ過することを特徴とする廃芳香族ポリカーボネート樹脂から芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を得る方法。
  5. 有機溶媒は、ハロゲン化炭化水素化合物からなる有機溶媒である請求項1〜4のいずれか1項に記載の廃芳香族ポリカーボネート樹脂から芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を得る方法。
  6. 有機溶媒は、ジクロロメタン、ジクロロエタンまたはクロロホルムである請求項1〜4のいずれか1項に記載の廃芳香族ポリカーボネート樹脂から芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を得る方法。
  7. 前記ろ過は、孔径1〜10μmのフィルターでろ過する請求項1〜4のいずれか1項に記載の廃芳香族ポリカーボネート樹脂から芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を得る方法。
  8. 前記ろ過は、孔径20μm以上のフィルターでろ過した後、孔径1〜10μm以下のフィルターでろ過する請求項1〜4のいずれか1項記載の廃芳香族ポリカーボネート樹脂から芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を得る方法。
  9. 請求項1〜4のいずれか1項記載の方法で芳香族ジヒドロキシ化合物を得、得られた芳香族ジヒドロキシ化合物をポリカーボネートの製造工程に用いる芳香族ポリカーボネートの製造方法。
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