JP4549321B2 - 内燃機関のデコンプ装置 - Google Patents
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Description
請求項2記載の発明は、請求項1記載の内燃機関のデコンプ装置において、柱状の前記プランジャ孔の軸方向幅は前記カム面の軸方向幅以上であり、前記軸方向での前記プランジャ孔の中心と前記軸方向での前記カム面の中心とが前記軸方向にずれているものである。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の内燃機関のデコンプ装置において、前記プランジャは、前記機関弁を押圧する押圧部を有する一端部と、前記カム軸の径方向で前記一端部とは反対側の他端部とを有し、前記カム軸の周方向で、前記一端部および前記他端部は、それぞれ、前記動弁カムのベース円部およびカム山部の形成範囲に対応する位置において前記プランジャ孔の第1孔部分および第2孔部分にそれぞれ収容され、前記第1孔部分の孔径は前記第2孔部分の孔径よりも大きいものである。
請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項記載の内燃機関のデコンプ装置において、前記プランジャは、前記デコンプ軸に設けられた操作側係合部と前記プランジャに設けられた被操作側係合部とからなる係合構造を介して前記デコンプ軸により前記径方向に操作され、前記被操作側係合部と前記操作側係合部とが前記プランジャの遠心力により当接する位置に前記プランジャの重心があるものである。
請求項5記載の発明は、請求項4記載の内燃機関のデコンプ装置において、前記他端部には潤滑油を前記被操作側係合部に導く油路が設けられるものである。
請求項2記載の事項によれば、プランジャの外径を大きくすることができるので、カム当接部材との当接によるプランジャの倒れが防止されるうえ、中心が軸方向にずれていることで、請求項1記載の発明と同様に、カム当接部材の軸方向幅の大型化およびカム軸の長軸化を抑制すると共に動弁カムのカム面の良好な潤滑性を維持するこすることができる。
請求項3記載の事項によれば、プランジャは、プランジャ孔の第1,第2孔部分にそれぞれ嵌合する一端部および他端部により支持されるので、プランジャの倒れが防止されて安定してカム軸に支持される。しかも、周方向でカム山部の形成範囲に設けられる第2孔部分は、第1孔部分に比べて孔径が小さいので、機関弁を開弁させるカム山部の剛性の確保が容易になる。
請求項4記載の事項によれば、カム軸と共に回転するプランジャに発生する遠心力により、操作側係合部が被操作側係合部に常時当接しているので、プランジャ軸がプランジャをデコンプ解除位置およびデコンプ位置に移動させるときや、内燃機関の振動に起因する係合部同士の衝突により発生する打音が低減する。
請求項5記載の事項によれば、油路が設けられることにより、両係合部での潤滑性が向上するうえ、油路の分だけ他端部が軽量になるため、プランジャの重心がカム軸の回転中心線からプランジャの一端部の押圧部寄りにさらに近づくので、プランジャを軽量化しながら、係合部同士の打音の低減に寄与する。
図1,図2を参照すると、本発明が適用されたデコンプ装置を備える内燃機関Eは、小型の車両としての自動2輪車に搭載される単気筒往復動式4ストローク内燃機関である。内燃機関Eは、ピストン4が往復動可能に嵌合するシリンダ1と、シリンダ1の上端に結合されるシリンダヘッド2と、シリンダヘッド2の上端に結合されるヘッドカバー3とから構成される機関本体を備える。そして、シリンダヘッド2とヘッドカバー3とにより、内燃機関Eに備えられる頭上カム軸型の動弁装置20が収容される動弁室5が形成される。
なお、明細書において、軸方向は、カム軸Cの回転中心線Lcに平行な方向であり、径方向および周方向とは、回転中心線Lcを中心とする径方向および周方向である。
また、排気カム23は、排気弁12を閉弁状態に保つベース円部23aと、排気弁12を開弁状態にするカム山部23bと、ベース円部23aおよびカム山部23bに渡って排気カム23の全周に形成されると共にローラ25aに摺接するカム面Sとを有する。
この動弁装置20により、各吸気カム22はバルブリフタ24を介して吸気弁11を、また排気カム23はロッカアーム25を介して1対の排気弁12を、それぞれクランク軸の回転に同期して、所定の開閉時期およびリフト量で開閉する。
底壁27b1と外周壁27b2とで形成される凹部の空間27e内に配置される駆動部30は、円環状のディスク部27bに回転中心線Lcから偏心した位置に固定される支持軸31に枢支されるデコンプウエイト32と、デコンプウエイト32に弾発力を作用させて遠心力により回動するデコンプウエイト32の位置を制御する制御ばね33と、デコンプウエイト32の回動量を規定する開始ストッパ34および終了ストッパ35と、から構成される。
開始ストッパ34は、デコンプ軸40にカム軸Cと同軸に設けられた円柱状の突出部により構成され、底壁27b1に対して軸方向に突出する。終了ストッパ35は、外周壁27b2の一部により構成される。
捩りコイルばねからなる制御ばね33は、支持軸31の外周に摺動可能に嵌合するデコンプウエイト32のボス部32eを囲んで配置されて該ボス部32eに支持される。制御ばね33の一端部33aは底壁27b1に係止され、その他端部33bはデコンプウエイト32に係止される。
プランジャ孔60は、回転中心線Lcと交差する中心軸線Lbを有する柱状、この実施形態では円柱状の孔であり、周方向で排気カム23のベース円部23aの形成範囲(以下、「ベース円形成範囲」という。)Aaから、周方向で排気カム23のカム山部23bの形成範囲(以下、「カム山形成範囲」)Abに向かって、カム軸Cの直径方向にドリル加工により形成される。このため、プランジャ孔60は、周方向で、ベース円形成範囲Aaに対応する位置にある第1孔部分61と、カム山形成範囲Abに対応する位置にある第2孔部分62とを有する。また、プランジャ孔60は、軸方向で、軸受部21bの近傍から排気カム23の一部と重なる位置までの範囲に設けられる。
また、プランジャ50は、大径部50aと小径部50bとを有すると共に中心軸線Lpを有する柱状、この実施形態では円柱状の段付きの部材であり、その中心軸線Lpが中心軸線Lbと一致するようにプランジャ孔60内に配置される。そして、大径部50aには、一端部51、凹部54および中間部53の一部が設けられ、小径部50bには、他端部52および中間部53の残りの一部が設けられる。
それゆえ、プランジャ50の重心は、凹部54をデコンプ位置(または進出方向)に向けて出力ピン45に押し付ける遠心力がプランジャ50に発生する位置にあり、カム軸Cが回転しているとき、遠心力により凹部54は出力ピン45に常時押し付けられている。
図3に実線で示されるように、内燃機関Eの停止時には、デコンプウエイト32は、制御ばね33に付勢されて開始当接部32aが開始ストッパ34に当接した初期位置にあって、プランジャ50は、押圧部51aがカム面Saよりも径方向外方に突出するデコンプ位置にある。そして、クランク軸が始動装置により回転駆動されるクランキング状態になると、カム軸Cが前記動弁用伝動機構を介してクランク軸により回転駆動され、デコンプウエイト32がカム軸Cと一体に回転する。機関回転速度が前記設定回転速度以下であるとき、デコンプウエイト32に発生する遠心力は小さく、デコンプウエイト32は初期位置を占めている。
この状態で、内燃機関Eの圧縮行程時には、図5(A)に示されるように、デコンプ位置にあるプランジャ50の押圧部51aにロッカアーム25のローラ25aが当接してロッカアーム25が駆動され、該ロッカアーム25により駆動される排気弁12(図1参照)がデコンプリフト量で開弁するデコンプ状態になる。これによって、圧縮行程時に燃焼室6内の圧縮圧力が解放されて減圧される。
このように、デコンプ装置のデコンプウエイト32は、機関回転速度に応じて初期位置および終了位置の間で回動し、それに対応して、駆動部30により駆動されるデコンプ軸40により操作されるプランジャ50は、デコンプ位置とデコンプ解除位置との間においてプランジャ孔60内で径方向に移動する。
デコンプ軸40により操作されるプランジャ50が収容されるプランジャ孔60の第1孔部分61は、軸方向で排気カム23のカム面Saの一部と重なる位置でカム面Saに開口することにより、排気カム23およびプランジャ50を合わせたときの軸方向幅を、排気カム23およびプランジャ50が重ならない場合に比べて小さくすることができるため、ロッカアーム25のローラ25aの軸方向幅の大型化およびカム軸Cの長軸化を抑制できる。しかも、カム面Saにおいてプランジャ50が開口する部分では、カム面Saの一部である部分Sa1が軸方向に残されているため、カム面Sは全周に渡って連続しているので、カム面Sに形成される潤滑油の油膜が分断されることがなく、カム面Sの良好な潤滑性が維持される。
図4(A),図5(A)に二点鎖線で示されるように、プランジャ50の他端部52および中間部53には、潤滑油を他端部52の端面から凹部54に導く油路55が設けられてもよい。油路55には、内燃機関Eの停止時や低速回転時に、動弁室5内の潤滑油が侵入して出力ピン45および凹部54の接触部に導かれる。
このように、他端部52には潤滑油を凹部54に導く油路55が設けられることにより、出力ピン45および凹部54での潤滑性が向上するうえ、油路55の分だけ他端部52が軽量になるため、プランジャ50の重心がカム軸Cの回転中心線Lcからプランジャ50の押圧部51a寄りに一層近づくので、プランジャ50を軽量化しながら、出力ピン45および凹部54での打音の低減に寄与する。
吸気弁または排気弁の構造によっては、カムフォロアが設けられなくてもよく、その場合は吸気弁または排気弁自体がカム当接部材を構成する。
プランジャ孔60の孔径d1は、カム面Saの軸方向幅Wよりも小さくてもよく、したがって第1開口部61aは、カム軸Cにおいてカム面Saのみに開口していてもよい。第2開口部62aは設けられなくてもよい。
駆動部によりデコンプ軸が軸方向に駆動され、操作側係合部および被操作側係合部が、デコンプ軸の軸方向運動をプランジャの径方向運動に変換する係合構造を構成するものであってもよい。
E…内燃機関、C…カム軸、Lc…回転中心線。
Claims (5)
- 内燃機関の機関弁を駆動するための動弁カムが設けられたカム軸に設けられるデコンプ装置であって、前記カム軸に設けられるデコンプ軸と、前記カム軸に設けられたプランジャ孔に前記カム軸の径方向に移動可能に収容されるプランジャとを備え、前記デコンプ軸により操作される前記プランジャが、前記機関弁を押圧して開弁させるデコンプ位置と前記機関弁を開弁させないデコンプ解除位置との間において前記プランジャ孔内で移動する内燃機関のデコンプ装置において、
前記デコンプ軸を駆動する駆動力を前記デコンプ軸に作用させる駆動部を備え、
前記プランジャ孔は、前記カム軸の軸方向で前記動弁カムのカム面の一部と重なる位置で前記カム面に開口し、
前記デコンプ軸は、駆動力が入力される基端部と、前記プランジャに係合する先端部を備え、
前記デコンプ軸は、前記カム軸内に配設され、前記基端部の外径と、前記先端部の外径とにより前記カム軸に支持され、
前記基端部の外径は、前記先端部の外径よりも大径であり、
前記基端部に入力ピンが、前記先端部に出力ピンが設けられ、
前記出力ピンは、前記入力ピンよりも回転中心線に近く配置され、
前記デコンプ軸の前記基端部、前記先端部、前記出力ピン、前記入力ピンおよび軸部により、前記プランジャを操作する操作力を前記駆動力よりも大きくする増幅機構を構成し、
前記カム軸内に前記増幅機構を配置することを特徴とする内燃機関のデコンプ装置。 - 柱状の前記プランジャ孔の軸方向幅は前記カム面の軸方向幅以上であり、前記軸方向での前記プランジャ孔の中心と前記軸方向での前記カム面の中心とが前記軸方向にずれていることを特徴とする請求項1記載の内燃機関のデコンプ装置。
- 前記プランジャは、前記機関弁を押圧する押圧部を有する一端部と、前記カム軸の径方向で前記一端部とは反対側の他端部とを有し、前記カム軸の周方向で、前記一端部および前記他端部は、それぞれ、前記動弁カムのベース円部およびカム山部の形成範囲に対応する位置において前記プランジャ孔の第1孔部分および第2孔部分にそれぞれ収容され、前記第1孔部分の孔径は前記第2孔部分の孔径よりも大きいことを特徴とする請求項1または2記載の内燃機関のデコンプ装置。
- 前記プランジャは、前記デコンプ軸に設けられた操作側係合部と前記プランジャに設けられた被操作側係合部とからなる係合構造を介して前記デコンプ軸により前記径方向に操作され、前記被操作側係合部と前記操作側係合部とが前記プランジャの遠心力により当接する位置に前記プランジャの重心があることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の内燃機関のデコンプ装置。
- 前記他端部には潤滑油を前記被操作側係合部に導く油路が設けられることを特徴とする請求項4記載の内燃機関のデコンプ装置。
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