JP4616225B2 - 内燃機関の動弁装置 - Google Patents

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本発明は,クランク軸より駆動されるカム軸上のカムの回転により機関弁を開閉するようにした,内燃機関の動弁装置に関し,特に,カムによる機関弁の開閉タイミングを変え得るようにした,内燃機関の動弁装置に関する。
機関弁の開閉タイミングを変え得るようにした,内燃機関の動弁装置は,特許文献1に開示されるように,既に知られている。
特公平5−81725号公報
機関弁の開閉タイミングを変え得るようにした,従来の内燃機関の動弁装置では,構造が複雑で安価に提供することが困難である。
本発明は,かゝる事情に鑑みてなされたもので,簡単な構造で機関弁の開閉タイミングを変え得るようにした安価な内燃機関の動弁装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために,本発明は,クランク軸より駆動されるカム軸上の第1及び第2のカムの回転により第1及び第2の機関弁をそれぞれ開閉するようにした,内燃機関の動弁装置において,前記カム軸(に形成した中空の案内筒部の外周面に前記第1のカムを相対回転自在に嵌合しこれら案内筒部及び第1のカムの回転嵌合面に,互いに交差する第1溝及び第2溝をそれぞれ形成し,前記案内筒部の中空部内周面にプランジャを軸方向摺動自在に嵌合すると共に,このプランジャに,前記第1溝及び前記第2溝の交差部でその両溝に移動可能に係合するキー部材を取り付け,前記プランジャには,これを軸方向に駆動するアクチュエータを連接し,また,前記カム軸に案内筒部の前記中空部に連なる第1ガイド孔を設け,この第1ガイド孔の外側で前記カム軸の外周面に,前記第2のカムを前記カム軸と一体に形成し,該第2のカムのベース面の一部に凹部を設け,この凹部の底面から前記第1ガイド孔に達する半径方向の第2ガイド孔を前記カム軸に穿設し,該第2ガイド孔に,内端を前記第1ガイド孔側に突出させると共に外端を前記ベース面の内方に退去させる不作動位置と,内端をこの第2ガイド孔に収めると共に外端を前記ベース面の外方に僅かに突出させて前記第2の機関弁を微少開度開かせる作動位置との間で移動可能なリフトピンを嵌合し,該リフトピンを戻しばねで前記不作動位置側に常時付勢し,前記プランジャには,該プランジャが前記リフトピンに向けて軸方向に摺動するときに前記第1ガイド孔内を摺動して前記リフトピンの内端と当接し,前記リフトピンを前記戻しばねの付勢力に抗して前記作動位置に押し上げる補助プランジャを一体に形成したことを第1の特徴とする。
尚,前記第1のカム,第2のカムは,後述する本発明の実施例中の主吸気カム36m,排気カム36eにそれぞれ対応し,また第1の機関弁,第2の機関弁は主吸気弁29m,排気弁29eにそれぞれに対応し,第1溝及び第2溝は,螺旋溝60及び直線溝61にそれぞれ対応し,プランジャは主プランジャ50に対応し,戻しばねは第2戻しばね65に対応する。
また本発明は,第1の特徴に加えて,前記キー部材(58)を,プランジャ(50)に回転自在に支持されるボールキーで構成したことを第2の特徴とする。
本発明の第1の特徴によれば,第1の機関弁の開閉タイミングを変えるための第1のカムの位相調節は,プランジャに支持されるキー部材を互いに交差する螺旋溝及び直線溝に移動可能に係合させることで行うことができ,その構造は部品点数が少なく簡単であり,安価に提供することができる。
またプランジャがリフトピンに向けて摺動すると,それと共に前進する補助プランジャがリフトピンを作動位置へと押し上げるので,リフトピンは第2の機関弁のベース面から僅かに突出して第2の機関弁を僅かに開くことができる。しかも,この第2の機関弁の微小開放は,補助プランジャの軸方向の動きを,第2のカムでの半径方向の動きに変換してリフトピンに伝達することで行われるので,その構造は部品点数が少なく簡単であり,安価に提供することができる。その上,補助プランジャはプランジャに一体に形成されるので,第1の機関弁の位相調節と第2の機関弁の微小開放とを,共通のアクチュエータの作動によって行うことができ,構成の一層の簡素化を図ることができる。
本発明の第2の特徴によれば,またキー部材を,プランジャの半球状凹部に回転自在に支持されるボールキーで構成すれば,そのボールキーの,第1溝及び第2溝での移動がスムーズとなり,カムの位相調節を的確に行うことができる。
本発明の実施の形態を,添付図面に示す本発明の好適な実施例に基づいて以下に説明する。
図1は本発明の実施例に係る内燃機関の破断側面図(図2の1−1線断面図),図2は図1の1−1線断面図,図3は図2の3−3線断面図,図4は燃焼室に対する主,副吸気ポート及び排気ポートの配置図,図5は機関の低速運転状態で示す,図2の動弁装置部の拡大図,図6は機関の高速運転状態で示す,図5との対応図,図7は機関の高速運転状態で示すカム軸周辺部の縦断斜視図,図8は機関の低速運転時におけるカム周辺部の作用説明図で,(A)はカム軸の側面図,(B)は(A)のB−B線断面図,(C)は(A)のC−C線断面図,図9は機関の高速運転時におけるカム周辺部の作用説明図で,(A)はカム軸の側面図,(B)は(A)のB−B線断面図,(C)は(A)のC−C線断面図,図10は動弁装置の弁開閉タイミング線図である。
先ず,図1〜図3において,汎用4サイクル内燃機関Eの機関本体1は,下部に据え付け座2aを持つクランクケース2と,このクランクケース2に一体に連設され,上向き傾斜のシリンダボア3aを有するシリンダブロック3と,このシリンダブロック3の上端面に接合されるシリンダヘッド5とを構成要素している。
クランクケース2は一側面を開放しており,その開放面からやゝ内方寄りの内周壁には,上記開放側面側を向いて周方向に並ぶ複数の段部8,8…(図2)が一体に形成され,これら段部8,8…に軸受ブラケット10が複数のボルト11,11…により固着される。この軸受ブラケット10とクランクケース2の他側壁とで水平姿勢のクランク軸12の両端部がベアリング13,13′を介して支承される。またクランク軸12と平行に隣接配置されるバランサ軸14の両端部が,同じく軸受ブラケット10とクランクケース2の他側壁とでベアリング15,15を介して支承される。
クランクケース2には,その一側の開放面を閉鎖するサイドカバー17が複数のボルト24,24…により接合される。クランク軸12の一端部は,出力軸部として,このサイドカバー17を貫通して外方に突出し,この出力軸部の外周面に密接するオイルシール18がサイドカバー17に取り付けられる。
クランク軸12の他端部は,クランクケース2の他側壁を貫通し,このクランク軸12の他端部に密接するオイルシール19が,前記ベアリング13′の外側に隣接してクランクケース2の他側壁に取り付けられる。クランク軸12の他端部には発電機20のロータを兼るフライホイール21が固着され,このフライホイール21の外側面には冷却ファン22が付設される。さらにクランク軸12の他端部には,クランクケース2に支持されるリコイル式スタータ23が対置される。
図3及び図4に示すように,前記クランク軸12には,シリンダボア3aに嵌装されるピストン25がコンロッド26を介して連接される。シリンダヘッド5には,シリンダボア3aに連なる燃焼室27と,この燃焼室27にそれぞれ開口する主吸気ポート28m,副吸気ポート28s及び排気ポート28eとが形成されると共に,これら主吸気ポート28m,副吸気ポート28s及び排気ポート28eの燃焼室27への開口部は,燃焼室27の天井面に埋設される環状の主吸気弁座部材31m,副吸気弁座部材31s及び排気弁座部材31eで構成される。
主吸気弁座部材31mは排気弁座部材31eよりも大径に,また副吸気弁座部材31sは排気弁座部材31eよりも小径にそれぞれ形成される。またシリンダヘッド5には,電極を燃焼室27に電極を臨ませる点火プラグ39が螺着される。
主吸気弁座部材31mは,燃焼室27の最外周部に配置され,副吸気弁座部材31sは,主吸気弁座部材31mの一側に隣接し且つ主吸気弁座部材31mより燃焼室27の中心寄りに配置され,排気弁座部材31eは,主吸気弁座部材31mと反対側の副吸気弁座部材31sの一側に隣接して配置され,点火プラグ39の電極は,主吸気弁座部材31m及び排気弁座部材31e間で燃焼室27の中心に極力近接して配置される。
主吸気ポート28mには,空燃比が理論空燃比より大なる混合気,即ち希薄混合気を供給する希薄混合気供給装置32が接続され,また副吸気ポート28sには,空燃比が理論空燃比より小なる混合気,即ち濃厚混合気を供給する濃厚混合気供給装置33が接続される。
主吸気ポート28mは,燃焼室27の半径方向外側から旋回しつゝ主吸気弁座部材31mに到達するようにヘリカル状に形成され,この主吸気ポート28mから燃焼室27に供給する濃厚混合気に,燃焼室27の外周部領域34aで一定方向の第1スワールS1を与えるようになっている。それに対して副吸気ポート28sは,燃焼室27の中心部領域34bの接線方向を指向するように形成され,これにより,副吸気ポート28sから燃焼室27に供給する濃厚混合気に中心部領域34bで第1スワールS1と同方向の第2スワールS2を与えるようになっている。前記外周部領域34a及び中心部領域34b間を仕切るように,ピストン25の頂面には環状凸壁34が一体に突設される。
前記主吸気弁29m,副吸気弁29s及び排気弁29eには,これらを閉じ方向に付勢する弁ばね30m,30s,30eがそれぞれ装着される。そして,これら弁ばね30m,30s,30eと協働する動弁装置35により,図10に示す弁開閉特性で主吸気弁29m,副吸気弁29s及び排気弁29eは開閉駆動される。
その動弁装置35について,図2,図3,図5〜図10を参照しながら説明する。
先ず図2,図3及び図5において,動弁装置35は,クランク軸12と平行にシリンダヘッド5に支承されカム軸36と,クランク軸12及びカム軸36間を連結するタイミング伝動装置37とを備える。
タイミング伝動装置37は,クランク軸12に固着される歯付きの駆動プーリ45と,カム軸36に固着される歯付きで,その歯数が駆動プーリ45より1/2である従動プーリ46と,これら駆動及び従動プーリ45,46に巻き掛けられる無端のタイミングベルト47とで構成される。而して,クランク軸12の回転は,このタイミング伝動装置37により1/2に減速されてカム軸36に伝達される。
カム軸36には,主吸気カム36m,副吸気カム36s及び排気カム36eが設けられ,主吸気カム36m及び主吸気弁29m間が主吸気ロッカアーム38mにより,また副吸気カム36s及び副吸気弁29s間が副吸気ロッカアーム38sにより,また排気カム36e及び排気弁29e間が排気ロッカアーム38eによりそれぞれ連接される。上記三本のロッカアーム38m,38s,38eは,シリンダヘッド5に支持される共通一本のロッカ軸40に揺動自在に支承される。
カム軸36は,その一端部がボールベアリング41を介してシリンダヘッド5に支持され,その他端部は,シリンダヘッド5と一体に形成された軸受ボス42により支持される。このカム軸36に,ボールベアリング41側から順に,排気カム36e,主吸気カム36m及び副吸気カム36sが設けられる。その際,排気カム36eは,カム軸36に一体に形成され,主吸気カム36mは,排気カム36eの一端面から延出して軸受ボス42内に達する案内筒部36aに回転自在に嵌合され,副吸気カム36sは,案内筒部36aに圧入固定される筒軸44に一体に形成される。この筒軸44が前記軸受ボス42に直接支持される。
前記案内筒部36aの中空部43には主プランジャ50が軸方向摺動自在に嵌合され,この主プランジャ50の外端には,これを押動し得るプッシュロッド51が相対回転自在に当接する。このプッシュロッド51は,前記軸受ボス42の端壁にシール部材52を介して支持され,その外端には,これを軸方向に駆動し得るアクチュエータ53が接続される。このアクチュエータ53は,電動式,電磁式,吸入負圧式,遠心式,油圧式等,種々の形式のものが使用可能である。
カム軸36には,案内筒部36aの中空部43に環状段部54を介して連なる,中空部43より小径の第1ガイド孔55が設けられる。一方,主プランジャ50には,その一端面から第1ガイド孔55に向かって延びる補助プランジャ56が一体に形成され,その補助プランジャ56が第1ガイド孔55に摺動自在に嵌合される。また第1ガイド孔55には,補助プランジャ56を介して主プランジャ50をプッシュロッド51側に所定のセット荷重で付勢する第1戻しばね57が縮設される。
主プランジャ50の外周面には,ボールキーよりなるキー部材58を回転自在に支持する半球状の凹部59が形成される。案内筒部36aの周壁には,上記キー部材58が移動可能に貫通する螺旋溝60が,また主吸気カム36mの内周面には,上記キー部材58が転動可能に係合する直線溝61がそれぞれ形成される。螺旋溝60はカム軸36の軸線周りに延び,また直線溝61は,カム軸36の軸線に平行して延びるようにそれぞれ形成される。これらの溝60,61は互いに交差するように配置され,両溝60,61の交差部にキー部材58が係合することになる。
而して,主プランジャ50は,アクチュエータ53の作動と第1戻しばね57の付勢との協働により,環状段部54から一定距離離れた後退位置(図5及び図8参照)と,環状段部54に当接する前進位置(図6,図7及び図9参照)との間を移動されるもので,機関の低速運転状態では後退位置に保持され,高速運転状態になると前進位置へと移動される。主プランジャ50が,このように後退位置から前進位置へ移動するとき,それと同時にキー部材58は互いに交差する螺旋溝60及び直線溝61内を移動するので,螺旋溝60及び直線溝61の交差部の位置が変化することになり,これによって主吸気カム36mは,カム軸36と一体の排気カム36eに対して低速位置から高速位置へと所定角度α(図9参照)進角するようになっている。
また前記排気カム36eのベース面の一部に凹部62が設けられ,この凹部62の底面から前記第1ガイド孔55に達する半径方向の第2ガイド孔63がカム軸36に穿設され,この第2ガイド孔63にリフトピン64が摺動自在に嵌合される。このリフトピン64は,凹部62の底面に対向するフランジ64aを中間部に有しており,このフランジ64aを第1ガイド孔55側に付勢する第2戻しばね65がカム軸36に取り付けられる。この第2戻しばね65は,カム軸36の外周に嵌合して排気カム36e及び主吸気カム36m間に挟まれるばね材製のリング部65aと,このリング部65aの外周部から凹部62に収容されるように屈曲したフォーク状の弾性アーム部部65bとからなっており,この弾性アーム部65bがリフトピン64を跨ぎながらフランジ64aの外端面に弾発的に圧接して,リフトピン64を第1ガイド孔55側に付勢するようになっている。かくして,排気カム36eのベース面の狭小な凹部62において,第2戻しばね65によりリフトピン64を不作動位置側に付勢することができると共に,第2戻しばね65の保持を簡単,確実に行うことができる。
リフトピン64は,フランジ64aを凹部62の底面に当接して,内端を第1ガイド孔55側に突出させると共に外端を排気カム36eのベース面内方に退去させる不作動位置(図5及び図8参照)と,内端を第2ガイド孔63に収めると共に外端を排気カム36eのベース面外方に僅かに突出させる作動位置(図6,図7及び図9参照)との間を移動するもので,その作動位置は,補助プランジャ56が前進したとき,その外周面でリフトピン64の内端を受け止めることで規制され,またその不作動位置は,補助プランジャ56が後退してリフトピン64を解放したとき,弾性アーム部65bの弾発力でフランジ64aが凹部62の底面に当接することで規制される。補助プランジャ56の前進によるリフトピン64の半径方向のスムーズな押し上げを可能にするために,補助プランジャ56及びリフトピン64の互いに係合する端部は半球状もしくは円錐状に形成される。
而して,リフトピン64が作動位置に来ると,排気カム36eのベース面が排気ロッカアーム38eに対面したとき,リフトピン64の突出した外端部が排気ロッカアーム38eを僅かに押し上げて,排気弁29eを微小開度(排気行程での全開開度より遥かに小さい。)開くことになる。
ところで,前記弾性アーム部65bの,リフトピン64を不作動位置側に付勢するセット荷重は,少なくともアクチュエータ53の作動前にリフトピン64がそれ自体の,排気弁29eの開弁荷重より弱い遠心力により作動位置へ移動するのを許容するように設定される。
次に,この実施例の作用を,図10の弁開閉タイミング線図を参照しながら説明する。
内燃機関Eの低速運転状態では,主プランジャ50は図5及び図8に示す後退位置に保持されるので,主吸気弁29mを低速位置に,またリフトピン64を不作動位置にそれぞれ制御する。そしてカム軸36の回転によれば,排気弁29e,主吸気弁29m及び副吸気弁29sが順次開閉される。
特に,吸気行程が始まると,先ず主吸気弁29mが開くので,希薄混合気が主吸気ポート28mから燃焼室27に導入される。このとき,希薄混合気は,ヘリカル形状の主吸気ポート28mにより誘導されて燃焼室27の外周部領域34aで一定方向の第1スワールS1を発生する。副吸気弁29sは,吸気行程の後半に開き始め,その開きは,吸気行程の終了時期に主吸気弁29mが閉じ終わっても継続し,燃焼室27の残留負圧が無くなる圧縮行程の前半で閉じる。これによって濃厚混合気が副吸気ポート28sから燃焼室27の中心部領域34bに供給される。副吸気ポート28sは,第1スワールS1の方向に向かうべく中心部領域34bの接線方向を指向するので,中心部領域34bでは濃厚混合気が第1スワールS1と同方向の第2スワールS2を発生させることになる。このように,濃厚混合気の第2スワールS2は,希薄混合気の第1スワールS1よりも遅く発生することで,希薄混合気と濃厚混合気との混合を極力回避することができる。
しかも,燃焼室27においては,外周部領域34aと,これに囲繞される中心部領域34bとが,ピストン25の環状凸壁34により区画されるので,希薄混合気及び濃厚混合気の混合を防ぎ,また希薄混合気の第1スワールS1と濃厚混合気の第2スワールS2とが同一方向を取ることも,スワール相互の干渉を防ぎ,両混合気の混合を回避する上で有効である。こうして,中心部領域34bの濃厚混合気は,外周部領域34aの希薄混合気により希薄化されることなく,圧縮行程の終わりを迎えるので,点火プラグ39の点火時には,的確に着火することができ,その結果,発生する火炎により希薄混合気を確実に燃焼させ,安定した成層燃焼を行うことができ,低燃費性の向上を図ることができる。
内燃機関Eが所定の高速運転域に入ると,アクチュエータ53が作動してプッシュロッド51を介して主プランジャ50を,図6,図7及び図9に示す前進位置へと押動するので,前述のように,主プランジャ50に支持されるキー部材58は,主プランジャ50及び主吸気カム36mの互いに交差する螺旋溝60及び直線溝61内を移動することにより,主吸気カム36mを高速位置へと所定角度α(図9及び参照)進角する。その結果,主吸気弁29mの開閉タイミングは上記角度α分,進角(図10参照)し,排気弁29e及び主吸気弁29mの弁重合期間が増加するので,排気慣性を利用して,燃焼室27の掃気を促進しつゝ充填効率を高め,機関出力の増強を図ることができる。
このように主吸気弁29mの開閉タイミングの変化のための主吸気カム36mの位相調節は,主プランジャ50に支持されるキー部材58を互いに交差する螺旋溝60及び直線溝61に移動可能に係合させることで行われるので,その構造は部品点数が少なく簡単であり,安価に提供することができる。またキー部材58を,主プランジャ50の半球状凹部59に回転自在に支持されるボールキーで構成すれば,そのボールキー58の,螺旋溝60及び直線溝61での移動がスムーズとなり,主吸気カム36mの位相の調節を的確に行うことができる。
また主プランジャ50が前進位置に到達すると,それと共に前進する補助プランジャ56がリフトピン64を作動位置へと押し上げるので,リフトピン64は排気弁29eのベース面から僅かに突出する。その結果,吸気行程ないし圧縮行程初期でリフトピン64が排気ロッカアーム38eを介して排気弁29eを僅かに開くので,排気ポート28e内の残留排ガスが燃焼室27に適量吸入される。つまりEGR(排気還流)が行われるため,膨張行程での燃焼温度の過度の上昇を抑制し,NOxの発生を防ぐことができる。
このように,排気弁の微小開放によるEGRは,補助プランジャ56の軸方向の動きを,排気カム36eでの半径方向の動きに変換してリフトピン64に伝達することで行われるので,その構造は部品点数が少なく簡単であり,安価に提供することができる。しかも,補助プランジャ56は,主吸気カム36mの位相調節に用いられる主プランジャ50に連結されるので,主吸気弁29mの位相調節とEGRとを,共通のアクチュエータ53の作動によって行うことができ,構成の一層の簡素化を図ることができる。
また第2戻しばね65の弾性アーム部65bの,リフトピン64を不作動位置側に付勢するセット荷重は,少なくともアクチュエータ53の作動前にリフトピン64がそれ自体の,排気弁29eの開弁荷重より弱い遠心力により作動位置へ移動することを許容するように設定されるので,アクチュエータ53の作動前である機関Eの低速運転時には,リフトピン64が遠心力により作動位置へ移動しても,排気ロッカアーム38eとの接触時には,排気弁29eの開弁抵抗により不作動位置に押し戻されることになり,吸入行程で排気弁29eを開かせることはないが,アクチュエータ53が作動状態となる機関Eの高速運転時には,リフトピン64が遠心力により一旦作動位置へ移動して,補助プランジャ56の外周面がリフトピン64の内端を支持すると,リフトピン64の作動位置が保持されることになり,吸入行程で排気弁29eを微小開度開かせることができる。このようにリフトピン64の作動位置への移動に,リフトピン64自体の遠心力を利用すれば,アクチュエータ53の負荷が軽減するので,その小容量化を図ることができる。
尚,本発明は前記実施例に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば,螺旋溝60は主吸気カム36m側に,直線溝61は案内筒部36a側に設けることもでき,また両溝60,61共,互いに交差する螺旋溝とすることもできる。
また弁の位相調節は,主吸気弁29mに限らず,排気弁29eにも適用することができ,勿論,通常タイプの内燃機関の吸気弁にも適用可能である。
本発明の実施例に係る内燃機関の破断側面図(図2の1−1線断面図)。 図1の1−1線断面図。 図2の3−3線断面図。 燃焼室に対する主,副吸気ポート及び排気ポートの配置図。 機関の低速運転状態で示す,図2の動弁装置部の拡大図。 機関の高速運転状態で示す,図5との対応図。 機関の高速運転状態で示すカム軸周辺部の縦断斜視図。 機関の低速運転時におけるカム周辺部の作用説明図で,(A)はカム軸の側面図,(B)は(A)のB−B線断面図,(C)は(A)のC−C線断面図。 機関の高速運転時におけるカム周辺部の作用説明図で,(A)はカム軸の側面図,(B)は(A)のB−B線断面図,(C)は(A)のC−C線断面図。 動弁装置の弁開閉特性線図。
E・・・・・内燃機関
12・・・・クランク軸
29e・・・第2の機関弁(排気弁)
29m・・・第1の機関弁(主吸気弁)
35・・・・動弁装置
36・・・・カム軸
36a・・・案内筒部
36e・・・第2のカム(排気カム)
36m・・・第1のカム(主吸気カム)
43・・・・案内筒部の中空部
50・・・・プランジャ(主プランジャ)
53・・・・アクチュエータ
55・・・・第1ガイド孔
56・・・・補助プランジャ
58・・・・キー部材
60・・・・第1溝(螺旋溝)
61・・・・第2溝(直線溝)
62・・・・第2のカムの凹部
63・・・・第2ガイド孔
64・・・・リフトピン
65・・・・戻しばね(第2戻しばね)

Claims (2)

  1. クランク軸(12)より駆動されるカム軸(36)上の第1及び第2のカム(36m,36e)の回転により第1及び第2の機関弁(29m,29e)それぞれ開閉するようにした,内燃機関の動弁装置において,
    前記カム軸(36)に形成した中空の案内筒部(36a)の外周面に前記第1のカム(36)を相対回転自在に嵌合しこれら案内筒部(36a)及び第1のカム(36)の回転嵌合面に,互いに交差する第1溝(60)及び第2溝(61)をそれぞれ形成し,前記案内筒部(36a)の中空部(43)内周面にプランジャ(50)を軸方向摺動自在に嵌合すると共に,このプランジャ(50)に,前記第1溝(60)及び前記第2溝(61)の交差部でその両溝(60)に移動可能に係合するキー部材(58)を取り付け,前記プランジャ(50)には,これを軸方向に駆動するアクチュエータ(53)を連接し
    また,前記カム軸(36)に案内筒部(36a)の前記中空部(43)に連なる第1ガイド孔(55)を設け,この第1ガイド孔(55)の外側で前記カム軸(36)の外周面に,前記第2のカム(36e)を前記カム軸(36)と一体に形成し,該第2のカム(36e)のベース面の一部に凹部(62)を設け,この凹部(62)の底面から前記第1ガイド孔(55)に達する半径方向の第2ガイド孔(63)を前記カム軸(36)に穿設し,該第2ガイド孔(63)に,内端を前記第1ガイド孔(55)側に突出させると共に外端を前記ベース面の内方に退去させる不作動位置と,内端をこの第2ガイド孔(63)に収めると共に外端を前記ベース面の外方に僅かに突出させて前記第2の機関弁(29e)を微少開度開かせる作動位置との間で移動可能なリフトピン(64)を嵌合し,該リフトピン(64)を戻しばね(65)で前記不作動位置側に常時付勢し,前記プランジャ(50)には,該プランジャ(50)が前記リフトピン(64)に向けて軸方向に摺動するときに前記第1ガイド孔(55)内を摺動して前記リフトピン(64)の内端と当接し,前記リフトピン(64)を前記戻しばね(65)の付勢力に抗して前記作動位置に押し上げる補助プランジャ(56)を一体に形成したことを特徴とする,内燃機関の動弁装置。
  2. 請求項1記載の内燃機関の動弁装置において,
    前記キー部材(58)を,プランジャ(50)に回転自在に支持されるボールキーで構成したことを特徴とする,内燃機関の動弁装置。
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