JP2006083819A - 動弁装置及びこれを備えた内燃機関 - Google Patents

動弁装置及びこれを備えた内燃機関 Download PDF

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Abstract

【課題】 カムがカムシャフトの軸方向にスライドすることによりバルブリフト量及びバルブ作動角を無段連続に可変制御する構成とした動弁装置にあって、カムをスライドさせるための機構における加工性や組み付け性を向上させる。
【解決手段】 保持器16により複数のボール17a、17bをそれぞれ回転自在に保持するとともに、他のボール17aに比べて大径のボール17bをカムシャフト11の軸方向に平行となるように一列に配置したリニアベアリング14と、カム13の内周面及びカムシャフト11の外周面にそれぞれ形成された軸方向に延びる溝13a、11aとを備え、カム13とカムシャフト11との間にリニアベアリング14を介装し、大径のボール17bをカム13の内周面の溝13a及びカムシャフト11の外周面の溝11aに転動自在に嵌入する構成としている。
【選択図】 図2

Description

本発明は、自動二輪車や自動車等における動弁装置及びこれを備えた内燃機関に関する。
内燃機関において、最近では可変位相とカム切替の組合せが出始め、その後作用角及びリフト量を連続可変する3次元カムを使用する方式が提案されている。例えば、直打式円筒タペットの頂部に接触角変化に対する追従機構を設け、3次元カムを軸方向にスライドさせることにより、バルブリフト量を無段階に可変するものがある。
この種の3次元カムは、長手方向(カムシャフトの軸方向)に傾斜するカム部が延設され、バルブリフト量を連続的に変化させる形状に成形されている。この場合に、所望のリフトカーブを持つようにカム高さと同時にカム作用角及びリフトタイミングも変化するように設定されている。このようなカムをカムシャフトに沿って移動させることにより、バルブのリフト量、作用角及びリフトタイミングを無段階に可変制御することができる。
かかる3次元カムを吸気バルブに適用することにより、混合気を形成するためのスロットルバルブを廃止し、いわゆるノンスロットルバルフエンジンを実現することができる。スロットルバルブをなくすことにより、吸気ポート内の吸気圧は、脈動を平均して大気圧ないしそれに近い負圧となるため、例えば機関回転数に対する吸気バルブのリフト量や開口時期及び時間が異なる。これは、従来のエンジンではスロットルバルブがあることを前提に開発されており、気筒内への吸気量をまずスロットルバルブで流量(圧力)を調整した後、吸気バルブで調節するものである。その中に吸気バルブの動作を若干変更するものはあるが、スロットルバルブにて吸気通路を絞ることに依存して回転制御や出力制御しており、スロットルバルブをなくしてしまうと全く制御できない。本発明は、吸気ポート内の吸気圧といった条件が異なるため、各部の寸法や設定は全く異なるものである。説明の便宜上、同じ名称で説明してあっても果たす役割が全く異なるものである。
特開平4−187807号公報
この種の動弁装置において、カムをカムシャフトに沿って移動させるために、例えばカムの内周面及びカムシャフトの外周面に複数条のキー溝及びキー溝に嵌り合うような溝を形成し、その間に多数のボールを介在させるボールスプライン構造を採用したものが知られている。
しかしながら、ボールスプライン構造では、カムの内周面及びカムシャフトの外周面に複数条のキー溝及びキー溝に嵌り合うような溝を形成しなければならず、その加工に手間がかかってしまう。
また、多数のボールをキー溝及び溝の間に挿入していく必要があり、厳密な寸法管理が求められ、その組み付けに手間がかかってしまう。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、カムがカムシャフトの軸方向にスライドすることによりバルブリフト量及びバルブ作動角を無段連続に可変制御する構成とした動弁装置にあって、カムをスライドさせるための機構における加工性や組み付け性を向上させることを目的とする。
本発明の動弁装置は、カム高さとカム作用角が連続的に変化するようにカム面が形成され、カムシャフトと一体回転するとともにその軸方向にスライド可能に構成されたカムと、上記カムのカム面に押圧されてバルブを進退させるバルブリフタとを備え、上記カムが上記カムシャフトの軸方向にスライドすることによりバルブリフト量及びバルブ作動角を無段連続に可変制御する構成とした動弁装置であって、保持器により複数のボールをそれぞれ回転自在に保持するとともに、他のボールに比べて大径のボールを上記カムシャフトの軸方向に平行となるように少なくとも一列に配置したベアリング組立品と、上記カムの内周面及び上記カムシャフトの外周面にそれぞれ形成された軸方向に延びる溝とを備え、上記カムと上記カムシャフトとの間に上記ベアリング組立品を介装し、上記大径のボールを上記カムの内周面の溝及び上記カムシャフトの外周面の溝に転動自在に嵌入して、上記カムと上記カムシャフトとの相対回転を規制するとともに上記カムが上記カムシャフトの軸方向にスライド可能となるようにした点に特徴を有する。
この場合に、上記大径のボールを上記保持器から取り外し可能にしてもよい。また、上記保持器が保持するボールは上記カムシャフトまわりに均等に配置される複数列をなし、そのうちの少なくとも一列のボールを他列のボールに比べて大径とするようにしてもよい。
本発明の内燃機関は、吸気バルブ及び排気バルブにより吸排気を制御するようにした内燃機関であって、上記本発明の動弁装置を備えた点に特徴を有する。
本発明によれば、大径のボールをカムシャフトの軸方向に平行となるように一列に配置し、カムの内周面の溝及びカムシャフトの外周面のレース溝に転動自在を嵌入する構成により、カムとカムシャフトとの相対回転を規制することができるので、複数条のキー溝及び溝を形成するような手間が不要となり、加工性を大幅に向上させることができる。また、ボール及び保持器を組み立てたものをカムとカムシャフトとの間に介装すればよいので、組み付け性を大幅に向上させることができる。
以下、図面に基づいて、本発明による好適な実施形態を説明する。本発明による動弁装置は、自動二輪車或いは自動車に搭載される各種のガソリンエンジンに対して有効に適用可能であり、本実施形態では例えば図1に示すように自動二輪車のエンジンを例とする。
まず、本実施形態に係る自動二輪車100の全体構成について説明する。図1において、鋼製或いはアルミニウム合金材でなる車体フレーム101の前部には、ステアリングヘッドパイプ102によって左右に回動可能に支持された2本のフロントフォーク103が設けられる。フロントフォーク103の上端にはハンドルバー104が固定され、ハンドルバー104の両端にグリップ105が設けられる。
フロントフォーク103の下部には前輪106が回転自在に支持されるとともに、前輪106の上部を覆うようにフロントフェンダ107が固定される。前輪106は、前輪106と一体回転するブレーキディスク108を有する。
車体フレーム101の後部にはスイングアーム109が揺動可能に設けられ、車体フレーム101とスイングアーム109との間にリヤショックアブソーバ110が装架される。
スイングアーム109の後端には後輪111が回転自在に支持され、後輪111はチェーン112が巻回されたドリブンスプロケット113を介して回転駆動されるようになっている。
車体フレーム101に搭載されたエンジンユニット1には、エアクリーナ114に結合する吸気管115から混合気が供給されるとともに、燃焼後の排気ガスが排気管116を通って排気される。エアクリーナ114は容量確保のためにエンジンユニット1の後方、かつ燃料タンク117及びシート118の下方にある大きなスペース内に設置される。そのため吸気管115はエンジンユニット1の後部側に結合させ、排気管116はエンジンユニット1の前部側に結合される。
また、エンジンユニット1の上方には燃料タンク117が搭載され、燃料タンク117の後方にシート118及びシートカウル119が連設される。
さらに図1において、120はヘッドランプ、121はスピードメータ、タコメータ或いは各種インジケータランプ等を含むメータユニット、122はステー123を介してハンドルバー104に支持されるバックミラーである。また、車体フレーム101の下部にはメインスタンド124が揺動自在に取り付けられ、後輪111を接地させたり、地面から浮かせたりできる。
車体フレーム101は、前部に設けたヘッドパイプ102から後斜め下方へ向けて延設され、エンジンユニット1の下方を包むように湾曲した後、スイングアーム109の軸支部であるピボット109aを形成してタンクレール101a及びシートレール101bに連結する。
この車体フレーム101には、フロントフェンダ107との干渉を避けるべく車体フレームと平行にラジエータ125が設けられるとともに、このラジエータ125から車体フレーム101に沿って冷却水ホース126が配設され、排気管116と干渉することなくエンジンユニット1に連通する。
図2は動弁装置の要部を示す断面図、図3は図2のA−A線に沿う断面図、図4は図2のB−B線に沿う断面図、図5は図2のC−C線に沿う断面図である。内燃機関であるエンジンユニット1のシリンダ内でピストンが上下に往復動するとともに、ピストンの上部に配置されたシリンダヘッド2内に動弁装置が収容される。本実施形態で説明するエンジンユニット1は単気筒エンジンであって、吸気側(IN)及び排気側(EX)にそれぞれ2つのバルブを有する。
本実施形態の動弁装置は、吸気側において、カム/カムシャフトユニット10と、カム/カムシャフトユニット10の下側に配置されるタペットユニット20と、吸気制御するバルブユニット30と、バルブユニット30を構成する2つの吸気バルブ31のうち一方の吸気バルブ31を休止させるバルブ休止ユニット50とを含む。
また、排気側において、カム/カムシャフトユニット10EXと、カム/カムシャフトユニット10EXの下側に配置されるタペットユニット20EXと、排気制御するバルブユニット30EXとを含む。なお、排気側においてバルブ休止ユニットは含まれない。
また、アクセル開度に応じてカム/カムシャフトユニット10、10EXのカム13、13EXを変位させるアクセルシャフトユニット40を含むが、この実施形態では吸気側のカム/カムシャフトユニット10と排気側のカム/カムシャフトユニット10EXとの間に配置され、吸気側及び排気側で共用される。
吸気側のカム/カムシャフトユニット10において、図3、5に示すように、シリンダヘッド2内でベアリング12を介して回転自在に支持されるカムシャフト11を備える。カムシャフト11の一端にはスプロケット15が固着し、この吸気側のスプロケット15と、同じく排気側のカムシャフト11EXの一端に固着するスプロケット15EXと、図示しないクランクシャフトの一端に固着するドライブスプロケットとの間にカムチェーンが巻回装架される。
カムシャフト11にはその軸方向にカム13がスライド可能に装着される。この例ではカムシャフト11とカム13との間にリニアベアリング14が介装され、カム13とカムシャフト11との相対回転が規制されるとともに、カム13が直線運動(リニアモーション)するようになっている。なお、カムシャフト11は中空構造を有し、その中空内部が潤滑油路となってスプライン部分等に注油することができる。
ここで、カム13は「3次元カム」として構成され、長手方向(カムシャフト11の軸方向)に傾斜するカム面を有し、バルブリフト量を連続的に変化させる形状とされる。この場合、カム高さと同時にカム作用角及びリフトタイミングも変化し、すなわちバルブリフト量が大きくなるのに従ってカム作用角も大きくなり、さらにはバルブのリフトタイミングも変化させ得るように設定される。
リニアベアリング14は、図8にも示すように、円筒形状のケージ(保持器)16により複数のボールをそれぞれ回転自在に保持するとともに、他のボール17aに比べて大径のボール17bをカムシャフト11の軸方向に平行となるように一列に配置したベアリング組立品により構成される。図示例では、カムシャフト11まわりに60度ずつ位相をずらしてカムシャフト11の軸方向に平行な6列のボール列が構成され、そのうちの一列のボール17bが他列のボール17aに比べて大径となっている。
また、カム13の内周面及びカムシャフト11の外周面にはそれぞれ軸方向に延びるレース溝13a、11aが形成される。これらレース溝13a、11aは、図8に示すように、大径のボール17bの径に合わせた円弧形状に形成されたものである。
このようにしたリニアベアリング14をカム13とカムシャフト11との間に介装し、その両端にリテーナ及びサークリップを配設して外れを防止する。この状態で、ボール17aがカム13の内周面及びカムシャフト11の外周面に接触するとともに、大径のボール17aがカム13の内周面のレース溝13a及びカムシャフト11の外周面のレース溝11aに転動自在に嵌入されるようになっている。これにより、カム13とカムシャフト11との相対回転が規制されるとともにカム13がカムシャフト11の軸方向にスライド可能となる。
なお、排気側のカム/カムシャフトユニット10EXは、吸気側のカム/カムシャフトユニット10と基本構成が同様であるが、カム13EXの具体的な諸元についてはカム13と異なる。
吸気側のタペットユニット20において、図3に示すように、外周面が球状面とされたタペットローラ21を備え、その外周面がカム13に接触する。なお、タペットローラ21の外周面のうちカム13と接触しない片側部分を軽量化等の目的で薄肉化させている。
タペットローラ21内には腕部材22が配置される。タペットローラ21の内周面は球状面とされており、この内周面と腕部材22中央の大径部との間にボール24が介在する。したがって、ボール24を介してタペットローラ21が回転可能に支持されるとともに腕部材22が揺動可能とされ、腕部材22がタペットローラ21に対して傾いたときにもタペットローラ21を正常回転可能とする調芯機能を発揮する。
腕部材22を覆うようにしてタペットガイド23が配置される。タペットガイド23は、正面方向(図2)から見ると略逆凹形状を有し、図3に示すように、両端開口から腕部材22の両端部が突出する。タペットガイド23は、取り付けボルト25によってシリンダヘッド2に固定される。
また、タペットガイド23の上面にはガイド孔23aが形成されており、このガイド孔23aの内側にタペットローラ21が配置される。ガイド孔23aはバルブステムの軸方向に沿って形成され、これによりタペットローラ21がバルブステムの軸方向にのみ移動可能となる。タペットローラ21がカム13のカム面に押圧されることにより、バルブを進退させるバルブリフタとして機能する。
腕部材22の両端部には、後述するバルブユニット30のタペットシム37に当接する押圧部22aが設けられる。また、腕部材22は中空とされており、吸気側においてはその一端開口が後述するバルブ休止ユニット50のタペットストッパ51との係合部として機能する。腕部材22はタペットストッパ51によって規制されていないときには、カムシャフト11とほぼ平行を保ったまま上下動するが、タペットストッパ51によって規制されているときには、タペットストッパ51との係合部を支点として揺動する。
なお、排気側のタペットユニット20EXは、図4に示すように、吸気側のバルブユニット30と基本構成が同様である。
吸気側のバルブユニット30において、図2、3に示すように、バルブステム31aがバルブガイド32によってガイドされる2つの吸気バルブ31を備える。吸気バルブ31がリフトすることにより、吸気ポート33を介してエアクリーナ114から導かれる空気と吸気ポート33の下流側に配置されたインジェクタ127から噴霧される燃料との混合気が燃焼室に導入される。
各バルブステム31aの端部には、コレット34を介してバルブリテーナ35が設けられ、バルブリテーナ35にバルブスプリング36の弾性力が作用する。さらにバルブリテーナ35の上端開口にはタペットシム37が装着されており、このタペットシム37を介して腕部材22の押圧部22aにより押圧される。
なお、排気側のバルブユニット30EXは、吸気側のバルブユニット30と基本構成が同様である。
アクセルシャフトユニット40において、図2、5に示すように、カムシャフト11、11EX間に平行に配置されたアクセルシャフト41と、アクセルシャフト41に固着するとともにカム13、13EXに連結するアクセルフォーク42とを備える。
アクセルシャフト41は軸方向にスライド可能に支持され、一端側で送りネジ41aを介してドリブンギヤ43(べベルギヤ)と螺合する。ドリブンギヤ43はシリンダヘッド2に回転自在に支持され、図6に示すように、アクセルモータ44の出力軸に固着するドライブギヤ45(べベルギヤ)と噛合する。
アクセルフォーク42は、アクセルシャフト41と直交方向にカムシャフト11、11EX側へ延出し、それぞれ二股状の先端部を有する。また、カム13、13EXの端部には、ベアリング46、46EXを介して回転自在にされたフォークガイド47、47EXを備える。アクセルフォーク42の二股状の各先端はフォークガイド47、47EXの係合溝に係合し、この係合溝に沿って移動可能とされる。これによりアクセルシャフト41がその軸方向にスライドするのに連動もしくは同期して、カム13、13EXがカムシャフト11、11EXに沿ってそれぞれスライドする。
バルブ休止ユニット50において、図3に示すように、吸気側のバルブユニット30を構成する2つの吸気バルブ31のうち一方の吸気バルブ31を休止させるように構成されたタペットストッパ51を備える。タペットストッパ51は、シリンダヘッド2に装着されたスリーブ52内に内挿され、カムシャフト11と平行にスライド可能である。
タペットストッパ51の先端は、腕部材22の一端開口に係合可能な球状とされる。スリーブ52内には、タペットストッパ51を腕部材22側へ付勢するスプリング53が装着される。駆動装置54は、駆動シャフト55を前進させて、フォーク56を介してタペットストッパ51を前進駆動する。
また、図7に示すように、バルブ休止ユニット50によるバルブ休止状態を解除するための解除機構60を備える。解除機構60は略直角に屈曲するアーム61を備え、そのアーム61の二股状の先端部がタペットストッパ51の先端に係合し、他端のローラ部がアクセルシャフト41に当接する。アーム61は屈曲部分で回転自在に支持され、その回転軸部分にはアーム61の他端をアクセルシャフト41側へ付勢するスプリング62が装着される。
アクセルシャフト41の所定位置には段部63が形成されており、図7に示す状態からアクセルシャフト41が矢印X方向にスライドすると、段部63を乗り越えるようにしてアーム61が矢印R方向に回動するので、タペットストッパ51を後退させてバルブ休止状態を解除することができる。
上記構成とした動弁装置において、アクセルグリップ(もしくはアクセルペダル)を操作するとアクセルモータ44が作動し、その出力軸の回転によりドリブンギヤ43を介してアクセルシャフト41がスライドする。カム13、13EXはアクセルフォーク42を介してアクセルシャフト41の動きに連動してカムシャフト11、11EXに沿ってスライドする。この実施形態では吸気側に加えて排気側においてもアクセル開度に応じてバルブリフト量及び作動角を無段階可変制御する。
このように吸排気量をアイドル回転域から全開域までコントロールし、エンジン回転数(又は車両速度)に最も適した吸排気を行うことができる。例えば、エンジン低速時には、タペットローラ21はカム13、13EXのカム面に対してカム高さの比較的低い部位に当接する。
この状態で加速、すなわちアクセルを開くと、アクセルモータ44の作動によりドリブンギヤ43が回転して、アクセルシャフト41は図5の矢印X方向にスライドする。カム13、13EXはアクセルフォーク42を介してアクセルシャフト41の動きに連動してカムシャフト11、11EXに沿って同様に矢印X方向にスライドする。カム13、13EXのスライドによりタペットローラ21、21EXは次第にカム高さの比較的高い部位に当接し、バルブリフト量が増大する。
一方、減速時にはアクセルを戻すことで、上記とは逆の動作でバルブリフト量を減少させる。
また、エンジンの低中速回転域では、吸気側において、タペットストッパ51によって腕部材22の一端の動きを規制する。これにより、腕部材22がタペットストッパ51との係合部を支点として揺動し、一方の吸気バルブ31を休止させ、他方の吸気バルブ31のみをリフトさせて、燃焼室内に吸気スワール流を生成し、いわゆるリーンバーン化が可能となる。この場合、燃料の注入速度を速くすることで出力アップを図ることができる。
バルブ休止状態では腕部材22がタペットストッパ51との係合部を支点として揺動するので、両方の吸気バルブ31をリフトさせる通常のバルブリフト量に対して、他方の吸気バルブ31のバルブリフト量が増大する。バルブ休止状態では片方の吸気ポート33による吸気となるから、そのこと自体では吸気抵抗が高くなるが、リフト量の増大により実行バルブ開口面積は拡大する。これによりバルブ休止のON/OFF切替時におけるバルブ開口面積や吸気抵抗による吸気量の差を実質的になくし、あるいは僅少にしてスムーズな切替を行うことができる。
エンジンの低中速回転域を超えて、アクセルシャフト41が所定量だけスライドすると、上述したようにアクセルシャフト41の段部63によりアーム61が回動し、タペットストッパ51を後退させてバルブ休止状態を強制的に解除することができる。
以上述べた動弁装置では、大径のボール17bをカムシャフト11の軸方向に平行となるように一列に配置して、大径のボール17aがカム13の内周面のレース溝13a及びカムシャフト11の外周面のレース溝11aに転動自在を嵌入する構成により、カム13とカムシャフト11との相対回転を規制することができ、複数条のキー溝及び溝を形成するような手間が不要となり、加工性を大幅に向上させることができる。
しかも、レース溝11a、13aは円弧形状に形成されるので、両側面及び底面を有する溝に比べて切欠係数が小さく、応力集中を避けることができる。また、例えばカムシャフト11の外周面のレース溝11aは研磨加工により形成することも可能であり、寸法精度を向上させることができる。
特に、図2〜5には単気筒のものを説明したが、多気筒化する場合には、加工性の点で顕著な効果を奏する。すなわち、1本のカムシャフト11に多気筒分の複数のカム13が装着される場合、カムシャフト11がそれだけ長くなるため、キー溝を形成する加工に非常に手間がかかってしまう。それに対して、本実施形態では、カムシャフト11に必要な数のレース溝11aを形成すればよいので、その加工が非常に容易となる。
また、ボール17a、17b及び保持器16を組み立てたものをカム13とカムシャフト11との間に介装すればよいので、組み付け性を大幅に向上させることができる。
さらに、大径のボール17bを保持器16から容易に取り外しできるようにしておけば、大径ボール17bの径を選別することにより、ボール17a、17bとカム13やカムシャフト11との間のクリアランス調整を簡単に行うことができる。
上記実施形態では、カムシャフト11の軸方向に平行な6列のボール列が構成されるようにしたが、その形態には限定されない。例えば、大径のボール17bの列(及びレース溝11a、13a)はカムシャフト11の軸方向に平行にする必要があるが、他のボール17aの列では位相を個々にずらすようにしてもよい。この場合には、カム13のスライド時における接触点の位相をずらすことができるので、磨耗を減少させることができる。
また、カムシャフト11まわりに60度ずつ位相をずらした6列のボール列が構成されるようにしたが、その形態には限定されない。
以上、本発明を種々の実施形態と共に説明したが、本発明はこれらの実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更等が可能である。例えば、上記実施形態では単気筒の例を説明したが、多気筒としてもよい。
ここで、多気筒(並列2気筒〜4気筒)とする場合、ボール17aの列の位相を大径のボール17bの列の位相に対して180°、120°、90°以外に設定するのが望ましい。以下、この点について説明すると、まず前提として、大径のボール17bはカム13のカムノーズに対応させて配置するのが望ましく、また、図9(a)に示すように、カムシャフト11の外周面に形成する気筒数分のレース溝11aは、その両端が開口する溝とするのが加工性の点から望ましい。
例えば並列2気筒の場合、180°爆発であれば、左右のカム13の位相は90°ずれ(図9(b)を参照)、360°爆発であれば、左右のカム13の位相は180°ずれる(図9(c)を参照)。例えば、左右のカム13の位相を180°ずらす場合、図9(c)に示すように2本のレース溝11aは180°位相がずれて位置するため、図8に示したように大径のボール17bに対して180°の位相位置にボール17aがカム13を各気筒で使用すると、そのボール17aがレース溝11aに落ち込んでしまうことになる。
同様に、3気筒の場合、各気筒のカム13の位相は120°ずれ、4気筒の場合、各気筒のカム13の位相は90°ずれる。
上記の点を考慮すると、ボール17aの列の位相を大径のボール17bの列の位相に対して180°、120°、90°以外、例えばボール17aの列の位相を大径のボール17bの列の位相に対して72°、144°、216°、288°ずらすようにすれば(ボール17a、17bの配置を円周を五等分して配置する)、各気筒で同じカム13を回転角度をまわして装着してもボール17aがレース溝11aに落ち込んでしまうことがなく、各気筒でカム13を共用することが可能になる。
本発明の適用例に係るエンジンまわりを含む自動二輪車の構成例を示す図である。 第1の実施形態の動弁装置の要部を示す断面図である。 図2のA−A線に沿う断面図である。 図2のB−B線に沿う断面図である。 図2のC−C線に沿う断面図である。 アクセルモータ44まわりの構成を示す図である。 バルブ休止状態を解除するための解除機構60を示す図である。 カム及びカムシャフトまわりの拡大図である。 多気筒とする場合におけるカムシャフトを説明するための図である。
符号の説明
1 エンジンユニット
2 シリンダヘッド
10(10EX) カム/カムシャフトユニット
11(11EX) カムシャフト
11a(11aEX) レース溝
13(13EX) カム
13a(13aEX) レース溝
14(14EX) リニアベアリング
16(16EX) 保持器
17a(17aEX) ボール
17b(17bEX) 大径のボール
20(20EX) タペットユニット
21(21EX) タペットローラ
22(22EX) 腕部材
23(23EX) タペットガイド
24(24EX) ボール
30(30EX) バルブユニット
31 吸気バルブ
31EX 排気バルブ
40 アクセルシャフトユニット
41 アクセルシャフト
42 アクセルフォーク
50 バルブ休止ユニット
51 タペットストッパ

Claims (4)

  1. カム高さとカム作用角が連続的に変化するようにカム面が形成され、カムシャフトと一体回転するとともにその軸方向にスライド可能に構成されたカムと、
    上記カムのカム面に押圧されてバルブを進退させるバルブリフタとを備え、
    上記カムが上記カムシャフトの軸方向にスライドすることによりバルブリフト量及びバルブ作動角を無段連続に可変制御する構成とした動弁装置であって、
    保持器により複数のボールをそれぞれ回転自在に保持するとともに、他のボールに比べて大径のボールを上記カムシャフトの軸方向に平行となるように少なくとも一列に配置したベアリング組立品と、
    上記カムの内周面及び上記カムシャフトの外周面にそれぞれ形成された軸方向に延びる溝とを備え、
    上記カムと上記カムシャフトとの間に上記ベアリング組立品を介装し、上記大径のボールを上記カムの内周面の溝及び上記カムシャフトの外周面の溝に転動自在に嵌入して、上記カムと上記カムシャフトとの相対回転を規制するとともに上記カムが上記カムシャフトの軸方向にスライド可能となるようにしたことを特徴とする動弁装置。
  2. 上記大径のボールを上記保持器から取り外し可能にしたことを特徴とする請求項1に記載の動弁装置。
  3. 上記保持器が保持するボールは上記カムシャフトまわりに均等に配置される複数列をなし、そのうちの少なくとも一列のボールを他列のボールに比べて大径としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の動弁装置。
  4. 吸気バルブ及び排気バルブにより吸排気を制御するようにした内燃機関であって、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の動弁装置を備えたことを特徴とする内燃機関。
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