JP4208329B2 - 4サイクル内燃機関のデコンプ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本出願発明は、例えば船外機に搭載される4サイクル内燃機関において、機関始動時に、圧縮行程でのシリンダ内の圧縮圧力を減圧することにより、始動を容易にするためのデコンプ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
リコイルスタータなどの人力による始動装置を備えた4サイクル内燃機関には、機関始動時に、圧縮行程でのシリンダ内の圧縮圧力を減圧して始動を容易にするためのデコンプ装置が設けられたものがある。そして、そのようなデコンプ装置として、カム軸に設けられて、該カム軸の径方向外方に突出するデコンプピンを備えたものが知られている。この種のデコンプ装置では、機関始動時に、カム軸の径方向外方に突出したデコンプピンが、圧縮行程時に排気弁を小リフト量開弁させることで、機関始動時のシリンダ内の圧縮圧力が抜けるようになっている。
【0003】
例えば、特開平9−49408号公報に記載された内燃機関のデコンプ装置は、遠心力によりデコンプ軸を回動してデコンプピンを突出させるものである。この内燃機関は、船外機に搭載された4サイクル内燃機関であって、リコイルスタータを備えている。そして、デコンプ装置は、カム軸の内部に回動自在に設けられたデコンプ軸、デコンプピンおよび遠心クラッチ機構を備えている。デコンプ軸には、排気側のカムに近接した位置の外周の一部に切欠きが形成され、該切欠きに対向する位置のカム軸に、ピン孔が形成されている。そして、ピン孔にはデコンプピンがカム軸の径方向に摺動自在に挿入されている。遠心クラッチ機構は、クランク軸のプーリに巻き掛けられたタイミングベルトが巻き掛けられるカム軸のプーリの外側部に設けられていて、支持ピンに回動自在に支持された一対のウエイトを備えている。ウエイトは、該ウエイトに発生する遠心力により、スプリングのバネ力に抗して外方に開くように回動し、同時に該ウエイトに係合するデコンプ軸が、カム軸内で回動するようになっている。
【0004】
このようなデコンプ装置において、機関始動時は、機関回転数が小さいため、ウエイトに発生する遠心力も小さく、ウエイトがバネ力に抗して回動することはない。この状態では、デコンプピンは、デコンプ軸の切欠きが形成されていない外周部分に当接しているため、デコンプピンの先端部がカム軸の表面(カムのベース円部に相当)より所定長さ突出して、圧縮行程時に排気弁が少し開弁され、圧縮圧力が抜けるようになっている。
【0005】
機関の始動後は、機関回転数が上昇し、遠心力によりウエイトが回動して、同時に、該ウエイトと係合するデコンプ軸も、その切欠きがデコンプピンに対向する位置まで回動する。この状態では、デコンプピンは、該切欠きに嵌入して、カム軸の表面から突出していないため、圧縮行程時に排気弁が開弁されることはない。
【0006】
また、特開平8−21221号公報に記載された内燃機関の減圧装置(デコンプ装置に相当)は、油圧により作動軸(デコンプ軸に相当)を往復動させてピン(デコンプピンに相当)を移動させるものである。減圧装置は、カムシャフトの内部に軸方向に往復動自在に設けられた作動軸、ピンおよびピストンを備えている。該ピンは、作動軸に、排気弁カム部分の円筒形の面(ベース円部に相当)から突出した状態で固定され、さらにカムシャフトに形成されたスロット内に収容されている。該ピストンは、内燃機関により駆動されるオイルポンプに発生する油圧を受けて、作動軸の端部と当接し、作動軸を螺旋バネのバネ力に抗して軸方向に変位させるようになっている。
【0007】
このような減圧装置において、機関始動時は、機関回転数が小さいため、ピストンに作用する油圧も小さく、ピストンが作動軸に当接しても、作動軸がバネ力に抗して変位することはない。この状態では、ピンはスロットの排気弁カム部分の端部に位置しているため、円筒形の面から突出しているピンにより、圧縮行程時に排気弁が少し開弁され、圧縮圧力が抜けるようになっている。
【0008】
機関の始動後は、機関回転数が上昇し、オイルポンプに発生する油圧が上昇して、ピストンがバネ力に抗して作動軸を軸方向に変位させる。この状態では、ピンは、スロットの、排気弁カム部分から離れた側の端部であって、ロッカーアームと係合しない位置にあるため、圧縮行程時に排気弁が開弁されることはない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ウエイトに発生する遠心力を利用してデコンプピンを移動させるデコンプ装置においては、機関回転数が設定値を越えたときデコンプ作動を解除するようにできるものの、その解除を確実に行うためには、ウエイトを重くするか、モーメントアームを長くして、所要の作動力を得なければならず、ウエイトが大型化する傾向がある。そのため、このデコンプ装置は、油圧を利用したデコンプ装置に比べて、シリンダヘッド内のカム軸周りにより大きなスペースを確保する必要が生じて、内燃機関の大型化・重量増を招いていた。
【0010】
また、内燃機関により駆動されるオイルポンプに発生する油圧を利用してデコンプピンを移動させるデコンプ装置は、油圧が設定値を越えたときデコンプ作動を解除するものであり、小型・軽量である。ところが、油圧が前記設定値に達するときの機関回転数は、油温によって変化するため、このデコンプ装置においては、いかなる油温においても、機関回転数が設定値を越えたときにデコンプ作動が解除されるようにすることは困難である。
【0011】
本出願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、小型でかつ軽量であって、しかも設定された機関回転数を越えたとき確実にデコンプ作動を解除して、安定した機関始動を可能とするデコンプ装置を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段および効果】
本出願の請求項1記載の発明は、排気弁を開弁駆動する排気カムが形成されるとともに回転駆動されるカム軸の内部に軸方向に形成された軸穴と、該軸穴に形成されて圧油が供給される油圧室と、前記軸穴に嵌合されて前記油圧室の油圧に応じて第1位置および第2位置を占めるデコンプ軸と、該デコンプ軸の前記第1位置で圧縮行程時に前記排気弁を開弁駆動し、前記デコンプ軸の前記第2位置で前記排気弁の開弁駆動を停止するデコンプピンと、機関回転数が設定始動回転数以下のとき、前記油圧室の油圧を前記デコンプ軸が前記第1位置を占める油圧とし、機関回転数が前記設定始動回転数を越えたとき、前記油圧室の油圧を前記デコンプ軸が前記第2位置を占める油圧にする油圧制御バルブとを備え、前記油圧室には、内燃機関により駆動されるオイルポンプにより圧送された前記圧油が供給され、前記オイルポンプが発生する油圧は、機関回転数が前記設定始動回転数に達する前に、前記デコンプ軸を前記第2位置に移動させることができる大きさに設定されており、前記油圧室は、該油圧室の圧油を前記カム軸の外部に流出させるリーク穴を有し、前記油圧制御バルブは、機関回転数が前記設定始動回転数以下のとき前記リーク穴を開放し、機関回転数が前記設定始動回転数を越えたとき前記リーク穴を閉塞し、前記油圧室には、前記油圧制御バルブによる前記リーク穴の開閉の如何に係わらず、前記オイルポンプから圧送された前記圧油が供給されており、前記油圧室を形成している前記カム軸の部分には、前記カム軸を貫通する貫通穴が径方向に形成されており、前記貫通穴は、直径方向に対向する前記カム軸の外周から前記油圧室に至る一対の穴からなり、前記一対の穴の一方の穴は、前記リーク穴であり、前記一対の穴の他方の穴は、前記油圧制御バルブを案内するための案内穴であり、前記案内穴には、前記油圧制御バルブの弁本体部が前記油圧室を横切るように嵌合されている4サイクル内燃機関のデコンプ装置である。
【0013】
このような請求項1記載の発明によれば、油圧により位置が制御されるデコンプ軸により、デコンプピンによる排気弁の開弁駆動が制御されるので、ウエイトに発生する遠心力を利用してデコンプピンを移動させるデコンプ装置に比べて、小型・軽量のデコンプ装置とすることができる。しかも、オイルポンプが発生する油圧は、設定始動回転数に達する前に、デコンプ軸を前記第2位置に移動させることができる大きさに設定されており、デコンプ軸の位置を決める油圧室の油圧が、機関回転数に応じて作動する油圧制御バルブにより制御されるため、機関回転数が設定始動回転数を越えると油圧制御バルブが作動して、油圧室の油圧を、デコンプ軸が第2位置を占めるような油圧となるように制御し、デコンプピンによる排気弁の開弁駆動が停止されるので、設定された機関回転数において確実にデコンプ作動を解除できるため、安定した機関始動が可能となる。
【0014】
また、前記油圧室は、該油圧室の圧油を前記カム軸の外部に流出させるリーク穴を有し、前記油圧制御バルブは、機関回転数が前記設定始動回転数以下のとき前記リーク穴を開放し、機関回転数が前記設定始動回転数を越えたとき前記リーク穴を閉塞し、前記油圧室には、前記油圧制御バルブによる前記リーク穴の開閉の如何に係わらず、前記オイルポンプから圧送された前記圧油が供給されていることにより、油圧室の油圧の発生および解除を、リーク穴の開閉のみで簡単に行うことができるとともに、リーク穴から流出した圧油をカム軸近傍の潤滑に利用できる。
【0015】
請求項2記載の発明のように、請求項1記載の4サイクル内燃機関のデコンプ装置において、前記油圧制御バルブは、前記カム軸に固定された支持ピンに回動自在に支持されて機関回転数に応じて発生する遠心力により回動するウエイトに連動して、機関回転数が前記設定始動回転数以下のときの前記ウエイトの挙動により前記リーク穴を開放し、機関回転数が前記設定始動回転数を越えたときの前記ウエイトの挙動により前記リーク穴を閉塞することにより、ウエイトを利用した簡単な構造により、油圧制御バルブを機関回転数に応じて作動させることができる。また、ウエイトは、油圧制御バルブを駆動できる程度のものであればよいため、小型のものでよく、ウエイトを使用しているにも拘わらず、小型・軽量のデコンプ装置とすることができる。
【0016】
請求項3記載の発明のように、請求項1または請求項2記載の4サイクル内燃機関のデコンプ装置において、前記デコンプピンは、前記カム軸にその径方向に形成されたピン穴に挿入されており、前記ピン穴は、該ピン穴に前記デコンプピンを挿入するための挿入穴と共に、前記カム軸を前記径方向に貫通する貫通穴を構成し、前記デコンプ軸は、軸方向に往復動自在で、しかも前記第2位置を占めるとき前記ピン穴と対向する位置に形成された環状溝を有し、さらに前記デコンプピンは、前記デコンプ軸が前記第1位置を占めるとき前記デコンプ軸の外周に当接して前記排気カムのベース円部より径方向外方に突出し、前記デコンプ軸が前記第2位置を占めるとき前記環状溝に嵌入して前記排気カムのベース円部より径方向内方に後退することにより、ピン穴に挿入されたデコンプピンが嵌入する第2位置にあるデコンプ軸に形成された溝が、環状溝であることにより、カム軸の周方向の特定位置において径方向に形成されたピン穴に対して、デコンプ軸の位置は、その周方向位置には無関係に、その軸方向の位置のみ合わせればよいことから、デコンプ軸の位置決めが容易であり、さらにデコンプ軸がカム軸に対して回動したとしても、デコンプピンが確実に溝内に嵌入できる。
【0017】
請求項4記載の発明のように、請求項1または請求項2記載の4サイクル内燃機関のデコンプ装置において、前記油圧室には、前記オイルポンプにより圧送された圧油が絞り部材を介して供給されることにより、リーク穴から流出する圧油の流量と、機関回転数に比例する油圧を発生するオイルポンプから絞り部材を介して油圧室に供給される圧油の流量とを適切に設定することにより、設定始動回転数に達する前に、オイルポンプに発生する油圧が、デコンプ軸を移動させることが可能な大きさとなっていても、油圧制御バルブがリーク穴を開放しているときは、油圧室の油圧を、デコンプ軸が確実に第1位置を占めるような油圧にすることが容易にでき、油圧制御バルブがリーク穴を閉じたときは、油圧室の油圧を、デコンプ軸が速やかに第2位置を占めるような油圧にすることができる。
【0018】
なお、この明細書において、始動回転数とは、始動装置により始動された内燃機関が、完爆した後、自力運転可能となる機関回転数を意味する。そして、設定始動回転数とは、デコンプ装置によるデコンプ作動を解除するために予め設定した始動回転数を意味する。
【0019】
【発明の実施形態】
以下、本出願発明の一実施形態を図1ないし図7を参照して説明する。
図1ないし図7に図示された本出願発明の一実施形態は、船外機に搭載される、リコイルスタータ付きの4サイクル2気筒内燃機関のデコンプ装置である。
【0020】
まず、図1に図示されたカム軸1を参照して、カム軸1を中心に、吸気弁および排気弁の動弁機構について説明する。
シリンダヘッド2に設けられて、鉛直方向に延びるカム軸1には、その上端部にドリブンプーリ3が取り付けられ、やはり鉛直方向に延びるクランク軸(図示されず)の上端部には、ドライブプーリが取り付けられている。該ドリブンプーリ3および該ドライブプーリ間には、タイミングベルトが掛け渡されていて、カム軸1は、このタイミングベルトを介して伝達されるクランク軸のトルクにより、クランク軸の回転と同期して回転駆動される。
【0021】
カム軸1には、ドリブンプーリ3の取り付け部の下方に隣接して上ジャーナル部4aが、さらにカム軸1の下端部に下ジャーナル部4bがそれぞれ形成されている。そして、カム軸1は、これら両ジャーナル部4a,4bにおいて、シリンダヘッド2に回転自在に支持されている。また、上ジャーナル部4aの上部外周とシリンダヘッド2との間には、オイルシール5が設けられている。さらに、上ジャーナル部4aの下端には、シリンダヘッド2に当接してカム軸1の上方への移動を阻止する鍔状の上スラスト受け部6aが形成され、下ジャーナル部4bの上端には、シリンダヘッド2に当接してカム軸1の下方への移動を阻止する鍔状の下スラスト受け部6bが形成されている。
【0022】
そして、両スラスト受け部6a,6bの間のカム軸1には、二つの気筒に対応して上カム形成部7aおよび下カム形成部7bが設けられている。各カム形成部7a,7bは、カム軸1の軸線を中心とする円弧状のベース円部と、ベース円部より径方向外方に突出したノーズ部とを有している。そして、各カム形成部7a,7bにおいて、軸方向の上部分が排気カム8を形成しており、軸方向の下部分が吸気カム9を形成している。なお、両カム形成部7a,7bの間には、内燃機関の燃料ポンプ駆動用カム10が形成されている。
【0023】
また、シリンダヘッド2には、各気筒に対応して吸気弁および排気弁が1個ずつ設けられている。さらに、シリンダヘッド2には、それら吸気弁および排気弁に対応して吸気ロッカーアームおよび排気ロッカーアーム11が、略90度(または略270度)の位相差を持って、ロッカーアーム軸に回動自在に取り付けられている。この実施形態では、排気カム8および吸気カム9を一つのカムプロフィールで共用しているため、ロッカーアームのスリッパー面を例えば前述のような位相差をもって配置している。
【0024】
それゆえ、カム軸1が、タイミングベルトを介して伝達されるクランク軸のトルクにより回転駆動されると、吸気ロッカーアームの一端および排気ロッカーアーム11の一端にそれぞれ当接する吸気カム9および排気カム8が、各ロッカーアームを回動させて、吸気ロッカーアームの他端および排気ロッカーアーム11の他端にそれぞれ当接する吸気弁および排気弁を、各カム8,9のノーズ部の突出長さに対応したリフト量でそれぞれ開弁駆動するようになっている。
【0025】
つぎに、デコンプ装置の詳細な構造を説明する。
図1は、デコンプ作動時のデコンプ装置の断面図であり、図2は、デコンプ非作動時のデコンプ装置の断面図である。なお、図1および図2においては、破断線を境に異なる周方向位置での断面が示されている。
【0026】
カム軸1の内部には、カム軸1と同軸にその軸方向に延びる軸穴21が形成されている。軸穴21は、カム軸1の下端面から上ジャーナル部4aに渡って形成され、その上端は閉塞され、その下端は開口している。この軸穴21は、後述するデコンプ軸25が嵌合される小径部21aと、小径部21aより径の大きい大径部21bとを有する段付きの穴となっている。そして、大径部21bは、カム軸1の下端面から下スラスト受け部6bに至る長さで軸方向に延びている。
【0027】
さらに、カム軸1の、各排気カム8の上方に近接して、排気ロッカーアーム11が当接可能な位置に、カム形成部7a,7bのノーズ部の径方向に最も突出した点のカム軸1周方向位置と同じ周方向位置において、カム軸軸線と直交する中心線を有する貫通穴が、カム形成部7a,7bのノーズ部側からカム形成部7a,7bのベース円部側に、カム軸1をその径方向に貫通して形成されている。図5および図6にも図示されるように、貫通穴のベース円部側の穴は、後述するデコンプピン24が収容されるピン穴22を構成しており、小径部22aと、小径部22aより径の大きい大径部22bとを有する段付きの穴である。大径部22bは、軸穴21の小径部21aの周壁面より所定長さ径方向外方に延びた位置まで形成されており、小径部22aは、大径部22bの延びた位置からカム軸1の外周の開口まで形成されている。また、それら貫通穴のノーズ部側の穴は、デコンプピンをピン穴22に挿入するための挿入穴23を構成しており、ピン穴22の大径部22bと同じ径を有していて、カム軸1の外周から軸穴21に至る穴である。
【0028】
各ピン穴22には、デコンプピン24が挿入されていて、該デコンプピン24は、ピン穴22の軸方向(カム軸1の径方向)に摺動自在である。デコンプピン24は、ピン穴22の小径部22aおよび大径部22bに対応して、小径部24aと、小径部24aより径の大きい大径部24bとを有する段付きのピンである。大径部24bの軸方向長さは、大径部24bの底面が、後述するデコンプ軸25の大径部の外周に当接した状態で、デコンプピン24の段部24cがピン穴22の段部22cに当接する長さとされる。また、デコンプピン24の軸方向長さは、大径部24bの底面が、デコンプ軸25の大径部25bの外周に当接した状態で、小径部24aの先端が、各カム形成部7a,7b(排気カム8)のベース円部より径方向外方に所定長さ突出するようにされている。この所定長さは、排気弁のリフト量を決めるものであり、機関始動時において、圧縮行程時になすべきシリンダ内の減圧の程度を考慮して適宜決定される。
【0029】
図1および図2に図示されるように、軸穴21の小径部21aには、デコンプ軸25がカム軸1の軸方向に摺動して往復動自在に嵌合されている。デコンプ軸25は、その上端部に形成された小径部25aと、それより下方位の、小径部25aより径の大きい大径部25bとを有する段付きの軸である。そして、軸穴21の閉塞された上端とデコンプ軸25の段部25cとの間には、小径部25aを囲んで遊嵌された状態で、軸スプリング26が縮設されている。デコンプ軸25は、この軸スプリング26のバネ力により、その下端面が抜け止めピン27に当接するように付勢されている。そして、抜け止めピン27に当接しているときのデコンプ軸25の位置が、デコンプ軸25の第1位置である。なお、抜け止めピン27は、下カム形成部7bの吸気カム9の下方で、軸穴21を直径方向に横切る態様で、カム軸1に固定されている。
【0030】
デコンプ軸25の下端面は、後述する油圧室30の油圧を受ける受圧面となっていて、この下端面に作用する油圧に基づく力が、軸スプリング26のバネ力より大きくなると、デコンプ軸25は上方に移動して、小径部25aの上端面が軸穴21の上端に当接した状態で停止する。そして、小径部25aの上端面が上端に当接しているときのデコンプ軸25の位置が、デコンプ軸25の第2位置である。
【0031】
第2位置にあるデコンプ軸25の大径部25bには、ピン穴22に対向する位置に、環状溝28が形成されている。この環状溝28には、デコンプピン24による排気弁の開弁駆動を停止するために、排気ロッカーアーム11に当接したデコンプピン24が嵌入するようになっている。それゆえ、環状溝28の深さは、環状溝28にデコンプピン24が嵌入して、環状溝28の底壁面にデコンプピン24の大径部24bの底面が当接した状態で、デコンプピン24の先端面がカム形成部7a,7b(排気カム8)のベース円部より径方向内方に後退した位置となる深さに設定されている。なお、環状溝28の底壁面にデコンプピン24の大径部24bの底面が当接しているとき、デコンプピン24の大径部24bの一部は、ピン穴22の大径部22bに嵌合している。
【0032】
このように、デコンプピン24が嵌入するデコンプ軸25の溝が環状溝28であるため、カム軸1の周方向の特定位置に形成されたピン穴22に対して、デコンプ軸25の位置は、その周方向位置には無関係に、その軸方向の位置のみ合わせればよいことから、ピン穴22に対するデコンプ軸25の位置決めが容易であり、さらにデコンプ軸25がカム軸1に対して回動したとしても、デコンプピン24が確実に溝内に嵌入できる。さらに、環状溝28の上側壁面は、環状溝28の底壁面からデコンプ軸25の外周に向かって斜め上方に傾斜していて、デコンプ軸25が第1位置と第2位置との間で往復動する際に、デコンプピン24が環状溝28に出入りするとき、この傾斜した上側壁面を利用してスムーズに出入りできるようになっている。
【0033】
軸穴21において、軸穴21の段部21cには絞り部材29が配置され、さらにデコンプ軸25の下端面と絞り部材29の上端面との間には油圧室30が形成されている。この油圧室30には、内燃機関により駆動されるオイルポンプから圧送された圧油が、シリンダヘッド2に形成されたオイル通路31を介して、さらに絞り部材29のオリフィスを通って供給される。このオイルポンプは、機関回転数に比例する油圧を発生するものであり、デコンプ作動を解除する機関回転数である設定始動回転数に達する前に、その油温に関わらず、発生する油圧が、デコンプ軸25を軸スプリング26のバネ力に抗して移動させることができる大きさとなるように設定してある。なお、オイルポンプは、例えばトロコイド式ポンプであって、そのローターの軸をカム軸1の下端に合わせるようにして、カム軸1に直結されて駆動されるものであってもよい。
【0034】
そして、油圧室30に流入する圧油の流量は、絞り部材29に形成されたオリフィスの大きさを変えることにより、調整可能である。したがって、後述するリーク穴33から流出する圧油の流量と、絞り部材29を介して油圧室30に供給される圧油の流量を適切に設定することにより、設定始動回転数に達する前に、オイルポンプに発生する油圧が、デコンプ軸25を軸スプリング26のバネ力に抗して移動できる大きさとなるように設定してあっても、後述する油圧制御バルブ32がリーク穴33を開放しているときは、油圧室30の油圧を、デコンプ軸25が確実に第1位置を占めるような油圧にすることができる。そして、油圧制御バルブ32がリーク穴33を閉じたときは、既に、デコンプ軸25を移動させることができる大きさとなっている油圧を有する圧油で油圧室30が満たされるため、デコンプ軸25が速やかに第2位置を占めるように移動する。
【0035】
図3および図4にも図示されるように、油圧制御バルブ32は、円柱形状の弁本体部32aと、弁本体部32aの一端に形成された円錐形状をした弁部32bと、弁本体部32aの他端に形成された切欠き部32cとからなる。この油圧制御バルブ32の弁本体部32aは油圧室30を横切るようにしてカム軸1に形成された後述する穴に嵌合されている。そして、切欠き部32cは、カム軸1の外部に位置していて、油圧制御バルブ32の軸方向に平行な平面が形成されるように、円柱の一部を切除したものであり(図7参照)、それによって形成された平面部に後述するウエイト35の係合溝35dに係合し、カム軸軸線と平行に延びる係合ピン32dが植設されている。
【0036】
一方、油圧室30を形成しているカム軸1の部分には、抜け止めピン27の設置位置より下方に、カム軸軸線と直交する中心線を有し、カム軸1を貫通する貫通穴が径方向に形成されている。貫通穴は、直径方向に対向するカム軸1の外周から油圧室30に至る一対の穴からなる。そして、この貫通穴の一方の穴は、油圧室30の圧油をカム軸1の外部に流出させるためのリーク穴33を構成しており、油圧制御バルブ32の弁部32bが着座する弁座を有していて、油圧制御バルブ32により開閉されるようになっている。このため、油圧室30には、油圧制御バルブ32によるリーク穴33の開閉とは無関係に、前記オイルポンプから圧送された圧油が絞り部材29を通って供給されている。
また、貫通穴の他方の穴には、この油圧制御バルブ32の弁本体部32aが摺動して往復動自在に嵌合されており、この他方の穴は油圧制御バルブ32を案内するための案内穴34となっている。なお、案内穴34の周壁面と弁本体部32aの外周面との間にはシール部材を設けることもできる。
【0037】
つぎに、図3および図7を参照して、ウエイト35について説明する。ウエイト35は、ウエイト部35aとボス部35bとアーム部35cとからなる。ボス部35bには、一端が下スラスト受け部6bに、他端が下カム形成部7bのノーズ部に固定された支持ピン36が挿入されていて、ウエイト35は、この支持ピン36に回動自在に支持されている。支持ピン36は、カム軸軸線と平行となるように配置され、下スラスト受け部6bに形成された穴を貫通して、下カム形成部7bのノーズ部下端に形成された有底の穴に挿入されている。ボス部35bの上端面は下カム形成部7bの吸気カム9の下端面に当接しており、ボス部35bの下端面は、下スラスト受け部6bの上端面に当接している。そのため、ウエイト35は上下方向にぶれることなく回動が可能である。下スラスト受け部6b寄りのボス部35bの周囲には、ウエイトスプリング37が遊嵌されている。ウエイトスプリング37の一端は、カム軸1の外周に当接し、その他端はウエイト部35aの端部に当接していて、その捩りバネ力により、ウエイト35は、ウエイト部35aの内周がカム軸1の外周に当接するように付勢されている。
【0038】
また、ウエイト部35aは、リングをその中心線を含む平面で略半分にした半リングの形状をしていて、下スラスト受け部6bおよび下カム形成部7bとの間にあって、ボス部35bからカム軸1の外周に沿って延びている。ウエイト部35aには、ウエイトスプリング37のバネ力によりウエイト部35aの内周がカム軸1の外周に当接している状態で、リーク穴33に対向する部分に、リーク穴33から流出するオイルの流れを妨げないようにするための流出溝35eが、径方向に形成されている。
【0039】
アーム部35cは、ボス部35bから、ウエイト部35aが形成されている方向とは逆方向にカム軸1の外周に沿って延びており、その先端部には、油圧制御バルブ32の係合ピン32dと係合する断面がコ字状の係合溝35dが形成されている。
【0040】
したがって、この係合溝35dと係合ピン32dの係合により、油圧制御バルブ32は、後述するように、カム軸1の回転に応じて発生する遠心力により支持ピン36周りに回動し得るウエイト35の挙動に連動して、リーク穴33を開閉するようになっている。
【0041】
すなわち、機関回転数が設定始動回転数以下のときは、ウエイト部35aに発生する遠心力による支持ピン36周りのモーメントは、ウエイトスプリング37のバネ力による支持ピン36周りのモーメントより大きくないため、流出溝35eがリーク穴33と整合し、そしてウエイト部35aの内周がカム軸1の外周と当接している状態で、ウエイト35はカム軸1に対して静止している。このとき、係合溝35dと係合ピン32dとは、油圧制御バルブ32がリーク穴33を開放する態様で係合している。
【0042】
そして、機関回転数が設定始動回転数を越えると、ウエイト部35aに発生する遠心力による支持ピン36周りのモーメントが、ウエイトスプリング37のバネ力による支持ピン36周りのモーメントより大きくなって、ウエイト部35aの内周がカム軸1の外周から離れる方向に、ウエイト35が回動する。このときは、係合溝35dと係合ピン32dとの係合により、ウエイト35のアーム部35cが、カム軸1の外周に接近する方向へ回動することにより、油圧制御バルブ32が弁座に向けて移動してリーク穴33を閉塞する。
【0043】
このように、ウエイト35は、機関回転数を検知する機構を構成し、さらに油圧制御バルブ32を駆動する機構を構成している。
【0044】
つぎに、図1ないし図7を参照して、この実施形態の動作を説明する。
内燃機関の停止時は、ウエイトスプリング37の捩りバネ力により、ウエイト部35aの内周はカム軸1の外周に押し付けられ、かつ油圧制御バルブ32は弁座から離れた位置に保持されるため、リーク穴33は開放されている。また、デコンプ軸25は、軸スプリング26のバネ力により第1位置を占めている。
【0045】
内燃機関が、リコイルスタータにより始動されると、クランク軸の回転がタイミングベルトを介してカム軸1に伝達されて、カム軸1が回転駆動されると同時に、オイルポンプも駆動される。オイルポンプより圧送された圧油は、オイル通路31を経てカム軸1の下端に供給され、さらに絞り部材29を通って油圧室30に流入する。
【0046】
一方、この始動期間中の機関回転数でのカム軸1の回転によりウエイト部35aに発生する遠心力は小さく、該遠心力に基づいてウエイト35に作用する支持ピン36周りのモーメントは、ウエイトスプリング37の捩りバネ力によるモーメントよりも小さいため、ウエイト35および油圧制御バルブ32は内燃機関停止時の状態のままとなっている。そのため、図3に図示されるように、油圧室30に流入した圧油は、開放されているリーク穴33から流出している。そして、この流出した圧油は、カム軸1の近傍の潤滑に利用できる。
【0047】
また、オイルポンプに発生する油圧は、機関回転数に比例して上昇するが、油圧室30に流入する圧油の流量は、開放しているリーク穴33から流出する圧油の流量を考慮して、絞り部材29により調整されているため、油圧室30の油圧は、デコンプ軸25が軸方向に移動することがない程度の油圧としている。すなわち、オイルポンプに発生する油圧が、軸スプリング26のバネ力に抗して、デコンプ軸25を移動させるに大きさに達していないときはもちろんであるが、前述のように、設定始動回転数に達する前に、オイルポンプに発生する油圧が、デコンプ軸25を移動させることが可能な大きさとなったときにも、その大きさの油圧を有する圧油は、リーク穴33から流出する圧油の流量を考慮して設定された絞り部材29のオリフィスを介して油圧室30に導入されているため、リーク穴33が開放されている限り、油圧室30には軸スプリング26のバネ力に打ち勝ってデコンプ軸25を上方に移動させる大きさの油圧が存在しない。その結果、デコンプ軸25は図1に図示された第1位置にあり、デコンプピン24はデコンプ軸25の外周に当接して、デコンプピン24の小径部24aの先端面がカム形成部7a,7bのベース円部より径方向外方に所定長さ突出している。そして、図5に図示されるように、内燃機関の圧縮行程時に、このデコンプピン24のこの所定長さに対応したリフト量で排気弁が開弁されるため、シリンダ内の圧縮圧力が抜けて減圧される。
【0048】
その後、機関が始動して自力運転可能となり、機関回転数が設定始動回転数に達し、それを越えると、図4に図示されるように、ウエイト部35aに発生する遠心力に基づいてウエイト35に作用する支持ピン36周りのモーメントが、ウエイトスプリング37の捩りバネ力によるモーメントよりも大きくなるため、ウエイト35が支持ピン36の周りに回動し、同時に、ウエイト35が係合溝35dを介して係合ピン32dを押圧することで、油圧制御バルブ32の弁部32bが弁座に向かって移動してリーク穴33を閉塞する。
【0049】
この時、オイルポンプに発生する油圧は、既にデコンプ軸25を軸スプリング26のバネ力に抗して移動させることができる大きさに達しているため、油圧室30はその大きさの油圧を持った圧油により満たされるので、デコンプ軸25は、軸スプリング26のバネ力に抗して速やかに上方に移動して、図2に図示される第2位置を占める。この状態では、デコンプピン24の大径部24bの底部が環状溝28と対向している。したがって、ピストンが圧縮行程中に、排気ロッカーアーム11がデコンプピン24の先端に当接すると、図6に図示されるように、デコンプピン24は環状溝28に嵌入するので、排気弁が開弁することはない。その結果、デコンプ作動が解除される。
【0050】
以後、設定始動回転数を越えた状態での内燃機関の運転時は、ウエイト35に発生する遠心力によるモーメントにより、油圧制御バルブ32は弁座に向けてウエイト35に押圧され続けるので、リーク穴33の閉塞状態が維持される。
【0051】
前記実施形態は以上のように構成されているので、次の効果を奏する。
オイルポンプの圧油が供給される油圧室30の油圧によりデコンプ軸25の位置が制御されて、デコンプピン24による排気弁の開弁駆動が制御されるので、遠心力により回動するウエイト35がデコンプピン24を移動させるデコンプ装置に比べて、小型・軽量のデコンプ装置とすることができる。しかも、デコンプ軸25の位置を決める油圧室30の油圧は、機関回転数に応じて回動するウエイト35の挙動を油圧制御バルブ32と連動させることで、機関回転数に応じて油圧制御バルブ32が制御されるため、機関回転数が設定始動回転数を越えると油圧制御バルブ32が作動して、油圧室30の油圧を、デコンプ軸25が第2位置を占めるような油圧となるように制御し、デコンプピン24による排気弁の開弁駆動が停止されるので、設定された機関回転数において確実にデコンプ作動を解除できるため、安定した機関始動が可能となる。
【0052】
ウエイト35がカム軸1に固定された支持ピン36に回動自在に支持され、機関回転数に応じて発生する遠心力により回動するウエイト35の挙動を油圧制御バルブ32と連動させたので、ウエイト35を利用した簡単な構造により、油圧制御バルブ32を機関回転数に応じて作動させることができる。また、ウエイト35は、油圧制御バルブ32を駆動できる程度のものであればよいため、小型のものでよく、ウエイト35を使用しているにも拘わらず、小型・軽量のデコンプ装置とすることができる。
【0053】
油圧室30の圧油をカム軸1の外部に流出させるリーク穴33を油圧制御バルブ32で開閉することにより、油圧室30の油圧を制御するので、油圧室30の油圧の発生および解除を、リーク穴33の開閉のみで簡単に行うことができるとともに、リーク穴33から流出した圧油をカム軸1の近傍の潤滑に利用できる。
【0054】
デコンプ軸25に形成された溝が、環状溝28であることにより、カム軸1の周方向の特定位置において径方向に形成されたピン穴22に対して、デコンプ軸25の位置は、その周方向位置には無関係に、その軸方向の位置のみ合わせればよいことから、デコンプ軸25の位置決めが容易であり、さらにデコンプ軸25がカム軸1に対して回動したとしても、デコンプピン24が確実に溝内に嵌入できる。
【0055】
デコンプ軸25の環状溝28の上側壁面は、環状溝28の底壁面からデコンプ軸25の外周に向かって斜め上方に傾斜しているので、デコンプ軸25が第1位置と第2位置との間で往復動する際に、デコンプピン24が環状溝28に出入りするとき、この傾斜した上側壁面を利用してスムーズに出入りできるようになっている。
【0056】
リーク穴33を有する油圧室30には、内燃機関により駆動されるオイルポンプからの圧油を絞り部材29を介して供給しているため、リーク穴33から流出する圧油の流量と、機関回転数に比例する油圧を発生するオイルポンプから絞り部材29を介して油圧室30に供給される圧油の流量とを適切に設定することにより、設定始動回転数に達する前に、オイルポンプに発生する油圧が、デコンプ軸25を移動させることが可能な大きさとなっていても、油圧制御バルブ32がリーク穴33を開放しているときは、油圧室30の油圧を、デコンプ軸25が確実に第1位置を占めるような油圧にすることが容易にでき、油圧制御バルブ32がリーク穴33を閉じたときは、油圧室30の油圧を、デコンプ軸25が速やかに第2位置を占めるような油圧にすることができる。
【0057】
なお、前記実施形態では、内燃機関は、船外機に搭載されたが、船外機以外に、車両またはその他の機器に搭載されてもよい。また、始動装置は、リコイルスタータであったが、キックスタータであってもよい。
【0058】
前記実施形態では、カム軸1は排気カム8と吸気カム9とが形成されているものであったが、排気カムのみが形成されているカム軸であってもよい。
【0059】
前記実施形態では、デコンプピン24の大径部24bの軸方向長さは、大径部24bの底面がデコンプ軸25の大径部25bの外周に当接した状態で、デコンプピン24の段部24cがピン穴22の段部22cに当接する長さとされていたが、大径部24bの底面がデコンプ軸25の大径部25bの外周に当接した状態で、デコンプピン24の段部24cとピン穴22の段部22cとの間に間隙が形成されるようにして、この間隙に、デコンプピン24を径方向内方に付勢するスプリングを設けてもよい。そのようにすると、そのスプリングにより、デコンプピン24を環状溝28の底壁面に押しつけておくことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本出願発明の一実施形態である4サイクル内燃機関のデコンプ装置の、デコンプ作動時の断面図である。
【図2】図1の4サイクル内燃機関のデコンプ装置の、デコンプ非作動時の断面図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】図2のIV−IV線断面図である。
【図5】図1のV−V線断面図である。
【図6】図2のVI−VI線断面図である。
【図7】図3のVII方向矢視図である。
【符号の説明】
1…カム軸、2…シリンダヘッド、3…ドリブンプーリ、4a,4b…ジャーナル部、5…オイルシール、6a,6b…スラスト受け部、7a,7b…カム形成部、8…排気カム、9…吸気カム、10…燃料ポンプ駆動用カム、11…排気ロッカーアーム、
21…軸穴、22…ピン穴、23…挿入穴、24…デコンプピン、25…デコンプ軸、26…軸スプリング、27…抜け止めピン、28…環状溝、29…絞り部材、30…油圧室、31…オイル通路、32…油圧制御バルブ、33…リーク穴、34…案内穴、35…ウエイト、36…支持ピン、37…ウエイトスプリング。
Claims (4)
- 排気弁を開弁駆動する排気カムが形成されるとともに回転駆動されるカム軸の内部に軸方向に形成された軸穴と、
該軸穴に形成されて圧油が供給される油圧室と、
前記軸穴に嵌合されて前記油圧室の油圧に応じて第1位置および第2位置を占めるデコンプ軸と、
該デコンプ軸の前記第1位置で圧縮行程時に前記排気弁を開弁駆動し、前記デコンプ軸の前記第2位置で前記排気弁の開弁駆動を停止するデコンプピンと、
機関回転数が設定始動回転数以下のとき、前記油圧室の油圧を前記デコンプ軸が前記第1位置を占める油圧とし、機関回転数が前記設定始動回転数を越えたとき、前記油圧室の油圧を前記デコンプ軸が前記第2位置を占める油圧にする油圧制御バルブとを備え、
前記油圧室には、内燃機関により駆動されるオイルポンプにより圧送された前記圧油が供給され、
前記オイルポンプが発生する油圧は、機関回転数が前記設定始動回転数に達する前に、前記デコンプ軸を前記第2位置に移動させることができる大きさに設定されており、
前記油圧室は、該油圧室の圧油を前記カム軸の外部に流出させるリーク穴を有し、
前記油圧制御バルブは、機関回転数が前記設定始動回転数以下のとき前記リーク穴を開放し、機関回転数が前記設定始動回転数を越えたとき前記リーク穴を閉塞し、
前記油圧室には、前記油圧制御バルブによる前記リーク穴の開閉の如何に係わらず、前記オイルポンプから圧送された前記圧油が供給されており、
前記油圧室を形成している前記カム軸の部分には、前記カム軸を貫通する貫通穴が径方向に形成されており、
前記貫通穴は、直径方向に対向する前記カム軸の外周から前記油圧室に至る一対の穴からなり、
前記一対の穴の一方の穴は、前記リーク穴であり、
前記一対の穴の他方の穴は、前記油圧制御バルブを案内するための案内穴であり、
前記案内穴には、前記油圧制御バルブの弁本体部が前記油圧室を横切るように嵌合されていることを特徴とする4サイクル内燃機関のデコンプ装置。 - 前記油圧制御バルブは、前記カム軸に固定された支持ピンに回動自在に支持されて機関回転数に応じて発生する遠心力により回動するウエイトに連動して、機関回転数が前記設定始動回転数以下のときの前記ウエイトの挙動により前記リーク穴を開放し、機関回転数が前記設定始動回転数を越えたときの前記ウエイトの挙動により前記リーク穴を閉塞することを特徴とする請求項1記載の4サイクル内燃機関のデコンプ装置。
- 前記デコンプピンは、前記カム軸にその径方向に形成されたピン穴に挿入されており、
前記ピン穴は、該ピン穴に前記デコンプピンを挿入するための挿入穴と共に、前記カム軸を前記径方向に貫通する貫通穴を構成し、
前記デコンプ軸は、軸方向に往復動自在で、しかも前記第2位置を占めるとき前記ピン穴と対向する位置に形成された環状溝を有し、
さらに前記デコンプピンは、前記デコンプ軸が前記第1位置を占めるとき前記デコンプ軸の外周に当接して前記排気カムのベース円部より径方向外方に突出し、前記デコンプ軸が前記第2位置を占めるとき前記環状溝に嵌入して前記排気カムのベース円部より径方向内方に後退することを特徴とする請求項1または請求項2記載の4サイクル内燃機関のデコンプ装置。 - 前記油圧室には、前記オイルポンプにより圧送された圧油が絞り部材を介して供給されることを特徴とする請求項1または請求項2記載の4サイクル内燃機関のデコンプ装置。
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