以下、本発明の実施の形態について、添付の図面に示す参考例及び実施例を参照しながら説明する。
参考例1
本発明の参考例1について図1〜図12を参照しながら説明すると、先ず図1および図2において、このエンジンのエンジン本体10は、たとえば自動二輪車に搭載されるものであり、前記エンジン本体10は、複数のエンジン本体構成部材であるクランクケース11、シリンダブロック12、シリンダヘッド13およびヘッドカバー14を相互に結合して構成され、シリンダブロック12は、ピストン15を摺動自在に嵌合せしめるシリンダボア16を有してクランクケース11に結合され、前記ピストン15の頂部を臨ませる燃焼室17を前記シリンダブロック12との間に形成するシリンダヘッド13がシリンダブロック12に結合され、前記シリンダブロック12とは反対側から前記シリンダヘッド13にヘッドカバー14が結合される。
前記シリンダヘッド13には、その一側面に開口する吸気ポート18と、シリンダヘッド13の他側面に開口する排気ポート19とが設けられ、前記吸気ポート18に通じる吸気通路20を形成する吸気管21が前記シリンダヘッド13に接続され、該吸気管21には燃料噴射弁22が付設される。
また前記シリンダヘッド13には、前記吸気ポート18および前記燃焼室17間の連通・遮断を切り換える吸気弁24と、前記排気ポート19および前記燃焼室17間の連通・遮断を切換える排気弁25とが開閉作動可能に配設されており、吸気弁24および排気弁25は弁ばね26,27で閉弁方向に付勢される。さらに前記シリンダヘッド13には、前記燃焼室17に先端を臨ませる点火プラグ23が取付けられる。
図3を併せて参照して、前記吸気弁24および前記排気弁25は、前記シリンダヘッド13および前記ヘッドカバー14間に形成される動弁室28に収容される動弁機構29Aで開閉駆動されるものであり、この動弁機構29Aは、前記吸気弁24および排気弁25間に配置されるとともに吸気カム30および排気カム31が設けられるカムシャフト32と、排気カム31とはカムプロフィルを異ならせるとともに前記カムシャフト32の外周に軸方向に移動可能として相対回転不能に装着されるスライドカム33と、前記排気カム31を前記スライドカム33との間に挟むようにして前記カムシャフト32に装着されるデコンプ手段34と、前記カムシャフト32と平行な軸線を有してシリンダヘッド14に支持される吸気側および排気側ロッカシャフト36,37と、前記吸気カム30に従動して吸気弁24を開閉駆動するようにして吸気側ロッカシャフト36に揺動自在に支承される吸気側ロッカアーム38と、前記排気カム31、前記スライドカム33もしくは前記デコンプ手段34のデコンプカム35に従動して排気弁25を開閉駆動するようにして排気側ロッカシャフト37に揺動自在に支承される排気側ロッカアーム39と、前記カムシャフト32内に方向移動可能に挿入されるロッド59とを備え、シリンダヘッド13で支持される。
前記シリンダヘッド13には、第1軸受孔40を有する第1支持部42と、第1軸受孔40と同軸である第2軸受孔41を有する第2支持部43とが一体に設けられる。前記カムシャフト32は、該カムシャフト32の軸方向に間隔をあけて配置される一対の軸受である第1および第2ボールベアリング44,45を介して前記シリンダヘッド13に回転可能に支承されており、カムシャフト32の一端部は第1軸受孔40の内周との間に第1ボールベアリング44を介在させて第1支持部42で回転可能に支承され、前記カムシャフト32の他端寄りの部分は第2軸受孔41を回転自在に貫通するものであり、第2軸受孔41の内周およびカムシャフト32間には第2ボールベアリング45が介装される。而してカムシャフト32は、第1および第2ボールベアリング44,45の内輪に圧入され、前記吸気カム30および前記排気カム31は、吸気カム30を第1ボールベアリング44側に配置するとともに排気カム31を第2ボールベアリング45側に配置するようにして第1および第2ボールベアリング44,45間で前記カムシャフト32に一体に形成され、前記デコンプ手段34が前記吸気カム30および前記排気カム31間に配置され、スライドカム33は排気カム31を前記デコンプ手段34のデコンプカム35との間に挟む位置で前記カムシャフト32に装着される。
前記カムシャフト32には、図示しないクランクシャフトからの回転動力が調時伝動機構47を介して伝達されるものであり、この調時伝動機構47は、前記カムシャフト32の第2ボールベアリング45からの突出端部に固定される被動スプロケット48と、前記クランクシャフトに固設される駆動スプロケット(図示せず)とに、無端状のカムチェーン50が巻き掛けられて成り、カムチェーン50は、シリンダブロック12、シリンダヘッド13およびヘッドカバー14にわたって形成されたチェーン走行通路51内に走行可能に収納される。
図1に注目して、前記吸気カム30および前記排気カム31は、前記カムシャフト32の軸線を中心とする円弧状のベース円部30a,31aと、ベース円部30a,31aよりも外側方に突出するようにしてベース円部30a,31aの周方向両端間を結ぶ高位部30b,31bとを有し、高位部30b,31bの位相をずらせて前記カムシャフト32に一体に形成される。
前記吸気側ロッカシャフト36で揺動可能に支承された吸気側ロッカアーム38の一端部には吸気カム30に転がり接触するローラ52が軸支され、該吸気側ロッカアーム36の他端部には吸気弁24のステムエンド24aに当接するタペットねじ53が進退位置を調節可能として螺合される。
図4において、排気側ロッカアーム39は、前記排気側ロッカシャフト37で回動可能に支承される支持筒部39aと、該支持筒部39aから排気弁25側に延びる第1腕部39bと、前記支持筒部39aからカムシャフト32側に延びる第2腕部39cとを一体に有する。前記支持筒部39aは、相互に間隔をあけて前記シリンダヘッド13に設けられた一対のロッカシャフト支持部13a,13b間に配置され、それらのロッカシャフト支持部13a,13bに支持される排気側ロッカシャフト37が前記支持筒部39aに挿通される。
第1腕部39bの先端には、排気弁25に連動、連結される弁連結部としてのタペットねじ54が排気弁25のステムエンド25aに当接するようにして螺合されており、このタペットねじ54は進退位置を調節可能である。
また第2腕部39cの先端には、前記排気カム31、前記スライドカム33および前記デコンプカム35に当接し得るカム当接部55が設けられる。このカム当接部55は、前記排気カム31および前記スライドカム33に当接することを可能として第2腕部39cの先端部に軸支されるローラ56と、前記デコンプ手段34のデコンプカム35を当接させるようにして前記ローラ56に隣接して第2腕部39cの先端に一体に設けられる当接部39d(図1および図3参照)とから成り、当接部39dの少なくともカムシャフト32側の端部は、カムシャフト32の軸線に沿う方向から見て前記ローラ56の外周と同一もしくは前記外周よりも前記カムシャフト32側に突出するように形成される。
而して前記カムシャフト32および前記排気側ロッカシャフト37の軸線に沿う方向での前記カム当接部55の幅Wは、前記ローラ56の前記吸気側ロッカアーム38とは反対側の端面から当接部39dの前記吸気側ロッカアーム38側の端面までであり、このカム当接部55の一端部すなわち前記ローラ56の前記吸気側ロッカアーム38とは反対側の端面56aは、支持筒部39aの一端面39aaすなわちロッカシャフト支持部13a側の端面よりも軸方向内方に位置している。
前記スライドカム33は、前記排気カム31に近接して排気側ロッカアーム39のカム当接部55におけるローラ56に当接する作動位置(図3および図4の実線で示す位置)と、前記排気カム31から離反して前記排気側ロッカアーム39のカム当接部55におけるローラ56との当接を回避する非作動位置(図3および図4の鎖線で示す位置)との間で、前記カムシャフト32の軸線方向に移動することを可能としつつ該カムシャフト32の軸線まわりの相対回動を不能としてカムシャフト32の外周に嵌装、支持される。
図5において、前記スライドカム33は、燃焼室17から排出される排ガスの一部を燃焼室17に戻すように前記排気弁25を開弁駆動する排ガス再循環用カムであり、前記カムシャフト32の軸線を中心とする円弧状のベース円部33aと、ベース円部33aから外側方に突出する高位部33bとを有し、スライドカム33のベース円部33aは、排気カム31のベース円部31aよりも小径に形成される。
また高位部33bは、吸気カム30における高位部30bの閉弁終期に対応した位相で前記ベース円部33aからわずかに突出するものであり、高位部33bの周方向両端は滑らかな曲線を描くようにして前記ベース円部33aに連なる。而してスライドカム33が排気側ロッカアーム39のカム当接部55におけるローラ56に当接する作動位置に移動したときに、排気側ロッカアーム39は排気カム31の高位部31bによって排気弁25を開弁作動せしめるように回動した後に排気カム31のベース円部31aに当接することで閉弁状態を保持するのであるが、吸気弁24が閉弁作動する際の終期に、図6で示すように、スライドカム33の高位部33bによって排気弁25をわずかに開弁させるように排気側ロッカアーム39がわずかに回動する。これにより圧縮行程中に排気弁25を一時的に開くことが可能となり、排ガスによって混合気の燃焼室17内での燃焼を活性化させ、NOx排出量の低減、エンジン出力の向上および燃費の低減等を図ることができる。
一方、スライドカム33が排気側ロッカアーム39のカム当接部55におけるローラ56との接触を回避する非作動位置に移動したときには、排気側ロッカアーム39は排気カム31だけで回動駆動され、排気弁25は排気カム31のカムプロフィルに対応した作動態様で開閉作動することになる。すなわち排気カム31のカムプロフィルに対応した排気弁25の開閉作動態様と、排気カム31のカムプロフィルに対応して開閉作動しつつ本来閉弁している時期に一時的な開弁状態を得るようにした排気弁25の作動態様とを、カムシャフト32の軸線方向に沿うスライドカム33の移動によって切換えることができる。
しかもスライドカム33の非作動位置では、図4の鎖線で示すように、前記カム当接部55におけるローラ56の一端56aおよび前記支持筒部39aの一端39aa間に前記スライドカム33の前記排気カム31側に臨む第1端面33cが配置されるとともに第1端面33cとは反対側の第2端面33dが前記支持筒部39aの一端39aaよりも外方に配置され、スライドカム33の作動位置では、図4の実線で示すように、該スライドカム33の第2端面33dが前記支持筒部33dの一端39aaよりも内方に配置される。
而してスライドカム33における第1端面33cの移動範囲W1がローラ56の一端56aを跨ぐ範囲に設定され、スライドカム33における第2端面33dの移動範囲W2は前記支持筒部39aの一端39aaを跨ぐ範囲に設定される。
しかも図4で示すように、タペットねじ54の排気弁25のステムエンドへのタペットねじ54の当接点Pと、排気側ロッカアーム39における支持筒部39aの軸方向中心CPとを通る直線は、前記ローラ56に当接した作動位置にあるスライドカム33を通過するものであり、カム当接部55のローラ56に当接した作動位置にあるスライドカム33と、タペットねじ54の排気弁25への当接部とは、支持筒部39aの軸方向中心CPに関して点対称の位置に配置されることになる。
またスライドカム33および排気カム31の対向面の少なくとも一方に、スライドカム33の排気カム31への密着を阻止する突起または段部が設けられるものであり、この参考例1では、図3で示すように、排気カム31のスライドカム33側の端面に複数の突起31c…が一体に突設される。
前記カムシャフト32は、同軸の中心孔57を有して中空に形成されており、被動スプロケット48には前記中心孔57に対応した中心孔48aが設けられる。またカムシャフト32には、前記被動スプロケット48とは反対側で前記中心孔57の端部を閉じるボルト58が同軸に螺合される。また前記中心孔57には、前記ボルト58に対向する小径軸部59aを一端部に同軸に有するロッド59が軸方向の移動を可能として同軸に挿入され、ロッド59の他端は前記被動スプロケット48から突出される。
またスライドカム33が配置される部分で前記カムシャフト32には、前記中心孔57の内周面および前記カムシャフト32の外周面間を結ぶとともに前記カムシャフト32の軸方向に長く延びるガイド孔60が設けられる。而してこの参考例1では、図5で示すように、前記中心孔57の軸線Cに直交する軸線を有する一対のガイド孔60,60がカムシャフト32に設けられており、カムシャフト32の外周に軸方向の移動を可能として装着される前記スライドカム33および前記ロッド59が、前記ガイド孔60…を貫通しつつガイド孔60…内を前記軸線Cに沿う方向に摺動する単一の連結ピン61で連結される。
これにより、スライドカム33は、カムシャフト32の軸線まわりの相対回動を不能としつつ、排気カム31に近接して排気側ロッカアーム39のカム当接部55におけるローラ56に当接する作動位置と、排気カム31から離反して排気側ロッカアーム39のカム当接部55におけるローラ56との当接を回避する非作動位置との間で前記カムシャフト32の軸線方向に移動することを可能として、該カムシャフト32の外周に嵌装、支持されることになる。
前記ロッド59および前記ボルト58間には、前記ロッド59の小径軸部59aを囲繞するコイル状の戻しばね62が縮設されており、ロッド59は、前記スライドカム33を非作動位置とする側に前記戻しばね62で付勢される。
前記ロッド59は、前記動弁機構29Aにおける排気弁25の作動特性を変更すべく前記スライドカム33を非作動位置および作動位置間で移動させるようにしてロッド駆動手段63によって軸方向に駆動されるものであり、このロッド駆動手段63は、排気弁25の作動特性を変更するように動弁機構29Aを作動せしめる動力を発揮するようにしてエンジン本体10に取付けられるアクチュエータであるソレノイド64と、該ソレノイド64の出力を動弁機構29Aのロッド59に伝達する回動レバー67とを備える。
相互に結合されてエンジン本体10を構成する複数のエンジン本体構成部材であるクランクケース11、シリンダブロック12、シリンダヘッド13およびヘッドカバー14のうち相互間に動弁室28を形成するシリンダヘッド13およびヘッドカバー14の一方である特定エンジン本体構成部材、この参考例1ではシリンダヘッド13に、前記動弁機構29Aが支持されるとともに、シリンダヘッド13に結合されるシリンダブロック12よりも外側方に膨らんだ膨出部13cが一体に形成され、シリンダヘッド13の前記シリンダブロック12への結合面90に面一に連なって前記膨出部13cに形成されるアクチュエータ支持部91に前記ソレノイド64が支持される。しかもソレノイド64は、前記点火プラグ23との間に前記排気弁25および吸気弁24を挟む位置に配置されるものであり、複数のボルト68…で前記アクチュエータ支持部91に取付けられる。
図7を併せて参照して、前記回動レバー67は、その一端部を前記ソレノイド64が備える出力軸65の先端に連接するとともに他端部をロッド59に連接するようにして支軸66を介して前記シリンダヘッド13に回動可能に支承されており、ヘッドカバー14には、前記回動レバー67の他端側を配置する膨出部14aがシリンダヘッド13の膨出部13cに連なるようにして形成される。
前記回動レバー67の前記ソレノイド64の出力軸65への連接部または前記ロッド59への連接部、この参考例1ではロッド59への連接部に、ソレノイド64の作動に応じた前記ロッド59の移動量を調節するための調節機構92が設けられ、前記ソレノイド64の出力軸65は前記回動レバー67の一端部に直接当接される。
図8を併せて参照して、前記調節機構92は、前記回動レバー67の他端に固着されるウエルドナット93と、該ウエルドナット93に螺合されて回動レバー67を貫通するタペットねじ94と、該タペットねじ94に螺合して前記ウエルドナット93に当接、係合される止めナット95とで構成されており、前記タペットねじ94が前記ロッド59に当接する。而して前記止めナット95を緩めることによってタペットねじ94の軸方向進退位置を調節することができ、それにより、ソレノイド64の作動に応じた前記ロッド59の移動量が調節されることになる。
ところで前記シリンダヘッド13および前記ヘッドカバー14は、前記シリンダヘッド13の前記ヘッドカバー14への結合面97と、前記ヘッドカバー14の前記シリンダヘッド13への結合面98との間にガスケット96を介在させて結合されるのであるが、前記調整機構92は、前記シリンダヘッド13の前記結合面97よりも前記ヘッドカバー14側に配置される。
また調時伝動機構47の一部を構成する被動スプロケット48が、カムシャフト32およびシリンダヘッド13間に介装される第1および第2ボールベアリング44,45の一方である第2ボールベアリング45と、前記回動レバー76との間に配置され、たとば一対のボルト99,99でカムシャフト32に固定されるのであるが、前記ソレノイド64が非作動状態にあるときの前記回動レバー67の前記ロッド59への連接部すなわちタペットねじ94のロッド59への当接部は、図3の鎖線で示すように、前記カムシャフト32から離反する側で前記被動スプロケット48との間に間隔をあけた位置に設定される。
図9を併せて参照して、前記ソレノイド64は、シリンダブロック12の側壁に沿って配置されて前記アクチュエータ支持部91に支持されるものであり、シリンダブロック12には、エンジン本体10を構成するクランクケース11、シリンダブロック12、シリンダヘッド13およびヘッドカバー14のうちクランクケース11、シリンダブロック12およびシリンダヘッド13を締結する複数の締結部材である通しボルト100…を挿通せしめる挿通孔101…を形成する複数のボス部12a…が、外側に膨らむようにして設けられ、それらのボス部12a…のうち相互に連接するボス部12a,12a間に、前記ソレノイド64が配置される。
このようなロッド駆動手段63によれば、ソレノイド64が出力軸65を突出させる側に作動したときに、回動レバー67が戻しばね62のばね力に抗して図2の時計方向に回動し、戻しばね62のばね力に抗してロッド59が押し込まれ、スライドカム33が、排気カム31に近接して排気側ロッカアーム39のカム当接部55におけるローラ56に当接する作動位置に移動することになり、ソレノイド64の非作動状態では、スライドカム33が戻しばね62のばね力によって排気カム31から離反して排気側ロッカアーム39のカム当接部55におけるローラ56との接触を回避する非作動位置に移動することになる。
図10および図11を併せて参照して、デコンプ手段34は、エンジン始動時の排気圧力を下げて始動を容易とするために、エンジン回転数すなわちカムシャフト32の回転数が比較的低い状態において排気弁25を本来閉じるタイミングでわずかに開弁させるものであり、このデコンプ手段34は、カムシャフト32と平行な軸線を有するデコンプピン71を介して吸気カム30および排気カム31に回動可能に支承されるデコンプウエイト72と、エンジン回転数が低い状態では排気カム31のベース円部31aから突出して排気側ロッカアーム32の当接部39dに当接するもののカムシャフト32が図10の矢印73で示す方向に回転するのに伴って発生する遠心力の作用によってデコンプウエイト72が回動したときには前記排気側ロッカアーム39の当接部39dに当接することがないようにしてデコンプウエイト72に連結されるデコンプカム35とを備え、吸気カム30および排気カム31間に配置される。
デコンプウエイト72は、カムシャフト32の略半周を側方から覆うようにして円弧状に形成されるとともに一面の一部をカムシャフト32の吸気カム30に摺接させるようにして吸気カム30および排気カム31間に配置されており、該デコンプウエイト72の一端は、前記カムシャフト32の排気カム31における高位部31bに対応して配置される。しかもデコンプウエイト72の一端部の前記排気カム31側に臨む面には、排気カム31側に開いた円形の収容凹部74が設けられ、この収容凹部74には円筒状の支持ボス75の一端部が嵌合される。また支持ボス75の他端には半径方向外方に張り出す鍔部75aが支持ボス75の他端面に面一に連なるようにして一体に設けられ、支持ボス75の他端が前記カムシャフト32の排気カム31における高位部31bに当接される。
前記デコンプピン71は、吸気カム30側から該吸気カム30、デコンプウエイト72、前記支持ボス75および前記排気カム31に挿通されるものであり、吸気カム30には、前記デコンプピン71を挿通せしめる第1貫通孔76が設けられ、前記デンコンプピン71の一端部には、前記デコンプピン71を挿通せしめる第2貫通孔77が前記収容凹部74に同軸に連なるようにして設けられ、前記排気カム31における高位部31bには、前記デコンプピン71を挿通せしめる有底の挿通孔78が、前記第1および第2貫通孔76,77と同軸にかつ前記吸気カム30側に開放するようにして設けられる。
而してデコンプピン71は、吸気カム30側から該吸気カム30の第1貫通孔76、デコンプウエイト72の第2貫通孔77、支持ボス75および排気カム31の挿通孔78に挿通され、これによりデコンプウエイト72の一端部が、吸気カム30および排気カム31に両持ち支持されたデコンプピン71を介して、吸気カム30および排気カム31に回動可能に支持されることになる。
しかも前記挿通孔78の閉塞端に一端部を当接せしめた前記デコンプピン71の他端には、ワッシャ79(図3参照)の外周部が当接することでデコンプピン71の前記第1貫通孔76、第2貫通孔77、支持ボス75および挿通孔78からの離脱が阻止される。すなわち前記第1ボールベアリング44および吸気カム30間の間隔を一定に保持すべく第1ボールベアリング44の内輪およびカムシャフト32間に内周部が挟持されるワッシャ79の外周部が吸気カム30に当接されるのであるが、前記デコンプピン71の他端に該ワッシャ79の外周が当接され、デコンプピン71の軸方向位置を定めるための専用部品を不要とすることができる。
また前記支持ボス75を囲繞するコイル状のねじりばね80の一端部が、前記カムシャフト32に設けられた有底の係合孔81に係合され、ねじりばね80の他端部は、前記デコンプウエイト72の一端部に設けられた係合孔82に係合される。このねじりばね80のばね力により、デコンプウエイト72は、該デコンプウエイト72の中間部をカムシャフト32の外周面に近接させる側に付勢される。
前記デコンプカム35は、排気カム31のベース円部31aに対応する位置で前記デコンプウエイト72の他端側および前記排気カム31間に配置されるものであり、前記排気カム31に植設されたデコンプカム軸84で回動可能に支承される。而してデコンプカム軸84は、カムシャフト32の軸線と平行な軸線を有するものであり、デコンプカム35はカムシャフト32の軸線と平行な軸線まわりに回動することを可能としてカムシャフト32に支持される。
前記デコンプカム35は、基本的には前記デコンプカム軸84と同軸の円柱状に形成されるのであるが、該デコンプカム35の前記排気カム31側の一部は、デコンプカム35の軸線と平行な平面部85を形成するようにして切欠かれる。すなわちデコンプカム35の排気カム31側の外周は、デコンプカム軸84の軸線を中心とする円弧部86と、該円弧部86の周方向両端間を結ぶ前記平面部85とから成るように形成されるものであり、このデコンプカム35は、図10で示すように前記排気カム31のベース円部31aよりも内方にある前記平面部85を外方に臨ませたデコンプオフ状態と、図11で示すように前記円弧部86の一部を前記排気カム31のベース円部31aよりも外方に突出させたデコンプオン状態との間で回動可能である。
而してデコンプカム35の円弧部86が前記ベース円部31aから外方に突出したときには円弧部86に排気側ロッカアーム39の当接部39bが当接することにより、排気側ロッカアーム39は排気弁25をわずかに開弁させるように回動することになる。
前記デコンプウエイト72の他端部にはカムシャフト32と平行な軸線を有する連結ピン87が圧入されており、この連結ピン87のデコンプウエイト72からの突出部を嵌合せしめるガイド溝88が、デコンプカム35の半径方向に沿って延びるようにして該デコンプカム35のデコンプウエイト72側の部分に設けられる。而してカムシャフト32の回転数が比較的大きいことによってデコンプウエイト72に作用する遠心力が大きく、デコンプウエイト72が前記ねじりばね80の付勢力に抗して該デコンプウエイト72の中間部をカムシャフト32の外周から離反させるように回動したデコンプオフ状態では、図10で示すように、ガイド溝88に嵌合した連結ピン87がデコンプウエイト72とともに回動し、この状態でデコンプカム35は、その平面部85を前記排気カム31のベース円部31aよりも内方で外方に臨ませた回動位置にあり、排気側ロッカアーム39の当接部39bがデコンプカム35に当接することはなく、排気側ロッカアーム39は排気カム31のカムプロフィルに従って揺動し、排気弁25も排気カム31のカムプロフィルに従うタイミングで開閉作動する。またカムシャフト32の回転数が比較的小さいことによってデコンプウエイト72に作用する遠心力が小さく、デコンプウエイト72が前記ねじりばね80の付勢力によって該デコンプウエイト72の中間部をカムシャフト32の外周に近接させるように回動したデコンプオン状態では、図11で示すように、ガイド溝88に嵌合した連結ピン87がデコンプカム56とともに回動し、この状態でデコンプカム35は、その円弧部86の一部を前記排気カム31のベース円部31aから外方に突出させた回動位置にあり、排気側ロッカアーム39の当接部39bがデコンプカム35の円弧部86に当接するので、排気側ロッカアーム39は排気カム31のベース円部31aにローラ54が接触するタイミングで前記デコンプカム35によってわずかに揺動し、排気弁25も排気カム31のカムプロフィルにかかわらず、閉弁タイミングでわずかに開弁することになる。
しかもデコンプオン時に、排気弁25が開弁するタイミングは、図6で示すように、スライドカム33によって排気弁25が開弁するタイミングの近傍でそのタイミングからわずかにずれた位相に設定される。
次にこの参考例1の作用について説明すると、動弁機構29Aのカムシャフト32には、スライドカム33が相対回転を不能とするとともに軸方向の移動を可能として支承され、前記カムシャフト32と平行な軸線を有してシリンダヘッド13に支持される排気側ロッカシャフト37で回動可能に支承される支持筒部39aを有する排気側ロッカアーム39に、スライドカム33に当接し得るカム当接部55と、排気弁25に連動、連結されるタペットねじ54とが設けられるのであるが、カム当接部55の一端部すなわち前記ローラ56の前記吸気側ロッカアーム38とは反対側の端面56aを、支持筒部39aの一端面39aaすなわちロッカシャフト支持部13a側の端面よりも軸方向内方に配置するようにしてカム当接部55が排気側ロッカアーム39に設けられており、排気カム31から離反する側に移動して前記カム当接部55との当接を回避する非作動位置にスライドカム33があるときにはカム当接部55の一端56aおよび支持筒部39aの一端39aa間にスライドカム33の排気カム31側に臨む第1端面33cが配置されるとともに第1端面33cとは反対側の第2端面33dが前記支持筒部39aの一端39aaよりも外方に配置され、排気カム31側に移動して前記カム当接部55に当接する作動位置にスライドカム33があるときには、該スライドカム33の第2端面33dが前記支持筒部39aの一端39aaよりも内方に配置される。
したがってスライドカム33の軸方向移動量を小さくして、排気弁25の作動特性を変更する際の切換にかかる時間を短縮することができる。しかも1つの排気側ロッカアーム39で2つの相互に異なる排気弁25の作動特性を得るようにしていることで、排気側ロッカアーム39の軸方向幅が比較的大きくなり、カムシャフト32の軸方向に沿うタペットねじ54およびカム当接部55間の間隔が比較的大きくなることに起因して、スライドカム33による排気弁25の開弁リフト時に、排気側ロッカアーム39に倒れ方向の荷重が作用し、カム当接部55の荷重が過大となる可能性があるが、スライドカム33を使用するときにはスライドカム33の外端面である第2端面33dを支持筒部39aの一端39aaよりも内側に配置することで排気側ロッカアーム39の倒れを防止することができる。
またスライドカム33および排気カム31の対向面の少なくとも一方に、スライドカム33の排気カム31への密着を阻止する突起または段部が設けられるものであり、この参考例1では、排気カム31のスライドカム33側の端面に複数の突起31c…が一体に突設されるので、スライドカム33が排気カム31側に近接移動した状態でスライドカム33および排気カム31間に潤滑用のオイルがあったとしても、スライドカム33が排気カム31に密着してしまうことを防止し、スライドカム33の作動位置から非作動位置への円滑な作動を保証することができる。
またカム当接部55のローラ56に当接した作動位置にあるスライドカム33と、タペットねじ54の排気弁25への当接部とは、支持筒部39aの軸方向中心CPに関して点対称の位置に配置されるので、スライドカム33が作動位置でローラ56に当接することで排気側ロッカアーム25にスライドカム33から作用する倒れ方向の荷重とは逆方向の排気弁25からの反力が排気側ロッカアーム39に作用するようにして、排気側ロッカアーム39の倒れを抑制することができる。
また動弁室28を相互間に形成するシリンダヘッド13およびヘッドカバー14の一方であるシリンダヘッド13に、動弁機構29Aが支持されるとともに、シリンダブロック12よりも外側方に膨らんだ膨出部13cが一体に形成され、膨出部13cに形成されるアクチュエータ支持部91にソレノイド64が支持され、該ソレノイド64の出力を動弁機構29Aに伝達する回動レバー67がシリンダヘッド13に回動可能に支持されるので、ソレノイド64を配置するためのエンジン本体10と別体の専用部材が不要であり、部品点数を低減することができる。またシリンダヘッド23には、ソレノイド64に加えて、動弁機構29Aが支持されるとともに、ソレノイド64の出力を動弁機構29Aに伝達する回動レバー67が回動可能に支持されるので、シリンダヘッド13に動弁機構29A、ソレノイド64および回動レバー76を組付けるようにし、加工コストをあげることなく、ソレノイド64および動弁機構29Aの連結部のずれを厳密な寸法管理を不要として小さくし、ソレノイド64からロッド59に至るまでの各部の寸法精度を高くすることができる。しかもアクチュエータ支持部91が、シリンダヘッド13のシリンダブロック12への結合面90と面一であるので、アクチュエータ支持部91の加工を容易とすることができる。
またソレノイド64は、シリンダブロック12の側壁に沿って配置されて前記アクチュエータ支持部91に支持されるので、エンジン本体10の側方の空間を有効に利用してソレノイド64を配置することができる。
またシリンダブロック12の側壁には、クランクケース11、シリンダブロック12およびシリンダヘッド13を締結する通しボルト100…を挿通せしめる複数のボス部12a…が外側方に膨らむようにして設けられており、ソレノイド64が、複数の前記ボス部12a…のうち相互に隣接する2つのボス部12a,12a間に配置されるので、シリンダブロック12でソレノイド64を保護することができる。
しかも点火プラグ23との間に前記排気弁25および吸気弁24を挟む位置に配置されるようにしてソレノイド64がアクチュエータ支持部91に支持されるので、点火プラグ23との干渉を避けるようにしてソレノイド64の配置スペースを確保することができる。
ところで、前記動弁機構29Aは、該動弁機構29Aが備えるロッド59の直線的な作動に応じて排気弁25の作動特性を変更することを可能として排気弁25を開閉駆動し、ソレノイド64の出力は回動レバー67を介して前記ロッド59に伝達されるのであるが、前記回動レバー67の前記ソレノイド64への連接部または前記ロッド59への連接部に、ソレノイド64の作動に応じた前記ロッド59の移動量を調節する調節機構92が設けられ、この参考例1では回動レバー67の前記ロッド59への連接部に調節機構92が設けられるので、ソレノイド64から回動レバー67を経てロッド59に至るまでの各部の寸法精度を高くしなくても、ソレノイド64の作動に応じたロッド59の作動量を調節することができ、コスト低減を図ることができる。
またシリンダヘッド13のヘッドカバー14への結合面97よりもヘッドカバー14側に調整機構92が配置されるので、シリンダヘッド13からヘッドカバー14を外した状態で調整機構92の調整作業を容易に行うことができ、調整作業性を高めることができる。
また前記カムシャフト32が、その軸方向に間隔をあけて配置される第1および第2ボールベアリング44、45を介して前記シリンダヘッド13に回転可能に支承され、前記カムシャフト32に回転動力を伝達するためのカムチェーン50が巻き掛けられる被動スプロケット48が、第2ボールベアリング45および前記回動レバー76間に配置されて前記カムシャフト32に固定され、前記ソレノイド64が非作動状態にあるときの前記回動レバー67の前記ロッド59への連接部が前記カムシャフト32から離反する側で前記被動スプロケット48との間に間隔をあけた位置に設定されるので、前記カムシャフト32への前記被動スプロケット48の組付け作業を、第2ボールベアリング45および回動レバー67に邪魔されずに容易に行うことができる。
さらに前記回動レバー67が配置されている側とは反対側で前記カムシャフト32の端部に固定されるボルト58と、前記ロッド59との間に該ロッド59を前記回動レバー67側に付勢する戻しばね62が介装されるので、回動レバー67や被動スプロケット48の組付け後に、ロッド59を付勢する戻しばね62の組付けを行うことを可能とし、組付け性を高めることができる。
前記参考例1では、スライドカム33の排気カム31への密着を阻止する突起31cが排気カム31のスライドカム33側の端面(即ちスライドカム33との対向面)に一体に突設されていて、そのスライドカム33の排気カム31への密着を防止することで、スライドカム33の作動位置から非作動位置への円滑な作動を保証できるようにしている。
これに対して、本発明の実施例では、図15に示すように、排気カム31と一体の突起31cデコンプ手段34の一部であるデコンプピン71が排気カム31を貫通するように構成し、そのデコンプピン71の、排気カム31(前記端面)からの突出部を、スライドカム33の排気カム31への密着を阻止する突起として構成している。これにより、スライドカム33および排気カム31の密着を簡単な構造で防止することができる。尚、その他の構成は、参考例1と同様である。
参考例2
本発明の参考例2について図13および図14を参照しながら説明するが、参考例1及び実施例に対応する部分には同一の参照符号を付して図示するのみとし、詳細な説明は省略する。
この動弁機構29Bは、前記吸気弁24および排気弁25間に配置されるとともに吸気カム30および排気カム31が設けられるカムシャフト32と、排気カム31とはカムプロフィルを異ならせるとともに前記カムシャフト32の外周に軸方向に移動可能として相対回転不能に装着されるスライドカム33と、前記排気カム31を前記スライドカム33との間に挟むようにして前記カムシャフト32に装着されるデコンプ手段34と、前記カムシャフト32と平行な軸線を有してシリンダヘッド14に支持される吸気側および排気側ロッカシャフト36,37と、前記吸気カム30に従動して吸気弁24を開閉駆動するようにして吸気側ロッカシャフト36に揺動自在に支承される吸気側ロッカアーム38と、前記排気カム31、前記スライドカム33もしくは前記デコンプ手段34のデコンプカム35に従動して排気弁25を開閉駆動するようにして排気側ロッカシャフト37に揺動自在に支承される排気側ロッカアーム103と、カムシャフト32に軸方向移動可能に挿入されるロッド59とを備え、シリンダヘッド13で支持される。
排気側ロッカアーム103は、前記排気側ロッカシャフト37で回動可能に支承される支持筒部103aと、該支持筒部103aから排気弁25側に延びる第1腕部103bと、前記支持筒部103aからカムシャフト32側に延びる第2腕部103cとを一体に有する。前記支持筒部103aは、相互に間隔をあけて前記シリンダヘッド13に設けられた一対のロッカシャフト支持部13a,13b間に配置され、それらのロッカシャフト支持部13a,13bに支持される排気側ロッカシャフト37が前記支持筒部103aに挿通される。
第1腕部103bの先端には、排気弁25に連動、連結される弁連結部としてのタペットねじ54が排気弁25のステムエンド25aに当接するようにして螺合されており、このタペットねじ54は進退位置を調節可能である。
また第2腕部103cの先端には、前記排気カム31、前記スライドカム33および前記デコンプカム35に当接し得るカム当接部104が設けられる。このカム当接部104は、前記排気カム31に当接することを可能として第2腕部103cの先端部に軸支されるローラ56と、前記スライドカム33に当接することを可能として前記ローラ56の一側で第2腕部103cの先端に設けられる当接部103dと、前記デコンプ手段34のデコンプカム35を当接させるようにして前記ローラ56を前記当接部103dとの間に挟むようにして第2腕部103cの先端に設けられる当接部103eとから成り、当接部103d,103eの少なくともカムシャフト32側の端部は、カムシャフト32の軸線に沿う方向から見て前記ローラ56の外周と同一もしくは前記外周よりも前記カムシャフト32側に突出するように形成される。
而して前記カムシャフト32および前記排気側ロッカシャフト37の軸線に沿う方向で前記カム当接部104の一端部104aは、支持筒部103aの一端面103aaすなわちロッカシャフト支持部13a側の端面よりも軸方向内方に位置している。
前記スライドカム33は、前記排気カム31に近接して排気側ロッカアーム103のカム当接部104における当接部103dに当接する作動位置(図13および図14の実線で示す位置)と、前記排気カム31から離反して前記排気側ロッカアーム103のカム当接部104における当接部103dとの当接を回避する非作動位置(図13および図14の鎖線で示す位置)との間で、前記カムシャフト32の軸線方向に移動することを可能としつつ該カムシャフト32の軸線まわりの相対回動を不能としてカムシャフト32の外周に嵌装、支持される。
しかもスライドカム33の非作動位置では、図14の鎖線で示すように、前記カム当接部104の一端104aおよび前記支持筒部103aの一端103aa間に前記スライドカム33の前記排気カム31側に臨む第1端面33cが配置されるとともに第1端面33cとは反対側の第2端面33dが前記支持筒部103aの一端103aaよりも外方に配置され、スライドカム33の作動位置では、図14の実線で示すように、該スライドカム33の第2端面33dが前記支持筒部33dの一端103aaよりも内方に配置される。
而してスライドカム33における第1端面33cの移動範囲W1がカム当接部104aを跨ぐ範囲に設定され、スライドカム33における第2端面33dの移動範囲W2は前記支持筒部103aの一端103aaを跨ぐ範囲に設定される。
またタペットねじ54の排気弁25のステムエンドへのタペットねじ54の当接点Pと、排気側ロッカアーム103における支持筒部103aの軸方向中心CPとを通る直線は、前記カム当接部104の当接部103dに当接した作動位置にあるスライドカム33を通過するものであり、カム当接部104の当接部103dに当接した作動位置にあるスライドカム33と、タペットねじ54の排気弁25への当接部とは、支持筒部103aの軸方向中心CPに関して点対称の位置に配置されることになる。
この参考例2によっても上記参考例1と同様の効果を奏することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
たとえば上記実施の形態では、スライドカム33および排気カム31の対向面の少なくとも一方に突起が突設されるようにしたが、スライドカム33および排気カム31の対向面の少なくとも一方に、凹部もしくは突部によって段部を形成するようにしてもよく、そのようにしてもスライドカム33の排気カム31への密着を防止することができる。