JP5756454B2 - 内燃機関のデコンプ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関の始動時の圧縮行程において排気弁を開弁することで、ピストンによるシリンダ内の圧縮圧力を低減し、内燃機関の始動を容易にする内燃機関のデコンプ装置に関する。
従来の内燃機関のデコンプ装置として以下のようなものが知られている。内燃機関のシリンダヘッドに回転自在に支承されるカムシャフトに、カムシャフトの軸線を中心とする円弧状のベース円部と、該ベース円部よりも外側方に突出するようにしてベース円部に連接されるカム山部とが形成された排気カムが一体に設けられ、排気カムの回転に伴い、排気カムのカム山部がカムフォロアを介して排気弁を開弁駆動するものであって、排気カムの側面には、カムシャフト側に近づく方向にスプリングにより付勢され、遠心力によってカムシャフトから離れる方向であってカムシャフトの正転方向と同方向に開動作するデコンプウェイトが回動可能に支承されており、該デコンプウェイトには、排気カムの側面に回動自在に支承されたデコンプカムが連結されている。
従来のデコンプ装置におけるデコンプカム71のカムシャフト軸線方向視における形状を、図15に示す。デコンプカム71の回転中心Cを中心とした円弧状の突出部72と、その一部が切りかかれた退避部73とに形成されており、デコンプウェイトが閉じられた状態では、デコンプカム71の突出部72が排気カムのベース円部から突出し、デコンプウェイトが遠心力によりスプリングの付勢力に抗して開いた状態では、退避部73がロッカアームのカムフォロア側に臨む位置に回動され、デコンプカムは排気カムのベース円部よりも径方向内側に没入するようになっている。
このデコンプ装置では、内燃機関の駆動開始時など、カムシャフトの回転数が所定回転数より低いとき、すなわちデコンプウェイトを開方向へ駆動させるほどの遠心力がデコンプウェイトに作用しないときには、デコンプカム71の突出部72が排気弁のベース円部から突出した状態となって、内燃機関の圧縮行程においてデコンプカム71がカムフォロアを押し上げてロッカアームが排気弁を開弁し、シリンダ内の圧縮圧力を低減するデコンプ状態となる。
また、内燃機関の機関回転数が増加し、カムシャフトの回転数が所定回転数より高くなると、すなわちデコンプウェイトを開方向へ駆動させる遠心力がデコンプウェイトに作用しスプリングの不勢力よりも大きくなると、デコンプウェイトが開方向へ駆動されるとともに、デコンプウェイトによりデコンプカムが回動されて、デコンプカム71に形成された退避部73がロッカアームのカムフォロア側に臨んだ状態となり、デコンプカム71の退避部73は排気カムのベース円部よりも径方向内側に没入して、デコンプカム71はカムフォロアを押し上げることなく排気弁が閉じられたデコンプ解除状態となるものである。
特開2010−1789号公報
前記した内燃機関のデコンプ装置では、内燃機関を停止させた際に、ピストンが圧縮上死点を乗り越えられずにクランクシャフトが逆転した場合、それに伴いカムシャフトも逆回転する。このような内燃機関の停止時においては、デコンプカム71はデコンプカム71の突出部72が排気弁のベース円部から突出したデコンプ状態にあり、デコンプカムにはカムフォロアが圧接されている。カムシャフトの逆転に伴って排気カムが逆転されると、排気カムの回動に伴ってデコンプカム71はカムシャフトの回転軸を中心とした逆転方向に回動され、カムフォロアによってデコンプカムがひきずられ、すなわちデコンプカム71がデコンプ解除状態になる方向に回動され、デコンプカムの回動に伴いデコンプウェイトがカムシャフトの軸中心線から外方に向かう開方向に駆動されることがある。
さらに、カムシャフトの逆転が進み、カムフォロアがデコンプカム71の退避部73と円弧状部とが連なる屈曲点である屈曲部74に達し、当該屈曲部74を乗り越えると、デコンプカム71が勢いよく回り退避部73がロッカアームのカムフォロア側に臨んだデコンプ解除状態となり、それに伴いカムフォロアが勢いよく排気カムのベース円部に接触するので、このときのカムフォロアがベース円部に接触する際の接触音や、それまで開いていた排気バルブが閉じてバルブシートに接触することによる接触音が生じる可能性があった。このような接触音は、内燃機関を停止した際に発生するためにより目立った音となりやすく、接触音の低減が望まれていた。
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、シリンダヘッドに回転自在に支承されるカムシャフトと、前記カムシャフトの軸線を中心とする円弧状のベース円部と、当該ベース円部よりも径方向外側に突出するようにして前記ベース円部に連設されるカム山部とを有し、当該カム山部でロッカアームを介して排気弁を開閉させる排気カムと、前記排気カムの側面に回動可能に支承されるとともに、遠心力によって動作するデコンプウェイトと、前記デコンプウェイトに連結されて前記カムシャフトの正転方向と同方向に回動するとともに、前記ベース円部から突出する突出部と前記ベース円部に対して没入する切欠き状の退避部とを備え、前記突出部が前記ロッカアームのカムフォロアに当接することで排気弁を開閉させるデコンプカムを備えた内燃機関のデコンプ装置において、前記デコンプカムには、前記カムシャフトの正転方向における前記退避部の前部側に、当該退避部よりも浅い深さで切り欠かれた切欠き部が連設され
前記切欠き部と前記突出部とが連なる屈曲点を第1屈曲部とし、前記切欠き部と前記退避部とが連なる屈曲点を第2屈曲部としたときに、前記第2屈曲部は前記ベース円部から突出し得るように構成され、前記第2屈曲部の前記ベース円部からの突出量は、前記デコンプカムにおける前記突出部の前記ベース円部からの突出量よりも小さいことを特徴とした内燃機関のデコンプ装置である。
請求項2に記載の発明は、前記デコンプカムの回動方向に沿う方向における前記切欠き部の幅は、前記デコンプカムの回動方向に沿う方向における前記突出部の幅よりも狭いことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のデコンプ装置である。
請求項3に記載の発明は、前記デコンプカムの回動方向に沿う方向における前記切欠き部の幅は、前記デコンプカムの回動方向に沿う方向における前記退避部の幅よりも狭いことを特徴とする請求項2に記載の内燃機関のデコンプ装置である。
請求項4に記載の発明は、前記デコンプウェイトは前記カムシャフトと平行な軸線を有するデコンプピンを介して前記排気カムの側面に回転可動に支承されるとともに、遠心力によって前記カムシャフトの正転方向と同方向に開く方向に回動することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の内燃機関のデコンプ装置である。
請求項5に記載の発明は、前記切欠き部と前記突出部とが連なる屈曲点を第1屈曲部とし、前記切欠き部と前記退避部とが連なる屈曲点を第2屈曲部としたときに、前記デコンプカムの中心軸線と前記第1屈曲部とを通る直線と、前記切欠き部の底面部とで成す角度が、前記デコンプカムの中心軸線と前記第2屈曲部とを通る直線と、前記退避部の底面部とで成す角度よりも大きいことを特徴とする請求項4に記載の内燃機関のデコンプ装置である。
請求項1に記載の内燃機関のデコンプ装置によれば、デコンプカムのカムシャフトの正転方向における退避部の前部側に、当該退避部よりも浅い深さで切り欠かれた切欠き部が連設されているので、カムシャフトが逆転された場合であっても、デコンプカムの退避部よりも先に切欠き部がベース円部の外方に臨む位置に移動するので、内燃機関の運転が停止され、ピストンが圧縮上死点を乗り越えられずカムシャフトが逆転し、ロッカアームのカムフォロアによる引きずりが生じ、デコンプカムが逆転された場合あっても、カムフォロアは、デコンプカムの突出部から切欠き部を介して、退避部へと到達する。従って、浅い深さで切りかかれた切欠き部によって、カムフォロアがベース円部側へ移動する移動量を規制することができ、デコンプカムによるカムフォロアのリフト状態から、カムフォロアが直ちにベース円部へ到達することを防ぐことができ、カムフォロアがベース円部に接触する際の接触音を効果的に低減することが可能となる。
また、デコンプカムの第2屈曲部は、ベース円部から突出し得るように構成され、かつ第2屈曲部の突出量は第1屈曲部の突出量よりも小さいので、カムフォロアとデコンプカムとの接触点がデコンプカムの第1屈曲部から第2屈曲部へと移行する際に、カムフォロアが第2屈曲部に接触している際のカムフォロアのリフト量は、カムフォロアが第1屈曲部に接触している際のリフト量に比べて少なくなり、カムフォロアのデコンプカムとの当接部が第1屈曲部から第2屈曲部を通過する際に、カムフォロアが排気カムのベース円部に接触する勢いを減少させて、カムフォロアが排気カムのベース円部に接触することによる接触音を低減することができる。
さらに、カムフォロアが第2屈曲部に接触している際の排気弁のリフト量は、第1屈曲に接触している際の排気弁のリフト量に比べて少ないので、排気弁がバルブシートの弁座面に接触する勢いを減少させて、排気弁が弁座面に接触する接触音を低減することができる。
請求項2に記載の内燃機関のデコンプ装置によれば、請求項1に記載の内燃機関のデコンプ装置による効果に加えて以下のような効果を奏する。請求項2に記載の内燃機関のデコンプ装置では、デコンプカムの回動方向に沿う方向におけるデコンプカムの切欠き部の幅は、デコンプカムの回動方向に沿う方向における突出部の幅よりも狭く形成されているので、カムシャフトの通常の正転時において、デコンプカムの突出部が排気カムのベース円部より突出するデコンプ状態の領域を十分に広げて確保することができる。
請求項3に記載の内燃機関のデコンプ装置によれば、請求項2に記載の内燃機関のデコンプ装置による効果に加えて、デコンプカムの回動方向に沿う方向における切欠き部の幅は、デコンプカムの回動方向に沿う方向における退避部の幅よりも狭く形成されているので、カムシャフトの通常の正転時において、退避部によるデコンプ解除状態の領域を十分に広げて確保することができる。
請求項4に記載の内燃機関のデコンプ装置によれば、請求項1ないし請求項3に記載の内燃機関のデコンプ装置による効果に加えて、以下のような効果を奏する。請求項4に記載の内燃機関のデコンプ装置のデコンプウェイトはカムシャフトと平行な中心軸線を有するデコンプピンを介して排気カムの側面に回転可動に支承されるとともに、遠心力によってカムシャフトの正転方向と同方向に開く方向に回動するので、カムシャフトの逆転時においては、カムフォロアがデコンプカムの突出部から退避部に至る際にデコンプウェイトを開方向に駆動させようとする力が大きくなりやすく、前記の接触音やデコンプウェイとの動作音が大きくなりやすい。従って、請求項4に記載のデコンプウェイトを具備したデコンプ装置において好適なものとすることができる。
請求項5に記載の内燃機関のデコンプ装置によれば、請求項4に記載の内燃機関のデコンプ装置による効果に加えて、以下のような効果を奏する。従来のデコンプ装置では、カムシャフトの逆転時にカムフォロアがデコンプカムの突出部から退避部へ直接移動する場合に、突出部と退避部が連なる屈曲部とデコンプカムの回転中心軸線と通る直線と、退避部の底面部とでなされる角度が小さいので、ロッカアームのカムフォロアが屈曲部を乗り越える際に、デコンプウェイトを開く方向に作動させようとする力が大きくなるため、カムフォロアが屈曲部を乗り越えたときにデコンプウェイトが勢いよく開く方向へ作動されやすく、その作動音が大きかった。しかし、請求項5に記載の内燃機関のデコンプ装置によればデコンプカムの回転中心軸線と第1屈曲部とを結ぶ直線と切欠き部の底面部とでなす角度は、従来のデコンプ装置の屈曲部とデコンプカムの回転中心軸線と通る直線と、退避部の底面部とでなされる角度よりも大きくなるので、カムフォロアが第1屈曲部を乗り越える際のデコンプウェイトを開く方向に作動させようとする力を減少させることができ、デコンプウェイトの作動音を低減することが可能となる。
本発明の一実施の形態に係るパワーユニットを搭載した自動二輪車の左側面図である。 パワーユニットの全体の横断面図である。 内燃機関の一部の縦断面図である。 デコンプ状態の動弁機構およびデコンプ装置の断面図である。 デコンプ解除状態の動弁機構およびデコンプ装置の断面図である。 デコンプカムの斜視図である。 図6のVII-VII矢視図であって、デコンプカムの断面形状を示した図である。 デコンプ状態であるデコンプ装置の要部側面図である。 デコンプカムの第1屈曲部がロッカアームのデコンプカム当接部に当接している状態のデコンプ装置の要部側面図である。 デコンプカムの第2屈曲部がロッカアームのデコンプカム当接部に当接している状態のデコンプ装置の要部側面図である。 デコンプ解除状態のデコンプ装置の要部側面図である。 カムシャフト逆転開始時におけるデコンプ装置の要部側面図である。 デコンプ状態における内燃機関の排気弁周辺の要部拡大断面図である。 カムシャフト逆転時における時間経過におけるロッカアームリフト量を示した図である。 従来のデコンプ装置のデコンプカムの断面形状を示した図である。
以下、本発明に係る一実施の形態について図1ないし図14に基づいて説明する。
本実施の形態に係る内燃機関Eは、スクータ等の自動二輪車などに搭載されるパワーユニットPの前部をなす単気筒4ストローク内燃機関であり、該パワーユニットPが搭載されたスクータ型の自動二輪車1を図1に示している。本明細書では、自動二輪車1の前進方向を前方とし、前方を向いた姿勢を基準にして前後左右を定めている。
自動二輪車1の車体フレームFは、ヘッドパイプ80からダウンチューブ81が斜め下向きに延びた後、水平に後方に延出している。ダウンチューブ81の後端部81aには水平方向に指向したクロスメンバ82が固着されており、該クロスメンバ82の左右には一対のリアフレームパイプ83の端部が固着されており、該リアフレームパイプ83は斜め上方に延びた後、後方に向かって水平に延出されている。
ヘッドパイプ80にはフロントフォーク84が枢支され、その下端に前輪FWが軸支され、前輪FWの上方にフロントフェンダ91が設けられ、ヘッドパイプ80の上方には左右に拡開してハンドル85が設けられている。リアフレームパイプ83に収納装置86および燃料タンク87が支持され、その上方にシート88が配置されている。
左右両リアフレームパイプ83の前端にブラケット89が設けられ、該ブラケット89にリンク機構90を介して、パワーユニットPが揺動可能に連結支持されている。パワーユニットPの後部の右側に配置される後輪RWが、パワーユニットPに軸支される。
図2にはパワーユニットPの全体の横断面図を示している。パワーユニットPは前部の内燃機関Eから後方に掛けてベルト無段変速機Tが構成され、その後部に設けられた減速機構Rに後輪RWが設けられる。
内燃機関Eは4ストローク1気筒のSOHC型のバルブシステムが採用されており、左右割の左右クランクケース2に、主軸受13を介してクランク軸9が左右水平方向に指向して軸支されており、この左右クランクケース2からシリンダブロック3が略水平に近い前傾姿勢で前方に設けられ、シリンダブロック3にシリンダヘッド4およびヘッドカバー5が順次重ねられ一体に締結され、左右のクランクケース2の左右の側面、右クランクケースカバー6aおよび左クランクケースカバー6bが取付けられている。
シリンダブロック3には、略水平方向に貫通するシリンダボア7が形成されて該シリンダボア7内にピストン8が嵌合されており、クランク軸9のクランクピン10はコンロッド11を介しピストン8と連結されている。
シリンダヘッド4には燃焼室12が設けられており、内燃機関Eの燃焼室12における燃焼エネルギーは、ピストン8の運動エネルギーへ変換されてピストン8が往復動され、コンロッド11を介してクランク軸9が回転駆動されるようになっている。
図3に示されるように、シリンダヘッド4には、燃焼室12に開口する吸気口15aを有する吸気ポート15と、燃焼室12に開口する排気口16aを有する排気ポート16とが形成され、吸気口15aおよび排気口16aをそれぞれ開閉するいずれもポペット弁からなる吸気弁17および排気弁18と、燃焼室12の中央部に臨む点火栓19とが設けられている(図2参照)。自動二輪車1にクランク軸9を横置きに搭載される本実施例の内燃機関Eにおいて、吸気口15aが上側に排気口16aが下側に位置する。
さらに、吸気ポート15の吸気口15aの周方向に亘って吸気バルブシート15bが嵌入され、吸気バルブシート15bの燃焼室側には、吸気弁17が着座する弁座面15cが形成されており、排気ポート16の排気口16aの周方向に亘って排気バルブシート16bが嵌入され、排気バルブシート16bの燃焼室側には、排気弁18が着座する弁座面16cが形成されている。
機関弁としての吸気弁17および排気弁18は、弁部17a,18aおよびステム部17b,18bよりなり、シリンダヘッド2に圧入されたバルブガイド20にそれぞれのステム部17b,18bが摺動自在に嵌挿され、バルブスプリング21の弾発力により閉弁方向に常時付勢されている。吸気弁17と排気弁18は、動弁機構30により駆動され、燃焼室12に開口する吸気ポート15と排気ポート16を機関回転に同期して開閉するようになっている。
動弁機構30は、図3および図4に示されるように、シリンダヘッド4の上部に、シリンダヘッド4およびヘッドカバー5よりなる動弁室14内に収容されている。該動弁機構30は、吸気カム32と排気カム33が形成されたカムシャフト31が、シリンダヘッド2とカムシャフトホルダ34によりベアリング35、36を介して回転自在に支承され、カムシャフト31の回転に伴い、吸気カム32と排気カム33が回転し、吸気弁17と排気弁18を開閉するものである。
図4に示されるように、動弁室14において、吸気弁17および排気弁18を挟んで左右にシリンダヘッド2から延出した軸受部22,22が形成され、該軸受部22,22には、半円弧状の軸支部22aが形成されている。同軸支部22aとカムシャフトホルダ34,34の半円弧状の軸支部34aとにより玉軸受であるベアリング35,36が挟持され、この左右のベアリング35,36によりカムシャフト31が左右方向に指向して回転自在に支承される。図4はデコンプ状態のデコンプ装置を示しており、図5はデコンプ解除状態のデコンプ装置を示している。
カムシャフト31には、左右のベアリング35,36の間に位置して、吸気弁17を開閉する動弁カムである吸気カム32が形成され、吸気カム32の右側に隣接して、排気弁18を開閉する動弁カムである排気カム33が形成されている。
図3に示されるように、吸気カム32は、カムシャフト31の軸線を中心とする円弧状のベース円部32aと、該ベース円部32aよりも径方向外側に突出するようにベース円部32aに連接されるカム山部32bを有している。排気カム33も同様に、カムシャフト31の軸線を中心とする円弧状のベース円部33aと、該ベース円部33aよりも径方向外側に突出するようにベース円部33aに連接されるカム山部33bを有している。
図2に示されるように、シリンダヘッド4の左側軸受部22のさらに左側に位置して、シリンダヘッド4、シリンダブロック3およびクランクケース2に亘って、チェーン室23が前後に貫通して形成されている。
カムシャフト31の左側ベアリング35より左方に突出した左端部31aには、チェーン室23内において被動チェーンスプロケット37が嵌着されており、クランク軸9には駆動チェーンスプロケット24が嵌着されている。該駆動スプロケット24と前記被動チェーンスプロケット37との間にタイミングチェーン25が架渡され、タイミングチェーン25を介してクランク軸9の動力がカムシャフト31にクランク軸9の半分の回転速度で伝達され、クランク軸9の回転のタイミングにあわせてカムシャフト31が回転されるようになっている。
図3に示されるように、カムシャフト31に平行に、一対のロッカアームシャフト40,40がカムシャフトホルダ34,34に架設されており、該ロッカアームシャフト40,40に、吸気側ロッカアーム41と排気側ロッカアーム42が隣り合って揺動自在に軸支されている。
吸気側ロッカアーム41は、内方に延出した二股に分かれたローラ支持部41aに、吸気カム32に接するカムフォロアとしてのローラ43が回転自在に支持されており、外方に延出した端部41bは、吸気弁17のステム部17bの上端部17cに接している。
排気側ロッカアーム42は、内方に延出し二股に分かれたローラ支持部42aに、排気カム33に接するカムフォロアとしてのローラ44が回転自在に支持されており、外方に延出した外方端部42bは排気弁18のステム部18bの上端部18cに接している。
さらに、図3および図4に示されるように、排気側ロッカアーム42の二股に分かれたローラ支持部42aのうち、一方のローラ支持部42aには、デコンプカム51がデコンプ状態となったときにデコンプカム51のカム表面に接するデコンプカム当接部42cが、排気カム方向に、ローラ44の外周より外側に延出して形成されている。本実施例においては、このデコンプカム当接部42cがローラ44の外周面より突出している突出量は、0.35mmとなっている。
吸気弁17および排気弁18はバルブスプリング21により常に閉方向に付勢されているので、ローラ44は常に吸気カム32および排気カム33に当接する方向に付勢され、カムシャフト31の吸気カム32および排気カム33の回転に伴い、吸気カム32の外周形状および排気カム33の外周形状に追従して、吸気側ロッカアーム41および排気側ロッカアーム42が揺動され、吸気弁17、排気弁18が所定の開閉時期およびリフト量で開閉駆動されるようになっている。
吸気ポート15の入口が開口するシリンダヘッド4の側部に取り付けられる吸気管26を有する吸気装置を通って吸入された空気は、気化器などの燃料供給装置から供給された燃料と混合して混合気を形成し、吸気行程において吸気ポート15を通って開弁した吸気弁17を経て燃焼室12に吸入され、ピストン8が上昇する圧縮行程において混合気の状態で圧縮される。
該混合気は圧縮行程の終期に点火栓19により点火されて燃焼し、ピストン8が下降する膨張行程において燃焼ガスの圧力により駆動されるピストン8がクランク軸9を回転駆動する。
燃焼ガスは、ピストン8が上昇する排気行程において開弁した排気弁18を経て、排気ガスとして燃焼室12から排気ポート16を通った後、排気ポート16の出口が開口するシリンダヘッド4の側部に取り付けられる排気管(図示されず)を通って内燃機関Eの外部に排出される。
この内燃機関Eは、その始動時の圧縮行程で燃焼室12内の圧縮圧力を開放することにより、始動操作力を軽減するデコンプ装置50を備えている。該デコンプ装置50は、図4に示されるように、シリンダヘッド4内の動弁機構30の排気カム33とベアリング36との間に位置して設けられている。
デコンプ装置50は、排気弁18をデコンプ状態にするデコンプカム51と、カムシャフトの回転数に応じた遠心力によりデコンプカム51をデコンプ状態からデコンプ解除状態へと回転駆動させるデコンプウェイト65、およびデコンプウェイト65をカムシャフト31に近づく閉方向へ付勢するねじりコイルスプリング67を具備している。
デコンプカム51は、図6に示されるように、大径部の円柱形状の円柱本体部52と、円柱本体部52の回転中心軸Cと同軸である小径の支軸53からなっている。さらに図8に示されるように、支軸53は、排気カム33のベース円部の右側面に回動自在に支持されている。また、デコンプカム51の円柱本体部52の右側部分に、後述するデコンプウェイト65に設けられた作動ピン68を挿入するためのU字状に欠損された凹部61が形成されている。
図7は、図6をVII-VII矢視した円柱本体部52の縦断面形状を表した図である。円柱本体部52の断面形状は、デコンプカム51の回動中心軸Cを中心とした円弧状に形成された突出部54と、円弧状の突出部54が切り欠かれ前記突出部54に対して没入する切欠き状の退避部55と、該退避部55のカムシャフト31の正転方向における前部側に、退避部55より浅い深さに切り欠かれた切欠き部56が連設されている。
デコンプカム51の回動方向に沿う方向における切欠き部56の幅は、前記突出部54の幅よりも狭く形成され、さらに退避部55の幅よりも狭く形成されている。デコンプカム51の突出部54と切欠き部56とが連なる屈曲点を第1屈曲部57とし、切欠き部56と退避部55とが連なる屈曲点を第2屈曲部58とする。図7において破線で示すものは、デコンプカム51における突出部54の外郭線を延長した仮想線であり、第2屈曲部58はこの破線よりも径方向内側に位置する。
図7に示されるように、デコンプカム51は、デコンプカム51の回動中心軸Cと前記第1屈曲部57とを通る直線Lと、前記切欠き部56の底面部59とで成す角度θが、デコンプカム51の中心軸線Cと第2屈曲部58とを通る直線L2と、退避部の底面部60とで成す角度θよりも大きくなるように形成されている。
さらに、デコンプカム51の回動中心軸Cと前記第1屈曲部57とを結んだ直線Lの長さRは、デコンプカム51の中心軸線Cと第2屈曲部58とを結んだ直線L2の長さrよりも長い。また、デコンプカム51の回動中心軸Cから切欠き部56の底面部60までの距離hは、デコンプカム51の回動中心軸線Cから退避部55の底面部59までの距離Hよりも長くなるようになっている。
図8に示されるように、デコンプカム51は支軸53により、排気カム33のベース円部33aの右側面に、排気カム33の回転軸を挟んでカム山部33bの頂部と反対側に位置して回動自在に支持されている。さらに、図9に示されるように、デコンプカム51は、デコンプカム51が回動されて突出部54がロッカアーム42のローラ44に臨んだ際に、デコンプカム51の突出部51のカム表面が、排気カム33のベース円部33aのカム表面から突出するように排気カム33に支持されており、その突出量は例えば0.145mmで設定されている。
また、図10に示されるように第2屈曲部58がロッカアーム42のローラ44に臨んだ際に、デコンプカム51の第2屈曲部51が排気カム33のベース円部33aのカム表面から突出し、かつ第2屈曲部58の突出量が第1屈曲部57の突出量すなわち突出部54の突出量よりも少なくなるように切欠き部56は形成されており、第2屈曲部58の突出量は例えば0.007mmに設定されている。
さらに、図11に示されるように、退避部55がロッカアーム42のローラ44に臨んだ際に、退避部55は排気カム33のベース円部33aのカム表面よりも径方向内側に没入するようになっている。
図3および図4に示されるように、デコンプカム51を回動させるデコンプウェイと65は、排気カム33の突出部54側の右側面に、基端部66aを圧入されカムシャフト31と平行になるように右方に突設されたデコンプピン66を介して、回転可能に支承されている。
図8に示されるように、デコンプウェイト65は、デコンプピン66に揺動自在に支持された基端部65aから厚肉アーム65bがデコンプシャフト31を取り囲むように延出し、さらに薄肉アーム65cがデコンプシャフト31を取り囲み、薄肉アーム65cの先端部65dはデコンプカム51を通り過ぎるまで延出して形成されている。
薄肉アーム65cの先端部65dの側面には、作動ピン68がデコンプカム側に突設されている。作動ピン68はデコンプカム51の円柱本体部52に形成されたU字状の凹部61に嵌挿されている。
図8から図10に示されるように、デコンプウェイト65のデコンプピン66を中心とした揺動に伴ってデコンプウェイト65の先端部65dが移動して、先端部65dに突設された作動ピン68の動きにより、デコンプカム51が排気カム33の側面に嵌入された支軸53を中心として回動される。従って、デコンプウェイト65の揺動量により、排気カム33の外周面に対して、デコンプカム51の円柱本体部52の突出部54、退避部55、切欠き部56が所定の位置関係になる。
図8に示されるように、ねじりコイルスプリング67はデコンプピン66の周囲に図4に示されるように右方にずれて複数回巻きつけられており、ねじりコイルスプリング67の一方の端部67aはカムシャフト31に巻きつけられた後排気カム33の側面に固着されており、他方の端部67bはデコンプウェイト65の基端部65aに穿設された孔65dに係止される。デコンプウェイト65は、ねじりコイルスプリング67により、デコンプウェイト65の厚肉アーム65bおよび薄肉アーム65cの内周面がカムシャフト31に接する方向に常時付勢されている。
内燃機関Eが始動を開始し、正転方向へ回転するカムシャフト51の回転数が所定回転数以下である場合には、デコンプ装置50は、図8に示されるようなデコンプ状態にある。デコンプウェイト65に発生する遠心力はねじりコイルスプリング67による付勢力よりも小さく、デコンプウェイト65の揺動量は少なく、デコンプカム51の突出部54は、排気カム33のベース円部33a外周面より突出した状態にある。排気カム33の回転中にデコンプカム51の突出部54がロッカアーム42デコンプカム当接部42cに臨む状態になると、デコンプカム51の突出部54により、排気側ロッカアーム42のデコンプカム当接部42cが押し上げられ、排気側ロッカアーム41の外方端部41bにより排気弁18の上方端部18cが押圧され、内燃機関Eが圧縮行程にあっても、排気弁18が開放されて圧力を低下させるデコンプ状態となる。本実施例では、デコンプカム51がデコンプ解除状態になる方向に回動することを正転とし、デコンプ状態に戻ることを逆転とする。
そして内燃機関Eの回転数が増大して所定回転数以上になると、デコンプウェイト65に生じる遠心力はコイルスプリング67による付勢力よりも大きくなり、デコンプウェイト65はコイルスプリング67の不勢力に抗って次第に外方に揺動し、図9および図10に示されるように、デコンプウエィト65の揺動に伴って、突出部54、第1屈曲部57、切欠き部56、第2屈曲部58の順でデコンプカム当接部42cへ臨むようにデコンプカム51が回動される。
さらに内燃機関Eの回転数が増大し、図11に示されるように、デコンプウェイト65がより外方に揺動しデコンプカム51が回動されると、排気側ロッカアーム42のデコンプカム当接部42cにデコンプカム51の切欠き部56が対向して臨む状態になるので、退避部55は排気カム33のベース円部33aのカム表面よりも径方向内側に没入した状態となり、排気側ロッカアーム42のデコンプカム当接部42cはデコンプカム51に接触しなくなり、排気側ロッカアーム42のローラ44が排気カム33の外周面に当接されるようになって、排気側ロッカアーム42は排気カム33の外周面の形状に追従して動作するようになり、デコンプ装置50はデコンプ解除状態となる。
内燃機関Eが停止されて、カムシャフト31の回転が減少すると、デコンプウェイト65に生じる遠心力が減少して、ねじりコイルスプリング67の付勢力により、デコンプウェイト65は内方に引き戻されるよう揺動され、デコンプ装置50はデコンプ状態に戻る。
ところで、内燃機関Eが停止する際に、ピストン8が圧縮上死点を乗り越えられずクランク軸9の逆転が発生することがある。クランク軸9が逆転すると、タイミングチェーン25も逆方向に回転し、それに伴いカムシャフト31が逆回転する。この時のカムシャフト31の回転数は低く、デコンプ装置50はデコンプ状態にあるので、排気側ロッカアーム42のデコンプカム当接部42cがデコンプカム51の突出部54に圧接されており、カムシャフト31の逆転にともなってデコンプカム当接部42cによりデコンプカム51が引きずられて回動し、デコンプ解除される方向すなわち正転されて、デコンプウェイト65が外方に作動されることがある。
ここで、本実施例において、カムシャフト31が逆転方向に回転し、デコンプカム当接部42cによるデコンプカム51の引きずり現象が生じた場合の、経過時間におけるロッカアームリフト量変化を図14に示す。ロッカアームリフト量とは、排気カム33のベース円部33aの外周面からロッカアーム42のローラ44がリフトされたリフト量をいい、該ロッカアームリフト量に従って揺動されたロッカアーム44の端部42bが排気弁18が押圧して排気弁のリフト量が定まる。
まず、カムシャフト31の逆転初期においては、カムシャフト31は所定回転以下の回転数にあるので、デコンプカ51ムはデコンプ状態にあり、デコンプカム51の突出部54は、排気カム33のベース円部33aよりも、0.145mm突出した状態にある。
カムシャフト31の逆転開始が排気カムのどの位相において開始されるかにもよるが、図12に示されるようにデコンプカム51がロッカアーム42のデコンプカム当接部42cから離れた位置にあるときには、デコンプカム51がデコンプ状態であっても、突出部54はロッカアーム42のデコンプカム当接部42cと接触することがなく、ロッカアーム42のローラ44は排気カム33のベース円部33aに接した状態にあり、ロッカアームリフト量は0mmとなっており、図14において点Aで示される。
カムシャフト31の逆転が進むと、排気カム33の側面に支承されているデコンプカム51が次第にロッカアーム42に近づいていき、図8に示されるようにロッカアーム42のローラ44が排気カム33のベース円部33aと接したまま、デコンプカム51の突出部54がロッカアーム42のデコンプカム当接部42cと当接する。このときのロッカアームリフト量はまだ0mmであり、図14において点Bで示される。
さらにカムシャフト31が逆転されると、デコンプカム51の突出部54がロッカアーム42のデコンプカム当接部42cと当接しつつ、排気カム33は逆転され、それにともないロッカアームリフト量は増加していく。デコンプカム51はデコンプ状態にあるので、本実施例では、突出部54は排気カムのベース円部33aから0.145mm突出しており、さらにロッカアーム42のデコンプカム当接部42cはローラ44から0.35mm突出しているので、ロッカアームリフト量は双方を加えた0.495mmとなり、図14において点Cで示される。
そして、カムシャフト31の逆転が進むと、カム当接部42cの圧接によってデコンプカムが引きずられて回動し、図9のように、やがてデコンプカム当接部42cは第1屈曲部57に当接し、第1屈曲部57のベース円部33aからの突出量は、突出部54の突出量と同じなので、その際のロッカアームリフト量は、突出部54がカム当接部42cと当接している際のロッカアームリフト量と同じ0.495mmであり、図14の点Dで示される。
デコンプカム当接部42cは、第1屈曲部突出を乗り越えると、浅い切欠き部56に当接されるようになり、ロッカアームリフト量は次第に減少していき、図10のように、第2屈曲部58と当接するようになる。本実施例の第2屈曲部58のベース円部33aからの突出量は0.007mmであるので、このときのロッカアームリフト量は0.357mmとなり、図14において点Eで示される。
さらにカムシャフトの逆転が進むと、カム当接部42cが第2屈曲部58を乗り越えると、デコンプカム51は、デコンプカム当接部42cにより逆転方向にさらに回動され、図11のように、デコンプカム51の退避部55がデコンプカム当接部42cに臨むこととなり、退避部55は排気カム33のベース円部33aに対して没入しているので、カム当接部42cはデコンプカム51と非接触となるため、排気側ロッカアーム41のローラ44が排気カムのベース円部33aに当接されデコンプ装置50はデコンプ解除状態となり、ロッカアームリフト量は0mmとなり、図14において点Fで示される。
図15にデコンプカムに切欠き部が設けられていない従来のデコンプ装置70のデコンプカム71の断面形状を示している。従来のデコンプカム71は、突出部72と退避部73が設けられており、カムシャフト31の正転方向における退避部73の前部側には切欠き部が形成されておらず、排気側ロッカアーム41のデコンプカム当接部42cが突出部72と退避部73とが連なる屈曲点の屈曲部74から第2屈曲部を経ることなく、排気側ロッカアーム41のローラ44が排気カム33のベース円部33aの表面に接触するので、図14の破線で示されるようなロッカアームのリフト量変化となる。すなわち、点Aから点Dを経た後に、ロッカアームリフト量を維持したまま屈曲部74の位置となる点Gに達し、その後デコンプカム71はデコンプカム当接部42cにより逆転方向にさらに回動され、デコンプカム71の退避部73がデコンプカム当接部42cに臨むこととなり、退避部73は排気カム33のベース円部33aに対して没入しているので、カム当接部42cはデコンプカム71と非接触となるため、排気側ロッカアーム41のローラ44が排気カムのベース円部33aに当接されデコンプ解除状態となり、ロッカアームリフト量は0mmとなり、図14において点Fに示される状態となる。従来のデコンプ装置70ではロッカアームリフト量が0.495mmから直ちにリフト量0mmまで変化するため、ローラのベース円部への接触音や、排気バルブがバルブシートに着座する際の接触音が大きくなりやすい。
本実施例においては、従来のデコンプカム70とは異なり、第1屈曲部57を乗り越えたカム当接部42cは、直ちにデコンプカムと非接触となることなく、第2屈曲部58と当接した後に非接触となるため、ロッカアームリフト量は、第1屈曲部57における0.495mmから、第2屈曲部58における0.357mmを経て、退避部55における0mmとなり、デコンプカム51による排気ロッカアーム42のリフト状態からローラ44がベース円部33aに直ちに到達することを防止し、ローラ44がベース円部33aに接触する際の接触音が低減される。
さらに、本実施例においては、図7に示されるように、デコンプカム51の中心軸線Cと第1屈曲部とを通る直線L1と、切欠き部56の底面部60とで成す角度θ1が、デコンプカム51の中心軸線Cと前記第2屈曲部58を通る直線L2と、退避部55の底面部59とで成す角度θ2よりも大きいので、デコンプカム当接部42cが第1屈曲部57を乗り越える際のデコンプウェイト65を開く方向に作動させようとする力を低減することができる。したがって、図14で示すように、点Eと点Fを結んだ傾きBよりも、点Dと点Eを結んだ傾きAはゆるやかな傾斜となり、急激にデコンプウェイトが開方向へ揺動するのを防ぐことができ、デコンプウェイト65の作動音を低減することが可能となる。
さらに、ロッカアームの揺動中心軸からデコンプカム当接部42aまでの距離と、ロッカアーム回動中心軸から排気弁18の上方端部18cまでの距離の比が、本実施例においては約1.37倍に設定されているので、排気弁リフト量は、ロッカアームリフト量の1.37倍となり、デコンプカム当接部42cが突出部54に当接した状態および第1屈曲部57に当接状態では0.678mm、第2屈曲部58に当接状態では0.489mmとなる。本実施例のデコンプ装置では、図13に示されるように、排気弁のリフト量が0.678mmの開弁状態である排気弁18が、直ちに排気側バルブシートに着座することなく、0.489mmの開弁状態を経た後に着座するため、着座する際の接触音が低減される。
以上より、本実施例におけるデコンプ装置50では、デコンプカム51は、カムシャフト31の正転方向、すなわちデコンプカム51の正転方向において、退避部55の前部側に退避部55よりも浅い深さで切欠き部56が連設されているので、排気側ロッカアーム41のデコンプカム当接部42cが第2屈曲部58を乗り越えても、該デコンプカム当接部42cが退避部55よりも浅い深さの切欠き部56を通過してから退避部55へ移動する。従って、浅い深さで切り欠かれた切欠き部56によって、排気側ロッカアーム42のカムフォロワであるローラ44が排気カム33のベース円部33a側に移動する移動量を規制することができ、デコンプカム51による排気側ロッカアーム42のリフト状態から、ローラ44がベース円部33aに直ちに到達することを防止し、ローラ44がベース円部33aに接触する際の接触音を低減することができる。
さらに、デコンプカム51の第2屈曲部58は排気カム33のベース円部33aから突出し得るように構成され、第2屈曲部58のベース円部33aからの突出量は、デコンプカム51の突出部54のベース円部33aからの突出量よりも小さいので、排気側ロッカアーム42のデコンプカム当接部42cとデコンプカム51との接触点が、デコンプカム51の第1屈曲部57から第2屈曲部へと意向する際に、第2屈曲部を通過する時点では、若干の排気弁18のリフト量を確保することができるので、排気弁18が排気バルブシート16bの弁座面16cへ接触する接触音や、ローラ44がベース円部33aに接触する際の接触音を防止することができる。
また、カムシャフト31の回転方向に沿う方向における切欠き部56の幅は、カムシャフト31の回転方向に沿う方向における突出部54の幅よりも狭いので、デコンプカム当接部42cが突出部54に接触する幅を確保し、デコンプ装置50がデコンプ状態にある領域を充分に確保することができる。
さらに、カムシャフト31の回転方向に沿う方向における切欠き部56の幅は、カムシャフト31の回転方向に沿う方向における退避部55の幅よりも狭いので、デコンプカム51の退避部55によるデコンプ解除状態の領域を充分確保することができる。
さらにまた、本実施例のデコンプ装置50では、デコンプウェイト65はカムシャフト31と平行な軸線を有するデコンプピン66を介してカムシャフト31に回転可動に支承されるとともに、遠心力によって前記カムシャフト31の正転方向と同方向に開く方向に回動するので、本実施例のように、カムシャフト31の正転方向と同方向に開動作するデコンプウェイト65においては、カムシャフト31の逆転時に、デコンプカム当接部42cがデコンプカム51の突出部54から退避部55に至る際にデコンプウェイト65を開方向に駆動させようとする力が大きくなるため、ローラ44がベース円部33aに接触する際の接触音やデコンプウェイト65の動作音が大きくなりやすい。よって、本実施例のようなデコンプウェイト65を具備したデコンプ装置50に適用すると、ローラ44がベース円部33aに接触する際の接触音やデコンプウェイト65の動作音を低減することに対してより一層効果的である。
また、従来のデコンプ装置では、図15に示されるように、カムシャフト31の逆転時にカムフォロア42のデコンプカム当接部42aがデコンプカム71の突出部72から退避部73へ直接移動する場合に、突出部72と退避部73が連なる屈曲部74とデコンプカム71の回転中心軸線Cと通る直線と、退避部73の底面部75とでなされる角度θが小さいので、ロッカアーム42のデコンプカム当接部42aが屈曲部74を乗り越える際に、デコンプウェイト65を開く方向に作動させようとする力が大きくなるため、デコンプカム当接部42aが屈曲部74を乗り越えたときにデコンプウェイト65が勢いよく開く方向へ作動されやすく、その作動音が大きかった。しかし、本実施例のデコンプ装置50では、デコンプカム51の中心軸線Cと第1屈曲部57とを通る直線Lと、切欠き部56の底面部60とで成す角度θが、従来のデコンプカム51の中心軸線Cと前記第2屈曲部58とを通る直線Lと、退避部55の底面部59とで成す角度θよりも大きいので、さらにθは従来のデコンプ装置の屈曲部74とデコンプカム71の回転中心軸線Cと通る直線と、退避部73の底面部74とでなされる角度よθと略等しいことより、θは従来のデコンプカム71のθより大きくなるので、本実施例のデコンプ装置では、カムフォロアが第1屈曲部を乗り越える際のデコンプウェイトを開く方向に作動させようとする力を減少させることができ、デコンプウェイトの作動音を低減することが可能となる。
E…内燃機関、P…パワーユニット、C…中心軸線、L…直線、L…直線、θ…角度、θ…角度
1…自動二輪車、4…シリンダヘッド、18…排気弁、31…カムシャフト、33…排気カム、33a…ベース円部、33b…カム山部、41…カムフォロア、42…排気側ロッカアーム、42c…デコンプカム当接部、50…デコンプ装置、51…デコンプカム、54…突出部、55…退避部、56…切欠き部、57…第1屈曲部、58…第2屈曲部、59…第1底面部、60…第2底面部、60…凹部、65…デコンプウェイト、66…デコンプピン。

Claims (5)

  1. シリンダヘッド(4)に回転自在に支承されるカムシャフト(31)と、
    前記カムシャフト(31)の軸線を中心とする円弧状のベース円部(33a)と、当該ベース円部(33a)よりも径方向外側に突出するようにして前記ベース円部(33a)に連設されるカム山部(33b)とを有し、当該カム山部(33b)でロッカアーム(42)を介して排気弁(18)を開閉させる排気カム(33)と、
    前記排気カム(33)の側面に回動可能に支承されるとともに、遠心力によって動作するデコンプウェイト(65)と、
    前記デコンプウェイト(65)に連結されて前記カムシャフト(31)の正転方向と同方向に回動するとともに、前記ベース円部(33a)から突出する突出部(54)と前記ベース円部(33a)に対して没入する切欠き状の退避部(55)とを備え、前記突出部(54)が前記ロッカアーム(42)のカムフォロア(42c)に当接することで排気弁(18)を開弁させるデコンプカム(51)を備えた内燃機関(E)のデコンプ装置(50)において、
    前記デコンプカム(51)には、前記カムシャフト(31)の正転方向における前記退避部(55)の前部側に、当該退避部(55)よりも浅い深さで切り欠かれた切欠き部(56)が連設され
    前記切欠き部(56)と前記突出部(54)とが連なる屈曲点を第1屈曲部(57)とし、前記切欠き部(56)と前記退避部(55)とが連なる屈曲点を第2屈曲部(58)としたときに、前記第2屈曲部(58)は前記ベース円部(33a)から突出し得るように構成され、前記第2屈曲部(58)の前記ベース円部(33a)からの突出量は、前記デコンプカム(51)における前記突出部(54)の前記ベース円部(33a)からの突出量よりも小さいことを特徴とした内燃機関のデコンプ装置。
  2. 前記デコンプカム(51)の回動方向に沿う方向における前記切欠き部(56)の幅は、前記デコンプカム(51)の回動方向に沿う方向における前記突出部(54)の幅よりも狭いことを特徴とした請求項1に記載の内燃機関のデコンプ装置。
  3. 前記デコンプカム(51)の回動方向に沿う方向における前記切欠き部(56)の幅は、前記デコンプカム(51)の回動方向に沿う方向における前記退避部(55)の幅よりも狭いことを特徴とする請求項2に記載の内燃機関のデコンプ装置。
  4. 前記デコンプウェイト(65)は前記カムシャフト(31)と平行な軸線を有するデコンプピン(66)を介して前記排気カム(33)の側面に回転可動に支承されるとともに、遠心力によって前記カムシャフト(31)の正転方向と同方向に開く方向に回動することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の内燃機関のデコンプ装置。
  5. 前記切欠き部(56)と前記突出部(54)とが連なる屈曲点を第1屈曲部(57)とし、前記切欠き部(56)と前記退避部(55)とが連なる屈曲点を第2屈曲部(58)としたときに、
    前記デコンプカム(51)の中心軸線(C)と前記第1屈曲部(57)とを通る直線(L )と、前記切欠き部(56)の底面部(60)とで成す角度(θ )が、
    前記デコンプカム(51)の中心軸線(C)と前記第2屈曲部(58)とを通る直線(L )と、前記退避部(55)の底面部(59)とで成す角度(θ )よりも大きいことを特徴とする請求項4に記載の内燃機関のデコンプ装置。
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