JP6887001B2 - デコンプ装置を備えたエンジン - Google Patents

デコンプ装置を備えたエンジン Download PDF

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Description

本発明は、デコンプ装置を備えたエンジンに関する。
従来、カムシャフトに遠心式のデコンプ装置を備えたエンジンにおいて、カムシャフトの軸方向で、排気カムと、カムシャフトをシリンダヘッドに支持するベアリングと、の間に、デコンプウェイトを配置した構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。この構造では、デコンプウェイトに、ベアリングの内輪に軸方向で接触する内輪接触部を備えることで、デコンプウェイトとベアリングとを接近可能とし、デコンプ装置の軸方向の小型化を図っている。
特開2015−224580号公報
しかし、上記従来の構造の場合、デコンプウェイトの側面に内輪接触部を形成するための段差を設けており、製造コストが増加する場合がある。また、揺動軸を中心に揺動するデコンプウェイトの側面がベアリングに接触するので、デコンプウェイトの揺動に影響を及ぼす可能性がある。
本発明は上記課題を解決するためのものであって、カムシャフトに遠心式のデコンプ装置を備えたエンジンにおいて、デコンプ装置を軸方向でコンパクトにしつつ、デコンプウェイトの製造コストの増加を抑え、かつデコンプウェイトの作動性を向上させることを目的とする。
上記課題の解決手段として、請求項1に記載した発明は、排気カム(33)を有するカムシャフト(31)に遠心式のデコンプ装置(50)を備えたエンジン(13)において、前記デコンプ装置(50)は、前記カムシャフト(31)の回転により発生する遠心力によって揺動するデコンプウェイト(51)と、前記カムシャフト(31)の軸方向と平行に延びて前記デコンプウェイト(51)を前記カムシャフト(31)に揺動可能に支持する支持軸(52)と、を備え、前記カムシャフト(31)は、エンジン構造体(23b,45)にベアリング(42)を介して回転可能に支持され、前記デコンプウェイト(51)は、前記軸方向において、前記ベアリング(42)に隣接して配置され、前記支持軸(52)は、前記軸方向の一端部を前記ベアリング(42)に当接可能な当接部(52c)とし、前記支持軸(52)と前記デコンプウェイト(51)との間には、前記支持軸(52)に対して前記デコンプウェイト(51)が前記ベアリング(42)側へ移動することを規制する移動規制部(57)を備え、前記支持軸(52)の当接部(52c)が前記ベアリング(42)に当接した状態で、前記デコンプウェイト(51)と前記ベアリング(42)との間に隙間(s)が形成されている。
この構成によれば、デコンプウェイトの支持軸がベアリングに当接し、この支持軸に対してデコンプウェイトのベアリング側への移動が規制される。これにより、デコンプウェイトをベアリングに接近させつつも、デコンプウェイトとベアリングとの間に隙間が確保される。また、デコンプウェイト自体はベアリングに接触せず、揺動中心に位置する支持軸のみがベアリングに接触するので、デコンプウェイトの揺動抵抗の増加が抑えられる。これにより、デコンプウェイトの作動性を向上させることができる。
請求項2に記載した発明は、前記ベアリング(42)は、互いに相対回転する内輪(42a)および外輪(42b)を備え、前記内輪(42a)は、前記カムシャフト(31)を挿通して支持し、かつ前記カムシャフト(31)と一体回転可能であり、前記当接部(52c)は、前記外輪(42b)を避けて前記内輪(42a)に当接可能である。
この構成によれば、カムシャフトと一体回転する内輪に対して支持軸が当接するので、支持軸とベアリングとの当接部位に相対回転が生じなくなる。これにより、支持軸がベアリングに当接することによるフリクションの増加を抑えることができる。
請求項3に記載した発明は、前記デコンプウェイト(51)の前記ベアリング(42)側の側面(51e)は、平坦形状に形成されている。
この構成によれば、デコンプウェイトのベアリング側の側面を平坦形状に形成するので、デコンプウェイトの側面に段差等の形状を形成する場合と比べて、デコンプウェイトの製造が容易になる。このため、デコンプウェイトの製造コストの増加を抑えることができる。例えば、デコンプウェイトを金型による焼結で成形する場合には、金型の制約等を受け難くなり、金型およびデコンプウェイトの製造を容易にすることができる。
請求項4に記載した発明は、前記カムシャフト(31)は、軸方向両側が前記ベアリング(42)および第二ベアリング(41)にそれぞれ支持され、前記軸方向一側に位置する前記ベアリング(42)は、前記軸方向他側に位置する前記第二ベアリング(41)よりも大径であり、前記ベアリング(42)は、前記エンジン構造体(23b,45)を軸方向に貫通するベアリング支持部(47a)内に挿入されて支持され、前記カムシャフト(31)、前記デコンプ装置(50)、前記ベアリング(42)および前記第二ベアリング(41)を含んでカムシャフト組立体が構成され、前記カムシャフト組立体における前記ベアリング(42)よりも前記軸方向他側の部位は、前記軸方向から見て、前記ベアリング(42)の外周縁(42b1)よりも内周側に配置されている。
この構成によれば、カムシャフト、デコンプ装置、ベアリングおよび第二ベアリングを予めカムシャフト組立体とし、一体的に取り扱い可能とした後、このカムシャフト組立体の軸方向他側をベアリング支持開口に対して軸方向で挿脱可能となる。これにより、エンジン構造体に対するカムシャフトおよびデコンプ装置の着脱が容易になり、カムシャフトおよびデコンプ装置の組み付け性およびメンテナンス性を向上させることができる。
請求項5に記載した発明は、前記支持軸(52)は、前記デコンプウェイト(51)に対して圧入固定されている。
この構成によれば、デコンプウェイトに支持軸を圧入固定することで、支持軸の圧入部分がデコンプウェイトのベアリング側への移動を規制する移動規制部となる。これにより、デコンプウェイトのベアリング側への移動を容易に規制することができる。
請求項6に記載した発明は、前記デコンプウェイト(51)は、前記軸方向において、前記ベアリング(42)と前記排気カム(33)との間に配置され、前記デコンプ装置(50)は、前記デコンプウェイト(51)の揺動に応じて回動してデコンプ作動の有無を切り替えるデコンプカム軸(53)を備え、前記デコンプカム軸(53)および前記支持軸(52)は、前記排気カム(33)に支持されている。
この構成によれば、デコンプカム軸および支持軸を排気カムによって支持するので、デコンプカム軸および支持軸を支持するための別部品が不要になる。これにより、デコンプ装置の軸方向の小型化および部品点数の削減に寄与することができる。
本発明によれば、カムシャフトに遠心式のデコンプ装置を備えたエンジンにおいて、デコンプ装置をカムシャフトの軸方向でコンパクトにしつつ、デコンプウェイトの製造コストの増加を抑え、かつデコンプウェイトの作動性を向上させることができる。
本発明の実施形態における自動二輪車の右側面図である。 上記自動二輪車のパワーユニットの左側面図である。 上記パワーユニットのエンジンの動弁機構の上面図である。 図3のIV−IV断面図である。 カムシャフト組立体の図4に相当する断面図である。 図5のVI−VI断面図である。 デコンプウェイトの作動状態を示す図6に相当する断面図である。 カムシャフト組立体の右側面図である。 上記エンジンのシリンダヘッドの左側面図である。 図5の要部拡大図であり、上記デコンプウェイトの移動規制部の変形例(a)〜(c)を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明における前後左右等の向きは、特に記載が無ければ以下に説明する車両における向きと同一とする。また以下の説明に用いる図中適所には、車両前方を示す矢印FR、車両左方を示す矢印LH、車両上方を示す矢印UPが示されている。また、本実施形態で用いる「中間」とは、対象の両端間の中央のみならず、対象の両端間の内側の範囲を含む意とする。
<車両全体>
図1に示すように、本実施形態は、鞍乗り型車両の一例としての自動二輪車1に適用されている。自動二輪車1の前輪2は、左右一対のフロントフォーク3の下端部に支持されている。左右フロントフォーク3の上部は、ステアリングステム4を介して、車体フレーム5の前端部のヘッドパイプ6に支持されている。ステアリングステム4のトップブリッジ上には、バータイプの操向ハンドル4aが取り付けられている。
車体フレーム5は、ヘッドパイプ6と、ヘッドパイプ6から後方へ延びるメインチューブ7と、ヘッドパイプ6から下方へ延びるダウンチューブ7aと、メインチューブ7の後端部から下方に延びるピボットフレーム8と、メインチューブ7およびピボットフレーム8の後方に連なるシートフレーム(不図示)と、を備えている。ダウンチューブ7aは、下端部から後方へロアフレームを延ばしてピボットフレーム8に接続してもよい。ピボットフレーム8には、スイングアーム11の前端部が揺動可能に枢支されている。スイングアーム11の後端部には、自動二輪車1の後輪12が支持されている。
メインチューブ7の下方には、自動二輪車1のパワーユニットPUが配置されている。パワーユニットPUは、前部に位置するエンジン(内燃機関、原動機)13と、後部に位置する変速機14と、を一体に備えている。パワーユニットPUは、後輪12と例えばチェーン式伝動機構を介して連係されている。
メインチューブ7の上方には、エンジン13の燃料を貯留する燃料タンク18が配置されている。燃料タンク18の後方で前記シートフレームの上方には、乗員が着座するシート19が配置されている。シート19の下方の左右両側には、乗員が足を載せる左右一対のステップ19aが配置されている。
<エンジン>
図2を併せて参照し、エンジン13は、クランク軸21の回転中心軸線(クランク軸線)C1を左右方向(車幅方向)に沿わせた空冷単気筒エンジンである。エンジン13は、クランクケース22の前部上方にシリンダ部23を略垂直に起立させている。
クランクケース22の前部内にはクランク軸21が収容され、クランクケース22の後部内には変速機14が収容されている。図中線C2はシリンダ部23の突出方向に沿う中心軸線(シリンダ軸線)、符号15,16は変速機14のメイン軸およびカウンタ軸、符号C3,C4はメイン軸15およびカウンタ軸16における左右方向に沿う回転中心軸線をそれぞれ示している。
シリンダ部23は、クランクケース22側から順に、シリンダブロック(シリンダ本体)23a、シリンダヘッド23bおよびヘッドカバー23cを備えている。シリンダブロック23aのシリンダホール(シリンダボア)23d内には、ピストン24がシリンダ軸線C2に沿って往復動可能に嵌装されている。ピストン24は、シリンダヘッド23bとともに燃料室を区画する。ピストン24は、コンロッド(コネクティングロッド)25を介して、クランク軸21のクランクピン21aに連結されている。シリンダヘッド23bの後部には、吸気系部品のスロットルボディthが接続され、シリンダヘッド23bの前部には、排気系部品の排気管exが接続されている。
エンジン13は、シリンダ軸線C2をクランク軸線C1よりも前方へ所定量だけオフセットさせたオフセットシリンダ機構を採用している。シリンダ軸線C2は、クランク軸線C1よりも前方へオフセットすることで、ピストン24が上死点にあるときのクランクピン21aの軸線C1回りの正転方向側へオフセットしている。図中矢印R1はクランク軸21のエンジン運転時の回転方向(正転方向)を示している。
図2、図3に示すように、シリンダヘッド23b内には、カムシャフト31、吸気バルブ34および排気バルブ35等を含む動弁機構30が構成されている。カムシャフト31は、クランク軸21と平行に配置され、シリンダ部23の右側部内に配置されたカムチェーン49を介して、クランク軸21と同期して回転駆動する。カムシャフト31の回転駆動により、吸気ロッカーアーム36および排気ロッカーアーム37を介して、吸気バルブ34および排気バルブ35が開閉駆動される。
シリンダヘッド23bの後部には吸気ポート38が形成され、シリンダヘッド23bの前部には排気ポート39が形成されている。吸気ポート38の燃焼室側開口38aは吸気バルブ34によって開閉され、排気ポート39の燃焼室側開口39aは排気バルブ35によって開閉される。図中矢印R5はクランク軸21の正転時(エンジン運転時)におけるカムシャフト31の回転方向、符号C5はカムシャフト31の回転中心軸線をそれぞれ示している。
吸気バルブ34は、バルブスプリング34bの付勢力によって吸気ポート38の燃焼室側開口38aを閉じる。吸気バルブ34は、ステム34aの上端を吸気ロッカーアーム36によって押下されることで、バルブスプリング34bの付勢力に抗してストロークして吸気ポート38の燃焼室側開口38aを開く。
排気バルブ35は、バルブスプリング35bの付勢力によって排気ポート39の燃焼室側開口39aを閉じる。排気バルブ35は、ステム35aの上端を排気ロッカーアーム37によって押下されることで、バルブスプリング35bの付勢力に抗してストロークして排気ポート39の燃焼室側開口39aを開く。
吸気バルブ34および排気バルブ35の両ステム34a,35aは、カムシャフト31の軸方向(以下、カム軸方向という。)から見た側面視でV字状に配置されている。カム軸方向から見て両ステム34a,35a間には、カムシャフト31が配置されている。カムシャフト31の左右端部は、それぞれ左右ベアリング41,42を介してシリンダヘッド23bに支持されている。
図4を併せて参照し、左右ベアリング41,42は、互いに外径の異なるラジアルボールベアリングとして構成されている。左右ベアリング41,42の内、右ベアリング42は左ベアリング41よりも大径である。カムシャフト31の左右中間部(左右ベアリング41,42間)には、左側から順に吸気カム32及び排気カム33がカム軸方向に並んで設けられている。なお、カムシャフト31の左右端部とは、後述する右延長軸部31cを除いたカムシャフト31の本体部分の左右端部の意であり、右延長軸部31cを含む場合、右端部は右寄りの中間部となる。
カムシャフト31における右ベアリング42よりも右方には、カムドリブンスプロケット48が同軸に配置されている。カムシャフト31における右ベアリング42よりも右方に延びる右延長軸部31cには、カムドリブンスプロケット48を締結固定するためのスプロケットフランジ48aが支持されている(図8参照)。スプロケットフランジ48aは、例えば右延長軸部31cを圧入することで右延長軸部31c上に固定されている。
クランク軸21の右側部には、カムドライブスプロケット(不図示)が同軸に設けられている。カムドライブスプロケットおよびカムドリブンスプロケット48には、カムチェーン49が巻き掛けられている。これにより、カムシャフト31がクランク軸21と同期して回転駆動される。シリンダ部23の右側部内には、カムチェーン49を収容するカムチェーン室49aが設けられている。
カムシャフト31の左端部は、左ジャーナル31aとされている。左ジャーナル31aは、左ベアリング41のインナーレース41a内に一体回転可能に嵌入されている。カムシャフト31における右延長軸部31cよりも内側に位置する右端部は、右ジャーナル31bとされている。右ジャーナル31bは、右ベアリング42のインナーレース42a内に一体回転可能に嵌入されている。
シリンダヘッド23b内には、カムシャフト31、吸気ロッカーアーム36および排気ロッカーアーム37を支持するカムホルダ45が固定されている。カムホルダ45は、シリンダ部23の前後各々で左右一対に設けられた四本のスタッドボルト26によって、シリンダヘッド23bに固定されている。カムホルダ45は、シリンダヘッド23b内の低位置から上方へ起立する左右側壁部46,47を有している。シリンダヘッド23bおよびカムホルダ45は、エンジン構造体(本体部)に含まれる。
左ベアリング41のアウターレース41bは、カムホルダ45の左側壁部46に形成された左ベアリング支持部46a内に嵌入されている。左ベアリング支持部46aは、左側壁部46の左右両側に開放している。左ベアリング支持部46aの左側部の内周には、左ベアリング41のアウターレース41bの左側面に左方から当接する内フランジ46bが設けられている。左ベアリング41のアウターレース41bの右側面には、左ジャーナル31aの基端外周に拡径形成された段差部31a1が右方から当接している。
右ベアリング42のアウターレース42bは、カムホルダ45の右側壁部47に形成された右ベアリング支持部47a内に嵌入されている。右ベアリング支持部47aは、右側壁部47を左右方向に貫通する開口(貫通孔)として設けられている。右側壁部47の外側には、右ベアリング42のアウターレース42bの右側面に右方から当接する位置決めプレート47bが設けられている。右ベアリング42のアウターレース42bの左側面には、右ジャーナル31bの基端外周に拡径形成された位置決めフランジ31b1が左方から当接している。
なお、左右ベアリング支持部46a,47aは、少なくとも一部がシリンダヘッド23bで構成されてもよい。
吸気ロッカーアーム36は、カムシャフト31と平行な吸気ロッカーシャフト(不図示)を中心に揺動可能に設けられている。吸気ロッカーアーム36は、ロッカーシャフトを挿通する円筒状の基部36aと、基部36aの前方に延びるカム側アーム36bと、基部36aの後方に延びるバルブ側アーム36cと、を備えている。カム側アーム36bの先端部には、吸気カム32の外周面(カム面32c)に当接するカムローラ36dが回転可能に保持されている。バルブ側アーム36cの先端部には、吸気バルブ34のステム先端に当接するタペットボルト36eが取り付けられている。
排気ロッカーアーム37は、カムシャフト31と平行な排気ロッカーシャフト(不図示)を中心に揺動可能に設けられている。排気ロッカーアーム37は、ロッカーシャフトを挿通する円筒状の基部37aと、基部37aの後方に延びるカム側アーム37bと、基部37aの前方に延びるバルブ側アーム37cと、を備えている。カム側アーム37bの先端部には、排気カム33の外周面(カム面33c)に当接するカムローラ37dが回転可能に保持されている。バルブ側アーム37cの先端部には、排気バルブ35のステム先端に当接するタペットボルト37eが取り付けられている。
係る構成において、エンジン13の運転に伴いカムシャフト31が回転駆動すると、吸気カム32および排気カム33の各カムパターンに応じて、吸気ロッカーアーム36および排気ロッカーアーム37が揺動する。吸気ロッカーアーム36および排気ロッカーアーム37の揺動により、吸気バルブ34および排気バルブ35が各ステム34a,35aに沿って往復動し、吸気ポート38および排気ポート39の各燃焼室側開口38a,39aを開閉させる。
吸気ロッカーアーム36および排気ロッカーアーム37の各カムローラ36d,37dは、それぞれ吸気カム32および排気カム33の各カム面32c,33cに上方(ヘッドカバー23c側)から当接し、カムシャフト31の回転駆動時には吸気カム32および排気カム33の各カム面32c,33c上を転動する。以下、吸気カム32および排気カム33における対応するカムローラ36d,37dが当接(転接)する位置をローラ転接位置と称する。
図6を併せて参照し、吸気カム32および排気カム33の各々は、カムシャフト31と同軸の円筒状のカム面32c,33cを形成する円筒部32a,33aと、円筒部32a,33aに対して外周側に突出して山形のカム面32c,33cを形成するカム山部32b,33bと、を備えている。吸気カム32および排気カム33は、各円筒部32a,33aがローラ転接位置にあるとき、吸気バルブ34および排気バルブ35をリフトさせず、吸気ポート38および排気ポート39の各燃焼室側開口38a,39aを閉じたままとする。吸気カム32および排気カム33の各々は、カム山部32b,33bがローラ転接位置にあるとき、吸気バルブ34および排気バルブ35をリフトさせて、吸気ポート38および排気ポート39の各燃焼室側開口38a,39aを開く。以下、各円筒部32a,33aのカム面32c,33cをゼロリフト面32d,33dと称する。
<デコンプ装置>
図5、図6に示すように、エンジン13は、始動直前のシリンダ内の圧縮圧力を逃がすべく、圧縮行程で排気バルブ35を開作動させるデコンプ装置(デコンプレッション装置)50を備えている。
デコンプ装置50は、カムシャフト31に組み付けられている。デコンプ装置50は、カムシャフト31の回転により発生する遠心力によって、遠心ウェイトを作動させる遠心式デコンプ装置50として構成されている。デコンプ装置50は、カムシャフト31における右ベアリング42と排気カム33との間に設けられている。
デコンプ装置50は、カムシャフト31の回転時の遠心力を受けて揺動するデコンプウェイト51と、デコンプウェイト51を排気カム33に対して揺動可能に支持する支持軸52と、デコンプウェイト51の揺動に応じて回動するデコンプカム軸53と、を備えている。以下、カムシャフト31の軸線C5を中心とした周方向および径方向をそれぞれカム周方向およびカム径方向と称する。また、カム径方向において、軸線C5に近付く側をカム内周側、軸線C5から離れる側をカム外周側と称する。
右ジャーナル31bと排気カム33とは、カム軸方向で互いに離間している。カムシャフト31における右ジャーナル31bから排気カム33までの範囲には、カム軸方向と平行な平面を形成する一対の面取り部31d,31eが設けられている。一対の面取り部31d,31eは、軸線C5を挟んで略平行な二平面を形成している。一対の面取り部31d,31eは、例えば各平面から軸線C5までの法線距離を互いに異ならせている。一対の面取り部31d,31eは、カム軸方向で右ジャーナル31bの半分程度と軸方向位置をラップさせている。
一対の面取り部31d,31eによって、カムシャフト31の外周部が部分的に切除されている。一対の面取り部31d,31eによって、右ベアリング42のアウターレース42bに接する位置決めフランジ31b1も部分的に切除されている。一対の面取り部31d,31eによって、排気カム33の右ジャーナル31b側の右側面が部分的に拡大されている。
一対の面取り部31d,31eは、カム軸方向から見て、カム周方向で排気カム33のカム山部33bが形成される範囲と、カム周方向で排気カム33の円筒部33aが形成される範囲と、にそれぞれ設けられている。以下、一対の面取り部31d,31eの内、カム周方向でカム山部33bが形成される範囲に設けられる面取り部を第一面取り部31d、カム周方向で円筒部33aが形成される範囲に設けられる面取り部を第二面取り部31eと称する。
排気カム33における第一面取り部31dによって右側面が拡大した部位(以下、第一側面拡大部と称する。)には、デコンプ装置50の支持軸52が挿通、支持されている。支持軸52は、カム軸方向と平行に(カム軸方向に軸方向を沿わせて)設けられている。排気カム33の第一側面拡大部には、支持軸52を挿通保持する第一貫通孔33eが形成されている。図中符号C6は支持軸52および第一貫通孔33eの中心軸線を示している。
排気カム33における第二面取り部31eによって右側面が拡大した部位(以下、第二側面拡大部と称する。)には、デコンプ装置50のデコンプカム軸53が挿通、支持されている。デコンプカム軸53は、カム軸方向と平行に(カム軸方向に軸方向を沿わせて)設けられている。排気カム33の第二側面拡大部には、デコンプカム軸53を挿通保持する第二貫通孔33fが形成されている。図中符号C7はデコンプカム軸53および第二貫通孔33fの中心軸線を示している。
支持軸52は、カム軸方向と平行に延びる円柱状をなし、左側部52aが排気カム33の第一貫通孔33eに回転可能に挿通され、右側部52bがデコンプウェイト51の基部51aの軸挿通孔51a1に圧入固定されている。支持軸52の第一貫通孔33eへの挿入深さは、支持軸52の左端部が排気カム33の左側面から突出しない深さとされる。支持軸52の第一貫通孔33eへの挿入深さは、支持軸52を挿通するカラー部材54の高さによって規定されている。
支持軸52の右端部は、デコンプウェイト51の右側面51eから所定量だけ右方に突出し、右ベアリング42のインナーレース42aの左側面に当接可能である。デコンプウェイト51の右側面51eは、デコンプウェイト51のカム軸方向右側の最外側面でもあり、カム軸方向と直交する平面状に形成されている。デコンプウェイト51の右側面51eと右ベアリング42のインナーレース42aの左側面との間には、カム軸方向で規定幅の隙間sが形成されている。前記隙間sは、支持軸52の右端部(以下、当接部52cと称する。)と右ベアリング42のインナーレース42aの左側面とが当接することで形成される。
図8を参照し、支持軸52は、カム軸方向から見て、カム内周側の半分ほどの領域が右ベアリング42のインナーレース42aの外周部とラップする。支持軸52は、カム軸方向から見て、右ベアリング42のアウターレース42bよりもカム内周側に位置している。支持軸52の当接部52cは、右ベアリング42のアウターレース42bには当接せず、インナーレース42aの外周側の側面に対してのみ、軸端面の半分ほどの範囲を当接可能である。
支持軸52の右側部52bの外周面と、デコンプウェイト51の軸挿通孔51a1の内周面とは、圧入により互いに圧接することで、支持軸52およびデコンプウェイト51のカム軸方向の相対移動を規制する。換言すれば、支持軸52とデコンプウェイト51との間には、支持軸52およびデコンプウェイト51のカム軸方向の移動(特に、支持軸52に対するデコンプウェイト51の右ベアリング42側への移動)を規制する移動規制部57が構成されている。
デコンプウェイト51と排気カム33とは、カム軸方向で互いに離間している。デコンプウェイト51と排気カム33との間には、デコンプカム軸53側ではカム軸頭部53bが配置され、支持軸52側ではカラー部材54が配置されている。カラー部材54は、デコンプウェイト51および排気カム33間の離間距離を規定している。カラー部材54には支持軸52が挿通され、支持軸52によってカラー部材54が支持されている。
カラー部材54には、デコンプウェイト51を初期位置に付勢する戻しバネ55が装着されている。戻しバネ55は、カラー部材54の周囲を巻回するトーションコイルバネである。戻しバネ55は、一方のコイル端部55aを右方に屈曲させ、このコイル端部55aをデコンプウェイト51のバネ係止孔51fに挿通、係止させている。戻しバネ55は、他方のコイル端部55bをカム周方向に沿うように湾曲させ、このコイル端部55bをカムシャフト31の外周面に当接、係止させている。
カラー部材54の左端部には、排気カム33の右側面に当接するフランジが形成され、このフランジの厚さ分だけ戻しバネ55を排気カム33の右側面から離間させている。カラー部材54の右端部は、デコンプウェイト51における軸挿通孔51a1の左側に形成された座刳り内に挿入されている。
デコンプカム軸53は、相対的に小径の円柱状の回動軸部53aと、相対的に大径の円柱状のカム軸頭部53bと、を一体に有する段付きの軸である。デコンプカム軸53は、排気カム33よりも右側に位置する右側部としてのカム軸頭部53bと、排気カム33の第二貫通孔33f内に挿入される左側部としての回動軸部53aと、を一体に有している。回動軸部53aの第二貫通孔33fへの挿入深さは、カム軸頭部53bの左側面(段差面)が排気カム33の右側面に当接することで規定される。このとき、回動軸部53aの左端部は排気カム33の左側面から突出しない。
カム軸頭部53bは、円柱体左側の外周部をカム山部53b1とし、かつ円柱体左側の外周部の一部を平坦状に切り欠いて低部53b2としている。低部53b2は、カム山部53b1に対して、軸線C7からの径方向高さを低くしている。
カム軸頭部53bのカム山部53b1は、排気カム33の円筒部33aの右側面の右方に隣接している。カム山部53b1は、排気ロッカーアーム37のカム側アーム37bの先端部の右側とカム軸方向位置をラップさせている(図4参照)。カム山部53b1は、カム軸方向視で、円筒部33aのカム面33c(ゼロリフト面33d)よりもカム外周側に突出している。
カム軸頭部53bのカム山部53b1がゼロリフト面33dよりもカム外周側に突出することで、以下の作用が生じる。すなわち、排気ロッカーアーム37のカムローラ37dがゼロリフト面33d上を転動するとき、排気ロッカーアーム37のカム側アーム37bの先端部右側がカム山部53b1に乗り上げる。これにより、排気バルブ35が開作動してシリンダ内の圧縮圧力を逃がす(デコンプ作動)。デコンプカム軸53において、ゼロリフト面33dよりもカム外周側にカム山部53b1を突出させた回動状態を、デコンプカム軸53のカム突出状態と称する。
図7に示すように、デコンプカム軸53は、カムシャフト31が所定速度以上で回転すると、デコンプウェイト51の作動によって回動し、カム突出状態からカム没入状態に変化する。カム没入状態では、カム突出状態においてカム山部53b1が突出していた位置に低部53b2が配置される。これにより、ゼロリフト面33dよりもカム内周側にカム山部53b1が没入する。すると、排気ロッカーアーム37のカムローラ37dがゼロリフト面33dを転動する際に、排気ロッカーアーム37のカム側アーム37bの先端部右側がカム山部53b1に乗り上げない。このため、排気ロッカーアーム37が揺動せず、排気バルブ35が閉じたままとなり、シリンダ内で吸気の圧縮が可能となる。
図5、図6を参照し、カム軸頭部53bは、円柱体右側に偏心溝53cを有している。偏心溝53cは、カム軸頭部53bの周方向の規定位置に設けられている。偏心溝53cは、カム軸頭部53bの右方に開放し、かつカム軸頭部53bの径方向外側に開放している。偏心溝53cには、デコンプウェイト51の係合ピン56が、デコンプカム軸53の径方向で移動可能に係合される。
デコンプウェイト51は、カム軸方向視で支持軸52からデコンプカム軸53までの間で、カムシャフト31の外周部に沿うように略U字状に延びている。デコンプウェイト51は、支持軸52側で延びる領域をウェイト本体51bとし、デコンプカム側で延びる領域をアーム部51cとしている。アーム部51cは、ウェイト本体51bに対して、右側面を左方に変化させることで軸方向厚さを略半分とした態様である。
ウェイト本体51bの支持軸52側の端部は、支持軸52の右側部52bを挿通する基部51aとされる。基部51aには、支持軸52の右側部52bを挿通する軸挿通孔51a1が貫通形成されている。軸挿通孔51a1には、支持軸52の右側部52bが圧入固定されている。
アーム部51cのデコンプカム軸53側の端部は、デコンプカム軸53の右側部に係合する係合端部51dとされる。係合端部51dには、カム軸方向と平行な係合ピン56の右側部が圧入固定されている。係合端部51dには、係合ピン56の右側部を挿通する軸挿通孔51d1が貫通形成されている。係合ピン56は、軸挿通孔51d1の左方に突出する左側部を、デコンプカム軸53の右側部の偏心溝53c内に係合させている。
アーム部51cのカム内周側(カムシャフト31側)には、ウェイト本体51bのカム内周側への揺動限界位置を規定する内周側ストッパ51g1が形成されている。ウェイト本体51bの基部51aのアーム部51cと反対側には、ウェイト本体51bのカム外周側への揺動限界位置を規定する外周側ストッパ51g2が形成されている。
デコンプウェイト51は、カムシャフト31が回転駆動する前は、戻しバネ55のバネ力によって、ウェイト本体51bをカム内周側の停止位置まで揺動させている(図6参照)。この状態をデコンプウェイト51の初期状態と称する。デコンプウェイト51が初期状態にあるとき、デコンプウェイト51の係合ピン56は、デコンプカム軸53をカム突出状態に回動させて維持する。
この状態で、エンジン13を始動させるべくクランキングを行うと、エンジン13の圧縮行程において以下の作用が生じる。すなわち、排気ロッカーアーム37のカムローラ37dがゼロリフト面33dを転動する際に、排気ロッカーアーム37のカム側アーム37bの先端部右側がカム山部53b1に乗り上げる。これにより、排気バルブ35が開作動してシリンダ内の圧縮圧力を逃がす。すなわち、圧縮上死点直前における圧縮圧力の上昇によるクランク軸21の回転抑制力の上昇を抑える。これにより、クランク軸21の回転を十分に加速させることが可能である。
クランク軸21の回転の加速に応じてカムシャフト31の回転が加速すると、遠心力を受けたデコンプウェイト51が戻しバネ55の付勢力に抗して揺動し、ウェイト本体51bをカム外周側の停止位置まで揺動させる。ウェイト本体51bがカム外周側の停止位置まで揺動した状態をデコンプウェイト51の作動状態と称する(図7参照)。デコンプウェイト51が作動状態にあるとき、デコンプウェイト51の係合ピン56は、デコンプカム軸53をカム没入状態に回動させて維持する。
これにより、排気ロッカーアーム37のカムローラ37dがゼロリフト面33dを転動する際にも、排気ロッカーアーム37が揺動せずに排気バルブ35が閉じたままとなり、シリンダ内での吸気の圧縮がなされる。すなわち、エンジン13が圧縮行程後の燃焼行程に移行可能となる。これにより、エンジン始動時の初期入力を軽減させた上で、エンジン13を容易かつ確実に始動させることが可能となる。
ここで、デコンプ装置50等のカムシャフト31への組み付けについて説明する。
まず、デコンプウェイト51に支持軸52および係合ピン56を圧入固定する。デコンプウェイト51に支持軸52を圧入する際には、支持軸52の右端部がデコンプウェイト51の右側面51eから規定量突出するように、専用の治具を用いて支持軸52のデコンプウェイト51に対する圧入深さを管理する。
次に、カラー部材54を戻しバネ55のコイル部に挿入し、この状態のカラー部材54に対して支持軸52を右側から挿入する。そして、戻しバネ55における右方を向く一方のコイル端部55aをデコンプウェイト51のバネ係止孔51fに挿入しつつ、支持軸52をその左右中間部までカラー部材54に挿入する。この状態までの小組体をデコンプウェイト小組体と称する。
次に、排気カム33の第二貫通孔33fにデコンプカム軸53を挿入するとともに、排気カム33の第一貫通孔33eにデコンプウェイト小組体の支持軸52の左側部52aを挿入する。カラー部材54によってデコンプウェイト51および排気カム33間の離間距離を規定した状態で、デコンプウェイト51(アーム部51c)の左側面とデコンプカム軸53(カム軸頭部53b)との間には隙間sが形成される。カムシャフト31にデコンプウェイト小組体を組み付ける際、戻しバネ55におけるカム周方向に沿う他方のコイル端部55bは、カムシャフト31を避けるように捩じり方向に変位させておく。第一貫通孔33eに支持軸52を挿入した後には、前記他方のコイル端部55bを解放してカムシャフト31の外周面に弾接させる。
次に、左右ベアリング41,42を左右ジャーナル31a,31bにそれぞれ嵌着するとともに、右延長軸部31cにスプロケットフランジ48aを嵌着する。右ベアリング42の組み付けによって、デコンプウェイト小組体(支持軸52)第一貫通孔33eからの離脱が阻止され、かつデコンプウェイト小組体によって、デコンプカム軸53の第二貫通孔33fからの離脱が阻止される。
これにより、カムシャフト31にデコンプ装置50等の周辺部品が組み付けられたカムシャフト組立体が構成される。
カムシャフト31および周辺部品は、予めカムシャフト組立体とした小組状態で一体的に取り扱うことが可能である。カムシャフト組立体における右ベアリング42よりも左側の要素は、カム軸方向から見て、右ベアリング42のアウターレース42bの外周縁(最大外径部)42b1よりも内周側の範囲に収まっている。カムシャフト組立体は、シリンダヘッド23bおよびカムホルダ45に対し、右ベアリング支持部47aからカム軸方向で差し込むように組み付けられる。
図9は、シリンダヘッド23bにおける油温センサ28の配置を示す断面を含む左側面図である。
シリンダヘッド23b内には、カムホルダ45がスタッドボルト26によって固定されている。シリンダヘッド23b内には、クランクケース22内のオイルポンプ(不図示)から圧送されたエンジンオイルが、シリンダ部23内のスタッドボルト挿通孔27を通じて供給される。例えばシリンダヘッド23bの後部左側のスタッドボルト挿通孔27には、オイル供給路から分岐したオイル溜まり27aが形成されている。オイル溜まり27aは、シリンダ部23の後方に開口し、この開口から油温センサ28の検知部が挿入されている。燃焼室近くのオイル溜まり27aにエンジンオイルを導いて油温を検知することで、エンジン13の暖気状態を検出しやすくなる。
以上説明したように、上記実施例におけるエンジン13は、排気カム33を有するカムシャフト31に遠心式のデコンプ装置50を備え、前記デコンプ装置50は、前記カムシャフト31の回転により発生する遠心力によって揺動するデコンプウェイト51と、前記カムシャフト31の軸方向と平行に延びて前記デコンプウェイト51を前記カムシャフト31に揺動可能に支持する支持軸52と、を備え、前記カムシャフト31は、エンジン構造体(シリンダヘッド23bおよびカムホルダ45)に左右ベアリング41,42を介して回転可能に支持され、前記デコンプウェイト51は、前記軸方向において、前記左右ベアリング41,42の内の右ベアリング42に隣接して配置され、前記支持軸52は、前記軸方向の一端部を前記右ベアリング42に当接可能な当接部52cとし、前記支持軸52と前記デコンプウェイト51との間には、前記支持軸52に対して前記デコンプウェイト51が前記右ベアリング42側へ移動することを規制する移動規制部57を備え、前記支持軸52の当接部52cが前記右ベアリング42に当接した状態で、前記デコンプウェイト51と前記右ベアリング42との間に隙間sが形成されている。
この構成によれば、デコンプウェイト51の支持軸52が右ベアリング42に当接し、この支持軸52に対してデコンプウェイト51の右ベアリング42側への移動が規制される。これにより、デコンプウェイト51を右ベアリング42に接近させつつも、デコンプウェイト51と右ベアリング42との間に隙間sが確保される。また、デコンプウェイト51の右ベアリング42側の右側面51eを、当接部形状等のない平坦形状に形成することが可能となる。これにより、デコンプウェイト51の右側面51eに段差等の形状を形成する場合と比べて、デコンプウェイト51をより右ベアリング42に接近可能となり、かつデコンプウェイト51の製造を容易にすることができなる。このため、デコンプ装置50を軸方向でコンパクトにしつつ、デコンプウェイト51の製造コストの増加を抑えることができる。また、デコンプウェイト51自体は右ベアリング42に接触せず、揺動中心に位置する支持軸52のみが右ベアリング42に接触するので、デコンプウェイト51の揺動抵抗の増加が抑えられる。これにより、デコンプウェイト51の作動性を向上させることができる。
上記エンジン13において、前記右ベアリング42は、互いに相対回転するインナーレース42aおよびアウターレース42bを備え、前記インナーレース42aは、前記カムシャフト31を挿通して支持し、かつ前記カムシャフト31と一体回転可能であり、前記当接部52cは、前記アウターレース42bを避けて前記インナーレース42aに当接可能である。
この構成によれば、カムシャフト31と一体回転するインナーレース42aに対して支持軸52が当接するので、支持軸52と右ベアリング42との当接部位に相対回転が生じなくなる。これにより、支持軸52が右ベアリング42に当接することによるフリクションの増加を抑えることができる。
上記エンジン13において、前記デコンプウェイト51の前記右ベアリング42側の右側面51eは、平坦形状に形成されている。
この構成によれば、デコンプウェイト51の右ベアリング42側の右側面51eを平坦形状に形成するので、デコンプウェイト51の右側面51eに段差等の形状を形成する場合と比べて、デコンプウェイト51の製造が容易になる。このため、デコンプウェイト51の製造コストの増加を抑えることができる。例えば、デコンプウェイト51を金型による焼結で成形する場合には、金型の制約等を受け難くなり、金型およびデコンプウェイト51の製造を容易にすることができる。
上記エンジン13において、前記カムシャフト31は、軸方向両側(左右両側)が前記左右ベアリング41,42にそれぞれ支持され、前記軸方向一側に位置する前記右ベアリング42は、前記軸方向他側に位置する前記左ベアリング41よりも大径であり、前記右ベアリング42は、前記エンジン構造体を軸方向に貫通する右ベアリング支持部47a内に挿入されて支持され、前記カムシャフト31、前記デコンプ装置50ならびに左右ベアリング41,42を含んでカムシャフト組立体が構成され、前記カムシャフト組立体における前記右ベアリング42よりも前記軸方向他側の部位は、前記軸方向から見て、前記右ベアリング42の外周縁42b1よりも内周側に配置されている。
この構成によれば、カムシャフト31、デコンプ装置50ならびに左右ベアリング41,42を予めカムシャフト組立体とし、一体的に取り扱い可能とした後、このカムシャフト組立体の軸方向他側を右ベアリング支持部47aに対して軸方向で挿脱可能となる。これにより、エンジン構造体に対するカムシャフト31およびデコンプ装置50の着脱が容易になり、カムシャフト31およびデコンプ装置50の組み付け性およびメンテナンス性を向上させることができる。
上記エンジン13において、前記支持軸52は、前記デコンプウェイト51に対して圧入固定されている。
この構成によれば、デコンプウェイト51に支持軸52を圧入固定することで、支持軸52の圧入部分がデコンプウェイト51の右ベアリング42側への移動を規制する移動規制部57となる。これにより、デコンプウェイト51の右ベアリング42側への移動を容易に規制することができる。
上記エンジン13において、前記デコンプウェイト51は、前記軸方向において、前記右ベアリング42と前記排気カム33との間に配置され、前記デコンプ装置50は、前記デコンプウェイト51の揺動に応じて回動してデコンプ作動の有無を切り替えるデコンプカム軸53を備え、前記デコンプカム軸53および前記支持軸52は、前記排気カム33に支持されている。
この構成によれば、デコンプカム軸53および支持軸52を排気カム33によって支持するので、デコンプカム軸53および支持軸52を支持するための別部品が不要になる。これにより、デコンプ装置50の軸方向の小型化および部品点数の削減に寄与することができる。
図10は、支持軸52に対するデコンプウェイト51の右ベアリング42側への移動を規制する移動規制部57の変形例を示している。
図10(a)は、支持軸52の右端部(当接部52c)に軸径よりも大径のフランジ57a1を形成した例を示している。
フランジ57a1とデコンプウェイト51の右側面51eとは、支持軸52に対するデコンプウェイト51の右ベアリング42側への移動を規制する移動規制部57aを構成している。これにより、支持軸52をデコンプウェイト51に圧入しなくても、支持軸52に対するデコンプウェイト51の右ベアリング42側への移動が規制され、デコンプウェイト51と右ベアリング42のインナーレース42aとの間の隙間sが確保される。
図10(b)は、支持軸52の右側部52bに軸径よりも大径の頭部57b1を形成した例を示している。
デコンプウェイト51の右側面51eには、頭部57b1を沈み込ませる凹部57b2が形成されている。頭部57b1の沈み込み量によってデコンプウェイト51と右ベアリング42のインナーレース42aとの間の隙間sが調整される。図の頭部57b1はテーパー状の左側面を形成し、この左側面に整合するテーパー状の右側面を凹部57b2が形成している。頭部57b1の右側面は、前記当接部52cを構成している。頭部57b1と凹部57b2とは、支持軸52に対するデコンプウェイト51の右ベアリング42側への移動を規制する移動規制部57bを構成している。
なお、頭部57b1の左側面および凹部57b2の右側面の少なくとも一方がカム軸方向と直交する平面であってもよい。支持軸52の右側部52bがデコンプウェイト51に対して回動可能に挿通される場合、支持軸52の左側部52aを排気カム33に圧入等により固定してもよい。
図10(c)は、支持軸52の右側部52bに、デコンプウェイト51の基部51aを径方向で貫通するピンやネジ等の位置決め部材57c1を差し込んだ例を示している。
位置決め部材57c1と支持軸52の右側部52bの差し込み部57c2とは、支持軸52に対するデコンプウェイト51の右ベアリング42側への移動を規制する移動規制部57cを構成している。
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、実施例は直立単気筒エンジンだが、シリンダ部を前方または後方に傾斜させたエンジンに適用してもよい。またデコンプ装置は主に燃焼間隔が大きい単気筒エンジンに適用されるが、複数気筒エンジンに適用してもよい。また水冷式エンジンに適用してもよい。
本発明を適用する車両には、自動二輪車(原動機付自転車及びスクータ型車両を含む)のみならず、三輪(前一輪かつ後二輪の他に、前二輪かつ後一輪の車両も含む)又は四輪の車両も含まれる。
そして、上記実施形態における構成は本発明の一例であり、実施形態の構成要素を周知の構成要素に置き換える等、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
1 自動二輪車(鞍乗り型車両)
13 エンジン(内燃機関)
23b シリンダヘッド(エンジン構造体)
31 カムシャフト
33 排気カム
41 左ベアリング(第二ベアリング)
42 右ベアリング(ベアリング)
42a インナーレース(内輪)
42b アウターレース(外輪)
42b1 外周縁
45 カムホルダ(エンジン構造体)
47a 右ベアリング支持部(ベアリング支持部)
50 デコンプ装置
51 デコンプウェイト
51e 右側面(側面)
52 支持軸
52c 当接部
53 デコンプカム軸
57 移動規制部
s 隙間

Claims (6)

  1. 排気カム(33)を有するカムシャフト(31)に遠心式のデコンプ装置(50)を備えたエンジン(13)において、
    前記デコンプ装置(50)は、前記カムシャフト(31)の回転により発生する遠心力によって揺動するデコンプウェイト(51)と、前記カムシャフト(31)の軸方向と平行に延びて前記デコンプウェイト(51)を前記カムシャフト(31)に揺動可能に支持する支持軸(52)と、を備え、
    前記カムシャフト(31)は、エンジン構造体(23b,45)にベアリング(42)を介して回転可能に支持され、
    前記デコンプウェイト(51)は、前記軸方向において、前記ベアリング(42)に隣接して配置され、
    前記支持軸(52)は、前記軸方向の一端部を前記ベアリング(42)に当接可能な当接部(52c)とし、
    前記支持軸(52)と前記デコンプウェイト(51)との間には、前記支持軸(52)に対して前記デコンプウェイト(51)が前記ベアリング(42)側へ移動することを規制する移動規制部(57)を備え、
    前記支持軸(52)の当接部(52c)が前記ベアリング(42)に当接した状態で、前記デコンプウェイト(51)と前記ベアリング(42)との間に隙間(s)が形成されている、デコンプ装置を備えたエンジン。
  2. 前記ベアリング(42)は、互いに相対回転する内輪(42a)および外輪(42b)を備え、
    前記内輪(42a)は、前記カムシャフト(31)を挿通して支持し、かつ前記カムシャフト(31)と一体回転可能であり、
    前記当接部(52c)は、前記外輪(42b)を避けて前記内輪(42a)に当接可能である、請求項1に記載のデコンプ装置を備えたエンジン。
  3. 前記デコンプウェイト(51)の前記ベアリング(42)側の側面(51e)は、平坦形状に形成されている、請求項1又は2に記載のデコンプ装置を備えたエンジン。
  4. 前記カムシャフト(31)は、軸方向両側が前記ベアリング(42)および第二ベアリング(41)にそれぞれ支持され、
    前記軸方向一側に位置する前記ベアリング(42)は、前記軸方向他側に位置する前記第二ベアリング(41)よりも大径であり、
    前記ベアリング(42)は、前記エンジン構造体(23b,45)を軸方向に貫通するベアリング支持部(47a)内に挿入されて支持され、
    前記カムシャフト(31)、前記デコンプ装置(50)、前記ベアリング(42)および前記第二ベアリング(41)を含んでカムシャフト組立体が構成され、
    前記カムシャフト組立体における前記ベアリング(42)よりも前記軸方向他側の部位は、前記軸方向から見て、前記ベアリング(42)の外周縁(42b1)よりも内周側に配置されている、請求項1から3の何れか一項に記載のデコンプ装置を備えたエンジン。
  5. 前記支持軸(52)は、前記デコンプウェイト(51)に対して圧入固定されている、請求項1から4の何れか一項に記載のデコンプ装置を備えたエンジン。
  6. 前記デコンプウェイト(51)は、前記軸方向において、前記ベアリング(42)と前記排気カム(33)との間に配置され、
    前記デコンプ装置(50)は、前記デコンプウェイト(51)の揺動に応じて回動してデコンプ作動の有無を切り替えるデコンプカム軸(53)を備え、
    前記デコンプカム軸(53)および前記支持軸(52)は、前記排気カム(33)に支持されている、請求項1から5の何れか一項に記載のデコンプ装置を備えたエンジン。
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