JPH0741849Y2 - 動弁機構の給油装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は、車両用４サイクルエンジン等における動弁
機構のカムシャフトに対する給油装置に関する。

［従来の技術］ 動弁機構を構成するロッカーアームシャフトとロッカー
アームに対して、それぞれオイル通路、オイル吐出孔を
連通形成し、ロッカーアーム側から、カムとのスリッパ
面にオイルを供給するように構成されたものは公知であ
る（特開昭56−118511号）。

［考案が解決しようとする課題］ ところで、４サイクルエンジン用の動弁機構には、少な
くとも１組づつのロッカーアームシャフトとロッカーア
ームが必要である。ゆえに、上記例の場合、各ロッカー
アームシャフト並びにロッカーアーム毎にそれぞれオイ
ル通路やオイル吐出孔を設けなければならないので、そ
れだけ加工工数が多くなった。

そこで本考案の目的は、加工工数を削減できる装置を提
供することにある。

［課題を解決するための手段］ 上記課題を解決するため本考案に係る動弁機構の給油装
置は、カムシャフトと、その周囲に形成されたカムに一
端が摺接するロッカーアームと、このロッカーアームを
支持するロッカーアームシャフトとを備えるとともに、
ロッカーアームシャフト及びロッカーアームに形成した
オイル通路を介して動弁機構へ潤滑オイルを供給するエ
ンジンにおいて、シリンダを車体に対して略水平に配置
することにより、吸・排気側の各ロッカーアームとロッ
カーアームシャフトをカムシャフトを挟んで上下に対向
配置させるとともに、上方に位置するロッカーアームシ
ャフトにオイル通路を設け、さらにこのオイル通路と連
通するオイル吐出孔を上方に位置するロッカーアームに
設け、下方に位置するロッカーアームに上向開口するオ
イル受孔を設けたことを特徴とする。

［考案の作用］ シリンダを車体に対して略水平に配置することにより、
吸・排気側の各ロッカーアームとロッカーアームシャフ
トがカムシャフトを挟んで上下に対向配置される。そこ
で、上方に位置するロッカーアームシャフトのオイル通
路へ供給されたオイルは、ロッカーアームの軸受を潤滑
するとともに、一部がこのオイル通路と連通するオイル
吐出孔から吐出され、カムシャフト上でカムと摺接して
いるスリッパ面を潤滑する。その後、カムシャフトから
下方へ滴下したオイルは、下方に位置するロッカーアー
ムに上向開口するオイル受孔から内部へ入って、ロッカ
ーアームシャフトの軸受を潤滑する。ゆえに、下方に位
置するロッカーアームシャフトへオイル通路を形成しな
くても潤滑可能になる。

［実施例］ 第１図乃至第５図に一実施例を示す。第１図はユニット
スイング式パワーユニットを有するスクータ型自動２輪
車の側面外観形状を一部切欠いて示した図であり、１は
前輪、２はフロントフォーク、３はハンドル、４はフレ
ーム、５はパワーユニット、６は気化器、７は物品収納
部、８はシート、９は後輪である。パワーユニット５
は、その前部をフレーム４のステー4aに対して揺動自在
に連結され、気化器６と共に物品収納部７の後方側に形
成された空間内に配設されている。

第２図はパワーユニット５のシリンダ上方内部構造を示
す図であり、10はシリンダ、11はピストン、12は燃焼
室、13はシリンダヘッド、14は吸気ポート、15は排気ポ
ートである。

動弁機構は燃焼室12に臨む吸気バルブ16、排気バルブ1
7、これらのバルブをリフトするための吸気側ロッカー
アーム18、排気側ロッカーアーム19、これらのロッカー
アームを作動させるための吸気側カム20及び排気側カム
21とからなる。吸気側カム20及び排気側カム21はカムシ
ャフト22の周囲に所定のプロフィールで形成され、カム
シャフト22は、シリンダヘッド13とカムホルダ23の合せ
面に回転可能に支持されている。

第２図のＸ矢示方向から動弁機構を示した第３図にも明
らかなように、各ロッカーアーム18、19は同一のものを
対称的に用いており、ロッカーアームシャフト24、25に
よってそれぞれの中間部に設けられた軸受18a、19aを介
してで軸支され、それぞれの一端に設けられているスリ
ッパ面26、27を対応する吸気側カム20、排気側カム21へ
摺接させるとともに、他端に設けられたアジャストボル
ト28、29の各先端を、対応する吸気バルブ16、排気バル
ブ17へ当接させている。

上方に位置するロッカーアームシャフト24には、軸方向
へオイル通路30が形成され、その一端は半径方向へ貫通
形成されたオイル通路30aと連通している。このオイル
通路30aはさらに軸受18aに貫通形成されたオイル通路31
と連通可能であり、オイル通路31は、吸気側ロッカーア
ーム18の半径方向へ穿設されてカムシャフト22方向へ指
向するオイル吐出孔32と連通している。オイル通路30の
他端は、カムホルダ23をシリンダヘッド13のスタッドボ
ルト（後述）へ取付けるために設けられたボルト孔33の
一つ33aへ連通している。このボルト孔33aは後述するよ
うにオイル通路を形成している。

一方、下方に位置する排気側ロッカーアーム19にも、カ
ムシャフト22側を指向して上向開口するオイル受孔34が
半径方向へ穿設されて軸受19aへ至っている。オイル受
孔34の内端はロッカーアームシャフト25の表面へ向かっ
て開口している。

第４図はシリンダ10に植設されたスタッドボルト35に沿
って形成されるオイル通路を示す図であり、スタッドボ
ルト35は一端をクランクケース36に植設され、他端はシ
リンダ10及びシリンダヘッド13に形成された各ボルト孔
37、38を通過して、シリンダヘッド13よりさらに長く突
出している。この突出端部にはカムホルダ23のボルト孔
33aに嵌合され、ナット39によって締結される。

ボルト孔37はシリンダ10下部のオイル通路10aと、これ
に連通してクランクケース36の割り面に形成されたオイ
ル通路40を介してオイルポンプ41と連通している。図中
の符号42はノックピンである。

第５図はオイルポンプ41部分の取付構造を示し、オイル
ポンプ41にはドリブンスプロケット43がナット44で取付
けられている。ドリブンスプロケット43の側方にはオイ
ルセパレータ45が並設されている。オイルセパレータ45
は断面が略皿状の部材であり、中央部はナット44を逃げ
るため外側方へ張り出し、一方、フランジ部46の一部46
aはドリブンスプトケット43側へ突出して僅かな間隙を
持って対面することによりスプロケットガイドとして機
能している。

また、オイルポンプ41の周囲はボルト47によってクラン
クケース36のＲケース36aの下部に一体に形成されたポ
ンプ取付座48へ取付けられている。ポンプ取付座48の下
部にはドリブンスプロケット43の下方を通り、オイルセ
パレータ45のフランジ部46下方へ至るリブ49が突設され
ている。オイルセパレータ45も第４図に示すように、ポ
ンプ取付座48近傍へボルト45aによって取付けられてい
る。

なお、図中の符号36b、36cはそれぞれＲカバー、Ｌケー
スであり、Ｒケース36aと共にクランクケース36の下部
にオイルパン50を形成している。51はチェーン、52はク
ランクシャフト52、53はオイルポンプ用ドライブスプロ
ケット、54はスタータ用ギヤ、55はそのワンウェイクラ
ッチである。

次に、本実施例の作用を説明する。オイルポンプ41から
圧送されたオイルは、オイル通路40、10a、ボルト孔3
7、38を通ってボルト孔33aへ入り、ここでロッカーアー
ムシャフト24内のオイル通路30へ入り、さらにオイル通
路30a及び31を通って、ロッカーアーム18の軸受18aを潤
滑しつつ、吐出孔32からカムシャフト22方向へ吐出され
る。この吐出オイルはカムシャフト22上で各吸・排気側
カム20、21及びこれらと摺接する各ロッカーアーム18、
19のスリッパ面26、27を潤滑する。さらにカムシャフト
22から滴下したオイルは、排気側ロッカーアーム19のオ
イル受孔34を通ってロッカーアームシャフト25へ至り、
この間に軸受19aを潤滑する。ゆえに、ロッカーアーム
シャフト24側にのみオイル通路を設けておけば、下側に
位置するロッカーアームシャフト25に設けなくても、１
本のロッカーアームシャフト24から吸・排気カム20、21
と摺接する各ロッカーアーム18、19のスリッパ面26、27
の連続的な潤滑が常時可能になる。また、ロッカーアー
ムシャフト25側にオイル通路を形成しないので加工工数
を削減できる。

そのうえ、吸気側ロッカーアーム18を排気側ロッカーア
ーム19と共通化でき、吸気側ロッカーアーム18の吐出孔
32がそのまま、排気側ロッカーアーム19のオイル受孔と
しても利用できるので、製造上有利になる。

さらに、本実施例に係るエンジンを用いれば、従来のオ
イルセパレータのうち、一部をリブ49で代用し、かつ従
来独立して必要であったスプロケットガイドをオイルセ
パレータ45の一部（46a）で代用することができる。ゆ
えに、部品点数を削減し、組立作業が容易になる。

［考案の効果］ 本考案は、シリンダを車体に対して略水平に配置するこ
とにより、吸・排気側の各ロッカーアームとロッカーア
ームシャフトをカムシャフトを挟んで上下に対向配置さ
せ、上方に位置するロッカーアームシャフトにオイル通
路を設け、さらにこのオイル通路と連通するオイル吐出
孔を上方に位置するロッカーアームに設けるとともに、
下方に位置するロッカーアームにオイル受孔を設け、上
方に位置するロッカーアームシャフト一本から、各ロッ
カーアームの軸受並びにカムとロッカーアームのスリッ
パ面を潤滑できるように構成したので、下方に位置する
ロッカーアームシャフトにはオイル通路を設ける必要が
なくなり、その分だけ加工工数を削減できる。ゆえに、
製造が容易になり、コストダウンが可能になった。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第５図は実施例に係り、第１図は自動２輪車
の一部切欠き側面図、第２図は要部断面図、第３図は要
部の第２図Ｘ矢示方向図、第４図及び第５図は要部の部
分断面図である。 （符号の説明） ５…パワーユニット、10…シリンダ、13…シリンダヘッ
ド、16…吸気バルブ、17…排気バルブ、18…吸気側ロッ
カーアーム、19…排気側ロッカーアーム、20…吸気側カ
ム、21…排気側カム、22…カムシャフト、30、30a、31
…オイル通路、32…オイル吐出孔、34…オイル受孔、35
…スタッドボルト、37、38…ボルト孔、10a、40…オイ
ル通路、41…オイルポンプ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】カムシャフトと、その周囲に形成されたカ
   ムに一端が摺接するロッカーアームと、このロッカーア
   ームを支持するロッカーアームシャフトとを備えるとと
   もに、ロッカーアームシャフト及びロッカーアームに形
   成したオイル通路を介して動弁機構へ潤滑オイルを供給
   するエンジンにおいて、シリンダを車体に対して略水平
   に配置することにより、吸・排気側の各ロッカーアーム
   とロッカーアームシャフトをカムシャフトを挟んで上下
   に対向配置させるとともに、上方に位置するロッカーア
   ームシャフトにオイル通路を設け、さらにこのオイル通
   路と連通するオイル吐出孔を上方に位置するロッカーア
   ームに設け、下方に位置するロッカーアームに上向開口
   するオイル受孔を設けたことを特徴とする動弁機構の給
   油装置。