JP4547056B2 - 貼り合せsoiウェーハの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はベースウェーハと活性ウェーハを貼り合せて接着一体化する貼り合せSOIウェーハの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図4には貼り合せSOI(Silicon On Insulation)ウェーハの製造方法が示されている。同図において、先ず、工程(a)で、シリコンのベースウェーハ1とシリコンの活性ウェーハ2を準備する。次に、工程(b)で、ベースウェーハ1と活性ウェーハ2の一方側又は両側のウェーハ表面に酸化膜(SiO2)3を絶縁層として形成する。図示の例では両側のウェーハ1、2の表面に酸化膜3が形成されている。
【0003】
次にベースウェーハ1と活性ウェーハ2をクリーニングした後、工程(c)で接着一体化して熱処理室に入れ、工程(d)の熱処理を行う。この熱処理は熱処理室内を酸素ガスを含む雰囲気ガスで満たし、1000℃〜1200℃の範囲の一定温度に1〜2時間保持して行う。この熱処理により、ベースウェーハ1と活性ウェーハ2は酸化膜3を介して接着し、ベースウェーハ1と活性ウェーハ2の表面に熱酸化により酸化膜3がさらに成長形成される。
【0004】
この熱処理が終了したのち、ベースウェーハ1と活性ウェーハ2が接着されて一体化した貼り合せウェーハは熱処理室から取り出され、工程(e)で活性ウェーハ2の表面と周端面の研削及びエッチングが行われる。次に工程(f)で研磨が行われ、活性ウェーハ2の厚みが仕様の厚みに仕上げられて、目的とする貼り合せSOIウェーハが完成する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は上記貼り合せウェーハの製造工程における熱処理の条件と貼り合せウェーハの品質特性の関係を実験を通して調べた結果、次のような現象を究明するに至った。
【0006】
ベースウェーハ1と活性ウェーハ2を貼り合せる場合、ベースウェーハ1と活性ウェーハ2の一方側のみに酸化膜3を形成して接着する場合はシリコンと酸化シリコン(酸化膜)との接着となるため、接着性が良く、1100℃以下の熱酸化の温度で良好に接着させることが可能である。しかし、ベースウェーハ1と活性ウェーハ2の両方に酸化膜3を形成して接着する場合は酸化シリコン(酸化膜)同士の接着となるため、接着性に劣り、1100℃以下の温度で良好に接着させることができないことが分かった。この場合、良好に接着するためには温度を1100℃よりも高い温度で行えばよいが、そうすると、接着性は改善されるが、熱処理の雰囲気ガスの酸化速度(酸化レート)との関係により、ウェーハ断面の特に周辺部に原子のスリップ移動が生じることが判明した。
【0007】
この現象をさらに詳細に究明した結果、熱処理の雰囲気ガスの酸化速度(熱酸化の酸化レート)が純酸素ガスよりも遅い(酸化レートが低い)場合は接着に適した1100℃よりも高い温度においても原子のスリップ移動が生じることはなかったが、雰囲気ガスの酸化速度が純酸素ガスよりも速くなる(酸化レートが高くなる)と、1100℃を超えた温度において前記原子のスリップ移動が生じることが分かった。
【0008】
この原因は明らかではないが、本発明者は、温度が高くなることにより、原子の動きが活発となり、また、酸化速度が速くなるに連れ同様に原子の動きが活発となり、温度上昇による原子の活性度と酸化速度のアップによる原子の活性度とのトータルの活性度がしきい値を超えると、製造時にウェーハに生じる応力によって原子のスリップ移動が生じるのではないかと推察している。
【0009】
このような原子のスリップ移動が生じると、貼り合せウェーハを用いたデバイスの作製工程で不良が生じ、デバイス作製の歩留まりを低下させるという問題が生じてしまう。
【0010】
原子のスリップ移動を防止するためには雰囲気ガスの酸化速度を低くして1100℃を越えた温度で接着を行えばよいが、そうすると、ウェーハ表面の熱酸化の進行が遅くなり、目標厚みになるまで酸化膜を成長形成する時間が長くなり、生産効率が低下するという問題が生じる。
【0011】
なお、上記熱処理の工程で、ベースウェーハ1と活性ウェーハ2を単に接着するだけでなくベースウェーハ1の表面に酸化膜3を成長形成する理由は、ベースウェーハ1の上面の接合面(活性ウェーハ2との接合面)側と下面側の酸化膜3の厚みの差を小さくしてこの厚みの差に起因する貼り合せSOIウェーハの歪変形を抑制するためである。
【0012】
すなわち、シリコンと酸化シリコンとでは熱膨張率(熱収縮率)が異なり、前記図4の(f)の工程が終了して得られた貼り合せウェーハのシリコンウェーハには引張り応力が残留し、酸化膜3には圧縮応力が残留する。ベースウェーハ1と活性ウェーハ2の両方の表面に酸化膜3を形成したウェーハを熱処理工程で接着のみを行い、ウェーハ表面の熱酸化を行わないと、ベースウェーハ1の接合面側の酸化膜3の厚みtはベースウェーハ1側の酸化膜3の厚みと活性ウェーハ2側の酸化膜3の厚みの総和となるのに対し、ベースウェーハ1の下面側の酸化膜3の厚みはベースウェーハ1側のみの単独の酸化膜3の厚みであり、接合面側と下面側とで酸化膜3の厚みに大きな差が生じる。
【0013】
この厚みの差により、ベースウェーハ1の上面(接合面)と下面間の酸化膜3の残留応力に因る圧縮力のバランスが崩れ、貼り合せウェーハは接合面側が凸となるような反り変形が生じてしまう。この反り変形を防止するために、(d)の熱処理工程では、接着とともに熱酸化処理を同時に行いベースウェーハ1の下面側の酸化膜3の厚みを接合面の厚みtに近づけることにより、反り変形を許容範囲内に収め、不良の発生を防止するものである。
【0014】
本発明は上記発明者の究明に基づき成されたものであり、その目的は、それぞれ表面に酸化膜が形成されたベースウェーハと活性ウェーハを、接着性が良く、かつ、原子のスリップ移動を生じさせることのない条件のもとで熱処理を行って、高品質の貼り合せウェーハを作製することが可能な貼り合せSOIウェーハの製造方法を提供することにある。
【0015】
上記目的を達成するために本発明は次のような手段をもって、課題を解決する手段としている。すなわち、第1の発明は、表面にそれぞれ酸化膜が形成されたベースウェーハと活性ウェーハを密着一体化したものを熱処理室内で熱処理してベースウェーハと活性ウェーハを接着する貼り合せSOIウェーハの製造方法において、前記熱処理をウエーハの接着熱処理と該接着熱処理後のウェーハ表面の熱酸化処理の2段階の熱処理を含んで行い、接着熱処理は接着温度を優先して接着に適した、1100℃よりも高く1200℃以下の温度範囲の高い温度雰囲気にするとともに、接着温度を優先して温度を高くした分、純酸素ガスよりは酸化速度の遅いガス雰囲気中にして雰囲気ガスの酸化速度を落としてウェーハの原子スリップ移動を阻止し、ウェーハ表面の熱酸化処理は酸化を優先し純酸素ガス以上の酸化速度のガス雰囲気中にして雰囲気ガスの酸化速度を速めるとともに、その分、雰囲気温度を900℃以上で1100℃以下の温度範囲の温度に低くしてウェーハの原子スリップ移動を阻止するという如く、ウエーハの接着熱処理とウェーハ表面の熱酸化処理とで、雰囲気温度と雰囲気ガスの酸化速度をウェーハの原子スリップ移動を阻止する範囲内で可変とする構成をもって、課題を解決する手段としている。
【0017】
さらに、第2の発明は、前記第1の発明の構成を備えた上で、ウエーハの接着熱処理は窒素ガスと酸素ガスの混合ガス雰囲気中で行い、ウェーハ表面の熱酸化処理は水素ガスと酸素ガスの混合ガス雰囲気中で行う構成をもって、課題を解決する手段としている。
【0019】
さらに、第3の発明は、前記第1又は第2の発明の構成を備えた上で、ウエーハの接着熱処理とウェーハ表面の熱酸化処理は連続して行うことを特徴としている。
【0020】
さらに、第4の発明は、前記第1又は第2の発明の構成を備えた上で、ウエーハの接着熱処理とウェーハ表面の熱酸化処理は不連続の別個の処理で行うことを特徴としている。
【0021】
さらに、第5の発明は前記第1乃至第4の何れか1つの発明の構成を備えた上で、ベースウェーハと活性ウェーハの接合面間の酸化膜の厚みが2μm以上であることを特徴とする。
【0022】
本発明は酸化膜が形成されたベースウェーハと同じく酸化膜が形成された活性ウェーハとを貼り合せる熱処理を、ウェーハの接着熱処理とウェーハ表面の熱酸化処理の2段階の処理を含ませて構成し、接着熱処理では接着の条件を優先し、接着に適した、1100℃を超え1200℃以下の温度でもってベースウェーハと活性ウェーハの酸化膜同士の接着を確実に行う。
【0023】
この時の雰囲気ガスは例えば、酸素ガスと窒素ガスの混合ガスを使用して熱酸化の速度を純酸素ガスよりも遅くする。このことにより、温度を接着に適するように高くした分ウェーハの原子の活性度が高まるが、酸化速度を低くすることで、その分、ウェーハへのスリップの発生度を弱める方向にし、温度と酸化速度とのトータル活性度がしきい値を越えないようにして、ウェーハ原子のスリップ移動現象を防止する。
【0024】
また、ウェーハ表面の熱酸化処理においては、ウェーハ表面の熱酸化条件を優先し、雰囲気ガスとして、例えば、酸素ガスと水素ガスの混合ガスを使用して熱酸化の速度を純酸素ガスよりも速めて熱酸化処理を効率よく行う。その一方で、雰囲気温度は900℃以上で1100℃以下いう如く、接着時よりも低くする。このことにより、雰囲気ガスの酸化速度を高めることにより、ウェーハへのスリップの発生度が高まるが、温度を低くした分ウェーハの原子の活性度を弱め、温度と酸化速度とのトータル活性度がしきい値を越えないようにして、ウェーハ原子のスリップ移動現象を防止する。
【0025】
本発明では、上記のように、ウェーハの接着熱処理においては接着を確実に行い、ウェーハ表面の熱酸化処理においては熱酸化を効率よく行い、かつ、何れの処理においてもウェーハの原子移動のスリップ現象が生じないように温度と酸化速度が設定されるので、ベースウェーハと活性ウェーハの接着性に優れ、熱酸化の処理効率がよく、ウェーハ原子のスリップ移動現象が生じることがない、高品質の貼り合せウェーハの製造方法の提供が可能となるものである。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る貼り合せSOIウェーハの製造方法の実施形態例を図面に基づき説明する。本実施形態例の貼り合せSOIウェーハの製造方法は図4において既述した熱処理工程(d)の処理をウェーハの接着熱処理(d1)の工程とウェーハ表面の熱酸化処理(d2)の工程の2段階の工程に細分して、それぞれの処理条件をウェーハ原子のスリップ移動現象を阻止する条件の下で最適化したことを特徴とするものであり、それ以外の(a)、(b)、(c)、(e)、(f)の工程は前述した従来例と同様であるので、その説明は省略する。ただし、従来例の説明では、(b)の工程においては、ベースウェーハ1と活性ウェーハ2の一方側のみに酸化膜3を形成する場合がある旨説明したが、本実施形態例においては、図示の如く、ベースウェーハ1と活性ウェーハ2の両方に酸化膜3が形成されているウェーハの貼り合せを対象としている。
【0027】
図1は本実施形態例において特徴的な接着熱処理(d1)の工程と熱酸化処理(d2)の工程における雰囲気ガスと雰囲気温度との関係を示している。この熱処理は、図4の(b)の工程でそれぞれ表面に酸化膜3が形成されたベースウェーハ1と活性ウェーハ2を工程(c)で密着一体化し、これを熱処理室に入れて行うものである。
【0028】
本実施形態例における接着熱処理(d1)の工程では、ウェーハ原子のスリップ移動現象が生じない温度と酸化速度との関連条件の範囲内で接着性の温度を優先し、熱処理室の雰囲気温度を酸化膜3同士の接着に適した温度に維持して接着熱処理を行う。本発明者の実験を通した検討によれば、1100℃よりも高い温度で酸化膜3同士の良好な接着性が得られることを確認しており、このことから、熱処理室の雰囲気温度を1100℃よりも高い温度に維持して接着熱処理を行うようにしている。ただし、必要以上に高い温度にすると熱処理室内の部材に耐熱手段を講じなければならないので、好ましくは1100℃よりも高く1200℃以下の温度で接着熱処理を行うことが望ましい。
【0029】
また、接着熱処理(d1)の工程では、接着性を優先して温度を高くした分、雰囲気ガスの酸化速度を遅くする(酸化レートを低くする)ために酸素ガスと窒素ガスの混合ガスを使用して、純酸素ガスよりも酸化速度を遅くするようにしてウェーハ原子のスリップ移動現象を防止するようにしている。この接着熱処理(d1)の工程は上記混合ガスおよび温度の雰囲気中に酸化膜3を介して密着一体化したベースウェーハ1と活性ウェーハ2を例えば1〜2時間保持する(晒す)ことにより行われる。この接着熱処理の後、次の熱酸化処理(d2)の工程に移る。
【0030】
熱酸化処理(d2)の工程ではウェーハ原子のスリップ移動現象が生じない温度と酸化速度との関連条件の範囲内で酸化速度(酸化レート)条件を最優先にし、雰囲気ガスとして酸素ガスと水素ガスの混合ガスを使用し、酸化速度を純酸素ガスよりも速くしている。そして、酸化速度を速くした分、雰囲気温度を1100℃以下(図1においては1100℃)に低くしてウェーハ原子のスリップ移動現象を防止するようにしている。ただし、温度を必要以上に下げすぎると熱酸化のスピードが低下してしまうので、好ましくは1100℃以下、かつ、900℃以上の温度範囲内の温度に設定することが望ましい。この熱酸化処理(d2)の工程も、前記雰囲気ガス(酸化速度)と温度の雰囲気中に接着されたベースウェーハ1と活性ウェーハ2の一体化物を1〜2時間維持する(曝す)ことにより行われる。
【0031】
この熱酸化処理によりベースウェーハ1と活性ウェーハ2の表面に酸化膜が成長し、ベースウェーハ1の下面の酸化膜3の厚みがベースウェーハ1と活性ウェーハ2の接合面の酸化膜3の厚みtに近付く方向に厚くなる。なお、上記図1に示した例では、接着熱処理(d1)の工程と熱酸化処理(d2)の工程を連続して行っているが、不連続の別個の処理として行ってもよいものである。上記熱酸化処理が済んだ接着一体化ウェーハは熱処理室から取り出され、図4に示した(e)、(f)の工程を経て目的とする貼り合せウェーハの作製が完了する。
【0032】
本実施形態例によれば、従来例においては温度と雰囲気ガス(酸化速度)を一定にして行っていた熱処理を、接着温度と酸化速度のうち接着温度を優先した接着熱処理と、酸化速度を優先した熱酸化処理との2段階の処理によって行う構成としたので、酸化膜3を形成したベースウェーハ1と同じく酸化膜3を形成した活性ウェーハ2を互いの酸化膜3を介して不良の無い確実な接着が達成できるとともに、接着後のウェーハ1、2の表面の熱酸化をスピーディに効率よく行うことができる。
【0033】
しかも、接着熱処理を行うときは温度を高くした分、酸化速度を遅くする方向に変更し、また、熱酸化処理を行うときは酸化速度を速くした分、温度を低くする方向に変更するので、接着熱処理と熱酸化処理を行ったウェーハにウェーハ原子のスリップ移動現象が生じることが無く、これにより高品質の貼り合せウェーハを効率よく製造することが可能となる。
【0034】
本発明者は上記実施形態例の効果を実験によって検証しており、次に、その検証結果の一例を比較例との対比において説明する。図2および図3は本実施形態例における接着熱処理と熱酸化処理を行った後のウェーハ1、2の断面の状態図を示すもので、図2はベースウェーハ1の断面状態図であり、図3は活性ウェーハ2の断面状態図である。この検証例として示した図示のものは酸素ガスと窒素ガスの混合ガスの雰囲気中で温度を1175℃に保った熱処理室内に密着接合したウェーハ1、2を2時間保持して接着熱処理を行い、次に、酸素ガスと水素ガスの混合ガスの雰囲気中で温度を1100℃に保った熱処理室内に接着一体化したウェーハ1、2を2時間保持して熱酸化処理した後に、ウェーハ1、2の断面をX線ラング法により観察したものである。
【0035】
一方、図6および図7は比較条件の下で熱処理を行った後のウェーハ1、2の断面状態を示すもので、図6はベースウェーハ1の断面状態を示し、図7は活性ウェーハ2の断面状態を示している。この比較例の熱処理条件は、図5に示すように、雰囲気ガスは検証例の上記実施形態例の場合と同様にし、その代わりに熱処理温度を一定にして熱酸化処理を接着熱処理の場合と同じ1175℃に保って処理している点が検証例と異なっている。なお、図6、図7も検証例のものと同様に熱酸化処理した後に、ウェーハ1、2の断面をX線ラング法により観察したものである。
【0036】
比較例の場合はベースウェーハ1と活性ウェーハ2のいずれにおいてもウェーハ断面の周辺部にウェーハ原子のスリップ移動現象が現われている。本発明者はこのウェーハ原子のスリップ移動現象が接着熱処理工程の終了時点で生じているか否かを調べたところ、この時点では生じていないことが判明した。したがって、このウェーハ原子のスリップ移動は熱酸化処理中に生じたものであることが明らかになった。
【0037】
これに対し、検証例のものはウェーハ1、2の断面のいずれにもウェーハ原子のスリップ移動現象は現われておらず、接着熱処理と熱酸化処理の何れの処理工程中においてもウェーハ原子のスリップ移動現象が生じていないことが分かった。
【0038】
検証例と比較例を対比して明らかなことは、接着熱処理においては、温度を1175℃と高くしてもウェーハ原子のスリップ移動現象が生じていないことである。この点につき、本発明者は、温度を1175℃と高くしたことにより、ウェーハ原子の移動の活性度が高まるが、窒素ガスを酸素ガスに混合して雰囲気ガスの酸化速度を低減したことで、その分、ウェーハへのスリップの発生度が低減方向となって前記温度アップ分の活性度の上昇分が相殺される格好となり、このことにより、温度と酸化速度によるトータル的なウェーハ原子の移動の活性度がしきい値を越えることが無く、熱処理中に応力が作用してもウェーハ原子のスリップ移動現象が生じなかったものと考えている。
【0039】
また、熱酸化処理においては、検証例ではウェーハ原子のスリップ移動現象が生じなかったのに対し、比較例ではウェーハ原子のスリップ移動現象が生じた点については、発明者は、比較例の場合は温度が1175℃と高く、また、雰囲気ガスの酸化速度も水素ガスが混合しているため速いことから、温度と酸化速度によるトータル的なウェーハ原子の移動の活性度がしきい値を越えてしまったためスリップ現象が生じたものと考えている。また、発明者は、検証例の熱酸化処理において、ウェーハ原子のスリップ移動現象が生じなかった点については、雰囲気ガスの酸化速度が速くなってウェーハへのスリップ発生度が高められるが、温度が1100℃に低下したため、この温度が低下した分、ウェーハ原子の移動の活性度が低減方向となって前記酸化速度アップ分の活性度の上昇分が相殺される格好となり、このことにより、温度と酸化速度によるトータル的なウェーハ原子の移動の活性度がしきい値を越えることが無く、熱処理中に応力が作用してもウェーハ原子のスリップ移動現象が生じなかったものと推察している。
【0040】
なお、本発明は上記実施形態例に限定されることなく様々な実施の形態を採り得るものである。例えば、上記実施形態例では、熱酸化処理(d2)の工程に使用する雰囲気ガスを酸素ガスと水素ガスの混合ガスとしたが、水素ガスを混合せずに純酸素ガスを雰囲気ガスとして使用してもよい。
【0041】
要は、接着熱処理に関しては、接着性を優先して接着温度を接着のための適切な温度に設定し、温度と酸化速度のトータル活性度(原子移動の活性度)が原子のスリップ移動を阻止するしきい値を越えないように雰囲気ガスの酸化速度(雰囲気ガスのガス種およびその混合割合)を設定すればよく、また、熱酸化処理に関しては、酸化速度の条件を優先設定し、温度と酸化速度のトータル活性度(原子移動の活性度)が原子のスリップ移動を阻止するしきい値を越えないように温度を設定すればよく、これらの条件が満足されれば、温度および酸化速度(雰囲気ガスのガス種およびその混合割合)は上記実施形態例以外のものであってもよい。
【0042】
また、ベースウェーハ1および活性ウェーハ2の表面に形成される酸化膜3の厚み(図4の(b)の工程で形成される酸化膜3の厚み)は特に限定されない。
最近においては、絶縁層(酸化膜3)の絶縁耐圧を大きくした貼り合せウェーハの要求があり、ベースウェーハ1と活性ウェーハ2の接合面間の酸化膜3の厚みtを2μm以上の厚肉とした貼り合せウェーハが高耐圧デバイス用として利用されている。このような酸化膜厚の厚い高品質の貼り合せウェーハの製造方法として本実施形態例の方法は非常に優れており、貼り合せウェーハの製造分野においてその利用が期待されるものである。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、それぞれの表面に酸化膜が形成されたベースウェーハと活性ウェーハを貼り合せる熱処理を、接着性の条件を優先させた接着熱処理と熱酸化の条件を優先させた熱酸化処理の2段階の熱処理を含んで構成したので、接着性と熱酸化効率を共に満足させた貼り合せウェーハの製造が可能となる。
【0044】
しかも、前記接着熱処理および熱酸化処理の条件はいずれもウェーハ原子のスリップ移動が生じない範囲で設定されるものであるから、従来においては酸化膜同士を接着熱酸化する熱処理工程で生じ易かったウェーハ原子のスリップ移動現象を確実に防止することができ、このことにより、ベースウェーハと活性ウェーハの接合面間の酸化膜の厚みの如何に拘らずウェーハ原子のスリップ移動現象の無い高品質の貼り合せウェーハの提供が可能となる。
【0045】
特に、従来においては、前記ベースウェーハと活性ウェーハの接合面間の酸化膜の厚みが2μm以上となる貼り合せウェーハの製造をウェーハ原子のスリップ移動現象を生じさせないようにして生産効率よく製造することが難しかったが、本発明はこのような問題が解消されているので、前記厚みが薄い場合はもちろんのこと、ベースウェーハと活性ウェーハの接合面間の酸化膜の厚みが2μm以上となる貼り合せウェーハの製造方法としてもその利用が期待されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る貼り合せSOIウェーハの製造方法において特徴的な熱処理部分の実施形態例を示す図である。
【図2】本実施形態例の製造方法の熱処理によって処理されたベースウェーハの断面状態を示す図である。
【図3】本実施形態例の製造方法の熱処理によって処理された活性ウェーハの断面状態を示す図である。
【図4】貼り合せSOIウェーハの製造方法の工程図である。
【図5】比較例の熱処理条件を示す説明図である。
【図6】比較例の熱処理によって処理されたベースウェーハの断面状態を示す図である。
【図7】比較例の熱処理によって処理された活性ウェーハの断面状態を示す図である。
【符号の説明】
1 ベースウェーハ
2 活性ウェーハ
3 酸化膜
Claims (5)
- 表面にそれぞれ酸化膜が形成されたベースウェーハと活性ウェーハを密着一体化したものを熱処理室内で熱処理してベースウェーハと活性ウェーハを接着する貼り合せSOIウェーハの製造方法において、前記熱処理をウエーハの接着熱処理と該接着熱処理後のウェーハ表面の熱酸化処理の2段階の熱処理を含んで行い、接着熱処理は接着温度を優先して接着に適した、1100℃よりも高く1200℃以下の温度範囲の高い温度雰囲気にするとともに、接着温度を優先して温度を高くした分、純酸素ガスよりは酸化速度の遅いガス雰囲気中にして雰囲気ガスの酸化速度を落としてウェーハの原子スリップ移動を阻止し、ウェーハ表面の熱酸化処理は酸化を優先し純酸素ガス以上の酸化速度のガス雰囲気中にして雰囲気ガスの酸化速度を速めるとともに、その分、雰囲気温度を900℃以上で1100℃以下の温度範囲の温度に低くしてウェーハの原子スリップ移動を阻止するという如く、ウエーハの接着熱処理とウェーハ表面の熱酸化処理とで、雰囲気温度と雰囲気ガスの酸化速度をウェーハの原子スリップ移動を阻止する範囲内で可変とすることを特徴とする貼り合せSOIウェーハの製造方法。
- ウエーハの接着熱処理は窒素ガスと酸素ガスの混合ガス雰囲気中で行い、ウェーハ表面の熱酸化処理は水素ガスと酸素ガスの混合ガス雰囲気中で行うことを特徴とする請求項1記載の貼り合せSOIウェーハの製造方法。
- ウエーハの接着熱処理とウェーハ表面の熱酸化処理は連続して行うことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の貼り合せSOIウェーハの製造方法。
- ウエーハの接着熱処理とウェーハ表面の熱酸化処理は不連続の別個の処理で行うことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の貼り合せSOIウェーハの製造方法。
- ベースウェーハと活性ウェーハの接合面間の酸化膜の厚みが2μm以上である請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の貼り合せSOIウェーハの製造方法。
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