JP4539266B2 - 電子レンジ調理用包装体 - Google Patents
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Description
しかしながら、このような方法は一般消費者にとっては手間のかかるものであるとともに、電子レンジ加熱により発生した水蒸気が直ちに包装体外へ排出されるために、水蒸気による加熱蒸らし効果が低減し、食味が落ちるという欠点がある。
1.フランジ部を有する合成樹脂製の容器本体に無菌米飯を充填し、該フランジ部に蓋体をヒートシールして密封した電子レンジ調理用包装体において、ヒートシール部に容器の内側方向に向けて突出する突出部及び該突出部に対向する位置に容器外側方向に向けて突出する開封部を形成するとともに、突出部先端近傍及び開封部を除くヒートシール部の内縁全周に樹脂溜まりを設け、該樹脂溜まり部のシール強度を15〜70N/15mmとしたことを特徴とする電子レンジ調理用包装体。
2.合成樹脂製の容器本体が角型容器であり、突出部及び開封部を容器の対向するコーナー部に形成したことを特徴とする1に記載の電子レンジ調理用包装体。
3.突出部の形状をU字状乃至V字状に形成したことを特徴とする1又は2に記載の電子レンジ調理用包装体。
4.突出部の形状をW字状に形成したことを特徴とする1又は2に記載の電子レンジ調理用包装体。
5.開封部の形状をV字状に形成したことを特徴とする1〜4のいずれかに記載の電子レンジ調理用包装体。
6.ヒートシール部に形成した突出部におけるシール強度が5〜30N/15mmであることを特徴とする1〜5のいずれかに記載の電子レンジ調理用包装体。
7.容器本体のフランジ部にヒートシール部の内縁に沿って周状の微小突起を形成し、蓋体をヒートシールすることによってヒンジ状樹脂溜まりを設けたことを特徴とする1〜6のいずれかに記載の電子レンジ調理用包装体。
8.容器本体及び/又は蓋体を酸素吸収性樹脂層を有する多層プラスチックフイルムにより構成したことを特徴とする1〜7のいずれかに記載の電子レンジ調理用包装体。
9.包装体の酸素透過度が10ml/m 2 ,24hr,atm以下であることを特徴とする1〜8のいずれかに記載の電子レンジ調理用包装体。
(1)容器内に充填した無菌米飯の品温が高い状態での蓋体と容器本体のヒートシールを確実に行い、充填直後のヒートシール部の剥離を防ぎ、流通工程等における包装体の剥離、損傷を防止することができる。
(2)雑菌、かびや酸化等により変質し易い、無菌米飯の風味を長期間保持することができる。
(3)電子レンジで加熱調理する際に、包装体の内圧をある程度上昇させた状態で一定時間維持し、蒸らし効果によって食味を向上させるとともに、ヒートシール部に形成した突出部を自動開口させることにより、包装体の破裂や変形を防止することができる。
(4)調理完了後に、自動開口し高温の蒸気が吹き出している突出部と対向する位置に形成した開封部から、蓋体を安全かつ容易に開封することができる。
このようなヒートシール性を有するプラスチック材料としては、例えば公知の低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン系不飽和カルボン酸乃至その無水物でグラフト変性されたオレフィン樹脂等のオレフィン系樹脂、比較的低融点乃至低軟化点のポリアミド乃至コポリアミド樹脂、ポリエステル乃至コポリエステル樹脂、ポリカーボネイト樹脂等が使用される。
このような熱可塑性樹脂としては、例えば結晶性ポリプロピレン、結晶性プロピレン−エチレン共重合体、結晶性ポリブテン−1、結晶性ポリ4−メチルペンテン−1、低−、中−、或いは高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、EVAケン化物、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、イオン架橋オレフィン共重合体(アイオノマー)等のポリオレフィン類;ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体等の芳香族ビニル共重合体;ポリ塩化ビニル、塩化ビニリデン樹脂等のハロゲン化ビニル重合体;ポリアクリル系樹脂;アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体の如きニトリル重合体;ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート等のポリエステル類;6−ナイロン、12−ナイロン、メタキシリレンジアミン(MX)ナイロンのようなポリアミド類;各種ポリカーボネート;フッ素系樹脂;ポリオキシメチレン等のポリアセタール類等の熱可塑性樹脂を挙げることができる。これらの熱可塑性樹脂は単独で又は二種以上をブレンドして使用することができ、また、各種の添加剤を配合して使用してもよい。
特に好ましい酸素バリヤー性樹脂としては、エチレン含有量が20〜60モル%、特に25〜50モル%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体を、ケン化度が96モル%以上、特に99モル%以上となるようにケン化して得られる共重合体ケン化物が挙げられる。
他の好ましい酸素バリヤー性樹脂としては、炭素数100個当たりのアミド基の数が5〜50個、特に6〜20個の範囲にあるポリアミド類;例えばナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6/6,6共重合体、メタキシリレンアジパミド(MX6)、ナイロン6,10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン13等が挙げられる。
これらのバリヤーフイルムは、単独で又は2種以上を組合わせて使用することができる。
これらの酸素吸収剤は必要に応じて、アルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、第三リン酸塩、第二リン酸塩、有機酸塩、ハロゲン化物等の電解質からなる酸化促進剤や、さらには活性炭、活性アルミナ、活性白土のような助剤とも組み合わせて使用することができる。特に好ましい酸化促進剤としては、塩化ナトリウム、塩化カルシウム或いはこれらを組合わせたもの等が挙げられる。
還元性鉄と酸化促進剤を組合わせて使用する場合には、両者の配合割合は、合計量を100重量部として、還元性鉄99〜80重量部及び酸化促進剤1〜20重量部、特に還元性鉄98〜90重量部及び酸化促進剤2〜10重量部とすることが好ましい。
また、上記の樹脂自体が酸素吸収性を有する樹脂を、酸素吸収剤として熱可塑性樹脂中に配合してもよい。
図1〜図4は、本発明の電子レンジ調理用包装体の1例を示す模式図であり、図1(A)は電子レンジ調理前の包装体の斜視図、図1(B)は電子レンジ調理中の包装体の斜視図を表す。また、図2は包装体の平面図であり、図3は図2の突出部の部分拡大図を表す。そして、図4(A)は、ヒートシール部の内縁全周にヒンジ状の樹脂溜まりを形成する工程を説明する模式図、図4(B)はヒンジ状樹脂溜まりの拡大模式図を表す。
この例では、図3にみられるように、突出部6の根元部A1、A2よりも内側のB1、B2まで樹脂溜まり8を設け、B1CB2で表される突出部6の先端部は通常のヒートシール部として形成される。この樹脂溜まり8を突出部6の根元部A1、A2まで設け、その内側は全て通常のヒートシール部として形成することもできる。突出部6の通常のヒートシール部のシール強度は、5〜30N/15mm程度である。なお、この場合のシール強度は、突出部6の通常のヒートシール部の幅が15mmに満たない場合には、15mm幅に換算した値を意味する。
このような樹脂溜まりを設けることによって、フランジ部2と蓋体4のシール強度を、15〜70N/15mm程度に高め、無菌米飯を充填した直後のヒートシール部の剥離を防止するとともに、電子レンジ調理用包装体の落下強度、特に突出部6における落下強度を改善することができる。また、電子レンジで加熱した際に、容器内に充填した無菌米飯から発生する水蒸気等によって容器の内圧が上昇し、容器内部からヒートシール部5に剥離力が作用した場合にも、樹脂溜まり8のヒンジ効果によって剥離力が緩和され、蓋体4が剥離するのを防止することができる。
この包装体11では、容器全体の上面の形状を正方形に近い長方形に形成し、容器のコーナー部に設けるヒートシール部の突出部6の形状をやや浅いU字状乃至V字状に構成したものである。図1〜図4の包装体では、突出部6の根元は、一旦フランジ部の外縁側に近づけてから容器の内側方向に突出させたが、この例では突出部6の両側のヒートシール部5と同じ水準から容器の内側方向に突出させている〔図6(A)、(B)参照〕。また、開封部7の形状は、容器外側方向に向う浅いV字状に形成している〔図6(C)参照〕。包装体の他の構成は、図1〜図4の包装体と同様である。
この包装体21では、角型容器のコーナー部に設けるヒートシール部の突出部6の形状をW字状に形成したものである。包装体の他の構成は、図5の包装体と同様である。
この包装体31は、容器本体の断面形状が円形であるカップ状容器に無菌米飯(図示せず)を充填し、該フランジ部2に蓋体4をヒートシールして密封したものである。そして、容器のフランジ部2には、フランジ部2と蓋体4のヒートシール部5を容器の内側方向に向けてU字状乃至V字状に突出させて突出部6を形成してするとともに、この突出部6と対向する位置において、ヒートシール部5を容器外側方向に向けてV字状に突出させて、開封部7を形成している。この包装体31では、蓋体4を開封部7において外方に突出させて摘み片9を形成し、電子レンジ調理後の蓋体4の開封を容易にしたものである。
この包装体41では、フランジ部2の2箇所において、ヒートシール部5を容器の内側方向に向けてU字状乃至V字状に突出させて突出部6を形成したものである。包装体の他の構成は、図8の包装体と同様である。
容器本体や蓋体は、定法によって製造することができ、例えば、容器本体の成形方法としては、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、射出成形等を採用することができる。
(実施例1)
外層から順に、メルトインデックス(MI)0.5のポリプロピレンにチタン白顔料を添加したポリプロピレン樹脂外層(厚さ400μm)/無水マレイン酸変性ポリプロピレンからなる接着剤層(厚さ20μm)/エチレン−ビニルアルコール共重合体からなるバリヤー層(厚さ60μm)/上記と同じ接着剤層(厚さ20μm)/MI=0.5のポリプロピレン樹脂内層(厚さ400μm)からなる3種5層構成で総厚さ0.9mmの多層シートを、通常の共押出し成形により作製した。
この多層シートを使用し、通常の真空・圧空成形機により、容器外寸156mm×133mm、高さ29mm(内容積約340ml)の、図5に示す形状を有するフランジ付角形容器を成形した。この容器のフランジ部2には、容器成形時に押圧工具により、ヒートシール部の内側突出部6の先端近傍及び開封部7を除いて[図6(A)及び(C)参照]、ヒートシール部の内縁全周に小突起を形成した。
はじめに、外層材にグラビアロール等により接着剤を塗布し、温度80〜100℃の乾燥オーブン中で、溶剤を蒸発、乾燥させ、粘着状態となった接着剤層と中間層材を貼り合わせ、加熱された金属ロールとゴムロールにより圧着した後に、冷却金属ロールを通過させて巻き取る。同様の手順で、この積層体に内層材を貼り合わせ、所望の寸法に切断して蓋体を構成した。
得られた電子レンジ調理用包装体10個を、600Wの電子レンジ内で加熱調理した結果を表1に示す。また、該包装体20個を5℃で、120cmの高さから倒立及び垂直落下(各10回)させて破損の有無を確認し、破損した包装体の数を表1に示す。
図6(B)にみられるように、電子レンジ調理用包装体のヒートシール部5の内側突出部に形成する樹脂溜まり8’を、突出部6’の根元迄に留めた以外は、実施例1と同様にして容器内に無菌米飯200gを充填した電子レンジ調理用包装体を作製した。
この包装体を、実施例1と同様にして評価した結果を表1に示す。
フランジ部に小突起を形成していない容器を使用し、容器のフランジ部と蓋体を単にヒートシールすることによって、ヒートシール部の内縁に樹脂溜まりを全く設けていない電子レンジ調理用包装体を作製した。この包装体の他の構成や作製手順は、実施例1と同様である。
この包装体を、実施例1と同様にして評価した結果を表1に示す。
外層から順に、MI=0.5のポリプロピレンにチタン白顔料を添加したポリプロピレン樹脂外層(厚さ470μm)/エチレン−ビニルアルコール共重合体からなる接着剤層(厚さ20μm)/エチレン−ビニルアルコール共重合体からなるバリヤー層(60μm)/上記と同じ接着剤層(厚さ20μm)/還元性鉄及び酸化促進剤を含有するポリプロピレン樹脂からなる酸素吸収性樹脂層(厚さ200μm)/MI=0.5のポリプロピレンにチタン白顔料を添加したポリプロピレン樹脂内層(厚さ130μm)からなる4種6層構成で総厚さ0.9mmの多層シートを、通常の共押出し成形により作製した。なお、酸素吸収性樹脂層を構成する樹脂としては、ポリプロピレン樹脂に代えてポリエチレン樹脂等他のポリオレフィン樹脂を使用してもよい。
この多層シートを使用して容器を構成した以外は、実施例1と同様にして無菌米飯200gを充填した電子レンジ調理用包装体を作製した。この包装体を、実施例1と同様にして評価した結果を表1に示す。
容器を構成する多層シートとして実施例3で得られた多層シートを使用した以外は、比較例1と同様にして無菌米飯200gを充填した電子レンジ調理用包装体を作製した。この包装体を、実施例1と同様にして評価した結果を表1に示す。
また、電子レンジ加熱後、内側突出部と対向位置にある外側突出部から開封すると、蒸気が手に吹きかかることもなく容易に開封することができた。
さらに、自動的に蒸気が抜けるまで密封性を維持することができるので、蒸らし効果で米飯の食味が向上した。特に、酸素吸収機能を有する実施例3の包装体においては、米飯に対する異味、異臭の着臭が有効に抑制され、米飯のフレーバ保持性を向上させることが判明した。
また、電子レンジで加熱調理する際に、自動開口部となる内側突出部以外からも蒸気抜けが発生したり、爆発的に開口するものがあり、安全性の点でも問題があることがわかった。
また、開封部7における開封強度(開封部の外側から剥離し、測定した平均値)は、10.2N/カップであった。
2 フランジ部
3 容器本体
4 蓋体
5 ヒートシール部
6 突出部
7 開封部
8 樹脂溜まり
9 摘み片
10 シールバー
Claims (9)
- フランジ部を有する合成樹脂製の容器本体に無菌米飯を充填し、該フランジ部に蓋体をヒートシールして密封した電子レンジ調理用包装体において、ヒートシール部に容器の内側方向に向けて突出する突出部及び該突出部に対向する位置に容器外側方向に向けて突出する開封部を形成するとともに、突出部先端近傍及び開封部を除くヒートシール部の内縁全周に樹脂溜まりを設け、該樹脂溜まり部のシール強度を15〜70N/15mmとしたことを特徴とする電子レンジ調理用包装体。
- 合成樹脂製の容器本体が角型容器であり、突出部及び開封部を容器の対向するコーナー部に形成したことを特徴とする請求項1に記載の電子レンジ調理用包装体。
- 突出部の形状をU字状乃至V字状に形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子レンジ調理用包装体。
- 突出部の形状をW字状に形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子レンジ調理用包装体。
- 開封部の形状をV字状に形成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電子レンジ調理用包装体。
- ヒートシール部に形成した突出部におけるシール強度が5〜30N/15mmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電子レンジ調理用包装体。
- 容器本体のフランジ部にヒートシール部の内縁に沿って周状の微小突起を形成し、蓋体をヒートシールすることによってヒンジ状樹脂溜まりを設けたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電子レンジ調理用包装体。
- 容器本体及び/又は蓋体を酸素吸収性樹脂層を有する多層プラスチックフイルムにより構成したことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の電子レンジ調理用包装体。
- 包装体の酸素透過度が10ml/m 2 ,24hr,atm以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の電子レンジ調理用包装体。
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