JP5050648B2 - 電子レンジ調理用包装容器 - Google Patents
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しかしながら、このような方法は一般消費者にとっては手間のかかるものであるとともに、電子レンジ加熱により発生した水蒸気が直ちに包装容器外へ排出されるために、水蒸気による加熱蒸らし効果が低減し、食味が落ちるという欠点がある。
また、包装袋の周縁シール部に、電子レンジで加熱調理する時に自動的に開口する開口用シール部を設けた電子レンジ調理用包装袋も提案されている。(例えば、特許文献4、5参照)
1.合成樹脂製の容器本体のフランジ部の全周にわたって突起部を形成し、前記突起部に蓋体をヒートシールして密封する電子レンジ調理用包装容器であって、前記ヒートシール部に容器の内側方向に向かうV字状又はU字状の突出部を形成し、前記突出部のシール幅を前記突出部以外の周縁シール幅の1.2〜3倍とするとともに、前記突出部におけるヒートシール部の容器の内方側にフランジ部が溶融して形成された樹脂溜まりが存在しない電子レンジ調理用包装容器において、前記電子レンジ調理用包装容器の周縁シール部に容器の外側方向に向けて突出する開封部を形成したことを特徴とする電子レンジ調理用包装容器。
2.合成樹脂製の容器本体が角型容器であり、前記突出部及び開封部を容器のコーナー部に形成したことを特徴とする1に記載の電子レンジ調理用包装容器。
3.前記開封部の形状をV字状に形成したことを特徴とする1又は2に記載の電子レンジ調理用包装容器。
4.ヒートシール部に形成した前記突出部におけるシール強度が5〜30N/15mmであることを特徴とする1〜3のいずれかに記載の電子レンジ調理用包装容器。
このようなヒートシール性を有するプラスチック材料としては、例えば公知の低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン系不飽和カルボン酸乃至その無水物でグラフト変性されたオレフィン樹脂等のオレフィン系樹脂;比較的低融点乃至低軟化点のポリアミド乃至コポリアミド樹脂;ポリエステル乃至コポリエステル樹脂;ポリカーボネイト樹脂等が使用される。
このような熱可塑性樹脂としては、例えば結晶性ポリプロピレン、結晶性プロピレン−エチレン共重合体、結晶性ポリブテン−1、結晶性ポリ4−メチルペンテン−1、低−、中−、或いは高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、EVAケン化物、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、イオン架橋オレフィン共重合体(アイオノマー)等のポリオレフィン類;ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体等の芳香族ビニル共重合体;ポリ塩化ビニル、塩化ビニリデン樹脂等のハロゲン化ビニル重合体;ポリアクリル系樹脂;アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体の如きニトリル重合体;ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート等のポリエステル類_;6−ナイロン、12−ナイロン、メタキシリレンジアミン(MX)ナイロンのようなポリアミド類;各種ポリカーボネート;フッ素系樹脂;ポリオキシメチレン等のポリアセタール類等の熱可塑性樹脂を挙げることができる。これらの熱可塑性樹脂は単独で又は二種以上をブレンドして使用することができ、また、各種の添加剤を配合して使用してもよい。
特に好ましい酸素バリヤー性樹脂としては、エチレン含有量が20〜60モル%、特に25〜50モル%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体を、ケン化度が96モル%以上、特に99モル%以上となるようにケン化して得られる共重合体ケン化物が挙げられる。
他の好ましい酸素バリヤー性樹脂としては、炭素数100個当たりのアミド基の数が5〜50個、特に6〜20個の範囲にあるポリアミド類;例えばナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6/6,6共重合体、メタキシリレンアジパミド(MX6)、ナイロン6,10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン13等が挙げられる。
これらのバリヤーフイルムは、単独で又は2種以上を組合わせて使用することができる。
これらの酸素吸収剤は必要に応じて、アルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、第三リン酸塩、第二リン酸塩、有機酸塩、ハロゲン化物等の電解質からなる酸化促進剤や、さらには活性炭、活性アルミナ、活性白土のような助剤とも組み合わせて使用することができる。特に好ましい酸化促進剤としては、塩化ナトリウム、塩化カルシウム或いはこれらを組合わせたもの等が挙げられる。
還元性鉄と酸化促進剤を組合わせて使用する場合には、両者の配合割合は、合計量を100重量部として、還元性鉄99〜80重量部及び酸化促進剤1〜20重量部、特に還元性鉄98〜90重量部及び酸化促進剤2〜10重量部とすることが好ましい。
また、上記の樹脂自体が酸素吸収性を有する樹脂を、酸素吸収剤として熱可塑性樹脂中に配合してもよい。
図1〜図5は、本発明の電子レンジ調理用包装容器の1例を示す図であり、図1は包装容器の平面図、図2は包装容器の正面図、そして図3は包装容器のフランジ部に形成した突起部に蓋体をヒートシールする工程を説明する部分拡大模式図である。また、図4は包装容器を電子レンジで加熱調理する際の断面模式図で、(A)は図1のAA線における断面模式図を表し、(B)は同じく図1のBB線における断面模式図を表す。さらに、図5はフランジ部に形成した突起部に蓋体をヒートシールする際に、ヒートシール部の内方側に形成された樹脂溜まりに、内圧がかかる状態を説明する拡大模式図を表す。
包装容器1の1つのコーナー部には、周縁シール部7を容器の内側方向に向けてV字状に突出させることによって、内容物を充填密封した包装容器1を電子レンジで加熱調理した際に自動的に開口する突出部8を設けている。また、この突出部8と対向するコーナー部には、周縁シール部7を外側方向に向けてV字状に突出させて開封部9を形成している。
この樹脂だまり11が形成されると、電子レンジで包装容器1を加熱する際に内容物から発生した水蒸気による内圧は、図5に矢印で示したように樹脂だまり11に対して直角方向に作用するので、シール部の剥離強度が大幅に上昇する。したがって、樹脂だまり11が発生すると突出部8における自動開口性が低下する。本発明では、前記突出部8のシール幅aを突出部8以外の周縁シール部7のシール幅bよりも広くすることによって、樹脂溜まり11の形成を防止することを特徴とするものである。
この突出部8におけるシール強度は、包装容器1の流通時或いは保管時には突出部8から内容物が漏出するのを防止するとともに、電子レンジによる加熱調理時の自動開口性を確保するために、5〜30N/15mm程度とすることが好ましい。なお、この場合のシール強度は、突出部8のシール幅を15mm幅に換算した値を意味する。
この電子レンジ調理用包装容器21は、フランジ部2を有する横断面が円形のカップ型容器本体3に米飯等の食品(図示せず)を充填し、該フランジ部2に蓋体4をヒートシールして密封するものである。このフランジ部2には、対向する位置に一対の幅広部22、23が設けられており、一方の幅広部22には容器の内側方向に向かうV字状の突出部8を形成している。また、対向する幅広部23では、周縁シール部7を容器外側方向に向けてV字状に突出させて開封部9を形成している。
この電子レンジ調理用包装容器31は、図6の包装容器21において、フランジ部の対向する位置に設けた一対の幅広部22、23の両方に、周縁シール部7を容器外側方向に向けてV字状に突出させて開封部9、9を形成している。そして、開封部9、9に挟まれた周縁シール部7には、周縁シール部7の他の部分よりも幅広で容器の内側方向に向かうV字状の突出部8、8を形成している。包装容器31の他の構成は、図6の包装容器21と同様である。
この電子レンジ調理用包装容器41は、図1〜5の角型包装容器1において、対向する一対のコーナー部に、周縁シール部7の他の部分よりも幅広で容器の内側方向に向かうV字状のシール部からなる突出部8、8を形成している。また、対向する他の一対のコーナー部には、周縁シール部7を容器外側方向に向けてV字状に突出させて開封部9、9を形成している。包装容器41の他の構成は、図1〜5の包装容器1と同様である。
容器本体や蓋体は、定法によって製造することができ、例えば、容器本体の成形方法としては、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、射出成形等を採用することができる。
(実施例1)
外層から順に、メルトインデックス(MI)0.5のポリプロピレンにチタン白顔料を添加したポリプロピレン樹脂外層(厚さ310μm)/無水マレイン酸変性ポリプロピレンからなる接着剤層(厚さ20μm)/エチレンビニルアルコール共重合体からなるバリヤー層(厚さ40μm)/上記と同じ接着剤層(厚さ20μm)/MI=5のポリプロピレン樹脂内層(厚さ310μm)からなる3種5層構成で総厚さ0.7mmの多層シートを、通常の押出し成形により作製した。
この多層シートを使用し、通常の真空・圧空成形機により、容器外寸156mm×133mm、高さ29mm(内容積約340ml)の、図1に示す形状を有するフランジ付角型容器を作製した(フランジ幅:直線部8mm、コーナー部最大17mm)。
はじめに、外層材にグラビアロール等により接着剤を塗布し、温度80〜100℃の乾燥オーブン中で、溶剤を蒸発、乾燥させ、粘着状態になった接着剤層と中間層材を貼り合わせ、加熱された金属ロールとゴムロールにより圧着した後に、冷却金属ロールを通過させて巻き取る。同様の手順で、この積層体に内層材を貼り合わせ、所望の小寸法に切断して蓋体を構成した。
通常の無菌包装充填ラインを使用して、上記容器に無菌米飯200gを充填後、容器のフランジ部2に上記蓋体4を200℃、1.0秒、180Kgの条件でヒートシールして密封した。
上記実施例1において、突出部8の突起幅を1.8mmとした以外は、実施例1と同様にして図1に示す角型容器を作製し、同様の手順で容器に無菌米飯200gを充填後、密封した。
上記実施例1において、突出部8の突起幅を3.0mmとした以外は、実施例1と同様にして図1に示す角型容器を作製し、同様の手順で容器に無菌米飯200gを充填後、密封した。
上記実施例1において、突出部8の突起幅を1.0mmとした以外は、実施例1と同様にして図1に示す角型容器を作製し、同様の手順で容器に無菌米飯200gを充填後、密封した。
上記実施例1において、突出部8の突起幅aを3.5mmとした以外は、実施例1と同様にして図1に示す角型容器を作製し、同様の手順で容器に無菌米飯200gを充填後、密封した。
なお、実施例1〜3の容器について、下記のようにしてV字状突出部8を容器内側から測定したシール強度(平均値)は、5〜30N/15mmの範囲であった。一方、比較例1、2の容器のシール強度は11〜40N/15mmの範囲であり、測定時に蓋材が層間で剥離するデラミ現象がみられた。
(シール強度)
容器を容器ホルダーに固定し、シール部両側で蓋材を15mm幅に切断し、容器内側部分の蓋材を引張り試験機のチャックに固定し、300mm/分の速度で90°方向に上方に引張り最大荷重を測定した。
比較例1の突出部8の突起幅を周縁部シール部7の突起幅と同じにしたものでは、突出部8のシール部の内側に樹脂溜まりが形成されるものがあり、電子レンジ加熱試験で突出部8以外の場所から蒸気が抜け、爆発的に開口するものがあった。また、比較例2の突出部8の突起幅を周縁部シール部の突起幅の3.5倍にしたものは、突出部8のシール部に樹脂溜まりは形成されなかったが、突出部8のシール幅が広すぎて抵抗が大きくなり、突出部8から蒸気が抜けないものがあった。
そして、従来品のように蓋材を剥がしてから電子レンジ加熱したものに比べ、本発明の容器では、突出部8が剥離して蒸気が抜けるまで容器の密封性を維持することができるので、蒸らし効果で米飯の食味が向上した。
外層から順に、メルトインデックス(MI)0.5のポリプロピレンにチタン白顔料を添加したポリプロピレン樹脂外層(厚さ430μm)/無水マレイン酸変性ポリプロピレンからなる接着剤層(厚さ20μm)/エチレンビニルアルコール共重合体からなるバリヤー層(厚さ100μm)/上記と同じ接着剤層(厚さ20μm)/MI=5のポリプロピレン樹脂内層(厚さ430μm)からなる3種5層構成で総厚さ1.0mmの多層シートを、通常の押出し成形により作製した。
この多層シートを使用し、通常の真空・圧空成形機により、容器外径:140mm(把手部:165mm)、高さ45mm、フランジ幅12mm、内容積約340mlの、図6に示す形状を有する把手付丸型容器21を作製した。
実施例1と同様にして蓋材4を作製し、上記容器21にカレー200gを充填後、容器21のフランジ部2に上記蓋体4を180℃、1.3秒、160Kgの条件でヒートシールして密封した。このカレー充填容器を120℃でレトルト殺菌処理をおこなった。
上記実施例4において、突出部8の突起幅を2.5mmとした以外は、実施例4と同様にして図6に示す把手付丸型容器21を作製し、同様の手順で容器にカレー200gを充填後密封した。そして、実施例4と同様の条件でレトルト殺菌処理をおこなった。
上記実施例4において、突出部8の突起幅を3.9mmとした以外は、実施例4と同様にして図6に示す把手付丸型容器21を作製し、同様の手順で容器にカレー200gを充填後、密封した。そして、実施例4と同様の条件でレトルト殺菌処理をおこなった。
上記実施例4において、突出部8の突起幅を1.3mmとした以外は、実施例4と同様にして図6に示す把手付丸型容器21を作製し、同様の手順で容器にカレー200gを充填後密封した。そして、実施例4と同様の条件でレトルト殺菌処理をおこなった。
上記実施例4において、突出部8の突起幅を5.0mmとした以外は、実施例4と同様にして図6に示す把手付丸型容器21を作製し、同様の手順で容器にカレー200gを充填後密封した。そして、実施例4と同様の条件でレトルト殺菌処理をおこなった。
なお、実施例4〜6の容器について、V字状突出部8を容器内側から測定したシール強度(平均値)は、7〜30N/15mmの範囲にあった。一方、比較例3,4の容器については9〜43N/15mmの範囲にあり、測定時に蓋材が層間で剥離するデラミ現象がみられた。
比較例3の突出部8の突起幅を周縁部シール部と同じにしたものは、突出部8のシール部内側に樹脂溜まりが形成されるものがあり、電子レンジ加熱試験で突出部8以外の場所から内容品が吹き出すものがあった。また、比較例4の突出部8の突起幅を周縁部シール部の3.8倍にしたものは、樹脂溜まりは形成されないものの、突出部8のシール幅が広すぎて抵抗が大きくなり、突出部8から蒸気が抜けないものがあった。
2 フランジ部
3 容器本体
4 蓋体
5 突起部
6 シールヘッド
7 周縁シール部
8 突出部
9 開封部
11 樹脂溜まり
22,23 幅広部
Claims (4)
- 合成樹脂製の容器本体のフランジ部の全周にわたって突起部を形成し、前記突起部に蓋体をヒートシールして密封する電子レンジ調理用包装容器であって、前記ヒートシール部に容器の内側方向に向かうV字状又はU字状の突出部を形成し、前記突出部のシール幅を前記突出部以外の周縁シール幅の1.2〜3倍とするとともに、前記突出部におけるヒートシール部の容器の内方側にフランジ部が溶融して形成された樹脂溜まりが存在しない電子レンジ調理用包装容器において、前記電子レンジ調理用包装容器の周縁シール部に容器の外側方向に向けて突出する開封部を形成したことを特徴とする電子レンジ調理用包装容器。
- 合成樹脂製の容器本体が角型容器であり、前記突出部及び開封部を容器のコーナー部に形成したことを特徴とする請求項1に記載の電子レンジ調理用包装容器。
- 前記開封部の形状をV字状に形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子レンジ調理用包装容器。
- ヒートシール部に形成した前記突出部におけるシール強度が5〜30N/15mmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子レンジ調理用包装容器。
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