JP5223516B2 - 電子レンジ調理用包装体 - Google Patents
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Description
このような欠点を解消するために、フランジ部を有する合成樹脂製の容器内に食品類を充填し、該フランジ部に蓋体をヒートシールする際に、ヒートシール部に容器の内側方向に突出する突出部(蒸気抜きシール部)を形成した電子レンジ調理用包装体が種々提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。これらの電子レンジ調理用包装体では、電子レンジで加熱調理する際に、容器内の内圧上昇によって該突出部を自動的に開口させることにより包装体の破裂を防止している。
すなわち、本発明は次の1〜5の構成を採用することを特徴とするものである。
1.フランジ部を有する合成樹脂製の容器本体に内容物を充填し、該フランジ部に蓋体の周縁部をヒートシールして密封した電子レンジ調理用包装体において、該周縁ヒートシール部に容器の内側方向に向かう突出部を設けることによって蒸気抜きシール部を形成し、前記蒸気抜きシール部の両側部の突出開始点からフランジ部の内周縁までの距離が異なるとともに、前記蒸気抜きシール部の両側部の突出開始点から突出部先端部までの長さが異なり、且つ前記蒸気抜きシール部の両側部のシール幅が異なるものとすることにより、前記蒸気抜きシール部の形状を非対称に形成したことを特徴とする電子レンジ調理用包装体。
2.前記蒸気抜きシール部の突出部とフランジ部の内周縁の間に補助シール部を設けたことを特徴とする1に記載の電子レンジ調理用包装体。
3.前記突出部の形状をU字状乃至V字状に形成したことを特徴とする1又は2に記載の電子レンジ調理用包装体。
4.さらに、電子レンジ調理用包装体の周縁シール部に容器の外側方向に向けて突出する開封部を形成したことを特徴とする1〜3のいずれかに記載の電子レンジ調理用包装体。
5.前記開封部の形状をV字状に形成したことを特徴とする4に記載の電子レンジ調理用包装体。
本発明の電子レンジ調理用包装体の周縁シール部は、容器本体のフランジ部の全周に凸状部を設け、該凸状部に蓋体をヒートシールすることによって形成することができる。また、フランジ部に凸状部を設けずに蓋体をヒートシールすることによって、周縁シール部を形成してもよい。
1)蒸気抜きシール部に非対称の開口部が形成され、該開口部が蓋体によって塞がれ容器が変形することを確実に防止することができる。
2)調理後の包装体の外観が優れるとともに、包装体から容易に食品を取り出すことができるので、包装体の実用的価値を大幅に高めることができる。
3)電子レンジによる加熱調理時に、包装体が破裂して食品が飛散し、電子レンジ内を汚したり、人体に対してやけど等の危害を与えるのを防止することができる。
4)電子レンジ加熱により発生した水蒸気により包装体内に収納した食品の加熱蒸らし効果が得られるので、食品の食味が向上する。
このようなヒートシール性を有するプラスチック材料としては、例えば公知の低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン系不飽和カルボン酸乃至その無水物でグラフト変性されたオレフィン樹脂等のオレフィン系樹脂;比較的低融点乃至低軟化点のポリアミド乃至コポリアミド樹脂;ポリエステル乃至コポリエステル樹脂;ポリカーボネイト樹脂等が使用される。
このような熱可塑性樹脂としては、例えば結晶性ポリプロピレン、結晶性プロピレン−エチレン共重合体、結晶性ポリブテン−1、結晶性ポリ4−メチルペンテン−1、低−、中−、或いは高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、EVAケン化物、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、イオン架橋オレフィン共重合体(アイオノマー)等のポリオレフィン類;ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体等の芳香族ビニル共重合体;ポリ塩化ビニル、塩化ビニリデン樹脂等のハロゲン化ビニル重合体;ポリアクリル系樹脂;アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体の如きニトリル重合体;ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート等のポリエステル類;6−ナイロン、12−ナイロン、メタキシリレンジアミン(MX)ナイロンのようなポリアミド類;各種ポリカーボネート;フッ素系樹脂;ポリオキシメチレン等のポリアセタール類等の熱可塑性樹脂を挙げることができる。これらの熱可塑性樹脂は単独で又は二種以上をブレンドして使用することができ、また、各種の添加剤を配合して使用してもよい。
特に好ましい酸素バリヤー性樹脂としては、エチレン含有量が20〜60モル%、特に25〜50モル%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体を、ケン化度が96モル%以上、特に99モル%以上となるようにケン化して得られる共重合体ケン化物が挙げられる。
他の好ましい酸素バリヤー性樹脂としては、炭素数100個当たりのアミド基の数が5〜50個、特に6〜20個の範囲にあるポリアミド類;例えばナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6/6,6共重合体、メタキシリレンアジパミド(MX6)、ナイロン6,10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン13等が挙げられる。
これらのバリヤーフイルムは、単独で又は2種以上を組合わせて使用することができる。
これらの酸素吸収剤は必要に応じて、アルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、第三リン酸塩、第二リン酸塩、有機酸塩、ハロゲン化物等の電解質からなる酸化促進剤や、さらには活性炭、活性アルミナ、活性白土のような助剤とも組み合わせて使用することができる。特に好ましい酸化促進剤としては、塩化ナトリウム、塩化カルシウム或いはこれらを組合わせたもの等が挙げられる。
還元性鉄と酸化促進剤を組合わせて使用する場合には、両者の配合割合は、合計量を100重量部として、還元性鉄99〜80重量部及び酸化促進剤1〜20重量部、特に還元性鉄98〜90重量部及び酸化促進剤2〜10重量部とすることが好ましい。
また、上記の樹脂自体が酸素吸収性を有する樹脂を、酸素吸収剤として熱可塑性樹脂中に配合してもよい。
これら酸素吸収剤は、一般に平均粒径が50μm以下、特に30μm以下の粒径を有することが好ましい。酸素吸収剤が透明あるいは半透明性を必要とする場合には、平均粒径10μm以下、特に5μm以下の粒径を有することが好ましい。酸素吸収剤は、上記の樹脂に1乃至70重量%、特に5乃至30重量%の割合で配合することが好ましい。
図1〜図5は、本発明の電子レンジ調理用包装体を説明する為の参考図で、本発明に関連する電子レンジ調理用包装体の1例を示す図である。図1は包装体の平面図であり、図2は包装体の正面断面図である。そして、図3は包装体のフランジ部に形成するヒートシール部の突出部(蒸気抜きシール部)の部分拡大図である。また、図4は包装体を電子レンジで加熱調理する際の、図1のXX線における断面模式図を表す。さらに、図5は包装体を電子レンジで加熱調理した後に、容器内の温度の低下により容器内の圧力が減少する様子を示す断面模式図を表す。
この包装体1では、突出部7の左側の突出開始点Aからフランジ2の内周縁22上の最も近い点Dまでの距離d1と、突出部7の右側の突出開始点Bからフランジ2の内周縁22上の最も近い点Eまでの距離d2が異なるものとすることにより、蒸気抜きシール部8の形状を非対称に形成している。この例では、d1>d2としているが、d1<d2としてもよい。
従来の周縁シール部を容器の内側方向に対称形状に突出させて蒸気抜きシール部を形成した電子レンジ調理用包装体では、電子レンジ加熱により発生した水蒸気によって蒸気抜きシール部8が略対称形状に膨らんで突出部7の先端部からヒートシール部の剥離が始まり、この剥離が突出部7の先端ヒートシール部の外縁に達すると、先端ヒートシール部が部分的に対称形状に開口し、開口部から高温の水蒸気が吹き出し、内圧が低下して内容物の調理が完了する。そして、調理完了後の包装体1を電子レンジから取り出したときに、容器内の温度の低下にともなって熱膨張した水蒸気等の体積が収縮し、容器内部の圧力が減少する(図5参照)。その際に、突出部7の先端部に対称形状の開口部が形成されることから蒸気抜きシール部が蓋体によって塞がれ易く、密封された容器内部が減圧状態になり、容器が変形するという問題があった。このような容器の変形が発生すると、外観が悪くなり商品価値が低下するとともに、加熱調理した食品の取り出しが困難になるという欠点があった。
この電子レンジ調理用包装体1では容器の変形が発生することがないので、調理後の包装体1の外観が優れるとともに、包装体1から容易に食品を取り出すことができるので、包装体1の実用的価値を大幅に高めることができる。
この電子レンジ調理用包装体61では、突出部7の左側の突出開始点Aから突出部の外周部先端Cまでの幅w1と、突出部7の右側の突出開始点Bから突出部の外周部先端Cまでの幅w2を、w1<w2とすることにより、蒸気抜きシール部8の形状を非対称に形成している。なお、このw1とw2は、w1>w2とすることもできる。
また、この例では、突出部7の左側の突出開始点Aから突出部の外周部先端Cまでの長さL1と、突出部7の右側の突出開始点Bから突出部の外周部先端Cまでの長さL2を、L1<L2とし、突出部7の左側の突出開始点Aからフランジ2の内周縁22上の最も近い点Dまでの距離d1と、突出部7の右側の突出開始点Bからフランジ2の内周縁22上の最も近い点Eまでの距離d2をd1>d2としている。包装体61の他の構成は、図1の包装体1と同様である。
この電子レンジ調理用包装体71では、突出部7の左側の突出開始点Aから突出部の外周部先端Cまでの幅w1と、突出部7の右側の突出開始点Bから突出部の外周部先端Cまでの幅w2を、w1<w2とすることにより、蒸気抜きシール部8の形状を非対称に形成している。なお、このw1とw2は、w1>w2とすることもできる。
また、この例では、突出部7の左側の突出開始点Aから突出部の外周部先端Cまでの長さL1と、突出部7の右側の突出開始点Bから突出部の外周部先端Cまでの長さL2を、L1>L2とし、突出部7の左側の突出開始点Aからフランジ2の内周縁22上の最も近い点Dまでの距離d1と、突出部7の右側の突出開始点Bからフランジ2の内周縁22上の最も近い点Eまでの距離d2をd1>d2としている。包装体71の他の構成は、図1の包装体1と同様である。
この電子レンジ調理用包装体81では、周縁シール部6に容器の内方に向かう略V字状の突出部7を対称形状に設けるとともに、突出部7とフランジ部の内周縁22の間に円形スポット状の補助シール部9を設けることによって、蒸気抜きシール部8を非対称形状に形成している。包装体81の他の構成は、図1の包装体1と同様である。
この電子レンジ調理用包装体91では、図8の電子レンジ調理用包装体81において、円形スポット状の補助シール部9に代えて、突出部7の左側の突出開始点Aからフランジ部の内周縁22に向けて帯状の補助シール部9’を設けることによって、蒸気抜きシール部8を非対称形状に形成している。包装体91の他の構成は、図8の包装体81と同様である。
この電子レンジ調理用包装体101は、フランジ部2を有する角型の容器本体3に米飯等の食品(図示せず)を充填し、該フランジ部2に蓋体4をヒートシールして密封したものである。この容器のフランジ部2には、図1〜図5の容器と同様に全周にわたって凸状部(図示せず)が設けられており、この凸状部に蓋体4をヒートシールすることによって周縁シール部6が形成されている。この容器の1つのコーナー部には、図6に示した電子レンジ調理用包装体61と同様に、周縁シール部6を容器の内方に向かって略V字状に突出させた非対称形状の蒸気抜きシール部8が形成されている。また、対向するコーナー部には、周縁シール部6を容器の外方に向けてV字状に突出させることによって、開封部12を設けている。
また、フランジ部2の凸状部5によってシール部を構成する場合には、容器の成形と同時に金型で成形することができる。そして、フランジ部2は平坦にしておき、ヒートシールバーに対応する形状の突起を設けて、蓋体のヒートシール時にシール部を形成することもできる。
これらの例において、d1は突出部7の左側の突出開始点Aからフランジ2の内周縁22上の最も近い点Dまでの距離を、d2は突出部7の右側の突出開始点Bからフランジ2の内周縁22上の最も近い点Eまでの距離を表す。また、L1は突出開始点Aから外周部沿いに見た突出部先端部Cまでの長さを、L2は突出開始点Bから突出部先端部Cまでの長さL2を表す。そして、w1は突出部7の左側の突出開始点Aから突出部先端部Cまでの幅を、w2は突出部7の右側の突出開始点Bから突出部先端部Cまでの幅を表す。
外層から順に、メルトインデックス(MI)0.5のポリプロピレンにチタン白顔料を添加したポリプロピレン樹脂外層(厚さ310μm)/無水マレイン酸変性ポリプロピレンからなる接着剤層(厚さ20μm)/エチレン−ビニルアルコール共重合体からなるバリヤー層(厚さ40μm)/上記と同じ接着剤層(厚さ20μm)/MI=5のポリプロピレン樹脂内層(厚さ310μm)からなる3種5層構成で総厚さ0.7mmの多層シートを、通常の共押出し成形により作製した。
この多層シートを使用し、通常の真空・圧空成形機により、容器外寸径134mm、高さ44mm(内容積約325ml)の、図1〜3に示す形状を有するフランジ付丸形容器を作製した(フランジ幅14mm)。その際、容器本体のフランジ部全体にわたって密封シールするための凸状部5を形成し(凸状の高さ0.7mm)、図1に示すように容器の内側方向に向かうV字状突出部7と、これと対向する位置に容器の外側に向けて突出する開封部12を設けた。突出部7の寸法は、L1=L2、d1>d2(d1/d2=1.4)、w1=w2である。
一方、厚さ12μmの2軸延伸ポリエステルフイルム(外層)、厚さ15μmの2軸延伸ナイロンフイルム(中間層)、厚さ50μmのエチレン・プロピレン系複合材料からなるポリプロピレン系フイルム(内層)を使用し、各樹脂層間にポリウレタン系接着剤を介在させて、通常のドライラミネーションにより蓋材を構成する積層体を製膜し、所定の寸法に切断して蓋体を作製した。
(包装容器の作製)
無菌包装充填ラインを使用して、上記容器に無菌米飯又はカレー200gを充填後、容器のフランジ部に上記蓋体をヒートシールして密封した。周縁シール部及び突出部7のシール幅は、1.3mmである。
(密封性の評価)
無菌米飯又はカレーを充填、密封した包装容器各5個のバースト強度を、JIS Z 0238「ヒートシール軟包装袋及び半剛性容器の試験方法・容器の破裂強さ試験」に準じて測定し、平均値が20kPa以上のものを○、20kPa未満10kPa以上のものを△で表1に示した。今回の評価中、10kPaに達しないものはなかった。
各例の包装容器の測定値(平均値)は、シール強度23N/15mm、開封強度15N/カップであった。
無菌米飯又はカレーを充填、密封した包装容器各5個を出力600Wの電子レンジ内で2分間加熱調理した。加熱終了後室温に下がるまで放置し、その間の容器変形状況を目視で観察した。変形の見られなかったものを○、変形の起こったものを×で表1に示した。
(判定)
上記の性能評価試験の結果に基づいて、内容物を充填、密封した包装容器が、内容物の種類によらずに所望の性能を有するものを○、内容物の種類に制約があるものを△と判定し、表1に示した。
参考例1において、容器の内側方向に向かうV字状突出部7の形状を左右対称のV字状とした以外は、参考例1と同様にして包装容器を作製し、同様に内容物を充填、密封してその性能を評価した結果を表1に示した。この例における突出部7の寸法は、L1=L2、d1=d2、w1=w2である。
参考例1において、容器の内側方向に向かうV字状突出部7の形状を図6に示すV字状とした以外は、参考例1と同様にして包装容器を作製し、同様に内容物を充填、密封してその性能を評価した結果を表1に示した。この例における突出部7の寸法は、L1<L2(L2/L1=2.8)、d1>d2(d1/d2=1.1)、w1<w2(w2/w1=1.3で、w1の幅は1.3mm)である。
本発明の電子レンジ調理用包装体の好適な内容物としては、米飯の他に、おかゆ、リゾット、カレー、シチュー、スープ等の水分の多い食品が挙げられる。
2 フランジ部
3 容器本体
4 蓋体
5 凸状部
6 周縁シール部
7 突出部
8 蒸気抜きシール部
9、9’ 補助シール部
12 開封部
Claims (5)
- フランジ部を有する合成樹脂製の容器本体に内容物を充填し、該フランジ部に蓋体の周縁部をヒートシールして密封した電子レンジ調理用包装体において、該周縁ヒートシール部に容器の内側方向に向かう突出部を設けることによって蒸気抜きシール部を形成し、前記蒸気抜きシール部の両側部の突出開始点からフランジ部の内周縁までの距離が異なるとともに、前記蒸気抜きシール部の両側部の突出開始点から突出部先端部までの長さが異なり、且つ前記蒸気抜きシール部の両側部のシール幅が異なるものとすることにより、前記蒸気抜きシール部の形状を非対称に形成したことを特徴とする電子レンジ調理用包装体。
- 前記蒸気抜きシール部の突出部とフランジ部の内周縁の間に補助シール部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の電子レンジ調理用包装体。
- 前記突出部の形状をU字状乃至V字状に形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子レンジ調理用包装体。
- さらに、電子レンジ調理用包装体の周縁シール部に容器の外側方向に向けて突出する開封部を形成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子レンジ調理用包装体。
- 前記開封部の形状をV字状に形成したことを特徴とする請求項4に記載の電子レンジ調理用包装体。
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