JP4524822B2 - 高結晶性シリカメソ多孔体薄膜の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は結晶性の高いシリカメソ多孔体薄膜の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
多孔質材料はその大きな比表面積のために吸着剤や分離剤等として様々な分野で利用されている。多孔質材料の中でも均一なミクロ孔(直径0.1〜1nmの細孔)を有する多孔質材料としてゼオライトが知られているが、近年、界面活性剤を鋳型としてポリケイ酸塩を水中で反応させることにより、メソ孔(直径2〜50nmの細孔)を有するシリカ多孔体が得られることが報告されている(S. Inagaki et al., J. Chem. Soc., Chem. Commun.,p.680, 1993)。
【0003】
また、特開平9−194298号公報には、界面活性剤を鋳型としてテトラアルコキシシランを水中にて酸性条件で反応させ基材に塗布することにより1〜2nmの細孔径を有するシリカ多孔体薄膜が得られることが開示されている。
【0004】
シリカ多孔体薄膜に関しては、テトラアルコキシシランを用いゾル−ゲルディップコーティングにより基板上にシリカ多孔体薄膜を形成させる方法(Y. Lu et al., Nature, 389, 364-368, 1997)、及びテトラアルコキシシランを気液界面で反応させシリカ多孔体薄膜を得る方法(H. Yang et al., Nature, 381, 589-592, 1996)が報告されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術には次に述べるような問題点があった。
【0006】
すなわち、界面活性剤を鋳型としてポリケイ酸塩を水中で反応させる方法によれば、粉末状のシリカ多孔体は得られるものの薄膜化は困難であった。また、特開平9−194298号公報に開示の方法では、細孔配列方向の制御が不可能であり、また、広い面積で均一な薄膜を得ることができなかった。
【0007】
Luらの報告による方法(Y. Lu et al., Nature, 389, 364-368, 1997)においても均一な構造のシリカ多孔体薄膜を得ることができず、Yangらの報告による方法(H. Yang et al., Nature, 381, 589-592, 1996)では、基板としてナノサイズの周期性を有するマイカ劈開面を用いなければならず量産に向かないという問題があった。
【0008】
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたものであり、表面に周期性を有しない基板上でシリカメソ多孔体の薄膜形成を行った場合においても、広い面積で細孔配列の均一性を高くすることが可能な高結晶性シリカメソ多孔体薄膜の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、シリコンアルコキシドを酸性条件下で反応させ界面活性剤を加えたものをpH3以下にして安定性を高め、それを薄膜化することにより、表面に周期性を有しない基板上でシリカメソ多孔体の薄膜形成を行った場合においても、広い面積で細孔配列の均一性が高い高結晶性シリカメソ多孔体薄膜が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明の高結晶性シリカメソ多孔体薄膜の製造方法は、シリコンアルコキシドを酸性溶媒中で反応させシリコンアルコキシド部分重合体を含む液体を得る部分重合工程と、前記液体に界面活性剤を添加して、前記シリコンアルコキシド部分重合体と該界面活性剤とからなる複合体を形成せしめる複合体形成工程と、前記複合体を含む液体のpHを3以下に調整して複合体安定化物を得る安定化工程と、表面に溝を有する基板に前記複合体安定化物を含む液体を塗布して前記溝に該液体を充填し、加熱乾燥して前記複合体安定化物を反応させることにより、前記界面活性剤を含有したシリカメソ多孔体薄膜を基板上に形成せしめる薄膜形成工程とを含み、前記薄膜形成工程の前に、平行に複数並んだレジスト硬化物と、隣り合う前記レジスト硬化物の間に形成された前記溝とを有するレジストパターンを備える前記基板を得る工程を更に含むことを特徴とする方法である。
【0011】
本発明においては、前記薄膜形成工程の後に、前記界面活性剤を含有した前記シリカメソ多孔体薄膜から該界面活性剤を除去しシリカメソ多孔体薄膜を得る界面活性剤除去工程を更に含むことが好ましく、前記前記薄膜形成工程の前に前記複合体を含む液体に溶媒を添加する溶媒添加工程を更に含むことが好ましい。
【0012】
また、本発明においては、前記安定化工程における前記複合体安定化物を含む液体の粘度が10Pa・s以下であることが好ましく、前記薄膜形成工程の後に、前記レジスト硬化物を溶出させる溶出工程を更に含むことが好ましく、前記界面活性剤を除去した後における、前記シリカメソ多孔体薄膜の膜厚が1μm以下であり、且つ中心細孔直径が1〜50nmであることが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態についてさらに詳細に説明する。
【0014】
先ず、本発明の高結晶性シリカメソ多孔体薄膜の製造方法における部分重合工程を説明する。
部分重合工程においては、シリコンアルコキシドを酸性溶媒中で反応させシリコンアルコキシド部分重合体を含む液体を得る。ここで、シリコンアルコキシドとは下記一般式(1)で表されるものである。
A(4-n)−Si−(O−R)n (1)
(式中、Rは炭化水素基、Aは水素原子、ハロゲン原子、水酸基又は炭化水素基、nは1以上4以下の整数を示す。)
【0015】
上記一般式(1)におけるRの炭化水素基の種類は特に制限されず、例えば、鎖式、環式、脂環式の炭化水素を挙げることができる。この炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜5の鎖式アルキル基であり、より好ましくは、メチル基またはエチル基である。また、Aが炭化水素基である場合、その種類は特に制限されず、例えば、炭素数が1〜10のアルキル基、炭素数が1〜10のアルケニル基、フェニル基、置換フェニル基等を挙げることができる。上記一般式(1)で表されるシリコンアルコキシドは1種のみ用いてもよいが、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0016】
上記一般式(1)で表されるシリコンアルコキシドのなかでは、結晶性の良好なシリカメソ多孔体を得ることができることから、Si(OCH3)4の化学構造を有するテトラメチルオルソシリケート(TMOS)、及びSi(OC2H5)4の化学構造を有するテトラエチルオルソシリケート(TEOS)を用いることが好ましい。
【0017】
上記のシリコンアルコキシドが有するアルコキシル基(−O−R)は酸性条件下で加水分解を受け水酸基(−OH)となり、それが縮合して高分子量化する。なお、シリコンアルコキシドがアルコキシル基以外に水酸基やハロゲン原子を有している場合はこれらの官能基が加水分解反応に寄与する場合もありうる。したがって、シリコンアルコキシド部分重合体とは、加水分解反応および縮合反応によって得られる重合体であって、アルコキシル基(−O−R)及び/又は水酸基(−OH)の一部が未反応のまま残存している重合体を意味する。
【0018】
シリコンアルコキシド部分重合体は、シリコンアルコキシドを酸性溶媒(塩酸、硝酸等の水溶液又はアルコール溶液等)中で攪拌することにより得ることができる。シリコンアルコキシドのアルコキシル基の加水分解反応はpHが低い領域で起こりやすいことから、系のpHを低くすることにより部分重合を促進することができる。このとき、pHは2以下であることが好ましく、1.5以下であることがより好ましい。
【0019】
また、シリコンアルコキシド部分重合体は、三次元架橋構造を有しない線状の重合物であることが好ましい。シリコンアルコキシドのモル数をx、水のモル数をyとしたときにはx/yの値が0.3以上の場合は線状重合物が得られやすいことから、本発明の部分重合工程においてはx/yの値を0.3以上にすることが好ましく、0.5以上にすることがより好ましい。
【0020】
なお、部分重合工程における反応温度は、例えば、15〜25℃とすることができ、反応時間は30〜90分とすることができる。
【0021】
次に、本発明の高結晶性シリカメソ多孔体薄膜の製造方法における複合体形成工程を説明する。
複合体形成工程においては、上述のシリコンアルコキシド部分重合体を含む液体に界面活性剤を添加して、シリコンアルコキシド部分重合体と界面活性剤とからなる複合体を得る。
【0022】
複合体形成工程において使用可能な界面活性剤としては、陽イオン性、陰イオン性、非イオン性の界面活性剤が挙げられる。このような界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム、アルキルアンモニウム、ジアルキルジメチルアンモニウム、ベンジルアンモニウム等のアンモニウムの塩化物、臭化物、ヨウ化物、水酸化物が挙げられる。また、脂肪酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルリン酸塩等も使用可能である。
【0023】
非イオン性界面活性剤としては、疎水性成分として炭化水素基を有し、親水性成分としてポリエチレンオキサイド鎖を有するポリエチレンオキサイド系非イオン性界面活性剤が挙げられる。このような界面活性剤は、例えば、一般式CnH2n+1(OCH2CH2)mOHで表され、nが10〜30、mが1〜30であるものが好適に使用できる。
【0024】
また、ソルビタン脂肪酸エステル成分とポリエチレンオキサイド成分を有した界面活性剤を使用することもできる。このような界面活性剤としては、ポリエチレンオキサイドソルビタンモノラウリレート、ポリエチレンオキサイドソルビタンモノパルミテート、ポリエチレンオキサイドソルビタンモノステアレート等が挙げられる。
【0025】
また、界面活性剤としては、3つのポリアルキレンオキサイド鎖からなるトリブロックコポリマーも用いることができる。このような界面活性剤としては、ポリエチレンオキサイド(EO)とポリプロピレンオキサイド(PO)からなり、一般式(EO)x(PO)y(EO)xで表されるものが挙げられる。x、yはそれぞれEO、POの繰り返し数を表すが、xは5〜110、yは15〜70であることが好ましく、xは15〜20、yは50〜60であることがより好ましい。
【0026】
また、エチレンジアミンの2個の窒素原子にそれぞれ2本のポリエチレンオキサイド(EO)鎖−ポリプロピレンオキサイド(PO)鎖が結合したスターダイブロックコポリマーも使用することができる。このようなスターダイブロックコポリマーとしては、一般式((EO)x(PO)y)2NCH2CH2N((PO)y(EO)x)2で表されるものが挙げられる。ここでx、yはそれぞれEO、POの繰り返し数を表す。
【0027】
上述の界面活性剤の中では、結晶性の高いシリカメソ多孔体を得ることができることから、アルキルトリメチルアンモニウム[CnH2n+1N(CH3)3]の塩を用いることが好ましく、アルキルトリメチルアンモニム中のアルキル基の炭素数は8〜18であることが好ましい。このようなものとしては、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、デシルトリメチルアンモニウムブロマイド、オクチルトリメチルアンモニウムブロマイドが挙げられる。
【0028】
複合体形成工程においては、界面活性剤とシリコンアルコキシド部分重合体とが混合されることにより、界面活性剤はシリコンアルコキシド部分重合体の分子間に入り込み、分子間でミセルを形成する。したがって、複合体形成工程で得られる複合体は、シリコンアルコキシド部分重合体中に複数の界面活性剤ミセルが取り込まれたものである。
【0029】
界面活性剤のミセル内部にはシリコンアルコキシド部分重合体が入り込まないため、ミセルが形成される部分は最終生成物であるシリカメソ多孔体薄膜における細孔部分となる。したがって、界面活性剤は細孔形成のためのテンプレートして機能し、例えば、界面活性剤の分子鎖長を変化させることにより、シリカメソ多孔体薄膜の細孔径を制御することができる。
【0030】
シリコンアルコキシド部分重合体と界面活性剤のモル比は、結晶性の高いシリカメソ多孔体が得られることから、シリコン1モルに対して後者0.05〜0.2モルであることが好ましい。また、複合体形成工程は、例えば、10〜30℃において30〜90分の攪拌を行うことにより行うことができる。
【0031】
次に、本発明の高結晶性シリカメソ多孔体薄膜の製造方法における安定化工程を説明する。
安定化工程においては、複合体形成工程において得られた複合体を含む液体のpHを3以下にして複合体安定化物を得る。複合体安定化物は、複合体を含む液体に酸性溶媒(塩酸、硝酸等の水溶液又はアルコール溶液等)を加えることにより得ることができるが、酸性溶媒を加えた液体のpHは2以下であることが好ましく、1.5以下であることがより好ましい。
【0032】
複合体形成工程で得られた複合体は、シリコンアルコキシド部分重合体を含有し、この部分重合体はアルコキシル基及び/又は水酸基を有している。複合体形成工程は酸性条件下で行われるので、複合体中のシリコンアルコキシド部分重合体が有するアルコキシル基のほとんどは水酸基に変換されていると考えられる。複合体形成工程における界面活性剤の添加により、多くの場合、系のpHが上昇し中性領域に近づくが、水酸基の縮合反応は中性領域で促進されるため、水酸基を有するシリコンアルコキシド部分重合体は縮合反応を起こしやすくなり、この結果溶液の粘度が上昇しやすくなる。
【0033】
安定化工程では、pHを3以下にすることによってこの縮合反応を抑制し、シリコンアルコキシド部分重合体を含む液体の粘度上昇を抑えることができる。このために薄膜化が可能になる。また、薄膜化途中に粘度が変化することがなくなり、より均一な薄膜が容易に得られ、最終生成物であるシリカメソ多孔体薄膜の結晶性が向上し細孔配列の均一性も上昇する。
【0034】
安定化工程で得られる複合体安定化物を含む液体の粘度は、10Pa・s以下であることが好ましく、5Pa・s以下であることが更に好ましい。複合体安定化物を含む液体の粘度が10Pa・sを超える場合は、薄膜化が困難になる傾向にあり、また、縮合反応が進行中であることが考えられるため、得られるシリカメソ多孔体薄膜の細孔配列の均一性が劣る傾向にある。
【0035】
安定化工程で得られる複合体安定化物の組成により、得られるシリカメソ多孔体薄膜の結晶構造を制御することができる。例えば、シリコンアルコキシドとしてテトラオルソシリケートを用い、界面活性剤としてアルキルトリメチルアンモニウムクロライドを用いた場合においては、テトラオルソシリケートのモル数を1としたときに、アルキルトリメチルアンモニウムクロライドのモル数を0.04〜0.1にすることにより結晶構造をヘキサゴナルとすることが容易となる。一方で、テトラオルソシリケートのモル数を1としたときに、アルキルトリメチルアンモニウムクロライドのモル数を0.1〜0.19にすることにより結晶構造をキュービックとすることが容易となる。
【0036】
次に、本発明の高結晶性シリカメソ多孔体薄膜の製造方法における薄膜形成工程を説明する。
薄膜形成工程においては、安定化工程で得られた複合体安定化物を含む液体を薄膜化するが、その方法には特に制限はない。例えば、複合体安定化物を含む液体を基板上に塗布することによって薄膜化が可能となる。基板としては複合体安定化物を含む液体が塗布可能なものであれば、形状や材質には特に制限はなく、例えば、金属、樹脂等からなる板状成型物やフィルム等が挙げられる。基板の表面には、ある一定の周期性をもって溝や突起物などが形成されていてもよく、平坦であってもよい。
【0037】
複合体安定化物を含む液体を基板に塗布する場合は、各種のコーティング方法が採用可能である。例えば、バーコーター、ロールコーター、グラビアコーター等を用いて塗布することができる。また、ディップコーティング、スピンコーティング、スプレーコーティング等も可能である。
【0038】
複合体安定化物を含む液体の塗布厚は、その濃度により適宜選択可能である。塗布後の加熱乾燥を効率的に行うために、塗布厚は薄い方が好ましく、例えば、未乾燥状態(複合体安定化物を含む液体の状態)で10μm以下、乾燥状態(複合体安定化物を含む液体から液体を除いた状態)で1μm以下とすることができる。
【0039】
基板に塗布する等の方法により薄膜化した後、得られた薄膜を加熱乾燥して複合体安定化物を反応させることにより、界面活性剤を含有したシリカメソ多孔体薄膜を形成させる。安定化工程においては、pHを3以下にすることによりシリコンアルコキシド部分重合体が有する水酸基の縮合反応を抑制したが、加熱乾燥時には、例えば、70〜150℃、より好ましくは100〜120℃の加熱を行い、シリコンアルコキシド部分重合体の縮合反応を進めて三次元的な架橋構造を形成させる。この結果、界面活性剤を含有したシリカメソ多孔体薄膜が得られる。
【0040】
加熱乾燥の時間は、界面活性剤を含有したシリカメソ多孔体薄膜の結晶性を高めることが可能であることから、短い方が好ましい。加熱乾燥時間としては、例えば、20〜80分にすることができる。
【0041】
薄膜形成工程において得られる、界面活性剤を含有したシリカメソ多孔体薄膜の膜厚は1μm以下であることが好ましく、0.1〜0.5μmであることがより好ましい。膜厚が1μmを超す場合はシリカメソ多孔体薄膜の細孔配列の均一性が悪くなる傾向にある。しかしながら、1μm以下の膜厚のシリカメソ多孔体薄膜を作製した後に、再度複合体安定化物を含む液体の塗布を行い加熱乾燥することにより、細孔配列の均一性の高いシリカメソ多孔体薄膜を積層し合計で膜厚を1μm以上にすることができる。
【0042】
界面活性剤を含有したシリカメソ多孔体薄膜の中心細孔直径は、高い結晶性及び適度な比表面積を有した薄膜が得られることから、1〜50nmであることが好ましい。中心細孔直径は、1〜30nmであることがより好ましく、1〜10nmであることが更に好ましい。ここで、中心細孔直径とは、細孔容積(V)を細孔直径(D)で微分した値(dV/dD)を細孔直径(D)に対してプロットした曲線(細孔径分布曲線)の最大ピークにおける細孔直径である。
【0043】
なお、細孔径分布曲線は、次に述べる方法により求めることができる。すなわち、シリカメソ多孔体薄膜を液体窒素温度(−196℃)に冷却して窒素ガスを導入し、定容量法あるいは重量法によりその吸着量を求め、次いで、導入する窒素ガスの圧力を徐々に増加させ、各平衡圧に対する窒素ガスの吸着量をプロットし、吸着等温線を得る。この吸着等温線を用い、Cranston-Inklay法、Pollimore-Heal法、BJH法等の計算法により細孔径分布曲線を求めることができる。
【0044】
本発明においては、薄膜形成工程の後に、界面活性剤を含有したシリカメソ多孔体薄膜から界面活性剤を除去しシリカメソ多孔体薄膜を得る界面活性剤除去工程を更に含むことが好ましい。
【0045】
界面活性剤を除去する方法は、特に制限はないが、例えば、焼成による方法や水やアルコール等の溶媒で処理する方法を用いることができる。
【0046】
焼成による方法においては、界面活性剤を含有したシリカメソ多孔体薄膜を300〜1000℃、好ましくは400〜700℃で加熱する。加熱時間は30分程度でもよいが、完全に界面活性剤成分を除去するには1時間以上加熱することが好ましい。焼成は空気中で行うことが可能であるが、多量の燃焼ガスが発生するため、窒素等の不活性ガスを導入して行ってもよい。
【0047】
溶媒を用いて界面活性剤を含有したシリカメソ多孔体薄膜から界面活性剤を除去する場合は、例えば、界面活性剤の溶解性の高い溶媒中に界面活性剤を含有したシリカメソ多孔体薄膜を浸漬する。溶媒としては、水、エタノール、メタノール、アセトン等を使用することができる。
【0048】
陽イオン性の界面活性剤を用いた場合は、少量の塩酸を添加したエタノールあるいは水中に界面活性剤を含有したシリカメソ多孔体薄膜を浸漬し、50〜70℃で加熱することができる。これにより、陽イオン界面活性剤がプロトンによりイオン交換され抽出される。陰イオン性の界面活性剤を用いた場合は、陰イオンを添加した溶媒中で界面活性剤を抽出することができる。また、非イオン性の界面活性剤を用いた場合は、溶媒のみで抽出することが可能である。なお、抽出時に超音波を印加することが好ましい。
【0049】
界面活性剤が除去されたシリカメソ多孔体薄膜の膜厚は、1μm以下であることが好ましく、0.1〜0.5μmであることがより好ましい。膜厚が1μmを超す場合はシリカメソ多孔体薄膜の細孔配列の均一性が悪くなる傾向にある。しかしながら、上述のように複合体安定化物を含む液体の塗布を複数回行うことによって、合計で1μm以上の膜厚のシリカメソ多孔体薄膜を得ることが可能である。
【0050】
界面活性剤が除去されたシリカメソ多孔体薄膜の中心細孔直径は、高い結晶性及び適度な比表面積を有した薄膜が得られることから、1〜50nmであることが好ましい。中心細孔直径は、1〜30nmであることがより好ましく、1〜10nmであることが更に好ましい。なお、中心細孔直径は上述したような方法により求めることができる。
【0051】
本発明においては、薄膜形成工程の前に複合体を含む液体に溶媒を添加する溶媒添加工程を更に含むことが好ましい。溶媒を添加することにより、複合体を含む液体の粘度や固形分が低下するため、薄膜化したときに得られる膜厚を薄くすることができる。また、薄膜化途中に液体の粘度変化を少なくすることができ、得られるシリカメソ多孔体薄膜の細孔配列の均一性を向上させることができる。なお、溶媒添加工程は、複合体形成工程と安定化工程の間に行ってもよく、安定化工程と薄膜形成工程の間に行ってもよい。また、安定化工程と同時に行うことも可能である。
【0052】
溶媒添加工程において、複合体を含む液体に添加する溶媒としては、添加後の液体のpHが3を超さないようなものであればよく特に制限はないが、例えば、水やアルコールが挙げられる。アルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等を用いることができる。
【0053】
溶媒添加工程において、複合体を含む液体に添加する溶媒の量は特に制限されないが、添加後の液体の粘度が10Pa・s以下になるような量であることが好ましく、5Pa・s以下となるような量であることが更に好ましい。
【0054】
本発明の製造方法により得られる、界面活性剤を含有したシリカメソ多孔体薄膜および界面活性剤が除去されたシリカメソ多孔体薄膜のX線回折パターンを測定したとき、そのX線回折パターンにおいて1nm以上のd値に相当する回折角度に1本以上のピークを有することが好ましい。X線回折ピークはそのピーク角度に相当するd値の周期構造が試料中にあることを意味する。したがって、1nm以上のd値に相当する回折角度に1本以上のピークがあることは、細孔が1nm以上の間隔で規則的に配列していることを意味する。
【0055】
以上説明したように、本発明においてはシリコンアルコキシドを酸性溶媒中で部分重合させ、界面活性剤と混合した後、pHを3以下にしてシリコンアルコキシド部分重合体の縮合反応を抑えつつ薄膜化することから、低粘度で薄膜化することが可能となる。この結果、得られるシリカメソ多孔体薄膜の膜厚を非常に小さくすることができる。また、縮合反応を抑えつつ薄膜化が可能であるから、薄膜化中にシリコンアルコキシド部分重合体を含む液体の粘度変化が少なくなり、均一に薄膜化できる。上述した従来技術によれば、低粘度化及び/又は粘度変化の防止が困難であったのに対し、本発明においてはこれらが可能となるため、得られるシリカメソ多孔体薄膜の結晶性を高くすることができ、広い範囲で細孔配列の均一性を高くすることができる。また、膜の厚さ方向における均一性も向上させることができる。
【0056】
したがって、本発明の方法により得られたシリカメソ多孔体薄膜は様々な用途に利用可能である。界面活性剤を含有するシリカメソ多孔体薄膜においては、均一な細孔配列及び/又は界面活性剤の特性を活用することが可能であり、例えば、シリカメソ多孔体薄膜中に特定の化学物質と選択的に結合するような官能基を有した界面活性剤を含有させて、その選択結合性を利用して高性能の吸着剤やセンサー等として使用することができる。
【0057】
また、界面活性剤が除去されたシリカメソ多孔体薄膜においては、その細孔配列の均一性を利用して、スイッチングデバイス、センサー、LSI用低誘電率層間絶縁膜、量子ドット、量子細線形成のホスト材料、面状の触媒用担体、吸着剤、分離材等として使用することができる。
【0058】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0059】
(実施例1)
100mLのビーカーに15.22g(0.1mol)のテトラメチルオルソシリケート(Si(OCH3)4、以下TMOSと称す)を秤りとり、水3.6mL(0.2mol)と2mol/LのHClを100μL加えた。室温で1時間攪拌した後、界面活性剤であるオクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド3.48g(0.01mol)を溶解した。さらに2規定塩酸0.2mL及び水50mLを加えpHを1.5にしてコーティング溶液とした。
【0060】
一方、(111)面のシリコンウェハーを洗浄して、ポジ型レジストであるシブレイ社製S1400−22をスピンコートした。この時、回転数は1段目1000rpm×10秒、2段目5000rpm×30秒とした。これを、80℃に保ったクリーンオーブン中で30分乾燥処理した。引き続いてCannon社製DeepUVアライナを用いてコンタクトマスク法による露光処理を行った。加工パターンとして幅3μmのストライプパターンが250μm間隔で並んだマスクを用いた。なお、マスクはタングステン蒸着のものであり、露光処理の最小加工寸法は0.5μmであった。
【0061】
露光量1.8で露光した後、現像前処理としてモノクロロベンゼンによるレジスト表面硬化処理を10分間行った。この処理によりレジスト最表面のみを重合進行させ硬化することで、この後に行う現像時の表面解像度低下を防ぎ同時に生成するレジストパターン断面形状を逆台形とした。この結果、図1に示すように逆台形の断面を有した棒状のレジスト硬化物2がシリコンウェハー3上において平行に並んだ構造の基板1が得られた。
【0062】
上記のコーティング溶液を、ディップコーティング法により5〜20mm/分の引き上げ速度で基板1上に塗布し塗布物を得た。この結果、コーティング溶液は、棒状のレジスト硬化物2の間に形成された溝の底面に浅く充填された。次いで、この塗布物を100℃にて1時間加熱乾燥させ、界面活性剤を含有したシリカメソ多孔体薄膜を得た。加熱乾燥時の収縮のため、シリカメソ多孔体薄膜とレジスト硬化物2の間に空隙が生じた。この後、シリカメソ多孔体薄膜が形成された基板1をアセトン中に浸漬し、超音波を印加したところレジスト硬化物2が溶出し、不用部をリフトオフした。この結果得られたものを500℃で4時間焼成し、細孔内の界面活性剤を除去し、図2に示すような、シリコンウェハー3上にシリカメソ多孔体薄膜5が平行に配列した構造の成型物4を得た。なお、シリカメソ多孔体薄膜の膜厚は0.3μmであった。
【0063】
(実施例2)
オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライドの量を、5.67g(0.016mol)とした他は、実施例1と同様にしてpH1.5のコーティング液を得た。これを用いて、実施例1にて得られたものと同様の成型物を得た。なお、シリカメソ多孔体薄膜の膜厚は0.3μmであった。
【0064】
実施例1で得られたシリカメソ多孔体薄膜の焼成前及び焼成後のX線回折パターンを図3に示す。また、実施例1で得られたシリカメソ多孔体薄膜の走査型電子顕微鏡写真を図4に示す。図3及び図4より実施例1で得られたシリカメソ多孔体薄膜の結晶構造はヘキサゴナルであることがわかった。また、このシリカメソ多孔体薄膜の細孔は六角柱状に形成されており、これが基板にほぼ平行に規則的に配列し、薄膜表面には細孔の開口部がほとんど存在しないことがわかった。
【0065】
実施例2で得られたシリカメソ多孔体薄膜の焼成前のX線回折パターンを図5に示す。また、実施例2で得られたシリカメソ多孔体薄膜の走査型電子顕微鏡写真を図6に示す。図5及び図6より実施例2で得られたシリカメソ多孔体薄膜の結晶構造はキュービックであることがわかった。また、このシリカメソ多孔体薄膜の表面には細孔の開口部が規則的に配列していることがわかった。
【0066】
実施例1及び2で得られたシリカメソ多孔体薄膜の窒素吸着等温線を図7に示す。図8には実施例1及び2で得られたシリカメソ多孔体薄膜の細孔径分布曲線を示す。図8より実施例1で得られたシリカメソ多孔体薄膜の中心細孔直径は2.8nmであり、実施例2で得られたシリカメソ多孔体薄膜の中心細孔直径は2.9nmであることがわかった。
【0067】
実施例1及び実施例2で作成した薄膜の表面濡れ性の違いを明らかにするため、水の接触角を測定した。この結果を表1に示す。表1に示した結果から、表面形態に対応して表面に開孔を有するキュービック膜(実施例2で得られた、結晶構造がキュービックであるシリカメソ多孔体薄膜)では水の接触角がほとんどゼロであることがわかった。これは、水の詰まった細孔の開口部が均一に分布しているためと考えられる。これに対して、ヘキサゴナル膜(実施例1で得られた、結晶構造がヘキサゴナルであるシリカメソ多孔体薄膜)は通常のガラスと変わらない値を示した。以上のことより、キュービック膜はきわめて高い親水性を有する表面処理法の一つとして利用可能であることが示された。また、この特徴により、透明防曇膜として利用が可能である。
【0068】
【表1】
【0069】
(比較例1)
100mLのビーカーに15.22g(0.1mol)のTMOSを秤りとり、水3.6mL(0.2mol)と2mol/LのHClを100μL加えた。室温で1時間攪拌した後、界面活性剤であるオクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド3.48g(0.01mol)を溶解した。これに2規定塩酸及び水を加えることなくコーティング溶液として用いた。
【0070】
ディップコーティング法により、5〜20mm/分の引き上げ速度で実施例1及び2で用いたものと同じ基板1上にこのコーティング溶液を塗布し塗布物を得た。この塗布物を100℃にて1時間乾燥させたところ、乾燥途中に収縮によるクラックが膜に生じ、不連続膜となった。また、膜厚は2μm以上となった。X線回折パターンおよび透過型電子顕微鏡(TEM)観察により、実施例1とほぼ同様の構造の細孔が得られていることがわかったが、結晶性は実施例1のものより劣っており、耐熱性が約500℃まで低下した。
【0071】
(参考例3)
100mLのビーカーに15.22g(0.1mol)のTMOSを秤りとり、水3.6mL(0.2mol)と2mol/LのHClを100μL加えた。室温で1時間攪拌した後、界面活性剤であるオクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド3.48g(0.01mol)を溶解した。さらに2規定塩酸0.1mL及び水50mLを加えpHを1.5にしてコーティング溶液とした。
【0072】
ステンレスマスクを用いたDCスパッタリング法により、図9に示すような電極6を作製した。電極6は、アルミナ基板8上に白金の櫛形電極7が形成されたものである。スパッタリングの雰囲気はアルゴン(5×10-3Torr)とした、アルミナ基板8の幅、長さ、厚さは、それぞれ3mm、16mm、0.6mmであった。また、白金の櫛形電極7の厚さは約1μm、電極間隔は200μmとした。スパッタリングの後、1000℃にて1時間の熱処理を施した。次いで、櫛形電極7のパッド部に白金線を熱圧着してリード線を取り出しセンサチップとした。
【0073】
ディップコーティング法により、センサチップの櫛形電極部に上記のコーティング溶液を塗布し塗布物を得た。このとき、引き上げ速度は20mm/分とした。塗布物を100℃において1時間加熱乾燥し、界面活性剤を含有したシリカメソ多孔体薄膜を得た後に、550℃において4時間焼成を行い細孔内の界面活性剤が除去されたシリカメソ多孔体薄膜を得た。なお、最終的に得られたシリカメソ多孔体薄膜の膜厚は0.5μmであった。
【0074】
(比較例2)
界面活性剤であるオクタデシルトリメチルアンモニウムクロライドを加えなかった他は参考例3と同様にしてコーティング溶液を得、更に参考例3と同様にしてシリカ薄膜を有するセンサチップを得た。なお、このシリカ薄膜の膜厚は0.3μmであった。
【0075】
参考例3及び比較例2で得られたセンサチップについて、25℃の相対湿度を0〜100%まで変化させたときのインピーダンス変化を測定した。相対湿度とインピーダンスの関係を図10に示す。図10より、シリカメソ多孔体薄膜が形成された参考例3によるセンサチップは、相対湿度が50%付近でインピーダンスが急変する特性を示したが、一方で、比較例2によるセンサチップは相対湿度が80%以上でインピーダンスが多少小さくなったものの大きな変化はみられなかった。
【0076】
この結果から、参考例3で得られたセンサチップを用い、インピーダンスが108Ωになるように制御することにより、相対湿度を50%に保つことができることがわかった。また、参考例3で得られたセンサチップを用い相対湿度を0から70%、70%から0%へと変化させたときの応答性を図11に示す。図11の結果から、相対湿度を0から70%に変化させたときも、70%から0%へ変化させたときも数分以内でインピーダンスの急変が生じることから、応答性が良好であることがわかった。
【0077】
(参考例4)
オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライドに代えて、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド3.20g(0.1mol)を加えた他は参考例3と同様にしてコーティング溶液を得、更に参考例3と同様にしてシリカメソ多孔体薄膜を有するセンサチップを得た。なお、このシリカメソ多孔体薄膜の膜厚は0.4μmであった。
【0078】
参考例4で得られたセンサチップについて、25℃の相対湿度を0〜100%まで変化させたときのインピーダンス変化を測定した。相対湿度とインピーダンスの関係を図12に示す。なお、図12には界面活性剤としてオクタデシルトリメチルアンモニウムクロライドを用いた参考例3の結果も併せて示した。図12から、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライドを用いて得られたシリカメソ多孔体薄膜を有するセンサチップは相対湿度40%付近でインピーダンスが急変する特性を示すことがわかった。なお、界面活性剤としてヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライドを用いた場合は、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライドを用いた場合に比べて、低い相対湿度でインピーダンスが急変することがわかった。
【0079】
ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライドとオクタデシルトリメチルアンモニウムクロライドではアルキル基の鎖長が異なっているため、生成したシリカメソ多孔体薄膜の細孔の径が異なっている。したがって、図12の結果から、シリカメソ多孔体薄膜の細孔径を変化させることで、センサチップの特性を変化させることが可能であることがわかった。
【0080】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の高結晶性シリカメソ多孔体薄膜の製造方法により、表面に周期性を有しない基板上でシリカメソ多孔体の薄膜形成を行った場合においても、広い面積で細孔配列の均一性の高い高結晶性シリカメソ多孔体薄膜を得ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1において用いられた基板の斜視図である。
【図2】 実施例1において得られたシリカメソ多孔体薄膜を有する成型物の斜視図である。
【図3】 実施例1において得られたシリカメソ多孔体薄膜の焼成前及び焼成後のX線回折パターンを示す図である。
【図4】 実施例1において得られたシリカメソ多孔体薄膜の走査型電子顕微鏡写真を示す図である。
【図5】 実施例2において得られたシリカメソ多孔体薄膜の焼成前のX線回折パターンを示す図である。
【図6】 実施例2において得られたシリカメソ多孔体薄膜の走査型電子顕微鏡写真を示す図である。
【図7】 実施例1及び2において得られたシリカメソ多孔体薄膜の窒素吸着等温線を示す図である。
【図8】 実施例1及び2において得られたシリカメソ多孔体薄膜の細孔径分布曲線を示す図である。
【図9】 参考例3において用いられた電極を示す図である。
【図10】 参考例3及び比較例2において得られたセンサチップの相対湿度とインピーダンスの関係を示す図である。
【図11】 参考例3において得られたセンサチップの相対湿度変化に対する応答性を示す図である。
【図12】 参考例3及び参考例4において得られたセンサチップの相対湿度とインピーダンスの関係を示す図である。
【符号の説明】
1…基板、2…レジスト硬化物、3…シリコンウェハー、4…成型物、5…シリカメソ多孔体薄膜、6…電極、7…櫛形電極、8…アルミナ基板。
Claims (6)
- シリコンアルコキシドを酸性溶媒中で反応させシリコンアルコキシド部分重合体を含む液体を得る部分重合工程と、
前記液体に界面活性剤を添加して、前記シリコンアルコキシド部分重合体と該界面活性剤とからなる複合体を形成せしめる複合体形成工程と、
前記複合体を含む液体のpHを3以下に調整して複合体安定化物を得る安定化工程と、
表面に溝を有する基板に前記複合体安定化物を含む液体を塗布して前記溝に該液体を充填し、加熱乾燥して前記複合体安定化物を反応させることにより、前記界面活性剤を含有したシリカメソ多孔体薄膜を基板上に形成せしめる薄膜形成工程と、
を含み、
前記薄膜形成工程の前に、平行に複数並んだレジスト硬化物と、隣り合う前記レジスト硬化物の間に形成された前記溝とを有するレジストパターンを備える前記基板を得る工程を更に含むことを特徴とする高結晶性シリカメソ多孔体薄膜の製造方法。 - 前記薄膜形成工程の後に、前記界面活性剤を含有した前記シリカメソ多孔体薄膜から該界面活性剤を除去しシリカメソ多孔体薄膜を得る界面活性剤除去工程を更に含むことを特徴とする請求項1記載の高結晶性シリカメソ多孔体薄膜の製造方法。
- 前記薄膜形成工程の前に前記複合体を含む液体に溶媒を添加する溶媒添加工程を更に含むことを特徴とする請求項1または2記載の高結晶性シリカメソ多孔体薄膜の製造方法。
- 前記安定化工程における前記複合体安定化物を含む液体の粘度が10Pa・s以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の高結晶性シリカメソ多孔体薄膜の製造方法。
- 前記薄膜形成工程の後に、前記レジスト硬化物を溶出させる溶出工程を更に含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の高結晶性シリカメソ多孔体薄膜の製造方法。
- 前記界面活性剤を除去した後における、前記シリカメソ多孔体薄膜の膜厚が1μm以下であり、且つ中心細孔直径が1〜50nmであることを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載の高結晶性シリカメソ多孔体薄膜の製造方法。
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