JP4251927B2 - 多孔性シリカ膜の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面平滑性に極めて優れた多孔性シリカ膜の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近では、将来、より微細化するLSIの配線密度によって電気信号の伝達遅延が問題となっており、その絶縁膜としてより低い誘電率を特徴とする多孔質膜が注目されている。また、半導体材料だけではなく、低屈折率であることを特徴とした多孔質膜として、低反射膜等といった光学材料としての可能性も持っている。こうした多孔質膜の素材として、シリカ系は有機系とは異なり、極めて優れた耐熱性や軽量といった特性を有する事から、シリカ系多孔質膜の製造技術は今後、非常に重要な位置を占めると言える。
【0003】
しかしながら、上記のような用途に於いては、材料の機械強度は勿論のこと、透明電極層などを積層していく上で、材料の平滑性も同時に必要とされる。
【0004】
多孔性シリカとして代表的なものにゾル−ゲル反応により製造されるシリカエアロゲルが挙げられる。ここでゾル−ゲル反応とは、ゾルと呼ばれる粒子が液体に分散したコロイド状のものを中間体として固体状のゲルに変化させる反応である。シリカの場合は、例えばアルコキシシラン化合物を原料とすると、その加水分解および脱水縮合反応により得られる3次元架橋構造体の粒子が溶媒に分散したものがゾルであり、さらに粒子が加水分解及び縮合反応をおこない溶媒を含んだ固体ネットワークを形成した状態がゲルである。そしてシリカ中の溶媒を超臨界状態にして除去する点が前記シリカエアロゲルの特徴である。この方法は非常に高い多孔性を提供できるが、膜の表面粗さだけでなく、機械的特性、膜厚の制御、経済性等、いくつかの問題を抱えている。
【0005】
多孔性シリカの他の一例である、シリカキセロゲルの薄膜の形成例として、ゾルであるシリカ前駆体を塗布液とする場合に、調製時の溶液中にグリセロールなどの特定の溶媒を含有させる方法がある。これによって、その後のゲル化や溶媒除去を経て得られるシリカキセロゲルの孔径および孔径分布を制御し、多孔体の機械的強度を向上させようとする方法が開示されている(例えば特許文献1,2参照)。しかし、この例では、高沸点溶媒が溶媒除去によって取り切れておらず、膜中の不純物の問題も発生する、さらに、乾燥時に膜の収縮が発生し、十分な表面平滑性や機械強度が得られないという問題も生じている。
【0006】
さらに最近では有機ポリマーを空孔の鋳型に用いる方法も盛んに提案されている。例えば、アルコキシシランのゾル−ゲル反応を特定の有機ポリマーを共存させて行い、一旦シリカゲル/有機ポリマー複合体を製造し、その後で有機ポリマーを除去して、均一な孔径を有する多孔性シリカを得る方法が開示されている(例えば特許文献3参照)。この方法は添加する有機ポリマーによって、細孔径、空孔率を制御できるという利点はあるが、これら有機ポリマーを高温で焼成除去する必要があり、その際に、膜の収縮が発生し、上述同様、十分な表面平滑性や機械強度が得られないという課題がある。
【0007】
一方、平滑性に富んだシリカ系材料も知られているが(例えば特許文献4参照)、多孔性に乏しく上記等の用途には適用できない。また、そうしたシリカ材料に多孔性を加えると、表面に平坦部と凹部ができてしまい、さらに十分な平滑性も多孔性も得られない(例えば特許文献5参照)。
【0008】
上述したいずれの従来法も、光学材料や半導体材料に於いて必要とされる表面平滑性と多孔性を両立する材料を提供できず、また、工業的生産性、製造コストの面においても、未だ十分に満足のゆくものではなかった。
【0009】
【特許文献1】
米国特許第5807607号公報
【特許文献2】
米国特許第5900879号公報
【特許文献3】
特開平4−285081号公報
【特許文献4】
WO99/02853
【特許文献5】
特開平9−314715号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、細孔特性を有しつつ、かつ従来にない極めて平滑な表面性を有する多孔性シリカ膜の製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の問題を解決すべく、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、ナノメーターサイズの空孔を有し、半導体材料や光学材料用途に有用な多孔性を有する多孔性シリカ膜が、従来にない極めて平滑な表面性を有することで、積層工程の容易性、防汚性、機械強度に優れた上記材料が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0012】
上記目的を達成するための本発明の多孔性シリカ膜の製造方法は、アルコキシシラン類、有機溶媒、水、及び触媒を含有する原料液を調製する工程、該原料液を基板上に塗布し一次膜を形成する工程、該一次膜を高分子量化して中間体膜を形成する工程、該中間体膜から有機溶媒を除去して多孔性シリカ膜を形成する工程、及び該多孔性シリカ膜を乾燥する工程、からなる多孔性シリカ膜の製造方法において、アルコキシシラン類がテトラメトキシシランのオリゴマーであり、触媒が金属キレート化合物であることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、得られる多孔性シリカ膜は、空孔径0.5〜100nmの空孔構造にすることで、空隙率35%以上においても半導体材料や光学材料などの用途に十分な機械強度を得ることができ、かつ空孔は空気で満たされているために透明な材料を提供することができる。特に、将来的に注目されている低誘電率シリカ材料においては、縮小化していくLSI材料に伴い、多孔質化による低誘電率化だけではなく、要求される細孔径もナノメートルサイズが必要となっている。したがって、高い多孔性に加え、上記の小さい空孔サイズは極めて有効である。
【0014】
さらに、本発明の多孔性シリカ膜の製造方法により得られる多孔性シリカ膜は、表面粗さRa=10nm以下であることで、半導体材料や光学材料などの用途において発生する積層構造を容易にすることができる。例えば、本発明により得られる多孔性シリカ膜上にITOなどの透明電極層を積層しても、突起や陥没が生じることを防ぎ、透明電極層の性能を損なうことはほとんどない。
【0015】
本発明の多孔性シリカ膜の製造方法により得られる多孔性シリカ膜において、有する空孔は連続的につながった連通孔であることが好ましい。この発明により機械強度に優れた多孔性シリカ膜を提供する事ができる。
さらに、上述の用途に於ける環境安定性の点において、本発明の多孔性シリカ膜は膜厚50〜2000nmであることが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の多孔性シリカ膜は空気やガスによって満たされた空孔を有している。したがって、空孔径や空隙率(空孔量)を調節することで、前記多孔性シリカ膜における見掛けの密度、誘電率、屈折率などの物理定数を制御することができる。平均空孔径0.5〜100nmを適度に有する事で、機械的強度に優れた半導体材料(低誘電率材料など)、光学材料(低屈折材料、反射防止材料など)として適用する事ができる。好ましくは平均空孔径0.5〜50nm、さらに好ましくは平均空孔径1〜20nm、最も好ましくは平均空孔径3〜20nmである。逆に平均空孔径100nmより大きいと多孔性シリカ膜の表面性に悪影響を及ぼし、平均空孔径1nmより小さいと、空孔壁面の活性基が接近するため、多孔性シリカ膜の安定性が損なわれ、かつ多孔性を上げることが困難となる。空隙率においても同様に半導体材料や光学材料などの用途に優れた機能を有するには空隙率35%以上であることが必要がある。好ましくは空隙率45%以上、さらに好ましくは空隙率55%以上、最も好ましくは空隙率65%以上である。一方、空隙率75%以上では多孔性シリカ膜の機械強度が著しく損なわれ、表面性も悪化する。
【0018】
平均空孔径、空隙率の測定は窒素吸着法、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)により評価することができる。電子顕微鏡測定の場合は、電子線の加速電圧5kV、観察倍率1000倍〜10000倍の電子顕微鏡写真を撮り、その断面像の解析で決定することができる。なお、SEM観察試料としては、この多孔性シリカ膜を基板上に形成した際の積層体を試料として用い、その試料を液体窒素で冷却して脆化させた状態で機械的衝撃を加え、そのときの脆性破壊面を用いた。この脆性破壊面には、試料表面の導電性を向上させる目的で一般に行われている金属や炭素等の導電性物質の薄膜を蒸着等しないものを試料とした。さらに上記に記載したように空隙率は屈折率と相関をもっているため、分光エリプソメーターによっても評価することができた。空孔率は、測定光の波長範囲が250〜850nmの分光エリプソメトリー(ソプラ社製:GES−5)によって測定した結果で確認されている。
【0019】
本発明の多孔性シリカ膜は従来法によるものとは異なり、極めて平滑な表面性を有している。前記多孔性シリカ膜は従来の多孔性シリカ膜によく見られた凹部がほとんどなく、表面粗さRa=10nm以下であることを特徴とする。好ましくは表面粗さRa=5nm以下、より好ましくは表面粗さRa=3nm以下、さらに好ましくは表面粗さRa=1nm以下、もっとも好ましくは表面粗さRa=0.5nm以下である。表面粗さRa=10nmより大きいと、多孔性シリカ膜上への積層工程において様々な支障をきたすことがある。一方、表面粗さRa=0.2nmより小さいと、多孔性シリカ膜上への積層膜の密着性を低下させる。
【0020】
本発明中で使用する表面粗さRaはJIS−B0601で定義される数値である。表面粗さRaの測定には、触針式段差・表面粗さ・微細形状測定装置(ケーエルエー・テンコール社製:P−15)を用いた。測定条件は表面を傷つけず、正確な表面粗さを得るためにスタイラス・フォース(触圧)0.2mg、スキャン速度20μm/秒とし、さらにできるだけ広範囲の平滑性を評価するために走査距離500μmとした。表面粗さRaの算出は装置搭載のソフトにより行った。表面粗さRaの測定には、他にも原子間力顕微鏡(AFM)を用いた方法も一般的である。一定範囲の表面を測定し、その領域での表面粗さRaを算出する。例えば、セイコー電子社製SPI3800を用い、DFMモードによって10um*10um範囲の表面像を測定し、装置搭載のソフトにより全体の平均表面粗さRaを算出する。本発明に記載する多孔性シリカ膜はこの方法に於いても同様に極めて平滑な表面を示している。
【0021】
本発明のシリカ多孔質膜の有する空孔は連続的につながった連通孔であることが好ましい。詳細な空孔構造には特に制限はなく、トンネル状や独立空孔がつながった連結孔であってもよい。多孔性シリカ膜の均質性、機械的強度の点では独立空孔がつながった連結孔が好ましい。こうした空孔状態は上述した透過型電子顕微鏡(TEM)または走査型電子顕微鏡(SEM)により確認される。前記の連結孔の場合、平均空孔径とはそれらの幅の平均値として定義される。
【0022】
この発明により機械強度に優れた多孔性シリカ膜を提供する事ができる。
さらに、上述の用途に於ける環境安定性の点において、本発明の多孔性シリカ膜は膜厚50〜2000nmであることが好ましい。より好ましくは膜厚50〜1000nm、さらに好ましくは膜厚80〜850nm、最も好ましくは膜厚200〜700nmである。膜厚50nmより小さいと、シリカ2次粒子からなる凹凸表面が現れるため、多孔性シリカ膜の表面平滑性が損なわれ、膜厚2000nmより大きいとシリカの3次元ネットワーク構造により膜が僅かにうねるため、同様に表面平滑性が損なわれる。測定は触針式段差・表面粗さ・微細形状測定装置(ケーエルエー・テンコール社製:P−15)を用い、測定条件はスタイラス・フォース(触圧)0.2mg、スキャン速度10um/秒とした。
【0023】
上記目的を達成するための積層体は、基板上に上述した本発明の多孔性シリカ膜を有することを特徴とした形態をとることができる。例えば、半導体材料用途に於いては半導体基板に積層することができる。半導体基板の代表的なものとして、透明電導膜があり、錫を添加した酸化インジウム、アルミニウムを添加した酸化亜鉛などの複合酸化物薄膜が好ましい。他にも、シリコン、ゲルマニウム等の半導体、ガリウム−砒素、インジウム−アンチモン等の化合物半導体、セラミックス、金属等の基板等を用いることもできるし、これらの表面に他の物質の薄膜を形成した上で用いることもできる。この場合の薄膜としては、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、銀、白金、タンタル、タングステン、オスミウム、金などの金属の他に、多結晶シリコン、アルミナ、チタニア、ジルコニア、窒化シリコン、窒化チタン、窒化タンタル、窒化ホウ素、アモルファスカーボン、フッ素化アモルファスカーボンからなる薄膜でもよい。
【0024】
また、光学材料用途に於いては、前記基板は透明であることが好ましく、その屈折率が1.15〜2.2であることがより好ましい。この屈折率は、ASTMD−542に基づき、エリプソメーターによる測定で決定される全深さ方向の平均屈折率であり、23℃でのナトリウムD線(589.3nm)に対する値で表される。こうした屈折率を有する基板としては、汎用材料からなる透明基板を用いることができる。例えば、二酸化珪素、BK7、SF11、LaSFN9、BaK1、F2等の各種ショットガラス、フッ素化ガラス、リンガラス、ホウ素−リンガラス、ホウ珪酸ガラス、合成フューズドシリカガラス、光学クラウンガラス、低膨張ボロシリケートガラス、サファイヤ、ソーダガラス、無アルカリガラス等のガラス、ポリメチルメタクリレートや架橋アクリレート等のアクリル樹脂、ビスフェノールAポリカーボネート等の芳香族ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン等のスチレン樹脂、ポリシクロオレフィン等の非晶性ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂等の合成樹脂を挙げることができる。
【0025】
これらのうち、BK7、BaK1等のショットガラス、合成フューズドシリカガラス、光学クラウンガラス、低膨張ボロシリケートガラス、ソーダガラス、無アルカリガラス、アクリル樹脂、芳香族ポリカーボネート樹脂、非晶性ポリオレフィン樹脂が好ましく、BK7のショットガラス、合成フューズドシリカガラス、光学クラウンガラス、低膨張ボロシリケートガラス、ソーダガラス、無アルカリガラス、アクリル樹脂、芳香族ポリカーボネート樹脂が最も好ましい。他にも水酸化シルセスキオキサンなどの無機化合物、メチルシルセスキオキサン、多孔性シリカ上に積層することもできる。
【0026】
基板の厚さには特に制限はないが、光学用途に於いては、通常、0.1〜10mmである。なお、基板の厚さの下限値としては、機械的強度とガスバリヤ性の観点から、0.2mmが好ましく、0.3mmがより好ましい。一方、基板の厚さの上限値としては、軽量性と光線透過率の観点から、5mmが好ましく、3mmがより好ましい。
【0027】
また、本発明の多孔性シリカ膜を基板上に展開する際に基板表面の性質が製造される膜の性質を左右する可能性がある。したがって、基板表面の洗浄だけではなく、場合によっては、基板表面の吸着部位を制御する必要があり、表面処理を施すこともある。基板の洗浄では化学的な方法として、フッ酸、硫酸、塩酸、硝酸、燐酸等の酸類、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカル類、過酸化水素と濃硫酸、塩酸、アンモニア等の混合液への浸漬、物理的方法として、真空中での加熱処理、イオンスパッタリング、UVオゾン処理などが挙げられる。また表面処理では、加熱、濃硫酸、塩酸、硝酸等の強酸類への浸漬が挙げられる。さらに多孔性シリカ膜との密着性に劣る基板に対しては、界面活性剤、高分子電解質などを吸着層を添加する方法がある。特に、本発明の多孔性シリカ膜の密着性と生産性という点で、シリコン基板、透明ガラス基板を用いた場合、硫酸、硝酸等の酸類による洗浄、及び表面処理がより好ましい。
【0028】
本発明の多孔性シリカ膜は、酸化ケイ素(SiO2)組成を主体とするものである。なお、この多孔性シリカ膜には、例えばゾル−ゲル法によるシリカ合成において有機シラン類を共重合するなどの方法でシリカ組成の一部にケイ素原子−炭素原子結合が存在してSiOx組成(但し、xは0を超え2未満の正数である)となるものも含まれる。
【0029】
本発明の多孔性シリカ膜には、陽性元素を含む任意の化学組成(付加組成と略すことがある。)が含有されていてもよい。例えば、酸化イットリウム、酸化ランタン、酸化セリウム、酸化プラセオジム、酸化サマリウム、酸化ユウロピウム、酸化ガドリニウム、酸化テルビウム、酸化ジスプロシウム、酸化ホルミウム、酸化エルビウム、酸化ツリウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化銅、酸化亜鉛、酸化カドミウム、酸化ガリウム、酸化インジウム、酸化ゲルマニウム、酸化スズ、酸化鉛等の遷移金属酸化物組成;酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化ルビジウム、酸化セシウム等の酸化アルカリ金属組成;酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム等の酸化アルカリ土類金属組成;酸化ホウ素組成;酸化アルミニウム組成;等を挙げることができる。この他、カルコゲナイドガラス組成、フッ化ガラス組成等の公知の無機ガラス組成、金、銀、銅などの金属ナノ粒子も挙げることができる。
【0030】
多孔性シリカ膜を構成する酸化ケイ素組成は、ケイ素を含む全ての陽性元素に対するケイ素の割合が50〜100モル%となる割合で含有される。このケイ素の含有割合が50モル%未満では、多孔性シリカ膜の表面粗さが極端に悪化し、機械的強度も低下することがある。好ましい下限値としては、70モル%、更に好ましくは80モル%、最も好ましくは90モル%であり、ケイ素の含有割合が高いほど表面平滑性のよい多孔性シリカ膜が形成される。
【0031】
本発明における多孔性シリカ膜、およびそれを有する積層体は上述した空孔特性や表面平滑性に特徴を有し、その製造方法は特に制限されないが、本発明の積層体を効率よく、かつ生産性にも優れた方法の例を以下に詳述する。
【0032】
(多孔性シリカ膜および積層体の製造方法)
多孔性シリカ膜は、以下の工程により形成される。(イ)多孔性シリカ膜形成用の原料液を準備する工程、(ロ)その原料液から一次膜を形成する工程、(ハ)形成された一次膜が高分子量化して中間体膜が形成される工程、(ニ)多孔性シリカ膜を乾燥する工程。以下、各工程について説明する。
【0033】
(イ)多孔性シリカ膜形成用の原料液を準備する工程;
多孔性シリカ膜形成用の原料液は、アルコキシシラン類を主体とするものであり、加水分解反応および脱水縮合反応により高分子量化を起こすことができる原料化合物を含む含水有機溶液である。しかしながら、従来の製造法では多孔性シリカ膜における表面凹凸の問題を解決することができないため、表面平滑性をコントロールするには塗布時に起こるゾル−ゲル反応を制御する必要がある。この反応はアルコキシシラン類の加水分解反応、その加水分解反応で生成するシラノール基同士の脱水縮合反応の二つの素反応からなる。問題となるのは、原料液を基板上に塗布した際に、膜表面では溶媒の揮発による急激な脱水縮合反応が起こっており、表面凹凸が生じる。平滑な表面を得るには、前記の反応を緩和させることが重要である。
【0034】
本発明の多孔性シリカ膜形成用の原料液である含水有機溶液は、アルコキシシラン類、有機溶媒、水、および、必要に応じて加えられる触媒に加えて、塗布時に起こるゾル−ゲル反応を制御する為に極微量の酸類を含有している。
【0035】
アルコキシシラン類としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ(n−プロポキシ)シラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ(n−ブトキシ)シラン等のテトラアルコキシシラン類、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン類、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等のジアルコキシシラン類、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,4−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,3,5−トリス(トリメトキシシリル)ベンゼン等の有機残基が2つ以上のトリアルコキシシリル基を結合したもの、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3vグリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−カルボキシプロピルトリメトキシシランなどのケイ素原子に置換するアルキル基が反応性官能基を有するものが挙げられ、更にこれらの部分加水分解物やオリゴマーであってもよい。
【0036】
これらの中でも特に好ましいのが、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、テトラメトキシシラン若しくはテトラエトキシシランのオリゴマーである。特に、テトラメトキシシランのオリゴマーは、反応性とゲル化の制御性から最も好ましく用いられる。
【0037】
さらに、前記アルコキシシラン類には、ケイ素原子上に2〜3個の水素、アルキル基又はアリール基を持つモノアルコキシシラン類を混合することも可能である。モノアルコキシシラン類を混合することにより、得られる多孔性シリカ膜を疎水化して耐水性を向上させることができる。モノアルコキシシラン類としては、例えば、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリプロピルメトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン、ジフェニルメチルメトキシシラン、ジフェニルメチルエトキシシラン、等が挙げられる。モノアルコキシシラン類の混合量は、全アルコキシシラン類の70モル%以下となるようにすることが望ましい。その混合量が70モル%を超えると、理想的なゲル化が起こらない場合がある。
【0038】
また、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリエトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリメトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリエトキシシラン等のフッ化アルキル基やフッ化アリール基を有するアルコキシシラン類を併用すると、優れた耐水性、耐湿性、耐汚染性等が得られる場合がある。
【0039】
この原料液に於けるオリゴマーの形状としては特に制限はないが、例えば、線形、架橋、カゴ型分子(シルセスキオキサンなど)などが挙げられる。塗布時の反応性制御という点では線形を主成分としたものが好ましい。
なお、上記した原料液を塗布する際には、すでにある程度の高分子量化(つまり縮合がある程度進んだ状態)が達成されていることが必要であり、その高分子量化の程度としては、見た目に不溶物ができない程度の高分子量化が達成されていることが好ましい。その理由としては、塗布前の原料液中に目視可能な不溶物が存在していると、大きな表面凹凸ができ、膜質を低下させてしまうからである。
【0040】
有機溶媒は、原料液を構成するアルコキシシラン類、水、および後述する、高沸点の親水性有機化合物を混和させる能力を持つものが好ましく用いられる。使用可能な有機溶媒としては、炭素数1〜4の一価アルコール、炭素数1〜4の二価アルコール、グリセリンやペンタエリスリトールなどの多価アルコール等のアルコール類;ジエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、2−エトキシエタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等、前記アルコール類のエーテルまたはエステル化物;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−ホルミルモルホリン、N−アセチルモルホリン、N−ホルミルピペリジン、N−アセチルピペリジン、N−ホルミルピロリジン、N−アセチルピロリジン、N,N’−ジホルミルピペラジン、N,N’−ジホルミルピペラジン、N,N’−ジアセチルピペラジンなどのアミド類;γ−ブチロラクトンのようなラクトン類;テトラメチルウレア、N,N’−ジメチルイミダゾリジンなどのウレア類;ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。これらの水溶性有機溶媒を、単独または混合物として用いてもよい。この中で、基板への成膜性(特に、揮発性)の点で好ましい有機溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、炭素数1〜4の一価アルコールなどが挙げられる。中でも、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、アセトンが更に好ましく、メタノールまたはエタノールが最も好ましい。
【0041】
本発明の多孔質構造を形成するために、上述した有機溶媒に加えて、高沸点の親水性有機化合物を含有するとよい。高沸点の親水性有機化合物とは、水酸基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、カーボネート結合、カルボキシル基、アミド結合、ウレタン結合、尿素結合等の親水性官能基を分子構造中に有する有機化合物のことである。この親水性有機化合物には、これらの親水性官能基のうち、複数個を分子構造中に有していてもよい。ここでいう沸点とは、760mmHgの圧力下での沸点である。沸点は80℃以上が好ましく、沸点が80℃に満たない親水性有機化合物を用いた場合には、多孔性シリカ膜の空孔率が極端に減少することがある。沸点が80℃以上の親水性有機化合物としては、炭素数3〜8のアルコール類、炭素数2〜6の多価アルコール類、フェノール類を好ましく挙げることができる。より好ましい親水性有機化合物としては、炭素数3〜8のアルコール類、炭素数2〜8のジオール類、炭素数3〜8のトリオール類、炭素数4〜8のテトラオール類が挙げられる。更に好ましい親水性有機化合物としては、n−ブタノール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、n−ペンタノール、シクロペンタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等の炭素数4〜7のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等の炭素数2〜4のジオール類、グリセロールやトリスヒドロキシメチルエタン等の炭素数3〜6のトリオール類、エリスリトールやペンタエリストール等の炭素数4〜5のテトラオール類が挙げられる。この親水性有機化合物において、炭素数が大すぎると、親水性が低下しすぎる場合がある。
【0042】
触媒は、必要に応じて配合される。触媒としては、上述したアルコキシシラン類の加水分解および脱水縮合反応を促進させる物質を挙げることができる。具体例としては、塩酸、硝酸、硫酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、マレイン酸などの酸類;アンモニア、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類;ピリジンなどの塩基類;アルミニウムのアセチルアセトン錯体などのルイス酸類;などが挙げられる。
【0043】
触媒として用いる金属キレート化合物の金属種としては、チタン、アルミニウム、ジルコニウム、スズ、アンチモン等が挙げられる。具体的な金属キレート化合物としては、例えば以下のようなものが挙げられる。
【0044】
アルミニウム錯体としては、ジ−エトキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジ−n−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジ−イソプロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジ−n−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジ−sec−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジ−tert−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノエトキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノ−n−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノ−n−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノ−sec−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノ−tert−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジエトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジ−n−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジイソプロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジ−n−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジ−sec−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジ−tert−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノエトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノ−n−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノ−sec−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノ−tert−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム等のアルミニウムキレート化合物等を挙げることができる。
【0045】
チタン錯体としては、トリエトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−n−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリイソプロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−n−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−sec−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−tert−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、ジエトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−n−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−n−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−sec−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−tert−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、モノエトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−n−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノイソプロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−n−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−sec−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−tert−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、テトラキス(アセチルアセトナート)チタン、トリエトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−n−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリイソプロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−n−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−sec−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−tert−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、ジエトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−n−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−sec−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−tert−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、モノエトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−n−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノイソプロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−sec−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−tert−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、テトラキス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ(アセチルアセトナート)トリス(エチルアセトアセテート)チタン、ビス(アセチルアセトナート)ビス(エチルアセトアセテート)チタン、トリス(アセチルアセトナート)モノ(エチルアセトアセテート)チタン等を挙げることができる。
【0046】
また、これらの触媒以外に、弱アルカリ性の化合物、例えばアンモニアなどの塩基性の触媒を使用してもよい。この際には、シリカ濃度調整、有機溶媒種等を適宜調整することが好ましい。また、含水有機溶液を調整する際には、溶液中の触媒濃度を急激に増加させないことが好ましい。具体例としては、アルコキシシラン類と有機溶媒の一部を混合し、次いでこれに水を混合し、最後に残余の有機溶媒、および塩基を混合するという順序にて混合する方法が挙げられる。
【0047】
触媒の添加量は、アルコキシシラン類1モルに対して、通常0.001〜1モル、好ましくは0.01〜0.1モルである。触媒の添加量が1モルを超えると、粗大ゲル粒子からなる沈殿物が生成し、表面の平滑性も損なわれ、かつ均一な多孔性シリカ膜が得られない場合がある。
【0048】
本発明の多孔性シリカ膜の特徴である優れた表面平滑性を得るには、上記の原料液中に微量の酸類を含有する必要がある。これは上記の触媒とは異なる物質を添加する必要があり、塗布時の縮合反応を制御する効果をもつ。原料液を基板上に塗布した際に膜表面では溶媒の揮発による急激な脱水縮合反応が起こっており、これを抑制する為に膜表面近傍を弱酸性付近に保つことで穏やかな縮合反応を進め、優れた表面平滑性を達成することができる。微量とはアルコキシシラン類1モルに対して10ミリモル以下にすることが好ましい。さらに好ましくは5ミリモル以下、最も好ましくは1ミリモル以下である。10ミリモルより大きいと原料液調整時の脱水縮合反応を抑制してしまい、空隙率が上がらないことがある。一方、0.001ミリモルより小さいと上述したような効果を得ることができず、平滑な表面を得られない場合がある。具体的には、塩酸、硝酸、硫酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、マレイン酸などの酸類がある。膜表面近傍で理想的な脱水縮合反応を進めるには揮発性の高い塩酸、酢酸が好ましく、さらに好ましくは塩酸を用いる。
【0049】
前述の酸類における添加順には特に制限はないが、添加する酸類が原料液中のシリカの3次元ネットワーク構造内により組み込まれている状態であるほど、上述した塗布時の脱水縮合反応を抑制する事ができる。したがって、水を加える前が好ましく、水、触媒を加える前がより好ましく、水、触媒、有機溶媒を加える前、アルコキシシラン類に直接加えることが最も好ましい。
【0050】
本発明の多孔性シリカ膜形成用の原料液は、上述した原料を配合して形成される。アルコキシシラン類の配合割合は、原料液全体に対して、10〜60重量%であることが好ましく、20〜40重量%であることがより好ましい。アルコキシシラン類の配合割合が60重量%を超える場合には、原料液の安定性を保つことが難しく、成膜時に多孔性シリカ膜が割れることがある。一方、アルコキシシラン類の配合割合が10重量%未満の場合は、加水分解反応および脱水縮合反応が極端に遅くなり、成膜性の悪化(膜ムラ)が起きることがある。
【0051】
水は、アルコキシシラン類の加水分解に必要であり、目的である多孔性シリカ膜の造膜性向上という観点から重要である。よって好ましい水の量をアルコキシ基量に対するモル比で規定すると、アルコキシシラン中のアルコキシ基1モルに対して0.1〜1.6モル倍量、中でも0.3〜1.2モル倍量、特に0.5〜0.7モル倍量であることが好ましい。
【0052】
水の添加はアルコキシシラン類を有機溶媒に溶解させた後であればいつでもよいが、望ましくはアルコキシシラン類、触媒およびその他の添加物を十分、溶媒に分散させた後、水を添加する方が最も好ましい。加水分解反応は、水を添加することによって引き起こされるが、水は液体のまま、アルコール水溶液として、または、水蒸気として加えることができ、特に限定されない。また、水の添加を急激に行うと、アルコキシシランの種類によっては加水分解反応と脱水縮合反応とが速く起こりすぎ、沈殿が生じることがある。そのため、そのような沈殿が起こらないように、水の添加に十分な時間をかけること、アルコール溶媒を共存させて水を均一に添加する状態にすること、水を低温で添加して添加時の反応を抑制すること、等の手段を単独でまたは組み合わせて用いることが好ましい。
【0053】
用いる水の純度は、イオン交換、蒸留、いずれか一方または両方の処理をしたものを用いればよい。本発明の多孔性シリカ膜を半導体材料や光学材料など、微小不純物を特に嫌う用途分野に用いる際には、より純度の高い多孔性シリカ膜が必要とされるため、蒸留水をさらにイオン交換した超純水を用いるのが望ましく、この際には例えば0.01〜0.5μmの孔径を有するフィルターを通した水を用いればよい。
【0054】
含水有機溶液に沸点80℃以上の親水性有機化合物を用いる際には、沸点80℃以上の親水性有機化合物の含有量が、有機溶媒と沸点80℃以上の親水性有機化合物の合計含有量に対して、特定量以下であることが重要である。この合計含有量に対する、沸点80℃以上の親水性有機化合物の含有量は90重量%以下であり、好ましくは85重量%以下である。
【0055】
沸点80℃以上の親水性有機化合物の配合割合が少なすぎると、多孔性シリカ膜の空孔率が極端小さくなり、多孔性シリカ膜の低屈折率化を達成することが困難な場合があるので、一般的には有機溶媒と沸点80℃以上の親水性有機化合物の合計含有量の30重量%以上、中でも50重量%以上、特に60重量%以上であることが好ましい。一方、親水性有機化合物の配合割合が該合計含有量の90重量%を超える場合には、成膜途中で塗膜が白濁したり、多孔性シリカ膜が割れることがある。よって含水有機溶液における沸点80℃以上の親水性有機化合物の含有量は、該合計含有量の30重量%以上90重量%以下、中でも50重量%以上85重量%以下、特に60重量%以上85重量%以下であることが好ましい。
【0056】
原料液の調製における雰囲気温度や、混合順序は任意であるが、原料液中での均一な構造形成を得るため、水は最後に混合するのが好ましい。また、原料液中でのアルコキシシラン類の極端な加水分解や脱水縮合反応を抑えるため、原料液の調整は0〜60℃、中でも15〜40℃、特に15〜30℃の温度範囲条件下で行うことが好ましい。
調液時においては、原料液の攪拌操作は任意であるが、混合毎にスターラーにより攪拌を行うのがより好ましい。
【0057】
さらに原料液調整後、アルコキシシラン類を加水分解、脱水縮合反応を進行させるため、溶液の熟成をすることが好ましい。この熟成期間中においては、生成するアルコキシシラン類の加水分解縮合物が、原料液内においてより均一に分散した状態であることが好ましいので、液を攪拌することが好ましい。
【0058】
熟成期間中の温度は任意であり、一般的には室温、若しくは連続的または断続的に加熱してもよい。中でも、シリコンアルコキシドの加水分解縮合物による3次元ネットワーク構造を形成させるために、急速な加熱熟成を行うことが好ましい。さらに、加熱熟成する際には、原料液調整直後の加熱熟成が好ましく、原料液調整後15日以内、更には12日以内、中でも3日以内、特に1日以内の加熱熟成開始が好ましい。
【0059】
具体的には、40〜70℃で1〜5時間の加速熟成が好ましく、その際、均一な多孔質構造を得るため、攪拌を行うことが好ましい。特に多孔化という観点では、60℃近傍の温度で2〜3時間の加速熟成が好ましい。
【0060】
(ロ)原料液から一次膜を形成する工程;
一次膜は、原料液である含水有機溶液を基板上に塗布して形成される。基板としては、シリコン、ゲルマニウム等の半導体、ガリウム−砒素、インジウム−アンチモン等の化合物半導体、セラミックス、金属等の基板、さらにはガラス基板、合成樹脂基板等の透明基板等が挙げられる。場合によっては、基板は表面処理をしておく必要がある。
【0061】
原料液を塗布する手段としては、原料液をバーコーター、アプリケーターまたはドクターブレードなどを使用して基板上に延ばす流延法、原料液に基板を浸漬し引き上げるディップ法、または、スピンコート法などの周知を挙げることができる。これらの手段のうち、流延法とスピンコート法が原料液を均一に塗布することができるので好ましく採用される。
【0062】
流延法で原料液を塗布する場合における流延速度は、0.1〜1000m/分、好ましくは0.5〜700m/分、更に好ましくは1〜500m/分である。
スピンコート法で原料液を塗布形成する場における回転速度は、10〜100000回転/分、好ましくは50〜50000回転/分、更に好ましくは100〜10000回転/分である。
【0063】
ディップコート法においては、任意の速度で、基板を原料液に浸漬し引き上げればよい。この際の引き上げ速度は0.01〜50mm/秒、中でも0.05〜30mm/秒、特に0.1〜20mm/秒の速度で引き上げるのが好ましい。基板を原料液中に浸漬する速度に制限はないが、引き上げ速度と同程度の速度で基板を原料液中に浸漬することが好ましい場合がある。基板を原料液中に浸漬し引き上げるまでの間、適当な時間浸漬を継続してもよく、この継続時間は通常1秒〜48時間、好ましくは3秒〜24時間、更に好ましくは5秒〜12時間である。
【0064】
また、塗布中の雰囲気は、空気中又は窒素やアルゴン等の不活性気体中でもよく、温度は通常0〜60℃、好ましくは10〜50℃、更に好ましくは20〜40℃であり、雰囲気の相対湿度は通常5〜90%、好ましくは10〜80%、更に好ましくは15〜70%である。なお、ディップコート法ではスピンコート法に比べ、乾燥速度が遅いため、塗布後のゾルーゲル反応でより歪みの少ない安定な膜を形成する傾向にある。しかしながら、本発明の多孔性シリカ膜の製造法で見いだした微量の酸類を添加することで、いずれも安定な膜を形成する事ができる。
なお、成膜温度は、0〜100℃、好ましくは10〜80℃、更に好ましくは20〜70℃である。
【0065】
(ハ)形成された一次膜が高分子量化されて中間体膜が形成される工程;
原料液を基板上に塗布した際に、ゾルーゲル反応により高分子量化され、中間体膜が形成される。しかし、膜表面では溶媒の揮発による急激な脱水縮合反応が起こっており、表面凹凸が生じる。平滑な表面を得るには、前記の反応を緩和させることが重要である。
【0066】
ゾル−ゲル反応によるアルコキシシラン類の加水分解縮合反応が進行すると、アルコキシシラン類の縮合物が徐々に高分子量化する。加水分解縮合反応においては、相平衡の変化に起因すると考えられる相分離が起こる場合があるが、本発明においては、原料液の組成、使用するアルコキシシラン類および沸点80℃以上の親水性有機化合物の親水度との兼ね合いにより、相分離がナノメートルスケールで起こるように制御される。その結果、親水性有機化合物の分離相が、アルコキシシラン類縮合物の3次元ネットワーク構造の中に保持されたまま基板上に成膜され、中間体膜を構成する。同時に酸類も含浸されており、溶媒乾燥時の脱水縮合反応を緩和することで表面の平滑性を発現する。
【0067】
この中間体膜の形成に際しては、例えば基板上に塗布した塗布膜を前乾燥することで、薄膜中の溶媒濃度を低減し、シリカの一部縮合反応をさせることができる。これによって膜中の3次元ネットワーク構造を固定化、安定化を促させ、さらにはより表面の平滑性を得るのである。
【0068】
中間体膜の前乾燥の温度は通常0〜60℃、好ましくは10〜50℃、更に好ましくは20〜40℃であり、雰囲気の相対湿度は通常5〜95%、好ましくは10〜90%、更に好ましくは15〜80%、さらに最も好ましくは25〜60%である。また、前乾燥の時間は、通常30秒〜60分間、好ましくは1〜30分間である。
【0069】
本発明の多孔性シリカ膜中に良質な多孔質構造を形成するには、中間体膜に水溶性有機溶媒を接触させる事もある。中間体膜に水溶性有機溶媒を接触させることにより、中間体膜中の上記親水性有機化合物が抽出除去されると共に、中間体膜中の水が除去される。中間体膜中に存在する水は、有機溶媒に溶けているだけでなく膜構成物質の内壁にも吸着しているので、中間体膜中の水を効果的に除去するためには、有機溶媒中の水の含有量をコントロールする。したがって、有機溶媒中の水の含有量は、0〜10重量%、好ましくは0〜5重量%、更に好ましくは0〜3重量%である。脱水が十分に行われない場合には、その後に行われる膜の加熱または乾燥工程で空孔が崩壊して消滅または小さくなる場合がある。
【0070】
中間体膜中の親水性有機化合物の抽出除去手段としては、例えば、中間体膜を水溶性有機溶媒に浸漬すること、中間体膜の表面を水溶性有機溶媒で洗浄すること、中間体膜の表面に水溶性有機溶媒を噴霧すること、中間体膜の表面に水溶性有機溶媒の蒸気を吹き付けること等の手段を挙げることができる。これらのうち、浸漬手段と洗浄手段が好ましい。中間体膜と水溶性有機溶媒との接触時間は、1秒〜24時間の範囲で設定できるが、生産性の観点から、接触時間の上限値は、12時間が好ましく、6時間がより好ましい。一方、接触時間の下限値は、前記の沸点80℃以上の親水性有機化合物、および水の除去が十分に行われることが必要であることから、10秒が好ましく、30秒がより好ましい。
【0071】
接触処理液としては、極性溶媒が好ましく、中でも一価アルコール類、多価アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類、アミド類の1種類、又は2種類以上の親水性溶媒が好ましい。2種類以上の親水性溶媒を組み合わせる際は、混合して用いても、それぞれの溶媒で単独に処理して組み合わせることもできる。さらには、同種の接触処理液を繰り返し作用させることもできる。
【0072】
なお、この抽出工程の前、抽出工程の後または抽出工程と同時に、中間体膜を酸類または塩基類と接触させることもできる。こうすることにより、中間体膜の表層での、アルコキシシラン類の加水分解縮合反応を促進させることができる。その結果、中間体膜の表層は、高硬度となるので好ましい。接触させる好ましい酸類としては、塩化水素、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等の気化しやすい酸類が挙げられる。また、好ましい塩基類としては、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン等、分子構造中の炭素数が6以下のモノアミン類が挙げられる。
【0073】
中間体膜を酸類または塩基類と接触させる方法としては、酸類または塩基類の液体または溶液または蒸気が用いられる。また、抽出工程時で使用する上述した水溶性有機溶媒に酸類または塩基類を溶解し、抽出工程と同時に接触させることもできる。
【0074】
(ニ)多孔性シリカ膜を乾燥する工程;
乾燥工程は、多孔性シリカ膜に残存する揮発成分を除去する目的及び/又はアルコキシシラン類の加水分解縮合反応を促進する目的で行われる。乾燥温度は、20〜500℃、好ましくは30〜400℃、更に好ましくは50〜350℃であり、乾燥時間は、1分〜50時間、好ましくは3分〜30時間、更に好ましくは5分〜15時間である。
【0075】
乾燥方式は、送風乾燥、減圧乾燥等の公知の方式で行うことができ、それらを組み合わせてもよい。送風乾燥の後は、揮発成分の十分な除去を目的とした減圧乾燥を追加することもできる。
【0076】
後乾燥では、加圧、減圧、常圧のいずれの条件下で乾燥してもよい。乾燥温度は、前記前乾燥で生じた3次元ネットワーク構造におけるシリカヒドロゲル部に由来するシリカ骨格を変質させる温度未満で乾燥させることが好ましく、一般的には0〜100℃、中でも10〜70℃、特に15〜50℃が好ましく、乾燥時間は、通常30秒〜60分、好ましくは1分〜30分である。
【0077】
高温乾燥は、多孔性シリカ膜内の不必要な溶媒、添加物の除去、さらには膜の硬化を目的とする。加熱乾燥は、例えばオーブン炉、真空乾燥機、ホットプレート等の装置を用いることができる。乾燥時間は、通常10秒〜48時間、好ましくは30秒〜24時間、更に好ましくは1分〜12時間であり、乾燥温度は、通常100〜370℃、好ましくは130〜350℃、更に好ましくは150〜320℃である。高温乾燥も加圧、減圧、常圧のいずれの条件下で乾燥してもよい。
【0078】
得られた多孔性シリカ膜をシリル化剤で処理することで、より機能性に優れた表面にする事ができる。シリル化剤で処理することにより、多孔性シリカ膜に疎水性が付与され、アルカリ水などの不純物により空孔が汚染されるのを防ぐことができる。シリル化剤としては、例えば、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ジメチルビニルメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン類、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルクロロソラン、ジメチルビニルクロロシラン、メチルビニルジクロロシラン、メチルクロロジシラン、トリフェニルクロロシラン、メチルジフェニルクロロシラン、ジフェニルジクロロシランなどのクロロシラン類、ヘキサメチルジシラザン、N,N’−ビス(トリメチルシリル)ウレア、N−トリメチルシリルアセトアミド、ジメチルトリメチルシリルアミン、ジエチルトリエチルシリルアミン、トリメチルシリルイミダゾールなどのシラザン類、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリエトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリメトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリエトキシシラン等のフッ化アルキル基やフッ化アリール基を有するアルコキシシラン類などが挙げられる。シリル化は、シリル化剤を多孔性シリカ膜に塗布したり、シリル化剤中に多孔性シリカ膜を浸漬したり、多孔性シリカ膜をシリル化剤の蒸気中に曝したりすることにより行うことができる。
【0079】
【実施例】
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。
(実施例1)
メトキシシランのオリゴマー(三菱化学(株)製 MKCシリケートMS51)にテトラメトキシシラン1モルに対し、0.1−1.2ミリモルの塩酸を含有させ、メタノールn−ブタノール、触媒としてアルコキシシラン類の重量に対し1%のアルミニウムアセチルアセトネート錯体、およびゾルーゲル反応における化学量論以上の水を攪拌しながら混合し原料液を調製した。塗布工程前に、原料液は有機溶媒の沸点以下の温度で一定時間攪拌した。
【0080】
上記の原料液を、無アルカリガラス基板上に3000回転/分の回転数でスピンコートし、一次膜を形成し、一定時間粗乾燥することで、中間体膜を得た。
得られた中間体膜を、メタノール中に浸漬し、膜中の水分を取り除いた。取り出した膜は150℃に保った乾燥機内で乾燥、反応を終了させ、多孔性シリカ膜を得た。
【0081】
こうして得られた多孔性シリカ膜は、非常に小さな空孔径であり、窒素吸着による結果から2.5nmであった。また、分光エリプソメーターによる結果からも空隙率42%、膜厚573nmと良質の多孔質構造であり、触針式段差・表面粗さ・微細形状測定による結果からも表面粗さRa=0.5nmと極めて平滑な表面性であることも確認できた。さらに、SEMによる膜断面観察から前記構造が連通孔であることが分かった。
【0082】
【発明の効果】
本発明の多孔性シリカ膜は、空孔径が小さく、空隙率は大きく、かつ表面平滑性の極めて優れた多孔性シリカ膜、およびそれを有する積層体を特徴とする。
多孔性シリカ膜には1)透明性、2)低反射性という効果を有することで、半導体材料や光学材料用途などに適用できる。さらに前記用途において、極めて重要、かつ従来の多孔性シリカ膜材料には難しかった多孔性シリカ膜の極めて平滑な表面性によって、3)積層工程の容易性、4)防汚性、5)耐薬品性、6)高い機械強度という効果も得ることができた。これは本発明の多孔性シリカ膜が前記用途に対して極めて最適な材料であることを示している。
さらに、本発明の多孔性シリカ膜は表面や空孔壁面への化学的修飾も容易であり、触媒材料、センサー材料分野などへの用途範囲の拡大も期待できる。

Claims (6)

  1. アルコキシシラン類、有機溶媒、水、及び触媒を含有する原料液を調製する工程、該原料液を基板上に塗布し一次膜を形成する工程、該一次膜を高分子量化して中間体膜を形成する工程、該中間体膜から有機溶媒を除去して多孔性シリカ膜を形成する工程、及び該多孔性シリカ膜を乾燥する工程、からなる多孔性シリカ膜の製造方法において、アルコキシシラン類がテトラメトキシシランのオリゴマーであり、触媒が金属キレート化合物であることを特徴とする多孔性シリカ膜の製造方法。
  2. 原料液調製工程における原料液中の金属キレート化合物の量が、アルコキシシラン類1モルに対して0.001〜1モルである請求項1に記載の多孔性シリカ膜の製造方法。
  3. 原料液調製工程における原料液が更に酸類を含有する請求項1又は2に記載の多孔性シリカ膜の製造方法。
  4. 酸類が塩酸、硝酸、硫酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、及びマレイン酸からなる群より選択されたいずれかである請求項3に記載の多孔性シリカ膜の製造方法。
  5. 原料液調製工程における原料液中の酸類の量が、アルコキシシラン類1モルに対して0.001〜10ミリモルである請求項3又は4に記載の多孔性シリカ膜の製造方法。
  6. 中間体膜形成工程において、中間体膜を0〜60℃で前乾燥する請求項1〜5のいずれかに記載の多孔性シリカ膜の製造方法。
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