JP5621486B2 - シリカ系多孔質体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、シリカ系多孔質体の製造方法に関する。
薄膜の光屈折・回折・干渉を用いた光学機能層は、薄膜材料の屈折率を厳密に制御した上で、その膜厚を光の波長レベルで制御する必要があり、一般的には無機物質の真空蒸着法あるいはスパッタリング法のようなドライ製膜法により施される場合が多い。しかしながら、ドライ製膜法は一般的にバッチ操作であり、連続コーティングには不適であるため、生産性が低い。また、大型の製膜装置を必要とすることから、大面積への製膜も困難であった。
一方、大面積化への展開を容易にするために、無機物質の分散液またはコロイド等、あるいは重合体等の有機物質の溶液またはエマルジョン等をスピンコート法、ディップコート法などによりコーティングする方法、ロールコート法等のように前計量の後に転写する方法、またはコンマコート法のような後計量法等のウェット製膜法が知られている。
例えば、非結晶性の含フッ素重合体をダイコート法により、反射防止層を形成している(特許文献1)。しかしながら、含フッ素重合体の場合、有機物としては屈折率の低い特性により低反射性を示すが、十分ではなく、さらにフッ素特有の疎水性/疎油性な性質から基材との密着性が弱く、耐久性の面で問題があった。そこで、多孔質構造を有する無機物質をウェット製膜により形成する報告がされている。具体的には、ゾル−ゲル反応による多孔質膜を形成するために、塗布膜の乾燥工程を管理することで、溶媒の揮発を制御する方法が報告されている(特許文献2)。上記方法としてスピンコート法、ディップコート法、キャスト法が挙げている。しかしながら、スピンコート法、キャスト法ではドライ製膜法と同様、連続コーティングや基材の大面積化の点で問題があった。
また、膜の結晶化度を制御することで、屈折率1.4以下の多孔質ゼオライト薄膜を形成している(特許文献3)。しかしながら、スピンコート法によりのみ形成しており、かつその製膜条件も高い回転数(3000rpm)で製膜することで、光の波長レベルの膜厚を制御している。こうした限られた条件でのみ制御される製膜方法では工業的に困難である。
さらに、ゾル−ゲル反応を制御し多孔質膜を形成するために、アルコキシシラン類、非イオン性高分子、水、溶媒の組成を報告がある(特許文献4)。この方法では、耐久性も高く、高い光学特性も期待できるが、工業的に連続コーティングを実現するためには、組成物の各成分と基材を製膜方法により最適化する必要があった。特に連続コーティングにおいては、製膜時の乾燥に伴うゾルーゲル反応を制御するには、一定の範囲で組成を制御する必要があった。
そこで、ゾルーゲル反応の制御を緩和するためにシリカ微粒子からシリカ系多孔質膜を形成している(特許文献5)。この方法では、スピンコート法だけでなく、連続コーティングが可能なバーコート法によっても、反射防止膜を形成することができる。しかしながら、このような方法では得られる膜の屈折率が高く、反射防止性としては高いとは言えない。
特開平7−151904号公報 特開2005−104808号公報 特開2004−37795号公報 特開2009−73722号公報 特開2004−83307号公報
従来、光学機能層の形成方法として、真空蒸着法、スパッタリング法、スピンコート法は、バッチ操作のため、連続コーティングには不適であり、生産性が悪く、基材の大面積化の点で問題があった。
また、ディップコート法により均質な薄膜を得るためには、溶媒あるいは分散媒の蒸気圧、蒸発潜熱、粘度あるいは表面張力等を適切に選択することが重要であり、さらに光学機能層として膜材料の屈折率を制御しなければならず、制約条件が大きい。また、ディップコート法は、駆動装置あるいは外部からの振動によるディップ槽の液面揺れを完全に抑えることが困難なため、水平方向の筋による不良が発生し易い。
一方、ダイコート法、バーコート法などは、基材フィルム上にコーティングする方法として工業的によく知られており、生産性の面でも有利である。
しかしながら、この手法は、膜内部に構造を有しない薄膜(特許文献1)、若しくは製膜時に複雑な反応過程を有さない薄膜(特許文献5)を形成するものに対して有効であるが、光学機能層として好適な膜物性(屈折率など)を得ることが困難である。
さらに、屈折率を制御するために、膜内部に空孔を有する多孔質構造を得る場合(特許文献2,3,4)になると、膜形成時の反応過程を制御する必要があるため、上記のような連続コーティングに対して適しており、さらに基材の大面積化にも展開可能な製膜手法で、かつ、高い光学特性を有する光学機能層を製造するには、極めて狭い制御範囲で製造する必要があった。
そこで、本発明は上記従来の実状に鑑みてなされたものであって、前述のような多孔質体の形成方法に認められる欠点を解消し、連続コーティングが可能な生産性に優れ、良好な光学機能層の形成方法の新規な製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らが鋭意検討した結果、2種以上のアルコキシシラン類からなる加水分解基含有シラン、その加水分解物及び部分縮合物、水、アルコール類、有機高分子とを含むシリカ系組成物をある平面度を有する基材上に塗布した後、100℃以上で加熱することにより、連続生産性、光学機能に優れたシリカ系多孔質体を製造できることが分かり本発明に到達した。
すなわち、本発明の第1の要旨は、シリカ系多孔質体の製造方法において、2種以上のアルコキシシラン類からなる加水分解基含有シラン、その加水分解物及び部分縮合物、及び水、アルコール類、有機高分子を含むシリカ系組成物をJIS B7513に準拠した
方法で測定される平面度が20μm以下である基材上に塗布した後、100℃以上で加熱
することを特徴とするシリカ系多孔質体の製造方法に存する。
本発明によれば、シリカ系多孔質構造体を連続コーティングが可能な製造方法で実現でき、製膜時に反応を伴うにも関わらず、基材のサイズに依らず良好な多孔質構造を得ることができる。また、得られるシリカ系多孔質体は高い光学特性を有し、また、良好な外観を有し、耐久性にも優れているため、優れた光学機能層としても利用できる。特に生産性にも優れているため、ディスプレイ、太陽電池、太陽熱発電などの光デバイス、建材や自
動車の内外装に用いられる低反射層、反射防止層、光制御層などに好適である。
以下、本発明について実施形態及び例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態及び例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。
1.シリカ系多孔質体の製造方法
本発明のシリカ系多孔質体の製造方法では、2種以上のアルコキシシラン類からなる加水分解基含有シラン、その加水分解物及び部分縮合物、及び水、アルコール類、有機高分子とを含むシリカ系組成物をJIS B7513に準拠した方法で測定される平面度が2
0μm以下である基材上に塗布した後、100℃以上で加熱することを特徴とする。
本発明においては、上記シリカ系組成物を用い、さらに、所定の基材に塗布する製膜工程、及び加熱工程を経ることから、屈折率が低く、かつ耐久性に優れたシリカ系多孔質体を製造することができる。
以下、本発明の製造方法について詳細に説明する。
1−1.製膜工程
本発明のシリカ系多孔質体の製造方法では、後述の組成を有するシリカ系組成物を基材上に展開することで、シリカ系前駆体を製造する。該シリカ系組成物を所定の平面度を有する基材に展開することで、均質なシリカ系前駆体を得ることが可能となり、光学用途に適したシリカ系多孔質体を連続コーティング可能な方法により提供できる。
本発明で使用する基材は所定の平面度であることが重要である。基材の平面度が所定値を超えると、光学機能層として必要とされる高い膜厚精度が得られないだけではなく、シリカ系前駆体の膜厚が不均一なことで、製膜時のゾルーゲル反応に影響を与えることがわかった。具体的には、平面度は、20μm以下、好ましくは15μm以下、より好ましくは5μm以下、もっとも好ましくは1μm以下である。20μmを超えると光学特性に影響を与えるだけでなく、不均一なウェット膜厚により製膜時に伴うゾルーゲル反応も不均質となり、膜歪みの増大による膜欠陥の発生や不十分な多孔度の原因となる恐れがある。一方、下限として、0.01μm以上が好ましく、0.05μm以上がより好ましく、0.1μm以上がもっとも好ましい。0.01μmを下回ると、均質なシリカ系前駆体は得られるものの該シリカ系前駆体と基材との接着面積が小さくなり、密着性が低下し、光学機能層としての耐久性に劣る恐れがある。
なお、基材の平面度は、JIS B7513に準拠した方法で測定することができる。
本発明において、基材の大面積化を容易とする製膜手法であれば、その製膜方法に特に制限はなく、例えば、スプレーコーター、ダイコーター、バーコーター、テーブルコーター、アプリケーター、ドクターブレードコーター、ディップコーター、インクジェット法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法などが挙げられる。
特に、製膜時のゾルーゲル反応をシリカ系組成物の組成に依らず、安定した状態でシリカ系前駆体とするためには、シリカ系組成物の吐出部と基材との距離を制御し、さらに該シリカ系組成物を流延することが好ましい。吐出部と基材からできる限られた空間の中で膜化することで、一定の環境下でゾルーゲル反応を進めることができ、均質なシリカ系前駆体を形成できる。具体的にはシリカ系組成物の吐出部と基材との距離は100μm以下が好ましく、80μm以下がより好ましく、70μm以下がさらに好ましく、50μm以下がもっとも好ましい。100μmを超えると、吐出部周辺と基材周辺でゾルーゲル反応の進行に違い生じ、ウェット状態で膜中に対流が発生するため、安定してシリカ系多孔質体を得ることができない場合がある。一方、下限としては0.1μm以上が好ましく、0.3μm以上がより好ましく、0.5μm以上がさらに好ましく、0.8μm以上がもっ
とも好ましい。0.1μmを下回るとシリカ系組成物への流延時のシェアが大きくなり、ゾルーゲル反応が安定に進まない恐れがある。
さらに、光学機能層として信頼性の高い膜厚制御を広範囲(大面積)で実現するためには、ダイコーター、バーコーター、テーブルコーター、アプリケーター、ドクターブレードコーターなどが好ましく、ダイコーターがより好ましい。
上記方法の中でもダイコートにより製膜する方法が好ましく、この場合、溶液供給点よりシリカ系組成物を一定流量で供給し、それをスリットを経てダイリップより吐出することにより基材表面上にシリカ系前駆体を形成させるもので、基材を一定速度で搬送させることにより、目的とするシリカ系多孔質体を形成し得るものである。
スリットの幅には特に制限はないが、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、また、通常、100μm以下、好ましくは80μm以下、より好ましくは50μm以下である。下限値を下回るとコンタミにより目詰まりを起こす恐れがあり、上限値を超えると均一な膜を製膜できない恐れがある。
ダイリップ(スリット)と基板との間隔(距離)であるGapには特に制限はないが、通常、5μm以上、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、さらに好ましくは30μm以上、また、通常、100μm以下、好ましくは80μm以下、より好ましくは50μm以下の範囲にすることにより、良質なシリカ系前駆体を得ることができる。
吐出する流量には特に制限はないが、通常、1〜100cc/分、好ましくは1〜50cc/分、より好ましくは1〜20cc/分、さらに好ましくは2〜10cc/分、もっとも好ましくは3〜6cc/分である。下限値を下回ると流延時のスリット速度精度を厳密にしなければいけなくなるため、基材の大面積化が難しくなる傾向がある。一方、上限値を超えるとシリカ系組成物に対流が生じ、安定なウェット膜を形成することが難しくなる傾向がある。
塗工速度には特に制限はないが、通常、5〜300mm/秒、好ましくは10〜200mm/秒、より好ましくは20〜100mm/秒、さらに好ましくは30〜80mm/秒、もっとも好ましくは40〜60mm/秒である。下限値を下回ると製膜工程におけるシリカ系前駆体の流延条件を精密に制御しなければならず、生産性を損なう恐れがあり、上限値を超えると製膜工程においてシリカ系前駆体にせん断応力がかかり、有機高分子とシリカ成分とで構成される構造を破壊する恐れがある。
塗工停止時間には特に制限はないが、通常、0.1〜3秒、好ましくは0.1〜2秒、より好ましくは0.2〜1秒、さらに好ましくは0.2〜0.8秒、もっとも好ましくは0.3〜0.6秒である。下限値を下回ると基材とシリカ系前駆体の界面状態が安定せず、基材との密着性が低下したり、膜表面のレベリングが進まず、膜の外観が悪化する恐れがあり、上限値を超えると基材とシリカ系前駆体の界面でのゾルーゲル反応が進行しすぎてしまい、流延時に局所的な欠陥が生じる恐れがある。
塗工距離には特に制限はないが、通常、0.05〜500m、好ましくは0.1〜300m、より好ましくは0.5〜100m、さらに好ましくは0.8〜50m、もっとも好ましくは1〜5mである。下限値を下回ると製膜工程における流延初期の不安定な状態を前駆体全体に及ぼす恐れがあり、上限値を超えるとシリカ系組成物中に局所的な不均一構造が得られシリカ系多孔質体の表面性に影響を与える恐れがある。
ダイリップと基板支持台の水平出し精度は、通常、±5μm以下、好ましくは±2μm以下、より好ましくは±1μm以下とすることで再現性よく塗布することができる。
使用し得るダイの形状としては、溶液等を横方向に均一に分配し得るものであれば特に制限はない。例としては、一般のフィルムキャスティング時に使用されるTダイ形状のもの、あるいはフィッシュテイルダイ形状のもの、あるいはコートハンガーダイ形状のもの等が挙げられる。さらには、ダイ横方向への分配をより均一にしやすくするために、ダイリップ間隔の調整機構を有するものであることが望ましい。
製膜時のウェット膜厚には特に制限はないが、通常、0.1〜100μmであり、0.5〜80μmが好ましく、1〜55μmがより好ましく、5〜40μmがさらに好ましく、10〜25μmがもっとも好ましい。この範囲を超えると製膜工程におけるシリカ系組成物のゾルーゲル反応の進行を制御することが難しくなり、基材との濡れ性の影響を受けやすくなったり、それに伴い膜のレベリング効果が劣り、膜の外観が悪化する恐れがある。
例えば、ダイコートの場合、該ウェット膜厚は吐出液量と基板の移動速度で制御する機構が好ましく、通常、5μm以上、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、また、通常、60μm以下、好ましくは50μm以下、より好ましくは40μm以下の範囲にすることにより、塗布ムラの少ない均一なシリカ系多孔質体を得ることができる。
<製膜工程の環境>
製膜工程を行う際の相対湿度には特に制限はないが、相対湿度を制御することによりさらに安定した連続コーティングが可能となる。
例えば、相対湿度が通常20%RH以上、好ましくは25%RH以上、より好ましくは30%RH以上、さらに好ましくは35%RH以上、また、通常85%RH以下、好ましくは80%RH以下、より好ましくは75%RH以下の環境下においてシリカ系前駆体の製膜を行なうようにすることが好ましい。製膜工程での相対湿度を前記の範囲にすることにより、表面平滑性の高い膜が得られる。
製膜工程を行なう際の温度に制限は無いが、通常0℃以上、好ましくは10℃以上、より好ましくは15℃以上、さらに好ましくは20℃以上、もっとも好ましくは25℃以上、また、通常100℃以下、好ましくは80℃以下、より好ましくは70℃以下、さら好ましくは60℃以下、もっとも好ましくは50℃以下、特に好ましくは40℃以下である。シリカ系前駆体を製造する際の温度が低すぎるとゾルーゲル反応の進行が遅くなり、均質なシリカ系前駆体を得られない恐れがあったり、溶媒が気化しにくくなり膜の表面平滑性が低下したりする可能性がある。また、高すぎると縮合反応が急速に起こることで、未加水分解の加水分解基含有シランが多く残存するため、膜ひずみが大きくなり、例えば、シリカ系多孔質体の耐久性に影響を与える恐れがある。
また、製膜工程を行う際の圧力に制限は無いが、通常0.05MPa以上、好ましくは0.08MPa以上、より好ましくは0.1MPa以上、また、通常0.3MPa以下、好ましくは0.2MPa以下、より好ましくは0.15MPa以下である。圧力が低すぎると溶媒が気化しやすくなり膜化後のレベリング効果が得られず膜の平滑性が低くなる可能性があり、高すぎると溶媒が気化しにくくなり膜の表面性が低くなる可能性がある。
さらに、製膜工程を行う際のクリーン度には特に制限はないが、基材上に存在するコンタミを核とした膜欠陥や核周辺でのゾルーゲル反応の進行を抑制する観点から、通常、塵埃径0.5μm以上の塵埃数が3,000,000以下が好ましく、50,000以下がより好ましく、5,000以下がさらに好ましい。
また、製膜工程における雰囲気に制限は無い。例えば、空気雰囲気中でシリカ系前駆体の製膜を行なっても良く、例えばアルゴン等の不活性雰囲気中でシリカ系前駆体の塗布を行なってもよい。
<前処理>
本発明の製造方法では、シリカ系組成物を基材上に塗布するのに先立って、シリカ系組成物の濡れ性、製造されるシリカ系前駆体の密着性の観点から、透光基材に表面処理を施しておいてもよい。そのような透光基材の表面処理の例を挙げると、シランカップリング処理、アンカーコート処理、コロナ処理、UVオゾン処理、プラズマ処理などが挙げられる。また、表面処理は、1種のみを行なってもよく、2種以上を任意に組み合わせて行なってもよい。なお、シランカップリング処理として、後述するシリル化剤を用いることもできる。
また、製膜工程は一回で行なってもよいが、二回以上に分けて行なってもよい。例えば、後述する粗乾燥工程を介して、製膜工程を二回以上行なうようにすれば、積層構造を有するシリカ系多孔質体を形成することが可能である。これは、例えば屈折率が異なる層を積層したい場合などに有用である。
<後処理>
本発明の製造方法では、上述の製膜工程の後に、シリカ系前駆体中のアルコール類または触媒を除去することを目的として、シリカ系前駆体を粗乾燥させる粗乾燥工程を行なってもよい。粗乾燥工程を行なうことで、シリカ系前駆体中のアルコール類や触媒を除去させることで、前駆体中に存在する有機高分子とシリカ成分が安定した状態で構造を形成し、シリカ系前駆体の構造を安定化することができる。
粗乾燥工程における粗乾燥の手法は制限されない。例えば加熱乾燥、減圧乾燥、通風乾燥等が挙げられる。これらは1種を単独で実施してもよく、2種以上を組み合わせて実施してもよい。
粗乾燥の手段も任意である。例えば粗乾燥を加熱乾燥により行なう場合、加熱乾燥の手段の例として、ホットプレート、オーブン、赤外線照射、電磁波照射等が挙げられる。また通風加熱乾燥の手段としては、例えば送風乾燥オーブン等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
粗乾燥時の温度は制限されないが、通常は室温以上であることが好ましい。特に加熱乾燥を行なう場合、その温度は通常25℃以上、好ましくは30℃以上、さらに好ましくは40℃以上、もっとも好ましくは60℃以上、また、通常300℃以下、好ましくは230℃以下、さらに好ましくは200℃以下、もっとも好ましくは140℃以下の範囲が望ましい。なお、加熱乾燥時の温度は一定でもよいが、変動してもよい。
粗乾燥時の圧力も制限されないが、特に減圧乾燥を行なう場合、通常は常圧以下、好ましくは10kPa以下、より好ましくは1kPa以下がより好ましい。
粗乾燥時の湿度も制限されないが、シリカ系前駆体の吸湿を防ぐため、通常は60%RH程度以下とすることが望ましく、好ましくは常圧で30%RH以下、或いは真空状態(湿度0%RH)とすることが望ましい。
粗乾燥時の雰囲気も制限されず、大気雰囲気でも、窒素雰囲気等の不活性ガス雰囲気でも、真空雰囲気でもよい。これらはシリカ系前駆体の特性等を考慮して選択すればよい。但し、通常はクリーンな雰囲気であることが好ましい。
粗乾燥時間も制限されず、シリカ系前駆体中のアルコール類や水が除去できれば任意であるが、粗乾燥時の温度・圧力・湿度等の条件や、シリカ系組成物中に含まれるアルコール類や溶媒の沸点、プロセス速度、シリカ系前駆体の特性等を考慮して決定することが好ましい。通常1秒以上、好ましくは30秒以上、より好ましくは1分以上、また、通常100時間以下、好ましくは24時間以下、より好ましくは3時間以下の範囲が望ましい。
1−2.加熱工程
上述した製膜工程の後に、シリカ系前駆体を100℃以上の温度で加熱することで、シリカ系多孔質体とする加熱工程を行なう。100℃以上の温度での加熱により、有機高分子と加水分解基含有シランからなるシリカ成分により形成された構造から、有機高分子を除去し、さらにシリカ成分をゾルーゲル反応し硬化することで、前駆体で形成した構造を維持して安定した多孔質構造を得ることができる。さらに得られたシリカ系多孔質体は低い屈折率を有するため、高い光学特性が実現される。
加熱の方式は特に制限されず、例えば加熱炉(ベーク炉)内に基材を配置してシリカ系前駆体を加熱する炉内ベーク方式、プレート(ホットプレート)上に基材を置き、そのプレートを介してシリカ系前駆体を加熱するホットプレート方式、基材の上面側及び/又は下面側にヒーターを配置し、ヒーターから電磁波(例えば赤外線等)を照射して、シリカ系前駆体を加熱する方式等が挙げられる。
加熱温度に制限は無く、シリカ系前駆体を硬化させ、シリカ系多孔質体とすることが可能であれば任意であるが、通常100℃以上、好ましくは150℃以上、より好ましくは200℃以上、さらに好ましくは250℃以上、もっとも好ましくは300℃以上、また、通常800℃以下、好ましくは700℃以下、より好ましくは650℃以下、もっとも好ましくは600℃以下である。加熱温度が低すぎると有機高分子が多孔質体中に残存し、着色したり、吸湿し易くなり、光学特性の環境依存性に影響を与える恐れがある。一方、加熱温度が高すぎるとゾルーゲル反応の進行よりも、有機高分子、溶剤、場合によっては未反応の加水分解基含有シランの揮発が進行することで、製膜工程で形成した前駆体の構造を加熱工程で維持できない恐れがあったり、基材と前駆体との接合が失われ、前記と同様に光学特性の環境依存性に影響を与える可能性がある。
なお、加熱工程において、前記の加熱温度で連続的に加熱を行なってもよいが、断続的に加熱を行なうようにしてもよい。
加熱を行なう際の昇温速度は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常1℃/分以上、好ましくは10℃/分以上、また、通常500℃/分以下、好ましくは300℃/分以下で昇温する。昇温速度が遅すぎると加熱工程でのゾルーゲル反応は安定して進行するものの、構造内の有機高分子が熱運動することで、製膜工程で形成した構造が壊れて多孔質体が緻密化し、屈折率が低くなりにくい恐れがある。一方、昇温速度が速すぎると、基材と多孔質体との熱膨張の差による膜の歪みが大きくなって局所的なクラックの原因となる可能性がある。
加熱を行なう時間は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常30秒以上、好ましくは1分以上、より好ましくは2分以上、また、通常5時間以下、好ましくは2時間以下、より好ましくは1時間以下である。加熱時間が短すぎると不要な界面活性剤を取り除けず、十分な光学性能を発現できなくなる可能性があり、また、そのために加熱温度を高くする必要があるため、安定して多孔質構造を得ることが難しくなる可能性がある。一方、加熱時間が長すぎるとアルコキシシラン化合物の重縮合反応が進み、基材との密着性が低くなったり、膜に欠陥があった場合にそこを起点とした多孔質構造の破壊の原因となったりする可能性がある。
加熱を行なう際の圧力は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、減圧環境としてもよく、加熱工程では、圧力を、通常0.2MPa以下、好ましくは0.15MPa以下、より好ましくは0.1MPa以下とする。一方、圧力の下限に制限は無いが、通常10−4MPa以上、好ましくは10−3MPa以上、より好ましくは10−2MPa以上である。圧力が低すぎると加水分解基含有シランのゾルーゲル反応よりもアルコール類の揮発が進行し、吸湿性の高いシリカ系多孔質体となりやすく、光学特性の環境依存性
に影響を与える恐れがある。
加熱を行なう際の雰囲気は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、中でも、乾燥ムラの生じにくい環境が好ましい。特に大気雰囲気下で加熱を行なうことが好ましい。また、アルゴンや窒素などの不活性雰囲気下で加熱を行なうことも可能である。
以上のように、加熱処理を行なうことによりシリカ系多孔質体を得ることができるが、加熱工程の後に、必要に応じて冷却工程や後処理工程等を実施することも可能である。
1−3.冷却工程
冷却工程とは、加熱工程で高温となったシリカ系多孔質体を冷却する工程である。この際、冷却速度は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.1℃/分以上、好ましくは0.5℃/分以上、より好ましくは0.8℃/分以上、更に好ましくは1℃/分以上、また、通常100℃/分以下、好ましくは50℃/分以下、より好ましくは30℃/分以下、更に好ましくは20℃/分以下である。冷却速度が遅すぎると連続コーティングを実現するには製造コストが高くなる可能性があり、速すぎると基材の熱歪みが大きくなり、局所的にクラックが発生する可能性があるため、基材全体を均一精密な冷却の制御を必要となる。
また、冷却工程における雰囲気は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であり、例えば、真空環境、不活性ガス環境であってもよい。さらに、温度及び湿度に制限は無いが、通常は常温・常湿で冷却することが好ましい。
1−4.後処理工程
後処理工程で行なう具体的な操作に制限は無いが、例えば、得られたシリカ系多孔質体をシリル化剤で処理することで、シリカ系多孔質体の表面をより機能性に優れたものにできる。具体例を挙げると、シリル化剤で処理することにより、シリカ系多孔質体に疎水性が付与され、膜表面や膜中の細孔が汚染されるのを防ぐことができ、撥水性、撥油性、防汚性、防曇性、光触媒能、滑雪性などを付与することが可能である。
シリル化剤としては、例えば、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ジメチルビニルメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン類;トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルクロロシラン、ジメチルビニルクロロシラン、メチルビニルジクロロシラン、メチルクロロジシラン、トリフェニルクロロシラン、メチルジフェニルクロロシラン、ジフェニルジクロロシランなどのクロロシラン類;ヘキサメチルジシラザン、N,N’−ビス(トリメチルシリル)ウレア、N−トリメチルシリルアセトアミド、ジメチルトリメチルシリルアミン、ジエチルトリエチルシリルアミン、トリメチルシリルイミダゾールなどのシラザン類;(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリエトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリメトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリエトキシシラン等のフッ化アルキル基やフッ化アリール基を有するアルコキシシラン類;などが挙げられる。なお、シリル化剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
シリル化の具体的操作としては、例えば、シリル化剤をシリカ系多孔質体に塗布したり、シリル化剤中にシリカ系多孔質体を浸漬したり、シリカ系多孔質体をシリル化剤の蒸気中に曝したりすることにより、行なうことができる。
また、後処理の別の例としては、本発明のシリカ系多孔質体を多湿条件下で熟成するこ
とで、多孔質構造中に存在する未反応シラノールを減らすことができ、これにより、シリカ系多孔質体の耐環境性をより向上させることも可能である。さらには、シリカ系多孔質体の上に他の無機酸化物膜を形成することで、機械強度や耐アルカリ性を向上させることも可能である。
1−5.その他
本発明のシリカ系多孔質体の製造方法では、本発明の効果を著しく損なわない限り、上述した各工程の工程前、工程中及び工程後の任意の段階で、任意の工程を行なってもよい。
2.シリカ系組成物
本発明のシリカ系多孔質体の製造方法において用いるシリカ系組成物には、2種以上のアルコキシシラン類からなる加水分解基含有シラン、その加水分解物及び部分縮合物、水、アルコール類、有機高分子を含む。以下に詳細を述べる。
本発明の製造方法に用いるシリカ系組成物における加水分解基含有シランが2種以上のアルコキシシラン類で構成されていることが特徴である。上記製膜工程で形成された有機高分子とシリカ成分とからなる前駆体の構造を、加熱工程でも維持するためには、シリカ成分には有機高分子と親和性の高い部分と低い部分が存在する必要がある。つまり、有機高分子と親和性の高い部分によりシリカ成分のゾルーゲル反応による構造変形を抑制し、一方、有機高分子と親和性の低い部分(シリカ成分間の親和性の高い部分)で、有機高分子の消失時の構造変形を抑制する役割をする。
特に連続コーティングや基材の大面積化を工業的に行うためには、製膜工程での膜への溶媒乾燥の影響を少なくする必要があり、製膜工程で溶媒乾燥の影響が少ない状態で、分子間(有機高分子−シリカ成分)で形成される構造と構成する分子(加水分解基含有シラン)のゾルーゲル反応とを制御するためには、上記要件が重要である。
2−1.加水分解基含有シラン
本発明で用いる加水分解基含有シランは2種以上のアルコキシシラン類からなる。
アルコキシシラン類としては、テトラアルコキシシラン、モノアルキルトリアルコキシシラン、モノアリールトリアルコキシシラン、ジアルキルジアルコキシシラン、ジアリールジアルコキシシラン、トリアルキルアルコキシシラン、トリアリールアルコキシシラン、これらの加水分解物及び部分縮合物(オリゴマー等)などが挙げられる。部分縮合物は、2種以上のアルコキシシラン類の部分縮合物であってもよい。本発明のシリカ系組成物には、これらを同種同士、または任意の組み合わせにより2種以上を任意の比率で組み合わせることが重要である。
[テトラアルコキシシラン]
テトラアルコキシシランの種類に制限は無い。好適なものの例を挙げると、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ(n−プロポキシ)シラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ(n−ブトキシ)シラン、テトラ(t−ブトキシ)シラン、テトラ(n−ペントキシ)シラン、テトラ(イソペントキシ)シランなどが挙げられる。また、テトラアルコキシシラン類の例としては、前記のテトラアルコキシシラン類の加水分解物及び部分縮合物(オリゴマー等)なども挙げられる。
上記粗乾燥工程におけるシリカ系前駆体の安定性の観点では、テトラメトキシシラン及びテトラエトキシシラン並びにそれらのオリゴマーが好ましく、テトラエトキシシランがさらに好ましい。
ただし、テトラアルコキシシランは経時的に加水分解及び部分縮合を生じやすいため、テトラアルコキシシラン類のみを用意した場合でも、通常はそのテトラアルコキシシラン
類の加水分解物及び部分縮合物がテトラアルコキシシランと共存することが多い。
なお、テトラアルコキシシランは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
[モノアルキルトリアルコキシシラン]
モノアルキルトリアルコキシシランの種類に制限は無い。好適なものの例を挙げると、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリ−n−プロポキシシラン、トリイソプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、フルオロトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリ−n−プロポキシシランフルオロトリエトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、ペンタフルオロエチルトリメトキシシラン、また、ケイ素原子に置換するアルキル基が反応性官能基を有する3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−カルボキシプロピルトリメトキシシラン等がある。
さらに前記のモノアルキルトリアルコキシシランの加水分解物及び部分縮合物(オリゴマー等)なども挙げられる。
[モノアリールトリアルコキシシラン]
モノアリールトリアルコキシシランの種類に制限は無い。好適なものの例を挙げると、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリ−n−プロポキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン等がある。
さらに前記のモノアリールトリアルコキシシランの加水分解物及び部分縮合物(オリゴマー等)なども挙げられる。
[ジアルキルジアルコキシシラン]
ジアルキルジアルコキシシランの種類に制限は無い。好適なものの例を挙げると、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルジ−n−プロポキシシラン、メチルジイソプロポキシシラン、エチルジメトキシシラン、エチルジエトキシシラン、エチルジ−n−プロポキシシラン、エチルジイソプロポキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジ−n−プロポキシシラン、ジメチルジイソプロポキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジ−n−プロポキシシラン、ジエチルジイソプロポキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルエトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−プロピルジイソプロポキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソプロピルエトキシシラン、ジイソプロピルジ−n−プロポキシシラン、ジイソプロピルジイソプロポキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルエトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−ブチルジイソプロポキシシラン、ジ−sec−ブチルジメトキシシラン、ジ−sec−ブチルエトキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−sec−プロポキシシラン、ジ−sec−ブチルジイソプロポキシシラン、ジ−tert−ブチルジメトキシシラン、ジ−tert−ブチルエトキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−n−プロポキシシラン、ジ−tert−ブチルジイソプロポキシシラン等がある。
さらに前記のジアルキルジアルコキシシランの加水分解物及び部分縮合物(オリゴマー等)なども挙げられる。
[ジアリールジアルコキシシラン]
ジアリールジアルコキシシランの種類に制限は無い。好適なものの例を挙げると、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジ−n−プロポキシシラン、ジフェニルジイソプロポキシシラン等がある。
さらに前記のジアリールジアルコキシシランの加水分解物及び部分縮合物(オリゴマー等)なども挙げられる。
[トリアルキルアルコキシシラン]
トリアルキルアルコキシシランの種類に制限は無い。好適なものの例を挙げると、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリ−n−プロピルメトキシシラン、トリ−n−プロピルエトキシシラン等がある。
さらに前記のトリアルキルアルコキシシランの加水分解物及び部分縮合物なども挙げられる。
[トリアリールアルコキシシラン]
トリアリールアルコキシシランの種類に制限は無い。好適なものの例を挙げると、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン等がある。
さらに前記のトリアリールアルコキシシランの加水分解物及び部分縮合物なども挙げられる。
[他のアルコキシシラン類]
他のアルコキシシラン類を挙げると、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,4−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,3,5−トリス(トリメトキシシリル)ベンゼン等の有機残基が2つ以上のトリアルコキシシリル基を結合したものがある。さらに前記のアルコキシシランの加水分解物及び部分縮合物(オリゴマー等)なども挙げられる。
[好ましい組み合わせ]
中でも多孔質構造の骨格を強固にするためには、テトラアルコキシシラン、モノアルキルトリアルコキシシラン、モノアリールトリアルコキシシラン、ジアルキルジアルコキシシラン、ジアリールジアルコキシシランのいずれかを含むことが好ましく、テトラアルコキシシランを含むことがより好ましい。
さらに、多孔質体の耐環境性の観点では、芳香族炭化水素基又は脂肪族炭化水素基を有する、モノアルキルトリアルコキシシラン、モノアリールトリアルコキシシラン、ジアルキルジアルコキシシラン、ジアリールジアルコキシシランのいずれかを含むことが好ましい。具体的には、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエチルシランなどが好ましいものとして挙げられる。
また、ゾルーゲル反応の制御という観点では、その組み合わせとしては、テトラアルコキシシランとモノアルキルトリアルコキシシラン又はモノアリールトリアルコキシシランとの組み合わせ、モノアルキルトリアルコキシシラン同士、モノアリールトリアルコキシシラン同士が好ましい。
基材への濡れ性の観点では、テトラアルコキシシランとジアルキルジアルコキシシラン又はジアリールジアルコキシシランとの組み合わせ、モノアルキルトリアルコキシシラン又はモノアリールトリアルコキシシランと、ジアルキルジアルコキシシラン又はジアリールジアルコキシシランとの組み合わせが好ましい。
膜の平滑性向上の観点からは、3種以上のアルコキシシラン類を用いることが好ましい。
[アルコキシシラン類の比率]
本発明で用いるシリカ系組成物において、2種以上のアルコキシシラン類を組み合わせる比率は、本発明の効果を著しく損なわない限り、特に制限はないが、例えば、2種のアルコキシシラン類を用いた場合、形成されるシリカ系多孔質膜の耐水性の観点から、全加水分解基含有シランのケイ素原子換算で、2:8〜8:2が好ましく、3:7〜7:3がより好ましく、4:6〜6:4がさらに好ましく、5:5がもっとも好ましい。この比率は、アルコキシシラン、その加水分解物及び縮合物の合計での比率である。
さらに、多孔質構造の骨格を強固する観点では、テトラアルコキシシランを含むことが有効であり、その比率はテトラアルコキシシラン由来のケイ素原子の割合が、全加水分解基含有シランのケイ素原子に対して、通常0.15(mol/mol)以上、好ましくは0.3(mol/mol)以上、より好ましくは0.35(mol/mol)以上であり、また、通常0.9(mol/mol)以下、好ましくは0.8(mol/mol)以下、より好ましくは0.7(mol/mol)以下である。前記の割合が低い場合、製膜時の硬化反応が遅くなり、結果として不均質なシリカ系多孔質体となり、耐磨耗性や耐水性に悪影響を与える可能性がある。一方、前記の割合が高い場合、シリカ系多孔質体中の残存シラノール基が多くなり、製膜時の湿度などの外部環境に影響され易くなり、高い多孔度のシリカ系多孔質体が安定して製造できない可能性がある。
ここで、全加水分解基含有シランのケイ素原子とは、シリカ系組成物に含有されるテトラアルコキシシラン、モノアルキルトリアルコキシシラン、モノアリールトリアルコキシシラン、ジアルキルジアルコキシシラン、ジアリールジアルコキシシラン、トリアルキルアルコキシシラン、トリアリールアルコキシシラン、これらの部分縮合物(オリゴマー等)などが有するケイ素原子の数の合計をいう。したがって、シリカ系組成物が加水分解基含有シラン以外にケイ素原子を有する化合物を含有していたとしても、当該化合物が有するケイ素原子は前記の割合の算出には関与しない。なお、前記の加水分解基含有シランのケイ素原子の割合は、Si−NMRにより測定することができる。
シリカ系組成物中に、ケイ素を含有する化合物(ケイ素原子含有化合物)は、通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、さらに好ましくは1重量%以上含有されていることが好ましく、また通常50重量%以下、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは15重量%以下含有されていることが好ましい。0.01重量%を下回ると、加熱工程においてシリカ前駆体の造膜性が低下する可能性があり、多孔質体の表面性が悪化し、外観不良になる恐れがある。一方、50重量%を越えると基材の平面性の影響を受けやすくなり、製膜工程におけるゾルーゲル反応が面方向で不均一になる恐れがある。
また、得られるシリカ系多孔質体の膜厚制御の観点から、前記ケイ素原子含有化合物や下記に説明する有機高分子などを含む固形分濃度は通常0.02重量%以上であり、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上である。また通常50重量%以下が好ましく、40重量%以下がより好ましく、35重量%以下がさらに好ましい。
2−2.水
本発明で用いるシリカ系組成物は水を含有する。水はゾルーゲル反応においては必須であるが、本発明ではシリカ系組成物の表面張力を制御し、製膜工程において良質なシリカ系前駆体を形成する上で重要な役割をする。用いる水の純度には特に制限はないが、通常は、イオン交換及び蒸留のうち、いずれか一方または両方の処理を施した水を用いればよい。ただし、例えば光学用途積層体のような微小不純物を特に嫌う用途分野に、得られたシリカ系多孔質体を用いる場合には、より純度の高いシリカ系多孔質体が望ましいため、蒸留水をさらにイオン交換した超純水を用いることが好ましい。また、不純物の中でも100nm以上のコンタミはシリカ系組成物におけるゾルーゲル反応の進行に影響を与える恐れがある。例えば0.01μm〜0.5μmの孔径を有するフィルターを通した水を用
いればよい。
水の使用量として、全加水分解基含有シランのケイ素原子に対する水の割合が、通常5(mol/mol)以上、好ましくは8(mol/mol)以上、より好ましくは10(mol/mol)以上、さらに好ましくは11(mol/mol)以上、もっとも好ましくは12(mol/mol)以上とする。全加水分解基含有シランのケイ素原子に対する水の割合が前記の範囲よりも小さいと、シリカ系組成物の表面表力が小さくなってしまい、製膜工程における塗工条件の制約が厳しくなる恐れがある。また、ゾル−ゲル反応のコントロールが難しく、シリカ前駆体の表面性が低下する傾向があり、透明性を損なう可能性がある。なお、水の量は、カールフィッシャー法(電量滴定法)により算出できる。
2−3.アルコール類
本発明で用いるシリカ系組成物はアルコール類を含有する。アルコール類は前記加水分解基含有シラン、その加水分解物、さらには部分縮合物に対して親和性を有するため、多孔質体形成中のゾルーゲル反応を均質に進行させるために重要な役割をする。さらに製膜工程に生じる気−液(組成物)界面、固(基材)−液(組成物)界面において安定した状態を保つことで、良質なシリカ系前駆体をえることができる。
アルコール類の種類に制限は無い。好適なものの例を挙げると、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、2−エトキシエタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどの1価アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどの2価アルコール、グリセリンなどの3価アルコール、シクロヘキサノールなどの脂環式アルコール、ベンジルアルコールなどの芳香族アルコール、などが挙げられる。なお、これらの1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
これらの中でも、含有する加水分解基含有シランの加水分解反応の進行の観点から1価アルコール、2価アルコールが好ましく、1価アルコールがより好ましい。
また、得られるシリカ系多孔質体の表面性の観点から、メタノール、エタノール、1−プロパノール、t−ブタノール、2−プロパノール、2−メチル−1−プロパノール、1−ブタノール、1−ペンタノール、エチルアセテート、酢酸メチル、イソブチルアセテートなどが好ましい。したがって、これらの中から選ばれる少なくとも2種を用いることが好ましい。
また、製膜工程におけるシリカ系前駆体の構造形成を容易にし、基材との濡れ性向上の観点から、沸点は110℃以下が好ましく、100℃以下がより好ましく、90℃以下がさらに好ましい。例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、t−ブタノール、2−プロパノールなどが好ましい。
一方、加熱工程において多孔質構造を変形を抑制する観点から、沸点は100℃以上が好ましく、110℃以上がより好ましく、120℃以上がより好ましい。例えば、2−メチル−1−プロパノール、1−ブタノール、1−ペンタノールが好ましい。
さらに上記の沸点が異なるアルコール類を混合してもよく、その際、各工程における共沸を抑制するために、組み合わせるアルコール類の沸点の差は5℃以上であることが好ましく、10℃以上がより好ましく、20℃以上がさらに好ましい。また、高沸点側のアルコール類の割合は、通常5重量%以上であり、好ましくは10重量%以上、より好ましく
は40重量%以上、さらに好ましくは60重量%以上、特に好ましくは80重量%以上とする。なお、当該割合の上限は通常98重量%である。上限を超えると、得られるシリカ系多孔質体の表面性が低下する恐れがあり、下限を下回ると十分な効果が得られない危険性がある。
2−4.アルコール類以外の有機溶媒
本発明で用いるシリカ系組成物には上記アルコール類以外の有機溶媒を含有してもよい。基材との濡れ性や製膜工程における造膜性をより向上させるために、アルコール類以外の有機溶媒を用いることができる。
好適な有機溶媒の例を挙げると、酢酸メチル、エチルアセテート、イソブチルアセテート、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のエーテル類またはエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−ホルミルモルホリン、N−アセチルモルホリン、N−ホルミルピペリジン、N−アセチルピペリジン、N−ホルミルピロリジン、N−アセチルピロリジン、N,N’−ジホルミルピペラジン、N,N’−ジホルミルピペラジン、N,N’−ジアセチルピペラジン等のアミド類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;テトラメチルウレア、N,N’−ジメチルイミダゾリジン等のウレア類;ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。
また、有機溶媒全体の使用量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。ただし、通常0.05重量%以上、中でも0.1重量%以上が好ましく、1重量%以上がより好ましく、10重量%以上がさらに好ましい。また、通常50重量%以下、中でも40重量%以下が好ましく、30重量%以下がより好ましい。有機溶媒の使用量が少なすぎても、多すぎても十分な効果を得られない可能性がある。
2−5.有機高分子
本発明の製造方法で用いるシリカ系組成物には有機高分子を含有する。有機高分子はシリカ系前駆体でシリカ成分と構造を形成し、加熱工程で除去されることで多孔質構造が得られる。
有機高分子の種類は本発明の効果を著しく損なわない限り特に制限はないが、例えば、(メタ)アクリレート系高分子、ポリアンハイドライド系高分子、ポリエーテル系高分子、ポリカーボネート系高分子、ポリエステル系高分子が挙げられる。
(メタ)アクリレート系高分子は、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、それらの誘導体より構成される。具体例として、ジエチレングリコールアクリレート、ジプロピレングリコールアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、アクリルアミド、ビニルピリジン、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジエチレングリコールメタクリレート、ジプロピレングリコールメタクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、アミルアクリレート、2−メトキシプロピルアクリレート、2−エトキシプロピルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、アミルメタクリレート、2−メトキシプロピルメタクリレート、2−エトキシプロピルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、等が挙げられる。これらは1種または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリアンハイドライド系高分子は、炭素数2以上の脂肪族ジカルボン酸から得られる。具体例として、ポリマロニックアンハイドライド、ポリスクシニックアンハイドライド、ポリオキサリックアンハイドライド、ポリグルタリックアンハイドライド等、それらのメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステルが挙げられる。これらは1種または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリエーテル系高分子は、炭素数2以上のポリアルキレングリコール化合物から構成される。具体例として、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリペンタメチレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体、ポリエチレングリコール−ポリテトラメチレングリコールブロック共重合体、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコールブロック共重合体等、それらのメチルエーテル、エチルエーテル;ポリエチレングリコールモノ−p−メチルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールモノ−p−エチルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールモノ−p−プロピルフェニルエーテル、それらのメチルエーテル、エチルエーテル;ポリエチレングリコールモノペンタン酸エステル、ポリエチレングリコールモノヘキサン酸エステル、ポリエチレングリコールモノヘプタン酸エステル、それらのメチルエーテル、エチルエーテル等が挙げられる。これらは1種または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリカーボネート系高分子は、炭素数2以上の脂肪族ポリカーボネートであり、具体例として、ポリエチレンカーボネート、ポリプロピレンカーボネート、ポリトリメチレンカーボネート、ポリペンタメチレンカーボネート、それらのメチルエーテル、エチルエーテルが挙げられる。これらは1種または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリエステル系高分子は炭素数2以上の脂肪族鎖及びエステル結合からなる化合物で構成されている。具体例として、ポリエチレンオキサレート、ポリエチレンマロネート、ポリエチレンスクシネート、ポリエチレングリタレート、ポリプロピレンオキサレート、ポリプロピレンマロネート、ポリプロピレンスクシネート、ポリプロピレングリタレート、これらのメチルエーテル、エチルエーテル、プロピルエーテル等が挙げられる。これらは1種または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
多孔質構造形成の観点から有機高分子の重量平均分子量は、通常1,000以上であり、2,000以上が好ましく、3,000以上がより好ましく、5,000以上が特に好ましい。重量平均分子量が小さすぎると、加熱工程におけるシリカ成分のゾル−ゲル反応によって構造変形してしまい、膜歪みの増大や十分な多孔度が得られない可能性がある。一方、重量平均分子量の上限に制限はないが、通常100,000以下、好ましくは70,000以下、より好ましくは40,000以下である。重量平均分子量が大きすぎるとシリカ系組成物の吐出性が低下する可能性がある。
シリカ系組成物のポットライフ、製膜工程におけるシリカ系組成物の安定性の観点から、(メタ)アクリル系高分子、ポリエーテル系高分子が好ましく、ポリエーテル系高分子がより好ましい。中でも加水分解基含有シランとの親和性の観点から、ポリエーテル系高分子を構成する繰り返し単位のアルキレングリコール化合物の炭素数2〜4が好ましく、2若しくは3がより好ましい。
さらに2種以上のアルコキシシラン類と形成するシリカ系前駆体の構造を製膜工程から加熱工程まで安定に維持するためには炭素数の異なるアルキレングリコール化合物を組み合わせた共重合体が好ましい。この際、炭素数の短い、つまり加水分解基含有シランのシラノール基との親和性の高いアルキレングリコール化合物の共重合体中の含有量は、本発
明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常20重量%以上、好ましくは23重量%以上、より好ましくは25重量%以上であり、また、通常90重量%以下、より好ましくは85重量%以下である。上記の範囲に収まることで、加水分解基含有シランのゾル−ゲル反応中において形成される加水分解基含有シランの加水分解物や縮合物に対して、有機高分子がさらに安定に存在することができる。
シリカ系組成物に含有される有機高分子は、0.1重量%以上であることが好ましく、1重量%以上であることがより好ましく、1.2重量%以上がさらに好ましく、1.4重量%以上が特に好ましい。これは製膜工程における加水分解基含有シランのゾルーゲル反応を安定にし、製造することができる。上限値に制限はないが、50重量%以下が好ましく、40重量%以下がより好ましく、30重量%以下が特に好ましい。上限値を超えるとシリカ系組成物の増粘が急激になり、造膜性が低下する可能性がある。
2−6.界面活性剤
本発明で用いるシリカ系組成物には、本発明の効果を著しく損なわない限りは界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤とは公知の何れを用いることができる。特に基材の大面積化においては、添加することで造膜性が著しく向上する場合がある。その種類、組み合わせ、比率には特に制限はなく、以下の2種以上の界面活性剤を用いてもよい。具体的な例として、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリイソブチレングリコールなどのノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、親油基がフッ化炭素基のフッ素系界面活性剤、親油基がシロキサン鎖のシリコーン系界面活性剤、親油基がアルキル基の界面活性剤等から2種以上が選択されることが好ましく、中でもノニオン系界面活性剤とフッ素系界面活性剤(特にパーフルオロアルキル基を含有するもの)との組合せ、及びノニオン系界面活性剤とシリコーン系界面活性剤(特にシロキサン結合を含有するもの)との組合せから選択されることが好ましい。これらの界面活性剤の親水基は、例えば、水酸基、カルボニル基、カルボキシル基等が好ましい。またポリエーテル、ポリグリセリン等も好ましい。
フッ素系界面活性剤として、例えば、ヘキサエチレングリコール(1,1,2,2,3,3−ヘキサフロロペンチル)エーテル、1,1,2,2−テトラフロロオクチル(1,1,2,2、−テトラフロロプロピル)エーテル、パーフロロドデシルスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。
またシリコーン系界面活性剤として、例えばSH21シリーズ、SH28シリーズ(東レ・ダウコーニング株式会社)などが挙げられる。
また、全加水分解基含有シランのケイ素原子に対する界面活性剤の割合として、得られるシリカ系多孔質膜の表面性の観点から、通常0.001(mol/mol)以上、好ましくは0.002(mol/mol)以上、より好ましくは0.003(mol/mol)以上、また、通常0.05(mol/mol)以下、好ましくは0.04(mol/mol)以下、より好ましくは0.03(mol/mol)以下となるようにする。
2−7.触媒
シリカ系組成物には触媒を含有していてもよく、例えば上述した加水分解基含有シランの加水分解および脱水縮合反応を促進させる物質を任意に用いることができる。
その例を挙げると、フッ酸、燐酸、ホウ酸、塩酸、硝酸、硫酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、メチルマロン酸、ステアリン酸、リノレイン酸、安息香酸、フタル酸、クエン酸、コハク酸などの酸類;アンモニア、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類;ピリジンなどの塩基類;アルミニウムのアセチルアセトン錯体などのルイス酸類;などが挙げられる。
また、触媒の例としては、金属キレート化合物も挙げられる。この金属キレート化合物
の金属種としては、例えば、チタン、アルミニウム、ジルコニウム、スズ、アンチモン等が挙げられる。金属キレート化合物の具体例としては、以下のようなものが挙げられる。
アルミニウム錯体としては、例えば、ジ−エトキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジ−n−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジ−イソプロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジ−n−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジ−sec−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジ−tert−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノエトキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノ−n−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノ−n−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノ−sec−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノ−tert−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジエトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジ−n−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジイソプロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジ−n−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジ−sec−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジ−tert−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノエトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノ−n−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノ−sec−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノ−tert−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム等のアルミニウムキレート化合物等を挙げることができる。
チタン錯体としては、トリエトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−n−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリイソプロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−n−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−sec−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−tert−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、ジエトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−n−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−n−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−sec−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−tert−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、モノエトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−n−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノイソプロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−n−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−sec−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−tert−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、テトラキス(アセチルアセトナート)チタン、トリエトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−n−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリイソプロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−n−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−sec−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−tert−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、ジエトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−n−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−sec−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−tert−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、モノエトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−n−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノイソプロポキシ
・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−sec−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−tert−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、テトラキス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ(アセチルアセトナート)トリス(エチルアセトアセテート)チタン、ビス(アセチルアセトナート)ビス(エチルアセトアセテート)チタン、トリス(アセチルアセトナート)モノ(エチルアセトアセテート)チタン等を挙げることができる。
上述したものの中でも、アルコキシシラン化合物の加水分解および脱水縮合反応をより容易に制御するためには、酸類若しくは金属キレート化合物が好ましく、酸類がさらに好ましい。
なお、触媒は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
触媒の使用量は本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。ただし、加水分解基含有シランに対して、通常0.001mol倍以上、中でも0.003mol倍以上、特には0.005mol倍以上が好ましく、また、通常0.8mol倍以下、中でも0.5mol倍以下、特には0.1mol倍以下が好ましい。触媒の使用量が少なすぎると加水分解反応が適度に進まず、製造後にシリカ系多孔質体中にシラノール基などの活性基が残存しやすくなり、シリカ系多孔質体の耐水性が低下する可能性があり、多すぎると反応制御が困難になり、製造中に触媒濃度が更に高くなることで、シリカ系多孔質体の表面性が低下する可能性がある。
また、造膜性の観点で組成物のpHが6以下であることが好ましい。より好ましくは5以下、さらに好ましくは3以下、特に好ましくは2以下である。この範囲にすることで製造時に基材の表面改質を同時に行うことができ、より造膜性が向上する傾向になる。
2−8.その他
本発明で用いるシリカ系組成物には、上述したアルコキシシラン化合物、アルコール類、水、有機高分子以外の成分を含有していても良い。また、当該成分は1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
2−9.シリカ系組成物の調製
上述した組成物を構成する各成分を混合して、シリカ系組成物を調製する。この際、各成分の混合の順番に制限は無い。また、各成分は、全量を一回で混合しても良く、2回以上に分けて連続又は断続的に混合しても良い。
ただし、従来、制御困難とされているゾル−ゲル反応を制御して、シリカ系組成物をより工業的に調合するためには、以下の要領で混合することが好ましい。即ち、2種以上のアルコキシシラン類からなる加水分解基含有シラン、水及び溶媒を混合し、その混合物を一定のゾルーゲル反応(熟成)させることで加水分解基含有シランをある程度加水分解及び脱水重縮合させる。そして、その混合物に有機高分子を混合してシリカ系組成物を調合する。これにより、ゾル−ゲル反応条件下で、加水分解基含有シランと有機高分子との親和性を維持することができる。なお、熟成は前記の混合物と有機高分子とを混合した後で行なってもよい。
前記熟成の際、加水分解基含有シランの加水分解・脱水重縮合反応を進めるためには、加熱することが好ましい。加熱条件として、用いる溶媒の沸点を超えなければ、特に制限は無いが、通常30℃以上、中でも40℃以上、50℃以上とすることがさらに好まく、55℃以上とすることがもっとも好ましい。加熱温度が低すぎると反応時間が極度に長くなり、生産性が低下する可能性がある。一方、加熱温度の上限は、120℃以下が好ましく、110℃以下がより好ましい。120℃を超えると組成物中の有機溶媒及び水が沸騰
し、分解・脱水重縮合反応を制御できなくなる可能性がある。
また、加熱を伴う熟成時間に制限は無いが、通常10分以上、好ましくは20分以上、より好ましくは30分以上、より好ましくは60分以上、また、通常20時間以下、好ましくは15時間以下、より好ましくは8時間以下、さらに好ましくは4時間以下である。熟成時間が短すぎると均一に反応を進めることが難しくなる可能性があり、長すぎると溶媒の揮発が無視できなくなり、組成比が変化してシリカ組成物の安定性が低くなる可能性がある。
さらに、熟成時の圧力条件に制限は無いが、通常は常圧で熟成を行なうことが好ましい。圧力が変化すると溶媒の沸点も変化し、熟成中の溶媒が揮発(蒸発)することで、組成比が変化して、シリカ系組成物の安定性が低くなる可能性がある。
また、熟成後、塗布工程前に用いる組成物は有機溶媒を更に混合して希釈することが好ましい。これにより、シリカ系組成物内でのゾル−ゲル反応速度を低下させることができ、シリカ系組成物のポットライフを長く維持することが可能となる。また、シリカ系多孔質体の製造における歩留まりの観点では、加熱を伴わない熟成を行うことが好ましい。加熱を伴わない熟成は、シリカ系組成物の調製後に行ってもよい。
シリカ系組成物のポットライフの観点では、中和工程を行ったり、触媒除去工程を行ってもよい。
3.基材
本発明のシリカ系多孔質体の製造方法に用いられる基材は平面度がある一定を満たす必要があるが、その他の要件に対しては用途に応じて任意のものを用いることができる。
中でも、汎用材料からなる透光基材を用いることが好ましい。なお、透光基材とは、所定の波長の光の透過性が高い基材をいうこととし、該波長は、透光基材の用途に応じて適宜選択される。透光基材の波長550nmの全光線透過率は、通常65%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは75%以上である。また、透光基材は性能に影響を及ぼさない限り、散乱やヘーズを有していてもよい。なお、該波長は、可視光の範囲に限定されないが、ディスプレイ、太陽電池、太陽熱発電などの光デバイス、建材や自動車の内外装の用途においては、可視光線領域の高い透過性が好ましい。
基材の材料の例を挙げると、珪酸ガラス、高珪酸ガラス、珪酸アルカリガラス、鉛アルカリガラス、ソーダ石灰ガラス、カリ石灰ガラス、バリウムガラスなどの珪酸塩ガラス、硼珪酸ガラスやアルミナ珪酸ガラス、燐酸塩ガラスなどのガラス及びこれらの強化ガラス;ポリメチルメタクリレート、架橋アクリレート等のアクリル樹脂、ビスフェノールAポリカーボネート等の芳香族ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリシクロオレフィン等の非晶性ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン等のスチレン樹脂、ポリエーテルスルホン等のポリスルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂等の合成樹脂、エチレン・四フッ化エチレン共重合体、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニルなどのフッ素含有樹脂などが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上を任意の組合せで用いることができる。
中でも寸法安定性の観点では、ガラス、芳香族ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂が好ましく、耐候性の観点から、フッ素含有樹脂、ソーダ石灰ガラス、芳香族ポリカーボネート樹脂、非晶性ポリオレフィン樹脂が好ましい。さらに、耐衝撃性の観点から強化ガラス、芳香族ポリカーボネート樹脂を使用することも好ましい。
例えば基材として太陽電池用カバーガラスを用いる場合、通常、太陽電池の光エネルギ
ーを取り入れる面、すなわち受光面側の被覆に用いる構成とすることができ、シリカ系多孔質体は透光基材表面の反射防止として機能し、発電出力の向上を実現する。本発明の製造方法により得られる多孔質シリカ体は耐久性に優れているため、このような用途に好適である。なお単結晶太陽電池、多結晶太陽電池などの近赤外光でも光電変換可能な太陽電池に用いられる太陽電池用カバーガラスを透光基材として用いる場合には、通常のソーダ石灰ガラスでは含有される2価の鉄イオンによって近赤外領域に吸収を持つため、鉄イオン含有量を低減することで光透過性を高めることが好ましく、さらに耐衝撃強度が優れた白板強化ガラスを上記透光基材として用いることがより好ましい。
本発明に用いられる基材の寸法は任意である。ただし、透光基材として板状の基板を用いる場合には、当該基板の厚さは、機械的強度及びガスバリア性の観点から、0.01mm以上が好ましく、0.1mm以上がより好ましく、1mm以上がより好ましい。また、当該厚さは、軽量化及び光線透過率の観点から、80mm以下が好ましく、50mm以下がより好ましく、30mm以下が特に好ましい。さらに透光基材の大きさとしては、光学的な効果を得る観点から0.1m以上が好ましく、0.5m以上がより好ましく、1m以上が特に好ましい。上限には特に制限はないが、通常100m以下が好ましく、50m以下がより好ましい。
また、基材の塗工面の中心線平均粗さも任意である。ただし、積層するシリカ系多孔質体の製膜性の観点から、当該中心線平均粗さは10nm以下が好ましく、8nm以下がより好ましく、5nm以下が更に好ましく、3nm以下が特に好ましい。中心線平均粗さは、JIS−B0601:1994に従った汎用の表面粗さ計(例えば、(株)東京精密社製サーフコム570A)により測定される。
また、シリカ系多孔質体がディスプレイに用いる発光デバイス(有機エレクトロルミネッセンス、無機エレクトロルミネッセンス、LEDなど)や太陽電池(単結晶シリコン太陽電池、多結晶シリコン太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池などのシリコン系太陽電池、CIS系太陽電池、CIGS系太陽電池、GaAs系太陽電池などの化合物太陽電池、色素増感太陽電池、有機薄膜太陽電池、また多接合型太陽電池、HIT太陽電池など)などの光デバイスに適用される場合、用いる透光基材の片側、若しくは両面に電極が形成されていてもよい。電極は直接又は他の層を介して透光基材に設けることができる。電極の材料としては、例えばアルミニウム、錫、マグネシウム、金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、白金、又はこれらを含む合金、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化インジウム、酸化亜鉛等が挙げられ、これらは1種単独で、または2種以上を任意の比率及び組合せで用いることができる。中でも透明性の観点で酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化インジウム、酸化亜鉛、又はこれを主組成としたものが好ましい。
またその膜厚は通常10nm以上、好ましくは40nm以上、より好ましくは80nm以上、さらに好ましくは100nm以上である。また通常500nm以下、好ましくは400nm以下、より好ましくは300nm以下、さらに好ましくは200nm以下である。10nmを下回るとシリカ系多孔質体に欠陥ができ易くなる傾向があり、500nmを越えると透明性を損なう可能性がある。
また、透光基材上に有機系透明電極を用いることも可能である。この場合、上記の無機系電極と組み合わせることも可能である。有機系透明電極としては、例えばPEDOT等の導電性高分子を用いることができる。
発光デバイスや太陽電池の用途で用いる場合、透過率が発光効率や発電効率に関連するため、これらの用途に対しては、基材のC光の全透過率を、80%以上とすることが好ましく、83%以上とすることがより好ましく、86%以上とすることがさらに好ましく、
90%以上とすることが特に好ましい。光の透過率が高いほど太陽電池が効率よく発電できるからである。
4.シリカ系多孔質体
シリカ系多孔質体は、シリカを主成分とする多孔質体である。そのシリカ含有量は、本発明の効果を著しく損なわない限り、特に制限はないが、例えば、酸化ケイ素組成において、ケイ素を含む全ての陽性元素に対するケイ素の割合が、通常50mol%以上、好ましくは70mol%以上、より好ましくは80mol%以上、特に好ましくは90mol%以上であることをいう。前記のケイ素の含有割合が少なすぎると、シリカ系多孔質体の表面粗さが大きくなり、機械的強度も低下する可能性がある。また、ケイ素の含有割合が高いほど表面平滑性のよいシリカ系多孔質体が形成される。なお、上限は理想的には100mol%である。
[厚さ]
本発明の製造方法で得られるシリカ系多孔質体の厚さには特に制限はないが、光学機能層として用いるためには、0.05〜10μmが好ましく、0.08〜8μmがより好ましく、0.1〜5μmがさらに好ましく、0.13〜3μmがもっとも好ましい。0.05μmより薄いと、基材の平面度を著しく向上させる必要があり、特に基材の大面積化の観点で、製膜工程が困難になる場合がある。一方、10μmを越えると、膜厚方向における多孔質構造が不均質になり、多孔質体に歪みが残存し易くなる可能性がある。なお、測定は触針式段差・表面粗さ・微細形状測定装置(ケーエルエー・テンコール社製:P−15)を用い、測定条件はスタイラス・フォース(触圧)0.2mg、スキャン速度10um/秒とした。
[形状]
本発明の製造方法で得られるシリカ系多孔質体の形状は特に制限はないが、膜状であることが好ましい。シリカ系多孔質体の厚さは上記の膜厚と同様とすることができる。また、シリカ系多孔質体を光学機能層として使用する場合、シリカ系多孔質体は一定サイズ以上の基材に備えることが好ましい。即ち0.0025m以上が好ましく、0.05m以上がより好ましく、0.1m以上がさらに好ましく、1m以上がもっとも好ましい。かかるサイズより小さいと、光学特性が十分に現れない可能性がある。
[屈折率]
本発明の製造方法で得られるシリカ系多孔質体は、光学機能層として高い光学特性を発現するためには、屈折率が1.40以下であることが好ましい。中でも、1.35以下が好ましく、1.28以下がより好ましく、1.25以下が特に好ましい。さらに好ましくは1.23以下である。屈折率が大きすぎると本発明の多孔質体中の歪みが大きくなり、外力に対して弱くなる可能性がある。また、十分な光学効果が得られない可能性がある。一方、屈折率の下限に特に制限は無いが、通常1.05以上、好ましくは1.10以上である。屈折率が小さすぎると本発明のシリカ系多孔質体の機械的強度が著しく低下する可能性がある。
なお、屈折率は、分光エリプソメーター法、反射率測定、反射分光スペクトル測定或いはプリズムカプラーなどの光学的手法で測定された波長400nm〜700nmにおける値をいい、好ましくは分光エリプソメーターで測定されたものをいう。分光エリプソメーターで測定する場合、測定値をCauthyモデルまたはTauc−Lorentzモデルでフィッティングすることで、屈折率を見積もることができる。
[平滑性]
本発明の製造方法で得られるシリカ系多孔質体は、算術表面粗さRaが通常20nm以
下であることが好ましく、好ましくは15nm以下、より好ましくは7nm以下であることが好ましい。さらに5nm以下が好ましく、3nm以下が中でも好ましく、1nm以下が特に好ましい。算術表面粗さRaが大きすぎるとシリカ系多孔質体の均質性が低下するとともに、製膜時に生じる膜中の歪みが残存している可能性がある。こうした多孔質体は耐久性や耐環境性に劣ることがある。一方、算術表面粗さRaの下限に制限は無いが、通常0.2nm以上、好ましくは0.3nm以上である。表面粗さRaが小さすぎるとシリカ系多孔質体の歪みが大きくなる可能性があり、耐衝撃性が悪化する可能性がある。こうした平滑性を有することで、他の機能層との積層が容易となる優れた光学機能層として利用できる。
なお、算術表面粗さRaは、JIS B0601:2001に規定されている基準に基づき、ケ−エルエー・テンコール社製P−15型接触式表面粗さ計を用いて、1走査距離0.5μmの条件で数回測定した平均値を算出して求めることができる。
[表面性]
本発明の製造方法で得られるシリカ系多孔質体は、用途に応じて、他の層や基材と積層構成とする必要がある。こうした場合、表面の静的接触角を制御することが好ましく、具体的には、350℃、1時間の加熱処理後の水に対する静的接触角が、通常25°以上、中でも30°以上、特には33°以上であることが好ましく、また、通常90°以下、中でも87°以下、更には85°以下、特には82°以下が好ましい。前記の静的接触角が小さすぎると、シリカ系多孔質体の親水性が高くなりすぎて、その表面に水分が吸着しやすくなり、他の層との密着性が低下する可能性がある。一方、前記の静的接触角が大きすぎると、シリカ系多孔質体の表面が疎水状態となり、積層する層や基材の制限が大きくなる可能性がある。
なお、前記の静的接触角は、以下の要領で測定できる。即ち、本発明のシリカ系多孔質体を大気雰囲気下で、350℃、1時間だけ加熱する。その後、常温・常湿の雰囲気下で除冷した後、水滴の静的接触角を測定する。静的接触角は、水滴をシリカ系多孔質体の表面に滴下させ、その際の水滴の接触角を測定する。測定は常温・常湿の雰囲気下で行ない、水滴サイズ2μlを滴下し、1分以内に測定、これを5回以上繰り返し、その平均値を前記の静的接触角として求める。なお、加熱はホットプレート若しくはオーブンで行なえばよい。
[耐水性]
本発明の製造方法で得られるシリカ系多孔質体は、本発明のシリカ系多孔質体を膜状にして光学用途に使用する場合には、光学膜厚(屈折率と膜厚の積)を制御することが重要であるため、水中に浸漬処理の前後での膜厚の変化が少ない方が好ましい。具体的には、水浸漬処理の前後での膜厚の変化率は、50%以下が好ましく、30%以下がより好ましく、20%以下が更に好ましく、10%以下が特に好ましい。変化率が大きすぎると光学用途の適用において性能が低下する可能性がある。水浸漬処理とは常温(25℃)の水に24時間浸漬することである。
なお、膜厚の測定は、ケーエルエー・テンコール社製P−15型接触式表面粗さ計を用い、測定条件はスタイラス・フォース(触圧)0.2mg、スキャン速度10μm/秒として行なえばよい。また分光エリプソメーター、反射分光スペクトル法、プリズムカプラによっても評価できる。
また、シリカ系多孔質体は、水浸漬処理した後にクラックが少ないものが好ましく、そのクラックは目視若しくは光学顕微鏡で観測できる。具体的には、常温(25℃)の水に24時間浸漬した後のクラックのサイズが100μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましい、1μm以下がさらに好ましい。100μmを越えると基材との密着性の低下やヘーズが大きくなる可能性がある。さらに1mm×1mm内に前記クラックが存在しな
い領域の面積合計がシリカ系多孔質体表面に対して50%以上であることが好ましく、70%以下がより好ましく、85%以上がさらに好ましい。50%未満の場合、光学用途として光学性能の安定性や外観が低下する可能性がある。
また、耐湿熱性の評価として、「高温高湿処理」もある。即ち、本発明の製造方法で得られたシリカ系多孔質体の波長550nmにおける屈折率n1を事前に測定した後、このシリカ系多孔質体を温度85℃、湿度85%RH、又は温度60℃、湿度90%RHの条件下に静置し、500時間後に取り出す。その後、このシリカ系多孔質体の波長550nmにおける屈折率n2を再度測定する。このときの屈折率差の絶対値Δn´=|n2−n1|が前記の屈折率差となる。屈折率差は0.001〜0.15が好ましく、0.003〜0.12がより好ましく、0.005〜0.1が更に好ましく、0.008〜0.08が特に好ましい。
[多孔性構造]
本発明の製造方法で得られるシリカ系多孔質体は、屈折率を低く維持するために空孔を有した多孔質構造を有する。その構造は特に制限はなく、その空孔は、通常、トンネル状や独立空孔がつながった連結孔であるが、詳細な空孔の構造にも特に制限はない。ただし、当該空孔の構造としては連続的な空孔が好ましく、こうした連続的な空孔は電子顕微鏡により確認することができる。
また、機械強度の高い骨格とするためには、規則構造を有さない方がよく、具体的には、XRDパターン(X線回折パターン)において、回折角(2θ)=0.5°〜10°の領域に、回折ピーク強度(面積)が標準偏差の2倍(即ち、2σ)以上の回折ピークを有さないことが好ましい。ここで、回折ピークとは、以下の定義により算出される周期構造サイズDが10Å以上となる回折ピークをいう。また、σは標準偏差を表わす。
周期構造サイズDは、下記式(i)に示すScherrer式に基づき算出できる。なお、式(i)において、Scherrer定数Kは0.9であり、測定に用いたX線波長をλとする。ブラッグ角θおよび実測半価幅βoは、それぞれプロファイルフィティング法により算出する。試料由来の半価幅βは、下記式(ii)を用いて補正計算する。標準Siの回折ピークより計算した実測半価幅の回帰曲線を作成し、該当する角度の半価幅を読み取り装置由来半価幅βiとする。なお、Dの単位はÅ(オングストローム)であり、β、βo及びβiの単位はラジアンとする。
Figure 0005621486
Figure 0005621486
標準偏差σは、以下のように定義される。
Figure 0005621486
また、空孔サイズや空隙率は調整することで、屈折率、誘電率、密度を調整することができ、それらを調整することで、光学用途の他にも、様々な用途にも応用することができる。
空孔サイズには特に制限はないが、平均空孔サイズは0.1〜300nmを適度に有することで、機械強度の優れた多孔質体となる。好ましくは0.5〜200nmが好ましく、0.8〜100nmがさらに好ましく、1〜80nmがもっとも好ましい。小さすぎると毛管力により空孔内に水蒸気が入り、それにより屈折率が変化したり、光学特性に影響を与える恐れがある。一方、大きすぎると、表面に欠陥ができ、表面性が悪化したり、散乱等のヘーズが生じる危険性がある。
空隙率には特に制限はないが、平均空隙率は10〜90%が好ましく、平均空隙率は20〜85%がより好ましく、平均空隙率は30〜80%がさらに好ましい。小さすぎると屈折率が低くならず、十分な光学特性が得られない恐れがある。一方、大きすぎると、表面に欠陥ができ、表面性が悪化したり、散乱等のヘーズが生じる危険性がある。
[基材上の積層体]
上記基材に設けられた本発明で得られるシリカ系多孔質体を備えることで積層体を構成することができる。通常、膜状に形成される。必要に応じて、基材及びシリカ系多孔質体以外の部材を備えてもよい。
[他の層との組み合わせ]
他の層と組み合わせることもでき、用いられる用途に応じて適宜選択され、他の層と組み合わせることで、上記の表面反射防止膜の他に、紫外線反射膜、近赤外線反射膜、赤外線反射膜等、さらには、ディスプレイ等の発光デバイスに適用することで光取り出し膜(または輝度向上膜)としても用いることができる。組み合わせる他の層の具体例として、高屈折率層、散乱層、金属層、偏光層、熱線遮断層、紫外線劣化防止層、親水性層、防汚性層、防曇層、防湿層、防曇層、光触媒層、耐腐食層、耐指紋性層、接着層、ハード層、ガスバリア層、導電性層、アンチグレア層、拡散層等が挙げられる。これらの層は、透光基材のいずれの面に形成されていてもよく、またシリカ系多孔質体上に積層されていてもよい。なお、これらの層は光学フィルター中に、1種単独で用いてもよく、また2種以上を任意の組合せで用いてもよい。また、特性に影響を及ぼさない限り、上記の各構成間に他の層があっても構わない。
5.本発明の利点
本発明のシリカ系多孔質体の製造方法によれば、シリカ系多孔質膜体を、基材の制約なしに容易に製造でき、さらに得られるシリカ系多孔質体は低屈折率であるため、光学的な効果が非常に大きい。また該シリカ系多孔質体は耐久性にも優れているため、ディスプレイ、太陽電池、太陽熱発電などの光デバイス、建材や自動車の内外装に用いられる低反射層、反射防止層、光制御層などの光学機能層に好適であり、特にディスプレイ、太陽電池などの光デバイスの光学機能層として有用である。
[実施例1]
〔シリカ系組成物の調製〕
メチルトリエトキシシラン(以下、MTES)3.6g、MS51(三菱化学製テトラメトキシシランオリゴマー)3.6gの2種類のアルコキシシラン類、エタノール1.4g、水8.8g、及び、触媒として、1Nの塩酸水溶液0.5gを混合し、63℃のウォータバス中で30分間熟成し、さらに室温で30分攪拌することでシリカ反応物を調製した。
シリカ反応物に、有機高分子として、ポリエチレングリコール6000(以下、PEG6000、分子量6,000)3.1g、エタノール2g、を混合し、室温下で60分攪拌することで、シリカ系組成物を調製した。
このシリカ系組成物を冷蔵庫で24時間保管後、エタノール(希釈溶媒)で5倍に希釈することで、シリカ系組成物を得た。
〔シリカ系多孔質体の製造〕
[製膜工程]
得られたシリカ系組成物を基材として100mm角のゾーダガラス基材(平面度=4μm、中心線平均粗さ=0.9nm)に対してスピンコーター(ミカサ製MS−A150)
で塗布し、各評価を行った。結果を表−1に示す。
スピンコーターは、回転数500rpm、回転時間120秒、塗布液量2mlとした。塗布終了後、塗布膜が形成されたガラス基材を1分間静置し、乾燥を行うことで、シリカ系前駆体を形成した。
[加熱工程]
次に400℃に設定したホットプレート上に前記シリカ系前駆体を積層したガラス基材を置き、大気雰囲気下で1分間加熱することで、シリカ系多孔質体を得た。
[屈折率、膜厚算出]
分光膜厚計(大塚電子製FE−3000)により、反射率を測定した結果、得られたシリカ系多孔質体の最小反射率は波長580nmにおいて0.0189であり、フレネルの式を用いて屈折率を算出した結果、1.41であった。また、算出した屈折率と前記の波長より膜厚を算出した結果、348nmであった。
[透過率測定]
分光光度計(日立製作所製U−4000)を用いて、波長350〜1500nmの透過率を測定した結果、シリカ系多孔質体を塗布していない基板の可視光透過率及び日射透過率がそれぞれ、91.2%、89.1%であるのに対し、シリカ系多孔質体を塗布した基板では、92.7%、90.5%であった。したがって、可視光透過率及び日射透過率の向上幅は1.5%、1.4%であった。
[表面粗さ測定]
接触式表面粗さ計(KLATencor社製P15)を用いて、シリカ系多孔質体の算術表面粗さRaを測定した結果、16.6nmであった。
このときのスキャンサイズは1000μm、スキャンスピードは20μm/sであった。
[外観評価]
目視により、外観を評価した。良好な外観を得た。
[実施例2]
希釈溶媒にて、希釈倍率7倍とし、アプリケーターを用いて塗布したこと以外は実施例1と同様の操作を行って、シリカ系多孔質体を製造し、各評価を行った。
アプリケーターのGapは10μmとし、基材とGapの間にスポイトを用いてシリカ系組成物を2ml滴下し、任意の速度でアプリケーターを移動させ、ガラス基材に塗布し、加熱することで、極めて良好な外観のシリカ系多孔質体を得た。
結果を表−1に示す。
[実施例3]
MS51の代わりに、テトラエトキシシラン(以下、TEOS)を用い、希釈溶媒としてエタノールの代わりにプロピレングリコールモノメチルエーテル(以下、PGME)を用いた以外は、実施例2と同様の操作を行って、極めて良好な外観のシリカ系多孔質体を得た。各評価の結果を表−1に示す。
[実施例4]
MTESを2.9gとし、ジエトキシジメチルシランを0.7g加えたこと以外は実施例2と同様の操作を行って、極めて良好な外観のシリカ系多孔質体を得た。各評価の結果を表−1に示す。
[実施例5]
希釈溶媒による希釈倍率を20倍とし、スプレーコートしたこと以外は実施例1と同様の操作を行って、良好なシリカ系多孔質体を得た。各評価の結果を表−1に示す。
スプレーコーター本体は武蔵エンジニアリング製、スプレーノズルはアトマックス社製2流体ノズル(型式25S)を使用した。霧化圧力は30kPa、塗布液吐出圧力は2kPa、ノズル移動速度は400mm/sec、基板とノズルの距離は80mmとした。
[実施例6]
MS51の代わりに、テトラエトキシシラン(以下、TEOS)を用い、希釈溶媒としてエタノールを用い、希釈倍率を20倍とし、基材を120mm角のソーダガラス基材(平面度=4μm)とし、ダイコーターで塗布したこと以外は、実施例1と同様の操作を行って、極めて良好な外観のシリカ系多孔質体を得た、各評価の結果を表−1及び表−2に示す。
ダイコートに用いたダイのスリット幅は30μm、Gap40μm、塗工長95mm、塗工幅100mm、ウェット膜厚20μm、塗工停止時間0.4秒とした。
[実施例7]
希釈溶媒にエタノールとPGMEを5:1で混合したものを用い、希釈倍率を24倍とし、ダイのウェット膜厚を10μm、Gapを30μm、塗工停止時間を0.6秒としたこと以外は、実施例6と同様の操作を行って、極めて良好な外観のシリカ系多孔質体を得た。各評価の結果を表−1及び表−2に示す。
[比較例1]
MS51の代わりに、TEOSを用い、希釈溶媒としてエタノールの代わりに1-ブタ
ノールを用い、基材として100mm角の平面度の低い防眩強化ガラス基材(平面度=100μm、中心線平均粗さ=1.2μm)を用いたこと以外は、実施例5と同様の操作を行って、シリカ系多孔質体を得た。
表面の膜厚むらにより干渉色による色むらを有し、光学部材へは適さない外観であった。各評価の結果を表−1に示す。
[比較例2]
TEOSのみ7.3gを添加し、1種のみのアルコキシシラン類からなるシリカ系組成物を用いたこと以外は、実施例2と同様の操作を行って、シリカ系多孔質体を得た。各評価の結果を表−1に示す。製膜による透過率の向上幅は小さく、光学機能が十分でないことがわかる。
Figure 0005621486
上記の結果より、本発明の構成要件を満たすことにより、屈折率も低く、可視光線透過率と日射透過率が共に大きく向上した光学特性を有し、かつ良好な外観と平滑性を有するシリカ系多孔質体を安定して得ることができることがわかった。さらに塗工手段に依らないことで、基板サイズに依存しない生産性に優れたシリカ系多孔質体の製造方法であると言える。また、安定して得られた多孔質体は膜歪も少なく、耐久性も期待でき、低い中心線表面粗さであることにより、積層の容易性もあり、光学機能層としても優れている。
より生産性に優れた方法として、ダイコーターによる製造方法の例を以下に挙げる。特に光学干渉による外観を良好にした例を示す。
[実施例8]
MS51の代わりに、テトラエトキシシラン(以下、TEOS)を用い、希釈溶媒として1−ブタノールを用い、希釈倍率を20倍とし、ガラス基板を120mm角のソーダガラス基材(平面度=4μm)とし、ダイコートで塗布したこと以外は実施例1と同様の操作を行って、シリカ系多孔質体を得た。各評価の結果を表−2に示す。
ダイコートに用いたダイのスリット幅は30μm、Gap40μm、塗工長100mm、塗工幅100mm、ウェット膜厚20μm、塗工停止時間0.6秒とした。
[外観評価]
また、目視による外観評価を行った。結果を表−2に示す。
評価は下記基準で行った。
A=光学干渉による色彩の均一性が高い。
B=光学干渉による色彩がほぼ均一と判断できる。
C=局所的に光学干渉による色彩に違いが見られる。
[屈折率]
分光膜厚計(大塚電子製FE−3000)により、反射率の波長依存性よりシリカ系多孔質体の屈折率を算出する。
○=屈折率が1.35以下
△=屈折率が1.35より大きく、1.40以下
×=屈折率が1.40より大きい
[膜厚]
分光膜厚計(大塚電子製FE−3000)により、反射率の波長依存性よりシリカ系多孔質体の膜厚を算出する。
○=膜厚が0.05〜10μm
×=膜厚が請求範囲外
[実施例9]
ダイのウェット膜厚を25μm、Gapを45μmとしたこと以外は、実施例6と同様の操作を行って、シリカ系多孔質体を得た。目視評価の結果を表−2に示す。
[実施例10]
ダイのウェット膜厚を30μm、Gapを50μmとしたこと以外は、実施例6と同様の操作を行って、シリカ系多孔質体を得た。目視評価の結果を表−2に示す。
[実施例11]
ダイのウェット膜厚を15μm、Gapを35μmとしたこと以外は、実施例6と同様の操作を行って、シリカ系多孔質体を得た。目視評価の結果を表−2に示す。
[実施例12]
ダイのウェット膜厚を20μm、Gapを40μm、塗工停止時間を0.5秒としたこと以外は、実施例6と同様の操作を行って、シリカ系多孔質体を得た。目視評価の結果を表−2に示す。
[実施例13]
ダイのウェット膜厚を30μm、Gapを50μm、塗工停止時間を0.4秒としたこと以外は、実施例6と同様の操作を行って、シリカ系多孔質体を得た。目視評価の結果を表−2に示す。
[実施例14]
基材を無アルカリガラス基材(平面度=8μm)とし、ダイのウェット膜厚を15μm、Gapを35μm、塗工長を80mmとしたこと以外は、実施例6と同様の操作を行って、シリカ系多孔質体を得た。目視評価の結果を表−2に示す。
[実施例15]
基材を無アルカリガラス基材(平面度=8μm)とし、ダイのウェット膜厚を15μm、Gapを35μm、塗工長を95mmとしたこと以外は、実施例6と同様の操作を行って、シリカ系多孔質体を得た。目視評価の結果を表−2に示す。
[実施例16]
希釈溶媒をエタノールとし、塗工停止時間を0.5秒、塗工長を95mmとしたこと以外は、実施例6と同様の操作を行って、シリカ系多孔質体を得た。目視評価の結果を表−2に示す。
[実施例17]
希釈溶媒をエタノールとし、ダイのウェット膜厚を20μm、塗工停止時間を0.4秒、塗工長を85mmとしたこと以外は、実施例6と同様の操作を行って、シリカ系多孔質体を得た。目視評価の結果を表−2に示す。
[実施例18]
希釈溶媒をエタノールとし、ダイのウェット膜厚を30μm、Gapを50μm、塗工停止時間を0.3秒、塗工長を95mmとしたこと以外は、実施例6と同様の操作を行って、シリカ系多孔質体を得た。目視評価の結果を表−2に示す。
[実施例19]
希釈溶媒をエタノールとし、ダイのウェット膜厚を50μm、Gapを60μm、塗工
停止時間を0.3秒、塗工長を95mmとしたこと以外は、実施例6と同様の操作を行って、シリカ系多孔質体を得た。目視評価の結果を表−2に示す。
[実施例20]
希釈溶媒をエタノールとし、ダイのウェット膜厚を40μm、Gapを60μm、塗工停止時間を0.2秒、塗工長を95mmとしたこと以外は、実施例6と同様の操作を行って、シリカ系多孔質体を得た。目視評価の結果を表−2に示す。
[実施例21]
希釈溶媒をエタノールとし、ダイのウェット膜厚を30μm、Gapを50μm、塗工停止時間を0.3秒、塗工長を95mmとしたこと以外は、実施例6と同様の操作を行って、シリカ系多孔質体を得た。目視評価の結果を表−2に示す。
[実施例22]
希釈溶媒をエタノールとし、基材を無アルカリガラス基材(平面度=8μm)とし、ダイのウェット膜厚を25μm、Gapを45μm、塗工停止時間を0.4秒、塗工長を95mmとしたこと以外は、実施例6と同様の操作を行って、シリカ系多孔質体を得た。目視評価の結果を表−2に示す。
[実施例23]
希釈溶媒をエタノールとし、基材を無アルカリガラス基材(平面度=8μm)とし、ダイのウェット膜厚を25μm、Gapを45μm、塗工停止時間を0.35秒、塗工長を95mmとしたこと以外は、実施例6と同様の操作を行って、シリカ系多孔質体を得た。目視評価の結果を表−2に示す。
[実施例24]
希釈溶媒にエタノールとプロピレングリコールモノメチルエーテル(以下、PGME)を5:1で混合したものを用い、希釈倍率を24倍とし、ダイのウェット膜厚を30μm、Gapを50μm、塗工停止時間を0.3秒としたこと以外は、実施例6と同様の操作を行って、シリカ系多孔質体を得た。目視評価の結果を表−2に示す。
[実施例25]
希釈溶媒にエタノールとPGMEを5:1で混合したものを用い、希釈倍率を24倍とし、ダイのウェット膜厚を10μm、Gapを50μm、塗工停止時間を1.0秒としたこと以外は、実施例6と同様の操作を行って、シリカ系多孔質体を得た。目視評価の結果を表−2に示す。
[実施例26]
希釈溶媒にエタノールとPGMEを5:1で混合したものを用い、希釈倍率を24倍とし、ダイのウェット膜厚を30μm、Gapを50μm、塗工停止時間を0.3秒としたこと以外は、実施例6と同様の操作を行って、シリカ系多孔質体を得た。目視評価の結果を表−2に示す。
[実施例27]
希釈溶媒にエタノールとPGMEを5:1で混合したものを用い、希釈倍率を24倍とし、ダイのウェット膜厚を40μm、Gapを60μm、塗工停止時間を0.2秒としたこと以外は、実施例6と同様の操作を行って、シリカ系多孔質体を得た。目視評価の結果を表−2に示す。
[実施例28]
希釈溶媒にエタノールとPGMEを5:1で混合したものを用い、希釈倍率を24倍と
し、ダイのウェット膜厚を30μm、Gapを50μm、塗工停止時間を0.3秒としたこと以外は、実施例6と同様の操作を行って、シリカ系多孔質体を得た。目視評価の結果を表−2に示す。
[実施例29]
希釈溶媒にエタノールとPGMEを5:1で混合したものを用い、基材を液晶用白板ガラス(平面度=8μm)とし、ダイの塗工停止時間を0.4秒としたこと以外は、実施例6と同様の操作を行って、シリカ系多孔質体を得た。目視評価の結果を表−2に示す。
[実施例30]
希釈溶媒にエタノールとPGMEを5:1で混合したものを用い、基材を無アルカリガラス基材(平面度=8μm)とし、ダイの塗工停止時間を0.4秒、塗工長を95mmとしたこと以外は、実施例6と同様の操作を行って、シリカ系多孔質体を得た。目視評価の結果を表−2に示す。
Figure 0005621486
ダイコートにおいて、Gapやウェット膜厚などの塗工条件を制御することで、光学干渉による色彩を最適化することも可能であることもわかる。

Claims (4)

  1. 種以上のアルコキシシラン類からなる加水分解基含有シラン、その加水分解物及び部分縮合物、及び水、アルコール類、有機高分子とを含むシリカ系組成物をJIS B75
    13に準拠した方法で測定される平面度が20μm以下である基材上に塗布した後、100℃以上で加熱することを含むシリカ系多孔質体の製造方法であって、該組成物を基板に塗布する際に、組成物の吐出部を有する塗工ヘッドに設けられたスリットと基板との距離を0.1〜100μmとし、該吐出部から組成物を流延することを特徴とするシリカ系多孔質体の製造方法
  2. 種以上のアルコキシシラン類からなる加水分解基含有シラン、その加水分解物及び部分縮合物、及び水、アルコール類、有機高分子とを含むシリカ系組成物をJIS B75
    13に準拠した方法で測定される平面度が20μm以下である基材上に塗布した後、100℃以上で加熱することを含むシリカ系多孔質体の製造方法であって、塗布する方法が、ダイコーター、バーコーター、テーブルコーター、アプリケーター、ドクターブレードコーターのいずれかを用いることを特徴とするシリカ系多孔質体の製造方法。
  3. シリカ系多孔質体の厚さが、0.05〜10μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載のシリカ系多孔質体の製造方法。
  4. シリカ系多孔質体の屈折率が1.40以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のシリカ系多孔質体の製造方法。
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