JP4461670B2 - 金属粒子包接薄膜の製造方法。 - Google Patents

金属粒子包接薄膜の製造方法。 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属粒子包接薄膜の製造方法に関し、より詳しくは、量子素子、触媒等に好適な金属粒子包接薄膜の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
FSM−16、MCM−41、HMM−1などのメソ細孔を有する粉末担体内に金属細線及び金属粒子を鋳型合成する研究は、近年盛んに行われている(例えば、非特許文献1参照)。このような金属細線及び金属粒子は、物性・化学反応性において特異な挙動を示すと考えられ、規則的に配列した金属細線及び金属粒子を合成することでナノデバイスなどの磁性材料や記憶媒体への応用が期待されている。また、金属が微粒子化しているため、粒子の表面に存在する原子の割合の増加に伴って表面の特異性がマクロな物性として発現し、バルクの金属とは異なる特性を示すことから触媒などへの応用も期待されている。
【0003】
一方、このような金属粒子に関しては、例えば、特表2001−514962号公報(特許文献1)においては、元素の周期律表のIb及びVIIb族の遷移元素群の金属から選択される1種類以上の金属を多孔質担体粒子上に有する触媒を製造する方法を用いることにより、多孔質担体粒子の孔中に1〜100nmの平均粒子径をもつナノ粒子が形成することが開示されている。
【0004】
しかしながら、上記公報記載のように多孔質担体粒子を用いて金属粒子を作製しても、デバイスへの応用のための加工が粉末では困難であり、また粒径が均一でかつ略等間隔で並んだ金属粒子を作製することは困難であった。
【0005】
【特許文献1】
特表2001−514962号公報
【非特許文献1】
A. Fukuoka, Y. Sakamoto, M. Ichikawa et al., J. Am. Chem. Soc, 14, 3373(2001)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、粒径が均一でかつ略等間隔で並んだ金属粒子を備える金属粒子包接薄膜の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、金属イオンを担持せしめる担体として3d−ヘキサゴナル構造又はキュービック構造の細孔を有するメソポーラスシリカ薄膜を用い、かつ特定の方法により該薄膜中に金属を担持せしめることにより、驚くべきことに粒径が均一でかつ略等間隔で並んだ金属粒子を備える金属粒子包接薄膜が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の金属粒子包接薄膜は、膜厚が1μm以下であり、かつ中心細孔直径が1〜50nmであるメソポーラスシリカ薄膜と、
【0009】
前記メソポーラスシリカ薄膜の3d−ヘキサゴナル構造又はキュービック構造の細孔内に所定間隔をもって離隔して形成され、かつ平均粒径が0.5〜50nmである金属粒子と、
を備えることを特徴とするものである。
【0010】
上記本発明の金属粒子包接薄膜においては、前記キュービック構造が、Pm−3n対称性、Im−3m対称性及びFm−3m対称性のうちの少なくとも一つの対称性を有するものであることを特徴とするものであることが好ましい。
【0011】
また、上記本発明の金属粒子包接薄膜においては、前記金属粒子を構成する金属が、8族の金属、9族の金属、10族の金属、11族の金属、クロム及びマンガンからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属であることを特徴とするものであることが好ましい。
【0012】
また、本発明の金属粒子包接薄膜の第一の製造方法は、膜厚が1μm以下であり、かつ中心細孔直径が1〜50nmであるメソポーラスシリカ薄膜と所定の金属のイオンを含有する溶液とを接触せしめ、前記メソポーラスシリカ薄膜の3d−ヘキサゴナル構造又はキュービック構造の細孔内及び細孔外に前記金属イオンを担持せしめる金属イオン担持工程と、
前記金属イオン担持工程から得られたメソポーラスシリカ薄膜の細孔外の前記金属イオンを除去する金属イオン除去工程と、
前記金属イオン除去工程から得られたメソポーラスシリカ薄膜を飽和蒸気圧の1/20〜1/3の蒸気圧を有する還元剤の蒸気に接触せしめ、前記メソポーラスシリカ薄膜の細孔内に前記還元剤蒸気を導入する還元剤導入工程と、
前記還元剤導入工程から得られたメソポーラスシリカ薄膜に光を照射して前記金属イオンを還元せしめ、前記メソポーラスシリカ薄膜の細孔内に前記金属からなる金属粒子を形成せしめる光還元工程と、
を含むことを特徴とする方法である。
【0013】
上記本発明の金属粒子包接薄膜の第一の製造方法においては、(i)前記還元剤導入工程の前に、前記メソポーラスシリカ薄膜の細孔内の水分を真空排気する真空排気工程、(ii)前記還元剤導入工程の前に、前記メソポーラスシリカ薄膜の細孔内に水蒸気を導入する水蒸気導入工程、(iii)前記金属イオン担持工程の前に、前記メソポーラスシリカ薄膜の表面に前記細孔内と外部とを結ぶ新たな貫通孔を設ける孔形成工程、のうちの少なくとも一つの工程を更に含むことが好ましい。
【0014】
また、本発明の金属粒子包接薄膜の第二の製造方法は、膜厚が1μm以下であり、かつ中心細孔直径が1〜50nmであるメソポーラスシリカ薄膜と所定の金属のイオンを含有する溶液とを接触せしめ、前記メソポーラスシリカ薄膜の3d−ヘキサゴナル構造又はキュービック構造の細孔内及び細孔外に前記金属イオンを担持せしめる金属イオン担持工程と、
前記金属イオン担持工程から得られたメソポーラスシリカ薄膜の細孔外の前記金属イオンを除去する金属イオン除去工程と、
前記金属イオン除去工程から得られたメソポーラスシリカ薄膜を還元性気体に接触せしめ、前記メソポーラスシリカ薄膜の細孔内に前記還元性気体を導入する還元剤導入工程と、
前記還元剤導入工程から得られたメソポーラスシリカ薄膜に熱を加えて前記金属イオンを還元せしめ、前記メソポーラスシリカ薄膜の細孔内に前記金属からなる金属粒子を形成せしめる熱還元工程と、
を含むことを特徴とする方法である。
【0015】
上記本発明の金属粒子包接薄膜の第二の製造方法においては、(i)前記還元剤導入工程の前に、前記メソポーラスシリカ薄膜の細孔内の水分を真空排気する真空排気工程、(ii)前記還元剤導入工程の前に、前記メソポーラスシリカ薄膜の細孔内に水蒸気を導入する水蒸気導入工程、(iii)前記金属イオン担持工程の前に、前記メソポーラスシリカ薄膜の表面に前記細孔内と外部とを結ぶ新たな貫通孔を設ける孔形成工程、のうちの少なくとも一つの工程を更に含むことが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
【0017】
(メソポーラスシリカ薄膜)
本発明に係るメソポーラスシリカ薄膜は、膜厚が1μm以下であり、かつ中心細孔直径が1〜50nmであるものである。前記メソポーラスシリカ薄膜とは、メソ孔を有するシリカ多孔体であり、薄膜という場合はその厚さが1μm以下あり、0.1〜0.5μmであることがより好ましく、表面積に対して厚さが無視できるような存在状態をいい、塊上の結晶・固体などの3次元的な広がりを持ちかさばった状態の物質とは異なる意味で用いられる。このようなメソポーラスシリカ薄膜の膜厚が1μmを超える場合、メソポーラスシリカ薄膜の細孔配列の均一性が悪くなり、また焼成時において膜収縮のひずみによりワレが発生しやすくなる傾向にある。しかしながら、1μm以下の膜厚のメソポーラスシリカ薄膜を作製し、再度その上にメソポーラスシリカ薄膜を作製することにより、細孔配列の均一性の高いメソポーラスシリカ薄膜を積層し、そのような積層を繰り返すことにより、積層した薄膜の膜厚が1μm以上であるものを作製することができる。
【0018】
前記中心細孔直径とは、細孔容積(V)を細孔直径(D)で微分した値(dV/dD)を細孔直径(D)に対してプロットした曲線(細孔径分布曲線)の最大ピークにおける細孔直径である。なお、細孔径分布曲線は、次に述べる方法により求めることができる。すなわち、メソポーラスシリカ薄膜を液体窒素温度(−196℃)に冷却して窒素ガスを導入し、定容量法あるいは重量法によりその吸着量を求め、次いで、導入する窒素ガスの圧力を徐々に増加させ、各平衡圧に対する窒素ガスの吸着量をプロットし、吸着等温線を得る。この吸着等温線を用い、Cranston−Inklay法、Pollimore−Heal法、BJH法等の計算法により細孔径分布曲線を求めることができる。本発明に係るメソポーラスシリカ薄膜において、中心細孔直径が1nm未満の場合は金属イオン含有溶液が細孔内に導入されにくくなり、金属イオンの担持が困難となり、他方、中心細孔直径が50nmを超える場合は薄膜の空隙率が過剰に大きくなり、薄膜の強度が不十分となる。
【0019】
このようなメソポーラスシリカ薄膜は界面活性剤を鋳型とし、シリコンアルコキシドなどをシリカ源として作製されるものであり、このようなシリカ源としては−Si−O−結合を形成し得る化合物であれば特に限定されない。かかる薄膜は、例えばケイ素酸化物からなり、ケイ素原子が酸素原子を介して結合した骨格−Si−O−を基本とし、高度に架橋した網目構造を有している。このようなケイ素酸化物においては、ケイ素原子の少なくとも一部が有機基の2箇所以上で炭素−ケイ素結合を形成しているものでもよい。このような有機基としては、例えば、アルカン、アルケン、アルキン、ベンゼン、シクロアルカン等の炭化水素から2以上の水素がとれて生じる2価以上の有機基が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、有機基は、アミド基、アミノ基、イミノ基、メルカプト基、スルフォン基、カルボキシル基、エーテル基、アシル基、ビニル基等を有するものであってもよい。また、このようなメソポーラスシリカ薄膜においては、その骨格中に、アルミニウム、チタン、マグネシウム、ジルコニウム、タンタル、ニオブ、モリブデン、コバルト、ニッケル、ガリウム、ベリリウム、イットリウム、ランタン、ハフニウム、スズ、鉛、バナジウム、ホウ素等の無機系成分を含んでいてもよい。
【0020】
また、本発明に係るメソポーラスシリカ薄膜は、X線回折測定において1nm以上のd値に相当する回折角度に1本以上のピークを有することが好ましい。このようなX線回折ピークは、そのピーク角度に相当するd値の周期構造が試料中にあることを意味する。したがって、1nm以上のd値に相当する回折角度に1本以上のピークがあることは、細孔が1nm以上の間隔で規則的に配列していることを意味する。
【0021】
また、本発明に係るメソポーラスシリカ薄膜が有する細孔は、薄膜の表面のみならず内部にも形成される。かかる薄膜における細孔の配列状態(細孔配列構造又は構造)は、3d−ヘキサゴナル構造(3次元ヘキサゴナル構造)又はキュービック構造である。
【0022】
このような3d−ヘキサゴナル構造又はキュービック構造の細孔を有するメソポーラスシリカ薄膜において、その細孔は空間の大きい部位と小さい部位の組み合わせでできている。このようなメソポーラスシリカ薄膜の細孔内に金属イオン含有溶液を導入させるとその細孔の空間の大小に関わらず、溶液は均一に導入されると、本発明者らは推察する。しかしながら、還元時には空間の大きい部位に優先的に金属粒子が形成する。これは、金属イオンが凝集しながら還元されるためであり、また金属粒子は大きい方がエネルギー的に安定であることからより大きな粒子を作りやすい大きな部位に優先的に金属イオンが移動していくためであると、本発明者らは推察する。
【0023】
前記細孔内に導入する金属イオンの担持量は、本発明の金属粒子包接薄膜の製造方法で後述するように空間の大きい部位のみが金属粒子によって埋まる量を入れることが重要である。メソポーラスシリカ薄膜に金属イオンを過剰に担持させると、空間の小さい部位にも金属が析出し、凹凸のある形状が不均一な金属細線が形成する傾向がある。
【0024】
他方、細孔が2d−ヘキサゴナル構造(2次元ヘキサゴナル構造)であるメソポーラスシリカ薄膜は、細孔がチューブ状になっており、本発明に係るメソポーラスシリカ薄膜の3d−ヘキサゴナル構造又はキュービック構造のように空間に極端な大小がない。従って、金属粒子が優先的に集合する空間がないため金属粒子がランダムに発生し、粒径が均一でかつ略等間隔で並んだ金属粒子を作製することは困難であった。
【0025】
ここで、ヘキサゴナルの細孔配列構造とは、薄膜の細孔の配置が六方構造であることを意味する。なお、2次元ヘキサゴナルの細孔配列構造を有するメソポーラスシリカ薄膜は、六角柱状の細孔が互いに平行に規則的に配列しており、細孔断面の配置が六方構造になっているものであることを意味する(S. Inagaki, et al., J. Chem. Soc., Chem. Commun., 680, 1993; S. Inagaki, et al., Bull. Chem. Soc. Jpn., 69, 1449, 1996)。また、2次元ヘキサゴナルの細孔配列構造を有するシリカ系多孔体における細孔の形状は、六角柱状に限られるわけではなく、細孔配列構造が2次元ヘキサゴナルであれば、例えば、多角柱状でも円柱状でもよい。
【0026】
一方、3次元ヘキサゴナルの細孔配列構造を有するメソポーラスシリカ薄膜は、細孔が3次元の周期性で六方構造をとるように配置しているものであることを意味する(Q. Huo et al., Science, 268, 1324, 1995)。
【0027】
また、薄膜がキュービックの細孔配列構造を有するとは、薄膜中の細孔の配置が立方構造であることを意味する(J. C. Vartuli et al., Chem. Mater., 6, 2317, 1994; Q. Huo et al., Nature, 368, 317, 1994)。また、前記キュービック構造は、Pm−3n対称性、Im−3m対称性及びFm−3m対称性のうちの少なくとも一つの対称性を有するものであることが好ましい。なお、前記対称性とは、空間群の表記法に基づいて決定されるものである。
【0028】
なお、薄膜が3d−ヘキサゴナルやキュービックの規則的細孔配列構造を有する場合は、細孔の全てがこれらの規則的細孔配列構造である必要はないが、全ての細孔のうち80%以上が3d−ヘキサゴナルやキュービックの規則的細孔配列構造となっていることが好ましい。
【0029】
また、本発明に係るメソポーラスシリカ薄膜には、X線回折測定における(100)面を示すピークの強度が50000cps以上であり、かつ前記ピークの半値幅が0.21°以下であるものを用いることが好ましい。また、前記ピークの強度はより好ましくは56000cps以上であり、前記ピークの半値幅はより好ましくは0.20°以下である。このようなメソポーラスシリカ薄膜は、結晶性、細孔の表面の平滑性及び細孔の配向性に特に優れたものであり、金属粒子包接薄膜の作製に好適である。このようなX線回折測定は、メソポーラスシリカ薄膜の(100)面を示すピーク(ブラッグ角0.17°〜3.54°に存在)の強度及び半値幅を装置にRAD−B(リガク社製)を用い、線源CuKα、X線管電圧30kV、X線管電流20mAという条件で行うことが可能である。また、このような測定をする際には、入射スリットと受光スリットをDS:0.5、SS:0.5、RS:0.3とすることが好ましい。
【0030】
また、本発明に係るメソポーラスシリカ薄膜には、X線回折測定における(100)面を示すピークの初期強度(I1)と、メソポーラスシリカ薄膜を酸性溶液(15wt%塩化白金酸(H2PtCl6)水溶液と水とエタノールを体積比1:2:2で混合したpH0.6である酸性溶液)に24時間含浸させる耐酸性試験後の前記ピークの強度(I2)とが以下の関係式(1):
(1−(I2/I1))×100≦90 (1)
を満たすものを用いることが好ましい。このようなメソポーラスシリカ薄膜は、十分な耐酸性を有し、細孔の表面の平滑性及び細孔の配向性に優れたものであり、金属粒子包接薄膜の作製に好適である。ここで、(1−(I2/I1))×100(%)は、耐酸性試験後の減少率(%)を示す。このような耐酸性試験の前後におけるI1とI2との関係を比較することにより、メソポーラスシリカ薄膜の耐酸性を評価することが可能となる。このような減少率としては、70%以下であることがより好ましく、40%以下であることが更に好ましい。
【0031】
なお、前記耐酸性試験とは、メソポーラスシリカ薄膜を十分に乾燥させた後に前記酸性溶液中に24時間含浸させる試験である。このような耐酸性試験の前後におけるメソポーラスシリカ薄膜のX線回折測定は、X線回折装置にRINT−2000(リガク社製)を用い、X線管電圧を40kV、X線管電流を30mAとしたこと以外は前記X線回折測定と同様の条件で行うことが可能である。
【0032】
(メソポーラスシリカ薄膜の製造方法)
本発明に係るメソポーラスシリカ薄膜は、前述したシリコンアルコキシドなどのシリカ源を酸性溶媒中で反応せしめシリコンアルコキシド部分重合体を含む液体を得る部分重合工程と、前記シリコンアルコキシド部分重合体と界面活性剤溶液とを接触せしめ、前記シリコンアルコキシド部分重合体と前記界面活性剤とからなる複合体を形成せしめる複合体形成工程と、前記複合体を含む液体を薄膜化し乾燥することによりメソポーラスシリカ薄膜を形成せしめる薄膜形成工程と、を含む製造方法により作製されることが好ましい。
【0033】
なお、本発明の係るメソポーラスシリカ薄膜の製造方法においては、その薄膜の細孔の構造が3d−ヘキサゴナル構造又はキュービック構造となるように用いる界面活性剤を選択し、シリカ源と界面活性剤の配合量を決める必要がある。以下、シリカ源としてシリコンアルコキシドを例とし、メソポーラスシリカ薄膜の製造方法について詳述する。
【0034】
前記部分重合工程においては、シリコンアルコキシドを酸性溶媒中で反応せしめることにより、シリコンアルコキシド部分重合体を含む液体が得られる。ここで、シリコンアルコキシドとは下記一般式(2)で表されるものである。
(4-a)−Si−(O−R)a (2)
[式(2)中、Rは炭化水素基を表し、Aは水素原子、ハロゲン原子、水酸基又は炭化水素基を表し、aは1〜4の整数を表す。]
【0035】
上記一般式(2)中、Rで表される炭化水素基としては、例えば、鎖式、環式、脂環式の炭化水素基を挙げることができる。このような炭化水素基としては、好ましくは炭素数1〜5の鎖式アルキル基であり、より好ましくはメチル基またはエチル基である。また、Aが炭化水素基である場合、その炭化水素基としては、例えば、炭素数が1〜10のアルキル基、炭素数が2〜10のアルケニル基、フェニル基、置換フェニル基を挙げることができる。上記一般式(2)で表されるシリコンアルコキシドは1種のみ用いてもよいが、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0036】
上記一般式(2)で表されるシリコンアルコキシドとしては、結晶性の良好なメソポーラスシリカ薄膜を得ることができることから、Si(OCH34で表されるテトラメトキシシラン(TMOS)、及びSi(OC254で表されるテトラエトキシシラン(TEOS)を用いることが好ましい。
【0037】
上記シリコンアルコキシドが有するアルコキシル基(−O−R)は酸性条件下で加水分解を受け水酸基(−OH)となり、その水酸基部分が縮合して高分子量化する。なお、シリコンアルコキシドがアルコキシル基以外に水酸基やハロゲン原子を有している場合はこれらの官能基が加水分解反応に寄与する場合もありうる。したがって、シリコンアルコキシド部分重合体とは、加水分解反応および縮合反応によって得られる重合体であって、アルコキシル基(−O−R)及び/又は水酸基(−OH)の一部が未反応のまま残存している重合体を意味する。
【0038】
前記シリコンアルコキシド部分重合体は、シリコンアルコキシドを酸性溶媒(塩酸、硝酸等の水溶液又はアルコール溶液等)中で攪拌することにより得ることができる。なお、前記酸性溶媒に含まれる酸としては、上記の酸の他にホウ酸、臭素酸、フッ素酸、硫酸、リン酸が挙げられ、これらのうちの2種以上を混合して用いることもできる。シリコンアルコキシドのアルコキシル基の加水分解反応はpHが低い領域で起こりやすいことから、系のpHを低くすることにより部分重合を促進することが可能である。なお、部分重合工程における反応温度は、例えば、15〜25℃とすることができ、反応時間は30〜90分とすることができる。
【0039】
次に、複合体形成工程においては、前記部分重合工程により得られたシリコンアルコキシド部分重合体と界面活性剤とを接触せしめ、前記シリコンアルコキシド部分重合体と前記界面活性剤とからなる複合体を形成せしめる。
【0040】
このような界面活性剤としては、陽イオン性、陰イオン性、非イオン性のうちのいずれであってもよく、具体的には、アルキルトリメチルアンモニウム、アルキルアンモニウム、ジアルキルジメチルアンモニウム、ベンジルアンモニウム等の塩化物、臭化物、ヨウ化物あるいは水酸化物;脂肪酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリエチレンオキサイド系非イオン性界面活性剤、一級アルキルアミン等が挙げられる。
【0041】
上記の界面活性剤のうち、ポリエチレンオキサイド系非イオン性界面活性剤としては、疎水性成分として炭化水素基、親水性部分としてポリエチレンオキサイドをそれぞれ有するポリエチレンオキサイド系非イオン性界面活性剤等が挙げられる。このような界面活性剤としては、例えば、一般式Cn2n+1(OCH2CH2mOHで表され、nが10〜30、mが1〜30であるものが好適に使用できる。
【0042】
また、このような界面活性剤としては、オレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸とソルビタンとのエステル、あるいはこれらのエステルにポリエチレンオキサイドが付加した化合物を用いることもできる。
【0043】
さらに、このような界面活性剤としては、トリブロックコポリマー型のポリアルキレンオキサイドを用いることもできる。このような界面活性剤としては、ポリエチレンオキサイド(EO)とポリプロピレンオキサイド(PO)からなり、一般式(EO)x(PO)y(EO)xで表されるものが挙げられる。x、yはそれぞれEO、POの繰り返し数を表すが、xは5〜110、yは15〜70であることが好ましく、xは13〜106、yは29〜70であることがより好ましい。
【0044】
上記のトリブロックコポリマーとしては、(EO)19(PO)29(EO)19、(EO)13(PO)70(EO)13、(EO)5(PO)70(EO)5、(EO)13(PO)30(EO)13、(EO)20(PO)30(EO)20、(EO)26(PO)39(EO)26、(EO)17(PO)56(EO)17、(EO)17(PO)58(EO)17、(EO)20(PO)70(EO)20、(EO)80(PO)30(EO)80、(EO)106(PO)70(EO)106、(EO)100(PO)39(EO)100、(EO)19(PO)33(EO)19、(EO)26(PO)36(EO)26が挙げられる。これらのトリブロックコポリマーはBASF社、アルドリッチ社等から入手可能であり、また、小規模製造レベルで所望のx値とy値を有するトリブロックコポリマーを得ることができる。上記のトリブロックコポリマーは1種あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0045】
また、エチレンジアミンの2個の窒素原子にそれぞれ2本のポリエチレンオキサイド(EO)鎖−ポリプロピレンオキサイド(PO)鎖が結合したスターダイブロックコポリマーも使用することができる。このようなスターダイブロックコポリマーとしては、一般式((EO)x(PO)y2NCH2CH2N((PO)y(EO)x2で表されるものが挙げられる。ここでx、yはそれぞれEO、POの繰り返し数を表すが、xは5〜110、yは15〜70であることが好ましく、xは13〜106、yは29〜70であることがより好ましい。
【0046】
このような界面活性剤の中では、結晶性の高いメソポーラスシリカ薄膜を得ることができることから、アルキルトリメチルアンモニウム[Cp2p+1N(CH33]の塩(好ましくはハロゲン化物塩)を用いることが好ましい。また、その場合は、アルキルトリメチルアンモニム中のアルキル基の炭素数は8〜18であることがより好ましい。このようなものとしては、塩化オクタデシルトリメチルアンモニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化テトラデシルトリメチルアンモニウム、臭化ドデシルトリメチルアンモニウム、臭化デシルトリメチルアンモニウム、臭化オクチルトリメチルアンモニウムが挙げられる。
【0047】
前記シリコンアルコキシド部分重合体と上記界面活性剤とを接触せしめる場合には、前記シリコンアルコキシド部分重合体を含む液体に界面活性剤をそのまま添加してもよく、また、水、有機溶媒、水と有機溶媒との混合物等に溶かして界面活性剤溶液とした後に添加してもよい。さらに、前記界面活性剤溶液には酸を加えて、好ましい酸性雰囲気としてもよい。このような酸は、上記酸性溶媒に用いられる酸と同様のものを用いることが可能である。
【0048】
前記部分重合工程により得られた液体に前記界面活性剤または界面活性剤溶液を添加すると、溶液中で界面活性剤はミセルを形成する。このミセルが超分子鋳型となり、シリコンアルコキシド部分重合体と界面活性剤ミセルとの複合体が形成される。このような界面活性剤ミセルの内部にはシリコンアルコキシド部分重合体が入り込まないため、ミセルの内部は最終生成物であるメソポーラスシリカ薄膜における細孔部分となる。したがって、界面活性剤の分子鎖長を変化させることにより、メソポーラスシリカ薄膜の細孔径を制御することができる。
【0049】
前記シリコンアルコキシド部分重合体と界面活性剤のモル比は、結晶性の高いメソポーラスシリカ薄膜が得られることから、シリコンアルコキシド0.1molに対して界面活性剤は0.005〜0.02molであることが好ましい。また、前記複合体形成工程は、例えば、10〜30℃において30〜90分攪拌することにより行うことができる。また、このときの溶媒の量は、シリコンアルコキシド0.1molに対して0.2〜10molの割合で混合することが好ましく、溶媒中に水が最低0.2molあることがより好ましい。このような溶媒の量が、前記下限値未満であるとシリコンアルコキシドが鎖状に縮合することが困難となる傾向にあり、前記上限値を超えると前記複合体を含む液体中のシリコンアルコキシド濃度および溶液の粘度が低下し、前記複合体を含む液体を基板に付着せしめる際にハジキが見られ均一な薄膜が形成しにくくなる傾向にある。
【0050】
前記複合体形成工程における前記複合体を含む液体は、酸の濃度が0.00057〜0.0086eq/lであり、かつ前記複合体を含む液体の酸の含有量がシリコンアルコキシド0.1molに対して2.3×10-4〜3.8×10-4molであることが好ましい。以下、特に断らない限り、酸の濃度とは前記複合体を含む液体中の酸の濃度であり、酸の含有量とは前記複合体を含む液体中のシリコンアルコキシド0.1molに対する酸の物質量とする。前記酸の濃度は0.00059〜0.0080eq/lであることがより好ましく、また前記酸の含有量は2.4×10-4〜3.5×10-4molであることがより好ましい。このような条件において作製されたメソポーラスシリカ薄膜は、結晶性、細孔の表面の平滑性、耐酸性及び細孔の配向性に特に優れたものであり、金属粒子包接薄膜の作製に好適である。このような酸の含有量が前記下限値未満であると、加水分解速度、重縮合速度が遅くなり、メソポーラスシリカ薄膜の作製が困難となる傾向があり、また、前記上限値を超えると、得られるメソポーラスシリカ薄膜における結晶性、細孔の表面の平滑性、耐酸性及び細孔の配向性が不十分となる傾向がある。
【0051】
また、前記複合体の組成により、得られるメソポーラスシリカ薄膜の結晶構造を制御することができる。具体的には、シリコンアルコキシドとしてテトラメトキシシランを用い、界面活性剤として塩化アルキルトリメチルアンモニウムを用いた場合においては、テトラメトキシシランの物質量を1molとしたときに、塩化アルキルトリメチルアンモニウムの物質量を0.04〜0.15molとすることにより結晶構造を3d−ヘキサゴナル構造とすることができる。一方で、テトラメトキシシランの物質量を1molとしたときに、塩化アルキルトリメチルアンモニウムの物質量を0.15〜0.19molとすることにより結晶構造をキュービック構造とすることができる。
【0052】
さらに、キュービック構造においては、塩化アルキルトリメチルアンモニウムの物質量、後に記す薄膜形成時の湿度雰囲気を微調整するなどの方法により、その構造をPm−3n対称性、Im−3m対称性又はFm−3m対称性に制御することが可能である。
【0053】
次に、薄膜形成工程を説明する。薄膜形成工程においては、前記複合体を含む液体を薄膜化し乾燥することによりメソポーラスシリカ薄膜を形成せしめる。薄膜化の方法は特に制限はなく、例えば、前記複合体を含む液体を基板上に付着又は塗布せしめることによって厚さの均一な膜の形成が可能となる。このような基板としては、前記複合体を含む液体が付着又は塗布可能なものであれば、形状や材質は特に制限はなく、例えば、金属、樹脂等からなる板状成型物やフィルム等が挙げられる。基板の表面には、ある一定の周期性をもって溝や突起物などが形成されていてもよく、平坦であってもよい。
【0054】
複合体を含む液体を基板に塗布する場合は、その方法は特に制限されず、各種のコーティング方法が採用可能である。例えば、バーコーター、ロールコーター、グラビアコーター等を用いて塗布することができる。また、ディップコーティング、スピンコーティング、スプレーコーティング等も可能である。
【0055】
前記薄膜形成工程において、前記複合体を含む液体を薄膜化する際の相対湿度は特に制限はないが、50%以上であると結晶性がより向上し好ましい。
【0056】
前記複合体を含む液体を基板等に塗布する場合、その塗布厚は、その濃度により適宜選択可能である。熱収縮時のひずみによるワレを防止するために、また塗布後の加熱乾燥を効率的に行うために塗布厚は薄い方が好ましく、例えば、未乾燥状態(複合体を含む液体の状態)で10μm以下であることが好ましい。
【0057】
また、薄膜形成工程の前に複合体を含む液体に溶媒を添加する溶媒添加工程を更に含むことが好ましい。溶媒を添加することにより、複合体を含む液体の粘度や固形分が低下するため、薄膜化したときに得られる膜厚を薄くすることができる。また、薄膜化途中に液体の粘度変化を少なくすることができ、得られるメソポーラスシリカ薄膜の細孔配列の均一性を向上させることができる。溶媒添加工程において複合体を含む液体に添加する溶媒としては特に制限はないが、例えば、水やアルコールが挙げられる。アルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等を用いることができる。溶媒添加工程において複合体を含む液体に添加する溶媒の量は特に制限されないが、添加後の液体の粘度が10Pa・s以下になるような量であることが好ましく、5Pa・s以下となるような量であることが更に好ましい。
【0058】
基板に塗布する等の方法により薄膜化した後、得られた薄膜を風乾及び/又は加熱乾燥して複合体を反応させることにより、界面活性剤を含有したメソポーラスシリカ薄膜を形成させる。加熱乾燥時には、例えば、70〜150℃、より好ましくは100〜120℃の加熱を行い、シリコンアルコキシド部分重合体の縮合反応を進めて三次元的な架橋構造を形成させる。この結果、界面活性剤を含有したメソポーラスシリカ薄膜が得られる。加熱乾燥の時間は、界面活性剤を含有したメソポーラスシリカ薄膜の結晶性を高めるための時間と経済的問題を鑑みて、例えば20〜80分とすることができる。
【0059】
薄膜形成工程において得られる界面活性剤を含有したメソポーラスシリカ薄膜の膜厚は、1μm以下であることが好ましく、0.1〜0.5μmであることがより好ましい。膜厚が1μmを超える場合はメソポーラスシリカ薄膜の細孔配列の均一性が悪くなる傾向にある。しかしながら、1μm以下の膜厚のメソポーラスシリカ薄膜を作製した後に、再度複合体を含む液体の塗布を行い加熱乾燥することにより、細孔配列の均一性の高いメソポーラスシリカ薄膜を積層し合計で膜厚を1μm以上とすることができる。
【0060】
界面活性剤を含有したメソポーラスシリカ薄膜の中心細孔直径は、高い結晶性及び適度な比表面積を有した薄膜が得られることから、1〜50nmであり、1〜30nmであることがより好ましく、1〜10nmであることが更に好ましい。
【0061】
また、薄膜形成工程の後に、界面活性剤を含有したメソポーラスシリカ薄膜から界面活性剤を除去しメソポーラスシリカ薄膜を得る界面活性剤除去工程を更に含むことが好ましい。界面活性剤を除去する方法としては特に制限はないが、例えば、焼成による方法や水やアルコール等の溶媒で処理する方法を用いることができる。焼成による方法においては、界面活性剤を含有したメソポーラスシリカ薄膜を300〜1000℃、好ましくは300〜600℃で焼成する。加熱時間は30分程度でもよいが、完全に界面活性剤成分を除去するには1時間以上加熱することが好ましい。上記焼成は空気中で行うことが可能であり、窒素等の不活性ガスを導入して行ってもよい。また、上記焼成は酸素濃度0.1%〜25%の酸素含有雰囲気で、かつ、300℃〜600℃で焼成することが好ましい。
【0062】
溶媒を用いて界面活性剤を含有したメソポーラスシリカ薄膜から界面活性剤を除去する場合は、例えば、界面活性剤の溶解性の高い溶媒中に界面活性剤を含有したメソポーラスシリカ薄膜を浸漬する。溶媒としては、水、エタノール、メタノール、アセトン等を使用することができる。
【0063】
陽イオン性の界面活性剤を用いる場合は、少量の塩酸を添加したエタノール又は水中に界面活性剤を含有したメソポーラスシリカ薄膜を浸漬し、50〜70℃で加熱する方法を用いることができる。この方法により、陽イオン界面活性剤を抽出することができる。陰イオン性の界面活性剤を用いる場合は、陰イオンを添加した溶媒中で界面活性剤を抽出することができる。また、非イオン性の界面活性剤を用いた場合は、溶媒のみで抽出することが可能である。なお、抽出時に超音波を印加することも可能である。
【0064】
以上説明したように、界面活性剤が除去されたメソポーラスシリカ薄膜は、後述する金属粒子包接薄膜における金属粒子形成の鋳型(ホスト材料)として好適である。
【0065】
(金属粒子包接薄膜)
本発明の金属粒子包接薄膜は、膜厚が1μm以下であり、かつ中心細孔直径が1〜50nmであるメソポーラスシリカ薄膜と、前記メソポーラスシリカ薄膜の3d−ヘキサゴナル構造又はキュービック構造の細孔内に所定間隔をもって離隔して形成され、かつ平均粒径が0.5〜50nmである金属粒子と、を備えることを特徴とするものである。このような金属粒子の平均粒径は、0.5〜30nmであることがより好ましく、1〜15nmであることが更に好ましい。また、前記所定間隔とは、具体的には0.1〜30nmであることが好ましく、0.1〜20nmであることがより好ましい。
【0066】
このような金属粒子の平均粒径が0.5nm未満である場合には、粒子径を制御するのが困難になり、また細孔中での粒子の位置が一定でなくなる。つまり、金属粒子が等間隔に並ぶのが困難となる。他方、金属粒子の平均粒径が50nmを超える場合には、金属粒子における表面原子の割合が減少して金属粒子表面の特異性がマクロな物性として発現しにくくなる。また、前記所定間隔が、前記下限値未満の場合は凹凸のある金属細線を形成する傾向があり、他方、前記上限値を超える場合は、量子素子としての特性を発現しにくくなる傾向があり、また特定の触媒性能を示すためには金属粒子包接薄膜単位重量当りの金属粒子数が少なくなるため、性能が低くなる傾向がある。
【0067】
なお、本発明に係る金属粒子の平均粒径及び所定間隔とは、それぞれ透過型電子顕微鏡写真において無作為に抽出される20個の金属粒子の粒径及び粒子と粒子の間隔の平均値をいう。
【0068】
このような本発明に係る金属粒子は、前記粒径が均一で、かつ金属粒子と金属粒子が略等間隔で並んだものであることがより好ましく、具体的には、それぞれの粒子が略等間隔にマトリクス状に配列したものであることが好ましい。このような金属粒子が規則正しく配列したものは、基本的にはメソポーラスシリカ薄膜の細孔壁で電気的に絶縁されているが、一部細孔どうしが空間的につながったチャンネルが存在する。チャンネル中には金属は存在しないため、通常電気は流れないが特定の電圧条件下では隣接金属粒子間を電子がトンネル可能となり、3次元のトンネル接合ネットワークとして従来にない磁性的または光学的に特殊な性能を発現すると、本発明者らは推察する。
【0069】
また、このような金属粒子は、従来にない物性・化学的挙動を示す量子素子としての可能性があり、触媒に用いた場合には金属粒子の結晶面を均一にそろえることができることから、高比表面積を保持することが可能となり特定の触媒性能において高活性を示すと、本発明者らは推察する。
【0070】
前記金属粒子を構成する原子としては、金属原子であれば特に制限されないが、8族の金属、9族の金属、10族の金属、11族の金属、クロム(Cr)及びマンガン(Mn)からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属であることがより好ましく、貴金属原子であることが更に好ましい。
【0071】
本発明において、金属粒子を形成させる際に用いる原料化合物は特に制限されないが、例えば、上記の金属の金属粒子を形成する場合には上記の金属の塩又は錯塩を用いることができる。より具体的には、白金の金属粒子の原料化合物として、H2PtCl6、Pt(NO22(NH32、[Pt(NH36]Cl4、H2Pt(OH)6、PtCl2(NH32、Pt(NH34Cl2、Pt(NH34(OH)2、Pt(NH34(OH)4、K2PtCl4、PtCl4、PtCl2等が挙げられる。
【0072】
このように本発明の金属粒子包接薄膜においては、粒径が均一でかつ略等間隔で並んだ金属粒子を得ることでき、量子素子、触媒等に好適である。このような金属粒子包接薄膜は、以下に述べる製造方法により作製することができる。
【0073】
(金属粒子包接薄膜の製造方法)
本発明の金属粒子包接薄膜の第一の製造方法は、膜厚が1μm以下であり、かつ中心細孔直径が1〜50nmであるメソポーラスシリカ薄膜と所定の金属のイオンを含有する溶液とを接触せしめ、前記メソポーラスシリカ薄膜の3d−ヘキサゴナル構造又はキュービック構造の細孔内及び細孔外に前記金属イオンを担持せしめる金属イオン担持工程と、前記金属イオン担持工程から得られたメソポーラスシリカ薄膜の細孔外の前記金属イオンを除去する金属イオン除去工程と、前記金属イオン除去工程から得られたメソポーラスシリカ薄膜を飽和蒸気圧の1/20〜1/3の蒸気圧を有する還元剤の蒸気に接触せしめ、前記メソポーラスシリカ薄膜の細孔内に前記還元剤蒸気を導入する還元剤導入工程と、前記還元剤導入工程から得られたメソポーラスシリカ薄膜に光を照射して前記金属イオンを還元せしめ、前記メソポーラスシリカ薄膜の細孔内に前記金属からなる金属粒子を形成せしめる光還元工程と、を含むことを特徴とする方法である。
【0074】
先ず、金属イオン担持工程について説明する。メソポーラスシリカ薄膜の細孔内及び細孔外に金属イオンを担持させる方法としては、上記の金属粒子の原料化合物をメタノール、エタノール等のアルコール、水、ベンゼン等又はこれらの混合物に溶かし、その溶液(以下、担持液又は金属イオン含有溶液という)にメソポーラスシリカ薄膜を含浸させるなどして、その溶液と薄膜とを接触させることにより、メソポーラスシリカ薄膜の細孔内及び細孔外に所定の金属のイオンを担持させることができる。
【0075】
前記金属イオン含有溶液は、その溶液中における前記原料化合物の濃度が0.1〜50wt%であるものが好ましく、1〜20wt%であるものがより好ましい。このような金属イオン含有溶液の濃度が前記下限値未満である場合は、後述する金属イオン担持工程における金属イオンの担持量が不十分となる傾向があり、他方、前記上限値を超えると、金属イオン含有溶液が更に酸性となりメソポーラスシリカ薄膜の−Si−O−骨格が崩壊することにより、金属粒子の形成が困難となる傾向がある。このような金属イオン含有溶液へのメソポーラスシリカ薄膜の含浸時間は、6時間以上であることが好ましく、15〜48時間であることがより好ましい。このような含浸時間が前記下限値未満の場合は、金属イオンの担持が不十分となり、金属粒子の形成が困難となる傾向がある。
【0076】
ここで金属イオンとは、原料化合物である金属の塩又は錯塩等が溶液中で解離したものであり、通常、電荷をもつ原子または原子の集団をいい、錯塩が解離すると錯イオンが生じる。また、通常、水溶液において金属イオンは、アクア錯体として存在する。また、担持液が薄膜に接触することにより薄膜の細孔内及び細孔外に付着し溶媒が蒸発又は揮発すると、金属イオンは原料化合物である金属の塩又は錯塩などの安定な状態で存在すると推察される。しかしながら、本発明の製造方法においては、それぞれの製造工程においてそれらの存在状態を明確に判断することが困難であるため、前記金属のイオン、錯イオン、塩及び錯塩などを総称して、金属イオンということとする。
【0077】
また、金属イオン担持工程においては、上記金属イオンの細孔内への担持を促進させるために、薄膜を含浸させている溶液に超音波を印加することも可能である。また、このような方法の他に、固体状の金属粒子の原料化合物とメソポーラスシリカ薄膜とを固相で混合し、密閉容器中で加熱した後、過剰の原料化合物を洗浄等により除去する方法、金属アルコキシド等の蒸気を発生するものや昇華しやすいものを原料に用い、それらの蒸気をメソポーラスシリカ薄膜と接触させることにより、その原料化合物をメソポーラスシリカ薄膜の細孔内に導入する方法も可能である。
【0078】
また、前記金属イオン担持工程の前に、前記メソポーラスシリカ薄膜の表面に前記細孔内と外部とを結ぶ新たな貫通孔を設ける孔形成工程、を更に含んでいてもよい。ここで貫通孔とは、細孔内と外部とを結ぶ穴又は切れ目等であればよく、その形状は特に制限されない。新たな貫通孔(開口部)を設ける方法としては特に制限はないが、例えば、メソポーラスシリカ薄膜の表面をカミソリ等で1mm又は0.5mm程度切れ目を入れるなどの方法が可能である。従来、金属イオンを担持するメソポーラスシリカ(シリカ多孔体)は粉末状のものであり、その粒の表面が外部の空間に接する面積が大きく、シリカ多孔体の細孔が外部の空間に接する面積も広かった。しかし、本発明の金属粒子包接薄膜の製造方法に用いるメソポーラスシリカ薄膜は、その薄膜の一部が基板に接している。そのため、細孔がその外部の空間に接する面積が小さい。よって、金属イオンを担持させる際に、前記金属イオンが細孔内に入りにくいことから、このように新たな貫通孔を設けることにより、金属粒子を形成させるのに十分な量の金属イオンを細孔内に担持させることが可能となる。
【0079】
更に、金属イオン担持工程の少なくとも前工程として、真空排気工程を設けることが好ましい。メソポーラスシリカ薄膜は、空気中に放置すると簡単に水を吸着する。メソポーラスシリカ薄膜が一度水を物理吸着すると、細孔の奥にある水は簡単には外へ出られない。従って、薄膜の細孔内に水が吸着されている場合、金属イオン含有溶液が細孔内に入るのが困難となり、金属イオンが細孔内に担持されにくくなる傾向がある。
【0080】
次に、金属イオン除去工程について説明する。金属イオン除去工程においては、前記金属イオン担持工程から得られたメソポーラスシリカ薄膜の細孔外の前記金属イオンを除去する。前記薄膜の細孔外とは、例えば、シリコンウェハなどに形成された薄膜の表面及び裏面をいい、金属イオンを除去する方法としては、脱脂綿等を用いて拭き取る方法、イオン交換水を用いて洗浄する方法又はAir、N2等のガスでふき飛ばす方法などがある。このように金属粒子包接薄膜を製造する場合、メソポーラスシリカ薄膜の細孔外(薄膜表面)に担持液を残存させた状態で還元を行うと、薄膜表面に金属が析出し量子素子等に用いるには好ましくなく、また細孔外に担持されている金属イオン溶液の溶媒が蒸発するのに伴って細孔外の金属イオン濃度が上昇し細孔内に金属ワイヤ(金属細線)が生成するため好ましくないと、本発明者らは推察した。そこで、薄膜を担持液に含浸後、その薄膜表面に付着した金属イオン含有溶液を脱脂綿等で拭き取り、その後薄膜の細孔内に還元剤を導入し、金属イオンの還元を行ったところ粒径が均一でかつ略等間隔で配列した金属粒子を有する金属粒子包接薄膜を得ることができた。
【0081】
このような金属イオン除去工程により、メソポーラスシリカ薄膜における金属イオンの担持量は、金属粒子を形成するのに好適な量となる。このようなメソポーラスシリカ薄膜の細孔における金属イオンの担持量(μg)は、薄膜全体において1cm3当たり、1〜100μg担持されていることが好ましく、3〜70μg担持されていることがより好ましい。このような薄膜の細孔内における金属イオンの担持量が前記下限値未満の場合は、十分な粒径を有する金属粒子の形成が困難となる傾向及び/又は金属粒子が不連続にできる傾向があり、他方、前記上限値を超える場合は、3d−ヘキサゴナル構造又はキュービック構造の細孔内における空間の小さい部位にも金属が析出し、凹凸のある金属細線が形成し金属粒子の形成が困難となる傾向がある。
【0082】
次に、還元剤導入工程について説明する。還元剤導入工程においては、前記金属イオン除去工程から得られたメソポーラスシリカ薄膜を飽和蒸気圧の1/20〜1/3の蒸気圧を有する還元剤の蒸気に接触せしめ、前記メソポーラスシリカ薄膜の細孔内に前記還元剤蒸気を導入する。このような蒸気圧が前記下限値未満である場合は薄膜の細孔内における金属イオンの還元が不十分となり、他方、前記上限値を超える場合は薄膜の細孔内及び細孔外が濡れた状態となり金属イオンの還元が不十分となる。
【0083】
前記還元剤の導入量は、その還元剤の飽和蒸気圧の1/15〜1/5とすることがより好ましく、1/12〜1/8とすることが更に好ましい。このような還元剤としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコールが挙げられ、この中では還元力が強いことからメタノールが好ましい。
【0084】
また、前記還元剤導入工程の前に、前記メソポーラスシリカ薄膜の細孔内に水蒸気を導入する水蒸気導入工程、を更に含むことが好ましい。このような水蒸気は、還元時の金属イオンの移動に効果を発揮すると考えられ、細孔内に均一な粒径を有する金属粒子が析出することとなると、本発明者らは推察する。このような水蒸気の導入量は、飽和蒸気圧まで導入すると細孔内部に導入された水蒸気が液体状になり、金属イオンを細孔外へ押し出すと考えられるため好ましくなく、飽和蒸気圧より低いことが好ましく、半分程度とすることがより好ましい。
【0085】
更に、還元剤導入工程の少なくとも前工程として、真空排気工程を設けることが好ましい。メソポーラスシリカ薄膜は、空気中に放置すると簡単に水を吸着する。メソポーラスシリカ薄膜が一度水を物理吸着すると、細孔の奥にある水は簡単には外へ出られない。このように細孔内に水が吸着され細孔内が濡れた状態になると、還元剤の導入量が減少し、後述の光還元工程において還元が不十分となる傾向がある。そこで、真空装置にメソポーラスシリカ薄膜を入れ真空排気することで、金属イオンの還元を確実に行うことが可能となる。
【0086】
上記還元剤および水の蒸気をメソポーラスシリカ薄膜の細孔内に導入する方法としては、まず、真空装置内にメソポーラスシリカ薄膜を入れ真空状態にする。そこに上記蒸気圧を有する還元剤および水の蒸気を液ため容器のニードルバルブで圧力をコントロールしながら導入することができる。このような真空装置としては、温度をコントロールできる装置がより好ましい。
【0087】
次に、光還元工程を説明する。光還元工程は、前記還元剤導入工程から得られたメソポーラスシリカ薄膜に光を照射して金属イオンを還元せしめ、前記メソポーラスシリカ薄膜の細孔内に前記金属からなる金属粒子を形成せしめる工程である。光照射に用いる光は、特に限定されないが、紫外線であることが好ましい。このような光照射には、高圧水銀ランプ等を用いることができ、照射時間は金属イオンが還元されればよく、特に限定されない。
【0088】
以下、金属粒子形成の機構について説明する。例えば、原料化合物として塩化白金酸を用いた場合、塩化白金酸の化学式はH2PtCl6であり、水溶液中ではH+と(PtCl62-のイオンに分かれている。この溶液にメソポーラスシリカ薄膜を含浸させ、金属イオンを細孔内に担持せしめる。その後、薄膜の細孔内にメタノールやイソプロピルアルコールなどのアルコールを導入すると、カルボニル基が配位した中間体である金属カルボニル[Pt3(CO)6n 2-となり、更に光照射によりカルボニル基がとれて、白金金属Pt0に還元される。そして、先ず結晶の核が発生し、続いて離散的な粒状の金属粒子が形成され、経時的に結晶が集合化して金属粒子の形状となる。このような還元のスピード及び集合化のスピードをコントロールすることにより、金属細線又は金属粒子に形状を制御することも可能である。
【0089】
このように金属粒子包接薄膜を製造する際に、メソポーラスシリカ薄膜の細孔外の金属イオンを除去する本発明の第一の製造方法により得られる金属粒子包接薄膜は、粒径が均一でかつ略等間隔で並んだ金属粒子を備えるものである。
【0090】
本発明の金属粒子包接薄膜の第二の製造方法は、膜厚が1μm以下であり、かつ中心細孔直径が1〜50nmであるメソポーラスシリカ薄膜と所定の金属のイオンを含有する溶液とを接触せしめ、前記メソポーラスシリカ薄膜の3d−ヘキサゴナル構造又はキュービック構造の細孔内及び細孔外に前記金属イオンを担持せしめる金属イオン担持工程と、前記金属イオン担持工程から得られたメソポーラスシリカ薄膜の細孔外の前記金属イオンを除去する金属イオン除去工程と、前記金属イオン除去工程から得られたメソポーラスシリカ薄膜を還元性気体に接触せしめ、前記メソポーラスシリカ薄膜の細孔内に前記還元性気体を導入する還元剤導入工程と、前記還元剤導入工程から得られたメソポーラスシリカ薄膜に熱を加えて前記金属イオンを還元せしめ、前記メソポーラスシリカ薄膜の細孔内に前記金属からなる金属粒子を形成せしめる熱還元工程と、を含むことを特徴とする方法である。
【0091】
本発明の金属粒子包接薄膜の第二の製造方法における金属イオン担持工程及び金属イオン除去工程は、前記第一の製造方法における金属イオン担持工程及び金属イオン除去工程と同様の方法を用いることができる。
【0092】
次に、還元剤導入工程について説明する。還元剤導入工程は、前記金属イオン除去工程から得られたメソポーラスシリカ薄膜を還元性気体に接触せしめ、前記メソポーラスシリカ薄膜の細孔内に前記還元性気体を導入する工程である。このような還元性気体とは、後述する熱還元工程において還元剤として機能するものであり、常温・常圧で気体である還元剤又は常温・常圧で液体又は固体である還元剤を含有した溶液の蒸気がある。
【0093】
前記常温・常圧で気体である還元剤としては、水素又は一酸化炭素であることが好ましく、水素であることがより好ましい。このような還元性気体は、例えばN2などの不活性ガスと混合して使用するのが好ましく、その際の還元性気体は1〜50%であることが好ましく、1〜20%であることがより好ましい。このような還元性気体の濃度が前記下限値未満の場合は、金属イオンの還元が不十分となる傾向があり、前記上限値を超える場合は、安全面で危険が大きく、反応速度の制御が困難となる傾向がある。
【0094】
また、前記常温・常圧で液体又は固体である還元剤としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール;ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなどのアルデヒド;ヒドラジン、ヒドロキシルアミン;ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ金属又はアンモニウムなどのクエン酸塩、次亜りん酸塩、蟻酸塩、酢酸塩、蓚酸塩、スルファニル酸塩;水素化硼素ナトリウム、水素化硼素カリウムなどのアルカリ金属硼化水素などから選ばれる少なくとも1種類以上の化合物が挙げられる。このような還元剤においては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコールが好ましく、メタノールであることがより好ましい。
【0095】
このような還元剤において固体であるものは、メタノール、エタノール等のアルコール、水、ベンゼン等の有機溶媒又はこれらの混合物を溶媒として用いることにより溶液として用いることが可能であり、また、液体であるものはそのまま用いることも上記溶媒と混合して用いることも可能であり、このような還元剤の溶液の蒸気を還元性気体として用いるものである。
【0096】
このような還元性気体が蒸気である場合は、前記金属イオン除去工程から得られたメソポーラスシリカ薄膜を還元剤の蒸気に接触せしめ、前記メソポーラスシリカ薄膜の細孔内に前記還元剤蒸気を導入する。このような還元剤蒸気の蒸気圧は、特に制限されないが、その還元剤溶液の飽和蒸気圧の1/20〜1/3であることが好ましく、1/15〜1/5とすることがより好ましく、1/12〜1/8とすることが更に好ましい。
【0097】
また、前記還元剤導入工程の少なくとも前工程として、更に前記メソポーラスシリカ薄膜の細孔内の水分を真空排気する真空排気工程を更に設けることが好ましい。このような真空排気工程を設ける趣旨は、前記第一の製造方法における真空排気工程と同様の趣旨である。
【0098】
さらに、前記還元性気体として還元剤蒸気を用いる場合、前記還元剤導入工程の前には、前記メソポーラスシリカ薄膜の細孔内に水蒸気を導入する水蒸気導入工程を更に設けることが好ましい。このような水蒸気の導入量は、水蒸気の飽和蒸気圧であってもよく、また、第一の製造方法と同様の導入量であることが好ましい。このような還元剤および水の蒸気をメソポーラスシリカ薄膜の細孔内に導入する方法としては、前記第一の製造方法と同様に、真空装置内で行うことが可能である。
【0099】
またさらに、前記還元剤導入工程の前においては、大気中において300〜700℃で焼成を行うことも可能である。このように大気中で焼成を行うことによって、金属の酸化物粒子が薄膜の細孔内に形成する。この後に還元剤を薄膜の細孔内に導入し、熱還元工程を行うことによって、0価の金属が得られる。
【0100】
次に、熱還元工程を説明する。メソポーラスシリカ薄膜に熱を加える際の温度は、150〜800℃であり、200〜600℃であることが好ましい。このような温度が、前記下限値未満の場合は還元が不十分となる傾向があり、他方、前記上限値を超える場合は細孔が崩壊してきたり、いったん細孔内で形成された金属が細孔の外にでてきてしまう傾向がある。また、このような温度にするためには、還元剤導入工程で用いた真空装置をヒータ等により加熱することにより行うことができる。さらに、この熱還元工程においては、還元剤の導入を続けながら行うこともできる。このような場合は、温度の上昇に伴い飽和蒸気圧も上昇するので、前記真空ポンプで圧力をコントロールすることが好ましい。またさらに、このような還元剤が気体のものである場合、この還元性気体又はこの還元性気体とN2などの不活性ガスの混合気体を流通させた条件で熱還元工程を行うことも可能である。
【0101】
このように金属粒子包接薄膜を製造する際に、メソポーラスシリカ薄膜の細孔外の金属イオンを除去する本発明の第二の製造方法により得られる金属粒子包接薄膜は、粒径が均一でかつ略等間隔で並んだ金属粒子を備えるものである。
【0102】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0103】
実施例1
(メソポーラスシリカ薄膜の作製)
テトラメトキシシラン(Si(OCH34、以下「TMOS」という)15.22g(0.10mol)にHCl水溶液(a)4.1mlを静かに添加し、マグネチック・スターラ(回転速度200rpm/min)を用いて1時間攪拌することによりTMOS部分重合体を含む溶液を得た。次に、界面活性剤である塩化オクタデシルトリメチルアンモニウム(以下、「C18TMACl」という)3.41g(0.010mol)及びH2O10mlを混合し、マグネチック・スターラで攪拌しながら50℃に加温し、界面活性剤を溶解させた。その後、室温まで自然に冷まし、HCl水溶液(b)100μlを更に加え、混合することにより界面活性剤溶液を得た。
【0104】
上記TMOS部分重合体を含む溶液に界面活性剤溶液を加えて20分間攪拌した。その後、H2O/EtOH=20ml/20ml混合溶媒を加え、マグネチック・スターラの回転速度を300rpm/minに上昇させて20分間攪拌することにより、テトラメトキシシランと界面活性剤とからなる複合体を含む溶液(以下「TMOS複合体溶液」という)を調整した。なお、HCl水溶液(a)はH2O30mlに対して2規定のHCl水溶液を200μl加えることにより調製し、HCl水溶液(b)は2規定のHCl水溶液を用いた。
【0105】
次に、基板引き上げ装置(SIGMA社製;SG SP 26−100)をビニールBOX内に設置し、ディップコーティング法で薄膜形成工程を行った。前記装置を用いて基板をTMOS複合体溶液中へ20mm/minの速度で浸漬し、溶液内で30秒静置した後20mm/minの速度で引き上げた。基板には、希フッ酸(HF:H2O=1:50)で表面処理を行ったシリコンウェハ(2cm×5cm)を用いた。なお、この薄膜形成工程の相対湿度は70%に固定して行った。次に、TMOS複合体溶液が付着した基板を室温で24時間風乾し、100℃で1時間乾燥した。その後、400℃、1リットル/min大気流通下で4時間焼成することにより、膜厚が0.4μmの3d−ヘキサゴナル構造のメソポーラスシリカ薄膜を得た。なお、焼成の際の昇温速度は、100℃/hとした。
【0106】
(金属粒子包接薄膜の作製)
得られたメソポーラスシリカ薄膜に安全カミソリを用いて、配向面に対し斜めに0.5mm間隔程度の新たな貫通孔を設けた。そのメソポーラスシリカ薄膜を温度制御できる真空ポンプ(真空機工製;GVD−050A)を備えた真空装置に入れ、24時間真空排気した。金属イオン含有溶液として約1wt%H2PtCl6溶液を15wt%H2PtCl6水溶液5cc、水10cc、エタノール10ccを混合することにより調製し、この溶液に真空排気したメソポーラスシリカ薄膜を入れ、超音波洗浄機(エスエヌディ製;US−1)中で超音波分散を10分間行い、そのまま24時間含浸させた。メソポーラスシリカ薄膜を引き上げ、薄膜の表裏面に付着した担持液を拭き取り、再度真空装置に薄膜を入れ、24時間真空排気した。その後、温度を25℃に設定し、真空装置内に蒸気圧10Torr水蒸気を導入することにより、蒸気圧10Torr水蒸気に薄膜を10分間曝し、同様にして蒸気圧10Torrのメタノール(還元剤)の蒸気に薄膜を10分間曝すことにより、還元剤蒸気をメソポーラスシリカ薄膜の細孔内に導入した。
【0107】
(第一の製造方法を用いた金属粒子包接薄膜の作製)
還元剤が導入された薄膜に超高圧水銀ランプ(ウシオ電機製、品番UXM500SX)を用いて、紫外線(波長365nm、光強度13mW/cm2)を72時間照射しPt4+をPt0の金属に還元した。なお、サンプル位置での光の強度は7mW/cm2であった。その後、残留ガスを除去するために室温で6時間真空乾燥した。
【0108】
以上の結果、図1の透過型電子顕微鏡(TEM)写真(日本電子製、JEM2000EX)に示すように、メソポーラスシリカ薄膜の3d−ヘキサゴナル構造の細孔内に白金金属が平均粒径2.5nmでかつ所定間隔(0.7nm)で配列した金属粒子を形成していることが確認された。
【0109】
実施例2
実施例1におけるメソポーラスシリカ薄膜の作製において、界面活性剤としてC18TMAClを5.67g(0.017mol)用いてH2O10mlと混合し、マグネチック・スターラで攪拌しながら50℃に加温し、界面活性剤を溶解させたこと以外は、実施例1と同様の方法により界面活性剤溶液を得た。上記界面活性剤溶液を用い、薄膜形成工程の相対湿度を30%としたこと以外は、実施例1と同様の方法によりメソポーラスシリカ薄膜を得た。なお、この薄膜は膜厚が0.4μmであり、キュービック Pm−3n構造であった。また、得られたキュービック Pm−3n構造のメソポーラスシリカ薄膜を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により金属粒子包接薄膜を得た。
【0110】
以上の結果、図2のTEM写真に示すように、メソポーラスシリカ薄膜の細孔内に白金金属が平均粒径3.8nmでかつ所定間隔(11nm)で配列した金属粒子を形成していることが確認された。
【0111】
実施例3
(メソポーラスシリカ薄膜の作製)
実施例1と同様の方法によりメソポーラスシリカ薄膜を得た。なお、この薄膜は膜厚が0.4μmであり、3d−ヘキサゴナル構造であった。
【0112】
(第二の製造方法を用いた金属粒子包接薄膜の作製)
得られたメソポーラスシリカ薄膜に安全カミソリを用いて配向面に対し斜めに0.5mm間隔程度で新たな貫通孔を設けた。その後温度を制御できる真空装置(実施例1と同様の装置)にメソポーラスシリカ薄膜を入れ、24時間真空排気した。金属イオン含有溶液として70wt%塩化金酸溶液をHAuCl4・4H2O10mg及び水2mlを混合することにより調製し、この溶液に真空排気したメソポーラスシリカ薄膜を入れ、実施例1と同様に超音波分散を30秒間行い、そのまま24時間含浸させた。メソポーラスシリカ薄膜を引き上げ、薄膜をイオン交換水で洗浄することにより薄膜の細孔外の金属イオンを除去し、再度真空装置に薄膜を入れ、24時間真空排気した。その後、メソポーラスシリカ薄膜を管状焼成炉に入れ、H25%(in N2)のガスを0.5L/minで流しながらPIDコントローラを用いてヒータを制御し400℃になるように2時間で昇温し、その温度で2時間だけ熱を加え、25℃まで2時間かけて真空装置を冷ました。このような方法により、実施例3の金属粒子包接薄膜を得た。
【0113】
以上の結果、図3のTEM写真に示すように、メソポーラスシリカ薄膜の細孔内に0価の金が平均粒径2.5nmでかつ所定間隔(0.7nm)に配列した金属粒子を形成していることが確認された。
【0114】
また、本発明の金属粒子包接薄膜における金属粒子の粒径の均一性を確認するために、薄膜をHFで溶解させ、Au粒子のみを抽出して観察した。その結果、図4に示すようにAu粒子が平均粒径2.5nmであることが確認された。
【0115】
実施例4
(メソポーラスシリカ薄膜の作製)
実施例1と同様の方法によりメソポーラスシリカ薄膜を得た。なお、この薄膜は膜厚が0.4μmであり、3d−ヘキサゴナル構造であった。
【0116】
(第二の製造方法を用いた金属粒子包接薄膜の作製)
得られたメソポーラスシリカ薄膜に安全カミソリを用いて配向面に対し斜めに0.5mm間隔程度で新たな貫通孔を設けた。その後温度を制御できる真空装置(実施例1と同様の装置)にメソポーラスシリカ薄膜を入れ、24時間真空排気した。金属イオン含有溶液として4.4wt%硝酸パラジウム溶液(田中貴金属製)を用い、この溶液に真空排気したメソポーラスシリカ薄膜を入れ、実施例1と同様に超音波分散を10分間行い、そのまま24時間含浸させた。メソポーラスシリカ薄膜を引き上げ、薄膜を脱脂綿で拭き取ることにより薄膜の細孔外の金属イオンを除去し、大気中において350℃で3時間焼成し、その後、メソポーラスシリカ薄膜を管状焼成炉に入れ、H25%(in N2)のガスを1L/minで流しながらPIDコントローラを用いてヒータを制御し400℃になるように2時間で昇温し、その温度で2時間だけ熱を加え、25℃まで2時間かけて真空装置を冷ました。このような方法により、実施例4の金属粒子包接薄膜を得た。
【0117】
以上の結果、図5のTEM写真に示すように、メソポーラスシリカ薄膜の細孔内にパラジウム金属が平均粒径2.5nmでかつ略等間隔(0.7nm)に配列した金属粒子を形成していることが確認された。
【0118】
実施例5
(メソポーラスシリカ薄膜の作製)
【0119】
実施例1と同様の方法によりメソポーラスシリカ薄膜を得た。なお、この薄膜は膜厚が0.4μmであり、3d−ヘキサゴナル構造であった。
【0120】
(第二の製造方法を用いた金属粒子包接薄膜の作製)
得られたメソポーラスシリカ薄膜に安全カミソリを用いて配向面に対し斜めに約0.5mm間隔程度で新たな貫通孔を設けた。その後温度を制御できる真空装置(実施例1と同様の装置)にメソポーラスシリカ薄膜を入れ、24時間真空排気した。金属イオン含有溶液として約1wt%HAuCl4溶液を15wt%HAuCl4水溶液5cc、水10cc、エタノール10ccを混合することにより調製し、この溶液に真空排気したメソポーラスシリカ薄膜を入れ、実施例1と同様に超音波分散を10分間行い、そのまま24時間含浸させた。メソポーラスシリカ薄膜を引き上げ、薄膜を脱脂綿で拭き取ることにより薄膜の細孔外の金属イオンを除去し再度真空装置に薄膜を入れ、24時間真空排気した。その後、温度を25℃に設定し、真空装置内に蒸気圧10Torrの水蒸気を導入することにより、蒸気圧10Torrの水蒸気に薄膜を10分間曝し、同様にして蒸気圧10Torrのメタノール(還元剤)の蒸気に薄膜を10分間曝すことにより、還元剤蒸気を薄膜の細孔内に導入した。
【0121】
還元剤蒸気が導入されたメソポーラスシリカ薄膜が入っている真空装置を、PIDコントローラを用いてヒータを制御し300℃になるように2時間で昇温し、その温度で3時間熱を加えることにより金属イオンを還元し、25℃まで2時間かけて真空装置を冷ました。このような方法により、実施例5の金属粒子包接薄膜を得た。以上の結果、メソポーラスシリカ薄膜の細孔内に0価の金が平均粒径2.5nmでかつ略等間隔(0.7nm)に配列した金属粒子を形成していることが透過型電子顕微鏡(TEM)写真(日本電子製、JEM2000EX)により確認された。
【0122】
比較例1
実施例1におけるメソポーラスシリカ薄膜の作製において、HCl水溶液(a)4.1mlを水30mlに2規定のHCl水溶液100μlを加えることにより調製した。また、界面活性剤としてトリブロックコポリマー(EO)20(PO)70(EO)20(アルドリッチ社製、製品名P123)7.2g用いてH2O10ml及びEtOH10mlと混合し、マグネチック・スターラで攪拌しながら50℃に加温し、界面活性剤を溶解させたこと以外は、実施例1と同様の方法により界面活性剤溶液を得た。上記HCl水溶液(a)と界面活性剤溶液を用い、薄膜形成工程の相対湿度を30%としたこと以外は、実施例1と同様の方法によりメソポーラスシリカ薄膜を得た。なお、この薄膜は膜厚が0.4μmであり、2d−ヘキサゴナル構造であった。
【0123】
また、得られた2d−ヘキサゴナル構造のメソポーラスシリカ薄膜を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により金属粒子包接薄膜を得た。以上の結果、図6のTEM写真に示すように、メソポーラスシリカ薄膜の2d−ヘキサゴナル構造の細孔内には白金金属が均一な粒径を持たずにランダムに配列した金属粒子を形成していることが確認された。
【0124】
実施例1〜5及び比較例1の結果から、金属イオンを担持せしめる担体として3d−ヘキサゴナル構造又はキュービック構造の細孔を有するメソポーラスシリカ薄膜を用い、かつ特定の方法により該薄膜中に金属を担持せしめることにより、粒径が均一でかつ略等間隔で並んだ金属粒子を備える金属粒子包接薄膜が得られることが確認された。
【0125】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば粒径が均一でかつ略等間隔で並んだ金属粒子を備える金属粒子包接薄膜を得られる。この結果、金属粒子の両端に電極をつけることで使用する量子素子又は触媒等への応用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で得られた金属粒子包接薄膜の走査型電子顕微鏡写真(倍率20万倍)を示す図である。
【図2】 実施例2で得られた金属粒子包接薄膜の走査型電子顕微鏡写真(倍率10万倍)を示す図である。
【図3】 実施例3で得られた金属粒子包接薄膜の走査型電子顕微鏡写真(倍率10万倍)を示す図である。
【図4】 実施例3で得られた金属粒子包接薄膜から抽出したAu粒子の走査型電子顕微鏡写真(倍率240万倍)を示す図である。
【図5】 実施例4で得られた金属粒子包接薄膜の走査型電子顕微鏡写真(倍率54万倍)を示す図である。
【図6】 比較例1で得られた金属粒子包接薄膜の走査型電子顕微鏡写真(倍率8万倍)を示す図である。

Claims (8)

  1. 膜厚が1μm以下であり、かつ中心細孔直径が1〜50nmであるメソポーラスシリカ薄膜と所定の金属のイオンを含有する溶液とを接触せしめ、前記メソポーラスシリカ薄膜の3d−ヘキサゴナル構造又はキュービック構造の細孔内及び細孔外に前記金属イオンを担持せしめる金属イオン担持工程と、
    前記金属イオン担持工程から得られたメソポーラスシリカ薄膜の細孔外の前記金属イオンを除去する金属イオン除去工程と、
    前記金属イオン除去工程から得られたメソポーラスシリカ薄膜を飽和蒸気圧の1/20〜1/3の蒸気圧を有する還元剤の蒸気に接触せしめ、前記メソポーラスシリカ薄膜の細孔内に前記還元剤蒸気を導入する還元剤導入工程と、
    前記還元剤導入工程から得られたメソポーラスシリカ薄膜に光を照射して前記金属イオンを還元せしめ、前記メソポーラスシリカ薄膜の細孔内に前記金属からなる金属粒子を形成せしめる光還元工程と、
    を含むことを特徴とする金属粒子包接薄膜の製造方法。
  2. 前記還元剤導入工程の前に、前記メソポーラスシリカ薄膜の細孔内の水分を真空排気する真空排気工程、
    を更に含むことを特徴とする、請求項に記載の金属粒子包接薄膜の製造方法。
  3. 前記還元剤導入工程の前に、前記メソポーラスシリカ薄膜の細孔内に水蒸気を導入する水蒸気導入工程、
    を更に含むことを特徴とする、請求項又はに記載の金属粒子包接薄膜の製造方法。
  4. 前記金属イオン担持工程の前に、前記メソポーラスシリカ薄膜の表面に前記細孔内と外部とを結ぶ新たな貫通孔を設ける孔形成工程、
    を更に含むことを特徴とする、請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の金属粒子包接薄膜の製造方法。
  5. 膜厚が1μm以下であり、かつ中心細孔直径が1〜50nmであるメソポーラスシリカ薄膜と所定の金属のイオンを含有する溶液とを接触せしめ、前記メソポーラスシリカ薄膜の3d−ヘキサゴナル構造又はキュービック構造の細孔内及び細孔外に前記金属イオンを担持せしめる金属イオン担持工程と、
    前記金属イオン担持工程から得られたメソポーラスシリカ薄膜の細孔外の前記金属イオンを除去する金属イオン除去工程と、
    前記金属イオン除去工程から得られたメソポーラスシリカ薄膜を還元性気体に接触せしめ、前記メソポーラスシリカ薄膜の細孔内に前記還元性気体を導入する還元剤導入工程と、
    前記還元剤導入工程から得られたメソポーラスシリカ薄膜に熱を加えて前記金属イオンを還元せしめ、前記メソポーラスシリカ薄膜の細孔内に前記金属からなる金属粒子を形成せしめる熱還元工程と、
    を含むことを特徴とする金属粒子包接薄膜の製造方法。
  6. 前記還元剤導入工程の前に、前記メソポーラスシリカ薄膜の細孔内の水分を真空排気する真空排気工程、
    を更に含むことを特徴とする、請求項に記載の金属粒子包接薄膜の製造方法。
  7. 前記還元剤導入工程の前に、前記メソポーラスシリカ薄膜の細孔内に水蒸気を導入する水蒸気導入工程、
    を更に含むことを特徴とする、請求項又はに記載の金属粒子包接薄膜の製造方法。
  8. 前記金属イオン担持工程の前に、前記メソポーラスシリカ薄膜の表面に前記細孔内と外部とを結ぶ新たな貫通孔を設ける孔形成工程、
    を更に含むことを特徴とする、請求項5〜7のうちのいずれか一項に記載の金属粒子包接薄膜の製造方法。
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