JP6304584B2 - 分散溶液及びその製造方法、並びに塗布液及びメソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法 - Google Patents

分散溶液及びその製造方法、並びに塗布液及びメソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、各種光学素子や画像表示装置等に施される超低屈折光学薄膜として有用なメソポーラスシリカ多孔質膜の製造に好適な分散溶液及びその製造方法、及びメソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法に関する。
光ピックアップ装置や半導体装置の対物レンズ、眼鏡レンズ、光学用反射鏡、ローパスフィルタ等の光学基材には、光透過率を向上させることを目的として、反射防止膜が施される。従来、反射防止膜は、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の物理的方法により形成されてきた。しかしこれらの成膜方法は真空機器を必要とするためコストが高いという欠点を有する。
単層の反射防止膜は、基材より小さく、かつ空気等の入射媒質より大きい屈折率を有するように設計される。屈折率1.5程度のガラスからなるレンズの反射防止膜は、屈折率1.2〜1.25が理想的であると言われている。しかし、物理的方法により形成できる反射防止膜において、このような理想的な屈折率を有する物質は無いので、屈折率1.38のMgF2が反射防止膜材料として汎用されている。
しかし近年、幅広い波長領域の光線を使用する光学機器も製作されるようになってきており、幅広い波長範囲で優れた光学特性を有する反射防止膜が望まれるようになってきた。しかも光学素子は複数のレンズ群により構成されることが多いので、各レンズ面での反射による透過光量の損失が多くなるのを防ぐために、一般的に多層構成の反射防止膜を設けている。多層反射防止膜は、各界面で生じた反射光と、各層に入射する光線とが干渉によって相殺し合うように設計される。多層構成の反射防止膜は、さらにコストが高いという欠点を有する。
そこで、脱水重縮合を用いたゾル−ゲル法を利用した湿式法(ディップコート法、ロールコート法、スピンコート法、フローコート法、スプレーコート法等)により、反射防止膜を形成する方法が提案されている。
例えば特開2006-215542号(特許文献1)は、基材の表面に順に形成された緻密層及びシリカエアロゲル多孔質層からなり、屈折率が基材からシリカエアロゲル多孔質層まで順に小さくなっている反射防止膜を提案している。このシリカエアロゲル多孔質層は、(i) ゾル状又はゲル状の酸化珪素を有機修飾剤と反応させて有機修飾ゾル又は有機修飾ゲルとし、(ii) 前記有機修飾ゾル又は前記有機修飾ゲルをゾル状にしたものを緻密層表面にコーティングし、得られた有機修飾シリカゲル層にスプリングバック現象を生じさせ、有機修飾シリカエアロゲル層にし、(iii) 得られた有機修飾シリカエアロゲル層を熱処理して有機修飾基を除去することにより形成する。
シリカエアロゲル多孔質層は屈折率が1.20程度と小さく、それを有する反射防止膜は幅広い波長範囲で優れた反射防止特性を有する。しかもゾル−ゲル法により作製できることから、コストパフォーマンスにも優れている。しかし、機械的強度が弱く、基材に対する密着性が弱く、耐擦傷性が十分とはいえなかった。
特開2009-237551号(特許文献2)は、膜の屈折率が1.10超〜1.35以下のメソポーラスシリカナノ粒子が集合したメソポーラスシリカ多孔質膜を用いた反射防止膜を提案している。特開2009-258711号(特許文献3)は、低屈折率及び優れた耐擦傷性を有するシリカエアロゲル膜の作製方法を提案している。しかし、基板に塗工する際のゾルが水系である為、成膜時のハンドリングが難しく、且つ、レベリング性といった均一成膜が一般的なウェットコーティングに較べて劣るので工夫が必要であった。また、超低屈折率性を持たせる為にメソポーラス構造を有するメソポーラスシリカナノ粒子を作製しているが、この粒子の作製の際に用いる2種の界面活性剤の為に、膜成膜後に界面活性剤を除去する工程を必要としていた。その為コストパフォーマンスが悪かった。
これまでに、特許文献2で作製されるメソポーラスシリカナノ粒子分散の水溶液からメソポーラスシリカナノ粒子のみを有機溶媒中に抽出しようとするとき、一般的な有機溶剤や両親媒性の有機溶剤等を添加して試みてきた。しかし、水系と有機溶媒が混合されるとゾル自体がゲル化したり、2層に分離する等して上手く行かなかった。これは、メソポーラスシリカナノ粒子を外包する非イオン性界面活性剤が大きく影響しており、有機溶媒中に分散しようとすると水和された非イオン性界面活性剤が、メソポーラスシリカナノ粒子と有機溶媒の間を隔てて分散しにくくする効果があった。
さらに、特許文献2はメソポーラスシリカナノ粒子を積層した膜を熱処理することで、機械的強度に優れた低屈折率の膜を得ているが、その熱処理温度が500℃超で焼成している為、その温度以下のガラス転移点もしくは、屈伏点を有する硝材を用いる場合、基板自体が変質もしくは変形してしまうので、低融点ガラスに用いることは難しい。
また特許文献3はシリカエアロゲルからなる多孔質膜を基材表面に塗布・乾燥した後にアルカリ処理を施すことで、機械的強度及び耐擦傷性の優れた低屈折率膜を作製しているが、多孔質膜の形成とその膜の硬質化処理において、成膜とアルカリ処理の2段階で実施する必要があり、多段階でコストパフォーマンスと膜形成の安定性において課題がある。
特開2006-215542号公報 特開2009-237551号公報 特開2009-258711号公報
従って、本発明の目的は、メソポーラスシリカ多孔質膜の形成用のゾルにアルカリ処理を施す為の試薬を添加することにより、成膜とアルカリ処理を同時に行うことが可能な分散溶液及びその製造方法、並びにかかる分散溶液を塗布液として用いることにより、成膜とアルカリ処理の工程を1段階に集約し、コストパフォーマンスと膜形成の安定性において優れたメソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法を提供することである。
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、メソポーラスシリカ多孔質膜の製造に用いる分散溶液でおいて、有機溶媒中にメソポーラスシリカナノ粒子を分散させ、かつ炭素数が1〜3のアルカリ金属アルコキシドを添加させることにより、多孔質膜の形成とその膜の硬質化処理において、成膜とアルカリ処理を同時に行うことができ、コストパフォーマンスと膜形成の安定性において優れていることを見出し、本発明に想到した。
すなわち、本発明の分散溶液は、有機溶媒中にメソポーラスシリカナノ粒子が分散した分散溶液であって、金属アルコキシドが添加されており、前記金属アルコキシドは炭素数が1〜3のアルカリ金属アルコキシドであることを特徴とする。
前記有機溶媒は1価又は2価のアルコール又はアルコキシアルコール及びケトンからなる群より選ばれた少なくとも一種とするのが好ましい前記金属アルコキシド/前記メソポーラスシリカナノ粒子は質量比で1 〜 30 %であるのが好ましい。
メソポーラスシリカナノ粒子のメソ孔はヘキサゴナル状に配列しているのが好ましく、前記メソポーラスシリカナノ粒子は表面修飾されていないのが好ましい。前記メソポーラスシリカナノ粒子のメジアン径が200 nm以下であるのが好ましい。
上記分散溶液を製造する本発明の方法は、(i)溶媒、酸性触媒、アルコキシシラン、カチオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤を含む混合溶液をエージングしてアルコキシシランを加水分解・重縮合させ、(ii) 得られたシリケートを含む酸性ゾルに塩基性触媒を添加することにより、前記非イオン性界面活性剤で被覆され、かつ前記カチオン性界面活性剤を細孔内に有するメソポーラスシリカナノ粒子のゾルを調製し、(iii) 前記メソポーラスシリカナノ粒子を外包する非イオン性界面活性剤及び前記メソポーラスシリカナノ粒子の細孔内に内包されるカチオン性界面活性剤を除去し、(iv) 得られたメソポーラスシリカナノ粒子を超音波分散法を用いて有機溶媒中に分散し、(v) 前記有機溶媒中に金属アルコキシドを添加することを特徴とする。
前記ゾルをアルコールに添加して撹拌混合し、前記メソポーラスシリカナノ粒子から前記非イオン性界面活性剤を抽出除去した後、前記メソポーラスシリカナノ粒子を塩酸/アルコール系混合溶液に添加して撹拌混合し、前記メソポーラスシリカナノ粒子から前記カチオン性界面活性剤を除去するのが好ましい。
上記分散溶液を製造する本発明の他の方法は、(i)溶媒、酸性触媒、アルコキシシラン、カチオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤を含む混合溶液をエージングしてアルコキシシランを加水分解・重縮合させ、(ii) 得られたシリケートを含む酸性ゾルに塩基性触媒を添加することにより、前記非イオン性界面活性剤で被覆され、かつ前記カチオン性界面活性剤を細孔内に有するメソポーラスシリカナノ粒子のゾルを調製し、(iii) 前記メソポーラスシリカナノ粒子を外包する非イオン性界面活性剤を除去し、(iv) 得られたメソポーラスシリカナノ粒子を超音波分散法を用いて有機溶媒中に分散し、(v) 前記有機溶媒中に金属アルコキシドを添加することを特徴とする。
前記ゾルをアルコールに添加して撹拌混合し、前記メソポーラスシリカナノ粒子から前記非イオン性界面活性剤を除去するのが好ましい。
非イオン性界面活性剤及びカチオン性界面活性剤の除去過程に用いるアルコールが炭素数1〜4の第1級及び第2級アルコールであるのが好ましい。カチオン性界面活性剤の除去工程に用いる塩酸/アルコール系混合液の体積比が塩酸(35%):アルコール=1:99〜20:80であるのが好ましい。前記超音波分散法を、周波数:10〜30 kHz、照射出力:150〜1200 W及び超音波処理時間:5〜180分の条件下で、氷浴中で行うのが好ましい。
本発明の塗布液は、上記分散溶液を用いたものであることを特徴とする。
本発明のメソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法は、上記塗布液を基材に塗布した後、酸素含有ガスを用いてプラズマ処理することを特徴とする。さらにプラズマ処理後に前記基材を80〜200℃で焼成するのが好ましい。また前記メソポーラスシリカ多孔質膜の屈折率が1.15〜1.40であるのが好ましい。
有機溶媒中にメソポーラスシリカナノ粒子が分散し、かつ炭素数が1〜3のアルカリ金属アルコキシドが添加された本発明の分散溶液を塗布液として用いてメソポーラスシリカ多孔質膜を製造することで、成膜とアルカリ処理を同時に行うことができ、コストパフォーマンスと膜形成の安定性において優れている。
分散溶液中のメソポーラスシリカナノ粒子の一例を示す斜視図である。 図1のメソポーラスシリカナノ粒子の製造工程の一例を示す図である。 基材の表面に形成されたメソポーラスシリカ多孔質膜を示す断面図である。 図3のメソポーラスシリカ多孔質膜の孔径分布を示すグラフである。
[1] 分散溶液
本発明の分散溶液は、有機溶媒中にメソポーラスシリカナノ粒子が分散し、かつ金属アルコキシドが添加されており、前記金属アルコキシドは炭素数が1〜3のアルカリ金属アルコキシドである。分散溶液として有機溶媒を用いているので、メソポーラスシリカ多孔質膜の製造に用いる塗布液として使用すると、成膜時のハンドリング性、レベリング性及び均一成膜性に優れている。また本発明の分散溶液には金属アルコキシドが添加されているので、成膜時にアルカリ処理を同時に行うことができる。アルカリ処理により未反応シラノール基が縮合してSi-O-Si結合が増加するため、耐擦傷性に優れ、経時変化が小さいメソポーラスシリカ多孔質膜を形成することができる。
図1は、カチオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤を除去したメソポーラスシリカナノ粒子の一例を示す。図1に示すメソポーラスシリカナノ粒子10は、メソ孔10aがヘキサゴナル状に配列した多孔質構造を有するシリカ骨格10bからなる。メソポーラスシリカナノ粒子10は、メソ孔10aがヘキサゴナル状に均一に形成されているので、メソポーラスシリカナノ粒子10が集合してなるメソポーラスシリカ多孔質膜は優れた透明性、機械的強度及び耐クラック性を有する。メソポーラスシリカナノ粒子は、このようなヘキサゴナル構造のものに限定されず、キュービック構造又はラメラ構造のものでもよい。
メソポーラスシリカナノ粒子10のメジアン径は、200 nm以下が好ましく、20〜50 nmがより好ましい。ここでメジアン径は、粒子の集合の全体積を100%として累積曲線を求めた時、累積値が50%となる点の粒子径であり、動的光散乱法により求められる。このメジアン径が200 nm超だと、膜厚調整が困難であり、薄膜設計のフレキシビリティーが低く、得られるメソポーラスシリカ多孔質膜の反射防止特性及び耐クラック性も低い。
有機溶媒は1価又は2価のアルコール又はアルコキシアルコール及びケトンからなる群より選ばれた少なくとも一種とするのが好ましい。具体的には、ハンドリング性、レベリング性及び均一成膜性に優れ、メソポーラスシリカナノ粒子を分散可能なメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、2-ブトキシエタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、4-メチル-2-ペンタノン、5-メチル-2-ヘキサノン、5-メチル-3-ヘキサノン等が好ましい。
金属アルコキシドはアルカリ処理に使用するアルカリとして用いられる。アルカリ処理に使用するアルカリをメソポーラスシリカナノ多孔質膜の出発原料のアルコキシシランと同様にアルコキシル基を有する金属アルコキシドとすることにより、成膜とアルカリ処理に必要な条件が比較的近くなるため、成膜時にアルカリ処理を同時に行うことが可能になる。また成膜及びアルカリ処理後の残留物の洗浄も容易である。金属アルコキシドは炭素数が1〜3のアルカリ金属アルコキシドである具体的には、ナトリウムエトキシド,ナノリウムメトキシドが挙げられる。金属アルコキシドのアルコキシル基はメソポーラスシリカナノ粒子の出発原料のアルコキシシランと同じ種類のものを用いるのが好ましい。それにより成膜時のアルカリ処理による未反応シラノール基の反応性が向上する。
金属アルコキシド/メソポーラスシリカナノ粒子は質量比で 1 〜 30 %であるのが好ましい。この質量比が 1 〜 30 %の範囲内であれば、成膜時のアルカリ処理による未反応シラノール基の高い反応性が得られる。金属アルコキシド/メソポーラスシリカナノ粒子は質量比で 2 〜 20 %であるのがより好ましい。
[2] 分散溶液の製造方法
本発明の第一の実施態様による分散溶液の製造方法は、(i) 溶媒、酸性触媒、アルコキシシラン、カチオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤を含む混合溶液をエージングしてアルコキシシランを加水分解・重縮合させ、(ii) 得られたシリケートを含む酸性ゾルに塩基性触媒を添加することにより、非イオン性界面活性剤で被覆され、かつカチオン性界面活性剤を細孔内に有するメソポーラスシリカナノ粒子のゾルを調製し、(iii) メソポーラスシリカナノ粒子を外包する非イオン性界面活性剤及びメソポーラスシリカナノ粒子の細孔内に内包されるカチオン性界面活性剤を除去し、(iv) 得られたメソポーラスシリカナノ粒子を超音波分散法を用いて有機溶媒中に分散し、(v) 有機溶媒中に金属アルコキシドを添加することを特徴とする。
図2は、メソポーラスシリカナノ粒子を修飾しているカチオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤を除去する工程を示す。図1及び2を用いて、本発明のメソポーラスシリカナノ粒子分散溶液の製造方法を以下詳細に説明する。
(1) 界面活性剤修飾メソポーラスシリカナノ粒子の製造方法
(a) 原料
(a-1) アルコキシシラン
アルコキシシランはモノマーでも、オリゴマーでも良い。アルコキシシランモノマーはアルコキシル基を3つ以上有するのが好ましい。アルコキシル基を3つ以上有するアルコキシシランを出発原料とすることにより、優れた均一性を有するメソポーラスシリカ多孔質膜が得られる。アルコキシシランモノマーの具体例としてはメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等が挙げられる。アルコキシシランオリゴマーとしては、上述のモノマーの重縮合物が好ましい。アルコキシシランオリゴマーはアルコキシシランモノマーの加水分解・重縮合により得られる。アルコキシシランオリゴマーの具体例として、一般式RSiO1.5(ただしRは有機官能基を示す。)により表されるシルセスキオキサンが挙げられる。
(a-2) 界面活性剤
(i) カチオン性界面活性剤
カチオン性界面活性剤としては4級アンモニウム塩が好ましく、ハロゲン化アルキルトリメチルアンモニウム、ハロゲン化アルキルトリエチルアンモニウム、ハロゲン化ジアルキルジメチルアンモニウム、ハロゲン化アルキルメチルアンモニウム、ハロゲン化アルコキシトリメチルアンモニウム等が挙げられる。ハロゲン化アルキルトリメチルアンモニウムとして、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。ハロゲン化アルキルトリメチルアンモニウムとして、塩化n-ヘキサデシルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。ハロゲン化ジアルキルジメチルアンモニウムとして、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム等が挙げられる。ハロゲン化アルキルメチルアンモニウムとして、塩化セチルメチルアンモニウム、塩化ステアリルメチルアンモニウム、塩化ベンジルメチルアンモニウム等が挙げられる。ハロゲン化アルコキシトリメチルアンモニウムとして、塩化オクタデシロキシプロピルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。また、4級アンモニウム塩においてハロゲンが臭素でも良い。この場合として、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラヘキシルアンモニウム、臭化テトラヘプチルアンモニウム、臭化デシルトリメチルアンモニウム、臭化テトラ-n-オクチルアンモニウム、臭化テトラプロピルアンモニウム、臭化テトラオクチルアンモニウム、臭化テトラデシルトリメチルアンモニウム、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、臭化オクタデシルトリメチルアンモニウム、臭化ドデシルトリメチルアンモニウム、臭化デシルトリメチルアンモニウム、臭化オクチルトリメチルアンモニウム、臭化ヘキシルトリメチルアンモニウム
(ii) 非イオン性界面活性剤
非イオン性界面活性剤として、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロックコポリマー、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等が挙げられる。エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロックコポリマーとして、例えば式:RO(C2H4O)a-(C3H6O)b-(C2H4O)cR(但し、a及びcはそれぞれ10〜120を表し、bは30〜80を表し、Rは水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基を表す)で表されるものが挙げられる。このブロックコポリマーの市販品として、例えばPluronic(登録商標、BASF社)が挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルエーテルとして、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等が挙げられる。
(a-3) 触媒
(i) 酸性触媒
酸性触媒の例として塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸やギ酸、酢酸等の有機酸が挙げられる。
(ii) 塩基性触媒
塩基性触媒の例としてアンモニア、アミン、NaOH及びKOHが挙げられる。好ましいアミンの例としてアルコールアミン及びアルキルアミン(例えばメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、n-ブチルアミン、n-プロピルアミン等)が挙げられる。
(a-4) 溶媒
溶媒としては純水を用いることができる。
(b) 形成方法
(b-1) 酸性条件での加水分解・重縮合
純水に酸性触媒を添加して酸性溶液を調製し、カチオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤の混合溶液を調製した後、アルコキシシランを添加し、加水分解・重縮合する。酸性溶液のpHは1〜3とするのが好ましく、約2とするのがより好ましい。アルコキシシランのシラノール基の等電点は約pH2であるので、pH2付近では酸性溶液中でシラノール基が安定的に存在する。溶媒/アルコキシシランのモル比は30〜300にするのが好ましい。このモル比を30未満とすると、アルコキシシランの重合度が高くなり過ぎる。一方300超とすると、アルコキシシランの重合度が低くなり過ぎる。
カチオン性界面活性剤/溶媒のモル比は1×10-4〜3×10-3とするのが好ましく、これによりメソ細孔の規則性に優れたメソポーラスシリカナノ粒子が得られる。このモル比は、1.5×10-4〜2×10-3がより好ましい。
カチオン性界面活性剤/アルコキシシランのモル比は1×10-1〜3×10-1が好ましい。このモル比を1×10-1未満とすると、メソポーラスシリカナノ粒子のメソ構造の形成が不十分となる。一方3×10-1超とすると、メソポーラスシリカナノ粒子の粒径が大きくなり過ぎる。このモル比は、1.5×10-1〜2.5×10-1がより好ましい。
非イオン性界面活性剤/アルコキシシランのモル比は3.5×10-3以上〜2.5×10-2未満である。このモル比を3.5×10-3未満とすると、メソポーラスシリカナノ粒子の粒子径制御が困難になる。一方2.5×10-2以上とすると、メソポーラスシリカナノ粒子分散水系ゾルの粘度が高くなりハンドリングが難しくなる。
カチオン性界面活性剤/非イオン性界面活性剤のモル比は8超〜60以下とするのが好ましく、これによりメソ細孔の規則性に優れたメソポーラスシリカナノ粒子が得られる。このモル比は、10〜50がより好ましい。
アルコキシシランを含む溶液を0.5〜24時間程度エージングする。具体的には、20〜25℃で溶液を速く撹拌する。エージングにより加水分解・重縮合が進行し、シリケート(アルコキシシランを出発物質とするオリゴマー)を含有する酸性ゾルが生成する。
(b-2) 塩基性条件での加水分解・重縮合
酸性ゾルに塩基性触媒を添加して溶液を塩基性にし、さらに加水分解・重縮合し、反応を完結させる。これによりメソポーラスシリカナノ粒子を含有する水系ゾルが得られる。溶液のpHは9〜12となるように調整するのが好ましい。
塩基性触媒を添加することにより、カチオン性界面活性剤ミセルの周囲にシリケート骨格が形成されて、規則的な六方配列が成長することによりシリカとカチオン性界面活性剤とが複合した粒子が形成される。この複合粒子は成長に伴って表面の有効電荷が減少するので、表面に非イオン性界面活性剤が吸着する。その結果、図2(1) に示すように、非イオン性界面活性剤30で被覆され、かつカチオン性界面活性剤20をメソポーラスシリカナノ粒子の細孔内に有する界面活性剤修飾メソポーラスシリカナノ粒子10の水系ゾルが得られる[例えば今井宏明、「化学工業」、化学工業社、2005年9月、第56巻、第9号、pp.688-693]。このメソポーラスシリカナノ粒子の形成過程において、非イオン性界面活性剤の吸着により、上記複合粒子の成長が抑制されるので、以上のような二種類の界面活性剤を用いた調製方法により得られるメソポーラスシリカナノ粒子は、平均粒径が200 nm以下で、かつメソ細孔の規則性に優れている。
(2) 界面活性剤の除去
(a) 非イオン性界面活性剤の除去
メソポーラスシリカナノ粒子10を外包する非イオン性界面活性剤30を除去する。非イオン性界面活性剤30が修飾されたメソポーラスシリカナノ粒子10を有機溶媒に分散させようとすると、水和された非イオン性界面活性剤30がメソポーラスシリカナノ粒子10と有機溶媒との間を隔てて、メソポーラスシリカナノ粒子10が有機溶媒に分散しにくい。そのため非イオン性界面活性剤30を除去することにより、メソポーラスシリカナノ粒子10の有機溶媒への分散性が向上する。
非イオン性界面活性剤30の除去はアルコールを用いて行うのが好ましい。具体的には、メソポーラスシリカナノ粒子を含有する水系ゾルをアルコール中に添加し、攪拌混合した後、メソポーラスシリカナノ粒子と溶液成分とに遠心分離する。遠心分離された上澄みの溶液成分を除去することにより、非イオン性界面活性剤30が除去されたメソポーラスシリカナノ粒子10の湿潤物が得られる(図2(2))。
非イオン性界面活性剤30の除去過程及び後述するカチオン性界面活性剤20の除去過程に用いるアルコールは炭素数1〜4の第1級及び第2級アルコールであるのが好ましい。具体的には、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。メソポーラスシリカナノ粒子を含有する水系ゾルとアルコールの体積比は、メソポーラスシリカナノ粒子含有水系ゾル:アルコール=1:1〜1:10であるのが好ましい。得られた湿潤物を再度アルコール中に添加し、上述の撹拌・遠心分離工程を複数回繰り返しても良く、3サイクル以上行うのがより好ましい。
(b) カチオン性界面活性剤の除去
非イオン性界面活性剤30が除去されたメソポーラスシリカナノ粒子10の細孔10a内に内包されるカチオン性界面活性剤20を除去する。カチオン性界面活性剤20の除去は塩酸/アルコール系混合溶液を用いて行うのが好ましい。具体的には、メソポーラスシリカナノ粒子10を含有する湿潤ゲルを塩酸/アルコール系混合溶液中に添加し、攪拌することにより、メソポーラスシリカナノ粒子10に内包されるカチオン性界面活性剤20を抽出・除去する。得られた混合溶液を遠心分離した後、その上澄みを除去することにより、メソポーラスシリカナノ粒子10の湿潤ゾルが得られる(図2(3))。得られた湿潤ゲルをアルコール系溶媒に添加し、撹拌・遠心分離工程を複数回繰り返し洗浄することで、塩酸が洗浄・除去されたメソポーラスシリカナノ粒子10の湿潤ゲルが得られる。
カチオン性界面活性剤20の除去工程に用いる塩酸/アルコール系混合液の体積比は塩酸(35%):アルコール=1:99〜20:80であるのが好ましい。これにより、メソポーラスシリカナノ粒子に内包されるカチオン性界面活性剤20を十分に除去することができる。アルコールは非イオン性界面活性剤30の除去に用いたものと同じものを用いることができる。攪拌及び遠心分離の回転数及び時間は非イオン性界面活性剤の除去工程と同じでも良い。
このようにアルコールによる洗浄と塩酸/アルコール系混合溶液による洗浄の2つの洗浄工程を行うことにより、メソポーラスシリカナノ粒子10を外包する非イオン性界面活性剤30と、メソポーラスシリカナノ粒子10に内包されるカチオン性界面活性剤20とを除去することができ、表面修飾されていないメソポーラスシリカナノ粒子10を含有する湿潤ゾルが得られる。メソポーラスシリカナノ粒子10に内包されるカチオン性界面活性剤20の除去工程を行う前に、メソポーラスシリカナノ粒子10を外包する非イオン性界面活性剤30の除去工程を行うのが望ましい。カチオン性界面活性剤20を先に除去すると、粒子細孔が壊れる恐れがある。また非イオン性界面活性剤30の除去工程を行い、カチオン性界面活性剤20の除去工程を行った後に、再度非イオン性界面活性剤30の除去工程を行なっても良い。
(3) 有機溶媒への分散
得られたメソポーラスシリカナノ粒子10を超音波分散法を用いて有機溶媒中に分散させる。超音波照射は超音波ホモジナイザーを用いて行うことができる。超音波照射法は、発振周波数:10〜30 kHz、照射出力:150〜1200 W及び超音波処理時間:5〜180分の条件下で、氷浴中で攪拌しながら行うのが好ましい。表面修飾されていないメソポーラスシリカナノ粒子は凝集し易く2次粒子を形成し易いという問題があるが、超音波照射を施すことにより、外的力を照射し粒子間のインタラクションを弱めて分散させることができる。メソポーラスシリカナノ粒子が有機溶媒中に分散しやすい理由としては、メソポーラスシリカナノ粒子が持つナノ粒子効果による影響が大きいと考えられる。従って、通常、シリカ粒子といった無機材料を有機溶媒中に分散する際、無機粒子表面にシランカップリング剤等の表面修飾を施し、表面改質をする必要があったが、本発明においては、その表面改質を必要とせず、有機溶媒中に多くのメソポーラスシリカナノ粒子10を分散することができる。
超音波分散法によりメソポーラスシリカナノ粒子10を有機溶媒中に分散させた後、さらに遠心分離を行い、その上澄みを採取して残存する界面活性剤と一部凝集したメソポーラスシリカナノ粒子とコンタミを抽出・除去しても良い。
(4) 金属アルコキシドの添加
メソポーラスシリカナノ粒子10が有機溶媒中に分散した上記メソポーラスシリカナノ粒子分散溶液に金属アルコキシドを添加する。金属アルコキシドの添加は金属アルコキシドの溶液を用いて行うのが好ましい。金属アルコキシド添加後のメソポーラスシリカナノ粒子分散溶液中の金属アルコキシドの濃度は 0.01〜2.00 wt%が好ましい。
上記第一の実施態様では、メソポーラスシリカナノ粒子10の非イオン性界面活性剤30及びカチオン性界面活性剤20の両方を除去しているが、本発明はこれに限らず、非イオン性界面活性剤30の除去工程のみを行なっても良い。
本発明の第二の実施態様によるメソポーラスシリカナノ粒子分散溶液の製造方法は、メソ孔がヘキサゴナル状に配列した構造を有するメソポーラスシリカナノ粒子が有機溶媒中に分散したメソポーラスシリカナノ粒子分散溶液の製造方法において、(i)溶媒、酸性触媒、アルコキシシラン、カチオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤を含む混合溶液をエージングしてアルコキシシランを加水分解・重縮合させ、(ii) 得られたシリケートを含む酸性ゾルに塩基性触媒を添加することにより、非イオン性界面活性剤で被覆され、かつカチオン性界面活性剤をメソポーラスシリカナノ粒子の細孔内に有するメソポーラスシリカナノ粒子のゾルを調製し、(iii) メソポーラスシリカナノ粒子を外包する非イオン性界面活性剤を除去し、(iv) 得られたメソポーラスシリカナノ粒子を超音波分散法を用いて有機溶媒中に分散し、(v) 有機溶媒中に金属アルコキシドを添加することを特徴とする。
本発明の第二の実施態様によるメソポーラスシリカナノ粒子分散溶液の製造方法は、ゾル中のメソポーラスシリカナノ粒子10を外包する非イオン性界面活性剤30のみを除去し、メソポーラスシリカナノ粒子10の細孔10a内に内包されるカチオン性界面活性剤20を除去しない点で、第一の実施態様と異なる。
メソポーラスシリカナノ粒子10を外包する非イオン性界面活性剤30を除去しているため、第一の実施態様と同様に有機溶媒中に分散させることができる。メソポーラスシリカナノ粒子10の細孔10a内にカチオン性界面活性剤20が残留しているため、メソポーラスシリカナノ粒子分散溶液を基材の表面に塗布・乾燥する工程において、細孔10aが収縮や崩壊するのを防止できる。
[2] 塗布液
上記第一及び第二の実施態様により得られたメソポーラスシリカナノ粒子分散溶液は、超低屈折率を有するメソポーラスシリカ多孔質膜の材料となるメソポーラスシリカナノ粒子が有機溶媒中に均一に分散している。そのため、かかるメソポーラスシリカナノ粒子分散溶液を用いて作製した塗布液を用いてメソポーラスシリカ多孔質膜の形成を行うと、成膜時の優れたハンドリング性、レベリング性及び均一成膜性が得られる。また金属アルコキシドが添加されているため、メソポーラスシリカ多孔質膜の成膜と同時にアルカリ処理を行うことができる。非イオン性界面活性剤30及びカチオン性界面活性剤20の両方を除去した第一の実施態様の分散溶液を塗布液として用いると、基材に塗布液を塗布した後に界面活性剤を除去する必要がないため、成膜時の高温焼成が不要になる。
[3] メソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法
図3は、上記塗布液を基材1の表面に塗布及び成膜してなるメソポーラスシリカ多孔質膜2を示す。メソポーラスシリカ多孔質膜2は、メソ孔がヘキサゴナル状に配列した構造を有するメソポーラスシリカナノ粒子が集合してなり、反射防止膜として好適である。かかるメソポーラスシリカ多孔質膜2は、上記塗布液を基板1に塗布した後、乾燥することにより得られる。
(3-1) 塗布
メソポーラスシリカナノ粒子分散溶液を含む塗布液を基材1の表面にコーティングする。塗布液のコーティング方法として、スピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法、フローコート法、バーコート法、リバースコート法、フレキソ法、印刷法及びこれらを併用する方法等が挙げられる。得られる多孔質膜の厚さは、例えば、スピンコート法における基材回転速度やディッピング法における引き上げ速度の調整、塗布液の濃度の調整等により制御することができる。スピンコート法における基材回転速度は、例えば約500 rpm〜約10,000 rpmとするのが好ましい。
(3-2) プラズマ処理
得られた塗布膜に酸素プラズマを照射することによりプラズマ処理を行う。プラズマ処理により、アルカリ処理による膜の硬質化工程において、シラノール基の反応が活性化され、メソポーラスシリカナノ粒子の粒子間結合がより強固になる。プラズマ処理の方法としては、塗工液を塗布した基板を酸素含有ガス雰囲気に設置し、プラズマ放電することにより行う直接法を用いるのが好ましい。直接法を用いる場合、対向する上部電極及び下部電極を有する平行平板型のプラズマ放電装置を用いるのが好ましい。塗工液を塗布した基板を下部電極上に配置しプラズマ放電する。供給電力は出力100〜1500 WのRF波が好ましい。RF波は周波数が13.56 MHzのものが好ましく、供給電力の出力は100〜500 Wであるのがより好ましい。プラズマ放電の時間は30秒〜10分が好ましい。減圧下でプラズマ放電する場合、10〜100 Paの減圧下で、酸素含有ガスを供給しながら行うのが好ましく、酸素の供給流量は50〜150 cc/分が好ましく、50〜100 cc/分がより好ましい。放電中の基材の温度は20〜 100℃が好ましい。
(3-3) 焼成
プラズマ処理後、80〜200℃の温度で焼成するのが好ましい。焼成温度を80℃ 以下とすると、シロキサン結合を充分に形成することができずメソポーラスシリカナノ粒子同士の結合及びメソポーラスシリカナノ粒子と基材1との結合が弱くなるので、耐擦傷性、基材1に対する密着性、及び機械的強度が低下する。一方200℃ 超とすると、ガラス転移温度の低い光学ガラス基材やプラスチック基材が変形する。焼成温度は100〜160℃ が好ましい。焼成時間は温度により適宜設定すればよいが、0.5〜1時間が好ましい。
(3-4) 洗浄
必要に応じて、メソポーラスシリカ多孔質膜2を洗浄しても良い。洗浄は、水に浸漬する方法、水をシャワーする方法、又はこれらの組合せにより行うことができる。水に浸漬する場合、超音波処理してもよい。洗浄温度は、1〜40℃の範囲が好ましい。洗浄時間は0.2〜15分が好ましい。水はメソポーラスシリカ多孔質膜1cm2当たり0.01〜1,000 mL/分の割合で使用するのが好ましい。
(3-5) 物性
メソポーラスシリカ多孔質膜2の屈折率は空隙率に依存し、大きな空隙率を有するものほど屈折率が小さい。メソポーラスシリカ多孔質膜2の空隙率は10%以上〜65%未満であるのが好ましい。10%以上〜65%未満の空隙率を有するメソポーラスシリカ多孔質膜2の屈折率は、1.15〜1.40であり、好ましくは1.20〜1.30である。空隙率が65%超であると、耐擦傷性、機械的強度及び耐クラック性が小さすぎる。空隙率10%未満であると、屈折率が大きすぎる。この空隙率は30〜55%がより好ましい。
図4に示すように、窒素吸着法により求めたメソポーラスシリカ多孔質膜2の孔径分布曲線は二つのピークを有するのが好ましい。詳しくは、メソポーラスシリカ多孔質膜2について求めた窒素の等温脱着曲線からBJH法で解析することにより求めた孔径分布曲線(横軸を細孔直径とし、縦軸をlog微分細孔容積とする)は、二つのピークを有するのが好ましい。BJH法は、例えば「メソ孔の分布を求める方法」(E. P. Barrett,L. G. Joyner, and P. P. Halenda , J.Am. Chem. Soc., 73, 373(1951))に記載されている。log微分細孔容積は、細孔直径Dの対数の差分値d(logD)に対する差分細孔容積dVの変化量であり、dV/d(logD)で表される。小孔径側の第一ピークは粒子内細孔の径を示し、大孔径側の第二ピークは粒子間細孔の径を示す。メソポーラスシリカ多孔質膜2は、粒子内細孔径が2〜10 nmの範囲内にあり、粒子間細孔径が5〜200 nmの範囲内にある分布を有するのが好ましい。粒子内細孔径及び粒子間細孔径が上記範囲であるメソポーラスシリカ多孔質膜2は、1.10超〜1.35以下の適度な屈折率と、優れた反射防止性、耐擦傷性、基材に対する密着性、機械的強度及び耐湿性を有する。
粒子内細孔容積V1と粒子間細孔容積V2の比は1/2〜1/1であるのが好ましい。この比が上記範囲であるメソポーラスシリカ多孔質膜2は、反射防止性と耐クラック性のバランスに優れている。この比は1/1.9以上1/1.2であるのがより好ましい。容積V1及びV2は以下の通り求める。図3において、第一及び第二のピーク間の縦座標の最小値の点Eを通り、横軸と平行な直線をベースラインL0とし、各々のピークの最大傾斜線(最大傾斜点における接線)L1〜L4とベースラインL0との交点A〜Dにおける横軸座標(DA〜DD)を求める。各々BJH法による解析データにより、DA〜DBの範囲の径を有する細孔の合計容積を算出してV1とし、DC〜DDの範囲の径を有する細孔の合計容積を算出してV2とする。
メソポーラスシリカ多孔質膜2の好ましい物理膜厚は15〜500 nmであり、より好ましくは100〜150 nmである。
(3-6) 緻密膜の形成
基材上に予め緻密膜を形成し、その上に上記メソポーラスシリカ多孔質膜を形成してもよい。緻密膜は、金属酸化物等の無機材料からなる層(「無機層」と言う)、無機微粒子とバインダからなる複合層(「無機微粒子−バインダ複合層」又は単に「複合層」と言う)、又は樹脂からなる層のいずれでも良い。緻密膜の材料は、基材の屈折率より小さく、アルカリ処理メソポーラスシリカ多孔質膜の屈折率より大きな屈折率を有するものの中から選択する。
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
実施例1
[メソポーラスシリカナノ粒子分散液(水系ゾル)の作製]
pH2の塩酸(0.01N)40 gに、塩化n-ヘキサデシルトリメチルアンモニウム;CTAC(関東化学株式会社製、以下「カチオン性界面活性剤」とする。)1.21g(0.088 mol/L)、及びブロックコポリマー HO(C2H4O)106-(C3H6O)70 -(C2H4O)106H(商品名「Pluronic F127」、Sigma-Aldrich社製、以下「非イオン性界面活性剤」とする。)2.14g(0.004 mol/L)を添加し、25℃で0.5時間撹拌し、テトラエトキシシラン(関東化学株式会社製)4.00 g(0.45 mol/L)を添加し、25℃で3時間撹拌した後、28質量%アンモニア水(和光純薬工業株式会社製)3.94 g(1.51 mol/L)を添加してpHを10.8とし、25℃で0.5時間撹拌し水系ゾルを得た。
[メソポーラスシリカナノ粒子分散液の界面活性剤抽出除去]
得られた水系ゾルを20ml採取し、エタノール(和光純薬工業株式会社製;1級試薬)80mlと混合して強攪拌することで、水系ゾル中の非イオン性界面活性剤を抽出し、カチオン性界面活性剤を内包するメソポーラスシリカナノ粒子を沈殿させた。これを遠心分離機(久保田商事株式会社製;テーブルトップ遠心機2410)を用いて4000 rpmで20分間遠心分離し、非イオン性界面活性剤が溶解した上澄みを除去した。この抽出・除去の工程を3サイクル実施し、カチオン性界面活性剤が内包されたメソポーラスシリカナノ粒子の湿潤物を得た。
得られたメソポーラスシリカナノ粒子の湿潤物全量を塩酸(和光純薬工業株式会社製「35〜37%水溶液」):エタノール=10 ml:90 mlの混合溶液に添加し、18時間攪拌することで、メソポーラスシリカナノ粒子中に内包されるカチオン性界面活性剤を抽出した。この溶液を4000 rpmで20分間遠心分離し、カチオン性界面活性剤が溶解した上澄みを除去した。この抽出・除去の工程を3サイクル実施し、界面活性剤が修飾されていないメソポーラスシリカナノ粒子の湿潤物を得た。
[メソポーラスシリカナノ粒子分散液の有機溶媒置換]
得られたメソポーラスシリカナノ粒子の湿潤物をシリカ固形分濃度が5.00 wt%になるようにエタノールと混合した。混合した溶液を氷浴中で超音波ホモジナイザー(株式会社日本精機製作所製;US-600T)を用いて2時間超音波照射(19.5 kHz, 600 W)しながら強攪拌することで非イオン性界面活性剤及びカチオン性界面活性剤が抽出・除去されたメソポーラスシリカナノ粒子のエタノール分散液を得た。
[金属アルコキシドを含有するメソポーラスシリカナノ粒子分散溶液の作製]
25 wt%のナトリウムエトキシド-エタノール溶液(和光純薬工業株式会社製)にエタノールを添加して、1.00 wt%のナトリウムエトキシド-エタノール溶液を作製し、この溶液0.50 gと上記5.00 wt%のメソポーラスシリカナノ粒子分散エタノール溶液2.00 gとエタノール2.50 gを混合して得られたゾルを塗布液とした。
[メソポーラスシリカ多孔質膜の作製]
得られた塗布液を屈折率が1.518のBK7ガラスからなる平行平面板(φ30mm, t=1.5mm)の表面にスピンコート法により塗布し、得られた塗布基板をプラズマクリーナー(型番:PDC210、ヤマト科学株式会社製)を用いて、48Paの減圧下、酸素を100cc/分の流量で供給しながら、電力周波数が13.56MHz、RF出力が500 Wの照射強度で5分間プラズマ放電をした。その後、空気雰囲気下で150℃1時間加熱・焼成した。得られたメソポーラスシリカ多孔質膜を洗浄機で洗浄・乾燥することで、アルカリ処理が施されたメソポーラスシリカ多孔質膜を作製した。洗浄機は3槽式で、1槽目は純水槽で超音波を照射しながら3分間遥動して純水洗浄し、2槽目は2-プロパノール槽で3分間遥動して純水から2-プロパノールに置換し、3槽目はベーパー槽でハイドロフルオロエーテル共沸様混合物のフッ素系液体(品番:ノベック71IPA、住友スリーエム株式会社製)を用いて5分間ベーパー乾燥した。実施例1で得られた膜の屈折率は1.352で物理膜厚は95 nmであった。
実施例2
[メソポーラスシリカナノ粒子分散液(水系ゾル)の作製]
実施例1と同様にしてメソポーラスシリカナノ粒子分散液(水系ゾル)を作製した。
[メソポーラスシリカナノ粒子分散液の界面活性剤抽出除去]
実施例1と同様にして、非イオン性界面活性剤30及びカチオン性界面活性剤20を抽出除去したメソポーラスシリカナノ粒子の湿潤物を得た。
[メソポーラスシリカナノ粒子分散液の有機溶媒置換]
得られたメソポーラスシリカナノ粒子の湿潤物をシリカ固形分濃度が4.00 wt%になるように4-メチル-2-ペンタノンと混合した以外は、実施例1と同様にして、非イオン性界面活性剤及びカチオン性界面活性剤が抽出・除去されたメソポーラスシリカナノ粒子の4-メチル-2-ペンタノン分散液を得た。
[金属アルコキシドを含有するメソポーラスシリカナノ粒子分散溶液の作製]
28 wt%のナトリウムメトキシド-メタノール溶液(和光純薬工業株式会社製)にメタノールを添加して、0.50 wt%のナトリウムメトキシド-メタノール溶液を作製し、この溶液6.00 gと上記4.00 wt%のメソポーラスシリカナノ粒子分散4-メチル-2-ペンタノン溶液8.00 gを混合して得られたゾルを塗布液とした。
実施例1と同様にして、メソポーラスシリカ多孔質膜を作製した。実施例2で得られた膜の屈折率は1.277で物理膜厚は88 nmであった。
実施例3
[メソポーラスシリカナノ粒子分散液(水系ゾル)の作製]
実施例1と同様にしてメソポーラスシリカナノ粒子分散液(水系ゾル)を作製した。
[メソポーラスシリカナノ粒子分散液の界面活性剤抽出除去]
カチオン性界面活性剤20の除去を行わなかった以外、実施例1と同様にして、非イオン性界面活性剤30のみを抽出除去したメソポーラスシリカナノ粒子の湿潤物を得た。
[メソポーラスシリカナノ粒子分散液の有機溶媒置換]
得られたメソポーラスシリカナノ粒子の湿潤物をシリカ固形分濃度が4.00 wt%になるように4-メチル-2-ペンタノンと混合した以外は、実施例1と同様にして、非イオン性界面活性剤のみが抽出・除去されたメソポーラスシリカナノ粒子の4-メチル-2-ペンタノン分散液を得た。
[金属アルコキシドを含有するメソポーラスシリカナノ粒子分散溶液の作製]
28 wt%のナトリウムメトキシド-メタノール溶液(和光純薬工業株式会社製)にメタノールを添加して、0.50 wt%のナトリウムメトキシド-メタノール溶液を作製し、この溶液6.00 gと上記4.00 wt%の非イオン性界面活性剤のみが抽出・除去されたメソポーラスシリカナノ粒子分散4-メチル-2-ペンタノン溶液8.00 gを混合して得られたゾルを塗布液とした。
実施例1と同様にして、メソポーラスシリカ多孔質膜を作製した。実施例3で得られた膜の屈折率は1.294で物理膜厚は93 nmであった。
比較例1
[メソポーラスシリカナノ粒子分散液(水系ゾル)の作製]
実施例1と同様にしてメソポーラスシリカナノ粒子分散液(水系ゾル)を作製した。
[メソポーラスシリカナノ粒子分散液の界面活性剤抽出除去]
実施例1と同様にして、非イオン性界面活性剤30及びカチオン性界面活性剤20を抽出除去したメソポーラスシリカナノ粒子の湿潤物を得た。
[メソポーラスシリカナノ粒子分散液の有機溶媒置換]
得られたメソポーラスシリカナノ粒子の湿潤物をシリカ固形分濃度が4.00 wt%になるように4-メチル-2-ペンタノンと混合した以外は、実施例1と同様にして、非イオン性界面活性剤及びカチオン性界面活性剤が抽出・除去されたメソポーラスシリカナノ粒子の4-メチル-2-ペンタノン分散液を得た。
実施例1と同様にして、メソポーラスシリカ多孔質膜を作製した。比較例1で得られた膜の屈折率は1.282で物理膜厚は90 nmであった。
(1) HAZE値の測定
実施例1 〜 3及び比較例1に示した上記平行平面板を含むメソポーラスシリカ多孔質膜のHAZE値(JIS K7136)を表1に示す。
(2) 耐擦傷性の評価
実施例1 〜 3及び比較例1に示したメソポーラス多孔質膜について、1kg/cm2の圧力及び120回/分の速度で不織布(商品名「スピックレンズワイパー」、小津産業株式会社製)によりメソポーラス多孔質膜の成膜面を10回擦る処理を施した後、表面の様子を観察することにより、耐擦傷性を評価した。評価基準は、○:「全く傷が付かなかった」、△:「少し傷が付いたが剥離しなかった」、及び×:「剥離した」である。得られた結果を表1に示す。
(3) 密着性の評価
実施例1 〜 3及び比較例1に示したメソポーラス多孔質膜について、メソポーラス多孔質膜の成膜面1cm×1cmの領域にセロハンテープを貼付した後、セロハンテープを45度方向に引っ張りながら剥離することにより密着性を評価した。評価基準は、○:「全く剥離しなかった」、及び×:「一部又は全部剥離した」である。得られた結果を表1に示す。
Figure 0006304584
1・・・基材
2・・・メソポーラスシリカ多孔質膜
10・・・メソポーラスシリカナノ粒子
10a・・・メソ孔
10b・・・シリカ骨格
20・・・カチオン性界面活性剤
30・・・非イオン性界面活性剤

Claims (19)

  1. 有機溶媒中にメソポーラスシリカナノ粒子が分散した分散溶液であって、金属アルコキシドが添加されており、前記金属アルコキシドは炭素数が1〜3のアルカリ金属アルコキシドであることを特徴とするメソポーラスシリカナノ粒子の分散溶液。
  2. 請求項1に記載の分散溶液において、前記有機溶媒は1価又は2価のアルコール又はアルコキシアルコール及びケトンからなる群より選ばれた少なくとも一種とすることを特徴とするメソポーラスシリカナノ粒子の分散溶液。
  3. 請求項1又は2に記載の分散溶液において、前記金属アルコキシド/前記メソポーラスシリカナノ粒子が質量比で1 〜 30 %であることを特徴とするメソポーラスシリカナノ粒子の分散溶液。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の分散溶液において、前記メソポーラスシリカナノ粒子のメソ孔がヘキサゴナル状に配列していることを特徴とするメソポーラスシリカナノ粒子の分散溶液。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の分散溶液において、前記メソポーラスシリカナノ粒子が表面修飾されていないことを特徴とするメソポーラスシリカナノ粒子の分散溶液。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の分散溶液において、前記メソポーラスシリカナノ粒子のメジアン径が200 nm以下であることを特徴とするメソポーラスシリカナノ粒子の分散溶液。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の分散溶液を製造する方法であって、(i)溶媒、酸性触媒、アルコキシシラン、カチオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤を含む混合溶液をエージングしてアルコキシシランを加水分解・重縮合させ、(ii) 得られたシリケートを含む酸性ゾルに塩基性触媒を添加することにより、前記非イオン性界面活性剤で被覆され、かつ前記カチオン性界面活性剤を細孔内に有するメソポーラスシリカナノ粒子のゾルを調製し、(iii) 前記メソポーラスシリカナノ粒子を外包する非イオン性界面活性剤及び前記メソポーラスシリカナノ粒子の細孔内に内包されるカチオン性界面活性剤を除去し、(iv) 得られたメソポーラスシリカナノ粒子を超音波分散法を用いて有機溶媒中に分散し、(v) 前記有機溶媒中に金属アルコキシドを添加することを特徴とするメソポーラスシリカナノ粒子の分散溶液の製造方法。
  8. 請求項7に記載の分散溶液の製造方法において、前記ゾルをアルコールに添加して撹拌混合し、前記メソポーラスシリカナノ粒子から前記非イオン性界面活性剤を抽出除去した後、前記メソポーラスシリカナノ粒子を塩酸/アルコール系混合溶液に添加して撹拌混合し、前記メソポーラスシリカナノ粒子から前記カチオン性界面活性剤を除去することを特徴とするメソポーラスシリカナノ粒子分散溶液の製造方法。
  9. 請求項1〜のいずれかに記載の分散溶液を製造する方法であって、(i)溶媒、酸性触媒、アルコキシシラン、カチオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤を含む混合溶液をエージングしてアルコキシシランを加水分解・重縮合させ、(ii) 得られたシリケートを含む酸性ゾルに塩基性触媒を添加することにより、前記非イオン性界面活性剤で被覆され、かつ前記カチオン性界面活性剤を細孔内に有するメソポーラスシリカナノ粒子のゾルを調製し、(iii) 前記メソポーラスシリカナノ粒子を外包する非イオン性界面活性剤を除去し、(iv) 得られたメソポーラスシリカナノ粒子を超音波分散法を用いて有機溶媒中に分散し、(v) 前記有機溶媒中に金属アルコキシドを添加することを特徴とするメソポーラスシリカナノ粒子分散溶液の製造方法。
  10. 請求項9に記載の分散溶液の製造方法であって、前記ゾルをアルコールに添加して撹拌混合し、前記メソポーラスシリカナノ粒子から前記非イオン性界面活性剤を除去することを特徴とするメソポーラスシリカナノ粒子分散溶液の製造方法。
  11. 請求項7〜10のいずれかに記載の分散溶液の製造方法において、非イオン性界面活性剤及びカチオン性界面活性剤の除去過程に用いるアルコールが炭素数1〜4の第1級及び第2級アルコールであることを特徴とするメソポーラスシリカナノ粒子分散溶液の製造方法。
  12. 請求項7〜11のいずれかに記載の分散溶液の製造方法において、カチオン性界面活性剤の除去工程に用いる塩酸/アルコール系混合液の体積比が塩酸(35%):アルコール=1:99〜20:80であることを特徴とするメソポーラスシリカナノ粒子分散溶液の製造方法。
  13. 請求項7〜12のいずれかに記載の分散溶液の製造方法において、前記超音波分散法を、発振周波数:10〜30 kHz、照射出力:150〜1200 W及び超音波処理時間:5〜180分の条件下で、氷浴中で攪拌しながら行うことを特徴とするメソポーラスシリカナノ粒子分散溶液の製造方法。
  14. 請求項1〜6のいずれかに記載のメソポーラスシリカナノ粒子分散溶液を用いた塗布液。
  15. 請求項14に記載の塗布液を基材に塗布した後、塗布膜に酸素プラズマを照射することを特徴とするメソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法。
  16. 請求項15に記載のメソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法において、前記酸素プラズマの照射条件が、酸素供給流量:50〜150 cc/分、照射強度:100〜1500 W、及び照射時間:30秒〜10分であることを特徴とするメソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法。
  17. 請求項15又は16に記載のメソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法において、酸素プラズマ照射後に前記基材を80〜200℃で焼成することを特徴とするメソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法。
  18. 請求項15〜17のいずれかに記載のメソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法において、前記基材を焼成後に純水で洗浄して、アルカリ金属アルコキシドを除去することを特徴とするメソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法。
  19. 請求項15〜18のいずれかに記載のメソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法において、前記メソポーラスシリカ多孔質膜の屈折率が1.15〜1.40であることを特徴とするメソポーラスシリカ多孔質膜の製造方法。
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