JP2012213716A - カーボンナノチューブ配向集合体製造用基材、カーボンナノチューブ配向集合体の製造方法、及びカーボンナノチューブ配向集合体製造用基材の製造方法 - Google Patents

カーボンナノチューブ配向集合体製造用基材、カーボンナノチューブ配向集合体の製造方法、及びカーボンナノチューブ配向集合体製造用基材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】より効率よくカーボンナノチューブ配向集合体を製造する。
【解決手段】本発明に係るカーボンナノチューブ配向集合体製造用基材は、基板、触媒担持層及び触媒層を備え、前記触媒担持層は前記基板の上にあり、板状構造のアルミニウム酸化物であり、その表面には孔が空いており、前記触媒層は、前記孔の少なくとも一部を選択的に露出して、前記表面の上であって孔の空いていない場所にある、触媒の粒子の層である。
【選択図】なし

Description

本発明はカーボンナノチューブ配向集合体製造用基材、カーボンナノチューブ配向集合体の製造方法、及びカーボンナノチューブ配向集合体製造用基材の製造方法に関する。
カーボンナノチューブ(以下、「CNT」ともいう)は、炭素原子が平面的に六角形状に配置されて構成された炭素シートが、円筒状に閉じた構造を有する炭素構造体である。このCNTには、多層のもの及び単層のものがあるが、いずれもその力学的強度、光学特性、電気特性、熱特性、分子吸着機能等の面から、電子デバイス材料、光学素子材料、導電性材料等の機能性材料としての展開が期待されている。CNTの中でも単層CNTは、電気的特性(極めて高い電流密度)、熱的特性(ダイヤモンドに匹敵する熱伝導度)、光学特性(光通信帯波長域での発光)、水素貯蔵能、及び金属触媒担持能などの各種特性に優れている上、半導体と金属との両特性を備えているため、ナノ電子デバイス、ナノ光学素子、及びエネルギー貯蔵体などの材料として注目されている。
配向性CNT膜の製造方法として特許文献1に記載の技術が従来技術として知られている。
特許文献1には、0.1〜50nmの細孔を有するゾルゲル法多孔質担体を作製し、これに担持した触媒を用いて炭素化合物を分解することにより、CNT膜を製造することが記載されている。
特開2004−2182号公報(2004年1月8日公開)
しかしながら、前記の従来の技術でも生産性の観点から十分ではなく、新たなカーボンナノチューブの製造技術が求められている。
本発明は、このような事情に鑑みて成されたものであり、より効率よくカーボンナノチューブ配向集合体を製造するためのカーボンナノチューブ配向集合体製造用基材を提供することにある。
前記の課題を解決するために、本発明に係るカーボンナノチューブ配向集合体製造用基材は、基板、触媒担持層及び触媒層を備え、前記触媒担持層は前記基板の上にあり、板状構造のアルミニウム酸化物であり、その表面には孔が空いており、前記触媒層は、前記孔の少なくとも一部を選択的に露出して、前記表面の上であって孔の空いていない場所にある、触媒の粒子の層であることを特徴としている。
本発明に係るカーボンナノチューブ配向集合体製造用基材では、前記触媒担持層は多孔質であることがより好ましい。
本発明に係るカーボンナノチューブ配向集合体製造用基材では、前記触媒担持層は、細孔直径が1〜50nmのメソ孔を有することがより好ましい。
本発明に係るカーボンナノチューブ配向集合体製造用基材では、前記表面の算術平均粗さRaが、0.05μm以下であることがより好ましい。
本発明に係るカーボンナノチューブ配向集合体製造用基材では、前記触媒担持層の厚さが10nm以上、100nm以下であることがより好ましい。
本発明に係るカーボンナノチューブ配向集合体製造用基材では、前記触媒層における、前記触媒の粒子の密度が、1.0×1011個/cm以上、2.0×1012個/cm以下であることがより好ましい。
また、本発明に係るカーボンナノチューブ配向集合体の製造方法は、カーボンナノチューブ配向集合体製造用基材の周囲環境をカーボンナノチューブの原料ガスを含む環境にして、当該カーボンナノチューブ配向集合体製造用基材及び当該原料ガスのうち少なくとも一方を加熱して、化学気相成長によりカーボンナノチューブ配向集合体を成長させる成長工程を含み、前記カーボンナノチューブ配向集合体製造用基材は、基板、触媒担持層及び触媒層を備え、前記触媒担持層は前記基板の上にあり、板状構造のアルミニウム酸化物であり、その表面には孔が空いており、前記触媒層は、前記表面の上であって孔の空いていない場所にある、触媒の粒子の層であることを特徴としている。
本発明に係るカーボンナノチューブ配向集合体の製造方法では、前記周囲環境は、触媒賦活物質をさらに含むことがより好ましい。
また、本発明に係るカーボンナノチューブ配向集合体製造用基材の製造方法は、前記の本発明に係るカーボンナノチューブ配向集合体製造用基材の製造方法であって、有機アルミニウム化合物を含む触媒担持層コーティング剤を基板上に塗布して、当該基板上に触媒担持層を設ける触媒担持層形成工程と、有機金属化合物及び金属塩からなる群から選ばれる少なくとも一つを含む触媒層コーティング剤を前記触媒担持層上に塗布して、前記触媒担持層上に触媒層を設ける触媒層形成工程と、を含むことを特徴としている。
本発明に係るカーボンナノチューブ配向集合体製造用基材の製造方法では、前記触媒担持層形成工程では、前記触媒担持層コーティング剤を塗布した後に、200℃以上、400℃以下で加熱することがより好ましい。
本発明に係るカーボンナノチューブ配向集合体製造用基材の製造方法では、5分以上、3時間以下の時間で加熱することがより好ましい。
本発明に係るカーボンナノチューブ配向集合体製造用基材の製造方法では、前記触媒層形成工程の後に、前記基板の周囲環境を還元ガスを含む環境として、前記基板及び前記還元ガスのうち少なくとも一方を加熱し、前記触媒層を還元及び粒子化するフォーメーション工程をさらに含むことがより好ましい。
本発明によれば、より効率よくカーボンナノチューブ配向集合体を製造できるという効果を奏する。
本発明に係るCNT配向集合体製造用基材の一実施形態であるCNT配向集合体製造用基材の触媒担持層及び触媒層の構造並びにCNTが成長する様子を模式的に示す図である。 従来技術の多孔質担体を用いてCNTを生産するときのCNTの成長の様子を模式的に示す図である。 実施例1の触媒担持層の表面をSEM観察した結果を示す図である。 実施例1においてBET比表面積測定のために触媒担持層のモデルとして作製した固体のBJHプロットを測定した結果を示す図である。 実施例1において、一旦、CNT配向集合体を製造して、これを除去した後の触媒担持層の表面をSEM観察した結果を示す図である。 実施例4の触媒担持層の表面をSEM観察した結果を示す図である。 実施例4において、一旦、CNT配向集合体を製造して、これを除去した後の触媒担持層の表面をSEM観察した結果を示す図である。 比較例1の触媒担持層の表面をSEM観察した結果を示す図である。
(CNT配向集合体)
本発明に係るカーボンナノチューブ配向集合体の製造方法(以下、単に本発明に係る製造方法という。)によって、基材上に高効率でCNTを成長させることができ、触媒から成長した多数のCNTは特定の方向に配向し、CNT配向集合体を形成する。
本発明に係る製造方法によって得られる単層CNT配向集合体は、比表面積が高く、一本一本のCNTが規則的な方向に配向していて、かつ嵩密度が低いという従来のCNT集合体にはない優れた特性を有するという特徴がある。単層CNT配向集合体の、比表面積は600m/g〜2600m/gと非常に大きい。このように大きな比表面積は、触媒の担持体やエネルギー・物質貯蔵材として有効であり、スーパーキャパシタ及びアクチュエータなどの用途に好適である。また、CNT配向集合体を構成する一本一本のCNTが規則的な方向に配向している。そのため、個々のCNTの機能の方向性を揃えることができ、結果として、高機能なCNT集合体を得ることができる。
さらにこの単層CNT配向集合体は、重量密度が0.002g/cm〜0.2g/cmと低密度である。このように基板上で低密度に成長した単層CNT配向集合体は、集合体を構成する個々の単層CNT同士の結びつきが弱く、基板から取り外した単層CNT配向集合体を、溶媒などに均一に分散させることが容易である。これらに加えて、適度に配向していて低密度な本発明の単層CNT配向集合体は、生成後の後処理行程による密度調節が容易であり、高密度化処理行程を経ることにより、あたかも藁を束ねて作られた俵のように、互いに隣接するCNT同士を隙間なく高密度に充填させることが可能である。この際、高密度化処理行程を制御することによって様々な形状に成型することができる。
(配向性)
配向の評価方法については、例えば、θ−2θ法、ラウエ法で得られたX線回折強度、SEM画像又は原子間力顕微鏡(「AMF」ともいう)画像を高速フーリエ変換して得られた画像から得た強度プロフィールを用いて計算したヘルマンの配向係数が、本発明によって得られる単層CNT配向集合体においては、例えば、−0.5以上、1以下であり、好ましくは0より大きく1以下であり、より好ましくは0.25以上、1以下である。このような配向の範囲にある単層CNT配向集合体は、良好な電気特性、良好な機械的特性、良好な熱特性を示し、比表面積も大きく、一体性に富み、取扱いが容易で形状加工性も良好である。しかも熱力学的、電気的、機械的な異方性も十分に示し、様々な用途に好適である。
これに対してヘルマンの配向係数が0より小さい単層CNT配向集合体は配向性を示さない。またヘルマンの配向係数が0.25より小さいものは、CNTの傾斜が45°となり、配向の効果は減少する。なお、ヘルマン配向係数が1の単層CNT配向集合体は、完全に配向したものとなる。
単層CNT配向集合体が配向性、及び高比表面積を示すためには、単層CNT配向集合体の高さ(長さ)は10μm以上、10cm以下の範囲にあることが好ましい。この高さ範囲にある単層CNT配向集合体は、良好な配向性及び大きい比表面積を備えている。高さを10μm以上とすることで、配向性が向上する。また高さが10cm以下であれば、生成を短時間で行なえるため炭素系不純物の付着を抑制し、比表面積を向上させることができる。さらには、この高さ範囲のある単層CNT配向集合体は高い一体性を備え、取扱いが容易であり、形状加工性も良好である。
CNT配向集合体の配向は、例えば、以下の1から3の少なくともいずれか1つの方法によって評価することができる。すなわち、
1.CNTの長手方向に平行な第1方向と、第1方向に直交する第2方向とからX線を入射してX線回折強度を測定(θ−2θ法)した場合に、第2方向からの反射強度が、第1方向からの反射強度より大きくなるθ角と反射方位とが存在し、かつ第1方向からの反射強度が、第2方向からの反射強度より大きくなるθ角と反射方位とが存在すること。
2.CNTの長手方向に直交する方向からX線を入射して得られた2次元回折パターン像でX線回折強度を測定(ラウエ法)した場合に、異方性の存在を示す回折ピークパターンが出現すること。
3.ヘルマンの配向係数が、θ−2θ法又はラウエ法で得られたX線回折強度を用いると0より大きく1より小さいこと。より好ましくは0.25以上、1以下であること。
また、前述のX線回折法において、単層CNT間のパッキングに起因する(CP)回折ピーク、(002)ピークの回折強度及び単層CNTを構成する炭素六員環構造に起因する(100)、(110)ピークの平行と垂直との入射方向の回折ピーク強度の度合いが互いに異なるという特徴も有している。
〔カーボンナノチューブ配向集合体製造用基材〕
本発明に係るCNT配向集合体製造用基材は、基板、触媒担持層及び触媒層を備え、前記触媒担持層は前記基板の上にあり、板状構造のアルミニウム酸化物であり、その表面には孔が空いており、前記触媒層は、前記孔の少なくとも一部を選択的に露出して、前記表面の上であって孔の空いていない場所にある、触媒の粒子の層である。
本発明に係るCNT配向集合体製造用基材を用いれば、特許文献1に記載の多孔質担体を用いる場合に比べて、より効率よくCNTを生産できる。この理由について図1及び図2を用いて説明する。図1は本発明に係るCNT配向集合体製造用基材の一実施形態であるCNT配向集合体製造用基材の触媒担持層及び触媒層の構造並びにCNTが成長する様子を模式的に示す図である。図2は特許文献1に記載の多孔質担体を用いてCNTを生産するときのCNTの成長の様子を模式的に示す図である。
図1に示すように、CNT配向集合体製造用基材は、基板(図示せず)の上に、触媒担持層1−1が形成されている。
触媒担持層1−1は板状構造である。また、触媒担持層1−1には孔1−2が複数設けられている。
触媒の粒子1−4は、触媒担持層1−1の上であって、孔1−2の空いていない場所にあり、複数の触媒の粒子1−4で触媒層を形成している。
CNT1−3は、触媒の粒子1−4から上に向かって成長していく。このとき、原料ガス及び触媒賦活物質は、孔1−2の内壁に吸着するため触媒の粒子1−4に吸収されやすくなっていると考えられる。また、特許文献1のように触媒の粒子1−4は、孔1−2の内壁及び既にその上に成長したCNTで塞がっていない。よって、触媒の粒子1−4の原料ガス及び触媒賦活物質と接触できる面積が特許文献1の触媒に比べて多くなっていると考えられる。
一方、図2に示すように、特許文献1に記載の多孔質担体2−1では、触媒2−4が細孔2−2の中に担持されている。そのため、触媒2−4は細孔の内壁及び既にその上に成長したCNT2−3に囲まれており、原料ガス等が触媒2−4に接触し難いものと考えられる。
つまり、本発明では、孔1−2の内に触媒の粒子が担持されておらず、例えば後述の実施例に記載の方法等によって、触媒担持層1−1の表面の孔の少なくとも一部を選択的に露出して、前記孔の無い場所に選択的に触媒の粒子1−4を担持させることによって、触媒の粒子1−4の原料ガス及び触媒賦活物質と接触できる面積を大きくしている。
従って、本発明に係るCNT配向集合体製造用基材を用いれば、従来の技術に比べて、触媒の粒子に原料ガス等が接触しやすいので、より効率よくCNTを製造することができる。
なお、特許文献1では触媒液(触媒層コーティング剤)が水溶液で、アンモニア水で中和して用いている。このようにpHが高いものを用いるほど細孔内部に触媒を担持することになる(参考:特開昭60−44055など)。本発明に係るCNT配向集合体製造用基材を製造するには、後述の本発明に係るCNT配向集合体製造用基材の製造方法に従って製造することにより、さらに好適には触媒層コーティング剤に有機溶媒を含ませることにより、より好適に孔の内に触媒の粒子が担持されないようにすることができる。
(基板)
基板はその表面にCNTの触媒を担持することのできる部材であればよく、400℃以上の高温でも形状を維持できることが好ましい。その材質としては、例えば、鉄、ニッケル、クロム、モリブデン、タングステン、チタン、アルミニウム、マンガン、コバルト、銅、銀、金、白金、ニオブ、タンタル、鉛、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、インジウム及びアンチモンなどの金属、並びにこれらの金属を含む合金及び酸化物、又はシリコン、石英、ガラス、マイカ、グラファイト、ダイヤモンド及び燐などの非金属、並びにセラミックなどを例示できる。金属はシリコン及びセラミックと比較して、低コストであるから好ましく、特に、Fe−Cr(鉄−クロム)合金、Fe−Ni(鉄−ニッケル)合金、Fe−Cr−Ni(鉄−クロム−ニッケル)合金等は好適である。
基板の態様としては、平板状、薄膜状、ブロック状などが挙げられ、平板状が好ましい。
平板状の基板を使用する場合、基板の厚さに特に制限はなく、例えば数μm程度の薄膜から数cm程度までのものを用いることができる。好ましくは、0.05mm以上3mm以下である。基板の厚さが3mm以下であれば、CVD工程で基材を十分に加熱することができCNTの成長不良を抑制することができ、また基板のコストを低減できる。基板の厚さが0.05mm以上であれば、浸炭による基板の変形を抑え、また基板自体のたわみが起こりにくいため基板の搬送や再利用に有利である。なお、本明細書にいう浸炭とは基板に炭素成分が浸透することをいう。
平板状の基板の形状、大きさに特に制限はないが、形状としては、長方形もしくは正方形のものを用いることができる。基板の一辺の大きさに特に制限はないが、CNTの量産性の観点から、大きいほど望ましい。
(浸炭防止層)
基材の表面及び裏面のうち少なくともいずれか一方には、浸炭防止層が形成されていてもよく、表面及び裏面の両面に浸炭防止層が形成されていることが望ましい。この浸炭防止層は、カーボンナノチューブの生成工程において、基材が浸炭されて変形するのを防止するための保護層である。
浸炭防止層は、金属又はセラミック材料によって構成されることが好ましく、特に浸炭防止効果の高いセラミック材料であることが好ましい。金属としては、銅及びアルミニウム等が挙げられる。セラミック材料としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、シリカアルミナ、酸化クロム、酸化ホウ素、酸化カルシウム、酸化亜鉛などの酸化物、窒化アルミニウム、窒化ケイ素などの窒化物が挙げられ、なかでも浸炭防止効果が高いことから、酸化アルミニウム、酸化ケイ素が好ましい。
(触媒担持層)
触媒担持層は基板の上にある、板状構造のアルミニウム酸化物である。その表面には孔が空いている。
触媒担持層は、表面に孔が空いている板状構造のアルミニウム酸化物であればよいが、多孔質であることがより好ましい。触媒担持層が多孔質であることは、走査型電子顕微鏡(SEM)による観測で、触媒担持層の表面に細孔が観測されることで確認できる。触媒担持層が多孔質であることにより、CNTの生産安定性が向上する。メカニズムについては定かではないが、触媒賦活物質が触媒担持層表面に存在する細孔に吸着することで、触媒賦活物質が触媒に供給されやすくなり、触媒が失活しにくくなっていると推測される。
触媒担持層の表面の孔の大きさ及び密度は特に限定されないが、例えば、触媒担持層の細孔直径は、好ましくは1〜50nm、より好ましくは2〜20nmのメソ孔である。これらの細孔特性は、窒素ガス吸着法により得られたデータをBJHプロットすることで算出できる。細孔の直径を前記範囲とすることで原料ガスおよび触媒賦活物質を吸着しやすくなり、CNTの成長を促進できると推測される。触媒担持層表面における孔の面積の割合は、5%以上30%以下であることが好ましい。この範囲であるとCNTの収量を低下させること無く、特にCNTの生産安定性が向上する。孔の面積の割合は、走査型電子顕微鏡(SEM)による観測で、円状に黒く見える部分(細孔)の面積が触媒担持層全体の面積に占める割合から求めることができる。
触媒担持層は、その表面の比表面積が、窒素吸着によるBET比表面積で、300m/g以上であることが好ましい。BET比表面積が300m/g以上であると、CNTをより高い効率で成長させることができる。触媒担持層表面のBET比表面積は、後述する触媒担持層コーティング剤を塗布後の加熱温度及び加熱時間で制御することができる。加熱温度及び加熱時間を後述する範囲とすることで、BET比表面積が300m/g以上の触媒担持層を効率よく得ることができる。また、触媒担持層表面のBET比表面積の上限としては特に限定されないが、800m/g以下であることが好ましい。
触媒担持層の表面は、平滑であることが好ましい。触媒担持層の表面が平滑であると、触媒層を形成する際に、触媒の微粒子の粒子サイズが大きくなることを抑制でき、これにより比表面積の大きいCNTを得ることができる。触媒担持層の表面の算術平均粗さRaは、特に限定されないが、より好ましくは0.05μm以下であり、さらに好ましくは0.03μm以下である。
触媒担持層の厚さは、10nm以上、100nm以下であることが好ましい。後述する触媒担持層形成工程によれば、この厚さの範囲内において均一でむらのない触媒担持層を形成することが容易である。100nm以下の厚さにおいて、クラックのない均質な触媒担持層の形成が容易である。10nm以上の膜厚において、CNTを生成させることが容易となる。
触媒担持層は、アルミニウム酸化物からできていればよいが、炭素原子を含んでいることが好ましい。触媒担持層に含まれる炭素原子の態様は、いかなる態様であってもよい。つまり、炭素化合物が触媒担持層に含まれていてもよく、炭素単体が触媒担持層に含まれていてもよい。例えば、アルミニウムを含む有機金属化合物を基板上に塗布して、これを加熱して触媒担持層を形成する際に、炭素成分が残留するようにすることで、触媒担持層に炭素原子が含まれるようにすることができる。
触媒担持層中の炭素原子の組成割合は、X線電子分析(ESCA)で測定される元素分析において、8%以上、30%以下の範囲であることが好ましい。炭素原子の組成割合の下限は、より好ましくは10%、さらに好ましくは15%であり、上限は、より好ましくは25%、さらに好ましくは20%である。この範囲であれば、より凝集し難く、分散性に優れたCNT配向集合体を得ることができる。また、炭素原子の組成割合が30%以下の触媒担持層は、例えば、アルミニウムを含む有機金属化合物を炭素原子が残るように加熱することで得られるので、材料の観点、製造の観点から、コストが低いという利点を有する。
触媒担持層を構成するアルミニウム酸化物中の酸素原子の含有量については、例えば、X線電子分析(ESCA)で測定される元素分析において、酸素原子とアルミニウム原子との組成比(O/Al)が、1.8以上、2.7以下の範囲であることがより好ましい。この範囲であれば、より凝集し難く、分散性に優れたCNT配向集合体を得られる。また、アルミニウムを含む有機金属化合物の加熱条件を調整することによって、この範囲の組成比にすることが容易であるため、製造の観点からも有利である。
(触媒層)
触媒層は、触媒担持層の表面の上であって、孔の少なくとも一部を選択的に露出して設けられている、触媒の粒子の層である。換言すれば触媒担持層の表面の上であって、孔の内壁面ではない面の上に触媒の粒子がある。触媒の粒子がこの場所にあることにより、触媒の粒子に原料ガス及び触媒賦活物質が供給されやすくなり、より効率よくCNT配向集合体を製造することができる。
触媒としては、CNTの成長を触媒できる物であればよく、例えば、鉄がより好ましい。
触媒の粒子径としては、その直径が最大値で30nm以下であることがより好ましい。また平均直径は、20nm以下であることがより好ましく、15nm以下であることがさらに好ましい。触媒微粒子の平均直径は、SEM像で一つ一つの触媒微粒子の直径を測定し、算術平均値をとることで見積もることができる。触媒微粒子の粒子径が上記範囲であることにより、多層CNTの生成を抑制し、単層CNTを主生成物とすることが容易となる。
触媒層における、触媒の粒子の密度は、例えば、1.0×1011個/cm以上、2.0×1012個/cm以下であることがより好ましい。この範囲以下であると、得られるCNTの密度が小さくなり、CNTが基板に対して垂直配向しにくくなる場合がある。一方この範囲以上であると、CNTの密度が大きくなり、成長工程において触媒微粒子まで原料ガスや触媒賦活物質が到達しにくくなるため、CNTの成長が抑制される場合がある。
〔カーボンナノチューブ配向集合体製造用基材の製造方法〕
本発明に係るCNT配向集合体製造用基材の製造方法は、有機アルミニウム化合物を含む触媒担持層コーティング剤を基板上に塗布して、当該基板上に触媒担持層を設ける触媒担持層形成工程と、有機金属化合物及び金属塩からなる群から選ばれる少なくとも一つを含む触媒層コーティング剤を触媒担持層上に塗布して、触媒担持層上に触媒層を設ける触媒層形成工程と、を含む。
これにより、孔の空いた板状構造の触媒担持層を形成することができる。また、触媒担持層の表面の上であって、孔の空いていない場所に、触媒の粒子を形成することにより、触媒層を形成することができる。つまり、上述の本発明に係るCNT配向集合体製造用基材を形成することができる。
(触媒担持層形成工程)
触媒担持層形成工程では、有機アルミニウム化合物を含む触媒担持層コーティング剤を基板上に塗布して、当該基板上に触媒担持層を設ける。触媒担持層コーティング剤を基板上に塗布すると基板上に触媒担持層が形成される。また、塗布した後、加熱するとよい。触媒担持層は、担持する触媒の粒径をコントロールしやすく、また高密度で触媒微粒子が存在しても高温下でシンタリングを起こりにくくする。また、触媒の活性を向上させる役割がある。
(有機アルミニウム化合物)
触媒担持層コーティング剤は、有機アルミニウム化合物を含めばよい。有機アルミニウム化合物には炭素原子が予め含まれており、触媒担持層にアルミニウム原子及び炭素原子を含む基材を容易に製造できるからである。
有機アルミニウム化合物は、50℃以上、350℃以下の温度で熱分解することが好ましい。熱分解温度が50℃以上であればコーティング剤としての安定性を維持することができる。熱分解温度が350℃以下であれば、高温を必要としないので、後述する加熱工程において、CNTの成長が最も良好な加熱温度にすることができる。
有機アルミニウム化合物としては、アルコキシドが挙げられる。より具体的には、アルミニウムトリメトキシド、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリ−n−プロポキシド、アルミニウムトリ−i−プロポキシド、アルミニウムトリ−n−ブトキシド、アルミニウムトリ−sec−ブトキシド、アルミニウムトリ−tert−ブトキシド等が挙げられる。これらは、単独あるいは混合物として用いることができる。有機アルミニウム化合物としては他に、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム(III)などの錯体が挙げられる。これらのなかでも、金属製基板へのぬれ性が良く、カーボンナノチューブの成長が良好であることから、アルミニウムアルコキシドを用いることが好ましい。
(有機溶剤)
触媒担持層コーティング剤では、例えば、有機アルミニウム化合物を有機溶剤に溶解させればよい。有機溶剤としては、アルコール、グリコール、ケトン、エーテル、エステル類、炭化水素類等種々の有機溶剤が使用できるが、有機アルミニウム化合物の溶解性が良いことから、アルコール又はグリコールを用いることが好ましい。これらの有機溶剤は単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
アルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール、オクタノール、n−プロピルアルコールなどが挙げられる。グリコール類としては、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−プロピルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどを挙げることができる。前記アルコールの中でも、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどが、取り扱い性、保存安定性といった点で好ましい。
有機アルミニウム化合物がアルコール又はグリコールに溶解しにくい場合、炭化水素類等他の溶媒を併用することもできる。
(安定剤)
触媒担持層コーティング剤は、有機アルミニウム化合物の縮合重合反応を抑制するための安定剤を含むことがより好ましい。
安定剤としては、有機アルミニウム化合物の縮合重合反応を抑制するものであればよいが、β−ジケトン及びアルカノールアミンからなる群より選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。これらの化合物は単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。このような安定剤を加えることにより、縮合重合反応を起こす活性な反応基が安定剤によってキャッピングされ、縮合重合反応が進行せず、長期間にわたって粘度変化の少ないコーティング剤を得ることができる。また、高分子酸化物の重合度をコントロールすることができるため、高い分子量をもつ粒径の大きい粒子の生成による金属酸化物の沈殿が発生しない、長期間にわたって安定なコーティング剤を得ることができる。長期間にわたって同一の触媒担持層コーティング剤を用いて、安定して同品質のCNTを製造することが可能となる。安定剤を配合しないと、たとえば調製直後の溶液と、1ヶ月間保存後の溶液とで、合成されたCNTの品質が変化してしまう恐れがある。
本発明によれば、縮合重合反応が進行せずゾル化が進行していない、又はゾル化の状態を制御できることから、液中に大きい粒子が生成していない。そのため、平坦で均一な触媒担持層を形成することが可能となる。また、触媒の粒子を最適な状態にコントロールすることが可能となる。
有機アルミニウム化合物のゾル化が進行すると、触媒担持層の膜厚が不均一となる原因となり、触媒の粒子サイズが大きくなり、その結果多層CNTが生成しやすくなる。多層CNTは比表面積が小さいため、比表面積の大きなCNT配向集合体を得ることができない。
また、有機アルミニウム化合物の溶液に安定剤を配合することにより、基板上へ塗布したときに有機アルミニウム化合物同士が凝集することを防止して、均一な膜厚の触媒担持層を形成できることを本発明者らは見出した。同時に、金属基板へのぬれ性を改善する役割があり、はじき等の塗布不良を防止して、均一な膜厚の触媒担持層を形成できることを本発明者らは見出した。
安定剤として用いられるβ−ジケトン類としては、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ベンゾイルアセトン、ジベンゾイルメタン、ベンゾイルトリフルオルアセトン、フロイルアセトンおよびトリフルオルアセチルアセトンなどが例示されるが、特にアセチルアセトン、アセト酢酸エチルを用いることが好ましい。
安定剤として用いられるアルカノールアミン類としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N.N−ジメチルアミノエタノール、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどがある。なかでも、金属基板へのぬれ性が向上して、CNTの成長が向上することから、第2級又は第3級アルカノールアミンであることが好ましい。
安定剤は、50℃以上、350℃以下の温度で、熱分解又は揮発するものであることが好ましい。熱分解温度又は沸点が50℃以上であればコーティング剤としての安定性を維持することができる。熱分解温度又は沸点が350℃以下であれば、後述する加熱工程を行なう場合、CNTの成長が最も良好な加熱温度にでき、高温を必要としないため生産性が向上する。後述する加熱工程での温度よりも低い熱分解温度又は沸点を有することで、加熱工程の後の膜中への残存量を減らすことができ、CNTの成長不良を抑制することができる。
触媒担持層コーティング剤中に含まれる有機アルミニウム化合物と安定剤との配合モル比は、特に限定されないが、有機アルミニウム化合物のモル数に対して、1:0.01以上3.0以下の範囲で添加した場合により優れた効果が現れ、特に、有機アルミニウム化合物のモル数に対して、1:0.5以上1.5以下の範囲で添加することが好ましい。安定剤の添加量が有機アルミニウム化合物に対して0.01以上であれば安定化の機能が十分に発揮され、3.0以下であれば、皮膜の白化などの悪影響を抑制することができる。有機アルミニウム化合物と安定剤との配合モル比を調整することによって、加熱工程の前に有機アルミニウム化合物の加水分解及び縮合反応が開始することをより確実に防止できると共に、後の加熱工程条件下での加水分解及び縮合反応を調整することが可能になる。
触媒担持層コーティング剤中に含まれる有機アルミニウム化合物の量は、塗布したときの膜厚ムラを軽減し、表面の平滑性が優れることから、0.5重量%以上10重量%以下の範囲とすることが好ましく、0.5重量%以上5重量%以下の範囲とすることがより好ましい。
なお、触媒担持層コーティング剤において、コーティング剤全量に対する水分含有量は、2.0%以下であることが好ましい。水分含有量が2.0%以下であることにより、コーティング剤中において、有機アルミニウム化合物の凝集及びゾル化の進行を抑制することが可能である。有機アルミニウム化合物の凝集及びゾル化が進行した場合、液中にサイズの大きい微粒子が生成しやすくなるため、CNTの比表面積が低下するおそれがある。また、徐々に縮合反応が進行し、均一なゾル状態を長期間維持することが難しく、安定して同品質のCNTを得ることが難しくなる。
(塗布)
触媒担持層コーティング剤を塗布することで、基板上に有機アルミニウム化合物を含む皮膜が形成され、触媒担持層が得られる。
大気中に存在している水分によって有機アルミニウム化合物の縮合重合反応が促進される場合がある。そのため、塗布、乾燥中の温度、湿度をコントロールすることが、均一な皮膜を作製するにあたり重要である。塗布、乾燥条件としては、20℃以上、25℃以下、相対湿度60%以下であることがより好ましい。相対湿度が60%以下であれば、有機アルミニウム化合物と大気中の水蒸気との反応を抑制し、塗布された皮膜をより均一にすることができる。
基板表面へのコーティング剤の塗布方法としては、スプレー、ハケ塗り等により塗布する方法、スピンコーティング、ディップコーティング等、いずれの方法を用いてもよい。
(加熱工程)
本発明に係るCNT配向集合体製造用基材の製造方法は、触媒担持層コーティング剤を基板上に塗布した後に、基板を加熱する加熱工程を含むことがより好ましい。触媒担持層コーティング剤が塗布された基板を加熱することで、有機アルミニウム化合物の加水分解及び縮重合反応が開始され、有機アルミニウム化合物を含む硬化皮膜が基板表面に形成される。
また、加熱によって、アルミニウム酸化物薄膜が形成される。酸化アルミニウム(アルミナ)は、CNTの成長が良好であることから、アモルファスアルミナであることが好ましい。又は、α−アルミナ、γ−アルミナ、δ−アルミナ、χ−アルミナ、κ−アルミナ、θ−アルミナ、ρ−アルミナ等遷移アルミナが含まれていてもよい。
触媒担持層コーティング剤を塗布した後、乾燥させることが好ましく、さらにその後、加熱工程を実施することが好ましい。基板と触媒担持層との密着性が向上して、次の工程で触媒層コーティング剤を塗布する際の塗布の安定性が向上する。
加熱温度は、200℃以上、400℃以下であることがより好ましく、さらには250℃以上、350℃以下であることが好ましい。通常、有機アルミニウム化合物の焼成には、500℃〜1200℃の高温であることが必要であるが、本発明においては、比較して低温で実施するため、生産性に優れる。加熱温度が400℃以下であることにより、アルミニウム酸化物皮膜の結晶性が高くなることを抑制する。また、有機アルミニウム化合物中に含まれる炭素原子を触媒担持層中に残留させることができる。その結果、平均外径が大きく(2nm以上)、かつ外径分布範囲が広い(半値幅1nm以上)CNT配向集合体を製造する際に最適な、触媒を形成することが可能となる。アルミニウム酸化物皮膜の結晶性が高くなると、触媒の微粒子化を最適な状態にすることができず、さらに触媒担持層及び触媒としての活性が小さくなり、CNTの成長が悪化するおそれがある。また、金属製基板を用いた場合、加熱温度が400℃以下であることにより、基板表面の酸化を防止して、CNTの成長の悪化を防ぐことが可能である。
加熱時間は、アルミニウム酸化物皮膜の結晶性が高くなるのを抑制する観点、有機アルミニウム化合物中に含まれる炭素原子を触媒担持層中に残留させる観点、及び生産効率上の観点から短いほど好ましく、5分以上、3時間以下であることがより好ましい。加熱時間の上限はさらに好ましくは1時間、特に好ましくは30分である。
加熱工程後の触媒担持層の膜厚は、10nm以上、100nm以下であることがより好ましい。この膜厚の範囲内において均一でむらのない触媒担持層を形成することが容易である。100nm以下の膜厚において、クラックのない均質な触媒担持層の形成が容易である。10nm以上の膜厚において、CNTを生成させることが容易となる。
(触媒層形成工程)
触媒層形成工程では、有機金属化合物及び金属塩からなる群から選ばれる少なくとも一つを含む触媒層コーティング剤を触媒担持層上に塗布して、触媒担持層上に触媒層を設ける。
触媒層コーティング剤を触媒担持層上に塗布することで、触媒担持層上に触媒層が形成される。塗布した後は、乾燥することがより好ましい。また、触媒層を形成した後に、後述するフォーメーション工程を行うことがより好ましい。これにより、触媒層の触媒が、還元され、微粒子化して、CNT生成用触媒としてより好適に機能する。また、このように触媒層コーティング剤を均一に塗布した後に微粒子化を行なうことで、触媒粒子で触媒担持層の細孔が塞がれることを抑制し、細孔周辺に均一に触媒微粒子を形成することができると推測される。本発明に係るCNT配向集合体製造用基材の製造方法により形成される触媒の微粒子は、直径分布が広く、また基板上での微粒子密度に粗密があるため、CNTの外径分布が広く、さらに屈曲点の多いCNTが得られると推測される。その結果、従来のCNTと比較して、CNT同士が強固なバンドルを形成しにくく、分散性に優れたCNTを製造することが可能となる。
(有機金属化合物、金属塩)
触媒層コーティング剤は、有機金属化合物及び金属塩からなる群から選ばれる少なくとも一つを含む。これらの化合物は後述する加熱工程に供した場合、触媒担持層上で金属水酸化物又は金属酸化物に変化する。有機金属化合物及び金属塩は、50℃以上、350℃以下の温度で熱分解することが好ましい。熱分解温度が50℃以上であればコーティング剤としての安定性を維持することができる。熱分解温度が350℃以下であれば、後述する加熱工程においてCNTの成長に最も適した加熱温度にでき、また高温を必要とせず生産性が向上する。
触媒層を形成するための有機金属化合物又は金属塩を構成する金属としては、CNTの成長が著しく向上することから、鉄を含むことが好ましい。
鉄を含む有機金属化合物としては、鉄ペンタカルボニル、フェロセン、アセチルアセトン鉄(II)、アセチルアセトン鉄(III)、トリフルオロアセチルアセトン鉄(II)、トリフルオロアセチルアセトン鉄(III)等が挙げられる。
鉄を含む金属塩としては、例えば、硫酸鉄、硝酸鉄、リン酸鉄、塩化鉄、臭化鉄等の無機酸鉄、酢酸鉄、シュウ酸鉄、クエン酸鉄、乳酸鉄等の有機酸鉄等が挙げられる。化合物は1種または2種以上混合してもよい。
これらのなかでも、金属製基板へのぬれ性が良く、CNTの成長が良好であることから、有機酸鉄を用いることが好ましい。
(有機溶剤)
触媒層コーティング剤では、例えば、有機金属化合物及び金属塩からなる群から選ばれる少なくとも一つを有機溶剤に溶解させればよい。アルコール、グリコール、ケトン、エーテル、エステル類、炭化水素類等種々の有機溶剤が使用できるが、有機金属化合物及び金属塩の溶解性が良いことから、アルコール又はグリコールを用いることが好ましい。これらの有機溶剤は単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
アルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール、オクタノール、n−プロピルアルコールなどが挙げられる。グリコール類としては、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−プロピルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどを挙げることができる。前記アルコールの中でも、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどが、取り扱い性、保存安定性といった点で好ましい。
(安定剤)
触媒層コーティング剤は、有機金属化合物及び金属塩からなる群から選ばれる少なくとも一つの縮合重合反応を抑制するための安定剤を含むことがより好ましい。
安定剤としては、有機金属化合物及び金属塩の縮合重合反応を抑制するものであればよいが、β−ジケトン及びアルカノールアミンからなる群より選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。これらの化合物は単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。このような安定剤を加えることにより、縮合重合反応を起こす活性な反応基が安定剤によってキャッピングされ、縮合重合反応が進行せず、長期間にわたって粘度変化の少ないコーティング剤を得ることができる。また、高分子酸化物の重合度をコントロールすることができるため、高い分子量をもつ粒径の大きい粒子の生成による金属酸化物の沈殿が発生しない、長期間にわたって安定なコーティング剤を得ることができる。長期間にわたって同一の触媒層コーティング剤を用いて、安定して同品質のCNTを製造することが可能となる。安定剤を配合しないと、たとえば調製直後の溶液と、1ヶ月間保存後の溶液とで、合成されたCNTの品質が変化してしまう恐れがある。
本発明によれば、縮合重合反応が進行せずゾル化が進行していない、又はゾル化の状態を制御できることから、液中に大きい粒子が生成していない。そのため、平坦で均一な触媒層を形成することが可能となる。また、触媒の粒子を最適な状態にコントロールすることが可能となる。
有機金属化合物及び金属塩のゾル化が進行すると、触媒の膜厚が不均一となる原因となり、触媒の粒子サイズが大きくなり、その結果多層CNTが生成しやすくなる。多層CNTは比表面積が小さいため、比表面積の大きなCNT配向集合体を得ることができない。
また、有機金属化合物及び/又は金属塩の溶液に安定剤を配合することにより、触媒担持層上へ塗布したときに有機金属化合物及び金属塩同士が凝集するのを防止して、均一な膜厚の触媒層を形成することが可能となる。
安定剤として用いられるβ−ジケトン類としては、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ベンゾイルアセトン、ジベンゾイルメタン、ベンゾイルトリフルオルアセトン、フロイルアセトンおよびトリフルオルアセチルアセトンなどが例示されるが、特にアセチルアセトン、アセト酢酸エチルを用いることが好ましい。
安定剤として用いられるアルカノールアミン類としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N.N−ジメチルアミノエタノール、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどがある。なかでも、CNTの成長が向上することから、2級又は3級アミンであることが好ましい。
安定剤は、50℃以上、350℃以下の温度で、熱分解又は揮発するものであることが好ましい。熱分解温度又は沸点が50℃以上であればコーティング剤としての安定性を維持することができる。熱分解温度又は沸点が350℃以下であれば、後述する加熱工程を行なう場合、CNTの成長に最も適した加熱温度にでき、高温を必要としないため生産性が向上する。後述する加熱工程での温度よりも低い熱分解温度又は沸点を有することで、加熱工程の後の膜中への残存量を減らすことができ、CNTの成長不良を抑制することができる。
触媒層コーティング剤中に含まれる有機金属化合物及び金属塩の総量と安定剤との配合モル比は、特に限定されないが、有機金属化合物及び金属塩のモル数に対して、1:0.01以上3.0以下の範囲で添加した場合により優れた効果が現れ、特に、有機金属化合物及び金属塩のモル数に対して、1:0.5以上1.5以下の範囲で添加することが好ましい。安定剤の添加量が有機金属化合物及び金属塩の総量に対して0.01以上であれば安定化の機能が十分に発揮され、3.0以下であれば、皮膜の白化などの悪影響を抑制することができる。有機金属化合物及び金属塩の総量と安定剤との配合モル比を調整することによって、加熱工程の前に有機金属化合物または金属塩の加水分解及び縮合反応が開始することを確実に防止できると共に、後の加熱工程条件下での加水分解及び縮合反応を調整することが可能になる。
触媒層コーティング剤中に含まれる有機金属化合物及び金属塩の総量は、塗布したときの膜厚ムラを軽減し、表面の平滑性が優れることから、0.05重量%以上0.5重量%以下の範囲とすることが好ましく、0.1重量%以上0.5重量%以下の範囲とすることがより好ましい。
(塗布)
触媒層コーティング剤を塗布することで、基板上に有機金属化合物及び/又は金属塩と安定剤とを含む皮膜が形成され、触媒層となる。
大気中に存在している水分によって有機金属化合物及び金属塩の縮合重合反応が促進される場合がある。そのため、塗布、乾燥中の温度、湿度をコントロールすることが、均一な皮膜を作製するにあたり重要である。塗布、乾燥条件としては、20℃以上、25℃以下、相対湿度60%以下であることが好ましい。相対湿度が60%以下であれば、有機金属化合物及び金属塩と大気中の水蒸気との反応を抑制し、塗布された皮膜をより均一にすることができる。
触媒層コーティング剤において、コーティング剤全量に対する水分含有量は、2.0%以下であることが好ましい。水分含有量が2.0%以下であることにより、コーティング剤中において、有機金属化合物もしくは金属塩の凝集やゾル化の進行を抑制することが可能である。有機金属化合物もしくは金属塩の凝集やゾル化が進行した場合、液中にサイズの大きい微粒子が生成しやすくなるため、CNTの比表面積が低下するおそれがある。また、徐々に縮合反応が進行し、均一なゾル状態を長期間維持することが難しく、安定して同品質のCNTを得ることが難しくなる。
基板表面へのコーティング剤の塗布方法としては、スプレー、ハケ塗り等により塗布する方法、スピンコーティング、ディップコーティング等、いずれの方法を用いてもよい。
本発明によれば、塗布法で触媒を基板上に配置できるため、スパッタ装置を用いて金属薄膜を配置する方法に比べ、大面積化が可能でスケーラビリティに優れ、低コスト化を図ることができるCNT配向集合体の提供が可能となる。
(加熱工程)
触媒層形成工程では、層中に残存する有機溶剤を取り除くために、加熱工程をおこなうことが好ましい。加熱温度は、50℃以上、200℃以下であることが好ましい。加熱温度は、200℃以下の低温であるため、この時点で触媒層の加水分解および縮重合反応は、進行しなくてもよい。後述するフォーメーション工程前に実施する、触媒層の加熱工程の温度は、200℃以下の低温で実施することができ、生産性に優れる。
加熱時間は、金属酸化物皮膜の結晶性が高くなるのを抑制する観点と、生産効率上の観点から短いほど好ましく、5分以上、30分以下であることが好ましい。
加熱工程後の触媒の膜厚は、1nm以上、10nm以下であることが好ましく、さらには2nm以上、6nm以下であることが好ましい。2nm以上、6nm以下であることにより、単層CNT配向集合体が得られる。
(フォーメーション工程)
本発明に係るCNT配向集合体製造用基材の製造方法では、触媒担持層上に触媒層を設ける工程の後に、より好ましくは触媒層形成工程において加熱工程を行なった後に、フォーメーション工程を行なうことがより好ましい。
フォーメーション工程とは、基板に担持された触媒の周囲環境を還元ガスを含む環境とすると共に、基板及び/又は還元ガスを加熱する工程のことを意味する。この工程により、触媒の還元、触媒のCNTの成長に適合した状態の微粒子化の促進、及び触媒の活性向上のうち少なくとも一つの効果が現れる。フォーメーション工程における触媒及び/又は還元ガスの温度は、好ましくは400℃以上、1100℃以下である。またフォーメーション工程の時間は、3分以上、30分以下が好ましく、3分以上、8分以下がより好ましい。フォーメーション工程の時間がこの範囲であれば、触媒微粒子の粗大化が防止され、多層カーボンナノチューブの生成を抑制することができる。フォーメーション工程時に、触媒層の加水分解および縮重合反応が開始され、金属水酸化物及び/又は金属酸化物を含む硬化皮膜が基板表面に形成され、同時もしくはその後にフォーメーション工程の主目的である触媒の還元、微粒子化が行われることが好ましい。
例えば、触媒が鉄の場合、水酸化鉄薄膜又は酸化鉄薄膜が形成され、同時もしくはその後に還元、微粒子化がおこり、鉄の微粒子が形成される。また、例えば、触媒担持層の金属がアルミナ、触媒金属が鉄である場合、鉄触媒層は還元されて微粒子化し、アルミナ層上にナノメートルサイズの鉄微粒子が多数形成される。これにより触媒はCNT配向集合体の生産に好適な触媒に調製される。
(還元ガス)
還元ガスは、一般的には、触媒の還元、触媒のCNTの成長に適合した状態である微粒子化の促進、及び触媒の活性向上のうち少なくとも一つの効果を持つ、CNTの成長温度において気体状のガスである。CNTの製造が可能なものであれば適宜のものを用いることができるが、典型的には還元性を有したガスであり、例えば水素ガス、アンモニア、水蒸気及びそれらの混合ガスを適用することができる。また、水素ガスをヘリウムガス、アルゴンガス、窒素ガス等の不活性ガスと混合した混合ガスでもよい。還元ガスは、一般的には、フォーメーション工程で用いるが、適宜、後述する成長工程に用いてもよい。
〔カーボンナノチューブ配向集合体の製造方法〕
本発明に係るCNT配向集合体の製造方法は、CNT配向集合体製造用基材の周囲環境をCNTの原料ガスを含む環境にして、当該CNT配向集合体製造用基材及び当該原料ガスのうち少なくとも一方を加熱して、化学気相成長(CVD)法によりCNT配向集合体を成長させる成長工程を含み、前記CNT配向集合体製造用基材は、基板、触媒担持層及び触媒層を備え、前記触媒担持層は前記基板の上にあり、板状構造のアルミニウム酸化物であり、その表面には孔が空いており、前記触媒層は、前記表面の上であって孔の空いていない場所にある、触媒の粒子の層である。
(成長工程)
成長工程では、CNT配向集合体製造用基材の周囲環境をCNTの原料ガスを含む環境にして、当該CNT配向集合体製造用基材及び当該原料ガスのうち少なくとも一方を加熱して、CVD法によりCNT配向集合体を成長させる。
例えば、触媒担持層及び触媒層を設けた基材をCVD炉に設置して、原料ガスを供給した後に、又はCNTの原料ガスを供給しながら、CVD法により基板上にCNT配向集合体を成長させればよい。
原料ガスとしては、CNTの原料となる物質であればよく、例えば、成長温度において原料炭素源を有するガスである。なかでもメタン、エタン、エチレン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンプロピレン、及びアセチレンなどの炭化水素が好適である。この他にも、メタノール、エタノールなどの低級アルコールでもよい。これらの混合物も使用可能である。またこの原料ガスは、不活性ガスで希釈されていてもよい。
不活性ガスとしては、CNTが成長する温度で不活性であり、触媒の活性を低下させず、且つ成長するカーボンナノチューブと反応しないガスであればよい。例えば、CNTの製造に使用可能であるものを適宜用いてもよく、ヘリウム、アルゴン、窒素、ネオン、及びクリプトンなど、並びにこれらの混合ガスを例示でき、特に窒素、ヘリウム、アルゴン、及びこれらの混合ガスが好適である。
CNT配向集合体製造用基材及び原料ガスのうち少なくとも一方を加熱するにあたって、その両方を加熱することがより好ましい。また、加熱する温度としては、CNTの成長が可能な温度であればよいが、好ましくは400℃以上、1100℃以下である。400℃以上で後述する触媒賦活物質の効果が良好に発現され、1100℃以下では、触媒賦活物質がCNTと反応することを抑制できる。
(触媒賦活物質)
CNTの成長工程において、CNTの成長反応が行なわれる周囲環境は、触媒賦活物質をさらに含むことがより好ましい。触媒賦活物質を周囲環境に添加によって、CNTの生産効率や純度をより一層改善することができる。触媒賦活物質としては、例えば酸素を含む物質であり、CNTの成長温度でCNTに多大なダメージを与えない物質であることが好ましく、水蒸気の他に、例えば、硫化水素、酸素、オゾン、酸性ガス、酸化窒素、一酸化炭素及び二酸化炭素などの低炭素数の含酸素化合物、エタノール、メタノールなどのアルコール類、テトラヒドロフランなどのエーテル類、アセトンなどのケトン類、アルデヒドロ類、エステル類、酸化窒素、並びにこれらの混合物が有効である。この中でも、水蒸気、酸素、二酸化炭素、一酸化炭素、エーテル類が好ましく、特に水蒸気が好適である。
触媒賦活物質の添加量に格別な制限はないが、例えば、微量でよく、水蒸気の場合には、好ましくは10ppm以上10000ppm以下、より好ましくは50ppm以上1000ppm以下、さらに好ましくは200ppm以上700ppm以下の範囲とするとよい。
触媒賦活物質の機能のメカニズムは、現時点では以下のように推測される。CNTの成長過程において、副次的に発生したアモルファスカーボン及びグラファイトなどが触媒に付着すると触媒は失活してしまいCNTの成長が阻害される。しかし、触媒賦活物質が存在すると、アモルファスカーボン及びグラファイトなどを一酸化炭素及び二酸化炭素などに酸化させることでガス化するため、触媒層が清浄化され、触媒の活性を高め且つ活性寿命を延長させる作用(触媒賦活作用)が発現すると考えられている。
この触媒賦活物質の添加により、触媒の活性が高められ且つ寿命が延長した結果、従来技術であれば高々2分間程度で終了するCNTの成長が数十分間継続する上、成長速度は、従来技術に比べて100倍以上、さらには1000倍にも増大する。この結果、その高さが著しく増大したCNT配向集合体が得られる。
以下に具体的な実施例を挙げて、本発明についてより詳細に説明する。
(比表面積測定)
比表面積とは液体窒素の77Kでの吸脱着等温線を測定し、この吸脱着等温曲線からBrunauer,Emmett,Tellerの方法から計測した値のことである。比表面積は、比表面積測定装置(日本ベル社製Bersorp miniII)を用いて測定した。
(G/D比)
G/D比とはCNTの品質を評価するのに一般的に用いられている指標である。ラマン分光装置によって測定されるCNTのラマンスペクトルには、Gバンド(1600cm−1付近)とDバンド(1350cm−1付近)と呼ばれる振動モードが観測される。GバンドはCNTの円筒面であるグラファイトの六方格子構造由来の振動モードであり、Dバンドは非晶箇所に由来する振動モードである。よって、GバンドとDバンドのピーク強度比(G/D比)が高いものほど、結晶性の高いCNTと評価できる。
本実施例においては、顕微レーザラマンシステム(サーモフィッシャーサイエンティフィック(株)製Nicolet Almega XR)を用い、基材中心部付近のCNT配向集合体を一部剥離し、CNT配向集合体の基材から剥離された面にレーザを当てて、ラマンスペクトルを測定し、G/D比を求めた。
(CNTの平均外径)
CNTを透過型電子顕微鏡で観察して、得られた画像から50本のCNTの外径を測定して、算術平均値を平均外径とした。
(炭素純度)
炭素純度は、熱重量分析装置(TG)を用いて、CNTを空気中で800℃まで1℃/分で昇温し、(800℃に到達するまでに燃えて減少した重量/初期重量)×100を炭素純度(%)とした。
(走査型電子顕微鏡分析)
触媒担持層の細孔は、極低加速電圧SEM(ZEISS社製ULTRA55)を使用して観察した。
(算術平均粗さ)
算術平均粗さRaは、レーザ顕微鏡(キーエンス製VK−9700)を用いて、対物倍率50倍で測定した。
(触媒微粒子密度)
SEM観察による画像中で、任意の100nm角の領域を選定し、領域内の触媒微粒子の個数をカウントした。得られた100nm角あたりの触媒個数に、1010を乗じて、1cmあたりの触媒個数に換算した。5箇所の領域で同様の操作を行ない、算術平均をとって触媒微粒子密度とした。
[実施例1]
アルミニウムトリ−sec−ブトキシド1.9gを2−プロパノール100mlに溶解させた。さらに、安定剤としてトリイソプロパノールアミン0.9gを加えて溶解させて、触媒担持層コーティング剤を作製した。
これとは別に、酢酸鉄174mgを2−プロパノール100mlに溶解させた。さらに、安定剤としてトリイソプロパノールアミン190mgを加えて溶解させて、触媒層コーティング剤を作製した。
基板として、大きさ40mm×100mm、厚さ0.3mmのFe−Cr合金SUS430(JFEスチール株式会社製、Cr18%)を使用した。レーザ顕微鏡を用いて表面粗さを測定したところ、算術平均粗さRa≒0.063μmであった。
室温25℃、相対湿度50%の環境下で、基板上にディップコーティングにより、上述の触媒担持層コーティング剤を塗布した。塗布条件としては、基板を浸漬後、20秒間保持して、10mm/secの引き上げ速度で基板を引き上げた。その後、5分間風乾した。
次に、300℃の空気環境下で、30分間加熱した。加熱後、室温まで冷却した。これにより、基板上に膜厚40nmの触媒担持層を形成した。レーザ顕微鏡を用いて表面粗さを測定したところ、算術平均粗さRa≒0.050μmであった。
得られた触媒担持層表面のSEM観察を行なった。結果を図3に示す。図3は本実施例の触媒担持層の表面をSEM観察した結果を示す図である。図3に示すように、触媒担持層の表面に細孔(像の黒色の部分)を有していることが観察され、多孔質構造であることを確認した。
触媒担持層は、膜厚が薄く、BET比表面積を測定するのに十分な重量を得ることができなかった。そこで、触媒担持層の多孔性について、以下の測定を実施した。上述の触媒担持層コーティング剤をガラス板上に1.0ml滴下し、その後、5分間風乾した。次に、300℃の空気環境下で、30分間加熱した後、室温まで冷却した。ガラス板上に得られた固体のBET比表面積は450m/gであった。また、BJHプロットを測定した結果を図4に示す。図4は本実施例においてBET表面積測定のために触媒担持層のモデルとして作製した固体のBJHプロットを測定した結果を示す図である。細孔径4〜6nmを中心に、2〜20nmのメソ孔を有しており、図3のSEM画像から見積もった細孔径と一致した。ここで得た固体は、本実施例で得た触媒担持層を形成したときと、用いた触媒担持層コーティング剤の種類及び加熱の条件が同じである。よって、当該固体は、本実施例で得た触媒担持層と同程度のBET比表面積を有していると推定される。
次に、室温25℃、相対湿度50%の環境下で、基板の触媒担持層上にディップコーティングにより、上述の触媒層コーティング剤を塗布した。塗布条件としては、基板を浸漬後、20秒間保持して、3mm/秒の引き上げ速度で基板を引き上げた。その後、5分間風乾した。
次に、100℃の空気環境下で、30分加熱した。加熱後、室温まで冷却して、膜厚3nmの触媒層を形成した。
得られた基材を、炉内温度:750℃、炉内圧力:1.02×10Paに保持されたCVD装置の反応炉内に設置し、この炉内に、He:100sccm及びH:900sccmの混合ガスを6分間導入した。これにより、酸化鉄からなる触媒は還元されて単層CNTの成長に適合した状態の微粒子化が促進され、触媒担持層上にナノメートルサイズの鉄微粒子が多数形成された(フォーメーション工程)。
次に、炉内温度:750℃、炉内圧力:1.02×10Paに保持された状態の反応炉内に、He:850sccm、C:100sccm及びHO含有He(相対湿度23%):50sccmの混合ガスを5分間供給した。これにより、単層CNTが各鉄触媒微粒子から成長した(成長工程)。
成長工程終了後、反応炉内にHe:1000sccmを供給し、残余の原料ガス及び触媒賦活剤を排除した(フラッシュ工程)。これにより、配向した単層CNTの集合体が得られた。
得られた単層CNT配向集合体の特性は、生産量1.4mg/cm、G/D比4.0、密度:0.030g/cm、BET−比表面積:1100m/g、CNT外径:0.8−8.0nm、CNT平均外径2.8nm、炭素純度99.9%であった。生産量及び密度から算出されるCNT配向集合体の平均高さは、470μmである。
基材からCNT配向集合体を剥離し、エタノールをしみこませた不職布を用いて基材表面を洗浄した。洗浄後の基材表面のSEM観察を行なった。結果を図5に示す。図5は、本実施例において、一旦、CNT配向集合体を製造して、これを除去した後の触媒担持層の表面をSEM観察した結果を示す図である。表面全体に触媒微粒子が生成し、細孔の中には触媒微粒子が形成されていないことが観察された。画像中の任意の100nm角の領域5箇所を選定し、それぞれの領域で触媒微粒子の密度を算出し、算術平均をとった結果、触媒微粒子の密度は7.8×1011個/cmであった。また、画像中の円状に黒く見える部分(細孔)の面積が触媒担持層全体の面積に占める割合として求めた孔の面積の割合は、9%であった。
これまでに説明した方法と同様の基材の作製およびCVD法によるCNT配向集合体の製造を30枚の基板について行ない、安定性を評価した。生産量0.4mg/cm以下の場合を成長不良とした結果、基材30枚のうち2枚の成長不良(7%)が発生した。
本実施例及び後述の実施例4、比較例1〜3における触媒担持層の材質等を表1にまとめて示す。
[実施例2,3]
触媒担持層コーティング剤の調製において、アルミニウムトリ−sec−ブトキシド及びトリイソプロパノールアミンの量を、実施例1の配合量に対して、1/2倍、2倍と変えて2−プロパノール100mlに溶解し、濃度の異なる触媒担持層コーティング剤を4種類作製した。それぞれの触媒担持層コーティング剤を用いた他は、実施例1と同様にして、CNT配向集合体を製造した。実施例2、3において形成した触媒担持層の膜厚はそれぞれ20nm、80nmであった。CNT配向集合体の収量は、実施例2(膜厚20nm)で、1.0mg/cm、実施例3(膜厚80nm)で、1.0mg/cmとなり、良好な成長であった。
[実施例4]
基板として、大きさ40mm×100mm、厚さ0.3mmのFe−Cr合金SUS430(JFEスチール株式会社製、Cr18%)を使用した。レーザ顕微鏡を用いて表面粗さを測定したところ、算術平均粗さRa≒0.063μmであった。この基板の表面を、#1500の研磨紙を用いて研磨した。その後、#4800の研磨液で、仕上げ研磨を行った。表面研磨後の算術平均粗さRa≒0.014μmであった。
表面を研磨した基板上に、実施例1と同様にして、触媒担持層を作製した。膜厚は40nm、算術平均粗さRaは0.020μmであった。
得られた触媒担持層の表面のSEM観察を行なった。結果を図6に示す。図6は本実施例の触媒担持層の表面をSEM観察した結果を示す図である。図6に示すように表面に細孔(像の黒色の部分)を有していることが観察され、多孔質構造であることを確認した。
なお、図6及び後述の図7では観察時の倍率が100,000倍であり、図3、図5及び図8では観察時の倍率が150,000倍であるので、図6及び図7では、図3及び図5に比べて細孔が小さく見えている。
次に、実施例1と同様にして、触媒担持層上に触媒層を作製し、フォーメーション工程を行なった。
得られた基材を用いてCVDを行ない、CNT配向集合体を合成した。得られた単層CNT配向集合体の特性は、生産量1.6mg/cm、G/D比4.0、密度:0.030g/cm、BET−比表面積:1100m/g、CNT外径:0.8−8.0nm、CNT平均外径2.8nm、炭素純度99.9%であった。実施例1よりも生産量が向上する傾向がみられた。生産量及び密度から算出されるCNT配向集合体の平均高さは、530μmである。
この基材からCNT配向集合体を剥離し、基材表面をエタノールをしみこませた不職布で洗浄した。洗浄後の表面のSEM観察を行なった。結果を図7に示す。図7は本実施例において、一旦、CNT配向集合体を製造して、これを除去した後の触媒担持層の表面をSEM観察した結果を示す図である。表面全体に触媒微粒子が生成し、細孔には触媒微粒子が形成されていないことが観察された。画像中の任意の100nm角の領域5箇所を選定し、それぞれの領域で触媒微粒子の密度を算出し、算術平均をとった結果、触媒微粒子密度8.8×1011個/cmであった。
本実施例でこれまで説明した基材の作製及びCVD法によるCNT配向集合体の製造を30枚の基板について行ない、安定性を評価した。生産量0.4mg/cm以下の場合を成長不良とした結果、基材30枚のうち3枚の成長不良(10%)が発生した。
[比較例1]
基板として、大きさ40mm×100mm、厚さ0.3mmのFe−Cr合金SUS430(JFEスチール株式会社製、Cr18%)を使用した。レーザ顕微鏡を用いて表面粗さを測定したところ、算術平均粗さRa≒0.063μmであった。
基板上にスパッタリング装置を用いて、酸化アルミニウム10nmを製膜して、触媒担持層を形成した。レーザ顕微鏡を用いて表面粗さを測定したところ、算術平均粗さRa≒0.055μmであった。得られた触媒担持層の表面のSEM観察を行なった。結果を図8に示す。図8は本比較例の触媒担持層の表面をSEM観察した結果を示す図である。表面に細孔は観察されず、平坦な表面であった。
つづいて、触媒担持層上にスパッタリング装置を用いて鉄1.0nmを積層して、触媒層を形成した。
得られた基材を用いて、実施例1と同じ条件でCVDを行ない、配向した単層CNTの集合体を得た。得られた単層CNT配向集合体の特性は、生産量1.8mg/cm、G/D比6.0、密度:0.030g/cm、BET−比表面積:1100m/g、CNT外径:0.8−5.0nm、CNT平均外径2.8nm、炭素純度99.9%であった。生産量及び密度から算出されるCNT配向集合体の平均高さは、600μmである。
本比較例でこれまで説明した基材の作製及びCVD法によるCNT配向集合体の製造を30枚の基板について行ない、安定性を評価した。生産量0.4mg/cm以下の場合を成長不良とした結果、基材30枚のうち8枚の成長不良(27%)が発生した。
[比較例2]
オルトケイ酸テトラエチル1.6gをエタノール100mlに溶解させた。さらに、安定剤としてアセト酢酸エチル0.98gを加えて溶解させて、触媒担持層コーティング剤を作製した。
基板として、大きさ40mm×100mm、厚さ0.3mmのFe−Cr合金SUS430(JFEスチール株式会社製、Cr18%)を使用した。レーザ顕微鏡を用いて表面粗さを測定したところ、算術平均粗さRa≒0.063μmであった。
室温25℃、相対湿度50%の環境下で、基板上にディップコーティングにより、上述の触媒担持層コーティング剤を塗布した。塗布条件としては、基板を浸漬後、20秒間保持して、10mm/秒の引き上げ速度で基板を引き上げた。その後、5分間風乾した。
次に、900℃の空気環境下で、120分間加熱した。加熱後、室温まで冷却した。これにより、基板上に膜厚30nmの触媒担持層を形成した。レーザ顕微鏡を用いて表面粗さを測定したところ、算術平均粗さRa≒0.040μmであった。
次に、実施例1と同様にして、触媒層の形成、CVD法によるCNTの合成を試みた。しかし、基材上にCNTは生成しなかった。
[比較例3]
アルミナゾル(川研ファインケミカル社製アルミゾル−10D、10%ベーマイトアルミナDMF溶液)をDMF(ジメチルホルムアミド)で希釈して、3%のアルミナゾル(ベーマイトアルミナDMF溶液)を調整した。
硝酸鉄(III)九水和物1.52g(3.75ミリモル)を約40mlのエタノールに溶かして分液ロートに入れた。300mlの三角フラスコにエタノール約200mlを入れて電熱器で加熱沸騰させ、沸騰を続けながら、前記の硝酸鉄溶液を約10ml/分の速度で滴下する。滴下終了後、三角フラスコを冷水に浸して室温まで冷却させ、エタノールを加えて全体の容積を250mlとした。以上により、濃赤褐色で透明な鉄濃度15mmol/lの酸化鉄ゾルを調製した。
基板として、大きさ40mm角、厚さ0.3mmのFe−Ni−Cr合金YEF426(日立金属社製、Ni42%、Cr6%)を使用した。レーザ顕微鏡を用いて表面粗さを測定したところ、算術平均粗さRa≒0.24μmであった。
室温25℃、相対湿度50%の環境下で、基板上にスピンコーティングにより、上述のアルミナゾルを塗布した。塗布条件としては、溶液0.1mlを基板上に滴下した後、500rpmで10秒間、次いで、2000rpmで20秒間回転させた。その後、5分間風乾した。
次に、700℃の空気環境下で、30分間加熱した。加熱後、室温まで冷却した。これにより、基板上に膜厚110nmの酸化アルミニウムからなる触媒担持層を形成した。レーザ顕微鏡を用いて表面粗さを測定したところ、算術平均粗さRa≒0.20μmであった。
触媒担持層は膜厚が薄く、BET比表面積を測定するのに十分な重量を得ることができなかった。そこで、触媒担持層の多孔性について、以下の測定を実施した。上述のアルミナゾルをガラス板上に1.0ml滴下し、その後、5分間風乾した。 次に、700℃の空気環境下で、30分間加熱した後、室温まで冷却した。ガラス板上に得られた固体のBET比表面積は150m/gであった。なお、ここで得た固体は、本比較例で得た触媒担持層を形成したときと、用いた触媒担持層コーティング剤の種類及び加熱の条件が同じである。よって、当該固体は、本比較例で得た触媒担持層と同程度のBET比表面積を有していると推定される。
室温25℃、相対湿度50%の環境下で、基板の触媒担持層上にスピンコーティングにより、上述の酸化鉄ゾルを塗布した。塗布条件としては、溶液0.1mlを基板上に滴下した後、500rpmで10秒間、次いで、2000rpmで20秒間回転させた。その後、5分間風乾した。
次に、700℃の空気環境下で、30分空気中で加熱した。加熱後、室温まで冷却した。これにより、基板上に酸化鉄からなる触媒層を形成した。
この基材を用いて、実施例1と同様の条件でCVDを行なった。得られたCNT配向集合体の特性は、製造条件の詳細に依存するが、典型値として、生産量0.5mg/cm、G/D比2.0、密度:0.030g/cm、BET−比表面積:550m/gであり、生産量が低く、BET−比表面積も著しく低かった。生産量及び密度から算出されるCNT配向集合体の平均高さは、170μmである。
なお、比較例3は触媒層をゾル−ゲル法で形成している以外は、特許文献1に記載の方法と似ている。そして、実施例1〜4では、比較例3に比べて、はるかに高い高さのCNT配向集合体が得られたことから、本願発明が特許文献1に比べてより効率よくCNT配向集合体を製造できることが確認できた。さらにいえば、特許文献1の実施例で得られたCNT膜の厚さ(CNTの高さ)は5〜15μmであるので、本願発明によれば特許文献1より極めて効率よくCNT配向集合体を得られることが確認できた。
本発明に係るCNT配向集合体製造用基材を用いて得られるCNT配向集合体は、電子デバイス材料、光学素子材料、導電性材料などの分野に好適に利用できる。
1−1 触媒担持層
1−2 孔
1−3 CNT
1−4 触媒の粒子

Claims (12)

  1. 基板、触媒担持層及び触媒層を備え、
    前記触媒担持層は前記基板の上にあり、板状構造のアルミニウム酸化物であり、その表面には孔が空いており、
    前記触媒層は、前記孔の少なくとも一部を選択的に露出して、前記表面の上であって孔の空いていない場所にある、触媒の粒子の層であることを特徴とするカーボンナノチューブ配向集合体製造用基材。
  2. 前記触媒担持層は多孔質であることを特徴とする請求項1に記載のカーボンナノチューブ配向集合体製造用基材。
  3. 前記触媒担持層は、細孔直径が1〜50nmのメソ孔を有することを特徴とする請求項1または2に記載のカーボンナノチューブ配向集合体製造用基材。
  4. 前記触媒担持層の表面の算術平均粗さRaが、0.05μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ配向集合体製造用基材。
  5. 前記触媒担持層の厚さが10nm以上、100nm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ配向集合体製造用基材。
  6. 前記触媒層における、前記触媒の粒子の密度が、1.0×1011個/cm以上、2.0×1012個/cm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ配向集合体製造用基材。
  7. カーボンナノチューブ配向集合体製造用基材の周囲環境をカーボンナノチューブの原料ガスを含む環境にして、当該カーボンナノチューブ配向集合体製造用基材及び当該原料ガスのうち少なくとも一方を加熱して、化学気相成長によりカーボンナノチューブ配向集合体を成長させる成長工程を含み、
    前記カーボンナノチューブ配向集合体製造用基材は、基板、触媒担持層及び触媒層を備え、
    前記触媒担持層は前記基板の上にあり、板状構造のアルミニウム酸化物であり、その表面には孔が空いており、
    前記触媒層は、前記表面の上であって孔の空いていない場所にある、触媒の粒子の層であることを特徴とするカーボンナノチューブ配向集合体の製造方法。
  8. 前記周囲環境は、触媒賦活物質をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載のカーボンナノチューブ配向集合体の製造方法。
  9. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ配向集合体製造用基材の製造方法であって、
    有機アルミニウム化合物を含む触媒担持層コーティング剤を基板上に塗布して、当該基板上に触媒担持層を設ける触媒担持層形成工程と、
    有機金属化合物及び金属塩からなる群から選ばれる少なくとも一つを含む触媒層コーティング剤を前記触媒担持層上に塗布して、前記触媒担持層上に触媒層を設ける触媒層形成工程と、
    を含むことを特徴とするカーボンナノチューブ配向集合体製造用基材の製造方法。
  10. 前記触媒担持層形成工程では、前記触媒担持層コーティング剤を塗布した後に、200℃以上、400℃以下で加熱することを特徴とする請求項9に記載のカーボンナノチューブ配向集合体製造用基材の製造方法。
  11. 5分以上、3時間以下の時間で加熱することを特徴とする請求項10に記載のカーボンナノチューブ配向集合体製造用基材の製造方法。
  12. 前記触媒層形成工程の後に、前記基板の周囲環境を還元ガスを含む環境として、前記基板及び前記還元ガスのうち少なくとも一方を加熱し、前記触媒層を還元及び粒子化するフォーメーション工程をさらに含むことを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ配向集合体製造用基材の製造方法。
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