JP6950939B2 - カーボンナノチューブ集合体合成用触媒担持体及びカーボンナノチューブ集合体合成用部材 - Google Patents

カーボンナノチューブ集合体合成用触媒担持体及びカーボンナノチューブ集合体合成用部材 Download PDF

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Description

本発明は、カーボンナノチューブ集合体合成用触媒担持体及びカーボンナノチューブ集合体合成用部材に関する。
近時、電子デバイス材料、光学素子材料、導電性材料、及び生体関連材料などの機能性新素材へのカーボンナノチューブ(以下、CNTとも称する)の展開が期待されており、その用途、品質、および量産性などに対する検討が精力的に進められている。
CNTの製造方法の一つに、化学気相成長法(以下、CVD法とも称する)が知られている(特許文献1などを参照されたい)。この方法は、約500℃〜1000℃の高温雰囲気下で炭素化合物などの原料ガスを触媒微粒子と接触させることを特徴としている。CVD法は、触媒金属の種類や配置、又は原料ガスの種類や、還元ガス、キャリアガス、合成炉や反応条件といった態様を様々に変化させた中でのCNTの製造が可能であり、CNTの大量生産に適したものとして注目されている。また、このCVD法は、単層カーボンナノチューブ(SWCNT)と多層カーボンナノチューブ(MWCNT)とのいずれも製造可能である上、触媒金属を担持した基材を用いることで、基材面に多数のCNTが垂直に配向したCNT集合体を製造することができる、という利点を備えている。
CNTのなかでも単層CNTは、電気的特性(極めて高い電流密度)、熱的特性(ダイアモンドに匹敵する熱伝導度)、光学特性(光通信帯波長域での発光)、水素貯蔵能、及び金属触媒担持能などの各種特性に優れている。そのため、電子デバイス、蓄電デバイスの電極、MEMS部材、及び機能性複合材料のフィラーなどの材料として注目されている。また、配向性を持つCNT集合体は、指向性を持つ伝熱・放熱材料や、物質・エネルギー貯蔵材料としての様々な用途において、非常に好適である。
特に、金属不純物が少なく、比表面積が800m2/g〜2600m2/gの範囲にある単層CNTの集合体は、触媒の担持体やエネルギー・物質貯蔵材として有効であり、スーパーキャパシターやアクチュエータなどの用途に好適である。
このような高比表面積の配向したCNT集合体が創製されれば、CNTの応用分野が飛躍的に拡大するものと予測されるが、実用化を推進するためには、高比表面積の配向したCNT集合体の量産性を向上させることが重要である。
特開2003−171108号公報
Shunsuke Sakurai et al, Role of Subsurface Diffusion and Ostwald Ripening in Catalyst Formation for Single-Walled Carbon Nanotube Forest Growth, J. Am. Chem. Soc., 2012, vol.134, P.2148-2153 Takashi Tsuji et al, Unexpected Efficient Synthesis of Millimeter-Scale Single-Wall Carbon Nanotube Forests Using a Sputtered MgO Catalyst Underlayer Enabled by a Simple Treatment Process, J. Am. Chem. Soc., 2016, vol.138, P.16608-16611 Don N Futaba et al, 84% Catalyst Activity of Water-Assisted Growth of Single Walled Carbon Nanotube Forest Characterization by a Statistical and Macroscopic Approach, J. Phys. Chem. B, 2006, 110 (15), p.8035-8038
本発明は、従来技術の問題点を解決するものであり、より高い効率でカーボンナノチューブ集合体を製造することが可能なカーボンナノチューブ集合体合成用触媒担持体及びカーボンナノチューブ集合体合成用部材を提供する。
発明者らは鋭意検討の結果、それぞれ異なる物質組成からなる複数の層から構成される触媒下地層を用いることにより、従来技術では同時に解決することが困難であった触媒金属の表面拡散と固相内拡散を共に防止することが可能になることを見出した。具体的には、まず触媒下地層の最上層には、触媒金属の表面拡散を抑制するために、欠陥を有する薄膜を配置する。そして触媒下地層の下層には、触媒金属の固相内拡散を防止するために、欠陥の少ない層を配置する。上記のような構造を有する触媒下地層を用いることで、所望のサイズを有する触媒微粒子の個数密度を長時間維持することを可能にした。
本発明の一実施形態によると、基材と、前記基材の表面上に設けられる触媒下地層と、を備えるカーボンナノチューブ集合体合成用触媒担持体であり、前記触媒下地層は、前記基材の表面上に設けられている第一下地層と、前記第一下地層の表面上に設けられている第二下地層と、を備え、前記第一下地層は、前記触媒担持体の表面上に設けられる触媒金属微粒子及び/又は前記触媒金属微粒子を構成する原子の、前記触媒担持体内部への固相内拡散を防止し、前記第二下地層は、前記触媒金属微粒子及びは/又は前記触媒金属微粒子を構成する原子の、前記触媒担持体表面における表面拡散を防止して、前記触媒金属微粒子の個数の減少及び/又はサイズ変化を抑制する、カーボンナノチューブ集合体合成用触媒担持体が提供される。
前記カーボンナノチューブ集合体合成用触媒担持体において、前記第一下地層が、耐食性金属の酸化物を含む、厚さ2nm以上の層であってもよい。
前記カーボンナノチューブ集合体合成用触媒担持体において、前記耐食性金属が、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、スズ、鉛、ベリリウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、鉄及びニッケルからなる群から選択される一以上を含んでもよい。
前記カーボンナノチューブ集合体合成用触媒担持体において、前記第二下地層は、平均厚さが0.2nm以上5nm以下の金属化合物又は金属を含む薄膜であってもよい。
前記カーボンナノチューブ集合体合成用触媒担持体において、前記第一下地層が、前記第二下地層を構成する物質とは異なる物質を含んでもよい。
前記カーボンナノチューブ集合体合成用触媒担持体において、前記第一下地層が酸化ジルコニウム又は酸化ハフニウムを含み、且つ前記第二下地層が酸化アルミニウムを含んでもよく、又は前記第一下地層が酸化アルミニウムを含み、且つ前記第二下地層が酸化マグネシウムを含んでもよい。
また、本発明の一実施形態によると、前記いずれかに記載のカーボンナノチューブ集合体合成用触媒担持体の表面上に、触媒金属からなる触媒金属微粒子を設けてなるカーボンナノチューブ集合体合成用部材が提供される。
本発明によれば、長尺のカーボンナノチューブ集合体を高効率で生産することが可能となる。また、本発明によれば、カーボンナノチューブ集合体の生産において、基材面積辺りに高い個数密度且つ寿命の長い触媒金属微粒子を配置することが可能となり、その結果、長尺のカーボンナノチューブ集合体を高効率で生産することが可能となる。
本発明の一実施形態に係るCNT集合体合成用触媒担持体10を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係るCNT集合体合成用部材50を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係るCNT集合体合成用触媒担持体10の製造方法を説明する模式図である。 本発明の一実施形態に係るCNT集合体合成用部材50の製造方法を説明する模式図である。 従来の触媒下地層92を配置したCNT集合体合成用部材90を示す断面図である。 本発明の一実施例に係るCNT集合体合成用部材の表面の原子間力顕微鏡像を示す。 本発明の一実施例に係るCNT集合体合成用部材の表面の原子間力顕微鏡像を示す。 本発明の一実施例に係るCNT集合体合成用部材の表面の原子間力顕微鏡像を示す。 比較例のCNT集合体合成用部材の表面の原子間力顕微鏡像を示す。 比較例のCNT集合体合成用部材の表面の原子間力顕微鏡像を示す。 (a)は本発明の一実施例に係るCNT集合体合成用部材上に合成したCNT集合体を示し、(b)はCNT集合体のラマンスペクトルを示し、(c)はCNT集合体の成長曲線を示す。 (a)は本発明の一実施例に係るCNT集合体のTEM像であり、(b)はTEM像から求めた本発明の一実施例に係るCNTの直径の分布を示す。 (a)は本発明の一実施例に係るCNT集合体合成用部材上に合成したCNT集合体を示し、(b)はCNT集合体のラマンスペクトルを示し、(c)はCNT集合体の成長曲線を示す。 (a)は本発明の一実施例に係るCNT集合体合成用部材上に合成したCNT集合体を示し、(b)はCNT集合体のラマンスペクトルを示し、(c)はCNT集合体の成長曲線を示す。 比較例のCNT集合体合成用部材上に合成したCNT集合体を示す。 比較例のCNT集合体合成用部材上に合成したCNT集合体を示す。 比較例のCNT集合体合成用部材上に合成したCNT集合体を示す。 (a)は本発明の一実施例に係るCNT集合体合成用部材上に合成したCNT集合体を示し、(b)はCNT集合体のラマンスペクトルを示し、(c)はCNT集合体の成長曲線を示す。
以下、図面を参照して本発明に係るCNT集合体合成用触媒担持体及びCNT集合体合成用部材について説明する。なお、本発明のCNT集合体合成用触媒担持体及びCNT集合体合成用部材は、以下に示す実施の形態及び実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、本実施の形態及び後述する実施例で参照する図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
CNT集合体、特に単層CNT集合体を高効率で合成するためには、CNT合成に適した高温下において、高触媒活性を発現する金属(以下、触媒金属とも称する)からなる触媒金属微粒子(以下、触媒微粒子とも称する)を基材上に高密度に配置し、さらに触媒金属微粒子のサイズをCNTの合成に適した範囲内に長時間維持する必要がある。従来技術によるCVD法においては、触媒微粒子を調整するための方法として、基材表面に触媒下地層を成膜する方法が知られていた。具体的には、酸化アルミニウムや酸化マグネシウムが非特許文献1及び非特許文献2でそれぞれ触媒下地層として用いられている。
図5は、従来の触媒下地層92を配置したCNT集合体合成用部材90を示す断面図である。CNT集合体合成用部材90は、基材11と基材11の表面上に設けられた触媒下地層92を備えるCNT集合体合成用触媒担持体80と、触媒下地層92の表面上に、触媒金属からなる触媒金属微粒子99が設けられている。
上記の従来技術においては、単一成分からなる触媒下地層82が用いられている。発明者らは、触媒下地層82が触媒金属微粒子99の形成過程において果たしている役割を鋭意検討した。その結果、従来の触媒下地層82は、触媒下地層82が果たすべき以下の二つの機能を両立させる事が困難であり、結果として触媒金属微粒子99の個数密度や寿命に問題があることが分かった。本発明において、これらの問題に対する新しい解決手段を見出した。
CNT集合体合成用触媒担持体80の表面に触媒金属微粒子99を形成する場合、触媒下地層82の表面上に配置した金属層を還元条件下で加熱して、金属材料を粒子化する。このとき、触媒金属微粒子99は、オストワルド熟成により、隣接する大きな触媒金属微粒子99a側へ凝集し、小さな触媒金属微粒子99の個数が減少するとともに、大きな触媒金属微粒子99aが成長する。すなわち、本発明の第1の課題は、触媒金属微粒子99及び/又は触媒金属微粒子99を構成する原子の、CNT集合体合成用触媒担持体80の表面における拡散(以下、表面拡散と称する)を防止することで、触媒金属微粒子99の個数減少及び/又はサイズ増加を防ぐことである。これにより、所望のサイズを有する触媒金属微粒子99の個数密度を維持することが可能になる。
上記の触媒下地層82の第1の課題を解決するためには、触媒下地層82は欠陥を多く有し、触媒金属微粒子99及び/又は触媒金属微粒子99を構成する原子を触媒下地層82の表面の欠陥位置に固定しやすいことが望ましい。そのため触媒下地層82は、点欠陥を多く含む結晶性の低い結晶子により構成されるか、結晶粒界が多くなる微小結晶により構成されることが望ましい。
また、触媒下地層82の表面上に配置した金属層を還元条件下で加熱して、金属材料を粒子化する際に、CNT集合体合成用触媒担持体80の表面に触媒金属微粒子99を形成する場合、触媒金属微粒子99及び/又は触媒金属微粒子99を構成する原子(図4中の触媒金属微粒子99b)がCNT集合体合成用触媒担持体80の内部へ固相内拡散する。すなわち、触媒下地層82の第2の課題は、触媒金属微粒子99及び/又は触媒金属微粒子99を構成する原子がCNT集合体合成用触媒担持体80の内部へ固相内拡散することを防止することである。これにより、触媒金属微粒子99のサイズや個数密度の時間経過に伴う減少を抑えることが可能になる。
上記の触媒下地層82の第2の課題を解決するためには、触媒下地層82が有する欠陥の量を極力少なくすることにより、触媒金属微粒子99及び/又は原子の触媒下地層82の内部への拡散(以下、固相内拡散と称する)を防ぐことが望ましい。そのため触媒下地層82は、十分に大きなサイズを有し、かつ結晶性の高い結晶子により構成されることが望ましい。
しかしながら、上記のような状況を鑑みれば、上記の触媒下地層82の第1及び第2の課題を同時に望ましく解決することが容易でないことが明らかである。即ち、従来の触媒下地層82においては、欠陥が少ないと表面拡散が、欠陥が多いと固相内拡散が容易に進行しやすくなり、所望のサイズを有する触媒金属微粒子99の個数密度を高温下で維持することが困難になる。結果として、触媒金属微粒子99の寿命が短くなり、CNT集合体、特に単層CNT集合体を高い生産効率で生産することが困難になる。
[CNT集合体合成用触媒担持体]
図1は、本発明の一実施形態に係るCNT集合体合成用触媒担持体10を示す断面図である。CNT集合体合成用触媒担持体10は、基材11と、基材11の表面上に設けられる触媒下地層15と、を備える。触媒下地層15は、基材の表面上に設けられている第一下地層13と、第一下地層13の表面上に設けられている第二下地層14と、を備える。第一下地層13は、CNT集合体合成用触媒担持体10の表面上に設けられる触媒金属微粒子及び/又は触媒金属微粒子を構成する原子の、触媒担持体内部への固相内拡散を防止し、第二下地層14は、触媒金属微粒子及び/又は触媒金属微粒子を構成する原子の、CNT集合体合成用触媒担持体10の表面における表面拡散を防止して、触媒金属微粒子の個数の減少及び/又はサイズ変化を抑制する。
[基材]
本明細書において、基材(基板)とは、その表面にCNTを成長させるための触媒下地層及び触媒金属微粒子を担持することのできる部材である。基材11としては、400℃以上の高温でも基材の形状を維持できるものであれば適宜のものを用いることができる。基材11の形態としては、平板等の平面状の形態が、本発明の効果を用いて、大量のCNTを製造するために好ましい。しかしながら、粉末、または線状体の集合体で、平面状をなす基材でもよい。平面状の基材を用いると、原料ガスと触媒賦活物質を触媒に均一に供給しやすいため好ましい。基材11を構成する材料としては、石英、シリコン、ゲルマニウム、グラファイト又はサファイア(酸化アルミニウム)などであってもよい。
[第一下地層]
第一下地層13は、触媒金属原子及び/又は触媒微粒子の触媒担持体内部への固相内拡散を抑制するための層である。そのため、第一下地層13を構成する物質としては、触媒金属原子の固相内拡散が生じづらい化学的性質を有する物質を含むことが好ましい。本発明者らは、表面に形成される金属酸化物層が不働態皮膜として機能し、耐食性を示す金属に注目した。上記不働態皮膜は塩化物イオン(Cl-)や酸化物イオン(O2-)など様々な化学種に対して化学的反応を示さず、かつ固相内拡散をも抑制する性質を併せ持つため、触媒金属微粒子を構成する原子の固相内拡散をも防止する性質を示し得ることを発想するに至った。
上記耐食性金属としては、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、スズ、鉛、ベリリウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、鉄及びニッケルからなる群から選択される一以上を用いることができる。上記耐食性金属の酸化物を含んでいれば、第一下地層13は複数の物質から構成されていても構わない。一実施形態において、第一下地層13には、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム又は酸化ハフニウムを用いることが好ましい。
第一下地層13の内部においては触媒金属原子の拡散が極力起こらない事が望ましいことから、上記耐食性金属の酸化物は、高い結晶性を有することが望ましい。結晶性の評価法としては、例えばX線回折(XRD)が挙げられる。X線回折パターンに対して以下に示すシェラー式(式1)を適用して算出した平均結晶子径Dが13nmよりも大きく100nmより小さい、13nmよりも大きく50nmより小さい、あるいは20nmよりも大きく50nmより小さい結晶子を備える。
Figure 0006950939
ここで、K、λ、B、θはそれぞれ、X線回折スペクトルにおけるシェラー定数、入射光の波長、回折線幅、ブラック角であり、シェラー定数にはK=0.94が適用される。また、平均結晶子径Dとは、X線回折パターンに現れる酸化マグネシウムの(111)面、(200)面、(220)面、(311)面、(222)面由来の各回折ピークにシェラー式を適用して算出した結晶子径の平均である。
第一下地層13の膜厚としては、触媒金属原子が基材11まで浸透することを防止する必要があることから、2nm以上、好ましくは5nm以上、より好ましくは20nm以上であることが望ましい。第一下地層13の膜厚が2nmより薄いと、CNT集合体合成用触媒担持体10の内部への触媒金属微粒子及び/又は触媒金属微粒子を構成する原子の固相内拡散を十分に抑制することができないため、好ましくない。第一下地層13は基材11の表面上の全体を被覆している必要は必ずしもないが、より高い割合の基材11の表面上に設けられていることが望ましい。
(第二下地層)
第二下地層14は、触媒金属原子及び/又は触媒微粒子の触媒担持体表面における表面拡散を防止するための金属化合物又は金属を含む薄膜である。第二下地層14を構成する物質は特に限定はされず、金属、金属酸化物、金属窒化物などが挙げられる。例示的には、従来触媒下地層として報告されている物質が挙げられ、好ましくは、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムが挙げられる。
第二下地層14の膜厚は、第二下地層14内に固相内拡散してしまう触媒金属成分を極力下げるために、より薄い方が好ましい。具体的には5nm以下、好ましくは2nm以下であることが望ましい。第二下地層14の膜厚が5nmを超えると、第二下地層14内に固相内拡散する触媒金属成分が増加し、従来の触媒下地層を備えるCNT集合体合成用触媒担持体に対して、有意な効果を得にくく、好ましくない。ただし、第一下地層13の表面を高い割合で被覆するために、ある程度の平均膜厚を有することが望ましい。具体的には、0.2nm以上、好ましくは0.5nm以上の平均膜厚を有することが望ましい。
第一下地層13は、第二下地層14を構成する物質と同じ物質を含んでいても構わない。例えば、第一下地層13には、触媒金属の固相内拡散を抑制することを意図して、第二下地層14と同じ物質組成であるが、欠陥が少なく結晶性の高い層を用いても良い。ただし、第一下地層13は、第二下地層14を構成する物質とは異なる物質を含むことが望ましい。これは、第一下地層13と第二下地層14が全て同じ物質組成であると、後述する触媒微粒子形成工程における加熱過程に伴い、第一下地層13と第二下地層14の境界が消失するためである。そのため、第一下地層13は、第二下地層14を構成する物質と同じ物質を含まないことがより望ましい。
一実施形態において、第一下地層13が酸化ジルコニウム又は酸化ハフニウムを含み、且つ第二下地層14が酸化アルミニウムを含むことが好ましい。また、一実施形態において、第一下地層13が酸化アルミニウムを含み、且つ第二下地層14が酸化マグネシウムを含むことが好ましい。
[CNT集合体合成用部材]
図2は、本発明の一実施形態に係るCNT集合体合成用部材50を示す断面図である。CNT集合体合成用部材50は、CNT集合体合成用触媒担持体10の表面上に、触媒金属からなる触媒金属微粒子59を設けてなる。具体的には、第二下地層14の表面上に、触媒金属微粒子59が配置される。
[触媒金属]
触媒金属は、CNT集合体の製造に用いられる公知の金属であれば特に制限はないが、特に鉄、コバルト及びニッケルからなる群から選択される少なくともいずれか1つを含む金属であることが望ましい。
[触媒金属微粒子]
触媒金属微粒子59は、上記触媒金属から構成され、CNT集合体合成用触媒担持体10の表面に配置される。触媒金属微粒子59のサイズは1nm以上10nm以下、より好ましくは1nm以上5nm以下の範囲にあることが望ましい。また、CNT集合体合成用触媒担持体10の表面における個数密度は1×1010個/cm2以上、より好ましくは1×1011個/cm2以上、さらには3×1011個/cm2以上であることが望ましい。
個数密度の測定法としては、例えば、後述する触媒微粒子形成工程の後で触媒担持体をCNT製造装置から取り出した後、触媒担持体表面を原子力顕微鏡(Atomic Force Microscope;AFM)で直接測定してもよい。あるいは、次のCNT合成工程で得られたCNT集合体におけるCNTの本数密度を以下のように求め、これが触媒の個数密度と同等であると仮定して評価してもよい。即ち、CNTの本数密度は(CNT集合体の重量密度)/(CNTの線密度)となるが、CNT集合体の重量密度はCNT集合体の重量測定と高さ測定を行うことで算出し、またCNT線密度は、非特許文献3に記載されているCNTの直径との比例関係から算出する。CNTの直径は透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope;TEM)による直接観察や吸収スペクトルにおける吸収バンドエネルギーから測定される。
また、一実施形態において、触媒金属微粒子59の個数密度は、CNT集合体の合成開始時点での触媒金属微粒子59の個数密度を100%とした場合、合成開始20分後にも70%以上、望ましくは90%以上が維持されることが望ましい。なお、本明細書においては、CNT集合体が合成後の実際の触媒個数を評価するのは困難であるため、触媒金属微粒子形成工程において、CNT集合体合成用触媒担持体10の水素加熱時間を20分間延長したCNT集合体合成用部材で触媒個数を評価するものとする。
[CNT集合体合成用触媒担持体の製造方法]
[第一下地層の成膜工程]
図3は、本発明の一実施形態に係るCNT集合体合成用触媒担持体10の製造方法を説明する模式図である。第一下地層13の成膜工程は特に限定されない。例えば、基材11を準備し(図3(a))、基材11の表面を酸化することによって金属酸化物層を成膜しても良い。ただし典型的には、第一下地層13を構成する物質又はその前駆体の基材11上への堆積工程と、その後の後処理工程に分けられる。
堆積工程としては、例えば、電気化学的手法や、スピンコート或いはディップコートなどの湿式手法、又はスパッタ或いは蒸着やCVDなどのドライプロセスが用いられる。後処理工程の内容については特に限定はないが、第一下地層13の結晶性は高い方が望まれることから、酸化雰囲気、不活性雰囲気又は還元性雰囲気における熱処理(アニーリング)を含むことが好ましい。このようにして、基材11の表面上に第一下地層13が成膜される(図3(b))。
[第二下地層の成膜工程]
第二下地層14の成膜工程は特に限定されない。ただし第二下地層14は第一下地層13の表面を高い割合で被覆する一方で、膜厚は極力薄いことが望まれるため、スパッタ法や有機金属CVD(MOCVD)法などが望ましい。このようにして、基材11の表面上に第一下地層13が成膜される(図3(c))。以上により、本発明の一実施形態に係るCNT集合体合成用触媒担持体10を製造することができる。
[CNT集合体合成用部材の製造方法]
図4を参照して、本発明の一実施形態に係るCNT集合体合成用部材の製造方法を説明する。
[触媒原料堆積工程]
CNT集合体合成用部材50の製造法は特に限定はされないが、まず触媒金属を含んだ触媒原料をCNT集合体合成用触媒担持体10の表面に堆積させ、触媒前駆体層55を形成する工程から始まる(図4(a))。触媒原料は触媒金属そのものでも触媒金属の化合物でも構わないし、有機物等の他の物質を含んでいても構わない。形状も特に限定されず、一様な膜としてCNT集合体合成用触媒担持体10の表面に堆積させても良いし、予め微粒子の形状に加工された触媒原料をCNT集合体合成用触媒担持体10の表面に担持させても構わない。
触媒原料の堆積方法も特に限定はされない。触媒原料の存在量としては、例えば、これまでのCNTの製造に実績のある量を使用することができ、例えば純鉄からなる一様な膜を触媒原料として用いる場合、触媒前駆体層55の厚さは、0.1nm以上100nm以下が好ましく、0.5nm以上5nm以下がさらに好ましく、0.8nm以上2nm以下が特に好ましい。
[触媒金属微粒子形成工程]
CNT集合体合成用触媒担持体10の表面上に堆積させた触媒前駆体層55を加熱することで、触媒金属の還元及び微粒子化の少なくともいずれか一つを行い、CNT集合体合成用触媒担持体10の表面上に触媒金属微粒子59を調整する工程により、所望のサイズと個数密度を有する触媒微粒子を形成する(図4(b))。
加熱時のガス雰囲気は真空、あるいは還元性ガス及び/又は不活性ガスからなることが望ましい。還元性ガスには、水素、一酸化炭素、アンモニア、二窒化酸素(N2O)、二酸化硫黄(SO2)が含まれるが、これらに限定されない。不活性ガスとして、ヘリウム、アルゴン、窒素、ネオン、クリプトンなどや、これらの混合ガスが挙げられる。特に、窒素、ヘリウム、アルゴン、及びこれらの混合ガスが不活性ガスとして好適である。なお、不活性ガスに変えて還元性ガスが用いられてもよいし、不活性ガスに還元性ガスが加えられてもよい。後述する触媒賦活物質がガス中に含まれていても構わない。
また、加熱温度は特に限定されず、後述するCNT合成工程と違っていてもよい。触媒原料の還元及び/又は微粒子化を進行させるのに十分高い温度が必要であることから、加熱温度は300℃以上、好ましくは500℃以上であることが望ましい。加えて、触媒金属微粒子59のCNT集合体合成用触媒担持体10の表面での熱運動や担持体内部への浸透を極力回避するために加熱温度は900℃未満、より好ましくは800℃未満であることが望ましい。また、加熱時間は、特に制限はなく、1秒から10分以内の範囲で適宜設定してもよい。
以上により、触媒金属微粒子形成工程において、適切な触媒原料物質の量や混合状態、ならびに加熱温度と時間が適宜選択される。これにより、CNT集合体合成用触媒担持体10に直交する向きに配向したCNT集合体を成長させるのに好適なサイズや個数密度を有する触媒金属微粒子59がCNT集合体合成用触媒担持体10の表面上に形成される。
[CNT集合体合成工程]
上記のCNT集合体合成用部材50を用いれば、高効率でCNT集合体を合成することができる。公知のCNT集合体の合成工程であれば限定はされない。以下にCNT集合体の合成工程を例示する。
まず、上記のCNT集合体合成用部材50を加熱し、炭素供給源としてCNT集合体の製造に用いられる原料ガス、触媒の表面を被覆する不純物炭素を除去し触媒の活性を維持するための触媒賦活物質、及びキャリアガスからなる混合ガスを製造装置内に投入する。その後、原料ガスの投入を停止し、CNT集合体合成用部材50への加熱を停止することで、CNT集合体合成用部材50の表面上に配置されたCNT集合体を得ることができる。
原料ガスは、炭素数2以上、炭素数10以下、さらに好ましくは炭素数5以下の鎖状飽和炭化水素化合物または不飽和炭化水素化合物が用いられる。例えば、原料ガスには、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、エチレン、アセチレンなどが用いられる。
本工程においては、必要に応じて触媒賦活物質が添加されてもよい。触媒賦活物質は、酸素もしくは、硫黄などの酸化力を有する物質であり、且つ成長温度でCNTに多大なダメージを与えない物質である。触媒賦活物質には、例えば、水、酸素、オゾン、酸性ガス、及び酸化窒素、一酸化炭素、二酸化炭素などの低炭素数の含酸素化合物、又はエタノール、メタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、テトラヒドロフランなどのエーテル類、アセトンなどのケトン類、アルデヒドロ類、酸類、塩類、アミド類、エステル類、並びにこれらの混合物が有効である。この中でも、水、酸素、二酸化炭素、一酸化炭素、エーテル類、アルコール類が好ましいが、特に、極めて容易に入手できる水が好適である。また、触媒賦活物質として、炭素を含むものを用いた場合、触媒賦活物質中の炭素が、CNTの原料となりうる。キャリアガスは不活性ガス及び/又は還元性ガスから構成されることが望ましい。
なお、加熱温度は特に限定されない。したがって、加熱温度は、500℃以上900℃未満の範囲で適宜設定すればよい。また、加熱時間は、特に制限ないが、還元性ガス発生物質の分解が十分に開始してから、完全に分解が終了するまでの間が望ましい。還元性ガス発生物質やその量、また分解温度に依存するが、1秒から20分以内の範囲で適宜設定すればよい。
一般に触媒のサイズとCNTの直径は相関または一致する。上記CNT成長工程において、ラマン分光分析で幅広い波長範囲に渡ってピークを有するCNT、すなわち、大きく異なる複数の直径を有するCNTが合成される。この複数の直径を有するCNTの集合体をCNT集合体109という。本実施形態に係るCNT集合体の製造方法において、基材11に被着した触媒金属微粒子59から高速、且つ高収量で効率良くCNT集合体が製造される。
[CNT集合体]
上記製造方法により製造されるCNT集合体は、垂直配向体である。典型的な例として10分間のCNT合成工程により得られるCNT集合体の高さは、10μm以上であることが望ましい。より好ましくは、50μm以上、さらに好ましくは100μm以上であることが望ましい。また、CNT集合体の触媒担持体面積辺りの重量(以下、収量とする)は、0.3mg/cm2以上、より好ましくは1mg/cm2以上、さらに好ましくは2mg/cm2以上であることが望ましい。
また、CNT集合体の層数は、問わないが単層を10%以上含むことが望ましい。より好ましくは、50%以上であることが望ましい。CNTの直径は1nm以上10nmが好しまく、1.2nm以上5nm以下であることがより好ましい。CNTの直径は、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope;TEM)による直接観察や吸収スペクトルにおける吸収バンドエネルギーから測定される。
[実施例1]
実施例1として、第一下地層として酸化ハフニウムを用い、第二下地層として酸化アルミニウムを用いて、CNT集合体合成用部材を製造した。まず、基材としてシリコンウエハ(縦40mm×横40mm)を準備し、基材の表面に酸化ハフニウムをスパッタリング法により40nm堆積させた。空気中、50℃/minで昇温させ、900℃で20分間維持してアニーリングし、第一下地層を形成した。第一下地層の表面上にアルミナをスパッタリング法により堆積させ、1.3nmの第二下地層を形成した。このようにして、実施例1のCNT集合体合成用触媒担持体を製造した。
実施例1のCNT集合体合成用触媒担持体の第二下地層の表面上に、高周波マグネトロンスパッタリングにより1.3nmの鉄を蒸着し、触媒前駆体層を形成した。
[実施例2]
実施例2として、第一下地層として酸化ジルコニウムを用い、第二下地層として酸化アルミニウムを用いて、CNT集合体合成用部材を製造した。スパッタリング法により酸化ジルコニウムを40nm堆積させたこと以外は、実施例1と同様の製造方法によりCNT集合体合成用触媒担持体を製造し、第二下地層の表面上に、高周波マグネトロンスパッタリングにより1.3nmの鉄を蒸着し、触媒前駆体層を形成した。
[実施例3]
実施例3として、第一下地層として酸化マグネシウムを用い、第二下地層として酸化アルミニウムを用いて、CNT集合体合成用触媒担持体を製造した。スパッタリング法によりマグネシウムを100nm堆積させたこと以外は、実施例1と同様の製造方法によりCNT集合体合成用触媒担持体を製造し、第二下地層の表面上に、高周波マグネトロンスパッタリングにより1.8nmの鉄を蒸着し、触媒前駆体層を形成した。
[比較例1]
比較例1として、第一下地層として酸化ハフニウムを用い、第二下地層を形成せずに、CNT集合体合成用触媒担持体を製造した。実施例1と同様の方法により酸化ハフニウムを40nm堆積させてCNT集合体合成用触媒担持体を製造し、第一下地層の表面上に、高周波マグネトロンスパッタリングにより1.3nmの鉄を蒸着し、触媒前駆体層を形成した。
[比較例2]
比較例2として、第一下地層として酸化ジルコニウムを用い、第二下地層を形成せずに、CNT集合体合成用触媒担持体を製造した。実施例2と同様の方法によりジルコニウムを40nm堆積させてCNT集合体合成用触媒担持体を製造し、第一下地層の表面上に、高周波マグネトロンスパッタリングにより1.3nmの鉄を蒸着し、触媒前駆体層を形成した。
[比較例3]
比較例3として、第一下地層としてシリコン酸化膜を用い、第二下地層として酸化アルミニウムを用いて、CNT集合体合成用触媒担持体を製造した。まず、基材としてシリコンウエハ(縦40mm×横40mm)を準備し、基材を空気中、750℃で20分間加熱し、シリコン酸化膜の第一下地層を形成した。第一下地層の表面上にアルミナをスパッタリング法により堆積させ、1.3nmの第二下地層を形成した。下地層を形成した基材をアセントで超音波洗浄した後に、IPAで更に超音波洗浄した。このようにして、比較例3のCNT集合体合成用触媒担持体を製造した。
比較例3のCNT集合体合成用触媒担持体の第二下地層の表面上に、高周波マグネトロンスパッタリングにより1.3nmの鉄を蒸着し、触媒前駆体層を形成した。
[比較例4]
従来の下地層を有する比較例4として、第一下地層として酸化アルミニウムを用い、第二下地層を形成せずに、CNT集合体合成用触媒担持体を製造した。実施例1と同様の方法によりアルミニウムを40nm堆積させてCNT集合体合成用触媒担持体を製造し、第一下地層の表面上に、高周波マグネトロンスパッタリングにより1.3nmの鉄を蒸着し、触媒前駆体層を形成した。
[触媒金属微粒子形成]
実施例1〜3及び比較例1〜4のCNT集合体合成用触媒担持体を合成炉にそれぞれ搬入し、Heを500sccm供給しながら、750℃で6分間加熱して、触媒金属元素を微粒子化して、触媒金属微粒子を形成した。
触媒金属微粒子を形成したCNT集合体合成用部材を合成炉から取り出し、CNT集合体合成用部材の表面に形成された触媒金属微粒子を原子間力顕微鏡(AFM)により観察した。実施例1〜3及び比較例1及び4のCNT集合体合成用部材のAFM像を図6〜図10に示す。また、CNT集合体合成中での触媒金属微粒子の安定性を評価するため、実施例1〜3及び比較例4のCNT集合体合成用部材については、水素雰囲気下、750℃で6分間加熱して、触媒金属元素を微粒子化した後、さらに750℃で20分間(合計26分間)加熱したCNT集合体合成用部材についてもAFMにより観察した。本実施例においては、CNT集合体が成長後の実際の触媒個数を評価するのは困難であるため、水素加熱を20分間延長したCNT集合体合成用部材を評価した。
得られたAFM像について、100nm四方当たりの触媒金属微粒子の個数を計数した。実施例1〜3及び比較例1及び4のCNT集合体合成用部材について、触媒金属微粒子の個数を表1に示す。なお、比較例1については、6分間加熱後のCNT集合体合成用部材において触媒金属微粒子を検出することができなかったため、26分間加熱後のCNT集合体合成用部材については触媒金属微粒子の計数を行っていない。
Figure 0006950939
図10は、比較例4のCNT集合体合成用部材の表面のAFM像であり、図10(a)は水素雰囲気下、750℃で6分間加熱後のCNT集合体合成用部材の表面のAFM像である。また、図10(b)は水素雰囲気下、750℃で26分間加熱後のCNT集合体合成用部材の表面のAFM像である。図10(a)と図10(b)とをそれぞれ比較すると、加熱時間を延長することにより、CNT集合体合成用部材の表面の触媒金属微粒子が大きくなリ、触媒金属微粒子が減少することが表1からも明らかである。したがって、従来の下地層を有するCNT集合体合成用部材では、CNT集合体の合成過程において、触媒金属微粒子が減少することが明らかとなった。
図6〜図9は、実施例1〜3のCNT集合体合成用部材の表面のAFM像であり、それぞれ、(a)は水素雰囲気下、750℃で6分間加熱後のCNT集合体合成用部材の表面のAFM像である。また、(b)は水素雰囲気下、750℃で26分間加熱後のCNT集合体合成用部材の表面のAFM像である。(a)の図と(b)の図とをそれぞれ比較すると、実施例1〜3のCNT集合体合成用部材においては、加熱時間を延長しても、CNT集合体合成用部材の表面の触媒金属微粒子のサイズの変化は抑制され、触媒金属微粒子の個数も維持されることが表1からも明らかである。したがって、本実施例に係るCNT集合体合成用部材は、CNT集合体の生産において、基材面積辺りに高い個数密度の触媒金属微粒子を配置することが可能となり、その結果、長尺のカーボンナノチューブ集合体を高効率で生産することが可能となる。
[CNT集合体の合成]
触媒金属微粒子形成後の実施例1〜3及び比較例1〜4のCNT集合体合成用部材が配置された合成炉に、水素の供給量を500sccmから0sccmへ250sccm/minで減少させ、ヘリウムを460sccm、水をバブリングした窒素(以下、H2O/N2とも称する。H2O:約1500ppm)を100 sccmを合成炉に2分間供給した。
その後、20% アセチレン(C22)(窒素で20%に希釈したアセチレン)を10sccm、触媒賦活物質として、H2O/N2を100sccm、ヘリウムを470sccm合成炉に導入し、CNT集合体を合成した。
図11(a)、図13(a)及び図14(a)は、実施例1〜3のCNT集合体合成用部材上に合成したCNT集合体を示し、図15〜図17は比較例1〜3のCNT集合体合成用部材上に合成したCNT集合体を示し、図18(a)は、比較例4のCNT集合体合成用部材上に合成したCNT集合体を示す。また、CNT集合体の平均高さ及び収量を表2に示す。
実施例1〜3のCNT集合体合成用部材上に合成したCNT集合体のラマンスペクトルを図11(b)、図13(b)及び図14(b)に示す。また、比較例4のCNT集合体合成用部材上に合成したCNT集合体のラマンスペクトルを図18(b)に示す。ラマンスペクトルは、ラマン分光測定装置(サーモエレクトロン社)を使用して、532nmの励起波長を用いた。1560cm-1以上1600cm-1以下の範囲内での最大のピーク強度をG、1310cm-1以上1350cm-1以下の範囲内での最大のピーク強度をDとしたときのG/D比を、CNT集合体の品質の指標として用いることができる。G/D比が大きいほど、グラファイト化度が高く、高品質のCNT集合体である。実施例1〜3及び比較例4のCNT集合体のG/D比を表2に示す。
実施例1〜3及び比較例4のCNT集合体合成用部材上に合成したCNT集合体について、合成時間に対して平均高さをプロットして成長曲線を得た。実施例1〜3及び比較例4のCNT集合体の成長曲線を図11(c)、図13(c)、図14(c)及び図18(c)に示す。また、成長曲線から成長寿命を求めた。実施例1〜3及び比較例4のCNT集合体合成用部材上に合成したCNT集合体の成長寿命を表2に示す。
Figure 0006950939
図15〜図17及び表2から明らかなように、第二下地層を形成していない比較例1〜2及び第一下地層として耐食性金属ではないシリコン酸化膜を用いた比較例4のCNT集合体合成用部材では、CNT集合体がほとんど合成されなかった。従来の下地層を有する比較例4のCNT集合体合成用部材では、CNT集合体が合成されるが、実施例1〜3のCNT集合体合成用部材では、平均高さも高く、高収量でCNT集合体が合成された。また、従来の下地層を有する比較例4のCNT集合体合成用部材では成長寿命が12分以下であった。表1の結果を考慮すると、従来の下地層を有するCNT集合体合成用部材では、CNT集合体の合成過程において、触媒金属微粒子が減少することにより、成長寿命が短くなると推察される。
一方、実施例1〜3のCNT集合体合成用部材では、CNT集合体の生産において、基材面積辺りに高い個数密度且つ寿命の長い触媒金属微粒子を配置することが可能となり、その結果、長尺のカーボンナノチューブ集合体を高効率で生産することが可能となると推察される。
実施例1のCNT集合体合成用部材で合成したCNT集合体について、TEMによる観察を行った。図12(a)は実施例1のCNT集合体のTEM像であり、図12(b)はTEM像から求めた実施例1で合成したCNTの直径の分布を示す。実施例1のCNT集合体合成用部材で合成したCNT集合体は、直径が1.2nm以上5nm以下である単層CNTが大部分を占めるCNT集合体であることが明らかとなった。
10 集合体合成用触媒担持体、11 基材、13 第一下地層、14 第二下地層、15 触媒下地層、50 集合体合成用部材、55 触媒前駆体層、59 触媒金属微粒子、80 集合体合成用触媒担持体、82 触媒下地層、90 集合体合成用部材、92 触媒下地層、99 触媒金属微粒子、99a 触媒金属微粒子、109 集合体

Claims (5)

  1. 基材と、
    前記基材の表面上に設けられる触媒下地層と、を備えるカーボンナノチューブ集合体合成用触媒担持体であり、
    前記触媒下地層は、
    前記基材の表面上に設けられている第一下地層と、
    前記第一下地層の表面上に設けられている第二下地層と、を備え、
    前記第一下地層は、耐食性金属の酸化物を含む、厚さ2nm以上の層であり、前記触媒担持体の表面上に設けられる触媒金属微粒子及び/又は前記触媒金属微粒子を構成する原子の、前記触媒担持体内部への固相内拡散を防止し、
    前記第二下地層は、厚さが0.2nm以上5nm以下の金属化合物又は金属を含む薄膜であり、前記触媒金属微粒子及びは/又は前記触媒金属微粒子を構成する原子の、前記触媒担持体表面における表面拡散を防止して、前記触媒金属微粒子の個数の減少及び/又はサイズ変化を抑制する、
    カーボンナノチューブ集合体合成用触媒担持体。
  2. 前記耐食性金属が、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、スズ、鉛、ベリリウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、鉄及びニッケルからなる群から選択される一以上を含む、請求項に記載のカーボンナノチューブ集合体合成用触媒担持体。
  3. 前記第一下地層が、前記第二下地層を構成する物質とは異なる物質を含む、請求項1又は2に記載のカーボンナノチューブ集合体合成用触媒担持体。
  4. 前記第一下地層が酸化ジルコニウム又は酸化ハフニウムを含み、且つ前記第二下地層が酸化アルミニウムを含む、又は前記第一下地層が酸化アルミニウムを含み、且つ前記第二下地層が酸化マグネシウムを含む、請求項に記載のカーボンナノチューブ集合体合成用触媒担持体。
  5. 請求項1からのいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ集合体合成用触媒担持体の表面上に、
    触媒金属からなる触媒金属微粒子を設けてなるカーボンナノチューブ集合体合成用部材。
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