JP6476759B2 - カーボンナノチューブ配向集合体の製造方法 - Google Patents

カーボンナノチューブ配向集合体の製造方法 Download PDF

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本発明は、カーボンナノチューブ配向集合体の製造方法に関するものである。
カーボンナノチューブ(以下、「CNT」と称することがある。)は、力学的強度、光学特性、電気特性、熱特性、分子吸着能等の各種特性に優れており、電子デバイス材料、光学素子材料、導電性材料等の機能性材料としての展開が期待されている。
ここで、CNTの製造方法の一つとして、化学気相成長法(以下、「CVD法」と称することがある。)が知られている。このCVD法は、高温雰囲気下で原料となる炭素化合物を金属微粒子よりなる触媒と接触させてCNTを合成することを特徴としている。そして、CVD法は、CNTの製造条件(例えば、触媒の種類または配置、炭素化合物の種類、或いは、反応条件など)の自由度が高く、また、単層カーボンナノチューブ(SWCNT)と多層カーボンナノチューブ(MWCNT)とのいずれも製造可能である製造方法として注目されている。
また、CVD法を用いたCNTの製造方法の中でも、CNT合成用触媒を担持した基材(以下、「触媒基材」と称することがある。)を用いてCNTを合成する方法は、触媒基材に対して垂直に配向した多数のCNT(CNT配向集合体)を大量に製造することができるため、特に注目されている(例えば、特許文献1参照)。
なお、CVD法を用いて触媒基材上にCNTを合成する方法では、近年、触媒基材として、基材上に形成した触媒担持層上にCNT合成用触媒を担持してなる積層体を用いることが提案されている。そして、触媒担持層としては、例えば、チタン、バナジウムおよびクロム等の金属からなる層、或いは、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、炭化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタンおよび炭化チタン等の金属化合物からなる層が用いられている(例えば、特許文献2参照)。
特開2010−159209号公報 特開2011−132068号公報
ここで、近年では、優れた機能性材料としてのCNTへの注目の高まり、および、CNTの用途の拡大に伴い、高品質なCNTを大量に製造する技術が求められている。しかし、上記従来の触媒基材上にCNTを合成する方法では、例えばサイズが10mm×10mmといった小さな触媒基材を用いて実験室規模などの少量生産でCNTを合成しており、CNTを大量に製造することはできなかった。
そこで、本発明者は、CVD法を用いたCNTの製造方法において、CNTを触媒基材上に成長させるための成長炉に搬入する触媒基材の面積を大きくし、CNTの大量合成を試みた。
しかし、本発明者が研究を重ねたところ、成長炉に搬入する触媒基材の面積を400cm2以上と大きくした場合には、合成されるCNTの品質が低下すると共に触媒基材の単位面積当たりのCNTの収量が低下する虞があることが新たに明らかとなった。
そこで、本発明者は上記課題を解決し、高品質なCNTを大量に製造する技術を確立することを目的として更に検討を重ねた。そして、本発明者は、CVD法を用いてCNTを製造するに当たり、特定の金属化合物を用いて形成した触媒担持層上にCNT合成用触媒を担持してなる触媒基材を使用すれば、成長炉に搬入する触媒基材の面積を大きくした場合であっても、単位面積当たりのCNTの収量を低下させることなく高品質なCNTを大量に製造することができることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明のカーボンナノチューブ配向集合体の製造方法は、触媒基材または触媒基材の集合体を成長炉に搬入する工程と、前記成長炉内で化学気相成長法により前記触媒基材上にカーボンナノチューブ配向集合体を成長させる工程とを含むカーボンナノチューブ配向集合体の製造方法であって、前記成長炉に搬入される前記触媒基材または触媒基材の集合体は、カーボンナノチューブ成長実効面積が400cm2以上であり、前記触媒基材は、基材上に形成された窒化アルミニウムからなる触媒担持層と、前記触媒担持層上に担持されたカーボンナノチューブ合成用触媒からなる触媒層とを有することを特徴とする。このように、窒化アルミニウムを用いて形成した触媒担持層を有する触媒基材を使用すれば、成長炉内に搬入する触媒基材または触媒基材の集合体のカーボンナノチューブ成長実効面積を400cm2以上と大きくした場合であっても、合成されるCNTの品質の低下および触媒基材の単位面積当たりのCNTの収量の低下を抑制することができる。従って、高品質なCNTを大量に製造することができる。
なお、本発明において、「カーボンナノチューブ成長実効面積」とは、成長炉内に搬入された触媒基材または触媒基材の集合体の全表面のうち、成長炉内で実際にカーボンナノチューブを成長させることが可能な表面の面積の合計を指す。従って、「カーボンナノチューブ成長実効面積」には、触媒担持層および触媒層が形成されていない部分の面積や、触媒基材の集合体中で触媒基材同士が接触している部分の面積などは含まれない。
ここで、本発明のカーボンナノチューブ配向集合体の製造方法は、前記窒化アルミニウムからなる触媒担持層が反応性スパッタリング法により形成されたものであることが好ましい。反応性スパッタリング法を使用すれば、所望の厚さおよび形状の窒化アルミニウムからなる触媒担持層を容易に形成することができるからである。
また、本発明のカーボンナノチューブ配向集合体の製造方法は、前記触媒担持層の厚さが10nm以上100nm以下であることが好ましい。触媒担持層の厚さを上記範囲内とすれば、合成されるCNTの品質および触媒基材の単位面積当たりのCNTの収量を向上させることができるからである。
更に、本発明のカーボンナノチューブ配向集合体の製造方法は、前記触媒層の厚さが1nm以上10nm以下であることが好ましい。触媒層の厚さを上記範囲内とすれば、合成されるCNTの品質および触媒基材の単位面積当たりのCNTの収量を向上させることができるからである。
そして、本発明のカーボンナノチューブ配向集合体の製造方法は、前記成長炉内において、触媒賦活物質の存在下で化学気相成長法により前記触媒基材上にカーボンナノチューブ配向集合体を成長させることが好ましい。触媒賦活物質の存在下でカーボンナノチューブ配向集合体を成長させれば、CNTの生産効率や純度を向上させることができるからである。
本発明によれば、触媒基材の単位面積当たりのCNTの収量を低下させることなく高品質なCNTを大量に製造することができる。
カーボンナノチューブ配向集合体の製造装置の一例を示す模式図である。 カーボンナノチューブ配向集合体の製造装置の他の例を示す模式図である。 実施例1で用いた触媒基材の触媒微粒子のSEM画像である。 実施例1で合成したCNTのTEM画像である。 比較例1で用いた触媒基材の触媒微粒子のSEM画像である。 比較例1で合成したCNTのTEM画像である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
ここで、本発明に係るカーボンナノチューブ配向集合体の製造方法は、基材上に形成した触媒担持層上にCNT合成用触媒を担持してなる触媒基材上に、化学気相成長法(CVD法)を用いてCNT配向集合体を成長させることによりCNTを製造する方法である。具体的には、本発明に係るカーボンナノチューブ配向集合体の製造方法では、触媒基材の周囲環境を還元ガス環境とすると共にCNT合成用触媒および/または還元ガスを加熱するフォーメーション工程を任意に実施した後に、触媒基材の周囲環境を原料ガス環境とすると共にCNT合成用触媒および原料ガスの少なくとも一方を加熱して所定の方向に配向したCNTの集合体(CNT配向集合体)を触媒基材上に成長させる成長工程を実施して、CNTを合成する。なお、本発明に係るカーボンナノチューブ配向集合体の製造方法では、任意に、成長工程の後に触媒基材およびCNTを不活性ガス下で冷却する冷却工程を実施し、成長工程で合成したCNTが酸素存在環境下で酸化するのを防止してもよい。
そして、本発明に係るカーボンナノチューブ配向集合体の製造方法は、触媒基材として、基材上に形成された窒化アルミニウムからなる触媒担持層と、前記触媒担持層上に担持されたカーボンナノチューブ合成用触媒からなる触媒層とを有する触媒基材を使用し、且つ、成長工程において、カーボンナノチューブ成長実効面積が400cm2以上の触媒基材または触媒基材の集合体を成長炉に搬入し、化学気相成長法により触媒基材上にCNT配向集合体を成長させることを特徴とする。
なお、本発明者の研究によれば、CNT成長実効面積が400cm2以上となるような大面積の触媒基材または触媒基材の集合体を成長炉に搬入してCNT配向集合体を成長させる際に、触媒担持層を有しない触媒基材を用いた場合や酸化アルミニウム等からなる触媒担持層を有する触媒基材を用いた場合には、CNT成長実効面積が小さい触媒基材または触媒基材の集合体を用いた場合には発生しなかった、合成されるCNTの品質の低下および触媒基材の単位面積当たりのCNTの収量の低下が発生する虞がある。しかし、本発明に係るカーボンナノチューブ配向集合体の製造方法では、窒化アルミニウムからなる触媒担持層を有する触媒基材を使用しているので、CNT成長実効面積を400cm2以上と大きくした場合であっても、合成されるCNTの品質の低下および触媒基材の単位面積当たりのCNTの収量の低下の発生を抑制し、高品質なCNTを大量に製造することができる。なお、CNTの品質および収量の低下を抑制できる理由は、明らかではないが、窒化アルミニウムの化学的安定性、耐蝕性および熱伝導度が高く、触媒担持層上に触媒層がCNTの成長に最適な状態で担持されるためであると推察される。
(触媒基材または触媒基材の集合体)
ここで、本発明に係るカーボンナノチューブ配向集合体の製造方法では、カーボンナノチューブ配向集合体の製造装置に単一の触媒基材または複数の触媒基材の集合体を導入し、化学気相成長法により触媒基材上にカーボンナノチューブ配向集合体を成長させる。そして、本発明に係るカーボンナノチューブ配向集合体の製造方法では、触媒基材として、基材と、基材上に形成された窒化アルミニウムからなる触媒担持層と、触媒担持層上に担持されたカーボンナノチューブ合成用触媒からなる触媒層とを有する触媒基材を使用する。
なお、「触媒基材の集合体」とは、複数の触媒基材を、任意に穴あき容器などの容器に収容して、集合させたものであり、例えば回分式の製造装置を用いる場合には各バッチにおいて一度に製造装置内に搬入される複数の触媒基材を指し、連続式の製造装置を用いる場合には互いに隣接する触媒基材間の間隔が例えば0.1cm以下の一つの塊(ブロック)として一度に製造装置内に搬入される複数の触媒基材を指す。
そして、複数の触媒基材を収容する前記容器としては、後述する基材と同様に、特に限定されることなく、500℃以上の高温でも形状を維持できる部材からなるものを用いることができる。前記容器の材質としては、例えば、後述する基材と同様のものが挙げられ、好適態様も基材と同様である。
<基材>
ここで、触媒基材の基材としては、特に限定されることなく、500℃以上の高温でも形状を維持できる部材を用いることができる。また、基材の材質としては、例えば、鉄、ニッケル、クロム、モリブデン、タングステン、チタン、アルミニウム、マンガン、コバルト、銅、銀、金、白金、ニオブ、タンタル、鉛、亜鉛、ガリウム、インジウム、ゲルマニウムおよびアンチモンなどの金属、並びにこれらの金属を含む合金および酸化物;シリコン、石英、ガラス、マイカ、グラファイトおよびダイヤモンドなどの非金属;並びにセラミックなどを例示できる。金属は、非金属およびセラミックと比較して低コストであるから好ましく、特に、Fe−Cr(鉄−クロム)合金、Fe−Ni(鉄−ニッケル)合金、Fe−Cr−Ni(鉄−クロム−ニッケル)合金等は好適である。
なお、基材としては、CNTの製造に用いた使用済みの触媒基材を使用(再利用)してもよい。また、基材には、成長工程中の浸炭(基材への炭素成分の浸透)による基材の変形を防止するための浸炭防止層が形成されていてもよい。因みに、本発明に係るカーボンナノチューブ配向集合体の製造方法では、浸炭防止層を設けることなく、触媒担持層や触媒層を浸炭防止層として機能させてもよい。
基材の形態は、平板状、ブロック状および球状などが挙げられ、特に体積の割に表面積を大きくとれ、取扱い性に優れる平板状または球状がCNT成長実効面積を大きくしてCNTを大量に製造する場合において有利である。
なお、基材として平板状の部材(基板)を使用する場合、基板の厚さに特に制限はなく、例えば数μm程度の薄膜から数cm程度までのものを用いることができる。基板の厚さは、好ましくは、0.05mm以上3mm以下である。基板の厚さが3mm以下であれば、成長工程で基板を十分に加熱してCNTの成長不良を抑制することができると共に、基板のコストを低減できる。また、基板の厚さが0.05mm以上であれば、浸炭による基板の変形を抑えることができると共に、基板自体のたわみが起こりにくいため基板の搬送や再利用に有利である。
そして、基材として用いる平板状基板の形状、大きさに特に制限はないが、形状としては、長方形もしくは正方形のものを用いることができる。基板の一辺の長さに特に制限はないが、CNT成長実効面積を十分に確保してCNTを大量に製造する観点からは、基板の一辺の長さは例えば200mm以上とすることが好ましく、500mm以上とすることがより好ましい。なお、基板の一辺の長さの上限は、通常、1000mm程度である。
また、基材として用いる球状の部材(球状基板)の球形度としては、目視観察により一見して球状と把握される程度であれば、特に限定されない。球状基板の直径は、好ましくは、1mm以上10mm以下である。球状基板の直径が10mm以下であれば、成長工程で球状基板を十分に加熱してCNTの成長不良を抑制することができると共に、球状基板のコストを低減できる。また、球状基板の直径が1mm以上であれば、浸炭による球状基板の変形を抑えることができると共に、球状基板の搬送や再利用に有利である。なお、球状基板を複数用いる場合(即ち、集合体として用いる場合)には、同一の直径を有する球状基板を複数用いてもよいし、或いは、互いに異なる直径を有する球状基板を複数用いてもよい。また、球状基板を複数用いる場合、複数の球状基板の材質は、それぞれ同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
<触媒担持層>
基材上に設けられる触媒担持層は、「下地層」とも称されるものであり、CNT合成用触媒が担持される層である。そして、本発明に係るカーボンナノチューブ配向集合体の製造方法では、触媒担持層の材料として、窒化アルミニウムを用いることを必要とする。このように、触媒担持層の材料として窒化アルミニウムを用いることにより、高品質なCNTの大量生産が可能になる。
ここで、窒化アルミニウムよりなる触媒担持層を基材上に形成する方法としては、特に限定されることなく、パルスレーザー堆積法(PLD)、レーザーアブレーション法、スパッタリング法およびエアロゾルデポジション法などの物理的気相蒸着法(PVD)、並びに、原子層堆積法(ALD)、有機金属化学気相堆積法(MOCVD)およびプラズマ支援気相堆積法(プラズマCVD)などの化学気相蒸着法(CVD)を用いることができる。中でも、スパッタリング法を用いることが好ましく、反応性スパッタリング法を用いることが更に好ましい。所望の厚さおよび形状の窒化アルミニウムからなる触媒担持層を容易に形成することができるからである。
なお、スパッタリング法を用いて触媒担持層を形成する場合には、触媒担持層を形成する前に逆スパッタリングを行って基材表面の汚れを除去することが好ましい。また、スパッタリング装置内の圧力は、例えば0.01〜10Pa程度に調整することが好ましい。更に、反応性スパッタリング法を用いる場合、アルゴンなどの不活性ガスと窒素などの反応性ガスとの流量の比率は、10:1〜1:10程度に調整することが好ましい。上記の条件で触媒担持層を形成した触媒基材を用いれば、得られるCNTの品質および触媒基材の単位面積当たりのCNTの収量を向上させることができるからである。
そして、基材上に形成する触媒担持層の厚みは、CNTを安定的に成長させて高品質なCNTを製造する観点からは10nm以上であることが好ましく、また、CNTの収量を高める観点からは100nm以下であることが好ましい。
<触媒層>
触媒基材の触媒層は、触媒担持層上に担持されたCNT合成用触媒により形成されている。そして、触媒層を構成するCNT合成用触媒としては、化学気相成長法によるCNTの合成に用いられる既知の触媒、例えば、鉄、ニッケル、コバルト、モリブデン、並びに、これらの塩化物および合金を用いることができる。
ここで、触媒担持層上へのCNT合成用触媒の担持(触媒層の形成)には、ウェットプロセスまたはドライプロセスのいずれを適用してもよい。具体的には、触媒層の形成には、スパッタリング蒸着法や、金属微粒子または金属化合物を適宜な溶媒に分散または溶解させてなる液体の塗布・焼成による方法などを用いることができる。中でも、触媒となる元素を含んだ金属有機化合物および/または金属塩を有機溶剤に溶解したコーティング剤を触媒担持層上へ塗布し、塗布したコーティング剤を加熱して触媒層を形成することが好ましい。なお、触媒層の形成に当たっては、周知のフォトリソグラフィーやナノインプリンティング等を適用したパターニングを併用して、触媒層の形成領域を任意の形状とすることもできる。
そして、触媒担持層上に担持するCNT合成用触媒の量は、CNTの製造が可能な範囲であれば任意の量とすることができる。また、触媒層の厚さは、CNTを安定的に成長させて高品質なCNTを製造する観点からは1nm以上であることが好ましく、また、CNTの収量を高める観点からは10nm以下であることが好ましい。
<CNT成長実効面積>
本発明に係るカーボンナノチューブ配向集合体の製造方法では、CNTを大量に合成する観点から、上述した基材、触媒担持層および触媒層を有する触媒基材を、CNT成長実効面積が400cm2以上、好ましくは2500cm2以上となるように、カーボンナノチューブ配向集合体の製造装置の成長炉に搬入する。具体的には、例えば、触媒担持層および触媒層が形成された部分の表面積が400cm2以上の一つの触媒基材を成長炉に一度に搬入し、或いは、触媒担持層および触媒層が形成された部分のうち外側に露出している部分の合計表面積が400cm2以上となるように複数の触媒基材を集合させてなる集合体を成長炉に一度に搬入して、成長工程を実施する。
(フォーメーション工程)
そして、本発明に係るカーボンナノチューブ配向集合体の製造方法において任意に実施するフォーメーション工程では、上述した触媒基材または触媒基材の集合体のCNT合成用触媒の周囲環境を還元ガス環境とすると共に、CNT合成用触媒および/または還元ガスを加熱する。このフォーメーション工程により、CNT合成用触媒の還元、CNT合成用触媒のCNTの成長に適合した状態である微粒子化の促進、および、CNT合成用触媒の活性向上のうち少なくとも一つの効果が現れる。
なお、還元ガスとしては、例えば、水素ガス、アンモニア、水蒸気、および、それらの混合ガス、或いは、これらをヘリウムガス、アルゴンガス、窒素ガス等の不活性ガスと混合した混合ガスを用いることができる。
また、CNT合成用触媒および/または還元ガスの温度は、好ましくは400℃以上1100℃以下とすることができる。
更に、フォーメーション工程の実施時間は、3分以上30分以下が好ましい。フォーメーション工程の時間がこの範囲であれば、触媒微粒子の粗大化が防止され、後段の成長工程における多層カーボンナノチューブの生成を抑制することができる。
(成長工程)
成長工程では、CNT合成用触媒を有する触媒基材または触媒基材の集合体上に、原料ガスと、任意に触媒賦活物質とを供給して触媒基材または触媒基材の集合体の周囲環境を原料ガス環境とすると共に、CNT合成用触媒および原料ガスのうち少なくとも一方を加熱して、触媒基材上にCNTを成長させる。すなわち、成長工程では、例えばフォーメーション工程を行った後の触媒基材または触媒基材の集合体上に、化学気相成長法(CVD)法によりCNTを成長させる。この工程により、基材上にCNT配向集合体が成長する。
なお、成長工程では、CNTの成長反応が行なわれる雰囲気中に触媒賦活物質を存在させることによって、CNTの生産効率や純度をより一層改善することができる。
ここで、成長工程で使用する原料ガスは、CNTの原料となる物質であればよく、例えば、CNTの成長反応を進行させる温度において原料炭素源を有するガスである。なかでも、原料ガスとしては、メタン、エタン、エチレン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、プロピレンおよびアセチレンなどの炭化水素が好適であり、効率よくCNTを製造することができるため、エチレンであることが特に好適である。この他にも、メタノール、エタノールなどの低級アルコールを原料ガスとして用いてもよい。これらの混合物も使用可能である。また原料ガスは、不活性ガスで希釈されていてもよい。
原料ガスを希釈する不活性ガスは、CNTが成長する温度で不活性であり、CNT合成用触媒の活性を低下させず、且つ、成長するCNTと反応しないガスであればよい。不活性ガスとしては、例えば、ヘリウム、アルゴン、窒素、ネオンおよびクリプトンなど、並びに、これらの混合ガスを例示できる。中でも、特に窒素、ヘリウム、アルゴンおよびこれらの混合ガスが好適である。
成長工程で任意に使用する触媒賦活物質としては、酸素を含む物質が好ましく、CNTの成長温度でCNTに多大なダメージを与えない物質がさらに好ましい。例えば、水、酸素、オゾン、酸性ガス、酸化窒素;一酸化炭素および二酸化炭素などの低炭素数の含酸素化合物;エタノール、メタノールなどのアルコール類;テトラヒドロフランなどのエーテル類;アセトンなどのケトン類;アルデヒド類;エステル類;並びにこれらの混合物が触媒賦活物質として有用である。この中でも、水、酸素、二酸化炭素、一酸化炭素、エーテル類が好ましく、特に水および二酸化炭素が好適である。
触媒賦活物質の添加量に格別な制限はないが、CNT合成用触媒の周囲環境中の濃度で、水の場合には、好ましくは10体積ppm以上10000体積ppm以下、より好ましくは50体積ppm以上1000体積ppm以下、さらに好ましくは100体積ppm以上700体積ppm以下の範囲とするとよい。また触媒賦活物質が二酸化炭素の場合には、好ましくは0.2体積%以上70体積%以下、より好ましくは0.3体積%以上50体積%以下、さらに好ましくは0.7体積%以上20体積%以下とするとよい。
ここで、触媒賦活物質が機能するメカニズムは、現時点では以下のように推測される。CNTの成長過程において、副次的に発生したアモルファスカーボンおよびグラファイトなどがCNT合成用触媒に付着するとCNT合成用触媒は失活してしまいCNTの成長が阻害される。しかし、触媒賦活物質が存在すると、アモルファスカーボンおよびグラファイトなどを一酸化炭素および二酸化炭素などに酸化させることでガス化するため、触媒層が清浄化され、CNT合成用触媒の活性を高め且つ活性寿命を延長させる作用(触媒賦活作用)が発現すると考えられている。
なお、例えばアルコール類や一酸化炭素などのような炭素と酸素とを含有する化合物は、原料ガスとしても触媒賦活物質としても作用し得る。例えば、これらは、分解して炭素源となりやすい原料ガス(例えば、エチレンなど)と併用する場合には、触媒賦活物質として作用すると推測される。一方、これらは、水などの活性が高い触媒賦活物質と併用する場合には、原料ガスとして作用するものと推測される。さらに、一酸化炭素などは、分解して生じる炭素原子がCNTの成長反応の炭素源となる一方で、酸素原子がアモルファスカーボンおよびグラファイトなどを酸化してガス化する触媒賦活物質としても作用するものと推測される。
そして、成長工程では、CNT合成用触媒および原料ガスは、その両方を加熱することが好ましい。
また、加熱する温度は、CNTの成長が可能な温度であればよいが、好ましくは400℃以上1100℃以下であり、より好ましくは600℃以上900℃以下である。上記温度範囲内であれば、触媒賦活物質の効果を良好に発現させることができ、かつ、触媒賦活物質が生成したCNTと反応することを抑制できる。
更に、成長工程における圧力は、102Pa以上107Pa(100大気圧)以下が好ましく、104Pa以上3×105Pa(3大気圧)以下が更に好ましい。
また、成長工程における原料ガス雰囲気は、高炭素濃度環境であることが好ましい。高炭素濃度環境とは、全流量に対する原料ガスの割合が2〜20%程度であることをいう。特に触媒賦活物質存在下においては、触媒活性が著しく向上するため、高炭素濃度環境化においても、CNT合成用触媒は活性を失わず、長時間のCNTの成長が可能となると共に、成長速度が著しく向上する。
なお、上述した成長工程では、触媒基材または触媒基材の集合体のCNT成長実効面積を400cm2以上とし、且つ、触媒基材の触媒担持層を窒化アルミニウムで形成しているので、合成されるCNTの品質を低下させることなく、例えば18g/時間以上、好ましくは36g/時間以上の速度でCNTを大量に製造することができる。
(カーボンナノチューブの品質)
そして、上述した成長工程では、例えば以下に挙げる性状の少なくとも一つを満たすような高品質なCNTの配向集合体が得られる。
<構造>
CNTは、単層から5層までのカーボンナノチューブであることが好ましく、単層カーボンナノチューブであることがより好ましい。
<サイズ>
CNTの平均直径は、0.5nm以上であることが好ましく、1nm以上であることが更に好ましく、また、15nm以下であることが好ましく、10nm以下であることが更に好ましい。
また、CNTは、合成時における構造体の平均長さが100μm以上5000μm以下であることが好ましく、300μm以上2000μm以下であることがより好ましい。
<比表面積>
CNTのBET比表面積は、CNTが主として未開口のものにあっては、好ましくは600m2/g以上であり、より好ましくは、800m2/g以上である。BET比表面積が高いほど、金属などの不純物または炭素不純物の量を低く抑えることができる。
<G/D比>
CNTのG/D比は、好ましくは1以上20以下である。ここで、G/D比とはCNTの品質を評価するのに一般的に用いられている指標である。ラマン分光装置によって測定されるCNTのラマンスペクトルには、Gバンド(1600cm-1付近)とDバンド(1350cm-1付近)と呼ばれる振動モードが観測される。GバンドはCNTの円筒面であるグラファイトの六方格子構造由来の振動モードであり、Dバンドは非晶箇所に由来する振動モードである。よって、Dバンドピーク強度に対するGバンドピーク強度の比(G/D比)が高いものほど、結晶性の高いCNTと評価できる。
<面積密度>
触媒基材の触媒層上のCNT配向集合体の面積密度(触媒層の単位面積当たりの合成量)は、0.4mg/cm2以上10mg/cm2以下であることが好ましい。
<炭素純度>
CNTの炭素純度は、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましい。
<t−プロット>
また、CNTは、未開口であり、且つ、吸着等温線から得られるt−プロットが上に凸な形状を示すのが好ましい。ここで、t−プロットは、CNTについて窒素ガス吸着法で測定された吸着等温線において、相対圧を窒素ガス吸着層の平均厚みt(nm)に変換することによって得られる(de Boerらによるt−プロット法)。そして、t−プロットが上に凸な形状であることは、CNTの全比表面積に対する内部比表面積の割合が大きく、CNTの側壁に多数の開口が形成されていることを示す。
更に、上述した形状のt−プロットを示すCNTは、t−プロットの屈曲点が、0.2≦t(nm)≦1.5の範囲にあることがより好ましく、0.45≦t(nm)≦1.5の範囲にあることが更に好ましく、0.55≦t(nm)≦1.0の範囲にあることが特に好ましい。また、CNTの全比表面積S1に対する内部比表面積S2の割合(S2/S1)は、0.05≦S2/S1≦0.30を満たすのが好ましい。
なお、吸着等温線やt−プロットの作成、および、t−プロットの解析に基づく全比表面積S1および内部比表面積S2の算出は、例えば、市販の測定装置である「BELSORP(登録商標)−mini」(日本ベル(株)社製)を用いて行うことができる。
(カーボンナノチューブ配向集合体の製造装置)
そして、上述した本発明に係るカーボンナノチューブ配向集合体の製造方法を用いたカーボンナノチューブ配向集合体の製造は、特に限定されることなく、成長工程を実施可能な成長炉を備える既知の製造装置を用いて実施することができる。具体的には、カーボンナノチューブ配向集合体の製造装置としては、例えば、図1に示すような回分式の製造装置や、図2に示すような連続式の製造装置を用いることができる。
<カーボンナノチューブ配向集合体の製造装置の一例>
ここで、図1に示す製造装置10は、成長炉13、加熱器14、ガス導入口15、および、ガス排出口16を備えている。そして、製造装置10では、CNTを成長させる触媒基材12を成長炉13内に搬入した後、ガス導入口15から必要なガスの供給等を行ないつつ、一つの炉(成長炉13)内でフォーメーション工程および成長工程が実施される。
なお、図1では、カーボンナノチューブ成長実効面積が400cm2以上の平板状の触媒基材12を一枚のみ成長炉13内に搬入した場合を示しているが、製造装置10内にはカーボンナノチューブ成長実効面積が400cm2以上となるように触媒基材の集合体を搬入してもよい。
<カーボンナノチューブ配向集合体の製造装置の他の例>
また、図2に示す製造装置100は、入口パージ部1、フォーメーションユニット2、ガス混入防止手段101〜103、成長ユニット3、冷却ユニット4、出口パージ部5、搬送ユニット6、および、接続部7〜9を備えている。そして、製造装置100では、CNTを成長させる触媒基材20を搬送ユニット6で搬送しつつ、フォーメーションユニット2を通過する触媒基材20に対してフォーメーション工程を実施し、成長ユニット3を通過する触媒基材20に対して成長工程を実施し、冷却ユニット4を通過する触媒基材20に対して冷却工程を実施する。
なお、図2では、カーボンナノチューブ成長実効面積が400cm2以上の平板状の触媒基材20を所定の間隔を空けて断続的に各ユニット内に搬入した場合を示しているが、製造装置100では、カーボンナノチューブ成長実効面積が400cm2以上となるように穴あき容器等に収容した複数の触媒基材の集合体を所定の間隔を空けて断続的に搬入してもよい。
ここで、製造装置100において、入口パージ部1は、パージガスを上下からシャワー状に噴射するガスカーテン構造を有し、入口からフォーメーションユニット2内に外部の空気が混入することを防止している。なお、パージガスとしては不活性ガスを用いることができる。そして、安全性、コスト、および、パージ性等の点からは、パージガスは窒素であることが好ましい。
また、フォーメーションユニット2は、還元ガスを保持するためのフォーメーション炉2aと、還元ガスをフォーメーション炉2a内に噴射するための還元ガス噴射部2bと、触媒および還元ガスの少なくとも一方を加熱するためのヒーター2cと、フォーメーション炉2a内のガスを排気するための排気フード2dとにより構成されている。
更に、成長ユニット3は、成長工程を実現するための装置一式であり、触媒基材20の周囲の環境を原料ガス環境に保持する炉である成長炉3aと、原料ガスを触媒基材20上に噴射するための原料ガス噴射部200と、触媒および原料ガスの少なくとも一方を加熱するためのヒーター3bと、成長炉3a内のガスを排気するための排気フード3cとを含んでいる。また、成長ユニット3は、触媒賦活物質を供給するための触媒賦活物質噴射部(図示せず)を有していてもよい。なお、原料ガス噴射部200は、触媒賦活物質噴射部を兼ねていてもよい。
ここで、成長ユニット3では、原料ガス噴射部200から噴射される全ガス流量と、排気フード3cから排気される全ガス流量は、ほぼ同量または同量であることが好ましい。このようにすることで、原料ガスが成長炉3a外へ流出すること、および、成長炉3a外のガスが成長炉3a内に流入することを防止できる。
搬送ユニット6は、複数の触媒基材20をCNT製造装置100内に所定の間隔を空けて断続的に搬入するための装置一式であり、メッシュベルト6aとベルト駆動部6bとを備えている。触媒基材20は、搬送ユニット6によって、フォーメーションユニット2、成長ユニット3、および、冷却ユニット4の順に搬送されるようになっている。
接続部7〜9は、各ユニットの炉内空間を空間的に接続し、触媒基材20がユニットからユニットへ搬送されるときに、触媒基材20が外気に曝されることを防ぐ。接続部7〜9としては、例えば、触媒基材20の周囲環境と外気とを遮断し、触媒基材20をユニットからユニットへ通過させることができる炉またはチャンバなどが挙げられる。
また、接続部7〜9には、ガス混入防止手段101〜103が設けられている。そして、ガス混入防止手段101〜103は、各ユニットの炉内空間に存在するガスが、相互に混入することを防ぐ。そして、ガス混入防止手段101〜103は、各炉における触媒基材20の入口および出口の開口面に沿ってシールガスを噴出するシールガス噴射部101b〜103bと、主に噴射されたシールガス(およびその他近傍のガス)を各炉内に入らないように吸引して装置外に排気する排気部101a〜103aとを、それぞれ少なくとも1つ以上備えている。
なお、シールガスは、不活性ガスであることが好ましく、特に安全性、コストなどの点から窒素であることがより好ましい。また、シールガス噴射部101b〜103bから噴射される全ガス流量と排気部101a〜103aから排気される全ガス流量とはほぼ同量であることが好ましい。これによって、ガス混入防止手段101〜103を挟んだ両側の空間からのガスが相互に混入することを防止するとともに、シールガスが両側の空間に流出することも防止することが可能になる。
冷却ユニット4は、成長工程後のCNTおよび触媒基材20を冷却する機能を有し、不活性ガスを保持するための冷却炉4a、冷却炉4a内空間に不活性ガスを噴射する冷却ガス噴射部4b、および、冷却炉4a内空間を囲むように配置した水冷冷却管4cにより構成されている。
出口パージ部5は、パージガスを上下からシャワー状に噴射することで、出口から冷却炉4a内に外部の空気が混入することを防止している。なお、パージガスとしては不活性ガスを用いることができる。そして、安全性、コスト、および、パージ性等の点からは、パージガスは窒素であることが好ましい。
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例、比較例および参考例において製造したCNTの性状およびCNTの製造に用いた触媒基材の性状は、以下の方法を使用して評価した。
(比表面積)
CNTの比表面積は、測定装置として「BELSORP(登録商標)−mini」(日本ベル(株)製)を使用し、液体窒素温度(77K)での窒素吸脱着等温線を測定してBET法により算出した。
(G/D比)
CNTのG/D比は、顕微レーザラマンシステム(サーモフィッシャーサイエンティフィック(株)製、NicoletAlmega XR)を使用し、触媒基材の中心部付近から採取したCNTを用いて測定した。
(平均直径)
CNTを透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、得られたTEM画像から50本のCNTの直径(外径)を測定した。そして、測定した直径の算術平均値をCNTの平均直径とした。
(炭素純度)
CNTの炭素純度は、熱重量分析装置(TG)を使用し、CNTを空気中で800℃まで1℃/分の速度で昇温して、以下の式より算出した。
炭素純度(質量%)=(800℃に到達するまでに燃えて減少した質量/初期質量)×100
(算術平均粗さ)
基板の算術平均粗さRaは、レーザ顕微鏡(キーエンス製VK−9700)を用いて、対物倍率50倍で測定した。
(触媒微粒子観察および元素分析)
触媒基材上に合成したカーボンナノチューブを剥離して除去した後、触媒基材の表面をエタノールで洗浄して観察用サンプルを調製した。そして、観察用サンプルについて、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて触媒微粒子の観察を行った。また、走査型電子顕微鏡に付属しているエネルギー分散型元素分析装置を使用し、観察用サンプルの表面の元素分析を行った。なお、SEMとしては、カールツァイス社製のULTRA55を用いた。
(カーボンナノチューブ観察)
得られたカーボンナノチューブをエタノール中に入れ、超音波処理を施して分散させた。次に、得られた分散液を透過型電子顕微鏡観察用グリッドに滴下して乾燥させ、観察用サンプルを調製した。そして、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察を行った。なお、TEMとしては、トプコン社製のEM−002Bを用いた。
(実施例1)
<触媒基材の調製>
平板状の基材(基板)として、横200mm×縦200mm、厚さ0.6mmのFe−Cr合金(JFEスチール株式会社製、SUS430、Cr:18質量%)の平板を用意した。なお、レーザ顕微鏡を用いて基板の複数個所の表面粗さを測定したところ、算術平均粗さRaは0.063μmであった。
次に、スパッタリング装置に基板を設置し、アルミニウムターゲットを使用し、アルゴンガス30sccmおよび窒素ガス50sccmの混合ガスを導入して圧力0.5Paの雰囲気下で反応性スパッタリング(DC電源5.0kW)を行った。そして、基板上に膜厚40nmの窒化アルミニウム膜(触媒担持層)を形成した。
最後に、窒化アルミニウム膜を形成した基板をスパッタリング装置に設置し、鉄ターゲットを使用し、窒素ガス20sccmを導入して、圧力0.5Paの雰囲気下でスパッタリング(DC電源0.4kW)を行った。これにより、窒化アルミニウム膜(触媒担持層)上に膜厚2nm、面積400cm2の鉄膜(触媒層)が形成された触媒基材を得た。
<CNTの製造>
図2に示すような連続式の製造装置を使用し、上述した触媒基材(CNT成長実効面積:400cm2)に対してフォーメーション工程、成長工程および冷却工程を連続的に行なうことでCNT配向集合体を製造した。なお、メッシュベルトの搬送速度は一定とし、CNT製造時の各部の条件は下記表1の通りに設定した。ここで、表1において、空欄部分は設定していないことを示している。
そして、得られたCNTの性状およびCNTの製造に用いた触媒基材の性状を評価した。また、触媒基材の触媒層の単位面積当たりのCNT合成量を測定した。
実施例1において得られたCNTは、比表面積が1100m2/gであり、G/D比が3.0であり、平均直径が4.4nmであり、炭素純度が99.9質量%であった。また、触媒層の単位面積当たりのCNT合成量は1.2mg/cm2であり、CNTの生産速度は54g/時間であった。更に、CNTのTEM像を図4に示すように、生成したCNTは主に単層CNTであることが確認された。
また、触媒基材の触媒微粒子は、図3にSEM像を示すように、微粒子化していることが確認された。また、触媒基材の表面の元素分析の結果、アルミニウムと窒素との元素比率(モル比)は、1:1.8であった。
(比較例1)
<触媒基材の調製>
実施例1と同様の基板をスパッタリング装置に設置し、アルミニウムターゲットを使用し、アルゴンガス30sccmおよび酸素ガス50sccmの混合ガスを導入して、圧力0.5Paの雰囲気下で反応性スパッタリング(DC電源5.0kW)を行った。そして、基板上に膜厚40nmの酸化アルミニウム膜(触媒担持層)を形成した。
続いて、酸化アルミニウム膜を形成した基板をスパッタリング装置に設置し、鉄ターゲットを使用し、窒素ガス20sccmを導入して、圧力0.5Paの雰囲気下でスパッタリング(DC電源0.4kW)を行った。これにより、酸化アルミニウム膜(触媒担持層)上に膜厚2nm、面積400cm2の鉄膜(触媒層)が形成された比較例触媒基材1を得た。
<CNTの製造>
比較例触媒基材1を用いた以外は実施例1と同様にして、CNTを製造し、評価を行った。
比較例1において得られたCNTは、比表面積が560m2/gであり、G/D比が0.9であり、平均直径が6.3nmであり、炭素純度が99.9質量%であった。また、触媒層の単位面積当たりのCNT合成量は0.3mg/cm2であり、CNTの生産速度は13.5g/時間であった。更に、CNTのTEM像を図6に示すように、生成したCNTは主に2層CNTであることが確認された。
また、比較例触媒基材1の触媒微粒子は、図5にSEM像を示すように、実施例1の微粒子化された触媒微粒子(図3)と比較して、粗大であることが確認された。また、比較例触媒基材1の表面の元素分析の結果、アルミニウムと酸素の元素比率(モル比)は、1:1.7であった。
(比較例2)
実施例1と同様の基板をスパッタリング装置に設置し、酸化アルミニウムターゲットを使用し、アルゴンガス30sccmを導入して、圧力0.5Paの雰囲気下でスパッタリング(RF電源5.0kW)を行った。そして、基板上に膜厚40nmの酸化アルミニウム膜(触媒担持層)を形成した。
続いて、酸化アルミニウム膜を形成した基板をスパッタリング装置に設置し、鉄ターゲットを使用し、窒素ガス20sccmを導入して、圧力0.5Paの雰囲気下でスパッタリング(DC電源0.4kW)を行った。これにより、酸化アルミニウム膜(触媒担持層)上に膜厚2nm、面積400cm2の鉄膜(触媒層)が形成された比較例触媒基材2を得た。
<CNTの製造>
比較例触媒基材2を用いた以外は実施例1と同様にして、CNTを製造し、評価を行った。
比較例2において得られたCNTは、比表面積が640m2/gであり、G/D比が1.2であり、炭素純度が99.9質量%であった。また、触媒層の単位面積当たりのCNT合成量は0.3mg/cm2であり、CNTの生産速度は13.5g/時間であった。
なお、比較例2においてはSEMおよびTEMを用いた観察および評価は行わなかった。
(参考例1)
<触媒基材の調製>
平板状の基材(基板)として、横40mm×縦40mm、厚さ0.6mmのFe−Cr合金(JFEスチール株式会社製、SUS430、Cr:18質量%)の平板を用いた以外は実施例1と同様にして、窒化アルミニウム膜(触媒担持層)上に膜厚2nm、面積16cm2の鉄膜(触媒層)が形成された参考例触媒基材1を調製した。
<CNTの製造>
図1に示すような回分式の製造装置を使用し、上述した参考例触媒基材1(CNT成長実効面積:16cm2)に対してフォーメーション工程と成長工程とを順次行なうことでCNT配向集合体を製造した。なお、CNT製造時の条件は下記表2の通りに設定した。
参考例1において得られたCNTは、比表面積が1120m2/gであり、G/D比が4.6であり、炭素純度が99.9質量%であった。また、触媒層の単位面積当たりのCNT合成量は1.5mg/cm2であり、CNTの生産速度は0.024g/時間であった。
なお、参考例1においてはSEMおよびTEMを用いた観察および評価は行わなかった。
(参考例2)
<触媒基材の調製>
平板状の基材(基板)として、横40mm×縦40mm、厚さ0.6mmのFe−Cr合金(JFEスチール株式会社製、SUS430、Cr:18質量%)の平板を用いた以外は比較例1と同様にして、酸化アルミニウム膜(触媒担持層)上に膜厚2nm、面積16cm2の鉄膜(触媒層)が形成された参考例触媒基材2を調製した。
<CNTの製造>
上述した参考例触媒基材2を用いた以外は参考例1と同様にして、CNTを製造し、評価を行った。
参考例2において得られたCNTは、比表面積が910m2/gであり、G/D比が2.3であり、炭素純度が99.9質量%であった。また、触媒層の単位面積当たりのCNT合成量は0.9mg/cm2であり、CNTの生産速度は0.014g/時間であった。
なお、参考例2においてはSEMおよびTEMを用いた観察および評価は行わなかった。
(参考例3)
<触媒基材の調製>
平板状の基材(基板)として、横40mm×縦40mm、厚さ0.6mmのFe−Cr合金(JFEスチール株式会社製、SUS430、Cr:18質量%)の平板を用いた以外は比較例2と同様にして、酸化アルミニウム膜(触媒担持層)上に膜厚2nm、面積16cm2の鉄膜(触媒層)が形成された参考例触媒基材3を調製した。
<CNTの製造>
上述した参考例触媒基材3を用いた以外は参考例1と同様にして、CNTを製造し、評価を行った。
参考例3において得られたCNTは、比表面積が1150m2/gであり、G/D比が4.8であり、炭素純度が99.9質量%であった。また、触媒層の単位面積当たりのCNT合成量は1.6mg/cm2であり、CNTの生産速度は0.026g/時間であった。
なお、参考例3においてはSEMおよびTEMを用いた観察および評価は行わなかった。
比較例1〜2および参考例2〜3より、酸化アルミニウムよりなる触媒担持層を有する触媒基材を用いた場合、参考例2〜3のような40mm角の小型の触媒基材では比表面積の大きい高品質なCNTを高収量で合成できるが、比較例1〜2のような200mm角の大型の触媒基材では収量および比表面積の双方が大幅に低下することが分かる。また、実施例1および参考例1より、窒化アルミニウムよりなる触媒担持層を有する触媒基材を用いれば、200mm角の大型の触媒基材とした場合であっても、比表面積の大きい高品質なCNTを高収量で合成できることが分かる。
本発明によれば、触媒基材の単位面積当たりのCNTの収量を低下させることなく高品質なCNTを大量に製造することができる。
1 入口パージ部
2 フォーメーションユニット
3 成長ユニット
4 冷却ユニット
5 出口パージ部
6 搬送ユニット
7〜9 接続部
10 製造装置
12 基材
13 成長炉
14 加熱器
15 ガス導入口
16 ガス排出口
100 CNT製造装置
101〜103 ガス混入防止手段

Claims (6)

  1. 平板状の触媒基材または平板状の触媒基材の集合体を成長炉に搬入する工程と、前記成長炉内で化学気相成長法により前記触媒基材上にカーボンナノチューブ配向集合体を成長させる工程とを含むカーボンナノチューブ配向集合体の製造方法であって、
    前記成長炉に搬入される前記触媒基材または触媒基材の集合体は、カーボンナノチューブ成長実効面積が400cm以上であり、
    前記触媒基材は、基材上に形成された窒化アルミニウムからなる触媒担持層と、前記触媒担持層上に担持されたカーボンナノチューブ合成用触媒からなる触媒層とを有する、カーボンナノチューブ配向集合体の製造方法。
  2. 前記窒化アルミニウムからなる触媒担持層が物理的気相蒸着法または化学気相蒸着法により形成されたものである、請求項1に記載のカーボンナノチューブ配向集合体の製造方法。
  3. 前記窒化アルミニウムからなる触媒担持層が反応性スパッタリング法により形成されたものである、請求項2に記載のカーボンナノチューブ配向集合体の製造方法。
  4. 前記触媒担持層の厚さが10nm以上100nm以下である、請求項1〜3のいずれかに記載のカーボンナノチューブ配向集合体の製造方法。
  5. 前記触媒層の厚さが1nm以上10nm以下である、請求項1〜4のいずれかに記載のカーボンナノチューブ配向集合体の製造方法。
  6. 前記成長炉内において、触媒賦活物質の存在下で化学気相成長法により前記触媒基材上にカーボンナノチューブ配向集合体を成長させる、請求項1〜5のいずれかに記載のカーボンナノチューブ配向集合体の製造方法。
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