JP6519485B2 - カーボンナノチューブ、カーボンナノチューブ集合体およびカーボンナノチューブ集合体の製造方法 - Google Patents

カーボンナノチューブ、カーボンナノチューブ集合体およびカーボンナノチューブ集合体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、カーボンナノチューブ、カーボンナノチューブ集合体およびカーボンナノチューブ集合体の製造方法に関する。
カーボンナノチューブ(CNT)は、電気伝導性、熱伝導性などの種々の特性に優れ、様々な分野で注目されている材料である。そしてCNTは、グラファイトを丸めて円筒状とした構造を有し、その内部には空間が存在している。この内部空間を活用し、CNTの潜在的な特性を引き出すための検討が従来からされている。CNTの内部空間を活用する方法としては、例えばCNTの先端を開口させる方法、CNTの側壁を開口させる方法が挙げられる。
例えば特許文献1には、先端を開口させたCNTを成長させる技術が記載されている。そして例えば特許文献2には、酸化によって単層カーボンナノチューブ(単層CNT)の先端や側壁に穴をあける開口処理を行い、比表面積を増大させる技術が記載されている。
特開2007− 84431号公報 特開2011−207758号公報
これらの従来技術は、いずれもCNTの内部空間と外部とを繋ぐ開口を形成することで、CNTの比表面積を増大させうる。そしてCNTの比表面積を増大させることにより、物質やエネルギーの保存性、エネルギー伝達性、およびエネルギー分散性といった諸特性を向上させることができる。
このように、CNTの内部空間を活用する技術は、幅広く検討されている。一方、内部空間の断面形状を変更することで、該内部空間の活用を図る技術については、その検討が十分なされていなかった。
そこで、本発明は、特定の断面形状を備えることで、その内部空間を活用可能なカーボンナノチューブ、および当該カーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブ集合体(CNT集合体)を提供することを目的とする。
また、本発明は、特定の断面形状を備えることで、その内部空間を活用可能なカーボンナノチューブを製造しうる、カーボンナノチューブ集合体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を行った。そして、本発明者は、原料ガスを触媒に供給し、化学気相成長法(CVD法)によってCNTを成長させる方法において、触媒を備える基材(触媒基材)を特定の工程を経て製造することで、従来にはない特殊な断面形状を備えるCNTを製造することができることを新たに見出し、本発明を完成させた。
上記知見に基づき完成した本発明の要旨構成は以下のとおりである。
本発明のカーボンナノチューブは、少なくとも一部が潰れた構造を有することを特徴とする。
ここで、本発明のカーボンナノチューブは、単層構造であることが好ましい。
また、本発明のカーボンナノチューブは、フラーレン挿入処理によりフラーレンが挿入されない部分を有することが好ましい。
さらに、本発明のカーボンナノチューブは、潰れた部分の平均幅長が5nm以上9nm以下であることが好ましい。
そして、本発明のカーボンナノチューブ集合体は、上述のカーボンナノチューブを含む。
ここで、本発明のカーボンナノチューブ集合体は、潰れた構造の含有率が5%以上であることが好ましい。
さらに、本発明のカーボンナノチューブ集合体は、BET比表面積が600m/g以上であることが好ましい。
また、本発明のカーボンナノチューブ集合体の製造方法は、アルミニウム化合物を含む塗工液Aを基材上に塗布する工程、前記塗工液Aを乾燥し、前記基材上にアルミニウム薄膜を形成する工程、前記アルミニウム薄膜の上に、鉄化合物を含む塗工液Bを塗布する工程、前記塗工液Bを50℃以下で乾燥し、前記アルミニウム薄膜上に鉄薄膜を形成することで触媒基材を得る工程、および、前記触媒基材に原料ガスを供給し、前記触媒基材上にカーボンナノチューブを成長させる工程、を備えることを特徴とする。
また、本発明のカーボンナノチューブ集合体は、上述の製造方法で製造されることを特徴とする。
本発明によれば、特定の断面形状を備えることで、その内部空間を活用可能なカーボンナノチューブ、および当該カーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブ集合体を提供することができる。
また、本発明によれば、特定の断面形状を備えることで、その内部空間を活用可能なカーボンナノチューブを製造しうる、カーボンナノチューブ集合体の製造方法を提供することができる。
フラーレン挿入処理後の潰れた構造を有するCNTのTEM画像である。 実施例2のCNTの、フラーレン挿入処理後のTEM画像である。 比較例1のCNTの、フラーレン挿入処理後のTEM画像である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
ここで、本発明のカーボンナノチューブは、少なくとも一部が潰れた構造を有することを大きな特徴の1つとする。(以下、少なくとも一部が潰れた構造を有するカーボンナノチューブを「潰れたCNT」と称することがある。)また、本発明のカーボンナノチューブ集合体は、複数本のCNTを含んでなり、複数本のCNTのうちの少なくとも一本が、上述の潰れたCNTである。そして、本発明のカーボンナノチューブ集合体の製造方法は、少なくとも一部が潰れた構造を有する本発明のカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブ集合体の製造に用いられる。
(カーボンナノチューブ)
本発明のカーボンナノチューブは、少なくとも一部が潰れた構造を有する。ここでCNTが「潰れた構造を有する」とは、CNTとフラーレン(C60)を石英管に密封し、減圧下で加熱処理(フラーレン挿入処理)し得られるフラーレン挿入CNTを透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した際、CNT中に、フラーレンが挿入されない部分を有することをいう。
例えば図1のTEM画像において、矢印で示す箇所付近は、CNTの幅方向(CNTの延在方向に直交する方向)両端部にフラーレンが挿入されており、両端部以外にはフラーレンが挿入されていない。従って、該CNTは、フラーレンが挿入されていない部分が潰れており、潰れた構造を有することがわかる。
なお、「少なくとも一部が潰れた構造を有するCNT」は、1本のCNT内に一つの「潰れた構造」が存在してもよく、複数の「潰れた構造」が存在していてもよい。
「少なくとも一部が潰れた構造を有する」カーボンナノチューブとしては、グラフェンを丸めてなる筒状体であって、該筒状体の延在方向(軸線方向)に直交する断面形状の少なくとも一部が、非円形であるカーボンナノチューブが好ましい。また、該断面形状は、断面長手方向のそれぞれの両端部近傍における、断面長手方向に直交する方向の最大幅が、いずれも、断面長手方向の中央部近傍における、断面長手方向に直交する方向の最大幅よりも大きい形状であることがより好ましく、ダンベル状(断面長手中央部が潰れている形状)であることが特に好ましい。
ここで、潰れたCNTの断面形状において、「断面長手方向の中央部近傍」とは、断面の長手中心線(長手方向中心を通り、長手方向軸線に直交する直線)から、断面の長手方向幅の30%以内の領域をいい、「断面長手方向の両端部近傍」とは、「断面長手方向の中央部近傍」の長手方向外側の領域をいう。
なお、本発明者の研究によれば、潰れたCNTは、その合成時から少なくとも一部が潰れた構造を有しており、円筒状構造を有する通常のカーボンナノチューブや、合成時には潰れた構造を有さず、円筒状構造で形成された後に構造的変形を生じさせてなるカーボンナノチューブとは大きく異なった性質を有していると推察される。即ち、本発明の潰れたCNTは、上述した「潰れた構造」を有するように、炭素原子同士がSP結合してなる六員環ネットワークが形成された物質であると推察され、公知のいずれの炭素よりなる構造体とも異なる新規物質であると考えられる。
そして、「潰れた構造を有する」ことで、潰れたCNTの内部空間も従来のCNTとは異なる構造となる。このような潰れた構造を有するCNTを含むCNT集合体は、当該CNT集合体を任意の形状に加工して得られるカーボンナノチューブ成形物(CNT成形物)の密度を向上させることができ、当該CNT成形物の電気特性や熱特性などを改善することができると考えられる。
また、本発明の潰れたCNTは、特に限定されることなく、単層構造であっても多層構造であってもよいが、単層構造であることが好ましい。すなわち、本発明の潰れたCNTは、単層カーボンナノチューブであることが好ましい。
(カーボンナノチューブ集合体)
上述した潰れたCNTを含んでなるCNT集合体において、CNTの潰れた構造の含有率は、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、更に好ましくは20%以上、特に好ましくは30%以上である。潰れた構造の含有率が5%以上であれば、各種特性に優れるCNT成形物を得ることができる。
なお、本発明においてCNT集合体の「潰れた構造の含有率」は、透過型電子顕微鏡を用いて任意のカーボンナノチューブ100本を観察し、その100本中、上記潰れたCNTの数を数えることで求めることができる。
ここで、CNTの潰れた部分(フラーレン挿入処理時にフラーレンが挿入されない部分)の平均幅長は、5nm以上9nm以下であることが好ましい。CNTの潰れた部分の平均幅長が5nm以上9nm以下であれば、潰れたCNTを含むCNT集合体のBET比表面積を大きくできるので好適である。
なお、本発明において、「CNTの潰れた部分の平均幅長」は、透過型電子顕微鏡を用いて、任意の潰れた構造を有するCNT10本の潰れた部分のCNT幅方向の長さを測定し、それらの算術平均値と定義する。また、潰れたCNTの幅方向の長さは1nm以上10nm以下の範囲内に分布することが好ましい。
そして、本発明のCNT集合体のBET比表面積は、好ましくは600m/g以上、より好ましくは800m/g以上であり、好ましくは1400m/g以下、より好ましくは1200m/g以下である。CNT集合体のBET比表面積が600m/g以上であれば、潰れた構造の含有率を上げることができる。そして、CNT集合体を用いて得られるCNT成形物に優れた特性(電気特性や熱特性など)を発揮させることが出来ると考えられる。また、潰れた構造のCNTの生産効率を考慮すると、CNT集合体のBET比表面積の上限としては1400m/g以下が好適である。
なお、「BET比表面積」とは、BET法を用いて測定した比表面積を指し、具体的には、77Kにおける窒素吸着等温線を測定し、BET法により求めることができる。ここで、BET比表面積の測定には、例えば、「BELSORP(登録商標)−max」(日本ベル(株)製)を用いることができる。
また、本発明のCNT集合体は、ラマンスペクトルにおけるDバンドピーク強度に対するGバンドピーク強度の比(G/D比)が1以上であることが好ましく、50以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましい。10以下であることにより、非晶箇所が多く存在していることを示している。G/D比とはCNTの品質を評価するのに一般的に用いられている指標である。ラマン分光装置によって測定されるCNTのラマンスペクトルには、Gバンド(1600cm−1付近)とDバンド(1350cm−1付近)と呼ばれる振動モードが観測される。Gバンドはグラファイトの六方格子構造由来の振動モードであり、Dバンドは非晶箇所に由来する振動モードである。GバンドとDバンドのピーク強度比(G/D比)が高いものほど、結晶性の高いCNTと評価できる。
本発明のCNT集合体は、通常、その製造時に触媒基材の上にCNT配向集合体として得られるが、製造時における高さ(長さ)が100μm以上5000μm以下であることが好ましい。
本発明のCNT集合体の炭素純度は、精製処理を行わなくても、好ましくは98質量%以上、より好ましくは99質量%以上、さらに好ましくは99.9質量%以上である。このような炭素純度は、例えば後述する「カーボンナノチューブの製造方法」を採用することで、精製処理を行わずとも達成可能である。精製処理を行わない場合には、成長直後での炭素純度が最終品の純度となる。所望により、精製処理を行ってもよい。なお、炭素純度は、蛍光X線を用いた元素分析により求めることができる。
(カーボンナノチューブ集合体の製造方法)
次に、本発明のカーボンナノチューブ集合体の製造方法(CNT集合体の製造方法)について説明する。本発明のCNT集合体の製造方法は、CVD法を採用するものであり、詳しくは、
(1)アルミニウム化合物を含む塗工液Aを基材上に塗布する工程、
(2)前記塗工液Aを乾燥し、前記基材上にアルミニウム薄膜を形成する工程、
(3)前記アルミニウム薄膜の上に、鉄化合物を含む塗工液Bを塗布する工程、(4)前記塗工液Bを50℃以下で乾燥し、前記アルミニウム薄膜上に鉄薄膜を形成することで触媒基材を得る工程、および、
(5)前記触媒基材に原料ガスを供給し、前記触媒基材上にカーボンナノチューブを成長させる工程(成長工程)、
を少なくとも備える。なお、以下では、(1)と(2)の二工程を併せて「触媒担持層形成工程」と、(3)と(4)の二工程を併せて「触媒層形成工程」と称する。
そして、本発明のCNT集合体の製造方法によれば、ウェットプロセスにより触媒基材を作製し、かつ、乾燥により触媒層を得る際の乾燥温度が50℃以下であるため、製造当初より潰れたCNTを含むCNT集合体を製造することができる。
<触媒担持層形成工程>
まず、アルミニウム化合物を含む塗工液Aを基材上に塗布し、該塗工液を乾燥することで、基材上にアルミニウム薄膜を形成する。このようにして基材上に形成されたアルミニウム薄膜は、その上に後述の鉄薄膜(触媒層)を担持する、触媒担持層として機能する。
[基材]
触媒基材に用いる基材は、例えば平板状の部材であり、500℃以上の高温でも形状を維持できるものが好ましい。具体的には、鉄、ニッケル、クロム、モリブデン、タングステン、チタン、アルミニウム、マンガン、コバルト、銅、銀、金、白金、ニオブ、タンタル、鉛、亜鉛、ガリウム、インジウム、ゲルマニウム、及びアンチモンなどの金属、並びにこれらの金属を含む合金及び酸化物、又はシリコン、石英、ガラス、マイカ、グラファイト、及びダイヤモンドなどの非金属、並びにセラミックなどが挙げられる。金属材料はシリコン及びセラミックと比較して、低コスト且つ加工が容易であるから好ましく、特に、Fe−Cr(鉄−クロム)合金、Fe−Ni(鉄−ニッケル)合金、Fe−Cr−Ni(鉄−クロム−ニッケル)合金などは好適である。
基材の厚さに特に制限はなく、例えば数μm程度の薄膜から数cm程度までのものを用いることができる。好ましくは、0.05mm以上3mm以下である。
基材の面積は特に制限はなく、好ましくは20cm以上、より好ましくは30cm以上である。基材の形状は特に限定されないが、長方形または正方形とすることができる。
[塗工液A]
塗工液Aは、アルミニウム化合物を有機溶剤に溶解又は分散させたものである。塗工液Aに含まれるアルミニウム化合物は、アルミニウム原子を含む化合物であれば特に限定されないが、アルミニウム薄膜としてアルミナ薄膜を形成しうる金属有機化合物、金属塩が好ましい。
アルミナ薄膜を形成しうる金属有機化合物としては、例えば、アルミニウムトリメトキシド、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリ−n−プロポキシド、アルミニウムトリ−i−プロポキシド、アルミニウムトリ−n−ブトキシド、アルミニウムトリ−sec−ブトキシド、アルミニウムトリ−tert−ブトキシド等のアルミニウムアルコキシドが挙げられる。アルミニウムを含む金属有機化合物としては他に、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム(III)などの錯体が挙げられる。アルミナ薄膜を形成しうる金属塩としては、例えば、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、臭化アルミニウム、よう化アルミニウム、乳酸アルミニウム、塩基性塩化アルミニウム、塩基性硝酸アルミニウム等が挙げられる。これらのなかでも、アルミニウムアルコキシドを用いることが好ましい。これらは、単独あるいは混合物として用いることができる。
塗工液Aに含まれる有機溶剤としては、アルコール、グリコール、ケトン、エーテル、エステル類、炭化水素類等の種々の有機溶剤が使用できるが、金属有機化合物及び金属塩の溶解性が良いことから、アルコール又はグリコールを用いることが好ましい。これらの有機溶剤は単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。アルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどが、取り扱い性、保存安定性といった点で好ましい。
塗工液Aには、金属有機化合物及び金属塩の縮合重合反応を抑制するための安定剤を添加してもよい。安定剤としては、β−ジケトン類及びアルカノールアミン類からなる群より選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。β−ジケトン類ではアセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ベンゾイルアセトン、ジベンゾイルメタン、ベンゾイルトリフルオルアセトン、フロイルアセトンおよびトリフルオルアセチルアセトンなどがあるが、特にアセチルアセトン、アセト酢酸エチルを用いることが好ましい。アルカノールアミン類ではモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルアミノエタノール、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどがあるが、第2級又は第3級アルカノールアミンであることが好ましい。
塗工液A中のアルミニウム化合物の量は特に限定されないが、有機溶剤100ml当たり、好ましくは0.1g以上、より好ましくは0.5g以上であり、好ましくは30g以下、より好ましくは5g以下である。
また、塗工液A中の安定剤の量は特に限定されないが、有機溶剤100ml当たり、好ましくは0.01g以上、より好ましくは0.1g以上であり、好ましくは20g以下、より好ましくは3g以下である。
[塗布]
上述の塗工液Aを、基材上に塗布する。塗工液Aを基材上に塗布する方法は特に限定されないが、スプレー、ハケ塗り等により塗布する方法、スピンコーティング、ディップコーティング等、いずれの方法を用いてもよいが、生産性および膜厚制御の観点からディップコーティングが好ましい。
ディップコーティングは、基材を、塗布対象(ここでは、塗工液A)に一定時間浸漬し、その後引き上げることで、基材表面に塗布対象を塗布する方法である。
[乾燥]
そして、基材上の塗工液Aを乾燥し、基材上にアルミニウム薄膜(触媒担持層)を形成する。基材上の塗工液Aを乾燥する方法は特に限定されないが、室温での風乾、加熱(焼成処理)などが挙げられ、加熱が好ましい。加熱温度はおよそ50℃以上400℃以下が好ましく、350℃以下がより好ましい。加熱時間は5分以上60分以下が好ましく、40分以下がより好ましい。
<触媒層形成工程>
次に、触媒担持層形成工程で形成されたアルミニウム薄膜上に、鉄化合物を含む塗工液Bを塗布し、該塗工液を50℃以下で乾燥させ、前記アルミニウム薄膜上に鉄薄膜を形成する。この工程により、アルミニウム薄膜(触媒担持層)と鉄薄膜(触媒層)とを基材上に備えた、触媒基材を得ることができる。
[塗工液B]
塗工液Bは、鉄化合物を有機溶剤に溶解又は分散させたものである。塗工液Bに含まれる鉄化合物は、鉄原子を含む化合物であれば特に限定されないが、鉄薄膜を形成しうる金属有機化合物、金属塩が好ましい。
鉄薄膜を形成しうる金属有機化合物としては、例えば、鉄ペンタカルボニル、フェロセン、アセチルアセトン鉄(II)、アセチルアセトン鉄(III)、トリフルオロアセチルアセトン鉄(II)、トリフルオロアセチルアセトン鉄(III)等が挙げられる。鉄薄膜を形成しうる金属塩としては、例えば、硫酸鉄、硝酸鉄、リン酸鉄、塩化鉄、臭化鉄等の無機酸鉄、酢酸鉄、シュウ酸鉄、クエン酸鉄、乳酸鉄等の有機酸鉄等が挙げられる。これらのなかでも、有機酸鉄を用いることが好ましい。これらは、単独あるいは混合物として用いることができる。
塗工液Bに含まれる有機溶剤は、特に限定されず、上述の<触媒担持層形成工程>の項に記載した有機溶剤と同様のものを用いることができる。また、塗工液Bには、<触媒担持層形成工程>で上述した安定剤が含まれていてもよい。
塗工液B中の鉄化合物の量は特に限定されないが、有機溶剤100ml当たり、好ましくは0.05g以上、より好ましくは0.1g以上であり、好ましくは5g以下、より好ましくは1g以下である。
また、塗工液B中の安定剤の量は特に限定されないが、有機溶剤100ml当たり、好ましくは0.05g以上、より好ましくは0.1g以上であり、好ましくは5g以下、より好ましくは1g以下である。
[塗布]
塗工液Bを、アルミニウム薄膜上に塗布する方法は特に限定されず、上述の<触媒担持層形成工程>の項に記載した方法と同様のものを用いることができる。
<触媒担持層形成工程>における塗工液Aの塗布同様、塗工液Bの塗布方法としてはディップコーティングを用いることが好ましい。
そして、ディップコーティングを採用する場合、塗布対象である塗工液Bへの、アルミニウム薄膜付き基材の浸漬時間は、1秒間以上30秒間以下が好ましい。加えて、浸漬後、該基材を塗工液Bからの引き上げ速度は、1mm/秒以上5mm/秒以下が好ましい。引き上げ速度が、5mm/秒超であると、基材への塗工液Bの付着が十分でなく、得られるCNT集合体の潰れた構造の含有率が低下する虞があるからである。
[乾燥]
そして、アルミニウム薄膜上の塗工液Bを乾燥し、基材上に鉄薄膜を形成する。ここで、塗工液Bは、50℃以下で乾燥する必要があり、好ましくは40℃以下、より好ましくは30℃以下で乾燥する。乾燥温度が50℃超であると、続く成長工程において、潰れたCNTを含むCNT集合体を得ることができない。なお、乾燥温度の下限は特に限定されないが、通常10℃以上である。基材上の塗工液Bを乾燥する方法としては通常、室温での風乾が好ましい。乾燥温度が50℃以下であれば加熱により乾燥しても良いが、潰れたCNTを効率よく製造する観点からは風乾が好適である。
<フォーメーション工程>
本発明のCNTの製造方法において、成長工程の前にフォーメーション工程を行なうことが好ましい。フォーメーション工程とは、触媒の周囲環境を還元ガス(還元性を有するガス)環境とすると共に、触媒及び還元ガスの少なくとも一方を加熱する工程である。この工程により、触媒の還元、CNTの成長に適合した状態としての触媒の微粒子化促進、触媒の活性向上の少なくとも一つの効果が現れる。例えば、触媒基材が、アルミナ薄膜と鉄薄膜からなるアルミナ−鉄薄膜を備える場合、鉄触媒は還元されて微粒子化し、アルミナ薄膜(触媒担持層)上にナノメートルサイズの鉄微粒子が多数形成される。これにより鉄薄膜(触媒層)はCNT配向集合体の製造に好適な状態となる。この工程を省略してもCNTを製造することは可能であるが、この工程を行なうことでCNTの製造量及び品質を飛躍的に向上させることができる。
[還元ガス]
フォーメーション工程に用いる還元ガスとしては、CNTの製造が可能なものを用いればよく、例えば水素ガス、アンモニア、水蒸気及びそれらの混合ガスを適用することができる。また、水素ガスをヘリウムガス、アルゴンガス、窒素ガスなどの不活性ガスと混合した混合ガスでもよい。還元ガスは、フォーメーション工程で用いてもよく、適宜成長工程に用いてもよい。
フォーメーション工程における触媒及び/又は還元ガスの温度は、好ましくは400℃以上1100℃以下である。またフォーメーション工程の時間は、3分以上20分以下が好ましく、3分以上10分以下がより好ましい。これにより、フォーメーション工程中に鉄薄膜(触媒層)の焼成が進行して膜厚が減少するのを抑えることができる。
<成長工程>
次に、触媒担持層形成工程および触媒層形成工程を経て得られた触媒基材に原料ガスを供給し、前記触媒基材上にカーボンナノチューブ(CNT配向集合体)を成長させる。
そして、成長工程においては、通常、触媒層および原料ガスの少なくとも一方を加熱するが、均一な密度でCNTを成長させる観点からは、少なくとも原料ガスを加熱することが好ましい。加熱の温度は、400℃〜1100℃が好ましい。成長工程では、触媒基材を収容するCNT成長炉内に、原料ガス、不活性ガス、随意に還元ガス及び/又は触媒賦活物質を導入して行う。
なお、CNTの製造効率を高める観点からは、還元ガス及び原料ガスをガスシャワーによって触媒基材上の触媒に供給するのが好ましい。
[原料ガス]
原料ガスとしては、成長温度において炭素源を含むガス状物質が用いられる。なかでもメタン、エタン、エチレン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、プロピレン、及びアセチレンなどの炭化水素が好適である。この他にも、メタノール、エタノールなどの低級アルコール、アセトン、一酸化炭素などの低炭素数の含酸素化合物でもよい。これらの混合物も使用可能である。
[不活性ガス]
原料ガスは不活性ガスで希釈されてもよい。不活性ガスとしては、CNTが成長する温度で不活性であり、且つ成長するCNTと反応しないガスであればよく、触媒の活性を低下させないものが好ましい。例えば、ヘリウム、アルゴン、ネオン及びクリプトンなどの希ガス;窒素;水素;並びにこれらの混合ガスを例示できる。
[触媒賦活物質]
CNTの成長工程において、触媒賦活物質を添加してもよい。触媒賦活物質の添加によって、CNTの生産効率や純度をより一層改善することができる。ここで用いる触媒賦活物質としては、一般には酸素を含む物質であり、成長温度でCNTに多大なダメージを与えない物質であることが好ましい。例えば、水、酸素、オゾン、酸性ガス、酸化窒素、一酸化炭素、及び二酸化炭素などの低炭素数の含酸素化合物;エタノール、メタノールなどのアルコール類;テトラヒドロフランなどのエーテル類;アセトンなどのケトン類;アルデヒド類;エステル類;並びにこれらの混合物が有効である。この中でも、水、酸素、二酸化炭素、一酸化炭素、およびエーテル類が好ましく、特に水が好適である。
触媒賦活物質の体積濃度は、特に限定されないが微量が好ましく、例えば水の場合、炉内への導入ガスにおいて、通常、10〜10000ppm、好ましくは50〜1000ppmとする。
[その他の条件]
成長工程における反応炉内の圧力、処理時間は、他の条件を考慮して適宜設定すればよいが、例えば、圧力は10〜10Pa、処理時間は1〜60分程度とすることができる。
<冷却工程>
本発明のCNTの製造方法は、成長工程後に冷却工程を備えることが好ましい。冷却工程とは、成長工程後にCNT配向集合体、触媒基材を冷却ガス下に冷却する工程である。成長工程後のCNT配向集合体、触媒基材は高温状態にあるため、酸素存在環境下に置かれると酸化してしまうおそれがある。それを防ぐために冷却ガス環境下でCNT配向集合体、触媒基材を例えば400℃以下、さらに好ましくは200℃以下に冷却する。冷却ガスとしては不活性ガスが好ましく、特に安全性、コストなどの点から窒素であることが好ましい。
<剥離工程>
また、本発明のCNTの製造方法は、触媒基材上に得られたCNT配向集合体を、触媒基材から剥離する工程(剥離工程)を備えることが好ましい。CNT配向集合体を触媒基材から剥離する方法としては、物理的、化学的あるいは機械的に触媒基材上から剥離する方法があり、たとえば電場、磁場、遠心力、表面張力を用いて剥離する方法;機械的に直接、基材より剥ぎ取る方法;圧力、熱を用いて基材より剥離する方法などが使用可能である。簡単な剥離法としては、ピンセットで直接触媒基材より、つまみ、剥離させる方法がある。より好適には、カッターブレードなどの薄い刃物を使用して触媒基材より切り離すこともできる。またさらには、真空ポンプ、掃除機を用い、触媒基材上より吸引し、剥ぎ取ることも可能である。また、剥離後、触媒は基材上に残余し、新たにそれを利用して垂直配向したCNTを成長させることが可能となる。
<製造装置>
本発明のCNTの製造方法に用いる製造装置は、触媒基材を有する成長炉(反応チャンバ)を備え、CVD法によりCNTを成長させることができるものであれば、特に限定されず、熱CVD炉、MOCVD反応炉等の装置を使用できる。
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、CNT集合体のG/D比、BET比表面積および炭素純度、並びに基材の算術平均粗さRa、触媒担持層の成分分析は、以下の方法を用いて測定した。そして、潰れた構造の有無、潰れた構造の含有率は以下の方法を用いて評価した。
<G/D比>
CNT配向集合体を試料とし、顕微レーザラマンシステム(サーモフィッシャーサイエンティフィック(株)製NicoletAlmega XR)を用い、基材中心部付近のCNTを測定した。
<BET比表面積、炭素純度>
既述の方法で測定・算出した。
<算術平均粗さ>
算術平均粗さRaは、レーザ顕微鏡(キーエンス製VK−9700)を用いて、対物倍率50倍で測定した。
<潰れた構造の有無、および潰れた構造の含有率>
得られたCNT集合体と単離精製されたフラーレン(C60)を共に石英管内に密封し、1.07×10−3Paに保持したまま、500℃の温度で24時間加熱処理を行うことにより、フラーレン挿入処理を行った。フラーレン挿入処理後のCNTを透過型電子顕微鏡(TEM)で観測することにより、潰れた構造を有するCNTの有無を確認した。加えて任意のカーボンナノチューブ100本を観察し、その100本中、上記潰れた構造を少なくとも一箇所有するカーボンナノチューブの数を数え、潰れた構造の含有率(%)を算出した。
(実施例1)
<触媒基材の作製>
アルミニウム化合物としてのアルミニウムトリ−sec−ブトキシド1.9gを、有機溶剤としての2−プロパノール100mlに溶解させた。さらに、安定剤としてのトリイソプロパノールアミン0.9gを加えて溶解させて、触媒担持層形成用の塗工液Aを調製した。
また、鉄化合物としての酢酸鉄174mgを有機溶剤としての2−プロパノール100mlに溶解させた。さらに、安定剤としてのトリイソプロパノールアミン190mgを加えて溶解させて、触媒層形成用の塗工液Bを調製した。
基材としてのFe−Cr合金SUS430基板(JFEスチール株式会社製、40mm×100mm、厚さ0.3mm、Cr18%、算術平均粗さRa≒0.59μm)の表面に、室温25℃、相対湿度50%の環境下でディップコーティングにより、上述の塗工液Aを塗布した。具体的には、基材を塗工液Aに浸漬後、20秒間保持して、10mm/秒の引き上げ速度で基材を引き上げた。その後、5分間風乾し、300℃の空気環境下で30分間加熱後、室温まで冷却することにより、基材上に膜厚40nmのアルミナ薄膜(触媒担持層)を形成した。
次いで、室温25℃、相対湿度50%の環境下で、基材に設けられたアルミナ薄膜の上に、ディップコーティングにより上述の塗工液Bを塗布した。具体的には、アルミナ薄膜を備える基材を塗工液Bに浸漬後、20秒間保持して、3mm/秒の引き上げ速度でアルミナ薄膜を備える基材を引き上げた。その後、5分間風乾(乾燥温度45℃)することにより、膜厚3nmの鉄薄膜(触媒層)を形成した。このようにして、基材の上に、アルミナ薄膜、鉄薄膜をこの順に有してなる触媒基材1が得られた。
<CNTの合成>
作製した触媒基板1を、炉内温度:750℃、炉内圧力:1.02×10Paに保持されたCVD装置の反応炉内に設置し、この反応炉内に、He:100sccm及びH:800sccmの混合ガスを10分間導入した(フォーメーション工程)。次いで、炉内温度:750℃、炉内圧力:1.02×10Paに保持された状態の反応炉内に、He:850sccm、エチレン:100sccm及びHO含有He(相対湿度23%):50sccmの混合ガスを8分間供給した(成長工程)。
その後、反応炉内にHe:1000sccmを供給し、残余の原料ガス及び触媒賦活剤を排除した。これにより、CNT配向集合体1が得られた。作製したCNT配向集合体1を触媒基材1から剥離し、CNT集合体1を得た。得られたCNT配向集合体1(CNT集合体1)は、収量1.8mg/cm、G/D比3.7、密度:0.03g/cm、BET比表面積:1,060m/g、炭素純度99.9%であった。
<潰れた構造の評価>
得られたCNT集合体1を、上述の方法でTEMにて観察した結果、潰れた構造を有する単層CNTが確認された(図2)。また、100本中32本の潰れた構造を有する単層CNTが存在していることが確認され、すなわち、潰れた構造の含有率は32%であった。そして、CNT集合体1の潰れた部分の平均幅長は6nmであった。
(実施例2)
<触媒基材の作製>
実施例1のアルミナ薄膜を備える基材への鉄薄膜(触媒層)の塗布において、引上げ速度を3mm/秒から6mm/秒に替えた以外は、実施例1と同様の操作により、触媒基材2を作製した。
<CNTの合成>
触媒基材1に替えて触媒基材2を使用した以外は、実施例1と同様の操作により、CNT配向集合体2を作製した。作製したCNT配向集合体2を触媒基材2から剥離し、CNT集合体2を得た。得られたCNT配向集合体2(CNT集合体2)は、収量1.4mg/cm、G/D比2.1、密度:0.03g/cm、BET比表面積:680m/g、炭素純度99.9%であった。
<潰れた構造の評価>
得られたCNT集合体2を、上述の方法でTEMにて観察した結果、潰れた構造を有する単層CNTが確認された。また、100本中8本の潰れた構造を有する単層CNTが存在していることが確認され、すなわち、潰れた構造の含有率は8%であった。そして、CNT集合体2の潰れた部分の平均幅長は8nmであった。
(比較例1)
<触媒基材の作製>
特許4,621,896号公報に記載の手順に従い、基材としてのシリコンウェハー上に、スパッタ蒸着装置を用い、厚さ1nmの鉄薄膜(触媒層)を形成した。このようにして、基材の上に鉄薄膜を有してなる触媒基材3が得られた。
<CNTの合成>
触媒基材1に替えて触媒基材3を使用した以外は、実施例1と同様の操作により、CNT配向集合体3を作製した。作製したCNT配向集合体3を触媒基材3から剥離し、CNT集合体3を得た。得られたCNT配向集合体3(CNT集合体3)は、収量1.8mg/cm、G/D比4.8、密度:0.03g/cm、BET比表面積:1,010m/g、炭素純度99.9%であった。
<潰れた構造の評価>
得られたCNT集合体3を、上述の方法でTEMにて観察した結果、フラーレンはCNTの内部空間中に万遍なく挿入されており、潰れた構造を有しているCNTは存在しなかった。
本発明によれば、特定の断面形状を備えることで、その内部空間を活用可能なカーボンナノチューブ、および当該カーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブ集合体を提供することができる。
また、本発明によれば、特定の断面形状を備えることで、その内部空間を活用可能なカーボンナノチューブを製造しうる、カーボンナノチューブ集合体の製造方法を提供することができる。

Claims (7)

  1. 少なくとも一部が潰れた構造を有する、カーボンナノチューブ(アクリロニトリル含有ポリマー、アクリロニトリル含有ポリマーの炭化物、およびアクリロニトリル含有ポリマーのグラファイト化物からなる群から選択される少なくとも1つと接するものを除く)であって、
    潰れた部分の平均幅長が5nm以上9nm以下であり、
    グラフェンを丸めてなる筒状体であって、当該筒状体の延在方向に直交する断面形状の少なくとも一部が、非円形であり、
    ラマンスペクトルにおけるDバンドピーク強度に対するGバンドピーク強度の比が1以上10以下である、カーボンナノチューブ。
  2. 単層構造である、請求項1に記載のカーボンナノチューブ。
  3. フラーレン挿入処理によりフラーレンが挿入されない部分を有する、請求項1または2に記載のカーボンナノチューブ。
  4. 請求項1〜3いずれかに記載のカーボンナノチューブを含む、カーボンナノチューブ集合体。
  5. 潰れた構造の含有率が5%以上である、請求項4に記載のカーボンナノチューブ集合体。
  6. BET比表面積が600m/g以上である、請求項4又は5に記載のカーボンナノチューブ集合体。
  7. 請求項4〜6の何れかに記載のカーボンナノチューブ集合体の製造方法であって、
    アルミニウム化合物を含む塗工液Aを基材上に塗布する工程、
    前記塗工液Aを乾燥し、前記基材上にアルミニウム薄膜を形成する工程、
    前記アルミニウム薄膜の上に、鉄化合物を含む塗工液Bを塗布する工程、
    前記塗工液Bを50℃以下で乾燥し、前記アルミニウム薄膜上に鉄薄膜を形成することで触媒基材を得る工程、および、
    前記触媒基材に原料ガスを供給し、前記触媒基材上にカーボンナノチューブを成長させる工程、を備えるカーボンナノチューブ集合体の製造方法。
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