JP2017177035A - 配向性カーボンナノチューブ成長触媒含有塗布液及び配向性カーボンナノチューブの製造方法 - Google Patents

配向性カーボンナノチューブ成長触媒含有塗布液及び配向性カーボンナノチューブの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 蓄電デバイスの集電体基板上に設けられるバッファ層に塗布した場合においても、バッファ層の腐食を防止し得る配向性カーボンナノチューブ成長触媒含有塗布液を提供すること。
【解決手段】 配向性カーボンナノチューブ成長触媒含有塗布液は、溶媒としての水と、触媒金属の金属塩と、触媒金属とキレート結合し得るキレート剤と、pH調整剤と、を含む。そして、カーボンナノチューブ成長触媒含有塗布液のpHは、pH調整剤によって、4以上且つ7以下に調整されている。
【選択図】 無し

Description

本発明は、配向性カーボンナノチューブ成長触媒含有塗布液及び配向性カーボンナノチューブの製造方法に関する。
基板上にカーボンナノチューブを形成するためには、まず、基板上に、カーボンナノチューブの形成に用いられる触媒金属を担持する。次いで、触媒金属が担持された基板を加熱するとともに、基板上に炭素源を供給する。すると、供給された炭素源が熱分解して炭素を生成し、生成した炭素が触媒金属上でカーボンナノチューブとして成長する。このようにして、基板上にカーボンナノチューブが形成される。
基板上に担持された触媒金属が大きすぎる場合、カーボンナノチューブを形成することができない。また、基板上に不均一に触媒金属が担持されている場合、基板表面に均一にカーボンナノチューブを形成することができない。このため、触媒金属は、ナノオーダーレベルに微粒子化され、且つ、均一に基板表面に担持されていることが、好ましい。
基板上にナノオーダーレベルの触媒金属微粒子を均一に担持する方法の一つとして、触媒前駆体である触媒金属が含まれた溶液(以下、配向性カーボンナノチューブ成長触媒含有塗布液、又はCNT成長触媒含有塗布液という場合もある)を基板上に塗布する方法が採用され得る。例えば、特許文献1は、CNT成長触媒含有塗布液を基板に塗布する塗布工程と、基板上に塗布されたCNT成長触媒含有塗布液の溶媒成分を酸性雰囲気下で酸化分解して除去するとともに、基板上に触媒金属の酸化物の微粒子を形成させる酸化物微粒子形成工程と、不活性ガス或いは還元作用を有するガス雰囲気中で基板を加熱して触媒金属の酸化物の微粒子を還元することにより、触媒金属の微粒子を活性化させる触媒活性化工程と、を含む、触媒金属微粒子の形成方法を開示する。また、特許文献2は、アルミニウムを含む金属有機化合物及び/又は金属塩、並びにそれらの縮合重合反応を抑制するための安定剤を有機溶剤に溶解してなる触媒担持膜コーティング剤を基板上に塗布して、触媒担持膜を設ける工程と、鉄(触媒金属)を含む金属有機化合物及び/又は金属塩、並びにそれらの縮合重合反応を抑制するための安定剤を有機溶剤に溶解してなる触媒生成膜コーティング剤(CNT成長触媒含有塗布液)を触媒担持膜上に塗布して、触媒生成膜を設ける工程と、CVD法により基板上にCNT(カーボンナノチューブ)配向集合体を成長させる工程と、を含む、カーボンナノチューブ配向集合体の製造方法を開示する。
国際公開第2004/071654号 国際公開第2011/108492号
(発明が解決しようとする課題)
カーボンナノチューブは、蓄電デバイスの電極に利用することができる。この場合、集電体基板上に電極としてのカーボンナノチューブを形成するために、集電体基板上に触媒金属を担持する必要がある。しかし、集電体基板の材質として好ましく用いられる銅は、触媒金属との反応性(相互拡散性、固溶性)が高い。それ故に、集電体基板上に触媒金属を直接担持させた場合、触媒金属が集電体基板と化学反応してしまう。従って、集電体基板上に直接触媒金属を担持することができない。この場合、集電体基板上に、触媒金属との反応性が低く、且つ、導電性の高い膜が成膜される。この膜を、バッファ層と呼ぶ。そして、このバッファ層上に、触媒金属が担持される。バッファ層の材質として、アルミニウムが好ましく用いられる。
また、特許文献1に記載のCNT成長触媒含有塗布液の液性は強酸性である。このような強酸性溶液をアルミニウムからなるバッファ層に塗布してバッファ層上に触媒金属を担持させようとした場合、CNT成長触媒含有塗布液によってバッファ層が腐食する。同様に、特許文献2に記載のCNT成長触媒含有塗布液をアルミニウムからなるバッファ層に塗布した場合においても、条件によってはバッファ層が腐食する。このようにバッファ層が腐食した場合、集電体基板上に、高配向性の緻密なカーボンナノチューブを形成することができない。また、バッファ層の導電性が低下し、電極の内部抵抗が増加するといった不具合も発生する。
本発明は、蓄電デバイスの集電体基板上に設けられるバッファ層に塗布した場合においても、バッファ層の腐食を防止し得る配向性カーボンナノチューブ成長触媒含有塗布液、及び、そのような配向性カーボンナノチューブ成長触媒含有塗布液を用いて蓄電デバイスの集電体基板上に形成される配向性カーボンナノチューブの製造方法を提供することを目的とする。
(課題を解決するための手段)
本発明は、表面にアルミニウムを有する基板に塗布する配向性カーボンナノチューブ成長触媒含有塗布液であって、溶媒としての水と、カーボンナノチューブの形成に用いられる触媒金属の金属塩と、触媒金属とキレート結合し得るキレート剤と、pH調整剤と、を含み、pH調整剤によって、pHが4以上且つ7以下に調整されている、配向性カーボンナノチューブ成長触媒含有塗布液を提供する。
本発明に係るCNT成長触媒含有塗布液のpHは、pH調整剤によって4以上且つ7以下に調整されている。CNT成長触媒含有塗布液のpHが4以上である場合、それをアルミニウムからなるバッファ層を有する基板(表面にアルミニウムを有する基板)のバッファ層に塗布した際におけるバッファ層の腐食を防止することができる。すなわち、本発明によれば、蓄電デバイスの集電体基板上に設けられるバッファ層に塗布した場合においても、バッファ層の腐食を防止し得る配向性カーボンナノチューブ成長触媒含有塗布液を提供することができる。
ここで、CNT成長触媒含有塗布液のpHが4以上である場合、それが塗布されたバッファ層の腐食を防止し得るものの、CNT成長触媒含有塗布液中の水酸化イオンの増加に伴い触媒金属イオンの加水分解反応が起こって塗布液中で触媒金属が水酸化物イオンと結合し、触媒金属の水酸化物が生成される。触媒金属の水酸化物は固体であるので塗布液内で沈殿する。沈殿した触媒金属の水酸化物粒子は粗大であるので、このような粒子からカーボンナノチューブを形成することができない。また、触媒金属が塗布液中で沈殿することにより、塗布液内での触媒金属の均一分散性が損なわれる。均一分散性が損なわれたCNT成長触媒含有塗布液を用いた場合、バッファ層に均一にカーボンナノチューブを形成することができない。
この点に関し、本発明に係るCNT成長触媒含有塗布液中には、触媒金属とキレート結合し得るキレート剤が含まれている。従って、触媒金属は、塗布液中で、キレート剤とキレート結合する。このように、CNT成長触媒含有塗布液中で触媒金属をキレート剤とキレート結合させて、CNT成長触媒含有塗布液中で触媒金属を水酸化物イオンからガードすることにより、CNT成長触媒含有塗布液中での触媒金属イオンの加水分解反応による触媒金属と水酸化物イオンとの結合を抑制することができる。
一方、CNT成長触媒含有塗布液のpHが7よりも大きい場合、いくら触媒金属が塗布液中でキレート剤とキレート結合していても、いくらかの触媒金属イオンが塗布液中の水酸化物イオンと結合して水酸化物を形成してしまう。この点に関し、本発明においては、CNT成長触媒含有塗布液のpHは7以下となるように、pH調整剤でCNT成長触媒含有塗布液のpHが調整される。よって、触媒金属の水酸化物の形成がより防止され、それにより塗布液中での触媒金属の沈殿をより効果的に防ぐことができる。また、このようにして触媒金属の沈殿が防止されることにより、CNT成長触媒含有塗布液の長期的な保存が可能にされる。さらに、本発明に係るCNT成長触媒含有塗布液は水溶性であり、有機溶剤を使用していないので、取り扱いが容易である。
本発明に係る配向性カーボンナノチューブ成長触媒含有塗布液は、界面活性剤をさらに含むとよい。これによれば、界面活性剤によって、CNT成長触媒含有塗布液と、それが塗布されるバッファ層との濡れ性をより向上させることができる。よって、バッファ層にCNT成長触媒含有塗布液を均一に塗布することができ、その結果、より一層、バッファ層に均一に触媒金属を担持することができる。
また、本発明に係る配向性カーボンナノチューブ成長触媒含有塗布液においては、触媒金属の金属塩を構成する触媒金属以外の成分、具体的には、溶媒としての水、触媒金属の金属塩のアニオン、キレート剤、pH調整剤、及び界面活性剤は、カーボンナノチューブの成長開始温度以下の温度で気体に分解され又は蒸発する物質により構成されているとよい。つまり、本発明に係る配向性カーボンナノチューブ成長触媒含有塗布液を構成する成分のうち、触媒金属の金属塩を構成する触媒金属以外の成分が、カーボンナノチューブの成長開始温度以下の温度でガス化する物質により構成されているとよい。ここで、カーボンナノチューブの成長開始温度とは、本発明に係る配向性カーボンナノチューブ成長触媒含有塗布液を用いてバッファ層(表面にアルミニウムを有する基板)上に担持した触媒金属上でカーボンナノチューブが成長を開始するために必要な温度の下限温度を言う。
バッファ層にカーボンナノチューブを形成させるために、CNT成長触媒含有塗布液をバッファ層に塗布した後に、カーボンナノチューブの形成工程が実施される。このカーボンナノチューブの形成工程としてCVD工程が好ましく実施される。CVD工程では、カーボンナノチューブをバッファ層上で成長させるために、CNT成長触媒含有塗布液が塗布されたバッファ層及びその雰囲気が加熱される。加熱温度がカーボンナノチューブの成長開始温度以上の温度に達したときに炭素源がバッファ層上に供給されることにより、カーボンナノチューブの成長が開始される。ここで、本発明においては、バッファ層に塗布されたCNT成長触媒含有塗布液中の成分のうち、金属塩を構成する触媒金属以外の成分(水、触媒金属の金属塩のアニオン、キレート剤、pH調整剤、及び界面活性剤)が上記成長開始温度以下の温度で気体に分解され又は蒸発する物質により構成されているので、CVD工程におけるバッファ層の昇温過程で、触媒金属以外の成分が気体に分解され又は蒸発してバッファ層上から除去される。その結果、カーボンナノチューブの成長が開始される時点においてはバッファ層に触媒金属のみが担持される状態が実現される。よって、カーボンナノチューブの形成時にバッファ層上に触媒金属以外の余分な残渣物が存在することに起因して、カーボンナノチューブの形成が阻害されることを効果的に防止することができるとともに、不純物の残留による製品(例えば蓄電デバイス)の性能への悪影響を回避できる。
この場合において、配向性カーボンナノチューブ成長触媒含有塗布液中の成分のうち触媒金属の金属塩を構成する触媒金属以外の成分(水、触媒金属の金属塩のアニオン、キレート剤、pH調整剤、及び界面活性剤)は、500℃以下の温度で気体に分解され又は蒸発する物質であるのがよい。カーボンナノチューブ形成工程におけるカーボンナノチューブの成長開始温度は一般的に500℃以上である。従って、本発明によれば、カーボンナノチューブの成長の開始時に、確実に、触媒金属以外の成分をバッファ層から除去することができる。
また、本発明は、蓄電デバイスの集電体基板に形成される配向性カーボンナノチューブの製造方法であって、集電体基板上に形成されたバッファ層上に、溶媒としての水と、カーボンナノチューブの形成に用いられる触媒金属の金属塩と、触媒金属とキレート結合し得るキレート剤と、pH調整剤と、界面活性剤を含み、pH調整剤によって、pHが4以上且つ7以下に調整され、且つ、金属塩を構成する触媒金属以外の成分(水、触媒金属の金属塩のアニオン、キレート剤、pH調整剤、及び界面活性剤)が、カーボンナノチューブの成長開始温度以下の温度で気体に分解され又は蒸発する物質により構成されている配向性カーボンナノチューブ成長触媒含有塗布液を塗布する塗布工程と、バッファ層上に塗布された配向性カーボンナノチューブ成長触媒含有塗布液を乾燥させる乾燥工程と、乾燥工程の後に、バッファ層をカーボンナノチューブの成長開始温度以上の温度に加熱するとともに、炭素源をバッファ層上に供給することにより、バッファ層上にカーボンナノチューブを形成させるカーボンナノチューブ形成工程と、を含む、配向性カーボンナノチューブの製造方法を提供する。この場合において、配向性カーボンナノチューブ成長触媒含有塗布液中の成分のうち、金属塩を構成する触媒金属以外の成分(水、触媒金属の金属塩のアニオン、キレート剤、pH調整剤、及び界面活性剤)が500℃以下の温度で気体に分解され又は蒸発する物質により構成されているとよい。そして、カーボンナノチューブ形成工程では、バッファ層が500℃以上の温度に加熱されるとよい。また、カーボンナノチューブ形成工程は、CVD工程であるのがよい。また、バッファ層は、アルミニウム薄膜であるのがよい。
本発明に係るカーボンナノチューブの製造方法によれば、塗布工程にて、蓄電デバイスの集電体基板上に形成されたバッファ層上にCNT成長触媒含有塗布液が塗布される。塗布されるCNT成長触媒含有塗布液中の成分のうち、金属塩を構成する触媒金属以外の成分(水、触媒金属の金属塩のアニオン、キレート剤、pH調整剤、及び界面活性剤)は、カーボンナノチューブの成長開始温度以下の温度で気体に分解され又は蒸発する物質により構成されている。また、その後のカーボンナノチューブ形成工程では、バッファ層が、カーボンナノチューブの成長開始温度以上の温度に加熱される。そのため、カーボンナノチューブ形成工程におけるバッファ層の昇温過程で、バッファ層上に塗布されたCNT成長触媒含有塗布液中の成分のうち触媒金属以外の成分がバッファ層上から除去される。その結果、カーボンナノチューブの成長が開始される時点においてはバッファ層に触媒金属のみが担持される状態が実現される。よって、カーボンナノチューブの形成時にバッファ層上に触媒金属以外の余分な残渣が存在することに起因して、カーボンナノチューブの形成が阻害されることを効果的に防止することができるとともに、不純物の残留による製品性能への悪影響を回避できる。さらに、本発明によれば、カーボンナノチューブの形成工程(CVD工程)における昇温過程(昇温工程)で、キレート剤及びpH調整剤が分解又は蒸発する。このため、CNT成長触媒含有塗布液をバッファ層上に塗布した後に、キレート剤及びpH調整剤を熱分解又は蒸発させる熱処理工程を独自に設けることなく、カーボンナノチューブ形成工程(CVD工程)を実施することができる。このように、カーボンナノチューブ形成工程(CVD工程)前の熱処理工程を省略することによって、カーボンナノチューブの製造工程が簡素化される。その結果、カーボンナノチューブの製造コストを低減することができる。
実施例1に係るサンプルのバッファ層及びバッファ層上に形成されたカーボンナノチューブを示すSEM画像である。 実施例2に係るサンプルのバッファ層及びバッファ層上に形成されたカーボンナノチューブを示すSEM画像である。 実施例3に係るサンプルのバッファ層及びバッファ層上に形成されたカーボンナノチューブを示すSEM画像である。 実施例4に係るサンプルのバッファ層及びバッファ層上に形成されたカーボンナノチューブを示すSEM画像である。 比較例10にて作製したサンプルのバッファ層を表面から撮像したSEM画像である。 比較例12にて作製したサンプルのバッファ層を表面から撮像したSEM画像である。 比較例1にて作製したサンプルのバッファ層を表面から撮像したSEM画像である。 比較例2にて作製したサンプルのバッファ層を表面から撮像したSEM画像である。 比較例4にて作製したサンプルのバッファ層を表面から撮像したSEM画像である。 比較例9にて作製したサンプルのバッファ層を表面から撮像したSEM画像である。 比較例11にて作製したサンプルのバッファ層を表面から撮像したSEM画像である。
本実施形態に係る配向性カーボンナノチューブ成長触媒含有塗布液(CNT成長触媒含有塗布液)は、カーボンナノチューブを形成する際に用いられる。この配向性カーボンナノチューブ成長触媒含有塗布液は、表面にアルミニウムを有する基板に塗布される。具体的には、本実施形態に係るCNT成長触媒含有塗布液は、蓄電デバイスの集電体基板上に形成されたアルミニウム製のバッファ層上に、カーボンナノチューブの形成のための触媒金属を担持させるために、バッファ層に塗布される。
蓄電デバイスは、電気エネルギーを蓄積することができる装置である。蓄電デバイスとして、充放電可能な二次電池を例示することができる。また、二次電池として、リチウムイオン二次電池等を例示することができる。
集電体基板は、蓄電デバイス内で得られた電気エネルギーを集約する機能を有する基板状部材である。この集電体基板は、一般的には、導電性の高い銅により構成される。集電体基板は、正極集電体基板と負極集電体基板を有する。正極集電体基板には正電荷が集約され、負極集電体基板には負電荷が集約される。正極集電体基板は、タブ端子等を介して蓄電デバイスの正極端子に接続され、負極集電体基板は、タブ端子等を介して蓄電デバイスの負極端子に接続される。
バッファ層は、集電体基板上に設けられる。このバッファ層は、導電性が高く、且つ、カーボンナノチューブを形成するための触媒金属との反応性が低い材質により、構成される。本実施形態では、バッファ層の材質はアルミニウムである。集電体基板上へのバッファ層の形成方法として、スパッタリングが例示できる。そして、集電体基板上に形成されたバッファ層に、本実施形態に係るCNT成長触媒含有塗布液が塗布される。
本実施形態に係るCNT成長触媒含有塗布液(以下、単に塗布液という場合もある)は、溶媒としての水と、触媒金属の金属塩と、触媒金属とキレート結合し得るキレート剤と、pH調整剤と、界面活性剤とを含む水溶液である。
触媒金属は、カーボンナノチューブの形成に用いられる。触媒金属は、カーボンナノチューブを成長させるための触媒機能を有する遷移金属であり、特に、鉄、コバルト、ニッケルが好ましい。また、触媒金属の金属塩は、カーボンナノチューブを成長させるための触媒機能を有する遷移金属の化合物であり、特に、鉄化合物、コバルト化合物、ニッケル化合物であるのが好ましい。また、触媒金属の金属塩のアニオンは、後述するカーボンナノチューブの成長開始温度以下の温度で気体に分解され又は蒸発する物質により構成される。このような特性を有する触媒金属の金属塩は、硝酸塩、酢酸塩、塩化物塩、クエン酸塩、乳酸塩からなる群より選択される少なくとも一つであるのがよい。
キレート剤は、CNT成長触媒含有塗布液中で触媒金属とキレート結合することができる機能を有する物質であり、カルボン酸系のキレート剤、ヒドロキシ酸系のキレート剤を例示できる。また、キレート剤は、水に可溶であり、且つ、後述するカーボンナノチューブの成長開始温度以下の温度で気体に分解され又は蒸発する物質により構成される。さらに、キレート剤は、水に溶解した場合にアルカリ性を呈しないものであるのがよい。キレート剤がアルカリ性であると、触媒金属とキレート結合する前に、キレート剤から生じた水酸化物イオンが触媒金属イオンと結合して触媒金属の水酸化物を形成する虞があるからである。さらに、キレート剤は、CNT成長触媒含有塗布液のpHが4以上であるときにも、十分に触媒金属とキレート結合することができるものであるのがよい。後述するように、本実施形態のCNT成長触媒含有塗布液のpHは4以上且つ7以下であるので、その領域でキレート剤が触媒金属とキレート結合しなければ、キレート剤としての役割を果たさないからである。以上より、キレート剤は、以下の特性を有するものであるのがよい。
・水溶性であること
・カーボンナノチューブの成長開始温度以下の温度で気体に分解され又は蒸発する物質により構成されていること
・水に溶解した場合にアルカリ性を呈しないこと
・CNT成長触媒含有塗布液のpHが4以上である場合にも触媒金属とキレート結合し得るもの
上記した特性を有するキレート剤は、EDTA(エチレンジアミン−N,N,N,N−四酢酸)、NTA(ニトリロ三酢酸)、CyDTA(トランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン−N,N,N,N−四酢酸)、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)、EDTA−OH(ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸)、GEDTA(グリコールエーテルジアミン四酢酸)、TTHA(トリエチレンテトラミン六酢酸)、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、からなる群より選択される少なくとも一つであるのがよい。
pH調整剤は、pHが高められるようにCNT成長触媒含有塗布液のpHを調整することができる機能を有する物質である。pH調整剤として、無機アルカリ、アミン類、アルカノールアミン類を例示できる。また、pH調整剤は、水に可溶であり、後述するカーボンナノチューブの成長開始温度以下の温度で気体に分解され又は蒸発する物質により構成される。さらに、pH調整剤は、水に溶解した場合に強アルカリ性を呈しないものがよい。pH調整剤が強アルカリ性であると、pH調整剤をCNT成長触媒含有塗布液に混合した直後に、塗布液中で局所的にpHが高い領域が生じ、pH調整剤から生じた水酸化物イオンが触媒金属と結合して触媒金属の水酸化物を形成する虞があるからである。以上より、pH調整剤は、以下の特性を有するものであるのがよい。
・水溶性であること
・カーボンナノチューブの成長開始温度以下の温度で気体に分解され又は蒸発する物質により構成されていること
・水に溶解した場合に強アルカリ性(例えば、pH12以上)を呈しないこと
上記した特性を有するpH調整剤は、炭酸アンモニウム、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、からなる群より選択される少なくとも一つであるのがよい。
界面活性剤は、バッファ層へのCNT成長触媒含有塗布液の濡れ性を向上させることができる機能を有する物質である。また、界面活性剤は、水溶性のカチオン性界面活性剤又は非イオン性界面活性剤であるのが良く、アニオン性界面活性剤はCNT成長触媒含有塗布液中で触媒金属と結合して沈殿するので良くない。また、界面活性剤は、後述するカーボンナノチューブの成長開始温度以下の温度で気体に分解され又は蒸発する物質により構成される。以上より、界面活性剤は、以下の特性を有するものであるのがよい。
・水溶性であること
・カチオン性又は非イオン性であること
・カーボンナノチューブの成長開始温度以下の温度で気体に分解され又は蒸発する物質により構成されていること
上記した特性を有する界面活性剤は、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、からなる群より選択される少なくとも一つであるのがよい。
触媒金属の金属塩の添加量は、水1Lに対して5mol〜200mol程度であるのがよい。好ましくは、触媒金属の金属塩の添加量は、10mol/L〜100mol/Lであるのがよい。また、キレート剤の添加量は、CNT成長触媒含有塗布液中の触媒金属が全てキレート結合することができる量以上の量であるのがよい。また、界面活性剤の添加量は、CNT成長触媒含有塗布液とバッファ層との濡れ性に関する相性に基づいて適宜決定することができる。
上記組成のCNT成長触媒含有塗布液においては、そのpHが、pH調整剤により4以上且つ7以下に調整される。言い換えれば、pH調整剤の添加量は、CNT成長触媒含有塗布液のpHが、4以上であり且つ7以下であるように、調整される。
本実施形態に係るCNT成長触媒含有塗布液のpHは4以上であり、その液性は強酸性ではない。よって、これをアルミニウムからなるバッファ層に塗布した場合であってもバッファ層は腐食されない。
ただし、CNT成長触媒含有塗布液のpHが4以上である場合、それが塗布されたバッファ層の腐食を防止し得るものの、CNT成長触媒含有塗布液中の水酸化物イオンの増加に伴い触媒金属イオンの加水分解反応が起こり、触媒金属イオンが水酸化物イオンと結合して触媒金属の水酸化物が生成される可能性が高まる。触媒金属の水酸化物は固体であるので塗布液内で沈殿する。沈殿した触媒金属の水酸化物粒子は粗大であるので、このような粒子からカーボンナノチューブを形成することができない。また、触媒金属が塗布液中で水酸化物として沈殿することにより、塗布液内での触媒金属の均一分散性が損なわれる。均一分散性が損なわれたCNT成長触媒含有塗布液を用いた場合、バッファ層に均一にカーボンナノチューブを形成することができない。
この点に関し、本実施形態に係るCNT成長触媒含有塗布液中には、触媒金属とキレート結合し得るキレート剤が含まれている。従って、触媒金属は、塗布液中で、キレート剤とキレート結合する。CNT成長触媒含有塗布液中で触媒金属をキレート剤とキレート結合させることにより、触媒金属イオンが水酸化物イオンと結合することが阻害される。このように、CNT成長触媒含有塗布液中で触媒金属をキレート剤とキレート結合させて、触媒金属を塗布液中の水酸化物イオンからガードすることにより、CNT成長触媒含有塗布液中での触媒金属イオンの加水分解反応を抑制することができる。
一方、CNT成長触媒含有塗布液のpHが7よりも大きい場合、いくら触媒金属が塗布液中でキレート剤とキレート結合していても、いくらかの触媒金属イオンが塗布液中の水酸化物イオンと結合して水酸化物を形成してしまう。この点に関し、本実施形態に係るCNT成長触媒含有塗布液のpHは、pH調整剤により4以上且つ7以下となるように調整されている。よって、触媒金属の水酸化物の形成がより防止され、それによる塗布液中での触媒金属の沈殿をより効果的に防ぐことができる。また、このようにして触媒金属の沈殿が防止されることにより、CNT成長触媒含有塗布液の長期的な保存が可能にされる。また、本実施形態に係るCNT成長触媒含有塗布液は水溶性であり、有機溶剤を使用していないので、取り扱いが容易である。
次に、本実施形態に係るCNT成長触媒含有塗布液を用いて蓄電デバイスの集電体基板に形成される配向性カーボンナノチューブの製造方法について説明する。本実施形態に係る配向性カーボンナノチューブの製造方法は、塗布工程と、乾燥工程と、カーボンナノチューブ形成工程を含む。
塗布工程では、上記組成のCNT成長触媒含有塗布液が、蓄電デバイスの集電体基板上に形成されたバッファ層に塗布される。塗布方法としては、スピンコート、スプレー噴霧、ディップコーティング、が例示され得るが、この中で、ディップコーティングが、簡単で且つバッファ層上に均一にCNT成長触媒含有塗布液を塗布することができるために、好ましい。
乾燥工程では、バッファ層上に塗布されたCNT成長触媒含有塗布液の溶媒としての水が、バッファ層上から除去される。この乾燥工程にて、バッファ層を加熱するなどの措置を施してもよいが、大気中で自然乾燥させてもよい。
カーボンナノチューブ形成工程では、バッファ層上に配向性カーボンナノチューブが形成される。このカーボンナノチューブ形成工程は、本実施形態ではCVD工程(CCVD工程)である。本実施形態において、CVD工程は、昇温工程と、CNT成長工程を含む。昇温工程では、乾燥工程を経たバッファ層が形成された集電体基板をCVD装置のチャンバー内に投入し、チャンバー内の温度、すなわち集電体基板(バッファ層)の温度を、カーボンナノチューブの成長開始温度以上の所定温度(目標温度)、例えば850℃程度にまで昇温する。ここで、カーボンナノチューブの成長開始温度とは、触媒金属に炭素が接触したときに、触媒金属からカーボンナノチューブが形成されて成長を開始するために必要な温度の下限温度である。一般的に、カーボンナノチューブの成長開始温度は、500℃程度である。よって、CVD工程(昇温工程)では、集電体基板(バッファ層)の温度が、700℃以上の温度にまで加熱されるのがよい。
CNT成長工程は、昇温工程における昇温完了後に実施される。CNT成長工程では、集電体基板(バッファ層)の温度をカーボンナノチューブの成長開始温度以上の所定温度(目標温度)に維持するとともに、チャンバー内に所定の流量の原料ガス(炭素源)をキャリアガスとともに導入する。これにより、バッファ層上に炭素源が供給される。バッファ層上に供給された炭素源は、触媒金属上で熱分解する。この熱分解により生成した炭素が触媒金属に接触して触媒金属に固溶される。そして、触媒金属中での固溶飽和濃度を超えると、触媒金属からカーボンナノチューブが形成されるとともに配向成長する。
上記したように、CVD工程においては、集電体基板(バッファ層)の温度が、カーボンナノチューブの成長開始温度以上の温度、例えば850℃前後にまで加熱(昇温)される。また、上記したように、乾燥工程を経てバッファ層上に塗布されているCNT成長触媒含有塗布液の成分のうち触媒金属以外の成分(触媒金属の金属塩のアニオン、キレート剤、pH調整剤、及び界面活性剤)は、カーボンナノチューブの成長開始温度以下の温度で気体に分解され又は蒸発する物質により構成される。従って、CVD工程の昇温工程(昇温過程)で、CNT成長触媒含有塗布液の成分のうち触媒金属以外の成分が、気体に分解され又は蒸発する。
CVD工程の昇温工程で、CNT成長触媒含有塗布液の成分のうち触媒金属塩のアニオン、pH調整剤、及び界面活性剤は、気体に分解され又は蒸発することにより、これらの成分がバッファ層から除去される。また、キレート剤は、CNT成長触媒含有塗布液中で触媒金属とキレート結合して錯体を構成している。この錯体は、CVD工程の昇温工程で分解されるとともにキレート剤のみが気体に分解され又は蒸発することによりバッファ層から除去される。
その結果、CVD工程にてカーボンナノチューブの成長が開始される時点、すなわちCNT成長工程の開始時点においては、バッファ層にキレート剤、pH調整剤、界面活性剤、及び金属塩のアニオンが残らない状態が実現される。よって、カーボンナノチューブの形成時にバッファ層上に触媒金属以外の余分な残渣が存在することに起因して、カーボンナノチューブの形成が阻害されることを効果的に防止することができる。そのため、バッファ層上に、高密度、且つ、基板に対して垂直方向に配向した高配向性のカーボンナノチューブを形成することができる。また、このように形成したカーボンナノチューブを製品(例えば蓄電デバイス)に適用した場合、不純物の残渣による製品性能への悪影響を回避できる。
また、上記したように、本実施形態に係るCNT成長触媒含有塗布液中の触媒金属は、キレート剤とキレート結合しているので、水酸化物(固形物、沈殿物)を形成することなく、常に、塗布液中に均一に存在している。そのため、塗布・乾燥工程において、バッファ層上に、ナノレベルの大きさで且つ大きさの揃った触媒金属を均一に担持することができる。従って、バッファ層上に、高密度、且つ、基板に対して垂直方向に配向した高配向性のカーボンナノチューブを均一に形成させることができる。
また、本実施形態に係るカーボンナノチューブの製造方法によれば、CVD工程の昇温工程において、キレート剤、pH調整剤、界面活性剤、及び金属塩のアニオンが分解又は蒸発する。このため、塗布工程を実施した後に、キレート剤、pH調整剤、界面活性剤及び金属塩のアニオンを熱分解又は蒸発させる熱処理工程を独自に設けることなく、CVD工程を実施することができる。従って、CVD工程前の熱処理工程を省略することにより、カーボンナノチューブの製造コストを低減することができる。
(実施例1)
実施例1に係るカーボンナノチューブの製造方法は、バッファ層形成工程、CNT成長触媒含有塗布液作製工程、塗布工程、乾燥工程、及びCVD工程(カーボンナノチューブ形成工程)を含む。
1.バッファ層形成工程
集電体基板としての銅メッシュ箔(厚み:18μm、孔径:300μm、開口率:10%)上に、スパッタリングにより、厚さ50nmのアルミニウム薄膜からなるバッファ層を形成した。
2.CNT成長触媒含有塗布液作製工程
溶媒としての水50gに、触媒金属(鉄)の金属塩として1gの硝酸鉄九水和物を、界面活性剤として0.02gのヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドを、キレート剤として0.8gのNH4−EDTA(エチレンジアミン四酢酸アンモニウム)を、それぞれ添加し、これらを溶解して中間処理液を作製した。この中間処理液のpHは0.8であった。また、中間処理液に、pH調整剤として固体の炭酸アンモニウムを添加して溶解し、pH6のCNT成長触媒含有塗布液を作製した。
3.塗布工程
次いで、ディップコーティングによりバッファ層にCNT成長触媒含有塗布液を塗布した(塗布工程)。この場合において、バッファ層が形成された銅メッシュ箔をCNT成長触媒含有塗布液に浸漬し、次いで、ディップコーターを用いて、引き上げ速度10mm/sec.で銅メッシュ箔をCNT成長触媒含有塗布液から引き上げた。
4.乾燥工程
続いて、CNT成長触媒含有塗布液が塗布されたバッファ層が形成されている銅メッシュ箔を、大気中で10分間、自然乾燥させた(乾燥工程)。
5.CVD工程
次に、乾燥工程を経たバッファ層が形成されている銅メッシュ箔をCVD装置のチャンバー内に投入し、CVD法により、バッファ層上にカーボンナノチューブを形成させた(CVD工程)。この場合において、まず、銅メッシュ箔をチャンバー内に投入した後に、チャンバー内の温度(すなわち銅メッシュ箔(集電体基板)及びバッファ層の温度)を、昇温速度100℃/min.で950℃まで昇温した(昇温工程)。昇温完了後、チャンバー内の温度を950℃に維持するとともに、炭素源であるアセチレンガス(流量:4SLM)をキャリアガスとしての窒素ガス(流量:17SLM)とともにチャンバー内に導入してバッファ層上に炭素源を供給した。これにより、バッファ層上にカーボンナノチューブを形成させた(CNT形成工程)。チャンバー内の加熱温度(950℃)の維持及び炭素源の供給を35分間継続した後、炭素源の供給及び雰囲気温度の加熱を停止し、チャンバー内の温度を自然放冷させた。その後、チャンバー内から冷却された銅メッシュ箔を取り出した。このようにして、銅メッシュ箔に形成されたバッファ層及びバッファ層上に形成されたカーボンナノチューブからなる実施例1に係るサンプルを作製した。なお、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドの熱分解温度は237℃である。また、NH4−EDTAの熱分解温度は247℃である。また、炭酸アンモニウムの熱分解温度は58℃である。
(実施例2)
CNT成長触媒含有塗布液作製工程にて、キレート剤として0.74gの乳酸を用いること以外は、実施例1と同様な材料及び方法により、実施例2に係るサンプルを作製した。なお、乳酸の沸点は122℃である。
(実施例3)
CNT成長触媒含有塗布液作製工程にて、キレート剤として1.05gのクエン酸を添加すること以外は、実施例1と同様な材料及び方法により、実施例3に係るサンプルを作製した。なお、クエン酸の熱分解温度は175℃である。
(実施例4)
CNT成長触媒含有塗布液作製工程にて、界面活性剤として0.02gのポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテルを添加すること以外は、実施例1と同様な材料及び方法により、実施例4に係るサンプルを作製した。なお、ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテルの沸点は270℃である。
(比較例1)
CNT成長触媒含有塗布液作製工程にて、pH調整剤を添加しないこと以外は、実施例1と同様な材料及び方法により、比較例1に係るサンプルを作製した。なお、比較例1にて作製したCNT成長触媒含有塗布液のpHは、0.9であった。
(比較例2)
CNT成長触媒含有塗布液作製工程にて、キレート剤を添加しないこと以外は、実施例1と同様な材料及び方法により、比較例2に係るサンプルを作製した。なお、比較例2にて作製したCNT成長触媒含有塗布液のpHは、6であった。
(比較例3)
CNT成長触媒含有塗布液作製工程にて、キレート剤として0.84gのトリエタノールアミンを添加すること、及び、pH調整剤を添加しないこと以外は、実施例1と同様な材料及び方法により、比較例3に係るサンプルを作製した。なお、比較例3にて作製したCNT成長触媒含有塗布液のpHは、2であった。
(比較例4)
CNT成長触媒含有塗布液作製工程にて、キレート剤として0.86gのアセチルアセトンを添加すること、及び、pH調整剤を添加しないこと以外は、実施例1と同様な材料及び方法により、比較例4に係るサンプルを作製した。なお、比較例4にて作製したCNT成長触媒含有塗布液のpHは、0.8であった。
(比較例5)
CNT成長触媒含有塗布液作製工程にて、キレート剤として0.86gのアセチルアセトンを添加すること、及び、pH調整剤(炭酸アンモニウム)によってCNT成長触媒含有塗布液のpHを2に調整すること以外は、実施例1と同様な材料及び方法により、比較例5に係るサンプルを作製した。
(比較例6)
CNT成長触媒含有塗布液作製工程にて、pH調整剤として固体の水酸化ナトリウムを添加してCNT成長触媒含有塗布液のpHを1.4に調整すること以外は、実施例1と同様な材料及び方法により、比較例6に係るサンプルを作製した。
(比較例7)
CNT成長触媒含有塗布液作製工程にて、溶媒として20gの水を用い、pH調整剤として、pH12.5の水酸化ナトリウム水溶液を添加してCNT成長触媒含有塗布液のpHを6に調整すること以外は、実施例1と同様な材料及び方法により、比較例7に係るサンプルを作製した。
(比較例8)
CNT成長触媒含有塗布液作製工程にて、pH調整剤としての水酸化ナトリウムを20gの水に溶解して作製したpH12.5の水酸化ナトリウム水溶液中に、1gの硝酸鉄九水和物(触媒金属の金属塩)、0.8gのEDTA−NH4(キレート剤)、0.02gのヘキサデジルトリメチルアンモニウムブロミド(界面活性剤)を添加して、pH6のCNT成長触媒含有塗布液を作製したこと以外は、実施例1と同様な材料及び方法により、比較例8に係るサンプルを作製した。
(比較例9)
CNT成長触媒含有塗布液作製工程にて、pH調整剤として炭酸アンモニウムを添加してCNT成長触媒含有塗布液のpHを3に調整すること以外は、実施例1と同様な材料及び方法により、比較例9に係るサンプルを作製した。
(比較例10)
CNT成長触媒含有塗布液作製工程にて、pH調整剤として0.25gの硝酸ナトリウムを添加してCNT成長触媒含有塗布液のpHを1に調整すること以外は、実施例1と同様な材料及び方法により、比較例10に係るサンプルを作製した。
(比較例11)
CNT成長触媒含有塗布液作製工程にて、pH調整剤(炭酸アンモニウム)の添加によりCNT成長触媒含有塗布液のpHを8に調整したこと以外は、実施例1と同様な材料及び方法により、比較例11に係るサンプルを作製した。
(比較例12)
CNT成長触媒含有塗布液作製工程にて、pH調整剤として、pH12.5の水酸化ナトリウム水溶液を添加して、CNT成長触媒含有塗布液のpHを7に調整したこと以外は、実施例1と同様な材料及び方法により、比較例12に係るサンプルを作製した。
表1に、各例に係るサンプルの作製に用いたCNT成長触媒含有塗布液の成分及び量、作製したCNT成長触媒含有塗布液の初期pH値を、示す。
<評価1.CNT成長触媒含有塗布液の安定性の評価>
各例のCNT成長触媒含有塗布液作製工程にて作製したCNT成長触媒含有塗布液を、常温雰囲気にて所定時間放置し、放置後のpH値、及び塗布液中の沈殿物の有無を目視確認した。なお、実施例1〜4においては、24時間放置したCNT成長触媒含有塗布液、48時間放置したCNT成長触媒含有塗布液、72時間放置したCNT成長触媒含有塗布液のそれぞれについて、pH値及び沈殿の有無を確認した。また、比較例9においては、24時間放置したCNT成長触媒含有塗布液のpH値及び沈殿の有無を確認し、その他の比較例においては、0時間放置した(すなわち放置しない)CNT成長触媒含有塗布液のpH値及び沈殿の有無を確認した。
<評価2.バッファ層の腐食の有無の評価>
実施例1〜4、比較例1,4,9のCNT成長触媒含有塗布液作製工程にて作製したCNT成長触媒含有塗布液が塗布されたバッファ層を有する銅メッシュ箔(集電体基板)を、常温雰囲気にて放置した。放置直後、放置開始から24時間経過時、放置開始から72時間経過時のそれぞれの時点において、バッファ層の腐食の有無を目視確認した。なお、実施例1〜4においては、評価1にて24時間放置したCNT成長触媒含有塗布液、48時間放置したCNT成長触媒含有塗布液、72時間放置したCNT成長触媒含有塗布液、のそれぞれを塗布したバッファ層を有する銅メッシュ箔(集電体基板)のそれぞれを放置し、放置直後、放置から24時間経過時、放置から72時間経過時のそれぞれの時点におけるバッファ層の腐食の有無を確認した。
<評価3.カーボンナノチューブの形成状態の評価>
実施例1〜4、比較例1,2,4,8〜12にて作製したサンプルのバッファ層の表面をSEMにより観察して、バッファ層上へのカーボンナノチューブの成長量(高さ)、カーボンナノチューブの形成状態の均一性を評価した。なお、実施例1〜4においては、評価1にて24時間放置したCNT成長触媒含有塗布液をバッファ層に塗布し、評価2にて基板(銅メッシュ箔)を放置することなく(溶媒を蒸発させたら直ちに)、CVD工程を実施することによりカーボンナノチューブを形成した場合、及び、評価1にて72時間放置したCNT成長触媒含有塗布液をバッファ層に塗布し、評価2にて基板を放置することなく、CVD工程を実施することによりカーボンナノチューブを形成した場合のそれぞれについて、カーボンナノチューブの形成状態を評価した。また、比較例1、4においては、評価1にて放置することなく、CNT成長触媒含有塗布液をバッファ層に塗布し、評価2にて基板を24時間放置した後(乾燥後)、CVD工程を実施した。また、比較例2においては、評価1にて放置することなく、CNT成長触媒含有塗布液をバッファ層に塗布し、評価2にて基板を放置することなく、CVD工程を実施した。また、比較例9においては、評価1にて24時間放置したCNT成長触媒含有バッファ層に塗布し、評価2にて基板を24時間放置した後、CVD工程を実施した。また、比較例8、10、11、12においては、評価1にて放置することなく、CNT成長触媒含有塗布液をバッファ層に塗布し、評価2にて基板を放置することなく、CVD工程を実施した。
表2に、上記評価1,2,3の評価結果を示す。
表2中の「CNT成長触媒含有塗布液の安定性評価」の評価結果からわかるように、実施例1〜4にて作製したCNT成長触媒含有塗布液については、作製後72時間放置しても塗布液中に沈殿物が生ずることなく、且つ、塗布液のpHもほとんど変化しない。この理由は以下のように推察することができる。すなわち、各実施例に係るCNT成長触媒含有塗布液のpHは7以下(具体的にはpH=6)であって塗布液中の水酸化物イオンが少ない。また、各実施例に係るCNT成長触媒含有塗布液中で触媒金属(鉄)がキレート剤と安定的にキレート結合しているために、塗布液中で触媒金属がキレート剤によって水酸化物イオンからガードされている。加えて、キレート剤は水に溶解したときに水酸化物イオンを生じるものではない(つまり、水に溶解したときにアルカリ性を呈しない)。さらに、pH調整剤は強アルカリ性でないので、pH調整剤をCNT成長触媒含有塗布液中に混合した直後に、塗布液中で局所的にpHが高い領域が生じることが抑制され、それ自体の存在が触媒金属の水酸化物の形成に寄与しない。以上のことから、触媒金属イオンが水酸化物イオンと結合して触媒金属の水酸化物が形成されることが十分に防止され、それ故に、触媒金属の水酸化物が塗布液中に沈殿することが防止されていると考えられる。このように、実施例1〜4に係るCNT成長触媒含有塗布液は、作製してから少なくとも3日間は、沈殿物を生じることなく保存できることがわかる。
これに対し、比較例2,3,5,6,7,8,11,12にて作製したCNT成長触媒含有塗布液については、それらを放置した直後に、すなわち放置時間0時間で塗布液中に沈殿物が生じる。これらの比較例に係るCNT成長触媒含有塗布液中に沈殿物が生じる理由は、次のように考えられる。
比較例2に係るCNT成長触媒含有塗布液にはキレート剤が含まれていないため、塗布液中で触媒金属がキレート剤に保護されていない。そのため、塗布液中で触媒金属イオンが水酸化物イオンと結合して水酸化物を形成する。こうして形成された触媒金属の水酸化物が塗布液中に沈殿したと考えられる。また、比較例3に係るCNT成長触媒含有塗布液のキレート剤はトリエタノールアミンであり、水に溶解するとアルカリ性を呈する。従って、塗布液中で触媒金属イオンがキレート剤とキレート結合する前にキレート剤から生じる水酸化イオンと結合して水酸化物を形成する。こうして形成された触媒金属の水酸化物が塗布液中に沈殿したと考えられる。また、比較例5に係るCNT成長触媒含有塗布液のキレート剤はアセチルアセトンであり、触媒金属とキレート結合するためのキレート剤としての機能が弱い。そのため、pH調整剤で塗布液のpHを比較例4に示すpH(0.8)からわずかに上げただけで、触媒金属イオンが水酸化物イオンと結合して水酸化物を形成してしまう。つまり、比較例4にてキレート剤として用いたアセチルアセトンは、本実施形態のCNT成長触媒含有塗布液のpHの範囲(4〜7)においてはキレート剤として機能しないため、塗布液中で触媒金属の水酸化物が形成される。こうして形成された触媒金属の水酸化物が塗布液中に沈殿したと考えられる。また、比較例6,7,8,12に係るCNT成長触媒含有塗布液のpH調整剤は強アルカリである水酸化ナトリウムであるので、塗布液中で触媒金属イオンがpH調整剤の水酸化物イオンと結合して水酸化物を形成する。こうして形成された触媒金属の水酸化物が塗布液中に沈殿したと考えられる。また、比較例11に係るCNT成長触媒含有塗布液は、そのpHが8であり、塗布液中の水酸化物イオンが多いため、塗布液中にキレート剤が含まれているにも関わらず、塗布液中で触媒金属イオンが水酸化物イオンと結合して水酸化物を形成する。こうして形成された触媒金属の水酸化物が塗布液中に沈殿したと考えられる。
また、表2中の「バッファ層の腐食の有無の評価」の評価結果からわかるように、実施例1〜4にて作製したCNT成長触媒含有塗布液が塗布されたバッファ層は、CNT成長触媒含有塗布液が塗布されてから72時間経過しても腐食しない。よって、実施例1〜4にて作製したCNT成長触媒含有塗布液が塗布されたバッファ層は、塗布から72時間は、保管しておくことができる。各実施例に係るCNT成長触媒含有塗布液が塗布されたバッファ層が腐食しない理由は、各実施例に係るCNT成長触媒含有塗布液のpHが4以上(具体的にはpH=6)であるためと考えられる。
これに対し、比較例1,4,9にて作製したCNT成長触媒含有塗布液が塗布されたバッファ層は、CNT成長触媒含有塗布液が塗布されてから24時間経過した時点で腐食する。なお、比較例1,4,9に係るCNT成長触媒含有塗布液のpHは3以下であり、その液性は比較的強い酸性である。そのため、バッファ層(アルミニウム薄膜)が腐食したと考えられる。また、この結果から、CNT成長触媒含有塗布液のpHが4以上であれば、それをバッファ層(アルミニウム薄膜)に塗布しても、バッファ層が腐食しないことがわかる。
さらに、表2中の「カーボンナノチューブの形成状態評価」の評価結果からわかるように、実施例1〜4にて作製したサンプルのバッファ層には、十分な長さのカーボンナノチューブが均一に成長している。この理由は以下のように推察される。すなわち、各実施例に係るCNT成長触媒含有塗布液を構成する成分のうち、触媒金属以外の成分は、CVD工程におけるカーボンナノチューブの成長開始温度以下の温度で気体に分解され又は蒸発する物質により構成される。従って、CVD工程の昇温工程で、塗布液の成分のうち触媒金属以外の成分がバッファ層から除去され、カーボンナノチューブの成長開始の時点では、バッファ層上には触媒金属のみが担持されている。このため、塗布液の残渣がバッファ層上に存在することに起因したカーボンナノチューブの成長の阻害が防止される。また、上記したように各実施例に係るCNT成長触媒含有塗布液中には、触媒金属がキレート化された状態で均一分散している。従って、このように触媒金属が均一分散したCNT成長触媒含有塗布液がバッファ層に塗布されることにより、そのバッファ層から形成されるカーボンナノチューブも均一に形成される。
図1は、実施例1に係るサンプルのバッファ層及びバッファ層上に形成されたカーボンナノチューブを示すSEM画像であり、図2は、実施例2に係るサンプルのバッファ層及びバッファ層上に形成されたカーボンナノチューブを示すSEM画像であり、図3は、実施例3に係るサンプルのバッファ層及びバッファ層上に形成されたカーボンナノチューブを示すSEM画像であり、図4は、実施例4に係るサンプルのバッファ層及びバッファ層上に形成されたカーボンナノチューブを示すSEM画像である。なお、図1(a)、図2(a)、図4(a)は、CNT成長触媒含有塗布液を放置せずにバッファ層に塗布し、その後にCVD工程を実施した場合における、カーボンナノチューブのSEM画像であり、図1(b)、図2(b)、図4(b)は、CNT成長触媒含有塗布液を3日間放置した後にバッファ層に塗布し、その後にCVD工程を実施した場合における、カーボンナノチューブのSEM画像である。図1乃至図4からもわかるように、十分な長さのカーボンナノチューブが均一にバッファ層上に形成され、且つ、配向成長している。
一方、比較例8,10,12にて作製したサンプルのバッファ層には、カーボンナノチューブが形成されていない。図5は、比較例10にて作製したサンプルのバッファ層を表面から撮像したSEM画像であり、図6は、比較例12にて作製したサンプルのバッファ層を表面から撮像したSEM画像である。図5に示すように、比較例10にて作製したサンプルにはカーボンナノチューブが全く形成されていない。また、図6に示すように、比較例12にて作製したサンプルのバッファ層には、わずかにカーボンナノチューブらしきものが散見されるが、実質的にカーボンナノチューブが形成されていないといえる。
また、比較例1,2,4,9,11にて作製したサンプルのバッファ層には、カーボンナノチューブが形成されているものの、バッファ層上に均一には形成されていない。図7は、比較例1にて作製したサンプルのバッファ層を表面から撮像したSEM画像である。図8は、比較例2にて作製したサンプルのバッファ層を表面から撮像したSEM画像である。図9は、比較例4にて作製したサンプルのバッファ層を表面から撮像したSEM画像である。図10は、比較例9にて作製したサンプルのバッファ層を表面から撮像したSEM画像である。図11は、比較例11にて作製したサンプルのバッファ層を表面から撮像したSEM画像である。これらの図からわかるように、比較例1,2,4,9,11にて作製したサンプルのバッファ層には、部分的にカーボンナノチューブが形成されているが、その形成状態は不均一である。
なお、比較例8,10,12に係るCNT成長触媒含有塗布液に用いられるpH調整剤にはナトリウムが含まれている。このため、CVD工程の昇温工程を経た場合であってもpH調整剤中のナトリウムが残渣としてバッファ層に残り、こうしてバッファ層上に残ったナトリウムが、CVD工程におけるカーボンナノチューブの形成を阻害したと考えられる。また、比較例2,11に係るCNT成長触媒含有塗布液中には、触媒金属の水酸化物が沈殿している。このため、塗布液中に触媒金属が均一分散していない。よって、そのような塗布液を塗布したバッファ層にも触媒金属が均一分散せず、それ故に、カーボンナノチューブの形成状態が不均一であると考えられる。
本発明は、上記実施例に限定されるべきものではない。例えば、上記実施例では、触媒金属として鉄を用いているが、カーボンナノチューブの形成のための触媒金属であれば、それ以外の金属でもよい。また、上記実施例では、CNT成長触媒含有塗布液のpHが6である例を示しているが、CNT成長触媒含有塗布液のpHは、4以上であり且つ7以下であればよい。また、CNT成長触媒含有塗布液の成分のうち、触媒金属の金属塩のアニオン、キレート剤、界面活性剤、pH調整剤は、カーボンナノチューブの成長開始温度以下の温度で気体に分解され又は蒸発する物質により構成されていれば、上記実施例で示した物質以外の物質を用いてもよい。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、変形可能である。

Claims (5)

  1. 表面にアルミニウムを有する基板に塗布する配向性カーボンナノチューブ成長触媒含有塗布液であって、
    溶媒としての水と、
    カーボンナノチューブの形成に用いられる触媒金属の金属塩と、
    前記触媒金属とキレート結合し得るキレート剤と、
    pH調整剤と、
    を含み、
    前記pH調整剤によって、pHが4以上且つ7以下に調整されている、
    配向性カーボンナノチューブ成長触媒含有塗布液。
  2. 請求項1に記載の配向性カーボンナノチューブ成長触媒含有塗布液において、
    界面活性剤をさらに含む、
    配向性カーボンナノチューブ成長触媒含有塗布液。
  3. 請求項2に記載の配向性カーボンナノチューブ成長触媒含有塗布液において、
    前記金属塩を構成する前記触媒金属以外の成分が、カーボンナノチューブの成長開始温度以下の温度で気体に分解され又は蒸発する物質により構成されている、
    配向性カーボンナノチューブ成長触媒含有塗布液。
  4. 請求項3に記載の配向性カーボンナノチューブ成長触媒含有塗布液において、
    前記金属塩を構成する前記触媒金属以外の成分が500℃以下の温度で気体に分解され又は蒸発する物質により構成されている、
    配向性カーボンナノチューブ成長触媒含有塗布液。
  5. 蓄電デバイスの集電体基板に形成される配向性カーボンナノチューブの製造方法であって、
    前記集電体基板上に形成されたバッファ層上に、溶媒としての水と、カーボンナノチューブの形成に用いられる触媒金属の金属塩と、前記触媒金属とキレート結合し得るキレート剤と、pH調整剤と、界面活性剤を含み、前記pH調整剤によって、pHが4以上且つ7以下に調整され、且つ、前記金属塩を構成する前記触媒金属以外の成分が、カーボンナノチューブの成長開始温度以下の温度で気体に分解され又は蒸発する物質により構成されている配向性カーボンナノチューブ成長触媒含有塗布液を塗布する塗布工程と、
    前記バッファ層上に塗布された前記配向性カーボンナノチューブ成長触媒含有塗布液を乾燥させる乾燥工程と、
    前記乾燥工程の後に、前記バッファ層を前記成長開始温度以上の温度に加熱するとともに、炭素源を前記バッファ層上に供給することにより、前記バッファ層上にカーボンナノチューブを形成させるカーボンナノチューブ形成工程と、
    を含む、配向性カーボンナノチューブの製造方法。
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