JP4520377B2 - 含フッ素共重合体およびその製造方法 - Google Patents
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これを解決する手段として、α−トリフルオロメチルアクリル酸エステルとビニルモノマーの共重合が提案されており(非特許文献1、特許文献2)、高い透明性を有することが記載されている。ここで、α−トリフルオロメチルアクリル酸エステルはラジカル単独重合性に乏しく他のコモノマーと共重合させる必要があるが、電子求引性のオレフィンに属するため、ラジカル共重合する場合には電子供与性の置換基を有するビニルモノマーを利用することが好ましい。ビニルエーテル類とビニルエステル類がその典型である。しかしながらビニルエーテルとの共重合は発熱が大きくバルク重合(無溶媒での重合)が困難であるという問題点を有し、分子量分布が広くなりやすく透明性が低下する懸念がある。また、一般式CH2=CHOCORで表されるビニルエステル類との共重合体も特許文献2で提案されているが、耐熱性が低く、機械強度が低いという問題点を有している。
そのため、低吸湿性、透明性、耐熱性に優れ、かつバルク重合が可能で機械強度も良好な含フッ素ポリマーの開発が望まれていた。
具体的には、下記手段により達成された。
(1)下記一般式(1)で表される繰り返し単位xモル%と、下記一般式(2)で表される繰り返し単位yモル%と、アクリレート類、メタクリレート類、スチレン類、ビニルエステル類、ビニルエーテル類およびジオキセン類由来の繰り返し単位zモル%のみからなり、xおよびyのいずれもが30モル%以上であり、zは0モル%以上であり、数平均分子量が1,000〜1,000,000であることを特徴とする共重合体。
(2)前記一般式(1)中のR1が、フッ素原子を含むアルキル基である、(1)に記載の共重合体。
(3)前記一般式(2)のR2がアルキル基である、(1)または(2)に記載の共重合体。
(4)下記一般式(3)で表される化合物1種以上と、下記一般式(4)で表される化合物1種以上と、アクリレート類、メタクリレート類、スチレン類、ビニルエステル類、ビニルエーテル類およびジオキセン類の1種以上とを、これらのモル比(%)を該順に、x、y、zとしたとき、xおよびyがそれぞれ30%以上、zが0%以上、かつ、xとyとzの合計が100%となる比率で、重合させてなる数平均分子量が1,000〜1,000,000である共重合体。
(5)前記一般式(3)中のR1が、フッ素原子を含むアルキル基である、(4)に記載の共重合体。
(6)前記一般式(4)のR2がアルキル基である、(4)または(5)に記載の共重合体。
(7)下記一般式(3)で表される化合物1種以上と、下記一般式(4)で表される化合物1種以上と、アクリレート類、メタクリレート類、スチレン類、ビニルエステル類、ビニルエーテル類およびジオキセン類の1種以上を、これらのモル比(%)を該順に、x、y、zとしたとき、xおよびyがそれぞれ30%以上、zが0%以上、かつ、xとyとzの合計が100%となる比率で、重合開始剤の存在下、ラジカル重合させる工程を含む、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の共重合体の製造方法。
本発明の共重合体は、下記一般式(1)で表される繰り返し単位と、下記一般式(2)で表される繰り返し単位とを含む共重合体である。
一般式(1)
一般式(2)
アルキル基としては直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、直鎖または分岐が好ましく、直鎖が好ましい。アルキル基の炭素数は1〜6であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,3,3,−テトラフルオロプロピル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル基、1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチル基(ヘキサフルオロイソプロピル基)などが挙げられる。
アリール基である場合は、炭素数6〜9であることが好ましく、フェニル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基が好ましく、ペンタフルオロフェニル基が特に好ましい。
アルキル基である場合、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、直鎖が好ましい。アルキル基の炭素数は1〜6であることが好ましい。好ましいアルキル基の具体的としてはメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基などが挙げられる。
アリール基である場合、炭素数6〜9であることが好ましく、具体的にはフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基などが挙げられる。
アルコキシ基である場合は、炭素数1〜7であることが好ましく、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、フェニルオキシ基などが挙げられる。
アミノ基(アニリノ基を含む)である場合は炭素数1〜7であることが好ましく、具体的にはN,N−ジメチルアミノ基、ピペリジノ基、アニリノ基などが挙げられる。
この中でも、ハロゲン原子が好ましく、フッ素原子がより好ましい。
また、一般式(1)で表される繰り返し単位および一般式(2)で表される繰り返し単位は、それぞれ、1種類のみを含んでいてもよいし、いずれかまたは両方について2種類以上を含んでいてもよい。
本発明の共重合体は、下記一般式(3)で表される化合物1種以上と、一般式(4)で表される化合物1種以上を重合させて製造することができる。さらに、1種または2種以上の別の化合物(モノマー)を含んで重合させてもよい。
また、本発明では、一般式(3)で表される化合物および/または一般式(4)で表される化合物を、複数種類用いてもよい。
一般式(4)中、R2はアルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアミノ基を表し、一般式(2)におけるR2と同義であり、好ましい範囲も同義である。
水性媒体中で行うプロセスの場合には、さらに無機のフリ−ラジカル発生剤、例えば過硫酸塩または「レドックス」化合物を用いることができる。
重量平均分子量(Mw)では、好ましくは、4,000〜1,000,000であり、より好ましくは20,000〜600,000である。
Mw/Mn比は、好ましくは、4.5以下であり、より好ましくは3.5以下である。
また、ガラス転移温度(Tg)は、好ましくは25〜250℃、より好ましくは60〜200℃、さらに好ましくは80〜180℃である。
また、本発明の共重合体の弾性率は、後術する実施例に記載の条件で、2000Mpa以上であることが好ましく、2000〜3000Mpaであることがより好ましい。
さらに、本発明の共重合体の屈折率は、1.5以下が好ましく、1.45以下がより好ましい。
本発明の重合体は、光学部材の材料として有用である。本発明の重合体を含む光学部材として、例えば光ファイバー(車載用も含む)、光導波路等の光導性素子類、スチールカメラ用、ビデオカメラ用、望遠鏡用、眼鏡用、プラスチックコンタクトレンズ用、太陽光集光用等のレンズ類、凹面鏡、ポリゴン等の鏡類、ペンタプリズム類等のプリズム類などが挙げられる。そして、高耐熱性、低吸湿性、モノマーを選択することにより複屈折の非常に小さいポリマーも得ることが可能であることから散乱板、光ディスクなどの基板、および光スイッチに用いることも可能である。
ポリマーの平均分子量は、得られたコポリマーの一部をテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)によって測定した。本発明におけるコポリマーの数平均分子量(Mn)は、ポリスチレンを標準物質とした値である。
なお、装置は、HLC−8220(東ソー製)、カラムはTSKgel SuperHZM-H ( 4.6 mmI.D.×15 cm )、TSKgel SuperHZ4000 ( 4.6 mmI.D.×15 cm )、 TSKgel SuperHZ2000 ( 4.6 mmI.D.×15 cm ) の3本を連結して使用した。
試料濃度は2質量%、インジェクト量は10μl、流速0.35 ml/minで、RI検出器を用いて行った。
共重合体を構成する各モノマーの割合(モル比)は、1H NMRの積分値より決定した。このときの溶媒にはアセトン-d6、またはTHF-d8を用いた。
示差走査熱量計(セイコー電子社製、DSC6200、)を用いて10℃/分で昇温して測定した。
まず、高温プレス機を用い後術する再沈精製後の粉末状ポリマーから厚さ200μmのポリマーフィルムを作製し、ここから100mm×500mmのフィルムを切り出してこれを試験片とした。この試験片を用い、テンシロン万能試験機(ORIENTEC 社製、品番 RTC−1210A)によって、引張速度3mm/分、測定温度25℃にて弾性率、引張破断強度(引張強度)を測定した。
屈折率計(DR−M2、ATAGO社製)を用い、観測波長589nm、測定温度25℃にて上記で作製したフィルム試験片の屈折率測定を行った。
2−トリフルオロエチル−α−トリフルオロメチルアクリレート(3−1)(東ソー製)、酢酸イソプロペニル(4−1)(東京化成工業製)、重合開始剤として2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業製)を用いて合成した。
容量20mlの試験管に(3−1)3.51g(15.8mmol)、(4−1)1.58g(15.8mmol)および2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)14.6mg(0.064mmol)を入れて軽く振り混ぜた。アルゴンで置換した後シリコン栓で密栓し、50℃で24時間静置して重合を行った。試験管を割ってロッド状のポリマーを取り出し、これをTHFに溶解し、ヘキサンに注いで再沈を行った。得られた粉体を再度THFに溶解し、ヘキサンに注いで再度再沈操作を行い、減圧乾燥して白色粉体3.97g(78%)を得た。1H−NMRの積分値から算出した組成比(モル比)は、(3−1)47%、(4−1)53%であった。GPCにて分子量を測定したところ、数平均分子量(Mn)は7.9万、重量平均分子量(Mw)は25.7万、Mw/Mn=3.2であった。
この共重合体のTgは83℃、屈折率は1.420であった。また、本発明の共重合体は、光学部材として用いるに好ましい低吸湿性を有していた。
この共重合体をTHFに溶解してスライドガラス上にコートし、加熱してTHFを蒸発させた。得られたフィルムは完全に透明であった。高温プレス機を用いて作製したフィルムの強度をテンシロンで測定した結果、この共重合体の弾性率は2330MPa、引張強度は36.3MPaであった。
用いるモノマーを(3−1)を等モル(15.8mmol)の(3−2)に代えて、実施例1と同様にして、粉体状の共重合体を得た(収率74%)。1H−NMRの積分値から算出した組成比(モル比)は、(3−2)46%、(4−1)54%であった。GPCにて分子量を測定したところ、数平均分子量(Mn)は7.6万、重量平均分子量(Mw)は24.8万、Mw/Mn=3.3であった。
この共重合体のTgは81℃、屈折率は1.423であった。
この共重合体をTHFに溶解してスライドガラス上にコートし、加熱してTHFを蒸発させて得たフィルムは完全に透明であった。高温プレス機を用いて作製したフィルムの強度をテンシロンで測定した結果、この共重合体の弾性率は2280MPa、引張強度は33.8MPaであった。
GPCにて分子量を測定したところ、数平均分子量(Mn)は5.1万、重量平均分子量(Mw)は57万、Mw/Mn=11.1であった。
この共重合体の屈折率は1.420であった。
この共重合体をTHFに溶解してスライドガラス上にコートし、加熱してTHFを蒸発させて得たフィルムは完全に透明であった。高温プレス機を用いて作製したフィルムの強度をテンシロンで測定した結果、この共重合体の弾性率は1820MPa、引張強度は28.6MPaであった。
GPCにて分子量を測定したところ、数平均分子量(Mn)は10.1万、重量平均分子量(Mw)は70万、Mw/Mn=6.9であった。
この共重合体の屈折率は1.452であった。
この共重合体をTHFに溶解してスライドガラス上にコートし、加熱してTHFを蒸発させて得たフィルムはわずかに白くにごっていた。高温プレス機を用いて作製したフィルムの強度をテンシロンで測定した結果、この共重合体の弾性率は1320MPa、引張強度は19.9MPaであった。
Claims (7)
- 前記一般式(1)中のR1が、フッ素原子を含むアルキル基である、請求項1に記載の共重合体。
- 前記一般式(2)のR2がアルキル基である、請求項1または2に記載の共重合体。
- 前記一般式(3)中のR1が、フッ素原子を含むアルキル基である、請求項4に記載の共重合体。
- 前記一般式(4)のR2がアルキル基である、請求項4または5に記載の共重合体。
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