JP6056628B2 - フマル酸ジエステル−ケイ皮酸エステル系共重合体及びその製造方法 - Google Patents

フマル酸ジエステル−ケイ皮酸エステル系共重合体及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6056628B2
JP6056628B2 JP2013085661A JP2013085661A JP6056628B2 JP 6056628 B2 JP6056628 B2 JP 6056628B2 JP 2013085661 A JP2013085661 A JP 2013085661A JP 2013085661 A JP2013085661 A JP 2013085661A JP 6056628 B2 JP6056628 B2 JP 6056628B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mol
residue unit
fumaric acid
cinnamate
residue
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013085661A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014129503A (ja
Inventor
貴裕 北川
貴裕 北川
亨 土井
亨 土井
藤井 靖芳
靖芳 藤井
孝太 坂口
孝太 坂口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tosoh Corp
Original Assignee
Tosoh Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority to JP2013085661A priority Critical patent/JP6056628B2/ja
Application filed by Tosoh Corp filed Critical Tosoh Corp
Priority to CN201380062188.6A priority patent/CN104812789B/zh
Priority to EP13859393.4A priority patent/EP2927250B1/en
Priority to US14/647,715 priority patent/US9512284B2/en
Priority to PCT/JP2013/081678 priority patent/WO2014084178A1/ja
Priority to KR1020157013207A priority patent/KR102115142B1/ko
Priority to TW102143172A priority patent/TWI598366B/zh
Publication of JP2014129503A publication Critical patent/JP2014129503A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6056628B2 publication Critical patent/JP6056628B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Polarising Elements (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Description

本発明は、新規なフマル酸ジエステル−ケイ皮酸エステル系共重合体及びその製造方法に関するものであり、さらに詳細には、フィルム等への適用も期待される高分子量の新規なフマル酸ジエステル−ケイ皮酸エステル系共重合体及びそれを効率的に製造する方法に関するものである。
液晶ディスプレイは、マルチメディア社会における最も重要な表示デバイスとして、携帯電話、コンピュータ用モニター、ノートパソコン、テレビまで幅広く使用されている。液晶ディスプレイには表示特性向上のため多くの光学フィルムが用いられており、特に位相差フィルムは正面や斜めから見た場合のコントラストの向上、色調の補償等大きな役割を果たしている。従来の位相差フィルムとしては、ポリカーボネートや環状ポリオレフィンが使用されており、これらの高分子はいずれも正の複屈折を有する高分子である。
そして、負の複屈折を有する高分子としてはアクリル樹脂やポリスチレンがあるが、アクリル樹脂は位相差が小さく、位相差フィルムとしての特性は十分でない。ポリスチレンは、低温領域での光弾性係数が大きいためにわずかな応力で位相差が変化するなど位相差の安定性の課題、位相差の波長依存性が大きいといった光学特性上の課題、さらに耐熱性が低いという実用上の課題があり、現状用いられていない。
負の複屈折を有する位相差フィルムへの市場の要求に対して、フマル酸ジエステル系樹脂及びそれよりなるフィルムが提案されている(例えば、特許文献1〜5参照)。
特開2008−112141号公報 特開2012−032784号公報 WO2012/005120号公報 特開2008−129465号公報 特開2006−193616号公報
特許文献1〜5で提案されたフマル酸ジエステル系樹脂及びそれよりなるフィルムは、高い面外位相差を発現するものであるものの、現状においては、薄膜においてもフィルムとしての特性を維持しつつ、より高い面外位相差を発現する樹脂の出現が求められている。
本発明の目的は、フィルムとした際も優れた強度を保持することが期待される高分子量の新規なフマル酸ジエステル−ケイ皮酸エステル系共重合体およびそれを効率よく製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定のフマル酸ジエステル−ケイ皮酸エステル系共重合体が上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、フマル酸ジエステル残基単位、炭素数1〜6のアルキル基を有するケイ皮酸エステル残基単位及び2個以上のラジカル重合性官能基を有する多官能単量体の残基単位を含むことを特徴とするフマル酸ジエステル−ケイ皮酸エステル系共重合体ならびにそれの製造方法に関するものである。
以下、本発明のフマル酸ジエステル−ケイ皮酸エステル系共重合体について詳細に説明する。
本発明のフマル酸ジエステル−ケイ皮酸エステル系共重合体は、フマル酸ジエステル残基単位、炭素数1〜6のアルキル基を有するケイ皮酸エステル残基単位及び2個以上のラジカル重合性官能基を有する多官能単量体の残基単位を含むフマル酸ジエステル−ケイ皮酸エステル系共重合体である。
ここで、フマル酸ジエステル残基単位としては、例えば、フマル酸ジメチル残基単位、フマル酸ジエチル残基単位、フマル酸ジイソプロピル残基単位、フマル酸ジn−ブチル残基単位、フマル酸ジs−ブチル残基単位、フマル酸ジt−ブチル残基単位、フマル酸ジn−ペンチル残基単位、フマル酸ジs−ペンチル残基単位、フマル酸ジt−ペンチル残基単位、フマル酸ジn−ヘキシル残基単位、フマル酸ジs−ヘキシル残基単位、フマル酸ジt−ヘキシル残基単位、フマル酸ジシクロプロピル残基単位、フマル酸ジシクロペンチル残基単位、フマル酸ジシクロヘキシル残基単位、フマル酸ビス(2−エチルヘキシル)残基単位等が挙げられ、これらは1種または2種以上含まれていても良い。そして、特に高分子量を有するフマル酸ジエステル−ケイ皮酸エステル系共重合体を効率よく得ることが可能になることから、フマル酸ジエチル残基単位、フマル酸ジイソプロピル残基単位が好ましい。
また、炭素数1〜6のアルキル基を有するケイ皮酸エステル残基単位における炭素数1〜6のアルキル基は、それぞれ独立しており、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。また、これらはフッ素、塩素等のハロゲン基;エーテル基;エステル基またはアミノ基等で置換されていてもよい。炭素数1〜6のアルキル基を有するケイ皮酸エステル残基単位としては、炭素数1〜6のアルキル基を有するケイ皮酸エステルから誘導されるものを挙げることができる。そして、炭素数1〜6のアルキル基を有するケイ皮酸エステルとしては、例えば、ケイ皮酸メチル、ケイ皮酸エチル、ケイ皮酸n−プロピル、ケイ皮酸イソプロピル、ケイ皮酸n−ブチル、ケイ皮酸イソブチル、ケイ皮酸t−ブチル、ケイ皮酸n−ペンチル、ケイ皮酸n−ヘキシル等が挙げられる。また、これらは1種または2種以上含まれていてもよい。そして、その中でも、特に高分子量を有するフマル酸ジエステル−ケイ皮酸エステル系共重合体を効率よく得ることが可能となることから、ケイ皮酸メチル残基単位、ケイ皮酸エチル残基単位、ケイ皮酸イソプロピル残基単位であることが好ましい。
また、2個以上のラジカル重合性官能基を有する多官能単量体の残基単位におけるラジカル重合性官能基としては、例えば、ビニル基、メタクリル基等を挙げることができ、これらラジカル重合性官能基を2個以上有していた多官能単量体の残基単位であれば如何なるものでもよい。該残基単位を誘導するラジカル重合性官能基を2個以上有していた多官能単量体としては、多官能性ビニル系化合物、多官能性メタクリル系化合物等が挙げられ、これらは1種または2種以上含まれていてもよい。多官能性ビニル系化合物としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、トリビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジビニルナフタレン、ジビニルフルオレン、ジビニルカルバゾール、ジビニルピリジン等の芳香族ポリビニル化合物;アジピン酸ジビニル、マレイン酸ジビニル、フタル酸ジビニル、イソフタル酸ジビニル、イタコン酸ジビニル等のポリビニルエステル化合物;マレイン酸ジアリル、フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、アジピン酸ジアリル等のポリアリルエステル化合物;ジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、プロパンジオールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、1−メチルプロパンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、1−エチルエチレングリコールジビニルエーテル、1−メチルプロパンジオールジビニルエーテル、2−メチルプロパンジオールジビニルエーテル、1,1−ジメチルエチレングリコールジビニルエーテル、1,2−ジメチルエチレングリコールジビニルエーテル、1−エチルエチレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、1,3−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、1,2−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、p−キシレングリコールジビニルエーテル、m−キシレングリコールジビニルエーテル、o−キシレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエチレングリコールジビニルエーテル、オリゴエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールジビニルエーテル、テトラプロピレングリコールジビニルエーテル、ペンタプロピレングリコールジビニルエーテル、オリゴプロピレングリコールジビニルエーテル、ポリプロピレングリコールジビニルエーテル、エチレングリコール−プロピレングリコール共重合体ジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−ビニロキシメチルプロピル、(メタ)アクリル酸2−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1,1−ジメチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸p−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸m−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸o−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロポキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロポキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロポキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロポキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールモノビニルエーテル等の2個以上のラジカル重合性官能基を有する多官能性ビニルエーテル;ジアリルエーテル、ジアリルオキシエタン、トリアリルオキシエタン、テトラアリルオキシエタン、テトラアリルオキシプロパン、テトラアリルオキシブタン、テトラメタリルオキシエタン等のポリアリルエーテル化合物;1,4−ジビニルパーフルオロブタン、1,6−ジビニルパーフルオロヘキサン、1,8−ジビニルパーフルオロオクタン等のポリビニルフッ素化合物;1,4−フェニレンビスマレイミド、1,1’−(メチレンジ−4,1−フェニレン)ビスマレイミド等のビスマレイミド類等が挙げられる。また、多官能性メタクリル系化合物としては、例えば、ベンゼントリメタクリル酸エステル、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジメタクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジメタクリレート、グリセリントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート等が挙げられる。そして、本発明のフマル酸ジエステル−ケイ皮酸エステル系共重合体は、2個以上のラジカル重合性官能基を有する多官能単量体の残基単位を含んでなることにより、より高分子量化が達成できると共に、重合体となる際の単量体の重合転化率も高く、生産性の効率にも優れるものとなるものである。ここで、2個以上のラジカル重合性官能基を有する多官能単量体の残基単位としては、本発明の共重合体がフィルムとして用いられる場合に、得られるフィルムがより靱性に優れるものとなり、より優れた強度を保持するものとなるため、芳香族ポリビニル化合物又は2個以上のラジカル重合性官能基を有する多官能性ビニルエーテルであることが好ましい。なお、該多官能性ビニルエーテルは、1個以上のビニルエーテル単位を有する部位を含む多官能性ビニルエーテルであれば、特に制限はない。
該フマル酸ジエステル−ケイ皮酸エステル系共重合体は、本発明の範囲を超えない限り、他の単量体残基単位を含有していてもよく、他の単量体残基単位としては、例えば、スチレン残基単位、α−メチルスチレン残基単位等のスチレン類残基単位;(メタ)アクリル酸残基単位;(メタ)アクリル酸メチル残基単位、(メタ)アクリル酸エチル残基単位、(メタ)アクリル酸ブチル残基単位等の(メタ)アクリル酸エステル残基単位;酢酸ビニル残基単位、プロピオン酸ビニル残基単位等のビニルエステル類残基単位;アクリロニトリル残基単位;メタクリロニトリル残基単位;メチルビニルエーテル残基単位、エチルビニルエーテル残基単位、ブチルビニルエーテル残基単位等のビニルエーテル類残基単位;N−メチルマレイミド残基単位、N−シクロヘキシルマレイミド残基単位、N−フェニルマレイミド残基単位等のN−置換マレイミド類残基単位;エチレン残基単位、プロピレン残基単位等のオレフィン類残基単位より選ばれる1種または2種以上を挙げることができる。
本発明のフマル酸ジエステル−ケイ皮酸エステル系共重合体の組成は、溶媒等の溶解性に優れ、フィルムとした際の強度等に優れる高分子量体のフマル酸ジエステル−ケイ皮酸エステル系共重合体となることから、フマル酸ジエステル残基単位50〜98モル%、炭素数1〜6のアルキル基を有するケイ皮酸エステル残基単位1〜49モル%及び2個以上のラジカル重合性官能基を有する多官能単量体の残基単位0.01〜1モル%が好ましく、フマル酸ジエステル残基単位50〜98.5モル%、炭素数1〜6のアルキル基を有するケイ皮酸エステル残基単位1〜49.5モル%及び2個以上のラジカル重合性官能基を有する多官能単量体の残基単位0.01〜0.5%がさらに好ましく、フマル酸ジエステル残基単位69.7〜96.7モル%、炭素数1〜6のアルキル基を有するケイ皮酸エステル残基単位3〜30モル%及び2個以上のラジカル重合性官能基を有する多官能単量体の残基単位0.01〜0.3モル%が特に好ましい。
本発明のフマル酸ジエステル−ケイ皮酸エステル系共重合体は、機械特性、フィルムとした際の強度に優れたものとなることから、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー(GPC)により測定した溶出曲線より得られる標準ポリスチレン換算の数平均分子量が70000〜500000であることが好ましく、80000〜500000であることがさらに好ましく、80000〜300000であることが特に好ましく、90000〜300000であることが最も好ましい。
本発明のフマル酸ジエステル−ケイ皮酸エステル系共重合体の製造方法としては、フマル酸ジエステル−ケイ皮酸エステル系共重合体が得られる限りにおいて如何なる方法により製造してもよく、例えば、フマル酸ジエステル、炭素数1〜6のアルキル基を有するケイ皮酸エステル及び2個以上のラジカル重合性官能基を有する多官能単量体のラジカル重合等を行うことにより製造することができる。そして、その際の炭素数1〜6のアルキル基を有するケイ皮酸エステルとしては、上記した炭素数1〜6のアルキル基を有するケイ皮酸エステル残基単位を誘導する化合物等を挙げることができる。また、2個以上のラジカル重合性官能基を有する多官能単量体としては、上記した2個以上のラジカル重合性官能基を有していた多官能単量体の残基単位を誘導する化合物等を挙げることができる。
前記ラジカル重合は公知の重合方法、例えば、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、沈殿重合法、乳化重合法のいずれも採用可能である。
ラジカル重合を行う際のラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等の有機過酸化物;2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−ブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等のアゾ系開始剤等が挙げられる。
そして、溶液重合法、懸濁重合法、沈殿重合法、乳化重合法において使用可能な溶媒として特に制限はなく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒;シクロヘキサン;ジ
オキサン;テトラヒドロフラン;アセトン;メチルエチルケトン;ジメチルホルムアミド;酢酸イソプロピル;水等が挙げられ、これらの混合溶媒も挙げられる。
また、ラジカル重合を行う際の重合温度は、ラジカル重合開始剤の分解温度に応じて適宜設定することができ、反応の制御が容易であることから、一般的には30〜150℃の範囲で行うことが好ましい。
さらに、本発明のフマル酸ジエステル−ケイ皮酸エステル系共重合体を製造する際には、より高分子量のフマル酸ジエステル−ケイ皮酸エステル系共重合体をより効率よく製造することが可能となることから、フマル酸ジエステル50〜98モル%、炭素数1〜6のアルキル基を有するケイ皮酸エステル1〜49モル%、2個以上のラジカル重合性官能基を有する多官能単量体0.01〜1モル%の割合で含む合計単量体を100モル%として、ラジカル重合開始剤0.001〜2モル%の存在下、ラジカル重合反応を行うことが好ましい。
本発明のフマル酸ジエステル−ケイ皮酸エステル系共重合体は、溶媒に対する溶解性に優れ、溶液キャスト等の方法により、フィルムとすることが可能であり、該フィルムはフィルム強度等に優れるものとなる。
本発明は、分子量が高いことから、フィルム等とした際の特性に優れる新規なフマル酸ジエステル−ケイ皮酸エステル系共重合体及び該フマル酸ジエステル−ケイ皮酸エステル系共重合体を効率よく製造する方法を提供するものである。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、実施例により示す諸物性は、以下の方法により測定した。
<フマル酸ジエステル−ケイ皮酸エステル系共重合体の組成>
核磁気共鳴測定装置(日本電子製、商品名JNM−GX270)を用い、プロトン核磁気共鳴分光(H−NMR)スペクトル分析より求めた。
<数平均分子量の測定>
ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー(GPC)装置(東ソー製、商品名C0−8011(カラムGMHHR―Hを装着))を用い、テトラヒドロフランを溶媒として、40℃で測定し、標準ポリスチレン換算値として求めた。
実施例1(フマル酸ジイソプロピル−ケイ皮酸エチル系共重合体の製造)
容量75mLのガラスアンプルにフマル酸ジイソプロピル50g(0.25モル(95.02モル%))、ケイ皮酸エチル2.3g(0.013モル(4.94モル%))、ラジカル重合性多官能単量体としてジビニルベンゼン0.014g(1.1×10−4モル(0.04モル%))および重合開始剤であるtert−ブチルパーオキシピバレート0.29g(0.0016モル(0.61モル%))を入れ、窒素置換と抜圧を繰り返したのち減圧状態で熔封した。このアンプルを50℃の恒温槽に入れ、144時間保持することによりラジカル重合を行った。重合反応終了後、アンプルから重合物を取り出し、テトラヒドロフラン400gで溶解させた。このポリマー溶液を3Lのメタノール中に滴下して析出させた後、80℃で10時間真空乾燥することにより、フマル酸ジイソプロピル−ケイ皮酸エチル系共重合体28.8gを得た(収率:55%)。
得られたフマル酸ジイソプロピル−ケイ皮酸エチル系共重合体の数平均分子量は109000であった。
また、H−NMR測定により、共重合体組成はフマル酸ジイソプロピル残基単位/ケイ皮酸エチル残基単位/ジビニルベンゼン残基単位=94.97/4.99/0.04(モル%)であることを確認した。
実施例2(フマル酸ジイソプロピル−ケイ皮酸エチル系共重合体の製造)
容量75mLのガラスアンプルにフマル酸ジイソプロピル50g(0.25モル(85.24モル%))、ケイ皮酸エチル7.6g(0.043モル(14.66モル%))、ラジカル重合性多官能単量体としてジビニルベンゼン0.038g(2.9×10−4モル(0.10モル%))および重合開始剤であるtert−ブチルパーオキシピバレート0.32g(0.0018モル(0.61モル%))を入れ、窒素置換と抜圧を繰り返したのち減圧状態で熔封した。このアンプルを50℃の恒温槽に入れ、144時間保持することによりラジカル重合を行った。重合反応終了後、アンプルから重合物を取り出し、テトラヒドロフラン400gで溶解させた。このポリマー溶液を3Lのメタノール中に滴下して析出させた後、80℃で10時間真空乾燥することにより、フマル酸ジイソプロピル−ケイ皮酸エチル系共重合体32.3gを得た(収率:57%)。
得られたフマル酸ジイソプロピル−ケイ皮酸エチル系共重合体の数平均分子量は110000であった。
また、H−NMR測定により、共重合体組成はフマル酸ジイソプロピル残基単位/ケイ皮酸エチル残基単位/ジビニルベンゼン残基単位=82.95/16.95/0.1(モル%)であることを確認した。
実施例3(フマル酸ジイソプロピル−ケイ皮酸エチル系共重合体の製造)
容量75mLのガラスアンプルにフマル酸ジイソプロピル50g(0.25モル(69.99モル%))、ケイ皮酸エチル18.9g(0.107モル(29.96モル%))、ラジカル重合性多官能単量体として1,1’−(メチレンジ−4,1−フェニレン)ビスマレイミド0.064g(1.8×10−4モル(0.05モル%))および重合開始剤であるtert−ブチルパーオキシピバレート0.39g(0.0023モル(0.64モル%))を入れ、窒素置換と抜圧を繰り返したのち減圧状態で熔封した。このアンプルを50℃の恒温槽に入れ、168時間保持することによりラジカル重合を行った。重合反応終了後、アンプルから重合物を取り出し、テトラヒドロフラン400gで溶解させた。このポリマー溶液を3Lのメタノール中に滴下して析出させた後、80℃で10時間真空乾燥することにより、フマル酸ジイソプロピル−ケイ皮酸エチル系共重合体35.2gを得た(収率:51%)。
得られたフマル酸ジイソプロピル−ケイ皮酸エチル系共重合体の数平均分子量は120000であった。
また、H−NMR測定により、共重合体組成はフマル酸ジイソプロピル残基単位/ケイ皮酸エチル残基単位/1,1’−(メチレンジ−4,1−フェニレン)ビスマレイミド残基単位=70.97/28.98/0.05(モル%)であることを確認した。
実施例4(フマル酸ジイソプロピル−ケイ皮酸メチル系共重合体の製造)
容量75mLのガラスアンプルにフマル酸ジイソプロピル50g(0.25モル(85.30モル%))、ケイ皮酸メチル7.2g(0.043モル(14.67モル%))、ラジカル重合性多官能単量体として1,4−ブタンジオールジメタクリレート0.02g(8.7×10−5モル(0.03モル%))および重合開始剤であるtert−ブチルパーオキシピバレート0.16g(0.0009モル(0.31モル%))を入れ、窒素置換と抜圧を繰り返したのち減圧状態で熔封した。このアンプルを46℃の恒温槽に入れ、168時間保持することによりラジカル重合を行った。重合反応終了後、アンプルから重合物を取り出し、テトラヒドロフラン400gで溶解させた。このポリマー溶液を3Lのメタノール中に滴下して析出させた後、80℃で10時間真空乾燥することにより、フマル酸ジイソプロピル−ケイ皮酸メチル系共重合体31.5gを得た(収率:55%)。
得られたフマル酸ジイソプロピル−ケイ皮酸メチル系共重合体の数平均分子量は112000であった。
また、H−NMR測定により、共重合体組成はフマル酸ジイソプロピル残基単位/ケイ皮酸メチル残基単位/1,4−ブタンジオールジメタクリレート残基単位=85.98/13.99/0.03(モル%)であることを確認した。
実施例5(フマル酸ジイソプロピル−ケイ皮酸イソプロピル系共重合体の製造)
容量75mLのガラスアンプルにフマル酸ジイソプロピル50g(0.25モル(85.30モル%))、ケイ皮酸イソプロピル8.4g(0.043モル(14.67モル%))、ラジカル重合性多官能単量体としてジビニルベンゼン0.023g(1.8×10−4モル(0.03モル%))および重合開始剤であるtert−ブチルパーオキシピバレート0.32g(0.0018モル(0.61モル%))を入れ、窒素置換と抜圧を繰り返したのち減圧状態で熔封した。このアンプルを50℃の恒温槽に入れ、144時間保持することによりラジカル重合を行った。重合反応終了後、アンプルから重合物を取り出し、テトラヒドロフラン400gで溶解させた。このポリマー溶液を3Lのメタノール中に滴下して析出させた後、80℃で10時間真空乾燥することにより、フマル酸ジイソプロピル−ケイ皮酸イソプロピル系共重合体33.9gを得た(収率:58%)。
得られたフマル酸ジイソプロピル−ケイ皮酸イソプロピル系共重合体の数平均分子量は102000であった。
また、H−NMR測定により、共重合体組成はフマル酸ジイソプロピル残基単位/ケイ皮酸イソプロピル残基単位/ジビニルベンゼン残基単位=84.96/14.98/0.06(モル%)であることを確認した。
実施例6(フマル酸ジエチル−ケイ皮酸エチル系共重合体の製造)
容量75mLのガラスアンプルにフマル酸ジエチル50g(0.29モル(95.67モル%))、ケイ皮酸エチル2.3g(0.013モル(4.29モル%))、ラジカル重合性多官能単量体としてジビニルベンゼン0.014g(1.1×10−4モル(0.036モル%))および重合開始剤であるtert−ブチルパーオキシピバレート0.29g(0.0016モル(0.61モル%))を入れ、窒素置換と抜圧を繰り返したのち減圧状態で熔封した。このアンプルを50℃の恒温槽に入れ、144時間保持することによりラジカル重合を行った。重合反応終了後、アンプルから重合物を取り出し、テトラヒドロフラン400gで溶解させた。このポリマー溶液を3Lのメタノール中に滴下して析出させた後、80℃で10時間真空乾燥することにより、フマル酸ジエチル−ケイ皮酸エチル系共重合体27.7gを得た(収率:53%)。
得られたフマル酸ジエチル−ケイ皮酸エチル系共重合体の数平均分子量は105000であった。
また、H−NMR測定により、共重合体組成はフマル酸ジエチル残基単位/ケイ皮酸エチル残基単位/ジビニルベンゼン残基単位=95.66/4.29/0.05(モル%)であることを確認した。
実施例7(フマル酸ジイソプロピル−ケイ皮酸エチル系共重合体の製造)
容量75mLのガラスアンプルにフマル酸ジイソプロピル50g(0.25モル(95.01モル%))、ケイ皮酸エチル2.3g(0.013モル(4.94モル%))、トリエチレングリコールジビニルエーテル0.026g(1.3×10−4モル(0.05モル%))および重合開始剤であるtert−ブチルパーオキシピバレート0.29g(0.0016モル(0.61モル%))を入れ、窒素置換と抜圧を繰り返したのち減圧状態で熔封した。このアンプルを50℃の恒温槽に入れ、144時間保持することによりラジカル重合を行った。重合反応終了後、アンプルから重合物を取り出し、テトラヒドロフラン400gで溶解させた。このポリマー溶液を3Lのメタノール中に滴下して析出させた後、80℃で10時間真空乾燥することにより、フマル酸ジイソプロピル−ケイ皮酸エチル系共重合体27.2gを得た(収率:52%)。
得られたフマル酸ジイソプロピル−ケイ皮酸エチル系共重合体の数平均分子量は108000であった。
また、H−NMR測定により、共重合体組成はフマル酸ジイソプロピル残基単位/ケイ皮酸エチル残基単位/ビニルエーテルの残基単位=94.96/4.99/0.05(モル%)であることを確認した。
実施例8(フマル酸ジイソプロピル−ケイ皮酸エチル系共重合体の製造)
容量75mLのガラスアンプルにフマル酸ジイソプロピル50g(0.25モル(85.05モル%))、ケイ皮酸エチル7.6g(0.043モル(14.63モル%))、トリエチレングリコールジビニルエーテル0.19g(9.4×10−4モル(0.32モル%))および重合開始剤であるtert−ブチルパーオキシピバレート0.32g(0.0018モル(0.61モル%))を入れ、窒素置換と抜圧を繰り返したのち減圧状態で熔封した。このアンプルを50℃の恒温槽に入れ、144時間保持することによりラジカル重合を行った。重合反応終了後、アンプルから重合物を取り出し、テトラヒドロフラン400gで溶解させた。このポリマー溶液を3Lのメタノール中に滴下して析出させた後、80℃で10時間真空乾燥することにより、フマル酸ジイソプロピル−ケイ皮酸エチル系共重合体32.3gを得た(収率:56%)。
得られたフマル酸ジイソプロピル−ケイ皮酸エチル系共重合体の数平均分子量は125000であった。
また、H−NMR測定により、共重合体組成はフマル酸ジイソプロピル残基単位/ケイ皮酸エチル残基単位/ビニルエーテルの残基単位=82.78/16.94/0.28(モル%)であることを確認した。
実施例9(フマル酸ジイソプロピル−ケイ皮酸エチル系共重合体の製造)
容量75mLのガラスアンプルにフマル酸ジイソプロピル50g(0.25モル(70.00モル%))、ケイ皮酸エチル18.9g(0.107モル(29.96モル%))、ジエチレングリコールジビニルエーテル0.025g(1.5×10−4モル(0.04モル%))および重合開始剤であるtert−ブチルパーオキシピバレート0.39g(0.0023モル(0.64モル%))を入れ、窒素置換と抜圧を繰り返したのち減圧状態で熔封した。このアンプルを50℃の恒温槽に入れ、168時間保持することによりラジカル重合を行った。重合反応終了後、アンプルから重合物を取り出し、テトラヒドロフラン400gで溶解させた。このポリマー溶液を3Lのメタノール中に滴下して析出させた後、80℃で10時間真空乾燥することにより、フマル酸ジイソプロピル−ケイ皮酸エチル系共重合体36.5gを得た(収率:53%)。
得られたフマル酸ジイソプロピル−ケイ皮酸エチル系共重合体の数平均分子量は101000であった。
また、H−NMR測定により、共重合体組成はフマル酸ジイソプロピル残基単位/ケイ皮酸エチル残基単位/ビニルエーテルの残基単位=70.98/28.98/0.04(モル%)であることを確認した。
実施例10(フマル酸ジイソプロピル−ケイ皮酸メチル系共重合体の製造)
容量75mLのガラスアンプルにフマル酸ジイソプロピル50g(0.25モル(85.31モル%))、ケイ皮酸メチル7.2g(0.043モル(14.67モル%))、ブタンジオールジビニルエーテル0.009g(6.3×10−5モル(0.02モル%))および重合開始剤であるtert−ブチルパーオキシピバレート0.16g(0.0009モル(0.31モル%))を入れ、窒素置換と抜圧を繰り返したのち減圧状態で熔封した。このアンプルを46℃の恒温槽に入れ、168時間保持することによりラジカル重合を行った。重合反応終了後、アンプルから重合物を取り出し、テトラヒドロフラン400gで溶解させた。このポリマー溶液を3Lのメタノール中に滴下して析出させた後、80℃で10時間真空乾燥することにより、フマル酸ジイソプロピル−ケイ皮酸メチル系共重合体30.9gを得た(収率:54%)。
得られたフマル酸ジイソプロピル−ケイ皮酸メチル系共重合体の数平均分子量は98000であった。
また、H−NMR測定により、共重合体組成はフマル酸ジイソプロピル残基単位/ケイ皮酸メチル残基単位/ビニルエーテルの残基単位=85.99/13.99/0.02(モル%)であることを確認した。
実施例11(フマル酸ジイソプロピル−ケイ皮酸イソプロピル系共重合体の製造)
容量75mLのガラスアンプルにフマル酸ジイソプロピル50g(0.25モル(85.04モル%))、ケイ皮酸イソプロピル8.4g(0.043モル(14.63モル%))、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル0.19g(9.7×10−4モル(0.33モル%))および重合開始剤であるtert−ブチルパーオキシピバレート0.32g(0.0018モル(0.61モル%))を入れ、窒素置換と抜圧を繰り返したのち減圧状態で熔封した。このアンプルを50℃の恒温槽に入れ、144時間保持することによりラジカル重合を行った。重合反応終了後、アンプルから重合物を取り出し、テトラヒドロフラン400gで溶解させた。このポリマー溶液を3Lのメタノール中に滴下して析出させた後、80℃で10時間真空乾燥することにより、フマル酸ジイソプロピル−ケイ皮酸イソプロピル系共重合体33.9gを得た(収率:58%)。
得られたフマル酸ジイソプロピル−ケイ皮酸イソプロピル系共重合体の数平均分子量は143000であった。
また、H−NMR測定により、共重合体組成はフマル酸ジイソプロピル残基単位/ケイ皮酸イソプロピル残基単位/ビニルエーテルの残基単位=84.73/14.97/0.3(モル%)であることを確認した。
実施例12(フマル酸ジイソプロピル−ケイ皮酸エチル系共重合体の製造)
容量75mLのガラスアンプルにフマル酸ジイソプロピル50g(0.25モル(94.83モル%))、ケイ皮酸エチル2.3g(0.013モル(4.93モル%))、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル0.12g(6.4×10−4モル(0.24モル%))および重合開始剤であるtert−ブチルパーオキシピバレート0.29g(0.0016モル(0.61モル%))を入れ、窒素置換と抜圧を繰り返したのち減圧状態で熔封した。このアンプルを50℃の恒温槽に入れ、144時間保持することによりラジカル重合を行った。重合反応終了後、アンプルから重合物を取り出し、テトラヒドロフラン400gで溶解させた。このポリマー溶液を3Lのメタノール中に滴下して析出させた後、80℃で10時間真空乾燥することにより、フマル酸ジイソプロピル−ケイ皮酸エチル系共重合体29.3gを得た(収率:56%)。
得られたフマル酸ジイソプロピル−ケイ皮酸エチル系共重合体の数平均分子量は129000であった。
また、H−NMR測定により、共重合体組成はフマル酸ジイソプロピル残基単位/ケイ皮酸エチル残基単位/ビニルエーテルの残基単位=94.77/4.99/0.24(モル%)であることを確認した。
比較例1
ラジカル重合性多官能単量体であるジビニルベンゼンを用いなかった以外は、実施例1と同様の方法により、フマル酸ジイソプロピル−ケイ皮酸エチル共重合体17gを得た(収率:33%)。
得られたフマル酸ジイソプロピル−ケイ皮酸エチル共重合体の数平均分子量は72000と低く、収率も33%と極めて低いものであった。H−NMR測定により得られた共重合体組成はフマル酸ジイソプロピル残基単位/ケイ皮酸エチル残基単位=95/5(モル%)であった。
比較例2
ラジカル重合性多官能単量体であるジビニルベンゼンを用いなかった以外は、実施例2と同様の方法により、フマル酸ジイソプロピル−ケイ皮酸エチル共重合体8gを得た(収率:15%)。
得られたフマル酸ジイソプロピル−ケイ皮酸エチル共重合体の数平均分子量は54000と低く、収率も15%と極めて低いものであった。H−NMR測定により得られた共重合体組成はフマル酸ジイソプロピル残基単位/ケイ皮酸エチル残基単位=83/17(モル%)であった。
比較例3
ラジカル重合性多官能単量体である1,1’−(メチレンジ−4,1−フェニレン)ビスマレイミドを用いなかった以外は、実施例3と同様の方法により、フマル酸ジイソプロピル−ケイ皮酸エチル共重合体13gを得た(収率:19%)。
得られたフマル酸ジイソプロピル−ケイ皮酸エチル共重合体の数平均分子量は61000と低く、収率も19%と極めて低いものであった。H−NMR測定により得られた共重合体組成はフマル酸ジイソプロピル残基単位/ケイ皮酸エチル残基単位=71/29(モル%)であった。
比較例4
ラジカル重合性多官能単量体である1,4−ブタンジオールジメタクリレートを用いなかった以外は、実施例4と同様の方法により、フマル酸ジイソプロピル−ケイ皮酸メチル共重合体5gを得た(収率:8%)。
得られたフマル酸ジイソプロピル−ケイ皮酸メチル共重合体の数平均分子量は78000と低く、収率も8%と極めて低いものであった。また、H−NMR測定により得られた共重合体組成はフマル酸ジイソプロピル残基単位/ケイ皮酸メチル残基単位=86/14(モル%)であった。
比較例5
ラジカル重合性多官能単量体であるジビニルベンゼンを用いなかった以外は、実施例5と同様の方法により、フマル酸ジイソプロピル−ケイ皮酸イソプロピル共重合体11gを得た(収率:18%)。
得られたフマル酸ジイソプロピル−ケイ皮酸イソプロピル共重合体の数平均分子量は49000と低く、収率も18%と極めて低いものであった。また、H−NMR測定により得られた共重合体組成はフマル酸ジイソプロピル残基単位/ケイ皮酸イソプロピル残基単位=85/15(モル%)であった。
比較例6
ラジカル重合性多官能単量体であるジビニルベンゼンを用いなかった以外は、実施例6と同様の方法により、フマル酸ジエチル−ケイ皮酸エチル共重合体11gを得た(収率:21%)。
得られたフマル酸ジエチル−ケイ皮酸エチル共重合体の数平均分子量は54000と低く、収率も21%と極めて低いものであった。H−NMR測定により得られた共重合体組成はフマル酸ジエチル残基単位/ケイ皮酸エチル残基単位=96/4(モル%)であった。
本発明は、高分子量の新規なフマル酸ジエステル−ケイ皮酸エステル系共重合体及び該フマル酸ジエステル−ケイ皮酸エステル系共重合体を効率よく製造する方法を提供するものであり、該フマル酸ジエステル−ケイ皮酸エステル系共重合体はフィルム等としての利用が期待されるものである。

Claims (6)

  1. フマル酸ジエステル残基単位50〜98モル%、炭素数1〜6のアルキル基を有するケイ皮酸エステル残基単位1〜49モル%及び2個以上のラジカル重合性官能基を有する多官能単量体の残基単位0.01〜1モル%を含むことを特徴とするフマル酸ジエステル−ケイ皮酸エステル系共重合体。
  2. 標準ポリスチレン換算の数平均分子量が70000〜500000であることを特徴とする請求項1に記載のフマル酸ジエステル−ケイ皮酸エステル系共重合体。
  3. フマル酸ジエステル残基単位がフマル酸ジエチル残基単位又はフマル酸ジイソプロピル残基単位であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフマル酸ジエステル−ケイ皮酸エステル系共重合体。
  4. ケイ皮酸エステル残基単位が、ケイ皮酸メチル残基単位、ケイ皮酸エチル残基単位およびケイ皮酸イソプロピル残基単位からなる群より選択されることを特徴とする請求項1〜請求項のいずれかに記載のフマル酸ジエステル−ケイ皮酸エステル共重合体。
  5. 2個以上のラジカル重合性官能基を有する多官能単量体の残基単位が芳香族ポリビニル化合物の残基単位又は2個以上のラジカル性官能基を有する多官能性ビニルエーテルの残基単位であることを特徴とする請求項1〜請求項のいずれかに記載のフマル酸ジエステル−ケイ皮酸エステル系共重合体。
  6. フマル酸ジエステル50〜98モル%、炭素数1〜6のアルキル基を有するケイ皮酸エステル1〜49モル%、2個以上のラジカル重合性官能基を有する多官能単量体0.01〜1モル%の割合で含む合計単量体を100モル%として、ラジカル重合開始剤0.001〜2モル%の存在下、ラジカル重合反応を行うことを特徴とするフマル酸ジエステル−ケイ皮酸エステル系共重合体の製造方法。
JP2013085661A 2012-11-28 2013-04-16 フマル酸ジエステル−ケイ皮酸エステル系共重合体及びその製造方法 Active JP6056628B2 (ja)

Priority Applications (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013085661A JP6056628B2 (ja) 2012-11-28 2013-04-16 フマル酸ジエステル−ケイ皮酸エステル系共重合体及びその製造方法
EP13859393.4A EP2927250B1 (en) 2012-11-28 2013-11-25 (fumaric acid diester)-(cinnamic acid ester) copolymer, method for producing same, and film produced using same
US14/647,715 US9512284B2 (en) 2012-11-28 2013-11-25 Fumaric acid diester-cinnamic acid ester-based copolymer, production method thereof and film using the same
PCT/JP2013/081678 WO2014084178A1 (ja) 2012-11-28 2013-11-25 フマル酸ジエステル-ケイ皮酸エステル系共重合体、その製造方法及びそれを用いたフィルム
CN201380062188.6A CN104812789B (zh) 2012-11-28 2013-11-25 富马酸二酯-肉桂酸酯类共聚物、其制造方法及使用其的膜
KR1020157013207A KR102115142B1 (ko) 2012-11-28 2013-11-25 푸마르산디에스테르-계피산에스테르계 공중합체, 그 제조 방법 및 그것을 사용한 필름
TW102143172A TWI598366B (zh) 2012-11-28 2013-11-27 Fumaric acid diester-cinnamic acid ester-based copolymer, a process for producing the same, and a film using the copolymer

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012259771 2012-11-28
JP2012259771 2012-11-28
JP2013085661A JP6056628B2 (ja) 2012-11-28 2013-04-16 フマル酸ジエステル−ケイ皮酸エステル系共重合体及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014129503A JP2014129503A (ja) 2014-07-10
JP6056628B2 true JP6056628B2 (ja) 2017-01-11

Family

ID=51408167

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013085661A Active JP6056628B2 (ja) 2012-11-28 2013-04-16 フマル酸ジエステル−ケイ皮酸エステル系共重合体及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6056628B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014205814A (ja) * 2013-04-16 2014-10-30 東ソー株式会社 フマル酸ジイソプロピル−ケイ皮酸エステル−ビスマレイミド共重合樹脂及びその製造方法

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2022191288A1 (ja) 2021-03-10 2022-09-15

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4362989B2 (ja) * 2001-05-09 2009-11-11 日油株式会社 光学的立体造形用組成物および造形物
JP2004168915A (ja) * 2002-11-20 2004-06-17 Nof Corp 光硬化性樹脂組成物および硬化物
ES2432385T3 (es) * 2008-06-18 2013-12-03 Henkel Corporation Aparato y métodos para la polimerización radical controlada
JP5830949B2 (ja) * 2010-07-06 2015-12-09 東ソー株式会社 位相差フィルム用フマル酸ジエステル系樹脂及びそれよりなる位相差フィルム

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014205814A (ja) * 2013-04-16 2014-10-30 東ソー株式会社 フマル酸ジイソプロピル−ケイ皮酸エステル−ビスマレイミド共重合樹脂及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014129503A (ja) 2014-07-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6136508B2 (ja) フマル酸ジイソプロピル−ケイ皮酸エステル−ビスマレイミド共重合樹脂及びその製造方法
US9512284B2 (en) Fumaric acid diester-cinnamic acid ester-based copolymer, production method thereof and film using the same
JP2017165944A (ja) メタクリル系樹脂の製造方法
JP2007016084A (ja) 共重合体およびその製造方法
JP5822225B2 (ja) 炭化水素系共重合体およびその製造方法、並びに成形体
JP6056628B2 (ja) フマル酸ジエステル−ケイ皮酸エステル系共重合体及びその製造方法
JP5475367B2 (ja) N−ビニルカルバゾール共重合体位相差フィルムおよびn−ビニルカルバゾール共重合体位相差フィルムの製造方法
JP6040752B2 (ja) フマル酸ジイソプロピル−ケイ皮酸エステル−アクリレート共重合樹脂及びその製造方法
JP6603998B2 (ja) フマル酸ジエステル−アルコキシケイ皮酸エステル系共重合体及びその製造方法
JP7087295B2 (ja) 重合体及びその製造方法並びにそれを用いた光学フィルム
JP6515503B2 (ja) フマル酸ジエステル−アルコキシケイ皮酸エステル共重合体及びそれを用いた位相差フィルム
JP7251052B2 (ja) 共重合体の製造方法
WO2016084747A1 (ja) アルコキシケイ皮酸エステル系重合体及びそれを用いた位相差フィルム
JP2020105260A (ja) 重合体及びそれを用いた光学フィルム
JP6557985B2 (ja) アルコキシケイ皮酸エステル系共重合体及びその製造方法
JP7167493B2 (ja) 共重合体の製造方法
JP2018188569A (ja) アクリル系ブロック共重合体、樹脂組成物、フィルム
JP5590486B2 (ja) フマル酸エステル系ブロック重合体及びその製造方法
JP2013250371A (ja) 光学フィルムおよび画像表示装置
JP6015838B2 (ja) アルコキシケイ皮酸エステル系重合体及びそれを用いた位相差フィルム
JP2017149932A (ja) フマル酸ジエステル/(メタ)アクリレート共重合体及びその製造方法
JP6443836B2 (ja) 位相差フィルム
TWI257398B (en) Polymer with methyl methacrylate as main component
JP6213132B2 (ja) trans−スチルベン−無水マレイン酸共重合体及びそれを用いた位相差フィルム
JP6213135B2 (ja) trans−スチルベン−N−置換マレイミド共重合体及びそれを用いた位相差フィルム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160311

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160816

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161007

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20161108

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20161121

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6056628

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151