JPH11119170A - 高含水コンタクトレンズおよびその製法 - Google Patents

高含水コンタクトレンズおよびその製法

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JPH11119170A
JPH11119170A JP28181697A JP28181697A JPH11119170A JP H11119170 A JPH11119170 A JP H11119170A JP 28181697 A JP28181697 A JP 28181697A JP 28181697 A JP28181697 A JP 28181697A JP H11119170 A JPH11119170 A JP H11119170A
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alkyl
contact lens
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meth
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Hideaki Kamiya
英昭 神谷
Hiroyo Fukagawa
裕余 深川
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Tomey Technology Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた光学的性質を有し、高含水性及び良好
な酸素透過性であり、同時に高機械的強度を有するコン
タクトレンズ及びこれを簡単な工程で製造する方法を提
供すること。 【解決手段】 一般式(I): 【化6】 (式中、R1及びR2は水素原子又は炭素数1〜2のアル
キル基、R3は水素原子、炭素数1〜12のアルキル基
又は炭素数6〜12の置換可能なアリール基)で表わさ
れるマレイミド誘導体2〜20重量部、スチレン及び/
又はα−メチルスチレン2〜20重量部、N,N−ジメ
チルアクリルアミド及び/又はN−ビニルピロリドン6
0〜80重量部、並びに(メタ)アクリル酸アルキルエ
ステル、イタコン酸アルキルエステル、クロトン酸アル
キルエステル、脂肪族カルボン酸ビニルエステル、(メ
タ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、酢酸イソ
プロペニル及びα−メチレン−N−メチルピロリドンの
1種以上5〜30重量部を含有した重合成分を重合させ
た重合体からなる高含水コンタクトレンズ、並びにその
製法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高含水コンタクト
レンズおよびその製法に関する。さらに詳しくは、高含
水率を有し、良好な酸素透過性を呈すると同時に、機械
的強度、ゴム硬度などの物理的特性にすぐれた高含水コ
ンタクトレンズおよび該コンタクトレンズを容易に製造
する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】含水性コンタクトレンズは、他の硬質コ
ンタクトレンズに比べて、装用感のよさ、眼との馴染み
やすさ(生体適合性のよさ)などの点ですぐれており、
視力補正の必要な患者にとって、最初に装用する際に異
物感もなく受け入れられることから、コンタクトレンズ
分野における含水性ソフトコンタクトレンズ装用者の比
率が増大しつつある。
【0003】従来の含水性ソフトコンタクトレンズ材料
としては、主としてOH基を有するアクリル系誘導体、
たとえば2−ヒドロキシエチルメタクリレートのポリマ
ーが使用されてきた。この材料は吸水して膨潤し、透明
性も良好で、機械加工性にもすぐれているので、もっと
も一般的な含水性ソフトコンタクトレンズ材料である。
【0004】しかしながら、含水性コンタクトレンズの
ばあい、角膜生理上必要な酸素は、材料が吸収した水分
を介して取り入れられるため、従来の2−ヒドロキシエ
チルメタクリレートを主成分とする含水性コンタクトレ
ンズのように低い含水率では、長時間にわたって装用す
ることが困難であった。
【0005】そこで、近年、レンズ材料の含水率を一層
高めることにより、長期間にわたる装用を可能にした高
含水ソフトコンタクトレンズが市場に登場している。こ
の高含水ソフトコンタクトレンズは、N−ビニルピロリ
ドンまたはN,N−ジメチルアクリルアミドを主成分と
する材料からなり、多量の水分を吸収することができる
ので、レンズを通して充分な酸素を供給し、眼に対する
安全性を向上させるものである。
【0006】しかしながら、前記高含水コンタクトレン
ズ用の材料は、含水率が高くなると機械的強度が急激に
低下し、そのためレンズが破れたり、表面に傷が生じた
りするなど、レンズの寿命が短いという問題がある。逆
に、含水率を低くすると、酸素透過性が低下してしま
う。したがって、酸素透過性および機械的強度を同時に
充分に満足する材料(ヒドロゲル)の開発が望まれてい
る。
【0007】こうした状況のもとで前記問題を解決する
ために、たとえば、(1)まず、(メタ)アクリル酸ア
ルキルエステルを用いて重合性基を有する重合体をあら
かじめ調製しておき、つぎに該重合体とN,N−ジメチ
ルアクリルアミドなどとを共重合させる方法(特公平5
−29091号公報)、(2)重合体の分子中に特定の
反応性基を導入させるための成分を含有させて重合を行
ない、反応性基との反応性を有するモノマーを反応させ
てえられた重合体と、N,N−ジメチルアクリルアミド
とを共重合させる方法(特公平4−81612号公
報)、(3)親水性モノマーと疎水性モノマーとを、こ
れら両者と架橋しやすいモノマーを用いて重合させ、形
成されたポリマーが互いに分子鎖網目に侵入して絡み合
った構造(INP体)を有するソフトコンタクトレンズ
を製造する方法(特公昭59−23271号公報)、
(4)N,N−ジメチルアクリルアミド、疎水性モノマ
ー、不飽和カルボン酸および特定の架橋剤を一定割合で
共重合させることにより、高含水コンタクトレンズをう
る方法(特許第2543335号)などが提案されてお
り、これらの方法によって種々のコンタクトレンズが提
供されている。
【0008】前記(1)、(2)の方法は、疎水性モノ
マーが本来発現すべき性質を引き出すために、あらかじ
め重合性基を有する重合体(マクロマー)を調製したの
ち、親水性モノマーとさらに重合させる方法である。こ
れらの方法によれば、機能的に満足するコンタクトレン
ズをうることは可能であるが、前もってマクロマーを調
製することが困難であったり、工程が煩雑であるといっ
た欠点がある。
【0009】前記(3)の方法は、親水性モノマーと疎
水性モノマーとを別々に重合させるために、親水性モノ
マーには、たとえばN−ビニルピロリドンなどのビニル
基を有するモノマー、疎水性モノマーには、たとえばメ
チルメタクリレートなどの(メタ)アクリロイル基を有
するモノマーといった重合性基が異なるモノマーが用い
られる。しかしながら、たとえば前記ビニル基は一般に
重合性が低いため、未重合のN−ビニルピロリドンや未
架橋のポリマーが溶出しやすいなどの欠点がある。
【0010】前記(4)の方法は、特定の架橋剤を使用
して含水率の調節と引張強度の付与とを行なっている
が、かかる特定の架橋剤は入手が困難であり、また不飽
和カルボン酸を併用することで、より高含水性にしてい
るため、レンズはイオン性の材料となり、汚れが付着し
やすいなどの欠点がある。
【0011】このように、現在のところ、酸素透過性お
よび機械的強度を同時に満足する含水性コンタクトレン
ズ材料およびその容易な製造方法が未だ見出されておら
ず、これらの開発が待ち望まれている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術に鑑みてなされたものであり、すぐれた光学的性質を
有することはもちろんのこと、高含水性であり、良好な
酸素透過性を呈すると同時に、すぐれた機械的強度を有
するコンタクトレンズおよび該コンタクトレンズを簡単
な工程で製造する方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、 (A)一般式(I):
【0014】
【化3】
【0015】(式中、R1およびR2はそれぞれ独立して
水素原子または炭素数1〜2のアルキル基、R3は水素
原子、炭素数1〜12のアルキル基または炭素数6〜1
2の置換されていてもよいアリール基を示す)で表わさ
れるマレイミド誘導体2〜20重量部、(B)スチレン
および/またはα−メチルスチレン2〜20重量部、
(C)N,N−ジメチルアクリルアミドおよび/または
N−ビニルピロリドン60〜80重量部、ならびに
(D)(メタ)アクリル酸アルキルエステル、イタコン
酸アルキルエステル、クロトン酸アルキルエステル、脂
肪族カルボン酸ビニルエステル、(メタ)アクリル酸ヒ
ドロキシアルキルエステル、酢酸イソプロペニルおよび
α−メチレン−N−メチルピロリドンから選ばれた少な
くとも1種のモノマー5〜30重量部を含有した重合成
分を重合させてえられた重合体からなる高含水コンタク
トレンズ、 (A)一般式(I):
【0016】
【化4】
【0017】(式中、R1およびR2はそれぞれ独立して
水素原子または炭素数1〜2のアルキル基、R3は水素
原子、炭素数1〜12のアルキル基または炭素数6〜1
2の置換されていてもよいアリール基を示す)で表わさ
れるマレイミド誘導体2〜20重量部、(B)スチレン
および/またはα−メチルスチレン2〜20重量部、
(C)N,N−ジメチルアクリルアミドおよび/または
N−ビニルピロリドン60〜80重量部、ならびに
(D)(メタ)アクリル酸アルキルエステル、イタコン
酸アルキルエステル、クロトン酸アルキルエステル、脂
肪族カルボン酸ビニルエステル、(メタ)アクリル酸ヒ
ドロキシアルキルエステル、酢酸イソプロペニルおよび
α−メチレン−N−メチルピロリドンから選ばれた少な
くとも1種のモノマー5〜30重量部を均一に混合して
重合成分を調製し、該重合成分を重合させることを特徴
とする高含水コンタクトレンズの製法、ならびに 前記製法によってえられた高含水コンタクトレンズに
関する。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明において、(A)一般式
(I):
【0019】
【化5】
【0020】(式中、R1およびR2はそれぞれ独立して
水素原子または炭素数1〜2のアルキル基、R3は水素
原子、炭素数1〜12のアルキル基または炭素数6〜1
2の置換されていてもよいアリール基を示す)で表わさ
れるマレイミド誘導体(以下、(A)成分ともいう)2
〜20部(重量部、以下同様)(B)スチレンおよび/
またはα−メチルスチレン(以下、(B)成分ともい
う)2〜20部、(C)N,N−ジメチルアクリルアミ
ドおよび/またはN−ビニルピロリドン(以下、(C)
成分ともいう)60〜80部、ならびに(D)(メタ)
アクリル酸アルキルエステル、イタコン酸アルキルエス
テル、クロトン酸アルキルエステル、脂肪族カルボン酸
ビニルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキ
ルエステル、酢酸イソプロペニルおよびα−メチレン−
N−メチルピロリドンから選ばれた少なくとも1種のモ
ノマー(以下、(D)成分ともいう)5〜30部が用い
られ、これら(A)〜(D)成分を均一に混合して重合
成分を調製し、該重合成分を重合させてえられた重合体
をコンタクトレンズ形状に加工したのち、水和させるこ
とにより、高含水コンタクトレンズをうることができ
る。
【0021】本発明の高含水コンタクトレンズには、重
合成分として前記(C)成分が用いられていることか
ら、該コンタクトレンズが高含水率を有するうえ、前記
(A)成分および(B)成分が併用されていることか
ら、該コンタクトレンズは高度に補強されたものとな
る。
【0022】このように、本発明の高含水コンタクトレ
ンズが高度に補強される理由としては、この反応系内に
てつぎのように重合が進行していることに基づくものと
考えられる。すなわち、(A)成分と(B)成分とは共
重合しやすい性質があるため、(C)成分や(D)成分
といった他のモノマーが重合反応系内に存在していても
選択的に共重合体を形成する。一方、他のモノマーは、
それら同士で共重合体を形成することになるので、必然
的に2種のポリマーが互いに相分離することなく均一に
混ざり合った状態にてレンズ材料がえられる。
【0023】ここで、とくに(A)成分と(B)成分と
で形成されるポリマーは、その主鎖に環状の基を有する
ことから、剛直な性質を発現し、えられるレンズ材料が
高度に補強されることとなる。そのうえ、とくに、
(C)成分に基づいて吸水性にすぐれたポリマーが形成
されるので、高含水率であり、なおかつ機械的強度が高
いレンズ材料がえられるのである。
【0024】本発明に用いられる(A)成分は、前記一
般式(I)で表わされるものであるが、かかる一般式
(I)において、R3を示す置換されていてもよいアリ
ール基の置換基としては、たとえばヒドロキシル基、ア
ルコキシ基などがあげられる。
【0025】前記(A)成分の代表例としては、たとえ
ばN−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミドなどの
N−アルキルマレイミド;N−フェニルマレイミド;N
−o−メチルフェニルマレイミド、N−m−メチルフェ
ニルマレイミド、N−p−メチルフェニルマレイミドな
どのN−アルキルフェニルマレイミド;N−o−ヒドロ
キシフェニルマレイミドなどのN−ヒドロキシフェニル
マレイミド;N−m−メトキシフェニルマレイミドなど
のN−アルコキシフェニルマレイミドなどがあげられ、
これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることが
できる。これらのなかでは、比較的安価で入手が容易で
あるという点から、N−フェニルマレイミドがとくに好
ましい。
【0026】前記(A)成分の量があまりにも多いばあ
いには、機械的強度の付与は充分であるが、逆に含水し
たときに硬くなりすぎて、たとえばソフトコンタクトレ
ンズとしての装用感がわるくなるので、該(A)成分の
量は、重合成分の20部以下、好ましくは18部以下で
ある。また、(A)成分の量があまりにも少ないばあい
には、充分に機械的強度を付与することができなくなる
ので、該(A)成分の量は、重合成分の2部以上、好ま
しくは3部以上である。
【0027】本発明に用いられる(B)成分は、前記
(A)成分と同様に、高含水コンタクトレンズに機械的
強度を付与するための成分である。
【0028】前記(B)成分の量があまりにも多いばあ
いには、機械的強度の付与は充分であるが、逆に含水し
たときに硬くなりすぎて、たとえばソフトコンタクトレ
ンズとしての装用感がわるくなるので、該(B)成分の
量は、重合成分の20部以下、好ましくは15部以下で
ある。また、(B)成分の量があまりにも少ないばあい
には、充分に機械的強度を付与することができなくなる
ので、該(B)成分の量は、重合成分の2部以上、好ま
しくは4部以上である。
【0029】なお、(B)成分のうち、スチレンとα−
メチルスチレンとを併用するばあい、両者の割合にはと
くに限定がない。
【0030】また、(B)成分のうち、とくにα−メチ
ルスチレンを用いたばあいには、前記(A)成分と交互
共重合体を形成するので、(A)成分の量に対してα−
メチルスチレンの量が等モルとなるように調整すること
がとくに好ましい。
【0031】本発明に用いられる(C)成分は、前記し
たように、コンタクトレンズの含水性を向上させるため
の成分である。
【0032】前記(C)成分の量があまりにも多いばあ
いには、相対的に(A)成分および(B)成分の量が少
なくなり、充分な補強効果が発現されなくなるので、該
(C)成分の量は、重合成分の80部以下、好ましくは
70部以下である。また、(C)成分の量があまりにも
少ないばあいには、充分に含水性を向上させることがで
きなくなるので、該(C)成分の量は、重合成分の60
部以上、好ましくは63部以上である。
【0033】なお、(C)成分のうち、N,N−ジメチ
ルアクリルアミドとN−ビニルピロリドンとを併用する
ばあい、両者の割合にはとくに限定がない。
【0034】さらに本発明においては、えられる高含水
コンタクトレンズに付与しようとする性質に応じ、前記
(D)成分のなかから少なくとも1種のモノマーを適宜
選択して用いる。
【0035】たとえば、えられる高含水コンタクトレン
ズにさらなる補強効果を付与させるばあいには、(D)
成分として、たとえばメチル(メタ)アクリレート、エ
チル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレ
ート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)
アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル
(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレ
ートなどのアルキル基の炭素数が1〜18の(メタ)ア
クリル酸アルキルエステルが用いられる。
【0036】たとえば、コンタクトレンズの含水率を調
整したり、伸び率を向上させるばあいには、(D)成分
として、たとえばイタコン酸プロピルなどのアルキル基
の炭素数が1〜4のイタコン酸アルキルエステル、クロ
トン酸プロピルなどのアルキル基の炭素数が1〜4のク
ロトン酸アルキルエステル、酢酸ビニル、プロピオン酸
ビニルなどの脂肪族カルボン酸ビニルエステル、(メ
タ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸
ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブ
チルなどのアルキル基の炭素数が1〜18の(メタ)ア
クリル酸ヒドロキシアルキルエステル、酢酸イソプロペ
ニル、α−メチルスチレン−N−メチルピロリドンなど
が用いられる。
【0037】前記(D)成分は、単独でまたは2種以上
を混合して用いることができる。
【0038】(D)成分の量があまりにも多いばあいに
は、相対的に(A)〜(C)成分の量が少なくなり、
(A)〜(C)成分による効果が充分に発現されなくな
るので、該(D)成分の量は、重合成分の30部以下、
好ましくは20部以下である。また、(D)成分の量が
あまりにも少ないばあいには、かかる(D)成分を用い
たことによる所望の効果が充分に発現されなくなるの
で、該(D)成分の量は、重合成分の5部以上、好まし
くは8部以上である。
【0039】さらに、本発明においては、重合体中に架
橋構造を形成させ、高含水コンタクトレンズの機械的強
度をさらに向上させようとするばあいには、架橋性のモ
ノマーである(E)ジ(メタ)アクリル酸エステル(以
下、(E)成分ともいう)を重合成分として用いること
が好ましい。
【0040】前記(E)成分の代表例としては、たとえ
ばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレン
グリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレング
リコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アク
リレートなどがあげられ、これらは単独でまたは2種以
上を混合して用いることができる。
【0041】(E)成分の量があまりにも多いばあいに
は、えられる高含水コンタクトレンズが脆くなるおそれ
があるので、該(E)成分の量は、(E)成分以外の重
合成分全量100部に対して5部以下、なかんづく3部
以下となるように調整することが好ましい。また、
(E)成分の量があまりにも少ないばあいには、かかる
(E)成分による機械的強度の向上効果が充分に発現さ
れなくなることがあるので、該(E)成分の量は、
(E)成分以外の重合成分全量100部に対して0.1
部以上、なかんづく0.2部以上となるように調整する
ことが好ましい。
【0042】また、本明細書において、「(メタ)アク
リ」とは「アクリ」または「メタクリ」を示す。
【0043】本発明においては、前記(A)〜(D)成
分および必要に応じて(E)成分の量がそれぞれ前記範
囲内となるように配合し、これら(A)〜(D)成分お
よび(E)成分を均一に混合して重合成分を調製し、該
重合成分に重合開始剤を配合して重合が行なわれる。
【0044】前記重合開始剤には通常のラジカル重合開
始剤が用いられ、該ラジカル重合開始剤としては、たと
えば2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニト
リル)、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−
ジメチルバレロニトリル)、アゾビスイソブチロニトリ
ル、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパ
ーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドなどの過
酸化物をはじめ、レドックス系重合開始剤などがあげら
れる。これらのなかでは、比較的低温で重合を行なうこ
とができるという点から、2,2′−アゾビス(2,4
−ジメチルバレロニトリル)および2,2′−アゾビス
(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)が
好ましい。
【0045】重合開始剤の量にはとくに限定がないが、
通常、重合成分全量100部に対して0.001〜1部
程度、なかんづく0.01〜0.5部程度であることが
好ましい。
【0046】前記重合の方法にはとくに限定がなく、通
常の方法で重合を行なえばよい。
【0047】たとえば、一般に、室温〜130℃程度、
好ましくは25〜80℃程度の温度範囲で、定温でまた
は昇温させて重合を行なうことができる。昇温させるば
あいには、所定の温度で数時間〜数十時間をかけ、段階
的に昇温させながら重合反応を行なうことが好ましい。
【0048】前記重合およびコンタクトレンズの成形方
法としては、たとえば適切な容器、たとえばポリプロピ
レン製管、ガラス製管などに重合成分および重合開始剤
の混合物を入れ、重合させて棒状、ブロック状、板状な
どの重合体をえたのち、切削加工、研摩加工などの機械
的加工によって所望のコンタクトレンズ形状に加工する
方法や、たとえば50℃程度以下の低温で一度混合物の
粘度がある程度上昇するまで予備重合させ、これを所望
のレンズ形状の型内に充填して成形する方法などがあ
る。後者の方法を採用するばあい、予備重合しないで混
合物を型内に入れると、重合による体積収縮が大きいた
め、えられる成型品(コンタクトレンズ)に気泡や亀裂
が生じ、満足なコンタクトレンズがえられにくいという
問題があるが、型内に入れる前に予備重合させることに
より、体積収縮を小さくすることができるので、コンタ
クトレンズ成型品として前記欠陥のないものがえられる
という利点がある。
【0049】本発明の高含水コンタクトレンズは、
(C)成分が用いられているので、高含水性のポリマー
がえられ、かつ(A)成分と(B)成分とのポリマーに
より高度に補強され、両ポリマー同士がマクロに相分離
することがないので、すぐれた透明性を有し、さらには
良好な酸素透過性も呈する。また、本発明の製法によれ
ば、かかるすぐれた特性を具備する高含水コンタクトレ
ンズを簡単な工程で製造することができる。
【0050】
【実施例】つぎに、本発明の高含水コンタクトレンズお
よびその製法を実施例に基づいてさらに詳細に説明する
が、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではな
い。
【0051】実施例1 N−フェニルマレイミド(以下、NPMという)8.3
g、α−メチルスチレン(以下、MStという)5.7
g(NPM:MSt(モル比)=1:1)、N,N−ジ
メチルアクリルアミド(以下、DMAAという)69
g、メチルメタクリレート(以下、MMAという)17
gおよびエチレングリコールジメタクリレート(以下、
EDMAという)0.5gを秤量し、これらを均一に混
合したのち、これにアゾビスイソブチロニトリル(以
下、AIBNという)0.1gを加えて内径が18mm
のポリプロピレン製管内に入れた。
【0052】ついで、40℃の高温水槽中で12時間重
合させ、さらに50℃で4時間、60℃で4時間加熱し
たのち、乾燥機中で60〜130℃まで12時間かけて
徐々に昇温して直径約18mmの棒状重合体をえた。
【0053】えられた重合体を切削加工し、含水時の厚
さが0.2mmとなるようにプレート(コンタクトレン
ズ)を作製し、以下に示す方法にしたがって、各物性を
測定した。その結果を表2に示す。
【0054】(1)含水率 含水平衡時のプレートの重量(W0(g))と、これを
乾燥させたプレートの重量(W1(g))とを測定し、
次式にしたがって含水率(重量%)を求めた。 [含水率(重量%)]={(W0−W1)/W0}×10
【0055】(2)引張強度試験 試験装置としてSV−201型引張強度試験機((株)
今田製作所製)を用いた。また、重合体から寸法および
形状がそれぞれ幅約2.0mm、長さ約12.00mm
の短冊状の試験片を作製した。
【0056】(イ)引張強度 前記試験機によって試験片の切断に至るまでの最大引張
力(FB)を読み取り、次式にしたがって引張強度(T
B(kgf/cm))を求めた。 [引張強度TB(kgf/cm2)]=[最大引張力F
B(kgf)]/[試験片の厚さ(cm)×試験片の幅
(cm)]
【0057】(ロ)伸び率 試験片の取り付け時に、試験片のたわみのない状態での
つかみ具の距離(L0(mm))を読み取った。つい
で、試験片が切断するまでつかみ具が移動した距離(試
験片が伸びた長さ、L1(mm))を、X−Yレコーダ
に出力された応力−ひずみ曲線より読み取り、次式にし
たがって伸び率(%)を求めた。 [伸び率(%)]=(L1/L0)×100
【0058】(3)可視光線透過率 可視光線(波長380〜800nm)の透過率(%)
を、自記分光光度計UV−240((株)島津製作所
製)を用いて測定した。
【0059】なお、コンタクトレンズとしては、可視領
域において、0.2mmの厚さで90%以上の透過率を
有することが好ましい。
【0060】(4)溶出物試験 昭和45年8月10日厚生省告示第302号の「視力補
正用コンタクトレンズ基準」中の「IV溶出物試験」の項
目の「(3)水による溶出物 オ.過マンガン酸カリウ
ム還元性物質の試験方法」に準じ、プレート処理後の水
の過マンガン酸カリウム液の消費量と、精製水の過マン
ガン酸カリウム液の消費量との差(ml)を測定した。
【0061】なお、前記過マンガン酸カリウム液の消費
量の差が2.0ml以下であるばあいを合格とする。
【0062】(5)線膨潤率 重合体を円盤状のプレートに切削し、その直径(D
0(mm))を測定した。ついで、このプレートをIS
O(International Organization for Standardizatio
n)生理食塩水(リン酸バッファー、pH7.4)中に
て煮沸したのち、20℃で1日間放置し、充分に含水さ
せたプレートの直径(D1(mm))を測定した。これ
らの値から、次式にしがって線膨潤率(単位なし)を求
めた。 [線膨潤率]=D1/D0
【0063】(6)ゴム硬度 重合体を直径10mm以上、厚さ12mm以上の円筒形
状のサンプルに切削し、ISO生理食塩水中にて煮沸膨
潤させたのち、20℃で1日間放置し、GS−706型
定圧荷重器(テクロック社(TECLOCK)製)にて
サンプルのゴム硬度(単位なし)を測定した。
【0064】実施例2〜11および比較例1 実施例1において、組成を表1に示すように変更したほ
かは、実施例1と同様にして重合を行なって棒状の重合
体をえた。
【0065】えられた重合体から、実施例1と同様にし
てプレート(コンタクトレンズ)を作製し、実施例1と
同様にして各物性を測定した。その結果を表2に示す。
【0066】比較例2〜3 比較のため、市販の含水性ソフトコンタクトレンズ[商
品名「メニコンソフトMA」、(株)メニコン製(比較
例2)または商品名「ブレスO」、(株)東レ製(比較
例3)]の物性((1)、(2)および(6))を実施
例1と同様にして測定した。その結果を表2に合わせて
示す。
【0067】なお、表1中の略号は、以下に示すとおり
である。
【0068】 NPM :N−フェニルマレイミド MSt :α−メチルスチレン St :スチレン DMAA:N,N−ジメチルアクリルアミド NVP :N−ビニルピロリドン MMA :メチルメタクリレート HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート HBMA:2−ヒドロキシブチルメタクリレート EDMA:エチレングリコールジメタクリレート BDDA:1,4−ブタンジオールジアクリレート AIBN:アゾビスイソブチロニトリル
【0069】
【表1】
【0070】
【表2】
【0071】表2に示された結果から、実施例1〜11
でえられた重合体は、いずれも約64〜75重量%と高
含水率を有し、同時に引張強度および伸び率が大きく、
好適なゴム硬度を有するものであることがわかる。ま
た、実施例1〜11でえられた重合体は、いずれも可視
光線透過率が92%以上であり、コンタクトレンズとし
て好適なすぐれた透明性を有するものであることがわか
る。さらに、実施例1〜11でえられた重合体は、いず
れも過マンガン酸カリウム液の消費量の差が0.4〜
1.3mlと2.0mlよりも少なく、溶出物試験に合
格するものであることがわかる。
【0072】これに対して、比較例1でえられた重合体
は、高含水率を有するものの、(A)成分が用いられて
いないため、とくに引張強度が小さく、機械的特性にお
とるものであることがわかる。
【0073】また、比較例2のものは、含水性である
が、実施例1〜11の重合体ほど高含水率でなく、比較
例3のものは、とくに伸び率が小さく、機械的特性にお
とるものであることがわかる。
【0074】
【発明の効果】本発明の高含水コンタクトレンズは、す
ぐれた透明性などの光学的性質を有することはもちろん
のこと、高含水性を有し、良好な酸素透過性を呈すると
同時に、機械的強度、ゴム硬度などの物理的特性にすぐ
れ、さらには水に対する溶出性もきわめて低く、安全性
にすぐれたものである。
【0075】さらに、本発明の製法によれば、前記のご
ときすぐれた高含水コンタクトレンズを容易に製造する
ことができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)一般式(I): 【化1】 (式中、R1およびR2はそれぞれ独立して水素原子また
    は炭素数1〜2のアルキル基、R3は水素原子、炭素数
    1〜12のアルキル基または炭素数6〜12の置換され
    ていてもよいアリール基を示す)で表わされるマレイミ
    ド誘導体2〜20重量部、(B)スチレンおよび/また
    はα−メチルスチレン2〜20重量部、(C)N,N−
    ジメチルアクリルアミドおよび/またはN−ビニルピロ
    リドン60〜80重量部、ならびに(D)(メタ)アク
    リル酸アルキルエステル、イタコン酸アルキルエステ
    ル、クロトン酸アルキルエステル、脂肪族カルボン酸ビ
    ニルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル
    エステル、酢酸イソプロペニルおよびα−メチレン−N
    −メチルピロリドンから選ばれた少なくとも1種のモノ
    マー5〜30重量部を含有した重合成分を重合させてえ
    られた重合体からなる高含水コンタクトレンズ。
  2. 【請求項2】 (A)一般式(I): 【化2】 (式中、R1およびR2はそれぞれ独立して水素原子また
    は炭素数1〜2のアルキル基、R3は水素原子、炭素数
    1〜12のアルキル基または炭素数6〜12の置換され
    ていてもよいアリール基を示す)で表わされるマレイミ
    ド誘導体2〜20重量部、(B)スチレンおよび/また
    はα−メチルスチレン2〜20重量部、(C)N,N−
    ジメチルアクリルアミドおよび/またはN−ビニルピロ
    リドン60〜80重量部、ならびに(D)(メタ)アク
    リル酸アルキルエステル、イタコン酸アルキルエステ
    ル、クロトン酸アルキルエステル、脂肪族カルボン酸ビ
    ニルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル
    エステル、酢酸イソプロペニルおよびα−メチレン−N
    −メチルピロリドンから選ばれた少なくとも1種のモノ
    マー5〜30重量部を均一に混合して重合成分を調製
    し、該重合成分を重合させることを特徴とする高含水コ
    ンタクトレンズの製法。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の製法によってえられた高
    含水コンタクトレンズ。
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