JP2004018710A - 非複屈折性光学用樹脂組成物及びこれを用いた光学用素子 - Google Patents

非複屈折性光学用樹脂組成物及びこれを用いた光学用素子 Download PDF

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鈴木 実
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山中 哲郎
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Abstract

【課題】非複屈折性、耐熱性及び金型との転写性に優れる光学用樹脂組成物及びこの組成物を用いた光学用素子を提供する。
【解決手段】エステル部分に炭素数5〜22の脂環式炭化水素基を有するメタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステル5〜40重量部、メタクリル酸メチル50〜80重量部、N−置換マレイミド5〜40重量部、メタクリル酸ベンジル0〜30重量部、及びエステル部分に炭素数1〜5の炭化水素基を有するアクリル酸エステルまたは芳香族ビニル化合物1〜10重量部を、総重量部を100重量部として、得られる樹脂の配向複屈折の絶対値が1×10−6未満、メルトフローレートが15g/10min以上、及び曲げ破壊強度が50MPa以上となるような組成比で共重合することにより得られる樹脂を含有してなる非複屈折性光学用樹脂組成物及びこの組成物を用いた光学用素子。
【選択図】   なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種光学用素子に好適に用いられる金型への転写性が良好な非複屈折性光学用樹脂組成物及びこれを用いた光学用素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、レンズ、プリズム、光ディスク、LCD用基板等の光学用素子にはガラスが使用されていた。しかし、近年、軽量・小型化のためプラスチックが使用されるようになってきている。光学用素子に使用されるプラスチックには、一般にポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、スチレン・メタクリル酸メチル共重合体等が知られている。しかし、ポリスチレン、ポリカーボネート等については、分子内に芳香環を持つため、配向歪みによる複屈折が生じ易く、特開昭61−14617号公報に示されるように成形金型を工夫する必要があり、これまでは、主にポリメタクリル酸メチルが光学用素子材料として使用されてきた。
【0003】
ポリメタクリル酸メチルは、光弾性係数が小さく、比較的配向歪みによる複屈折が生じにくいので、ファインダー用レンズ、CD用ピックアップレンズ等、比較的高精度を必要としない光学用素子に使用されてきた。
【0004】
しかし、近年、より高精度が要求される光学用素子が求められてきている。特にレーザー光を使用するミニディスク用レーザーピックアップレンズ、DVD用レーザーピックアップレンズ等は単に複屈折が小さいだけではなく、ゲート近傍における複屈折がゼロに近いものが求められており、ポリメタクリル酸メチルでは、ゲート近傍における複屈折はゼロにならないため、このような光学用素子には使用することはできない。
【0005】
また、使用する部材における複屈折性が最も重要になるものとして液晶素子が挙げられる。液晶素子はよく知られているように、直交ニコル又は平行ニコルとした偏光子と検光子の間で液晶層により偏光の偏波面を回転させることで光の透過・不透過を制御する構造となっており、したがって液晶素子にあってはそれを構成する各部材の複屈折性が大きな問題となり、このことが液晶素子への光学用樹脂の広範な利用を阻んでいる。
【0006】
そこで、複屈折を小さくすることを目的に、▲1▼光弾性係数が正の樹脂が得られる単量体と、光弾性係数が負の樹脂が得られる単量体とを必須原材料として、光弾性係数が−1×10−13 cm2 /dyne以上、+1×10−13 cm2 /dyne以下となるように共重合させる方法(特開昭60−185236号公報)、▲2▼メタクリル酸メチル、炭素数が3〜8のアルキル基を有するメタクリル酸アルキル及びスチレンを共重合する方法(特開昭60−250010号公報及び特開昭61−76509号公報)、▲3▼メタクリル酸メチル、メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6 ]デカ−8−イル及びスチレンを共重合する方法(特開昭62−246914号公報)、▲4▼正の複屈折を有するホモポリマーを形成し得るモノマー(トリフルオロエチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート等)と、負の複屈折を有するホモポリマーを形成し得るモノマー(メタクリル酸メチル等)を共重合させる方法(特開平2−129211号公報)、▲5▼ホモポリマーとしたときの光弾性係数の符号がポリメタクリル酸メチルと反対となる不飽和二重結合を有する化合物と、メタクリル酸メチルを共重合する方法(特開平4−76013号公報)、▲6▼エステル部分に炭素数5〜22の脂環式炭化水素基を有するメタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、N−置換マレイミド、メタクリル酸ベンジル等を共重合する方法(特願平8−199901号公報)等が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
これらの従来の方法は、それぞれ一応の効果を上げているが、未だ不十分な面も少なくない。例えば、上記▲1▼、▲2▼、▲3▼及び▲5▼の方法については、射出成形した場合、完全に複屈折をなくすことはできず、ゲート近傍では応力歪みによる複屈折が残存し、非複屈折材としては不十分なものである。
【0008】
また、上記▲4▼の方法については、その組合せが含まれているが、その中でメチルメタクリレート(MMA)とトリフルオロメタクリレート(3FMA)のモノマー混合物を用いる方法では、後者の材料(3FMA)が極めて高価な材料であるという欠点がある。
【0009】
また、メチルメタクリレート(MMA)とトリフルオロエチルメタクリレート(3FMA)のモノマー混合物を共重合させる方法、メチルメタクリレート(MMA)とベンジルメタクリレート(BZMA)のモノマー混合物を共重合させる方法のいずれにおいても、メチルメタクリレートに対するトリフルオロエチルメタクリレート(3FMA)またはベンジルメタクリレートの混合比を相当大きくしなければ配向複屈折の発現を抑えることができない。即ち、配向複屈折を相殺するに必要な混合比は、前者の場合はMMA/3FMA=50/50(wt%/wt%)、後者の場合はMMA/BZMA=80/20(wt%/wt%)である。このため、得られる材料はPMMAと同等の特性を持つことができず、PMMAと比べ耐熱性、透明性の点で劣ることになってしまう。
【0010】
一方、上記▲6▼の方法については、上記▲4▼の方法での問題点である耐熱性、透明性等の特性においては、各種光学用素子として満足する材料が得られる。しかし、液晶ディスプレイ用導光板等の光学用素子を成形する際、輝度向上のために、金型への転写性が要求されるため、この方法で得られる樹脂を用いた場合、流動性が不十分となり、ある程度の転写性は認められるものの十分なものではない。また、分子量を下げ流動性を向上させた場合、機械的強度に問題が生じる。
【0011】
本発明は上述の問題に鑑みなされたものであり、非複屈折性及び金型への転写性に優れる光学用樹脂組成物及びこれを用いた非複屈折性に優れ、成形不良が少ない光学用素子を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、エステル部分に炭素数5〜22の脂環式炭化水素基を有するメタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステル5〜40重量部、メタクリル酸メチル50〜80重量部、N−置換マレイミド5〜40重量部、メタクリル酸ベンジル0〜30重量部、及びエステル部分に炭素数1〜5の炭化水素基を有するアクリル酸エステルまたは芳香族ビニル化合物1〜10重量部を、総重量部を100重量部として、得られる樹脂の配向複屈折の絶対値が1×10−6未満、メルトフローレートが15g/10min以上、及び曲げ破壊強度が50MPa以上となるような組成比で共重合することにより得られる樹脂を含有してなる非複屈折性光学用樹脂組成物を提供する。
【0013】
また、本発明は、前記の非複屈折性光学用樹脂組成物を用いた光学用素子を提供する。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明に用いるエステル部分に炭素数5〜22の脂環式炭化水素基を有するメタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸シクロペンチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸メチルシクロヘキシル、アクリル酸トリメチルシクロヘキシル、アクリル酸ノルボルニル、アクリル酸ノルボルニルメチル、アクリル酸シアノノルボルニル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸ボルニル、アクリル酸メンチル、アクリル酸フェンチル、アクリル酸アダマンチル、アクリル酸ジメチルアダマンチル、アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6 ]デカ−8−イル、アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6 ]デカ−4−メチル、アクリル酸シクロデシル、メタクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸メチルシクロヘキシル、メタクリル酸トリメチルシクロヘキシル、メタクリル酸ノルボルニル、メタクリル酸ノルボルニルメチル、メタクリル酸シアノノルボルニル、メタクリル酸フェニルノルボルニル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸ボルニル、メタクリル酸メンチル、メタクリル酸フェンチル、メタクリル酸アダマンチル、メタクリル酸ジメチルアダマンチル、メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6 ]デカ−8−イル、メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6 ]デカ−4−メチル、メタクリル酸シクロデシル等が挙げられる。このうち、低吸湿性の点で、メタクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸メチルシクロヘキシル、メタクリル酸トリメチルシクロヘキシル、メタクリル酸ノルボルニル、メタクリル酸ノルボルニルメチル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸ボルニル、メタクリル酸メンチル、メタクリル酸フェンチル、メタクリル酸アダマンチル、メタクリル酸ジメチルアダマンチル、メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6 ]デカ−8−イル、メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6 ]デカ−4−メチル、メタクリル酸シクロデシル等が好ましい。さらに、耐熱性、低吸湿性の点でより好ましいものとしては、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸ノルボルニル、メタクリル酸ノルボルニルメチル、メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6 ]デカ−8−イル及びメタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6 ]デカ−4−メチルが挙げられる。
【0015】
また、N−置換マレイミドとしては、例えば、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−i−プロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−i−ブチルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド、N−(4−クロロフェニル)マレイミド、N−(4−ブロモフェニル)フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(2−エチルフェニルマレイミド、N−(2−メトキシフェニル)マレイミド、N−(2,4,6−トリメチルフェニル)マレイミド、N−(4−ベンジルフェニル)マレイミド、N−(2,4,6−トリブロモフェニル)マレイミド等が挙げられる。非複屈折性及び耐熱性の点で好ましいものとしては、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−i−プロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−i−ブチルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミド及びN−フェニルマレイミドが挙げられる。
【0016】
また、前記したエステル部分に炭素数1〜5の炭化水素基を有するアクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸ペンチル等の鎖状の炭化水素基が挙げられる。転写性、耐熱性の点で好ましいものとしては、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチルが挙げられる。
【0017】
また、前記した芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α−フルオロスチレン、α−クロルスチレン、α−ブロモスチレン、フルオロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、4−メチルスチレン、メトキシスチレン等が挙げられる。非複屈折性、耐熱性の点で好ましいものとしては、スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレンが挙げられる。
【0018】
本発明の非複屈折性光学用樹脂組成物は、エステル部分に炭素数5〜22の脂環式炭化水素基を有するメタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステル5〜40重量部、メタクリル酸メチル50〜80重量部、N−置換マレイミド5〜40重量部、メタクリル酸ベンジル0〜30重量部、及びエステル部分に炭素数1〜5の炭化水素基を有するアクリル酸エステルまたは芳香族ビニル化合物1〜10重量部を、総重量部が100重量部となるように単量体混合物として共重合させて得ることができる。
【0019】
エステル部分に炭素数5〜22の脂環式炭化水素基を有するメタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルの配合量は、5〜40重量部とされ、10〜40重量部であることが吸湿性の点で好ましい。脂環式(メタ)アクリル酸エステルの配合量が5重量部未満であると、複屈折が大きく、吸湿性が高くなる傾向にあり、40重量部を越えると、機械的強度が低下するといった問題が生じる。
【0020】
また、メタクリル酸メチルの配合量は、50〜80重量部とされ、60〜75重量部であることが好ましい。メタクリル酸メチルの配合量が50重量部未満では、機械的強度が低下し、80重量部を越えると、非複屈折性、耐熱性及び低吸湿性に問題が生じる。
【0021】
さらに、N−置換マレイミドの配合量は、5〜40重量部とされ、15〜30重量部であることが複屈折性の点で好ましい。N−置換マレイミドの配合量が5重量部未満では、複屈折が大きく、ガラス転移温度が低くなる傾向にあり、40重量部を越えると、反応性が低下し、残存モノマーが多くなる傾向にあり、複屈折も大きくなる。
【0022】
また、メタクリル酸ベンジルの配合量は、0〜30重量部とされ、耐熱性及び複屈折性の点で4〜20重量部であることが好ましい。メタクリル酸ベンジルの配合量が30重量部を越えると、ガラス転移温度が低くなる傾向にある。
【0023】
また、エステル部分に炭素数1〜5の炭化水素基を有するアクリル酸エステルまたは芳香族ビニル化合物1〜10重量部であることが好ましい。10重量部を越えた場合、非複屈折性、耐熱性及び低吸湿性のいずれかまたは二以上の特性に問題が生じる。1重量部未満では、流動性を上げ転写性を向上させた場合、機械的強度が不足する。
【0024】
上記のような組成により得られる本発明の樹脂について、その配向複屈折の絶対値は、1×10−6未満であることが好ましい。なお、この配向複屈折は、厚さ約50μmの樹脂フィルムを2倍に延伸(延伸温度90℃)し、測定した値である。
【0025】
また、本発明で得られる樹脂のガラス転移温度については、108℃以上であることが好ましい。108℃未満であると、光学用素子としての使用状況によっては、変形を起こし、光学用素子としての役割を果たさなくなる傾向にある。
【0026】
また、本発明で得られる樹脂のメルトフローレートについては、230℃、37Nの条件下において15g/10min以上であることが好ましい。15g/10min未満であると、金型への転写性が不十分となり、導光板としての輝度が不足する。
【0027】
また、本発明で得られる樹脂の曲げ破壊強度については、50MPa以上であることが好ましい。50MPa未満であると、成形品を金型から離型する際に、割れや欠け等の成形不良が生じる。
【0028】
本発明における非複屈折性光学用樹脂組成物を製造するための共重合法としては塊状重合、懸濁重合、乳化重合、溶液重合等の既存の方法を適用できる。光学用素子のためには、樹脂中への不純物の混入等の点から塊状重合が、製品としてのハンドリング等の点から懸濁重合法が好ましい。
【0029】
重合を行う際には、重合開始剤を用いることができる。重合開始剤としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサノン−1−カルボニトリル、アゾジベンゾイル等のアゾ化合物、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の水溶性触媒及び過酸化物あるいは過硫酸塩と還元剤の組み合わせによるレドックス触媒等、通常のラジカル重合に使用できるものはいずれも使用することができる。重合開始剤は、単量体の総重量部に対して0.01〜10重量%の範囲で使用されることが好ましい。
【0030】
さらに、分子量調整剤として、メルカプタン系化合物、チオグリコール、四塩化炭素、α−メチルスチレンダイマー等を必要に応じて添加することができる。
【0031】
熱重合による場合、重合温度は、0〜200℃の間で適宜選択することができ、50〜120℃が好ましい。
【0032】
懸濁重合は、水性媒体中で行われ、懸濁剤及び必要に応じて懸濁助剤を添加して行う。懸濁剤としては、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリアクリルアミド等の水溶性高分子、リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム等の難溶性無機物質等があり、水溶性高分子は、単量体の総重量部に対して0.03〜1重量%使用するのが好ましく、難溶性無機物質は、単量体の総重量部に対して0.05〜0.5重量%使用するのが好ましい。
【0033】
懸濁助剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の陰イオン界面活性剤があり、懸濁剤として難溶性無機物質を使用する場合には、懸濁助剤を使用するのが好ましい。懸濁助剤は、単量体の総重量部に対して0.001〜0.02重量%使用するのが好ましい。
【0034】
本発明により得られた非複屈折性光学用樹脂組成物に含まれる樹脂は、その分子量について特に制限するものではないが、重量平均分子量(ポリスチレン換算)が10000〜1000000の範囲のものが好ましく、転写性及び機械的強度の点で、50000〜150000の範囲のものが特に好ましい。
【0035】
本発明の非複屈折性光学用樹脂組成物は、その使用にあたって、劣化防止、熱的安定性、成形性、加工性等の観点から、フェノール系、ホスファイト系、チオエーテル系等の抗酸化剤、脂肪族アルコール、脂肪酸エステル、フタル酸エステル、トリグリセライド類、フッ素系界面活性剤、高級脂肪酸金属塩等の離型剤、その他滑剤、可塑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、重金属不活性化剤等を添加して使用してもよい。
【0036】
本発明において、非複屈折性光学用樹脂組成物の光学用素子への適用は、射出成形法、圧縮成形法、マイクロモールド法、フローティングモールド法、ローリンクス法、注型法等の公知の成形法を利用することができる。注型法においては、部分的に重合を進めた後、型に注入し、最終的な重合を行って、光学用素子を製造してもよい。
【0037】
また、以上のような成形法により得られた成形品表面に、MgF2 、SiO2 等の無機化合物を真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等によってコーティングすること、成形品表面にシランカップリング剤等の有機シリコン化合物、ビニルモノマー、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素系樹脂、シリコン樹脂等をハードコートすること等によって、耐湿性、光学特性、耐薬品性、耐磨耗性、曇り止め等を向上させることができる。
【0038】
本発明における光学用素子としては、例えば、一般カメラ用レンズ及びファインダー、ビデオカメラ用レンズ、レーザーピックアップレンズ、レーザープリンター用のfθレンズ、シリンドリカルレンズ及びオリゴンミラー、プロジェクションTV用レンズ、液晶プロジェクター用のマルチレンズ、リレー系レンズ、コンデンサーレンズ、投射レンズ及びフレネルレンズ、眼鏡用レンズ等のレンズ、コンパクトディスク(CD、CD−ROM等)、ミニディスク、DVD用のディスク基板、液晶ディスプレイ用基板、液晶ディスプレイ用導光板、偏光フィルム透明樹脂シート、位相差フィルム、光拡散フィルム、液晶素子結合用接着剤等の液晶素子用部材、プロジェクター用スクリーン、光学フィルター、光ファイバー、光導波路、プリズム、光電変換素子用レンズ等が挙げられる。本発明の樹脂組成物は、特に液晶ディスプレイ用導光板等の光学用素子に最適である。
【0039】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
【0040】
また、以下の実施例で懸濁剤として用いる水溶性高分子(A)(ポリメタクリル酸塩)は、下記の方法で合成した。
【0041】
水溶性高分子(A)の合成
メタクリル酸メチル5g、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル12g、メタクリル酸カリウム23g及び脱イオン水360gを内容積500mlのセパラブルフラスコに入れ、30分間窒素ガスを吹き込んで系内の空気を除去した後、水浴で加熱して撹拌しながら系内温度を65℃に昇温し、過硫酸カリウム0.06gを添加した。同温度で5時間重合を行い、続けて90℃に昇温して2時間撹拌を続けてゼリー状の水溶性高分子(A)を得た。
【0042】
実施例1
メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6 ]デカ−8−イル100g、メタクリル酸メチル1500g、N−シクロヘキシルマレイミド120g、メタクリル酸ベンジル240g、アクリル酸エチル40g、過酸化ラウロイル8g、n−オクチルメルカプタン8.6g(対単量体0.43重量%)を溶解して単量体混合液とした。
【0043】
撹拌機を備えた5リットルのオートクレーブ容器に懸濁剤として前記のゼリー状の水溶性高分子(A)を0.1g、脱イオン水を2500g加え、次いで、リン酸水素二ナトリウム−リン酸二水素ナトリウム組合せ緩衝液を加えて撹拌し、pHを7.2に調整して懸濁媒体とした。ここに撹拌しながら上記単量体混合液を加え、撹拌回転数270rpm、窒素雰囲気下、60℃で3時間、次いで120℃で1時間重合させ、樹脂粒子を得た(重合率は、重量法で99%であった)。この樹脂粒子を水洗、脱水、乾燥し、東芝機械(株)製射出成形機IS−50EPを用い、シリンダー温度250℃、射出速度60cm3 /sec、金型温度90℃で成形し、特性評価用の複数の試験片を得た。
【0044】
実施例2〜4、比較例1〜6
表1に示す組成比率の単量体を用い、実施例1と同様にして特性評価用の試験片を作製した。
【0045】
実施例1〜4、比較例1〜6で得られた樹脂粒子及び試験片について、配向複屈折、成形品の複屈折、メルトフローレート、ガラス転移温度(以下Tgと略す)、曲げ破壊強度、転写性等を調べ、表1に示した。なお、評価は下記に示す方法により行った。
【0046】
(1)配向複屈折
懸濁重合により得られた各配合比の樹脂粒子1gをテトラヒドロフラン6gに溶解させ、ガラス基板上に塗布し、ナイフコーターを用いて表面を均一化した。このフィルムを乾燥した後にガラス基板から剥がし、厚さ約50μmのフィルムを作成した。次に、このフィルムを延伸装置(芝山科学器械製作所製SS−60)で2倍に延伸(延伸温度:90℃)したものの複屈折を複屈折測定装置(島津製作所製エリプソメーターAEP−100)で測定し、その値を配向複屈折とした。
【0047】
(2)成形品の複屈折
上記で得た50×40×3(mm)の試験片について、He−Neレーザーを用いたエリプソメーター(島津製作所製AEP−100)で、図1に示す測定点について、位相差(シングルパス)を測定し、下式に基づき厚み当たりの複屈折を計算した。
【0048】
【数1】
Figure 2004018710
【0049】
(3)メルトフローレート(以下、MFRと略す)
上記で得た樹脂粒子について、東洋精機製メルトインデクサS−101を用い、230℃、37N(3.8kg荷重)条件下における、単位時間あたりの流出量を測定し、10分間流出量を算出、それをMFRとした。
【0050】
(4)ガラス転移温度(Tg)
上記で得られた樹脂粒子について、示差走査熱量計(リガク製Thermo Plus DSC8230)で、Tgを測定した。
【0051】
(5)曲げ破壊強度
上記で得た127×12.6×6.5(mm)の試験片を用いて、ASTM D790記載の方法により、試験速度2.5×10m/min、支点間距離0.1m条件にて、室温にて測定した。
【0052】
(6)転写性
上記で得られた樹脂粒子を用いて、東芝機械(株)製射出成形機IS−50EPにより、シリンダー温度250℃、射出速度60cm3 /sec、金型温度90℃で、導光板(50×50×2mm)を成形した。得られた導光板を組み込んだ液晶ディスプレイの輝度を測定し、その輝度の度合いにより、転写性を評価した。
輝度が理論値の90%以上:○
70%以上〜90%未満:△
70%未満:×
【0053】
表1に評価結果を示す。なお、表1においてMMAはメタクリル酸メチル、TCDMAはメタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6 ]デカ−8−イル、CHMIはN−シクロヘキシルマレイミド、BZMAはメタクリル酸ベンジル、EAはアクリル酸エチル、4MSは4−メチルスチレン)、NOMはn−オクチルメルカプタンを示す。
【0054】
【表1】
Figure 2004018710
【0055】
【発明の効果】
本発明により非複屈折性、耐熱性、低吸湿性及び金型との転写性に優れる光学用樹脂組成物が提供され、この樹脂を用いて非複屈折性に優れ、成形不良が少ない光学用素子が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】成形品の複屈折の測定法を説明する略図である。
【符号の説明】
1 ゲート
2 測定点

Claims (6)

  1. エステル部分に炭素数5〜22の脂環式炭化水素基を有するメタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステル5〜40重量部、メタクリル酸メチル50〜80重量部、N−置換マレイミド5〜40重量部、メタクリル酸ベンジル0〜30重量部、及びエステル部分に炭素数1〜5の炭化水素基を有するアクリル酸エステルまたは芳香族ビニル化合物1〜10重量部を、総重量部を100重量部として、得られる樹脂の配向複屈折の絶対値が1×10−6未満、メルトフローレートが15g/10min以上、及び曲げ破壊強度が50MPa以上となるような組成比で共重合することにより得られる樹脂を含有してなる非複屈折性光学用樹脂組成物。
  2. 前記エステル部分に炭素数5〜22の脂環式炭化水素基を有するメタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルが、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸ノルボルニル、メタクリル酸ノルボルニルメチル、メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6 ]デカ−8−イル及びメタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6 ]デカ−4−メチルからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1記載の非複屈折性光学用樹脂組成物。
  3. 前記N−置換マレイミドがN−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−i−プロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−i−ブチルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミド及びN−フェニルマレイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1または2記載の非複屈折性光学用樹脂組成物。
  4. 前記エステル部分に炭素数1〜5の炭化水素基を有するアクリル酸エステルがアクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチルからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1〜3のいずれかに記載の非複屈折性光学用樹脂組成物。
  5. 前記芳香族ビニル化合物がスチレン、α―メチルスチレン、4−メチルスチレンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1〜4のいずれかに記載の非複屈折性光学用樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の非複屈折性光学用樹脂組成物を用いた光学用素子。
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