JP2000264928A - 光学用共重合体、光学用共重合体の製造方法、及び光学用部品 - Google Patents

光学用共重合体、光学用共重合体の製造方法、及び光学用部品

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JP2000264928A
JP2000264928A JP11071506A JP7150699A JP2000264928A JP 2000264928 A JP2000264928 A JP 2000264928A JP 11071506 A JP11071506 A JP 11071506A JP 7150699 A JP7150699 A JP 7150699A JP 2000264928 A JP2000264928 A JP 2000264928A
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Akihiro Yoshida
明弘 吉田
Keiko Ushikubo
恵子 牛窪
Yukihiko Yamashita
幸彦 山下
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Hitachi Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 配向複屈折や飽和吸水率の値を低く維持し、
ガラス転移点の値については高く維持したまま、光学用
共重合体の曲げ破壊強度を向上させる。 【解決手段】 メタクリル酸メチル5〜95重量部と、
エステル部分に炭素数5〜22の脂環式炭化水素基を有
する(メタ)アクリル酸エステル5〜95重量部とから
なり、モノマ成分全体量を100重量部とする混合物
を、キノン系化合物及び三価のリン系化合物あるいはい
ずれか一方の化合物である分子量調整剤の存在下に共重
合してなる光学用共重合体、光学用共重合体の製造方
法、及び光学用部品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学用共重合体、
光学用共重合体の製造方法、及び光学用共重合体に関す
る。より詳細には、特定の分子量調整剤を用いてモノマ
成分を共重合してなる、光学特性(非複屈折性)、曲げ
破壊強度、耐熱性及び低吸湿性の全ての特性を満足する
光学用共重合体、このような光学用共重合体が効率的に
得られる製造方法、及びこのような光学用共重合体を用
いたレンズ等の光学用部品に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、光学用部品、例えば、液晶プロジ
ェクター用レンズやDVD用の光ピックアップレンズは
高精度な偏光が必要であり、配向複屈折の絶対値が10
×10-5以下という極めて低い複屈折性が要求されてい
る。したがって、文献1:“光学”,24(2),69
(1995)や文献2:“機能材料”,5,10(19
95)に記載されているように、MMAとこれ以外の
(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体である変性ア
クリル樹脂が多用されていた。
【0003】しかしながら、変性アクリル樹脂からなる
光学成形品は曲げ破壊強度が低くて、簡単に割れてしま
うという問題を有していた。すなわち、光学成形品は、
一般に射出成形機により迅速かつ大量に製造されるが、
変性アクリル樹脂を用いた場合、光学成形品が金型から
外れる際に割れ、破損等のトラブルが生じるおそれがあ
った。このため、変性アクリル樹脂からなる光学成形品
は、成形材料にプラスチックを使う最大のメリットの一
つである生産性が大きく損なわれてしまうこととなり、
変性アクリル樹脂を成形材料として用いるためには、曲
げ破壊強度を向上させる必要があった。
【0004】そこで、変性アクリル樹脂の曲げ破壊強度
を向上させる(強靱化する)方法として、以下のような
方法が提案されている。 ゴム成分を添加する方法 変性アクリル樹脂に、ハイインパクトポリスチレン樹
脂、ポリスチレン−ポリブタジエン樹脂、ABS樹脂
(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)等を添加
する。 熱硬化性樹脂とする方法(特開昭61−83213号
公報) 変性アクリル樹脂を共重合する際に、架橋可能なモノマ
0.3〜10重量部を添加して、熱硬化性樹脂とする。 スチレン及び/又はその誘導体をモノマ成分に加える
方法(特開昭61−76509)。
【0005】これらの方法は、曲げ破壊強度の向上につ
いては、それぞれ一応の成果は上げているが、高い光学
特性が要求される光学用レンズやシート、プリズム等の
光学用途については、いずれも不充分な特性部分が見ら
れた。例えば、の方法では、変性アクリル樹脂中に、
ゴム成分を均一に分散混合することが容易でないばかり
か、変性アクリル樹脂のマトリックス樹脂と添加するゴ
ム成分との屈折率が異なるために、透明な成形品を得る
ことが困難であった。また、の方法では、変性アクリ
ル樹脂が熱硬化性樹脂となるため、高温流動性が著しく
低下し、射出成形法を用いて、所定形状を有する光学成
形品を製造することが困難であった。さらに、の方法
では、スチレン系モノマを使用することにより、ある程
度は変性アクリル樹脂を強靱化することができるが、逆
に、光学成形品の複屈折の値が大きくなるという問題が
発生した。具体的に、ポリスチレンの固有複屈折(−
0.10)は、PMMAの固有複屈折(−0.004
3)と比較して約20倍近く大きいため、ポリスチレン
を少量添加した場合でも、得られる光学成形品の複屈折
の値が大きくなり、光学用途に使用することができない
という問題が見られた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以上の説明のとおり、
従来の光学用共重合体(光学用樹脂)においては、光学
特性(非複屈折性)、曲げ破壊強度、耐熱性及び低吸湿
性の全ての特性を満足することは出来なかった。そこ
で、本願発明者らは、特定のモノマ成分の混合物に対
し、これまで通常用いられていた分子量調整剤(連鎖移
動剤)であるチオール系化合物に変えて、キノン系化合
物及び三価のリン系化合物を使用することにより、当該
化合物が分子量調整効果を発揮するとともに、曲げ破壊
強度の向上にも寄与することを見出し、本発明を完成さ
せたものである。
【0007】したがって、本発明は、レンズ、シート、
プリズム等の用途に好適に用いられる、光学特性(非複
屈折性)、曲げ破壊強度、耐熱性及び低吸湿性の全ての
特性を満足する光学用共重合体、このような光学用共重
合体が効率的に得られる製造方法、及びこのような光学
用共重合体を用いて得られる光学用部品を提供すること
を目的としたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、メタクリル酸
メチル5〜95重量部と、エステル部分に炭素数5〜2
2の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エス
テル5〜95重量部とからなり、モノマ成分全体量を1
00重量部とする混合物を、キノン系化合物及び三価の
リン系化合物、あるいはいずれか一方の化合物である分
子量調整剤の存在下に共重合してなる光学用共重合体に
関する。このような光学用共重合体であれば、高精度の
光学特性を維持しつつ、曲げ破壊強度を向上させること
ができる。したがって、射出成形に使用した場合にも破
損や割れ等が少ない光学用部品を容易に成形することが
できる。
【0009】また、本発明の光学用共重合体を構成する
にあたり、モノマ成分として、メタクリル酸ベンジルお
よびN−置換マレイミド、あるいはいずれか一方をモノ
マ成分全体量100重量部に対して、0〜50重量部
(ただし、0重量部を除く)の範囲内で含むことが好ま
しい。
【0010】また、本発明の光学用共重合体を構成する
にあたり、分子量調整剤の添加量を、モノマ成分全体量
に対して、0.001〜1.0重量%の範囲内の値とす
ることが好ましい。
【0011】また、本発明の光学用共重合体を構成する
にあたり、キノン系化合物が、ハイドロキノン、t−ブ
チルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテ
ル、ハイドロキノンモノベンジルエーテルおよびハイド
ロキノンモノエチルエーテルからなる群から選択される
少なくとも一種の化合物であることが好ましい。
【0012】また、本発明の光学用共重合体を構成する
にあたり、三価のリン系化合物が、トリメチルフォスフ
ィン、トリエチルフォスフィン、トリフェニルフォスフ
ィン、トリメチルフォスファイト、トリエチルフォスフ
ァイトおよびトリフェニルフォスファイトからなる群か
ら選択される少なくとも一種の化合物であることが好ま
しい。
【0013】また、本発明の光学用共重合体を構成する
にあたり、ポリスチレン換算の数平均分子量を、10,
000〜1,000,000の範囲内の値とすることが
好ましい。
【0014】また、本発明の光学用共重合体を構成する
にあたり、配向複屈折の絶対値を10×10-5以下の値
とすることが好ましい。
【0015】また、本発明の別の態様は、メタクリル酸
メチル5〜95重量部と、エステル部分に炭素数5〜2
2の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エス
テル5〜95重量部とからなり、モノマ成分全体量を1
00重量部とする混合物を作製した後、キノン系化合物
及び三価のリン系化合物あるいはいずれか一方の化合物
である分子量調整剤の存在下に共重合することを特徴と
する光学用共重合体の製造方法に関する。このように光
学用共重合体を製造することにより、光学特性(非複屈
折性)、曲げ破壊強度、耐熱性及び低吸湿性の全ての特
性を満足する光学用共重合体を効率的に得ることができ
る。
【0016】また、本発明の別の態様は、上述したいず
れかの光学用共重合体を用いて得られる光学用部品に関
する。このように高精度の光学特性を維持しつつ、曲げ
破壊強度を有する光学用共重合体を用いて光学用部品、
例えばレンズや光学シートを得ることによって、特に高
精度、高性能化が要請される液晶プロジェクタやDVD
用光ピックアップレンズ等の用途を満足することができ
る。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明に関する実施形態1
〜3を具体的に説明する。
【0018】[第1の実施形態]本発明の第1の実施形
態は、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ベンジル、エ
ステル部分に炭素数5〜22の脂環式炭化水素基を有す
る(メタ)アクリル酸エステル(以下、脂環式炭化水素
基を有する(メタ)アクリル酸エステルと称する場合が
ある。)、N−置換マレイミド及びこれらと共重合可能
な単量体等からなるモノマ混合物を、特定の分子量調整
剤の存在下に、共重合して得られる光学用共重合体に関
する。
【0019】1.脂環式炭化水素基を有する(メタ)ア
クリル酸エステル 第1の実施形態に用いられるエステル部分に炭素数5〜
22の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エ
ステルとしては、例えば、アクリル酸シクロペンチル、
アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸メチルシクロヘ
キシル、アクリル酸トリメチルシクロヘキシル、アクリ
ル酸ノルボルニル、アクリル酸ノルボルニルメチル、ア
クリル酸フェニルノルボルニル、アクリル酸シアノノル
ボルニル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸ボルニ
ル、アクリル酸メンチル、アクリル酸フェンチル、アク
リル酸アダマンチル、アクリル酸ジメチルアダマンチ
ル、アクリル酸トリシクロ〔5.2.1.02,6〕デカ
−8−イル、アクリル酸トリシクロ〔5.2.1.0
2,6〕デカ−4−メチル、アクリル酸シクロデシル、メ
タクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロヘキシ
ル、メタクリル酸メチルシクロヘキシル、メタクリル酸
トリメチルシクロヘキシル、メタクリル酸ノルボルニ
ル、メタクリル酸ノルボルニルメチル、メタクリル酸シ
アノノルボルニル、メタクリル酸フェニルノルボルニ
ル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸ボルニ
ル、メタクリル酸メンチル、メタクリル酸フェンチル、
メタクリル酸アダマンチル、メタクリル酸ジメチルアダ
マンチル、メタクリル酸トリシクロ〔5.2.1.0
2,6〕デカ−8−イル、メタクリル酸トリシクロ〔5.
2.1.02,6〕デカ−4−メチル、メタクリル酸シク
ロデシル等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙
げられる。
【0020】これらの中でも、メタクリル酸シクロペン
チル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸メチ
ルシクロヘキシル、メタクリル酸トリメチルシクロヘキ
シル、メタクリル酸ノルボルニル、メタクリル酸ノルボ
ルニルメチル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル
酸ボルニル、メタクリル酸メンチル、メタクリル酸フェ
ンチル、メタクリル酸アダマンチル、メタクリル酸ジメ
チルアダマンチル、メタクリル酸トリシクロ〔5.2.
1.02,6〕デカ−8−イル、メタクリル酸トリシクロ
〔5.2.1.02,6〕デカ−4−メチル、メタクリル
酸シクロデシル、メタクリル酸フェニルノルボルニル等
が好ましい。
【0021】2.N−置換マレイミド 第1の実施形態におけるN−置換マレイミドの具体例と
しては、例えば、N−メチルマレイミド、N−エチルマ
レイミド、N−プロピルマレイミド、N−i−プロピル
マレイミド、N−ブチルマレイミド、N−i−ブチルマ
レイミド、N−t−ブチルマレイミド、N−ラウリルマ
レイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジ
ルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−ク
ロロフェニル)マレイミド、N−(4−クロロフェニ
ル)マレイミド、N−(4−ブロモフェニル)フェニル
マレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、
N−(2−エチルフェニルマレイミド、N−(2−メト
キシフェニル)マレイミド、N−(2,4,6−トリメ
チルフェニル)マレイミド、N−(4−ベンジルフェニ
ル)マレイミド、N−(2,4,6−トリブロモフェニ
ル)マレイミド等の一種単独または二種以上の組み合わ
せが挙げられる。
【0022】その中でも、N−メチルマレイミド、N−
エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−i−
プロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−i−
ブチルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド、N−シ
クロヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミド及び
N−フェニルマレイミド等が好ましく、N−メチルマレ
イミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミ
ド、N−i−プロピルマレイミド、N−ブチルマレイミ
ド、N−i−ブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマ
レイミドが好ましい。
【0023】3.共重合可能な単量体 第1の実施形態において、メタクリル酸メチルや上述し
た(メタ)アクリル酸エステルやN−置換マレイミド等
以外の単量体であって、これらのモノマ成分と共重合可
能な単量体を添加使用することが好ましい。
【0024】このような共重合可能な単量体としては、
光学用重合体の透明性、低複屈折性、耐熱性及び低吸湿
性を損なわないものであれば、特に限定されるものでは
ないが、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピ
ル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、ア
クリル酸t−ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸
n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリ
ル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オ
クタデシル、アクリル酸ブトキシエチル、アクリル酸フ
ェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸ナフチル、ア
クリル酸グリシジル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル
等のアクリル酸エステル類や、メタクリル酸エチル、メ
タクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、
メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メ
タクリル酸t−ブチル、メタクリル酸ペンチル、メタク
リル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシ
ル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシ
ル、メタクリル酸オクタデシル、メタクリル酸ブトキシ
エチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ナフチ
ル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸2−ヒドロ
キシエチル等のメタクリル酸エステル類や、4−ビニル
ピリジン、2−ビニルピリジン、α−メチルスチレン、
α−エチルスチレン、α−フルオロスチレン、α−クロ
ルスチレン、α−ブロモスチレン、フルオロスチレン、
クロロスチレン、ブロモスチレン、メチルスチレン、メ
トキシスチレン、スチレン等の芳香族ビニル化合物や、
アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ジメチルアク
リルアミド、N−ジエチルアクリルアミド、N−ジメチ
ルメタクリルアミド、N−ジエチルメタクリルアミド等
の(メタ)アクリルアミド類や、アクリル酸カルシウ
ム、アクリル酸バリウム、アクリル酸鉛、アクリル酸す
ず、アクリル酸亜鉛、メタクリル酸カルシウム、メタク
リル酸バリウム、メタクリル酸鉛、メタクリル酸すず、
メタクリル酸亜鉛等の(メタ)アクリル酸金属塩や、ア
クリル酸、メタクリル酸等の不飽和脂肪酸や、アクリロ
ニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合
物の一種単独又はニ種以上の組み合わせが挙げられる。
【0025】その中でも、アクリル酸、アクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アク
リル酸i−プロピル、メタクリル酸、メタクリル酸エチ
ル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロ
ピル、4−ビニルピリジン、アクリルアミド等が好まし
く、メタクリル酸エチル、メタクリル酸i−プロピルが
より好ましい。
【0026】4.分子量調整剤 (1)キノン系化合物 第1の実施形態におけるキノン系化合物としては、例え
ば、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、ハイ
ドロキノンモノメチルエーテル、ハイドロキノンモノベ
ンジルエーテル、ハイドロキノンモノエチルエーテル、
t−ブチルカテコール、パラベンゾキノン、2,5−ジ
フェニルパラベンゾキノン等の一種単独又はニ種以上の
組み合わせが挙げられる。
【0027】これらのキノン系化合物の中でも、沸点が
200℃以下の値であって射出成形時に比較的安定であ
り、少量の添加で光学用重合体の曲げ破壊強度をより効
率的に向上させることができることから、ハイドロキノ
ン、t−ブチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメ
チルエーテル、ハイドロキノンモノベンジルエーテルお
よびハイドロキノンモノエチルエーテルが好ましく、ハ
イドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテルがよ
り好ましい。また、ハイドロキノンを使用すると、モノ
マ成分全体量に対して0.01重量%の添加により、従
来のチオール系分子量調整剤と比較して曲げ破壊強度を
約65%以上向上させることができ、同様に、ハイドロ
キノンモノメチルエーテルをモノマ成分全体量に対して
0.01重量%使用すると、曲げ破壊強度を約80%以
上向上させることができる点で、それぞれが第1の実施
形態における分子量調整剤として好ましい。
【0028】(2)三価のリン化合物 第1の実施形態における三価のリン化合物としては、例
えば、トリメチルフォスフィン、トリエチルフォスフィ
ン、トリフェニルフォスフィン、トリメチルフォスファ
イト、トリエチルフォスファイト、トリフェニルフォス
ファイト等の一種単独又はニ種以上の組み合わせが挙げ
られる。その中でも、沸点が200℃以下の値であって
射出成形時に比較的安定であり、しかも少量の添加で光
学用重合体の曲げ破壊強度をより効率的に向上させるこ
とができることから、トリフェニルフォスフィンおよび
トリフェニルフォスファイトが好ましい。例えば、トリ
フェニルフォスフィンを使用すると、モノマ成分全体量
に対して0.05重量%の添加により、従来のチオール
系分子量調整剤を使用した場合と比較して曲げ破壊強度
を約25%以上向上させることができ、同様に、トリフ
ェニルフォスファイトをモノマ成分全体量に対して0.
15重量%使用すると、曲げ破壊強度を約35%以上向
上させることができる点でそれぞれ好ましい。
【0029】5.配合量 第1の実施形態において、各モノマ成分を、モノマ成分
全体量(100重量部)に対して、以下の配合量で共重
合することが好ましい。 (1)メタクリル酸メチル5〜95重量部 (2)脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エ
ステル5〜95重量部 (3)メタクリル酸ベンジル0〜50重量部(ただし、
0重量部を除く) (4)N−置換マレイミド0〜50重量部(ただし、0
重量部を除く) (5)これらモノマ成分と共重合可能な単量体0〜95
重量部(ただし、0重量部を除く) (6)モノマ成分全体量に対し、キノン系化合物及び三
価のリン系化合物0.001〜1.0重量%
【0030】(1)メタクリル酸メチルの配合量 メタクリル酸メチルの配合量を、モノマ成分全体量10
0重量部に対し、5〜95重量部の範囲内の値とするの
は、かかる配合量が5重量部未満となると、共重合体の
透明性が低下する場合があるためであり、一方、配合量
が95重量部を超えると、共重合体の低複屈折性、耐熱
性及び低吸湿性が低下する場合があるためである。メタ
クリル酸メチルの配合量を、モノマ成分全体量100重
量部に対して、20〜85重量部の範囲内の値とするの
が好ましく、50〜80重量部の範囲内の値とするのが
より好ましい。
【0031】(2)脂環式炭化水素基を有する(メタ)
アクリル酸エステルの配合量 脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル
の配合量をモノマ成分全体量100重量部に対して、5
〜95重量部の範囲内の値とするのは、かかる配合量が
5重量部未満となると、複屈折が大きくなったり、吸湿
性が高くなる場合があるためであり、一方、配合量が9
5重量部を超えると、曲げ破壊強度等の機械的強度が低
下する場合があるためである。脂環式炭化水素基を有す
る(メタ)アクリル酸エステルの配合量を、モノマ成分
全体量100重量部に対して、10〜70重量部の範囲
内の値とするのが好ましく、20〜40重量部の範囲内
の値とするのがより好ましい。
【0032】(3)メタクリル酸ベンジルの配合量 メタクリル酸ベンジルの配合量をモノマ成分全体量10
0重量部に対して、0〜50重量部(ただし、0重量部
を除く)の範囲内の値とするのは、かかる配合量が50
重量部を超えると、ガラス転移温度が低くなり、耐熱性
が低下する場合があるためである。一方、メタクリル酸
ベンジルを全く配合しないと、吸水率の調整が困難とな
る場合があるためである。メタクリル酸ベンジルの配合
量を、モノマ成分全体量100重量部に対して、5〜4
0重量部の範囲内の値とするのが好ましく、10〜30
重量部の範囲内の値とするのがより好ましい。
【0033】(4)N−置換マレイミドの配合量 N−置換マレイミドの配合量をモノマ成分全体量100
重量部に対して、0〜50重量部(ただし、0重量部を
除く)の範囲内の値とするのは、かかる配合量が50重
量部を超えると、反応性が低下して、残存モノマが多く
なる場合があり、また、複屈折も大きくなる傾向がある
ためである。一方、N−置換マレイミドを全く配合しな
いと、耐熱性の調整が困難となる場合があるためであ
る。N−置換マレイミドの配合量を、モノマ成分全体量
100重量部に対して、5〜40重量部の範囲内の値と
するのが好ましく、10〜30重量部の範囲内の値とす
るのがより好ましい。
【0034】(5)共重合可能な単量体 共重合可能な単量体の配合量をモノマ成分全体量100
重量部に対して、0〜95重量部(ただし、0重量部を
除く)の範囲内の値とするのは、かかる配合量が95重
量部を超えると、耐熱性が低下したり、複屈折が大きく
なる場合があるためであり、一方、共重合可能な単量体
を全く配合しないと、耐熱性や吸湿性の調整が困難とな
る場合があるためである。共重合可能な単量体の配合量
を、モノマ成分全体量100重量部に対して、10〜8
0重量部の範囲内の値とするのが好ましく、20〜70
重量部の範囲内の値とするのがより好ましい。
【0035】(6)分子量調整剤の配合量 分子量調整剤の配合量をモノマ成分全体量に対して、
0.001〜1.0重量%の範囲内の値とするのは、か
かる配合量が0.001重量%未満となると、得られる
光学用共重合体の高温流動性が低下し、射出成形が困難
となる場合があるためであり、また、曲げ破壊強度の向
上が見られない場合があるためである。一方、分子量調
整剤の配合量が1.0重量%を超えると、耐熱性や曲げ
破壊強度が逆に低下する場合があるためである。分子量
調整剤の配合量を、モノマ成分全体量に対して、0.0
02〜0.5重量%の範囲内の値とするのが好ましく、
0.005〜0.1重量%の範囲内の値とするのがより
好ましい。
【0036】6.分子量 第1の実施形態の光学用共重合体は、その分子量につい
て特に制限されるものではないが、GPCを用いて測定
される数平均分子量(ポリスチレン換算)を10,00
0〜1,000,000の範囲内の値とするのが好まし
い。この理由は、数平均分子量が10,000未満とな
ると、機械的に脆くなる場合があるためであり、一方、
数平均分子量が1,000,000を超えると、精密転
写性や高温流動性が低下し、射出成形に利用するのが困
難となる傾向があるためである。光学用共重合体の数平
均分子量(ポリスチレン換算)を50,000〜70
0,000の範囲内の値とするのが好ましく、100,
000〜500,000の範囲内の値とするのがより好
ましい。なお、かかる数平均分子量の調整は、分子量調
整剤の配合量等を変更することにより、容易に行うこと
ができる。
【0037】7.添加剤 第1の実施形態の光学用共重合体は、その使用用途を考
慮して、劣化防止、熱的安定性、成形性及び加工性を向
上させたり、改良する観点から、フェノール系、チオエ
ーテル系などの抗酸化剤や、脂肪族アルコール、脂肪酸
エステル、フタル酸エステル、トリグリセライド類、フ
ッ素系界面活性剤、高級脂肪酸金属塩などの離型剤や、
その他滑剤や、可塑剤や、帯電防止剤や、紫外線吸収剤
や、難燃剤や、重金属不活性化剤等を添加するのも好ま
しい。
【0038】[第2の実施形態]本発明の第2の実施形
態は、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ベンジル、脂
環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル、
N−置換マレイミド及びこれらと共重合可能な単量体等
からなるモノマ混合物を、特定の分子量調整剤の存在下
に、共重合する光学用共重合体の製造方法に関する。
【0039】1.重合方法 第2の実施形態において用いられる重合方法としては、
塊状重合、懸濁重合、溶液重合等の既存の方法をいずれ
も適用できる。特に、樹脂の透明性、取り扱い易さなど
の点から懸濁重合法や塊状重合法を採用することが好ま
しい。
【0040】また、懸濁重合法を採用した場合、重合は
水性媒体中で行われるため、懸濁剤及び必要に応じて懸
濁助剤を添加して行うのが好ましい。このような懸濁剤
としては、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、
ポリアクリルアミド等の水溶性高分子や、リン酸カルシ
ウム、ピロリン酸マグネシウム等の難溶性無機物質が挙
げられる。また、懸濁剤の使用量については特に制限さ
れるものではないが、具体的に、水溶性高分子を使用し
た場合には、モノマ成分全体量に対して0.03〜1重
量%の範囲内の値とするのが好ましく、難溶性無機物質
を使用した場合には、モノマ成分全体量に対して0.0
5〜0.5重量%の範囲内の値とするのが好ましい。ま
た、懸濁剤として難溶性無機物質を使用する場合には、
懸濁助剤を使用するのがより好ましい。このような懸濁
助剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
等の陰イオン界面活性剤が挙げられる。また、懸濁助剤
の使用量についても特に制限されるものではないが、モ
ノマ成分全体量に対して0.001〜0.02重量%の
範囲内の値とするのが好ましい。
【0041】2.重合開始剤 重合を行う際には、ラジカル重合開始剤を用いることが
好ましい。このようなラジカル重合開始剤としては、過
酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、ジ−t−ブチルパ
ーオキシヘキサヒドロテレフタレート、t−ブチルパー
オキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1−t−ブチ
ルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサ
ン、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート等
の有機過酸化物や、アゾビスイソブチロニトリル、アゾ
ビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリ
ル、アゾビスシクロヘキサノン−1−カルボニトリル、
アゾジベンゾイル等のアゾ化合物や、過硫酸カリウム、
過硫酸アンモニウム等の水溶性触媒や、過酸化物あるい
は過硫酸塩と還元剤の組み合わせによるレドックス触媒
等、通常のラジカル重合に使用できるものはいずれも使
用することができる。
【0042】また、重合開始剤の使用量についても特に
制限されるものではないが、具体的に、モノマ成分全体
量に対して0.01〜10重量%の範囲内の値とするの
が好ましい。この理由は、重合開始剤の使用量が0.0
1重量%未満となると、反応性が低下したり、あるい
は、得られる光学用重合体の分子量が過度に大きくなる
場合があるためである。また、重合開始剤の使用量が1
0重量%を超えると、重合開始剤が残留して、光学特性
を低下させる場合があるためである。
【0043】3.添加剤 第2の実施形態において、さらに分子量調整剤として、
メルカプタン系化合物、チオグリコール、四塩化炭素、
α−メチルスチレンダイマー等を、キノン系化合物やリ
ン系化合物と併用することも好ましい。このように従来
の分子量調整剤を添加することにより、分子量を所定範
囲内の値に調整することがさらに容易となる。また、第
2の実施形態において、均一にモノマ成分の重合を行う
ことができるように、各種有機溶媒を使用することも好
ましい。
【0044】4.重合条件 第2の実施形態において、重合温度を0〜200℃の範
囲内の値とするのが好ましい。この理由は、重合温度が
0℃未満となると、反応性が著しく低下し、重合時間が
長くなる場合があるためであり、一方、重合温度が20
0℃を超えると、反応を制御することが困難となる場合
があるためである。第2の実施形態における重合温度を
40〜150℃の範囲内の値とするのが好ましく、50
〜100℃の範囲内の値とするのがより好ましい。ま
た、重合時間については、重合温度に依存しており、重
合温度を0〜200℃の範囲内の値とした場合、1〜4
8時間の範囲内とするのが好ましく、2〜24時間の範
囲内とするのがより好ましく、3〜12時間の範囲内と
するのがさらに好ましい。
【0045】[第3の実施形態」本発明の第3の実施形
態は、第1の実施形態の光学用共重合体を用いて得られ
る光学用部品に関する。
【0046】1.光学用部品 第1の実施形態の光学用共重合体は、例えば、液晶プロ
ジェクター用投射レンズ、光ディスク用レーザーピック
アップレンズ、光磁気ディスク用レーザーピックアップ
レンズ、光ディスク、光磁気ディスク、液晶セル基板、
光拡散シート、プロジェクター用スクリーン、プリズム
等の光学用部品用途に使用することができる。また、第
1の実施形態の光学用共重合体は、600〜700nm
の範囲内においても優れた光学特性(配向複屈折性)が
得られるため、かかる範囲波長のレーザー光を使用する
光ディスク用レーザーピックアップレンズ、光磁気ディ
スク用レーザーピックアップレンズ、光ディスクおよび
光磁気ディスク等の光学用部品用途に最適である。
【0047】2.製造方法 第1の実施形態の光学用共重合体から光学用部品を製造
する方法には、特に制限はないが、例えば、射出成形
法、圧縮成形法、マイクロモールド法、フローティング
モールド法、ローリンクス法等の公知の成形法が採用さ
れる。特に、射出成形法を用いることにより、第1の実
施形態の光学用共重合体であれば金型から外れる際に割
れ、破損等のトラブルが生じることなく、迅速かつ大量
に光学用部品を製造することができるので好ましい。ま
た、光学用共重合体から得られる光学用部品は、所定形
状に成形後に、MgF2、SiO2などの無機化合物を真
空蒸着したり、スパッタリング法、イオンプレーティン
グ法などによって、アルミニウム金属等を積層すること
も好ましい。このように無機材料を被覆することによっ
て、耐湿性、光学特性、耐薬品性、耐磨耗性、電気特性
等をより向上させることができる。さらに、光学用共重
合体から得られる光学用部品表面にシランカップリング
剤などの有機シリコン化合物、ビニルモノマ、メラミン
樹脂、エポキシ樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂等
の有機材料を被覆することも好ましい。このように有機
材料を被覆することによって、耐湿性、光学特性、耐薬
品性、耐磨耗性、曇り止めなどをより向上させることが
できる。
【0048】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、これらの記載により本発明を制限するものではな
い。なお、評価に供したモノマ成分等を略記して表1に
示すが、MMAはメタクリル酸メチル、TCDMAはメ
タクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8
−イル、CHMIはN−シクロヘキシルマレイミド、B
ZMAはメタクリル酸ベンジル、STはスチレン、LP
Oは過酸化ラウロイル、PBIはt−ブチルペルオキシ
イソプロピルカーボネート、NOMはn−オクチルメル
カプタン、TPPはトリフェニルフォスフィン、TPT
はトリフェニルフォスファイト、MEHQはハイドロキ
ノンモノメチルエーテル、HQはハイドロキノンをそれ
ぞれ表している。
【0049】[実施例1] (1)光学用共重合体の調整 200mlのビーカー内に、MMA70gと、TCDM
A30gと、重合開始剤であるLPO 0.4gと、分
子量調整剤であるTPP 0.05gとを収容した。窒
素でバブリングを行いながら、マグネティックスターラ
ーを用いて、回転数100rpm、30分の条件で撹拌
し、均一組成のモノマ混合物とした。次いで、得られた
モノマ混合物を鋳型(13.5×13.5×3mm)内
に流し込み、70℃、7時間の条件で加熱して、注型重
合を行った。その後、115℃、2時間の条件でさらに
加熱することにより、透明な板状物である光学用共重合
体を得た。
【0050】(2)光学用共重合体の評価 得られた光学用共重合体につき、以下の評価を行った。
また、板状物である光学用共重合体から、ダイアモンド
カッターで2種類の試験片A(長さ65×幅20×厚さ
3mm)と試験片B(長さ10×幅10×厚さ3mm)
をそれぞれ切出し、以下の評価に供した。
【0051】(1)曲げ破壊強度 ASTM 790に準拠して、光学用共重合体の曲げ破
壊強度(kgf/cm2)を測定した。すなわち、引っ
張り試験機テンシロンUTM3−500(東洋ボールド
ウイン社製)により、図1に示すように、支持台16上
の治具12に装着した試験片A(65×20×3mm)
を、矢印14で示す方向に押圧して破断荷重を測定し、
以下の式に従って曲げ破壊強度を算出した。また、図1
に示す記号Lは、下式における支点間距離を示してい
る。得られた結果を表2に示す。なお、かかる曲げ破壊
強度が300kgf/cm2以上の値であれば、射出成
形時の割れ等が少なく、実用的に許容範囲であり、40
0kgf/cm2以上の値であれば好ましく、500k
gf/cm2以上の値であればより好ましい。
【0052】
【数1】
【0053】(2)溶剤に対する溶解性 テトラヒドロフラン(5g)が入ったスクリュー管に、
試験片Aから切り出した小片1gを入れて、振とう機S
R−1(iuchi SHAKER)で24時間振とう
した。その後、光学用共重合体の溶剤に対する溶解性を
目視で観察し、以下の基準に準拠して評価した。得られ
た結果を表2に示す。なお、かかる溶剤に対する溶解性
評価が〇であれば、光学用共重合体の分子量が適当であ
り、射出成形時の流動性の問題がないことが経験的に認
識されている。 ○:完全に溶解し、均一な溶液となる。 △:完全に溶解せず、一部不溶物が観察される。 ×:全く溶解せず、原形を留めている。
【0054】(3)飽和吸水率 試験片B(10×10×3mm)をオーブン内で乾燥さ
せ(90℃、24h)、その重量(W1)を測定した。
次いで、70℃の水中に24時間放置し、飽和吸水させ
た。水中から試験片Bを取り出した直後に、重量(W
2)を測定し、次式により光学用共重合体の飽和吸水率
(%)を算出した。得られた結果を表2に示す。なお、
かかる飽和吸水率が2.0%以下の値であれば、光学用
部品用途として実用上問題なく、1.5%以下の値であ
ればより好ましく、1.0%以下の値であればさらに好
ましい。
【0055】
【数2】
【0056】(4)ガラス転移温度(Tg) 試験片Bの一部(10mg)をカッターで採取し、示差
走査熱量計DSC7(パーキンエルマー製)を用いて、
窒素気流中、昇温速度10℃/分の条件で、光学用共重
合体のガラス転移温度(Tg)を測定した。得られた結
果を表2に示す。なお、かかるガラス転移温度が100
℃以上の値であれば、光学用部品用途として実用上問題
なく、110℃以上の値であればより好ましく、120
℃以上の値であればさらに好ましい。
【0057】(5)配向複屈折 光学用共重合体1gをテトラヒドロフラン6gに溶解さ
せ、ガラス基板状に塗布した後、ナイフコーターを用い
て表面を均一化し、光学用共重合体からなるフィルムと
した。このフィルムをガラス基板から剥がして、乾燥さ
せ、約50μのフィルムとした。次に、このフィルムを
2倍に延伸し(延伸温度:90℃)、He−Neレーザ
ーを用いたエリプソメータAEP−100(島津製作所
(株)製)により、配向複屈折の値を測定した。得られ
た結果を表2に示す。なお、配向複屈折の絶対値が10
×10-5以下の値であれば、光学用部品として実用上問
題なく、5×10-5以下の値であれば好ましく、1×1
-5以下の値であればより好ましい。
【0058】[実施例2〜14、比較例1〜8]表1に
示す組成比率のモノマを用い、実施例1と同様に重合
し、光学用共重合体からなる試験片AおよびBとした。
得られた試験片AおよびBにつき、実施例1と同様に、
曲げ強度等を評価した。得られた結果を表2に示した。
結果から明らかなように、同一モノマ組成において、分
子量調整剤として従来のチオール系のNOMを使用する
かわりに、キノン系のHQやMEHQ、あるいはリン系
のTPPやTPTを使用することにより、溶剤に対する
溶解性、飽和吸水率、ガラス転移温度および配向複屈折
の値を維持したままで、曲げ破壊強度を、25〜100
%も向上させることが判明した。例えば、向上率が低い
例として実施例1と比較例2とを比べると、溶剤に対す
る溶解性、飽和吸水率、ガラス転移温度および配向複屈
折の値はほぼ同一のままで、曲げ破壊強度が約25%向
上している。また、向上率が高い例として実施例5と比
較例1とを比べると、溶剤に対する溶解性、飽和吸水
率、ガラス転移温度および配向複屈折の値はほぼ同一の
ままで、曲げ破壊強度が約100%も向上している。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【発明の効果】以上説明したように本発明の光学用共重
合体によれば、配向複屈折や飽和吸水率の値を低く、ガ
ラス転移点の値を高く維持したまま、光学用共重合体の
曲げ破壊強度を向上させることができるようになった。
これにより、本発明の光学用共重合体は、高精度かつ複
雑な形状が要求される光学用レンズ、シート及びプリズ
ム等の光学用部品の形成材料として好適に使用すること
ができる。また、本発明の光学用共重合体の製造方法に
よれば、配向複屈折や飽和吸水率の値が低い一方、ガラ
ス転移点や曲げ破壊強度の値が高い光学用共重合体を、
効率的に製造することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】光学用共重合体の曲げ破壊強度を測定する際に
使用する測定治具を示す図である。
【符号の説明】
10 試験片 12 治具 14 押圧方向矢印 16 支持台
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山下 幸彦 千葉県市原市五井南海岸14番地 日立化成 工業株式会社五井工場内 Fターム(参考) 4J011 NA23 NA27 NB04 NC02 4J100 AL03P AL08Q AL08R AM45R AM47R AM48R AM49R BA05R BA40Q BB01R BB03R BC02Q BC03Q BC04Q BC04R BC07Q BC08Q BC09Q BC43Q BC43R CA04 CA05 CA06 DA01 DA63 FA04 JA32 JA33

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メタクリル酸メチル5〜95重量部と、
    エステル部分に炭素数5〜22の脂環式炭化水素基を有
    する(メタ)アクリル酸エステル5〜95重量部とから
    なり、モノマ成分全体量を100重量部とする混合物
    を、キノン系化合物及び三価のリン系化合物あるいはい
    ずれか一方の化合物である分子量調整剤の存在下に共重
    合してなる光学用共重合体。
  2. 【請求項2】 モノマ成分として、メタクリル酸ベンジ
    ルおよびN−置換マレイミドあるいはいずれか一方を0
    〜50重量部(ただし、0重量部を除く)含み、モノマ
    成分全体量を100重量部とする請求項1に記載の光学
    用共重合体。
  3. 【請求項3】 分子量調整剤の添加量を、モノマ成分全
    体量に対して、0.001〜1.0重量%の範囲内の値
    とする請求項1または2に記載の光学用共重合体。
  4. 【請求項4】 キノン系化合物が、ハイドロキノン、t
    −ブチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエ
    ーテル、ハイドロキノンモノベンジルエーテルおよびハ
    イドロキノンモノエチルエーテルからなる群から選択さ
    れる少なくとも一種の化合物である請求項1〜3のいず
    れか一項に記載の光学用共重合体。
  5. 【請求項5】 三価のリン系化合物が、トリメチルフォ
    スフィン、トリエチルフォスフィン、トリフェニルフォ
    スフィン、トリメチルフォスファイト、トリエチルフォ
    スファイトおよびトリフェニルフォスファイトからなる
    群から選択される少なくとも一種の化合物である請求項
    1〜4のいずれか一項記載の光学用共重合体。
  6. 【請求項6】 ポリスチレン換算の数平均分子量を、1
    0,000〜1,000,000の範囲内の値とする請
    求項1〜5のいずれか一項記載の光学用共重合体。
  7. 【請求項7】 配向複屈折の絶対値を10×10-5以下
    の値とする請求項1〜6のいずれか一項記載の光学用共
    重合体。
  8. 【請求項8】 メタクリル酸メチル5〜95重量部と、
    エステル部分に炭素数5〜22の脂環式炭化水素基を有
    する(メタ)アクリル酸エステル5〜95重量部とから
    なり、モノマ成分全体量を100重量部とする混合物を
    作製した後、キノン系化合物及び三価のリン系化合物あ
    るいはいずれか一方の化合物である分子量調整剤の存在
    下に共重合することを特徴とする光学用共重合体の製造
    方法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜7のいずれか一項記載の光学
    用共重合体を用いて得られる光学用部品。
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WO2014073640A1 (ja) * 2012-11-09 2014-05-15 学校法人慶應義塾 アクリル系共重合体、光学フィルム、偏光板および液晶表示装置
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EP3412449A4 (en) * 2016-02-05 2019-08-07 Mitsubishi Gas Chemical Company, Inc. TEMPERED MULTILAYER THERMOPLASTIC RESIN FILM

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