JP4508325B2 - 紙塗工液及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な紙塗工液及びその製造方法、さらに詳しくは、塗工紙の表面特性の低下の原因となっている保水性の保水を十分に補うことができ、かつ水相粘度を上昇させて、ウェットブリーディングの発生を防止した紙塗工液及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、印刷用紙には、平滑性、光沢性、印刷適性を改善する目的で、その表面に塗膜が形成されている。この塗膜を形成させるために用いられる塗工液としては、通常、クレー、重質炭酸カルシウムのような白色顔料と樹脂ラテックス、デンプンのようなバインダーとを分散させた水性スラリーが用いられ、これを適当な濃度に希釈して、調整タンクから走行中の紙に連続的に供給して塗布後、余剰分をブレードなどで取り除いて所定の膜厚の塗膜を形成させ、除かれた余剰分は再び調整タンクに戻され、新しい紙塗工液と混合して再使用される。
そして、この分野では、近時、塗工紙製造の際、生産性向上のために塗工速度を上げる傾向にあり、1000m/分以上の塗工速度で生産が行われるようになってきた。
【0003】
ところで、塗工液は通常の状態では粘性を示すが、前記塗工工程では基材の移動とブレードにより発生する応力は瞬時に又は極めて短時間で紙塗工液に加わるため、紙塗工液は一時的に固体状態となり弾性を示す。そして、弾性により変形された紙塗工液はブレード出口では基材の移動によりブレードから加えられた応力及び高剪断力から開放されるが、紙塗工液が前記応力をエネルギーとして保持しているため、応力の開放により変形を復元しようとする挙動を示す。この復元力は紙塗工液の貯蔵エネルギーとして表わすことができ、この貯蔵エネルギーが大きいと紙塗工液はバネの場合と同様に復元する。この復元現象により塗工層は嵩高くなるため、グラビア印刷などでは着肉性などの印刷適性が向上するが、この弾性力があまり大きすぎると、ブレードを通過した際に塗工層は高い法線応力に対応して発生する復元力に伴う膨張に耐えられなくなり破裂する。
この破裂はブリーディングの原因となり、さらにスクラッチ、スピッツ、ストリークなどのトラブルを引き起こす。
【0004】
しかしながら、ブリーディングには、前記したように紙塗工液がブレードを通過する際に発生する破裂に起因するいわゆるドライブリーディングのほかに、紙塗工液の保水性が低すぎると、ブレードを通過した後、ブレードを離れるときに一時的な噴射現象生じ、液が飛散することに起因するいわゆるウエットブリーディングがある。
【0005】
ところで、貯蔵エネルギーよりも損失エネルギーが大きい紙塗工液では、ブレード先端付近でも粘性状態であるため、ドライブリーディングの発生は見られないが、この時、保水性が低すぎると紙塗工液がブレードを通過したあと、その出口で吹き出すように飛散し、ウエットブリーディングの原因となる。
【0006】
このため、前記塗工性を改善するために紙塗工液には通常、その粘度、流動性、保水性などの塗工特性を改善するために、カルボキシメチルセルロース(CMC)やアルギン酸ナトリウムのような高分子物質が添加されている。しかしながら、保水性の低下を防ぐため、これらの高分子物質の量を増加すると、紙塗工液の粘度が上昇し、流動性も低下する結果、高速塗工が不可能となり生産性の低下をもたらす上に、得られる塗工紙について耐ピッキング性、印刷適性、平滑性などの表面特性が劣化するという欠点を生じる。
【0007】
このような欠点を克服するために、カルボキシメチルセルロースやアルギン酸ナトリウムに代えてアクリル酸−メタクリル酸共重合体を含有させた紙塗工液(特開平2−53996号公報)やメタクリル酸単位とアクリル酸エチル単位の含有割合(各単量体モル比換算で)が5:95ないし45:55で、重量平均分子量が900,000〜8,000,000の範囲内のメタクリル酸−アクリル酸エチル共重合体を含有させたもの(特開平9−268496号公報)が提案されている。これらのものは、カルボキシメチルセルロースやアルギン酸ナトリウムよりも少ない量で保水性、粘度、流動性などの塗工特性を向上させることはできるが、十分に満足しうる保水性は得られず、前記した表面特性の劣化を抑制することはできないし、塗工速度を1000m/分以上に上げるとストリークやブリーディングが発生するという欠点がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来の紙塗工液のもつ欠点を克服し、保水性が良好で、ブリーディングの発生を防止しうるとともに、印刷適性や平滑性などの表面特性に優れた塗工紙を与える紙塗工液を提供することを目的としてなされたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、紙塗工液の物性を改良するため種々研究を重ねた結果、顔料及びバインダーを含有する紙塗工液に対し、保水剤としてカチオン性基をもつ共重合体を配合すれば、保水性が良好で、ブリーディングの発生を防止しうるとともに、印刷適性や平滑性などの表面特性に優れた塗工紙を与えることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、基本成分として顔料及びバインダーを含有する紙塗工液に対し、保水剤として(a)アクリル酸、メタクリル酸の中から選ばれた少なくとも1種のモノマー単位、及び、(b)第三級アミノ基又は第四級アンモニウム塩基を有するモノマー単位からなる共重合体を配合したことを特徴とする紙塗工液を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の紙塗工液の基本成分は、従来の紙塗工液のそれを特に変える必要はなく、同じものを用いることができる。
すなわち、顔料は特に制限はなく、従来紙塗工液で用いられているものを使用することができる。このようなものとしては、例えばクレー、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、酸化チタン、シリカ、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、白土、レーキ、合成プラスチック顔料などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、その配合量は、通常紙塗工液全量に基づき、40〜70重量%の範囲で選ばれる。
【0012】
また、バインダーについても特に制限はなく、従来紙塗工液に慣用されている合成若しくは天然高分子物質のラテックス又は溶液などが使用される。このような高分子物質としては、例えばスチレン−ブタジエン系共重合体、スチレン−アクリル系共重合体、酢酸ビニル−アクリル系共重合体、エチレン−酢酸ビニル系共重合体、ブタジエン−メチルメタクリレート系共重合体、酢酸ビニル−ブチルアクリレート系共重合体、スチレン−無水マレイン酸系共重合体、アクリル酸−メチルメタクリレート系共重合体、酸化デンプン、エステル化デンプン、エーテル化デンプン、酵素変性デンプン、カゼイン、大豆タンパクなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。その配合量は、顔料100重量部当り、通常3〜30重量部、好ましくは5〜20重量部の範囲で選ばれる。
【0013】
次に、本発明の紙塗工液においては、保水剤として(a)エチレン系不飽和カルボン酸単位、(b)カチオン性モノマー単位からなる共重合体を配合することが必要である。この共重合体中の(a)単位としては、脂肪族又は芳香族の不飽和モノカルボン酸又はジカルボン酸の単位を挙げることができる。
【0014】
このようなものとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、不飽和カルボン酸などのモノマーの単位などがある。
【0015】
次に、(b)のカチオン性モノマー単位としては(a)単位のモノマーと共重合可能なカチオン性を有するモノマーの単位を用いることができ、このようなものとしては第三級アミノ基や第四級アンモニウム塩基を有するモノマーが挙げられる。第三級アミノ基を有するモノマーとしては、例えば、N,N‐ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N‐ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N‐ジメチルアミノプロピルアクリレート、N,N‐ジメチルアミノヒドロキシプロピルアクリレート、N‐メチル‐N‐エチルアミノエチルアクリレート、N,N‐ジフェニルアミノエチルアクリレート、N,N‐ジメチルアミノエチルアクリルアミド、N,N‐ジエチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N‐ジメチルアクリルアミド、N,N‐ジエチルアクリルアミド及びこれらに対応するメタクリルアミド、2‐ビニルピリジン、4‐ビニルピリジン、2‐メチル‐5‐ビニルピリジンなどのモノマー単位がある。また、第四級アンモニウム塩基を有するカチオン性モノマーとしては、例えば、2‐アクリロイルオキシエチルトリメチルアンンモニウムクロリド、2‐アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、2‐アクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウムクロリド、2‐アクリロイルオキシエチルジエチルベンジルアンモニウムクロリド、3‐アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、3‐アクリルアミドプロピルトリエチルアンモニウムクロリド、3‐アクリルアミドプロピルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、2‐アクリロイルアミノエチルトリメチルアンモニウムクロリド、3‐アクリロイルアミノ‐2‐ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、2‐アクリロイルアミノエチルトリメチルアンモニウムクロリド、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムサルフェート、2‐アクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウムブロミド、3‐アクリロイルオキシプロピルジメチルエチルアンモニウムクロリド、及びこれらに対応するメタクリロイル化合物、2‐アクリルアミドエチルトリメチルアンモニウムクロリド、2‐メタクリルアミドエチルトリメチルアンモニウムクロリド、3‐メタクリロイルオキシ‐2‐ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、3‐メタクリロイルオキシ‐2‐ヒドロキシプロピルメチルジエチルアンモニウムクロリド、3‐メタクリロイルオキシ‐2‐ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドなどのモノマーの単位がある。これらの中でも、特に2‐アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド及びジアリルジメチルアンモニウムクロリドの単位が水相粘度を上昇させ、かつ塗工液に適度な凝集力を与えるので好ましい。
また、上記以外のカチオン性モノマー単位、例えば、アクリロイルオキシエチルジメチルアミン塩酸塩、アクリロイルオキシエチルジエチルアミン塩酸塩及びこれらに対応するメタクリロイル化合物の単位も用いることができる。
【0016】
本発明の塗工液で保水剤として用いる共重合体においては、(a)単位と(b)単位の含有割合は、各単量体成分換算モル比で40:60ないし99.9:0.1の範囲であるのが好ましい。(a)単位が過剰である場合、カチオン含有による十分な水相粘度上昇効果が得られず、また塗工液が弾性化するためドライブリーディングが発生する原因となるし、(b)単位が過剰の場合、カチオン過剰により塗工液の強度な凝集を引き起こし、塗工作業性に支障をきたす上に、いずれの場合も保水性、ウエットブリーディング及びドライブリーディング発生防止性及びバインダー成分のマイグレーション発生によるカレンダー汚れの発生防止性に著しい悪影響を及ぼす。
【0017】
また、この共重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が100,000〜8,000,000の範囲であることが望ましい。これよりも低分子量のものでは十分な保水性及び水相粘度が得られないし、またこれよりも高分子量のものでは、塗工液が弾性化し、ブレード塗工時において、ドライブリーディングが発生する原因となる。
【0018】
これらの重合方法には、特に制限はなく、溶液重合法、乳化重合法、固体重合法など任意の方法を用いることができる。この際用いる重合開始剤としては、水溶性のアゾ化合物や過酸化物、例えば過酸化水素、2,2′‐アゾビス(2‐アミジノプロパン)二塩酸塩、水溶性無機酸化物又は水溶性還元剤と水溶性無機酸化物や有機過酸化物との組み合せなどがある。この水溶性無機酸化物の例としては、過硫酸カリウムや過硫酸アンモニウムなどが挙げられる。この水溶性還元剤としては、水に可溶な通常のラジカル酸化還元重合触媒成分として用いられる還元剤、例えばエチレンジアミン四酢酸又はそのナトリウム塩やカリウム塩、あるいはこれらと鉄、銅、クロムなどの重金属との錯化合物、スルフィン酸又はそのナトリウム塩やカリウム塩、L‐アスコルビン酸又はそのナトリウム塩やカリウム塩やカルシウム塩、ピロリン酸第一鉄、硫酸第一鉄、硫酸第一鉄アンモニウム、亜硫酸ナトリウム、酸性亜硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウムなどがある。一方、水溶性有機過酸化物としては、例えばクメンヒドロペルオキシド、p‐サイメンヒドロペルオキシド、tert‐ブチルイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、p‐メンタンヒドロペルオキシド、デカリンヒドロペルオキシド、tert‐アミルヒドロペルオキシド、tert‐ブチルヒドロペルオキシド、イソプロピルヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシド類などがある。
【0019】
また、この乳化重合における乳化剤としては、通常アニオン性界面活性剤又はそれとノニオン性界面活性剤との組み合せが用いられる。このアニオン性界面活性剤やノニオン性界面活性剤としては、通常の乳化重合に用いられるものの中から任意に選んで用いることができる。このようなアニオン性界面活性剤の例としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、脂肪酸金属塩、ポリオキシアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンカルボン酸エステル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸塩などを挙げることができる。また、ノニオン性界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルグリセリンホウ酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなど、ポリオキシエチレン鎖を分子内に有し、界面活性能を有する化合物及び前記化合物のポリオキシエチレン鎖がオキシエチレン、オキシプロピレンの共重合体で代替されている化合物、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステルなどを挙げることができる。
【0020】
この乳化重合法によれば、重合開始剤及び乳化剤を含有する水性媒体中において、エチレン系不飽和カルボン酸単位及びカチオン性モノマーを所定の割合で混合し、通常30〜80℃の範囲の温度において重合させることにより、所望の共重合体微粒子が均質に分散したエマルションを得ることができる。この方法で得られるエマルションは、そのまま紙塗工液の調製に用いることもできるし、所望ならば塩析又は噴霧乾燥などにより共重合体を固形物として取り出し、これを用いて紙塗工液を調製してもよい。
【0021】
次に、本発明の塗工液においては、保水剤をその固形分に基づき、顔料100重量部当り、0.01〜1.0重量部の範囲で配合される。これよりも量が少ないと十分な保水性や水相粘度を得られない上に、ウエットブリーディング及びバインダー成分のマイグレーション発生を防止することができない。また、これよりも量が多くなると塗工液が弾性化し、ドライブリーディングの発生の原因となる。保水性、ウエット及びドライブリーディングの発生防止、さらにはバインダー成分のマイグレーション発生によるカレンダー汚れ発生防止の面から保水剤の好ましい配合量は、顔料100重量部当り、0.05〜0.4重量部の範囲である。
【0022】
本発明の紙塗工液においては、本発明の目的が損なわれない範囲で、必要に応じ分散剤、増粘剤、消泡剤、耐水化剤、着色剤などを適宜含有させることができる。該分散剤としては、例えばポリアクリル酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、アクリル酸−マレイン酸系共重合体のナトリウム塩などが用いられる。
【0023】
本発明の紙塗工液を用いて塗工紙を製造するには、紙基材表面に前記紙塗工液を塗布して、固形分付着量が2〜30g/m2になるように塗膜を形成する。この際の紙基材としては、例えば上質紙、中質紙、板紙などが用いられる。また、塗布はこれらの紙基材の片面又は両面にブレードコーター、ロールコーター、エアナイフコーターなどを用いる通常の方法によって行うことができ、続いて、乾燥処理することにより、所要の塗膜を形成することができる。
【0024】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各例中の紙塗工液及び塗工紙の物性は、下記の方法に従って求めた。
【0025】
(1)紙塗工液の保水性
ウォーター・リテンション・メーターAAGWR(カルテック・サイエンティフィック社製[Caltec Scientific Inc.])を用い、1.5×105Pa(1.5bar)、15秒での塗工液からの脱水量(g/m2)を測定した。
(2)塗工性
紙塗工試験を行い、以下の基準で評価した。
○:ウエットブリーディングの発生なし。
△:若干のウエットブリーディングの発生があるが問題なし。
×:ウエットブリーディングの発生あり。
(3)B型粘度(mPa・s)
TAPPI基準T648 Su−72に従って、回転数60rpmで、20℃におけるB型粘度を測定した。
(4)ハイシェア粘度(mPa・s)
ハイシェア粘度計(日本精機社製)を使用し、回転数8800rpmで、20℃におけるハイシェア粘度を測定した。
(5)水相粘度(mPa・s)
紙塗工液を全自動高速冷却遠心分離器RD−20IV(トミー精工社製)を用い、15000rpm、60分遠心分離を行い、得られた上澄み液についてELD型粘度計(東京計器社製)を用い、回転数50rpmで20℃における粘度を測定した。
【0026】
実施例1
クレー70重量部、重質炭酸カルシウム30重量部、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス6重量部(固形分として)及び分散剤(ソマール社製、SDA−40K)0.1重量部(固形分として)を混合し、全体の固形分濃度が63重量%になるように水を加えたのち、アクリル酸単位と2‐アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド単位との含有割合が各単量体換算モル比で95.7:4.3、かつ重量平均分子量が1,000,000以上のアクリル酸−アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド共重合体(固形分10重量%)を共重合体に基づき0.15重量部(固形分として)加えて均質に混合することにより、紙塗工液を調製した。このものの物性を表1に示す。なお、重量平均分子量はGPC法により測定したポリスチレン換算の値である。次に、この紙塗工液を中質紙(坪量60g/m2)の片面に固形分付着量が13g/m2になるように塗布乾燥して塗工紙を作成した。
【0027】
実施例2
実施例1において、アクリル酸−アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド共重合体に代え、アクリル酸‐3‐アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド共重合体(アクリル酸単位及び3‐アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド単位の含有割合が各単量体換算モル比で95.3:4.7、重量平均分子量が1,000,000以上、固形分が10重量%)を用いた以外は、実施例1と同様にして紙塗工液を調製した。このものの物性を表1に示す。次に、この紙塗工液を中質紙(坪量60g/m2)の片面に固形分付着量が13g/m2になるように塗布乾燥して塗工紙を作成した。
【0028】
実施例3
実施例1において、アクリル酸−アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド共重合体に代え、アクリル酸−ジアリルジメチルアンモニウムクロリド共重合体(アクリル酸単位及びジアリルジメチルアンモニウムクロリド単位の含有割合が各単量体換算モル比で96.3:3.7、重量平均分子量が1,000,000以上、固形分が10重量%)を用いた以外は、実施例1と同様にして紙塗工液を調製した。このものの物性を表1に示す。次に、この紙塗工液を中質紙(坪量60g/m2)の片面に固形分付着量が13g/m2になるように塗布乾燥して塗工紙を作成した。
【0029】
比較例1
実施例1において、アクリル酸−アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド共重合体に代え、カルボキシメチルセルロースを用いた以外は、全て実施例1と同様にして紙塗工液を調製した。このものの物性を表1に示す。次に、この紙塗工液を中質紙(坪量60g/m2)の片面に固形分付着量が13g/m2になるように塗布乾燥して塗工紙を作成した。
【0030】
比較例2
実施例1において、アクリル酸−アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド共重合体に代え、アクリル酸エチル−メタクリル酸メチル−メタクリル酸共重合体エマルション(アクリル酸エチル単位、メタクリル酸メチル単位及びメタクリル酸単位の含有割合が各単量体換算モル比で20.8:40.7:38.5、重量平均分子量が1,000,000以上、固形分が30重量%、20℃における粘度が9mPa・sのもの)を用いた以外は、実施例1と同様にして紙塗工液を調製した。このものの物性を表1に示す。次に、この紙塗工液を中質紙(坪量60g/m2)の片面に固形分付着量が13g/m2になるように塗布乾燥して塗工紙を作成した。
【0031】
比較例3
実施例1において、アクリル酸−アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド共重合体に代え、アクリル酸エチル−メタクリル酸共重合体エマルション(アクリル酸エチル単位及びメタクリル酸単位の含有割合が各単量体換算モル比で61.5:38.5、重量平均分子量が1,000,000以上、固形分が30重量%、20℃における粘度が10mPa・sのもの)を用いた以外は、実施例1と同様にして紙塗工液を調製した。このものの物性を表1に示す。次に、この紙塗工液を中質紙(坪量60g/m2)の片面に固形分付着量が13g/m2になるように塗布乾燥して塗工紙を作成した。
【0032】
比較例4
実施例1において、アクリル酸−アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド共重合体に代え、アクリル酸−メタクリル酸共重合体エマルション(アクリル酸単位及びメタクリル酸単位の含有割合が各単量体換算モル比で20.5:79.5、重量平均分子量が500,000以上、固形分が30重量%、20℃における粘度が10mPa・sのもの)を用いた以外は、実施例1と同様にして紙塗工液を調製した。このものの物性を表1に示す。次に、この紙塗工液を中質紙(坪量60g/m2)の片面に固形分付着量が13g/m2になるように塗布乾燥して塗工紙を作成した。
【0033】
【表1】
Figure 0004508325
【0034】
【発明の効果】
本発明の紙塗工液は、その保水剤としてカチオン性を有する共重合体を用いることにより、塗工液の成分が凝集するため、塗膜となったとき、塗膜を嵩高くするので印刷適性、特に着肉性が向上するという利点がある。
本発明の紙塗工液は、また保水性を高くすることができるので、表面平滑性、印刷適性、耐ピッキング性、光沢などの表面特性に優れた塗工紙を与えるという顕著な効果を奏する。
さらに、水相粘度を上昇させることができるため、ウエットブリーディング及びバインダーのマイグレーションを抑制できる。特に、バインダーのマイグレーションを抑制することによりカレンダー汚れの発生を防止でき、操業性を向上させることができる。
しかも、ブレード通過時においても塗工液の粘性を大きくすることができるので、高速塗工においてもドライブリーディングの発生を防止できる。このことにより、スクラッチ、スピッツ、ストリークの発生も抑制することができるため、表面平滑性、印刷適性、耐ピッキング性、光沢などの表面特性に優れた塗工紙を与えるという顕著な効果を奏する。

Claims (6)

  1. 基本成分として顔料及びバインダーを含有する紙塗工液に対し、保水剤として(a)アクリル酸、メタクリル酸の中から選ばれた少なくとも1種のモノマー単位、及び(b)第三級アミノ基又は第四級アンモニウム塩基を有するモノマー単位からなる共重合体を配合したことを特徴とする紙塗工液。
  2. (a)単位と(b)単位との含有割合が各単量体換算モル比で40:60ないし99.9:0.1である請求項記載の紙塗工液。
  3. 共重合体の重量平均分子量が100,000〜8,000,000の範囲にある請求項1又は2記載の紙塗工液。
  4. 基本成分として顔料及びバインダーを含有する紙塗工液に対し、保水剤として(a)アクリル酸、メタクリル酸の中から選ばれた少なくとも1種のモノマー単位、及び、(b)第三級アミノ基又は第四級アンモニウム塩基を有するモノマー単位からなる共重合体を配合したことを特徴とする紙塗工液の製造方法。
  5. (a)単位と(b)単位との含有割合が各単量体換算モル比で40:60ないし99.9:0.1である請求項記載の紙塗工液の製造方法。
  6. 共重合体の重量平均分子量が100,000〜8,000,000の範囲にある請求項4又は5記載の紙塗工液の製造方法。
JP32033299A 1999-11-10 1999-11-10 紙塗工液及びその製造方法 Expired - Fee Related JP4508325B2 (ja)

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