JP5658448B2 - 顔料塗工液用添加剤、顔料塗工液、及び印刷用塗工紙 - Google Patents

顔料塗工液用添加剤、顔料塗工液、及び印刷用塗工紙 Download PDF

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Description

本発明は、グラビア印刷またはオフセット印刷に用いられるような印刷用塗工紙の製造に好ましく用いられる顔料塗工液及び前記顔料塗工液に配合される添加剤、並びに印刷用塗工紙に関する。
従来から、水性の塗工液を原紙の表面に塗工して塗工層が形成されてなる顔料塗工紙(以下、単に塗工紙とも呼ぶ)が知られている。水性塗工液は、クレーや炭酸カルシウム等の顔料とスチレンブタジエンゴム(SBR)ラテックスや澱粉等のバインダとを含有する。このような塗工紙は、非塗工紙に比べて紙表面の美感、平滑さに優れており、また、光沢度が高く、インキ着肉性にも優れている点から、グラビア印刷またはオフセット印刷に用いられるような印刷用紙として用いられている。
塗工紙表層に形成される塗工層の特性は、印刷用紙の白色度、白紙光沢、印刷光沢、インキ定着性、紙腰等の印刷適性に影響する。そのために、従来から、所望の印刷適性を有する印刷用紙を得るために塗工層を改良する種々の技術が検討されている。
例えば、下記特許文献1には、紙腰と強度を有し、良好な印刷作業性を有すると同時に優れた印刷光沢を与えるオフセット印刷用塗工紙を提供するための技術が開示されている。具体的には、塗工原紙に片面当たり2層の顔料塗工層を設けるダブル塗工紙において、塗工原紙に隣接する第1塗工層を形成するための共重合体ラテックスと第1塗工層の上に形成される第2塗工層を形成するための共重合体ラテックスと、最低造膜温度等に関してそれぞれ異なる種類のラテックスとを用いることが開示されている。しかしながら、特許文献1に開示されたような下塗りと上塗りの2層を設けたような塗工層を塗工紙によって印刷適性等を改善する方法によれば、製紙工程が複雑となり、製造コストが高くなるという問題があった。
また、下記特許文献2には、オフセット印刷適正を維持したまま、インクジェット印刷適正も備えた印刷用塗工紙に関する技術が開示されている。具体的には、原紙上に顔料とラテックスバインダーからなる塗工組成物を塗工した塗工層を設けた印刷用塗工紙において、塗工層中にカチオン性樹脂を配合し、該塗工層を形成する顔料として軽質炭酸カルシウムを30重量%以上含有する印刷用塗工紙が開示されている。該印刷用塗工紙においては、ラテックスバインダー及び所定割合以上の軽質炭酸カルシウムを含有する塗工層を形成することにより、ブリストー法によるインク転移量が特定の量以上になるように調整される。これにより、水溶性インクを用いるインクジェット印刷と油性インキを用いるオフセット印刷とを併用する場合において、水溶性インクの定着性を向上させうることが記載されている。また、塗工層中にカチオン性樹脂を含有させることにより、水溶性インク中に含有される直接染料や酸性染料のアニオン性部分とカチオン性樹脂中のカチオン性部分とが反応して染料の定着性が向上することが記載されている。
特開平6−146198号公報 特開2002−138391号公報
グラビア印刷またはオフセット印刷に用いられるような印刷用塗工紙の塗工層を形成するために実用的に用いられている代表的な顔料の主成分としては、クレーや炭酸カルシウム、または、これらの混合物が広く用いられている。コスト的には炭酸カルシウムがクレーより安価である点で好ましい。従って、近年においては、顔料の主成分として炭酸カルシウムの割合を高めた塗工紙が増加している。しかしながら、炭酸カルシウムの割合の高い顔料を用いた場合、印刷光沢が低下するという問題が生じていた。従って、例えばこのような場合においても、簡便な手段により、印刷用塗工紙の印刷光沢を向上させる方法が求められていた。
本発明は、グラビア印刷またはオフセット印刷に用いられるような印刷用塗工紙において、印刷光沢度が高く、インキ着肉性に優れた印刷用塗工紙を得るために顔料塗工液に添加される添加剤を提供することを目的とする。
本発明の一局面である顔料塗工液用添加剤は、原紙の表層に塗工層が形成されてなる印刷用塗工紙の製造において、該塗工層の形成に用いられる顔料塗工液に配合される顔料塗工液用添加剤であって、前記顔料塗工液用添加剤は溶液重合により得られる水性樹脂液からなり、前記水性樹脂液中の樹脂成分が、(A)3級アミノ基を有するラジカル反応性モノマー15〜40質量%及び(B)ラジカル反応性疎水性モノマー60〜85質量%を含有するモノマー成分を重合して得られる共重合体であり、前記共重合体の3級アミノ基の30モル%以上が4級化されている樹脂からなることを特徴とする。
顔料塗工液中に、上述したような溶液重合により得られた水性樹脂液を配合した場合、得られる印刷用塗工紙の印刷光沢やインキ着肉性を向上させることができる。この理由はこのような水性樹脂液が配合された顔料塗工液においては、共重合体中の3級アミノ基を有するラジカル反応性モノマーに由来する親水性部分により、共重合体が顔料の表面に付着して、共重合体中のラジカル反応性疎水性モノマーに由来する疎水性部分により、顔料表面に疎水性を付与していると考えられる。そして、疎水性が付与された顔料は油性インキとの親和性が高まる。従って、塗工紙の塗工層において、顔料表面の疎水性により印刷された油性インキが急速に紙層内部に浸透してしまうことを抑制する。これにより、油性インキ中の樹脂成分であるビヒクルの浸透が抑制されて、印刷光沢やインキ着肉性が上昇すると考えられる。また、溶液重合により得られた水性樹脂液を用いることにより、疎水性部分が表出する。そのために、油性インキとの高い親和性を維持することができ、印刷インキの紙への急速な浸透を抑制して印刷光沢やインキ着肉性を向上させる。なお、乳化重合により得られたエマルジョン共重合体においては、疎水性部分がエマルジョン粒子内部に偏在してしまう。
また、前記水性樹脂液が、平均粒子径(D50)が50nmを超える樹脂分散粒子を含有しないことが顔料表面への付着性や被覆面積向上の点から好ましい。
また、前記3級アミノ基を有するモノマー単位(A)が3級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド、3級アミノ基含有(メタ)アクリレート、及びジアリルジアルキルアンモニウムハライドからなる群から選ばれる少なくとも1種からなる単位を含有することが疎水性モノマーとの共重合性や共重合体の塗工液中での分散性向上の点から好ましい。
また、前記疎水性モノマー単位(B)が、スチレン系モノマー,(メタ)アクリロニトリル、及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種からなる単位を含有することがインキとの親和性向上の点から好ましい。
また、前記モノマー成分中に、さらにアニオン性基を有する親水性モノマー(C)を0.5〜8質量%含有させることが、得られる印刷用塗工紙の印刷光沢をより向上させる点から好ましい。
また、前記アニオン性基を有する親水性モノマー(C)が、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、及びマレイン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種からなるモノマーを含有することが共重合体の顔料表面への付着性の点から好ましい。
また、本発明の他の局面である顔料塗工液は、原紙の表層に塗工層が形成されてなる印刷用塗工紙の製造において用いられ、炭酸カルシウムを主成分とする顔料、及びバインダを含有し、前記顔料100質量部に対し、上記いずれかの顔料塗工液用添加剤を樹脂固形分換算で0.01〜1質量部含有する。このような顔料塗工液を用いて得られる印刷用塗工紙は、優れた印刷光沢とインキ着肉性とを備える。
また、本発明の他の局面である印刷用塗工紙は、原紙の表層に塗工層が形成されてなる印刷用塗工紙であって、前記塗工層が炭酸カルシウムを主成分とする顔料、及びバインダを含有し、前記顔料100質量部に対し、(A)3級アミノ基を有するラジカル反応性モノマー15〜40質量%及び(B)ラジカル反応性疎水性モノマー60〜85質量%を含有するモノマー成分を溶液重合して得られる共重合体であって、前記3級アミノ基の少なくとも30モル%以上が4級化されている樹脂を0.01〜1質量部含有することを特徴とする。このような印刷用塗工紙は、優れた印刷光沢とインキ着肉性とを備えるために、グラビア印刷またはオフセット印刷に用いられる印刷用塗工紙として好ましく用いられる。
本発明によれば、グラビア印刷またはオフセット印刷に用いられるような印刷用塗工紙において、印刷光沢度やインキ着肉性に優れた印刷用塗工紙を得ることができる。
本発明に係る顔料塗工液用添加剤の一実施形態について以下に詳しく説明する。
本実施形態の顔料塗工液用添加剤は、溶液重合により得られる水性樹脂液からなり、水性樹脂液中の樹脂成分が、(A)3級アミノ基を有するラジカル反応性モノマー15〜40質量%及び(B)ラジカル反応性疎水性モノマー60〜85質量%を含有するモノマー成分を重合して得られる共重合体であり、前記共重合体の3級アミノ基の30モル%以上が4級化されている樹脂からなる水性樹脂液である。
はじめに、共重合に用いられる各種モノマー成分について説明する。
3級アミノ基を有するラジカル反応性モノマー(以下単に、3級アミノ基を有するモノマーとも呼ぶ)(A)は、3級アミノ基を有する、親水性とカチオン性を有するラジカル反応性モノマーである。3級アミノ基を有するモノマー(A)の具体例としては、例えば、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド,ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の3級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート,ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート,ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート,ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等の3級アミノ基含有(メタ)アクリレート;ジメチルアミノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート,ジエチルアミノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート,ジメチルアミノヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート,ジエチルアミノヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の(ジアルキル)アミノヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレート;ジアリルジメチルアンモニウムクロリド等のジアリルジアルキルアンモニウムハライド等が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中では、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド及びジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートが疎水性モノマーとの共重合性と塗工紙の印刷光沢が優れる点から好ましい。
ラジカル反応性疎水性モノマー(以下単に、疎水性モノマーとも呼ぶ)(B)は、実質的に水に不溶、或いは難溶なラジカル反応性モノマーである。疎水性モノマー(B)の具体例としては、例えば、スチレン,α−メチルスチレン,ビニルトルエン,ジビニルベンゼン等のスチレン系モノマー;メチル(メタ)アクリレート,エチル(メタ)アクリレート,プロピル(メタ)アクリレート,ノルマルブチル(メタ)アクリレート,イソブチル(メタ)アクリレート,ターシャリーブチル(メタ)アクリレート,オクチル(メタ)アクリレート,2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート,デシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;アクリロニトリル及びメタクリロニトリル等が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ラジカル共重合体の共重合成分としては、3級アミノ基を有するモノマー(A)及び疎水性モノマー(B)に加えて、アニオン性基を有するラジカル反応性親水性モノマー(以下単に、アニオン性基を有する親水性モノマーとも呼ぶ)(C)を共重合させることが好ましい。アニオン性基を有する親水性モノマー(C)を共重合成分として配合することにより、得られる塗工紙の印刷光沢がより向上する。
アニオン性基を有する親水性モノマー(C)は、アニオン性の官能基を有し、且つ、実質的に水溶性であるラジカル反応性モノマーである。アニオン性基を有する親水性モノマー(C)の具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸,(無水)マレイン酸,フマル酸,イタコン酸,(無水)シトラコン酸等のα,β−不飽和カルボン酸;ビニルスルホン酸,(メタ)アリルスルホン酸,スチレンスルホン酸,スルホプロピル(メタ)アクリレート,2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のα,β−不飽和カルボン酸;またはこれら各種有機酸の塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)等が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中では、(無水)マレイン酸が共重合体の粘性を抑制できる点から好ましい。
共重合に供されるモノマー成分中における、3級アミノ基を有するモノマー(A)の配合割合は、15〜40質量%の範囲であり、好ましくは20〜35質量%の範囲である。3級アミノ基を有するモノマー(A)の配合割合が15質量%未満の場合には、共重合体の親水性低下により樹脂の水溶化が困難となり、40質量%を超える場合には共重合体の疎水性低下により塗工紙の印刷光沢向上効果が低下する。
また、疎水性モノマー(B)の配合割合は、60〜85質量%の範囲であり、好ましくは65〜80質量%の範囲である。疎水性モノマー(B)の配合割合が60質量%未満の場合には共重合体の疎水性低下により塗工紙の印刷光沢向上効果が低下する。また、疎水性モノマー(B)の配合割合が85質量%を超える場合には、共重合体の親水性低下により樹脂の水溶化が困難になる。
また、必要に応じて配合されるアニオン性基を有する親水性モノマー(C)の配合割合は、0.5〜8質量%の範囲であることが好ましく、好ましくは1〜5質量%の範囲である。このような配合割合でアニオン性基を有する親水性モノマー(C)を共重合体成分中に配合することにより、印刷光沢がさらに向上する傾向がある。
本実施形態の顔料塗工液用添加剤として用いられる水性樹脂液は、上述した各種モノマー成分を、溶液重合法を用いて、ラジカル重合開始剤の存在下で重合することにより得られる。
溶液重合に用いられる重合用溶媒の具体例としては、例えば、イソプロパノール,n−ブタノール,iso−ブタノール,t−ブタノール,2−ブタノール,メチルエチルケトン,メチル−n−プロピルケトン,3−メチル−2−ブタノールアルコール等のアルコール類;ジエチルケトン,メチルイソプロピルケトン,メチルイソブチルケトン,ジイソプロピルケトン等のケトン類;エチルベンゼン,トルエン等芳香族炭化水素類等が挙げられる。
ラジカル重合開始剤としては、アゾ系重合開始剤や過酸化物系重合開始剤など、従来から公知の各種ラジカル重合開始剤が適宜選択して用いられる。
アゾ系重合開始剤の具体例としては、アゾビスメチルブチロニトリル,ジメチルアゾビスイソブチレート,アゾビスジメチルバレロニトリル,アゾビスイソブチロニトリル,アゾビス−2−アミジノプロパン塩酸塩などが挙げられる。
過酸化物系重合開始剤の具体例としては、例えば、過硫酸ベンゾイル,t−ブチルパーオキシベンゾエート,t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート,t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート,クメンヒドロペルオキシドなどが挙げられる。
ラジカル重合開始剤の添加割合としては、モノマー成分全量に対して、0.5〜5質量%程度の範囲であることが好ましい。
また、溶液重合においては、重合度を所定の範囲に調整するとともに反応時の増粘を抑制することを目的として連鎖移動剤を添加して重合することが好ましい。
連鎖移動剤の具体例としては、油溶性連鎖移動剤は、t−ドデシルメルカプタン,n−ドデシルメルカプタン,n−オクチルメルカプタン,メルカプトプロピオン酸ドデシルなどのメルカプタン類、(メタ)アリルメタクリレート等の疎水性アリル化合物;クメン,四塩化炭素,α−メチルスチレンダイマー,ターピノーレンなどが挙げられる。
水溶性連鎖移動剤としては、メルカプトエタノール,チオグリセロール,チオリンゴ酸,チオグリコール酸及びその塩などのメルカプタン類;(メタ)アリルアルコール,(メタ)アリルアミン,(メタ)アリルスルホン酸及びその塩などの親水性アリル化合物;エタノールアミン等が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記連鎖移動剤は重合用溶媒の極性等に応じて適宜選択される。
連鎖移動剤の添加割合としては、モノマー成分全量に対して、1〜5質量%程度の範囲であることが好ましい。
重合用溶媒に、所定の配合組成の各種モノマー成分、ラジカル重合開始剤、及び連鎖移動剤等を添加し、窒素フローしながら、ラジカル重合反応させることにより、3級アミノ基を有する共重合体を含む樹脂液が得られる。
ラジカル重合反応の条件としては、ラジカル重合が進行する条件であればとくに限定されず、通常、60〜130℃程度の温度範囲で、1〜10時間程度反応させるような条件が選ばれる。
このようにして得られる3級アミノ基を有する共重合体の重量平均分子量(MW)は
1万〜10万、さらには2万〜7万であることが好ましい。3級アミノ基を有する共重合体の重量平均分子量が低すぎる場合には顔料表面への付着性や塗工紙の印刷光沢向上効果が低下し、高すぎる場合には、樹脂の水溶化が困難になる傾向がある。
また、樹脂液の固形分濃度としては10〜30質量%程度であることが好ましい。
次に、3級アミノ基を有する共重合体を含有する樹脂液は水溶化処理される。水溶化処理の具体例としては、樹脂液に所定量の酢酸等の酸及び水を加えて撹拌混合することにより行われる。そして、3級アミノ基を有する共重合体が水溶化された後、加熱により重合溶媒が除去される。
次に、3級アミノ基を有する共重合体の水溶液は、該3級アミノ基を4級化するための4級化処理によるカチオン化処理が行われる。4級化処理により3級アミノ基を有する共重合体にカチオン性が付与され、それにより、顔料表面との親和性が向上する。
4級化処理は得られた共重合体の水溶液に4級化剤を添加して反応させることにより行われる。
4級化処理に用いられる4級化剤の具体例としては、硫酸ジメチル,炭酸ジメチル,塩化メチル,塩化アリル,塩化ベンジル,プロピレンオキシド,ブチレンオキシド,スチレンオキシド,エピクロルヒドリン,エピブロモヒドリン,エチレンクロルヒドリン,3−クロロ−1,2−プロパンジオール,3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド,グリシドール,ブチルグリシジルエーテル,アリルグリシジルエーテル,グリシジルメタクリレート等が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中では、エピクロルヒドリン,塩化ベンジル,3−クロロ−1,2−プロパンジオール等が好ましく用いられる。
4級化剤の配合割合としては、共重合に用いた3級アミノ基を有するラジカル反応性モノマー(A)の全量に対し30〜100モル%であり、50〜100モル%であることが好ましい。
4級化処理の反応条件は3級アミノ基の4級化が充分に進行する限り、とくに限定されないが、通常、70〜90℃程度で1〜3時間程度反応させることが好ましい。
このようにして3級アミノ基を有する共重合体の3級アミノ基の30モル%以上が4級化されている樹脂の水性樹脂液が得られる。共重合体の3級アミノ基の4級化率は30モル%以上であり、好ましくは、50モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上である。共重合体の3級アミノ基の4級化率が30モル%未満の場合には、印刷光沢度及びインキ着肉性が充分に向上しない。
なお、得られた水性樹脂液中の樹脂成分はすべて溶解していることが好ましいが、樹脂組成による水溶性に応じて、一部は析出して分散粒子として存在していてもよい。このような場合に存在する分散粒子の平均粒子径(D50)としては、50nm未満であることが高い印刷光沢を維持する点から好ましい。
このようにして得られた水性樹脂液は、原紙の表層に塗工層が形成されてなる印刷用塗工紙の製造において、該塗工層の形成に用いられる顔料塗工液に配合される顔料塗工液用添加剤として用いられる。
次に、本実施形態の顔料塗工液及び印刷用塗工紙について詳しく説明する。
本実施形態における顔料塗工液は、水性媒体に顔料、及びバインダを配合し、さらに、上述した顔料塗工液用添加剤を配合して得られる水系分散体である。
顔料の具体例としては、従来から顔料塗工液に配合されている白色顔料がとくに限定なく用いられる。その具体例としては、例えば、軽質炭酸カルシウム及び重質炭酸カルシウム等の炭酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。なお、本実施形態における顔料塗工液は顔料中に高い割合、具体的には60質量%以上、とくには70質量%以上の割合で炭酸カルシウムを含有するような場合に、とくに、優れた印刷光沢性の向上効果を示す。炭酸カルシウムを高い割合で含有するような場合には、印刷光沢が低下する傾向があるが、本実施形態の顔料塗工液によれば、高い印刷光沢を維持することができる。
本実施形態における顔料塗工液に配合されるバインダとしては、従来から顔料塗工液に配合されているバインダがとくに限定なく用いられる。このようなバインダの具体例としては、例えば、スチレン・ブタジエンラテックス(SBR),エチレン・酢酸ビニル共重合体,スチレン・アクリル共重合体,酢酸ビニル・アクリル共重合体,ブタジエン・メチルメタクリル共重合体,酢酸ビニル・ブチルアクリレート共重合体などの共重合体ラテックス;リン酸エステル化澱粉,酸化澱粉,カチオン化澱粉,ヒドロキシエチルエーテル化澱粉などの澱粉類、カルボキシメチルセルロース(CMC),ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体などの水溶性バインダが挙げられる。
顔料塗工液中におけるバインダの配合割合としては、顔料100質量部に対して、樹脂固形分換算で3〜60質量部、さらには5〜50質量部であることが好ましい。
そして、このような顔料塗工液に上述した顔料塗工液用添加剤を配合することにより、印刷光沢及びインキ着肉性に優れた印刷用塗工紙を得るための顔料塗工液が得られる。
顔料塗工液中の顔料塗工液用添加剤の配合割合としては、顔料100質量部に対し、樹脂固形分換算で0.01〜1質量部、さらには0.1〜0.5質量部であることが好ましい。顔料塗工液用添加剤の配合割合が低すぎる場合には、印刷光沢やインキ着肉性の向上効果を発揮しにくくなり、高すぎる場合には顔料塗工液の粘度が上昇する傾向がある。
本実施形態における顔料塗工液には、さらに必要に応じて、分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、染料、蛍光染料等の公知の各種助剤を配合してもよい。
このようにして得られる顔料塗工液の固形分濃度としては35〜70質量%程度であることが塗工における乾燥速度が遅すぎず、塗工紙の連続生産性を低下させない点から好ましい。
このようにして得られた顔料塗工液は、原紙の表層に塗工層を形成するために塗工される。なお、塗工層は単層であっても2層以上であってもよいが、生産性の観点から単層であることが好ましい。本実施形態の顔料塗工液を用いた場合には、単層であっても印刷光沢及びインキ着肉性の向上効果を示す。
原紙としては、印刷用塗工紙の製造に用いられている従来から公知の各種原紙が用いられ、その具体例としては、例えば、酸性及び中性の上質紙や中質紙、再生紙等が挙げられる。
顔料塗工液を原紙に塗工する方法としては、従来から塗工紙の製造に用いられている塗工方法であればとくに限定なく用いられる。その具体例としては、例えば、各種ブレードコーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、ロッドブレードコーター、ショートドゥェルコーター等の塗工装置を用いた塗工方法が挙げられる。
原紙表面に塗布された塗工液は、公知のドライヤにより乾燥される。そして、必要に応じて、塗工紙の平滑度を高めるために、カレンダ処理が施される。
形成される塗工層の片面あたりの単位面積当たりの重量としては、5〜40g/m2、さらには
10〜30g/m2程度であることが好ましい。
このようにして得られた印刷用塗工紙は、オフセット印刷やグラビア印刷のような油性インキを用いて印刷される各種印刷方法に適した印刷用紙として好ましく用いられる。
実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施例により何ら限定されるものではない。
(実施例1)
〈顔料塗工液用添加剤の製造〉
攪拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を付けた1リットルの四つ口フラスコにジメチルアミノエチルメタクリレート20質量部、スチレン18質量部、イソブチルメタクリレート57質量部、無水マレイン酸5質量部、n-ドデシルメルカプタン1質量部、及びイソプロピルアルコール30質量部を仕込み、85℃まで加熱した。そして開始剤として2,2‘−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)1質量部を添加し、窒素フローしながら90℃で3時間重合することにより樹脂溶液を得た。
次に、得られた樹脂溶液を常温まで冷却した後、樹脂溶液全量に対して水200質量部と酢酸7質量部とを加えて撹拌混合することにより樹脂を水溶化し、さらに、加熱することによりイソプロピルアルコールを除去して水系樹脂液を得た。
次に、得られた水系樹脂液を85℃まで昇温した後、水系樹脂液全量に対して、エピクロルヒドリン10質量部(ジメチルアミノエチルメタクリレートモノマー全量に対して85モル%)を添加して3時間反応させることにより、樹脂中のジメチルアミノ基の85モル%を4級化した。そして、4級化処理された水系樹脂液を冷却した後、水で希釈することにより固形分20質量%の顔料塗工液用添加剤Aを得た。顔料塗工液用添加剤A中の樹脂の重量平均分子量(Mw)をGPCで測定したところ約3万であった。なお、Mwはポリスチレン換算値である。また、顔料塗工液用添加剤Aの平均粒子径をダイナミック光散乱光度計〈DLS−700,大塚電子(株)製〉を用いて、動的光散乱法に
より測定したところ、検出限界である30nm未満であり、平均粒子径を測定することができなかった。
〈顔料塗工液の製造〉
0.2質量部(固形分)の顔料塗工液用添加剤Aを含有する水溶液に、重質炭酸カルシウム(カービタル90,IMERYS製)100質量部を添加し、攪拌混合して顔料分散液を得た。そして、得られた顔料分散液に、燐酸エステル化澱粉(MS−4600,日食製)5質量部及びSBRラテックス(JSR0696,JSR製)10質量部を添加し、攪拌混合した。そして、最終固形分濃度65質量%の顔料塗工液を調製した。
〈印刷用塗工紙の製造及び評価〉
塗工用原紙(坪量55g/m2)に顔料塗工液を片面あたり10g/m2(固形分)になるようにバーコーターで塗工したのち、熱風乾燥機を用いて110℃,60秒間の条件で乾燥した。そして、得られた塗工紙をロール表面温度55℃,ロール線圧49kN/m,処理速度20m/min、2回通紙の条件でスーパーカレンダーでカレンダ加工した。カレンダ加工後の塗工紙を温度23℃、相対湿度50%の条件下で24時間調湿した後、以下の評価方法により評価した。
(塗工紙の評価方法)
光沢度計(日本電色工業株式会社製、型式:VG−2000)を用いて入射角/受光角75°の条件により測定した結果を75°白紙光沢度とした。次にRI試験機(明製作所製、型式:RI−2)を用いてオフ輪用印刷インキ(墨、インキ盛り量1.0ml)を印刷し、温度23℃、相対湿度50%の条件下で6時間放置してインキを乾燥させた。そして光沢度計を用いて75°印刷光沢度を測定し、さらに印刷濃度をマクベス濃度計(型式:RD920)を用いて測定した。結果を表1に示す。
(実施例2)
「顔料塗工液用添加剤の製造」において、表1に記載のモノマー組成で重合を行った以外は実施例1と同様にして樹脂溶液を得た。
次に、得られた樹脂溶液を常温まで冷却した後、樹脂溶液全量に対して水200質量部と酢酸11質量部を加えて撹拌混合することにより樹脂を水溶化し、さらに、加熱することによりイソプロピルアルコールを除去して水系樹脂液を得た。
次に、得られた水系樹脂液を85℃に昇温した後、水系樹脂液全量に対して、エピクロルヒドリン9質量部(ジメチルアミノエチルメタクリレートモノマー全量に対して48モル%)を添加して3時間反応させることにより、樹脂中のジメチルアミノ基の48モル%を4級化した。そして、4級化処理された水系樹脂液を冷却した後、水で希釈することにより固形分20質量%の顔料塗工液用添加剤Bを得た。顔料塗工液用添加剤B中の樹脂の重量平均分子量(Mw)はGPCで測定したところ4万であった。また、顔料塗工液用添加剤Bの平均粒子径を測定したところ、検出限界である30nm未満であり、平均粒子径を測定することができなかった。
そして、顔料塗工液用添加剤Aを用いる代わりに顔料塗工液用添加剤Bを用いた以外は実施例1と同様にして、顔料塗工液を製造し、印刷用塗工紙の製造及び評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
「顔料塗工液用添加剤の製造」において、表1に記載のモノマー組成で重合を行った以外は実施例1と同様にして樹脂溶液を得た。
次に、得られた樹脂溶液を常温まで冷却した後、樹脂溶液全量に対して水200質量部と酢酸9質量部を加えて撹拌混合することにより樹脂を水溶化し、さらに、加熱することによりイソプロピルアルコールを除去して水系樹脂液を得た。次に、得られた水系樹脂液を85℃に昇温した後、水系樹脂液全量に対して、エピクロルヒドリン5質量部(ジメチルアミノエチルメタクリレートモノマー全量に対して34モル%)を添加して3時間反応させることにより、樹脂中のジメチルアミノ基の34モル%を4級化した。そして、4級化処理された水系樹脂液を冷却した後、水で希釈することにより固形分20質量%の顔料塗工液用添加剤Cを得た。顔料塗工液用添加剤C中の樹脂の重量平均分子量(Mw)はGPCで測定したところ2万であった。また、顔料塗工液用添加剤Cの平均粒子径を測定したところ、検出限界である30nm未満であり、平均粒子径を測定することができなかった。
そして、顔料塗工液用添加剤Aを用いる代わりに顔料塗工液用添加剤Cを用いた以外は実施例1と同様にして、顔料塗工液を製造し、印刷用塗工紙の製造及び評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例4)
「顔料塗工液用添加剤の製造」において、3級アミノ基を有するラジカル反応性モノマーとして、ジメチルアミノエチルメタクリレートの代わりにジメチルアミノプロピルアクリルアミドモノマーを用い、表1に記載のモノマー組成で重合を行った以外は実施例1と同様にして樹脂溶液を得た。
次に、得られた樹脂溶液を常温まで冷却した後、樹脂溶液全量に対して水200質量部と酢酸12質量部を加えて撹拌混合することにより樹脂を水溶化し、さらに、加熱することによりイソプロピルアルコールを除去して水系樹脂液を得た。次に、得られた水系樹脂液を85℃に昇温した後、水系樹脂液全量に対して、エピクロルヒドリン12質量部(ジメチルアミノプロピルアクリルアミドモノマー全量に対して58モル%)を添加して3時間反応させることにより、樹脂中のジメチルアミノ基の58モル%を4級化した。そして、4級化処理された水系樹脂液を冷却した後、水で希釈することにより固形分20質量%の顔料塗工液用添加剤Dを得た。顔料塗工液用添加剤D中の樹脂の重量平均分子量(Mw)はGPCで測定したところ4万であった。また、顔料塗工液用添加剤Dの平均粒子径を測定したところ、検出限界である30nm未満であり、平均粒子径を測定することができなかった。
そして、顔料塗工液用添加剤Aを用いる代わりに顔料塗工液用添加剤Dを用いた以外は実施例1と同様にして、顔料塗工液を製造し、印刷用塗工紙の製造及び評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例5)
「顔料塗工液用添加剤の製造」において、表1に記載のモノマー組成で重合を行った以外は実施例1と同様にして樹脂溶液を得た。
次に、得られた樹脂溶液を常温まで冷却した後、樹脂溶液全量に対して水200質量部と酢酸8質量部を加えて撹拌混合することにより樹脂を水溶化し、さらに、加熱することによりイソプロピルアルコールを除去して水系樹脂液を得た。次に、得られた水系樹脂液を85℃に昇温した後、水系樹脂液全量に対して、エピクロルヒドリン6質量部(ジメチルアミノエチルメタクリレートモノマー全量に対して44モル%)を添加して3時間反応させることにより、樹脂中のジメチルアミノ基の44モル%を4級化した。そして、4級化処理された水系樹脂液を冷却した後、水で希釈することにより固形分20質量%の顔料塗工液用添加剤Eを得た。顔料塗工液用添加剤E中の樹脂の重量平均分子量(Mw)はGPCで測定したところ3万であった。また、顔料塗工液用添加剤Eの平均粒子径を測定したところ、検出限界である30nm未満であり、平均粒子径を測定することができなかった。
そして、顔料塗工液用添加剤Aを用いる代わりに顔料塗工液用添加剤Eを用いた以外は実施例1と同様にして、顔料塗工液を製造し、印刷用塗工紙の製造及び評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例6)
顔料塗工液用添加剤Aの配合割合を、重質炭酸カルシウム100質量部に対して、0.2質量部配合する代わりに、0.5質量部配合した以外は実施例1と同様にして、顔料塗工液を製造し、印刷用塗工紙の製造及び評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
顔料塗工液用添加剤を配合しなかった以外は実施例1と同様にして印刷用塗工紙の製造及び評価を行った。具体的には、重質炭酸カルシウム(カービタル90,IMERYS製)100質量部と所定量の水を混合し、攪拌混合することにより顔料分散液を得た。そして、得られた顔料分散液に、燐酸エステル化澱粉(MS−4600,日食製)5質量部及びSBRラテックス(JSR0696,JSR製)10質量部を添加し、攪拌混合した。そして、最終固形分濃度65質量%の顔料塗工液を調製した。
得られた顔料塗工液を用いて実施例1と同様にして、印刷用塗工紙の製造及び評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
「顔料塗工液用添加剤の製造」において、3級アミノ基を有するラジカル反応性モノマーを用いない表1に記載のモノマー組成で重合を行った以外は実施例1と同様にして樹脂溶液を得た。
次に、得られた樹脂溶液を常温まで冷却した後、樹脂溶液全量に対して水200質量部と25%アンモニア水16質量部を加えて撹拌混合することにより樹脂を水溶化し、さらに、加熱することによりイソプロピルアルコールを除去して水系樹脂液を得た。得られた水系樹脂液を冷却した後、水で希釈することにより固形分20質量%の顔料塗工液用添加剤Fを得た。顔料塗工液用添加剤F中の樹脂の重量平均分子量(Mw)はGPCで測定したところ6万であった。また、顔料塗工液用添加剤Fの平均粒子径を測定したところ、検出限界である30nm未満であり、平均粒子径を測定することができなかった。
そして、顔料塗工液用添加剤Aを用いる代わりに顔料塗工液用添加剤Fを用いた以外は実施例1と同様にして、顔料塗工液を製造し、印刷用塗工紙の製造及び評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例3)
「顔料塗工液用添加剤の製造」において、表1に記載のモノマー組成で重合を行った以外は実施例1と同様にして樹脂溶液を得た。
次に、得られた樹脂溶液を常温まで冷却した後、樹脂溶液全量に対して水200質量部と酢酸7質量部を加えて撹拌混合することにより樹脂を水溶化し、さらに、加熱することによりイソプロピルアルコールを除去して水系樹脂液を得た。次に、得られた水系樹脂液を85℃に昇温した後、水系樹脂液全量に対して、エピクロルヒドリン2質量部(ジメチルアミノエチルメタクリレートモノマー全量に対して15モル%)を添加して3時間反応させることにより、樹脂中のジメチルアミノ基の15モル%を4級化した。そして、4級化処理された水系樹脂液を冷却した後、水で希釈することにより固形分20質量%の顔料塗工液用添加剤Gを得た。顔料塗工液用添加剤G中の樹脂の重量平均分子量(Mw)はGPCで測定したところ3万であった。また、顔料塗工液用添加剤Gの平均粒子径を測定したところ、検出限界である30nm未満であり、平均粒子径を測定することができなかった。
そして、顔料塗工液用添加剤Aを用いる代わりに顔料塗工液用添加剤Gを用いた以外は実施例1と同様にして、顔料塗工液を製造し、印刷用塗工紙の製造及び評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例4)
「顔料塗工液用添加剤の製造」において、表1に記載のモノマー組成で重合を行った以外は実施例1と同様にして樹脂溶液を得た。
次に、得られた樹脂溶液を常温まで冷却した後、樹脂溶液全量に対して水200質量部と酢酸8質量部を加えて撹拌混合することにより樹脂を水溶化し、さらに、加熱することによりイソプロピルアルコールを除去して水系樹脂液を得た。そして、得られた水系樹脂液を冷却した後、水で希釈することにより固形分20質量%の顔料塗工液用添加剤Hを得た。顔料塗工液用添加剤H中の樹脂の重量平均分子量(Mw)はGPCで測定したところ3万であった。また、顔料塗工液用添加剤Hの平均粒子径を測定したところ、検出限界である30nm未満であり、平均粒子径を測定することができなかった。
そして、顔料塗工液用添加剤Aを用いる代わりに顔料塗工液用添加剤Hを用いた以外は実施例1と同様にして、顔料塗工液を製造し、印刷用塗工紙の製造及び評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例5)
「顔料塗工液用添加剤の製造」において、実施例1と同様のモノマー組成で乳化重合を行い、ポリマーエマルジョンを得た。具体的には、攪拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を付けた1リットルの四つ口フラスコに、ジメチルアミノエチルメタクリレート20質量部、スチレン18重量部、無水マレイン酸5質量部、イソブチルメタクリレート57質量部、n-ドデシルメルカプタン1質量部、水200質量部とドデシルトリメチルアンモニウムクロライド(界面活性剤)10質量部を仕込み、85℃まで加熱した。そして開始剤として2,2‘−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド1質量部を添加し、窒素フローしながら90℃で3時間重合することによりポリマーエマルジョンを得た。
次に、得られたポリマーエマルジョンを85℃に調整して、ポリマーエマルジョン全量に対して、エピクロルヒドリン10質量部(ジメチルアミノエチルメタクリレートモノマー全量に対して85モル%)を添加して3時間反応させることにより、樹脂中のジメチルアミノ基の85モル%を4級化した。そして、4級化処理されたポリマーエマルジョンを冷却した後、水で希釈することにより固形分20質量%の顔料塗工液用添加剤Iを得た。得られた顔料塗工液用添加剤中の樹脂の重量平均分子量(Mw)はGPCで測定したところ10万であった。また、得られた顔料塗工液用添加剤Iの平均粒子径を測定したところ平均粒子径が120nmであった。
そして、顔料塗工液用添加剤Aを用いる代わりに顔料塗工液用添加剤Iを用いた以外は実施例1と同様にして、顔料塗工液を製造し、印刷用塗工紙の製造及び評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例6)
「顔料塗工液用添加剤の製造」において、表1に記載のモノマー組成で重合を行った以外は、比較例5と同様に乳化重合し、ポリマーエマルジョンを得た。
次に、得られたポリマーエマルジョンを85℃に調整して、ポリマーエマルジョン全量に対して、エピクロルヒドリン21質量部(ジメチルアミノエチルメタクリレートモノマー全量に対して75モル%)を添加して3時間反応させることにより、樹脂中のジメチルアミノ基の75モル%を4級化した。そして、4級化処理されたポリマーエマルジョンを冷却した後、水で希釈することにより固形分20質量%の顔料塗工液用添加剤Jを得た。得られた顔料塗工液用添加剤中の樹脂の重量平均分子量(Mw)はGPCで測定したところ10万であった。また、得られた顔料塗工液用添加剤Jの平均粒子径を測定したところ平均粒子径が100nmであった。
そして、顔料塗工液用添加剤Aを用いる代わりに顔料塗工液用添加剤Jを用いた以外は実施例1と同様にして、顔料塗工液を製造し、印刷用塗工紙の製造及び評価を行った。結果を表1に示す。
そして、顔料塗工液用添加剤Aを用いる代わりに顔料塗工液用添加剤Jを用いた以外は実施例1と同様にして、顔料塗工液を製造し、印刷用塗工紙の製造及び評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例7)
「顔料塗工液用添加剤の製造」において、表1に記載のモノマー組成で重合を行った以外は実施例1と同様にして樹脂溶液を得た。
次に、得られた樹脂溶液を常温まで冷却した後、樹脂溶液全量に対して水200質量部と酢酸15質量部を加えて撹拌混合することにより樹脂を水溶化し、さらに、加熱することによりイソプロピルアルコールを除去して水系樹脂液を得た。そして、得られた水系樹脂液を冷却した後、水で希釈することにより固形分20質量%の顔料塗工液用添加剤Kを得た。顔料塗工液用添加剤H中の樹脂の重量平均分子量(Mw)はGPCで測定したところ5万であった。また、顔料塗工液用添加剤Hの平均粒子径を測定したところ、検出限界以下と考えられ、平均粒子径を測定することができなかった。
そして、顔料塗工液用添加剤Aを用いる代わりに顔料塗工液用添加剤Kを用いた以外は実施例1と同様にして、顔料塗工液を製造し、印刷用塗工紙の製造及び評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0005658448
表1の結果から、実施例1〜5の印刷用塗工紙においては、いずれも印刷光沢度が73%以上であり、インキ着肉性を示すマクベス濃度も2.33以上であり、本発明に係る添加剤を配合しなかった比較例1に比べて印刷光沢及びインキ着肉性が高かった。また、3級アミノ基を有する共重合単位を含有しない共重合体を含有する添加剤を配合して得られた比較例2の印刷用塗工紙においては、印刷光沢度が改善されなかった。また、3級アミノ基を有する共重合単位を含有する共重合体において、4級化率が低い比較例3の共重合体または4級化しなかった比較例4の共重合体を含有する添加剤を配合して得られた印刷用塗工紙においても、印刷光沢度がほとんど改善されなかった。また、実施例1と同じ共重合体の組成であるが、乳化重合で得られた添加剤を配合して得られた比較例5の印刷用塗工紙においても、印刷光沢度がほとんど改善されなかった。

Claims (9)

  1. 原紙の表層に塗工層が形成されてなる印刷用塗工紙の製造において、該塗工層の形成に用いられる顔料塗工液に配合される顔料塗工液用添加剤であって、
    前記顔料塗工液用添加剤は溶液重合により得られる水性樹脂液からなり、
    前記水性樹脂液中の樹脂成分が、(A)3級アミノ基を有するラジカル反応性モノマー15〜40質量%(B)ラジカル反応性疎水性モノマー60〜80質量%及び(C)アニオン性基を有するラジカル反応性親水性モノマー0.5〜8質量%を含有するモノマー成分を重合して得られる共重合体であり、前記共重合体の3級アミノ基の30モル%以上が4級化されてなる樹脂であることを特徴とする顔料塗工液用添加剤。
  2. 前記水性樹脂液が、平均粒子径(D50)が50nmを超える樹脂分散粒子を含有しない請求項1に記載の顔料塗工液用添加剤。
  3. 前記3級アミノ基を有するモノマー(A)が3級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド及び3級アミノ基含有(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種からなるモノマーである請求項1または2のいずれか1項に記載の顔料塗工液用添加剤。
  4. 前記疎水性モノマー(B)が、スチレン系モノマー、(メタ)アクリロニトリル、及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の顔料塗工液用添加剤。
  5. 前記アニオン性基を有する親水性モノマー(C)が、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、及びマレイン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種からなるモノマーを含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の顔料塗工液用添加剤。
  6. 原紙の表層に塗工層が形成されてなる印刷用塗工紙の製造において、該塗工層の形成に用いられる顔料塗工液であって、
    前記顔料塗工液は炭酸カルシウムを主成分とする顔料、及びバインダを含有し、
    前記顔料100質量部に対し、請求項1〜のいずれか1項に記載の顔料塗工液用添加剤を樹脂固形分換算で0.01〜1質量部含有することを特徴とする顔料塗工液。
  7. 原紙の表層に塗工層が形成されてなる印刷用塗工紙であって、
    前記塗工層が炭酸カルシウムを主成分とする顔料、及びバインダを含有し、
    前記顔料100質量部に対し、(A)3級アミノ基を有するラジカル反応性モノマー15〜40質量%(B)ラジカル反応性疎水性モノマー60〜80質量%及び(C)アニオン性基を有するラジカル反応性親水性モノマー0.5〜8質量%を含有するモノマー成分を溶液重合して得られる共重合体であって、前記3級アミノ基の少なくとも30モル%以上が4級化されている樹脂を0.01〜1質量部含有することを特徴とする印刷用塗工紙。
  8. グラビア印刷またはオフセット印刷に用いられる請求項に記載の印刷用塗工紙。
  9. 原紙の表層に塗工層が形成されてなる印刷用塗工紙の製造において、該塗工層の形成に用いられる顔料塗工液に配合される顔料塗工液用添加剤の製造方法であって、
    (A)3級アミノ基を有するラジカル反応性モノマー15〜40質量%、(B)ラジカル反応性疎水性モノマー60〜80質量%及び(C)アニオン性基を有するラジカル反応性親水性モノマー0.5〜8質量%を含有するモノマー成分を溶液重合して得られる共重合体を含む樹脂液を得る工程、
    前記樹脂液に酸及び水を加えて水溶化処理し、水性樹脂液を得る工程、および
    前記共重合体の3級アミノ基の30モル%以上を4級化する工程、
    を含む製造方法。
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