JP4501574B2 - ボンド磁石用組成物およびボンド磁石 - Google Patents

ボンド磁石用組成物およびボンド磁石 Download PDF

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本発明は、ボンド磁石用組成物およびボンド磁石に関し、さらに詳しくは、射出成形性に優れたボンド磁石用組成物、およびこれを成形してなるボンド磁石に関する。
フェライト磁石、アルニコ磁石、希土類磁石等が、一般家電製品、通信・音響機器、医療機器、一般産業機器をはじめとする種々の製品にモーターなどとして組込まれ、使用されている。これら磁石は、主に焼結法で製造されるが、焼結法で作製した磁石は、脆く、薄肉化しにくいため複雑形状への成形は困難であり、また焼結時に15〜20%も収縮するため、寸法精度を高められず、研磨等の後加工が必要で、用途面において大きな制約を受けている。
これに対し、樹脂結合型磁石(ボンド磁石という)は、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂等の熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂をバインダーとし、磁性粉を充填して容易に製造できるため、新しい用途開拓が繰り広げられている。特に熱可塑性樹脂をバインダーとして射出成形によって製造される射出成形磁石は、圧縮成形磁石や押出成形磁石などの他のボンド磁石に比べて形状自由度に優れる特徴がある。
射出成形磁石は、射出成形機のシリンダー内部で溶融させたボンド磁石組成物を金型に射出して製造される。金型には、所定の製品形状を持つキャビティと、スプルーあるいはランナーと呼ばれる溶融したボンド磁石用組成物の湯道が設けられている。金型は、組成物に用いられている熱可塑性樹脂の融点以下となるように温度設定されているため、射出された溶融組成物は、金型内で急速に冷却され固化し、磁石成形品として取り出される。
ここで、例えば、ポリアミド樹脂をバインダーとしたボンド磁石組成物の場合、金型温度は、80〜110℃程度に設定されることが多い。成形サイクルを短くし生産性を向上させるために、金型温度をさらに低く設定し、冷却時間を短縮することがある。また、金型に希土類焼結磁石を埋め込むことによってキャビティに配向磁界を発生させている場合には、希土類焼結磁石の温度係数α(Br)に従って配向磁界が低下するのを防ぐために、金型温度をなるべく低く設定することもある。たとえばNd−Fe−B焼結磁石のα(Br)は−0.11%/Kなので、金型設定温度が80℃変化すると、配向磁界が9%変わることになる。これらの場合には、金型温度が80℃未満、さらには10〜50℃に設定されることもある。
金型の設定温度が低いほど、溶融したボンド磁石用組成物がスプルーとランナーを通過する過程で急速に冷却されるため、組成物がキャビティに到達する前に、あるいはキャビティ内で充分充填される前に固化して、ショートショットと呼ばれる成形不良が起こりやすくなる。
一つの対応策として、加熱することができるホットスプルーやホットランナーシステムを金型に組み込み、スプルー・ランナーでの固化を回避する方法があるが、金型が高価になり製品単価が上がったり、複雑な構造を持つ金型では組み込みが困難である。また、射出成形機のシリンダー温度を高めて、射出される組成物の温度を十分高めておく方法も考えられるが、磁性粉末が希土類磁性粉末である場合には、高温中に置かれることで酸化による磁性粉末が特性劣化し、所期の磁石性能が得られなくなるおそれがある。その他、組成物の溶融粘度を下げ、流動抵抗を低減することで、速やかにスプルーとランナーを通過させ充填させようという方法も提案されている。これを実現させるために、MI(メルトフローインデックス)値の高いバインダーを選定したり、滑剤などを添加したり、あるいは磁性粉末の粉体性状を調整することが行われている。
例えば、(A)単独重合ポリアミド樹脂と、(B)共重合ポリアミド、ポリアミド系エラストマー、及びポリエステル系エラストマーのいずれかとの混合物で、(B)/(A+B)が特定範囲にあるものを樹脂バインダーとして使用することによって、コンパウンドの溶融粘度を低くし、一旦溶融したコンパウンドの固化速度を特定範囲に設定するボンド磁石用コンパウンドの製造方法が提案されている(特許文献1参照)。
これによれば、配向性のよい、優れた磁気特性を発揮するボンド磁石が得られるものと期待されるが、単純に組成物の溶融粘度を下げても射出成形機のシリンダー内部でバックフローが起きたり、高価な超高速射出成形機でないと効果が現れにくいという課題があった。
また、他の問題として、金型の設定温度が通常の80〜110℃であっても、溶融したボンド磁石用組成物が、金型のスプルーブッシュから製品キャビティまで到達する時間が長い場合には、射出充填の途中で組成物の溶融粘度が上昇して成形不良を起こすことがある。
一方、ボンド磁石用組成物の溶融流動性を向上させ、成形物の高磁力化のために磁性粉の充填量を多くしても良好な溶融流動性を維持することができ、溶融時の流動性低下に基づく成形加工性の低下を抑制しうるボンド磁石成形物を得るために、樹脂バインダーとして、熱可塑性樹脂の主材樹脂に、重合脂肪酸系ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体を含有させたボンド磁石用組成物が提案されている(例えば、特許文献2)。また、熱可塑性樹脂からなる主材樹脂に重合脂肪酸系ポリアミドブロック共重合体を含有させた樹脂バインダーを用いたボンド磁石用組成物が提案されている(例えば、特許文献3)。
これらは、熱可塑性樹脂を主材樹脂として用い、これに重合脂肪酸系ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体あるいは重合脂肪酸系ポリアミドブロック共重合体を少量添加、混合したものを樹脂バインダーとしているが、これらの樹脂バインダーでは、ボンド磁石の射出成形性の向上に係る課題を十分には解決することはできなかった。
また、ボンド磁石は、他の部品と一体成形して用いられることがある。円筒状ボンド磁石であって、その内周側または外周側に円柱状または円筒状の鉄や珪素鋼板などのバックヨークが配置される場合には、一体成形直後の冷却過程でボンド磁石とバックヨークとの線膨張係数差によりボンド磁石が割れることがある。金型内に挿入するバックヨークを予め加熱する方法もあるが十分でなく、従来の組成物では対応が困難であった。ボンド磁石の用途によっては、一体成形した磁石がヒートサイクル試験にかけられることもあり、成形後の冷却過程で割れなかったとしても、ヒートサイクル試験条件によってはそこで割れてしまう。
このような状況下、金型を改造することなく、高価な超高速射出成形機でなくとも良好に成形でき、優れた磁気特性を維持できるボンド磁石用組成物の出現が切望されていた。
特開2001−85209号公報(特許請求の範囲) 特開2001−123067号公報(特許請求の範囲) 特開2001−240740号公報(特許請求の範囲)
本発明の目的は、上記事情に鑑みなされたもので、金型キャビティへの完全充填が行われる前に組成物が固化することによる成形不良を回避でき、良好な射出成形性を持つボンド磁石用組成物、およびこれを成形してなるボンド磁石を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、ボンド磁石用組成物の射出成形性を向上させるには、溶融流動性を向上しうる樹脂バインダー種の選定、樹脂バインダーの固化速度の範囲設定だけでは不十分であって、ボンド磁石用組成物が溶融する時の粘度−温度依存性を考慮にいれることが重要であり、該組成物の固化開始温度と固化終了温度の差を特定値以上に制御することにより、良好な射出成形性を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、希土類−遷移金属系磁性粉(A)を重合脂肪酸系ポリアミドブロック共重合体(B−1)又は重合脂肪酸系ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体(B−2)から選ばれる1種以上を含む樹脂バインダー(B)に混合し分散させたボンド磁石用組成物において、重合脂肪酸系ポリアミドブロック共重合体(B−1)は、融点175〜192℃、結晶化温度131〜150℃、MI値460〜710g/10min、数平均分子量10000〜11000、酸価1.2〜2.5で、下記の一般式(1)で示される重合脂肪酸系ポリアミドブロック共重合体であり、また、重合脂肪酸系ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体(B−2)は、融点153〜201℃、結晶化温度142〜181℃、MI値400〜1600g/10min、数平均分子量6000〜11000、酸価1.8〜2.3で、下記の一般式(1)で示される骨格を繰り返し単位とする重合脂肪酸系ポリアミド骨格(a)と、一般式(2)で示されるポリエーテルエステルアミド骨格(b)を含有する重合脂肪酸系ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体であって、上記の重合脂肪酸系ポリアミドブロック共重合体(B−1)又は重合脂肪酸系ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体(B−2)から選ばれる1種以上を樹脂バインダー(B)全体の50重量%以上含有することにより、溶融状態にあるボンド磁石用組成物の温度を降下すると、該組成物の粘度の増加率が大きくなり始めるときの温度(固化開始温度:Ts)と、粘度の増加率が小さくなり始めるときの温度(固化終了温度:Tf)との差ΔTを20℃以上にしたことを特徴とするボンド磁石用組成物が提供される。
一般式(1)
Figure 0004501574
(式中、R、Rは、ヘキサメチレンジアミンの残基であり、Rは、アゼライン酸、セバシン酸又はステアリン酸の残基、Rは、オレイン酸及びリノール酸の重合脂肪酸残基を表し、mは〜70の整数、nは1〜150の整数、xは1〜100の整数である。)、
一般式(2)
Figure 0004501574
(式中、Rは、ポリオキシテトラメチレングリコールの残基であり、Rは、アゼライン酸の残基を表し、qは1〜20の整数である。)
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、磁性粉(A)は、希土類(Nd又はSm)と遷移金属(Fe及び/又はCo)を含有することを特徴とするボンド磁石用組成物が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、磁性粉(A)は、平均粒径が1〜100μmであることを特徴とするボンド磁石用組成物が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1の発明において、磁性粉(A)は、さらにフェライト磁性粉を含んでいることを特徴とするボンド磁石用組成物が提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第1の発明において、重合脂肪酸系ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体(B−2)は、重合脂肪酸系ポリアミド骨格(a)とポリエーテルエステル骨格(b)の共重合比(a):(b)が、10:90〜90:10であることを特徴とするボンド磁石用組成物が提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第1の発明において、樹脂バインダー(B)は、引張降伏応力が18MPa以下であり、かつ引張破壊応力が50MPa以下であることを特徴とするボンド磁石用組成物が提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第1の発明において、樹脂バインダー(B)は、配合量が組成物100重量部に対して1〜50重量部であることを特徴とするボンド磁石用組成物が提供される。
さらに、本発明の第の発明によれば、第1の発明において、固化開始温度Tsが170℃以上であることを特徴とするボンド磁石用組成物が提供される。
一方、本発明の第の発明によれば、第1〜のいずれかの発明に係り、ボンド磁石用組成物を、射出成形してなるボンド磁石が提供される。
また、本発明の第10の発明によれば、第1〜のいずれかの発明に係り、ボンド磁石用組成物を、射出成形、圧縮成形又は押出成形のいずれかにより他の金属材料および/または無機材料部品と一体成形してなるボンド磁石が提供される。
さらに、本発明の第11の発明によれば、第又は10の発明において、射出成形が265℃以下で行われることを特徴とするボンド磁石が提供される。
また、本発明の第12の発明によれば、第10の発明において、射出成形により、外径をDo、内径をDiとしたとき肉厚をDoで割った値、(Do−Di)/2Doが2%以上となるように円筒状に成形されてなるボンド磁石が提供される。
本発明のボンド磁石用組成物は、溶融状態からの粘度−温度依存性が制御されているので、特に金型温度を低く設定する場合でも、金型キャビティへの完全充填が行われる前に組成物が固化することによって起こる成形不良を回避し、良好に射出成形できる。また、本発明の組成物から射出成形されるボンド磁石は、良好な表面性状と磁気特性を有している。
以下、本発明のボンド磁石用組成物およびボンド磁石について、さらに詳しく説明する。
本発明のボンド磁石用組成物は、希土類元素と遷移金属を含有する希土類磁性粉(A)と熱可塑性の樹脂バインダー(B)を含むボンド磁石用組成物において、該組成物を溶融状態にしてから温度を降下する際、組成物の固化開始温度をTs(℃)、固化終了温度をTf(℃)とし、Ts−TfをΔTとしたとき、ΔTが特定値以上になるようにして、射出成形性を向上させたものである。
1.磁性粉
磁性粉(A)としては、フェライト磁性粉末、アルニコ系磁性粉末、希土類−鉄系磁性粉末、希土類−コバルト系磁性粉末など、ボンド磁石の原料となる各種の磁性粉を使用でき、特に制限されないが、高温で酸化による磁気特性低下が起こりやすい希土類元素を含有する磁性粉であれば特に効果的である。
これらは混合物(ハイブリッド)でもよく、異方性磁性粉だけでなく、等方性磁性粉も対象となる。
希土類元素としては、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、及びルテチウム(Lu)が挙げられ、これら群から1種又は2種以上が選択され、単独若しくは混合物として使用できる。希土類元素としては、Sm、Nd、Pr、Y、La、Ce、Gd等が好ましく、特にNd又はSmのいずれかが好ましい。
一方、遷移金属元素としては、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)及びマンガン(Mn)が挙げられ、これら群から1種又は2種以上が選択される。遷移金属元素では、これ以外にCr、V又はCuのいずれかを含有してもよい。特に好ましい遷移金属元素は、Fe又はCoのいずれかである。
尚、磁性粉の上記主成分に加えて、C、Al、Si、P、Ca、Ti、Mn、Ni、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Ag、In、Sn、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、またはAuから選択される一種以上を磁性粉に7重量%以下添加すると、磁性粉の耐熱性を高めることができる。
希土類−遷移金属系磁性粉として、例えば、希土類−コバルト系、希土類−鉄−ほう素系、希土類−鉄−窒素系の磁性粉末等から選ばれる一種、または二種以上の混合物を使用でき、中でも希土類−鉄−窒素系の磁性粉が好適である。
例えば、磁性粉は、20〜25重量%のSm、2.1〜4.0重量%のN、残部が実質的にFeを必須元素とする遷移金属であるThZn17型の結晶構造を持つ金属間化合物であることが望ましい。
Smが20重量%未満ではボンド磁石の保磁力HcJが低下し、25重量%を超えるとボンド磁石の残留磁束密度Brが低下し、一方、Nが2.1重量%未満であるか4.0重量%を超えると、ボンド磁石の保磁力HcJが低下する。残部のFeのうち、その30重量%以下をCoで置換すると、磁性粉の飽和磁化とキュリー温度が上がり、ボンド磁石の温度係数α(Br)を低く抑えることができる。
また、別な磁性粉として、20〜25重量%のSm、3.5〜5.5重量%のN、1.0〜10重量%のMn、残部が実質的にFeを必須元素とする遷移金属であるThZn17型の結晶構造を持つ金属間化合物を含むものであることが望ましい。
Smが20重量%未満では、ボンド磁石の保磁力HcJが低下し、25重量%を超えるとボンド磁石の残留磁束密度Brが低下し、一方、Nが3.5重量%未満であるか5.5重量%を超えると、ボンド磁石の保磁力HcJが低下する。残部のFeのうち、その30重量%以下をCoで置換すると、磁性粉の飽和磁化とキュリー温度が上がり、ボンド磁石の温度係数α(Br)を低く抑えることができる。
希土類−遷移金属系磁性粉の物性は、特に限定されるものではないが、得られるボンド磁石組成物の溶融流動性、磁性粉の配向性、充填率等の観点から、希土類−遷移金属系磁性粉の平均粒径は、1〜100μmとすることが好ましい。さらには、1〜50μmが好ましく、1〜10μmであることがさらに好ましい。
ただし、HDDR法によって製造される異方性Nd−Fe−B系磁性粉については、平均粒径を0.1〜10μmとすると磁気特性が低下する場合があるので、上記の限りではなく、10〜100μmにすることが好ましい。
なお、希土類元素を含有する磁性粉においては、その表面がZnなどの金属化合物被膜もしくは平均3〜100nmの燐酸塩被膜で均一に被覆されたものを用いるのが望ましい。燐酸塩被膜は、少なくとも燐酸鉄と希土類元素燐酸塩を含む複合燐酸塩であり、磁性粉表面を保護する被膜である。燐酸塩被膜の平均厚さが3nm未満であると十分な耐候性が得られず、また、100nmを超えると磁気特性が低下すると共に混練性や成形性が低下する。
また、本発明においては、要求される磁気特性に合わせて、Srフェライト,Baフェライト等のフェライト磁性粉、アルニコや鉄クロムコバルトなどの金属磁性材料粉末の磁性粉一種以上を希土類−遷移金属系磁性材料粉末に混合した粉末を用いることができる。
希土類−遷移金属系磁性粉に対するフェライト磁性粉の混合比率は、任意に設定できるが、目標とする磁気特性に対して希土類磁性粉を多めに設定すると、希土類磁性粉とフェライト磁性粉との合計量を低減できるため溶融粘度の低いボンド磁石用組成物が得られ、逆にフェライトを多めに設定すると組成物のコストパフォーマンスを高めることができる。
2.樹脂バインダー
本発明において用いられる樹脂バインダーは、特定のポリアミド樹脂であり、その樹脂バインダーが配合されたボンド磁石用組成物を溶融状態にしてから温度を降下した際、該組成物の粘度の増加率が大きくなり始めるときの温度(固化開始温度:Ts)と、粘度の増加率が小さくなり始めるときの温度(固化終了温度:Tf)との差、すなわちTs−Tf(ΔT)が20℃以上となるものを採用する。
一般に溶融状態にあるボンド磁石用組成物では、粘度ηは温度が低下するとともに大きくなり、特に組成物の固化過程で急激に増大するという傾向を有する。
本発明では、上記のとおり、溶融状態のボンド磁石用組成物の温度を降下させていったとき、粘度ηの増加率が大きくなり始める温度を固化開始温度Ts(℃)、ηの増大がほぼ飽和した温度を固化終了温度Tf(℃)と定義する。従来から行われてきたJIS K 7210やASTM D−1238に基づくMFR(メルトフローレイト)測定方法では十分には評価することができなかったが、本発明によるボンド磁石用組成物の評価は、一般的な射出成形装置を用いてボンド磁石用組成物を射出成形した場合の成形性により近い特性を規定することができる。
ここで固化開始温度Tsは、回転粘度計を用いて溶融粘度の温度依存性を調べることによって決定する。すなわち、本発明では、先ずMR−300ソリキッドメータ((株)レオロジー製)のパラレルプレート間にボンド磁石用組成物を配置し、不活性ガス雰囲気中、250℃に加熱して該組成物を溶融させる。このとき、パラレルプレートの直径は18mmで、ギャップは1.2mmとする。次いで、振動数1Hz、振幅0.3°でパラレルプレートを振動させ、2℃/min.で冷却しながら該組成物の貯蔵弾性率G’と損失弾性率G”を測定し、これらから粘度η(複素粘度)の温度変化を測定すればよい。ここで、粘度ηは、次式で示される。η=(G’+G”1/2/ω (式中、ωは角振動数である。)
ここで、図1を用いてボンド磁石用組成物の粘度−温度依存性を説明する。本発明で使用できる樹脂バインダーは、この樹脂バインダーを用いて調製したボンド磁石用組成物を溶融状態にしてから温度を降下させると、図1に示す○、または△のプロットを結んだ曲線のように粘度が変化する。
この粘度増加率が小さい状態(それぞれ2本の直線が引ける)から粘度が急変し始める温度が読み取れる。この2点の間隔が広いもの、すなわち固化開始温度Tsと固化終了温度Tfとの差ΔTが20℃以上になるものは、粘度−温度依存性が緩やかなものであり、本発明で使用できる樹脂バインダーである。このようなバインダーを用いたボンド磁石用組成物は、高い剪断力下で金型内に射出されたときには過冷却状態になり、Tf以下のかなり低い温度になるまで溶融流動性を損なわないために、良好な成形性が得られるものと推測される。
本発明で使用できる樹脂バインダーを配合した組成物は、固化開始温度Tsが170℃以上になる。中でも、固化開始温度Tsが190〜215℃になるものが好ましく、特に195〜210℃になるものが好適である。固化開始温度Tsが170℃未満であると、ボンド磁石の荷重たわみ強度の問題があり好ましくない。また、ΔTが20℃未満では、金型温度を低く設定した場合に成形不良が生じるため好ましくない。
このような条件に合致するものであれば、使用できる樹脂バインダーの種類は、特に制限されないが、分子鎖中にソフトセグメントを有する重合脂肪酸系ポリアミドブロック共重合体、または重合脂肪酸系ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体(以下、これらを重合脂肪酸系ポリ(エーテルエステル)アミドブロック共重合体、あるいは単にブロック共重合体ともいう)などの熱可塑性樹脂を50重量%以上含んだものが好ましい。
すなわち、本発明に用いることができる樹脂バインダー(B)としては、一般式(1)で示される骨格を繰り返し単位とする重合脂肪酸系ポリアミドブロック共重合体(B−1)であるか、又はこのブロック共重合体(B−1)、あるいはそのオリゴマーに一般式(2)で示されるポリエーテルエステルを共重合させた重合脂肪酸系ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体(B−2)のいずれかを含むものである。
重合脂肪酸系ポリアミドブロック共重合体(B−1)は、一般式(1)で表される。
一般式(1)
Figure 0004501574
ただし、式中、R、Rは、ヘキサメチレンジアミンの残基であり、Rは、アゼライン酸、セバシン酸又はステアリン酸の残基、Rは、オレイン酸及びリノール酸の重合脂肪酸残基を表し、mは〜70の整数、nは1〜150の整数、xは1〜100の整数である。
また、重合脂肪酸系ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体(B−2)は、上記の一般式(1)で示される骨格を繰り返し単位とする重合脂肪酸系ポリアミドブロック共重合体(式中、R〜R、m、n、xは前記と同じ)またはそのオリゴマーに、下記の一般式(2)で示されるポリエーテルエステルを共重合させたものである。
一般式(2)
Figure 0004501574
式中、Rは、ポリオキシテトラメチレングリコールの残基であり、Rは、アゼライン酸の残基を表し、qは1〜20の整数である。
重合脂肪酸系ポリアミドブロック共重合体(B−1)、又は重合脂肪酸系ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体(B−2)は、数平均分子量が1,000〜50,000のものが好ましく、5,000〜25,000のものがより好ましく、5,000〜12,000のものが最も好ましい。数平均分子量が1,000未満であると、溶融粘度が著しく小さくなり、成形加工中に磁性粉と分離したり、また組成物を成形したボンド磁石の強度が著しく低くなる場合があり、数平均分子量が50,000を超えた場合、成形時に十分な溶融流動性が得られなくなる。
重合脂肪酸系ポリアミドブロック共重合体(B−1)は、重合脂肪酸系ポリアミド骨格のみからなる樹脂であるが、その骨格の中でも、芳香族環を有するか炭化水素鎖が短いジカルボン酸のハードな骨格と、重合脂肪酸のソフトな骨格とがブロック重合している樹脂が好ましい。
重合脂肪酸系ポリ(エーテルエステル)アミドブロック共重合体は、用いられる磁性粉の種類、得られるボンド磁石組成物の溶融流動性、磁性粉の配向性等を考慮し選択すれば良い。樹脂バインダーの末端にアミノ基が存在すると、非酸化状態の鉄と反応するので、磁性粉の鉄の含有量、粒径の違いに依り重合脂肪酸系ポリ(エーテルエステル)アミドブロック共重合体の種類と量を注意深く選択する。
重合脂肪酸系ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体(B−2)は、重合脂肪酸系ポリアミドのハードな骨格(a)と、ポリエーテルエステルのソフトな骨格(b)との共重合比(a):(b)が、10:90〜90:10である樹脂を選択することが望ましい。共重合比(a):(b)は、80:20〜50:50のものが特に好ましい。
また、重合脂肪酸系ポリアミドブロック共重合体(B−1)同士でグレードの異なるもの、あるいは重合脂肪酸系ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体(B−2)同士でグレードの異なるものを混合してもよい。さらには重合脂肪酸ポリアミドブロック共重合体(B−1)と、重合脂肪酸ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体(B−2)とを混合して用いることも可能である。
本発明で使用する重合脂肪酸系ポリアミドブロック共重合体(B−1)、重合脂肪酸系ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体(B−2)は、特開平5−320335号、特開平5−320336号公報等に詳細に記載されている方法で製造できる。
重合脂肪酸系ポリアミドブロック共重合体(B−1)は、特定の重合脂肪酸(イ)、ジカルボン酸(ロ)、およびジアミン(ハ)を混合し、重縮合して製造される。なお、ジカルボン酸(ロ)の混合は好ましいが、その使用を省略しても良い。
重合脂肪酸(イ)としては、具体例として、大豆油脂肪酸、トール油脂肪酸、菜種油脂肪酸等の天然の獣植物油脂肪酸、及びこれらを精製したオレイン酸、リノール酸、エルカ酸等から重合した重合脂肪酸、及びこれらのエステル誘導体が挙げられ、オレイン酸、リノール酸が使用される。
市販されている重合脂肪酸は、通常ダイマー酸(二量体化脂肪酸)を主成分とし、他に原料の脂肪酸や三量体化以上の脂肪酸を含有するが、ダイマー酸(二量体化脂肪酸)含有量が70%以上、好ましくは95%以上であり、かつ水素添加して不飽和度を下げたものが望ましい。特に、プリポール1004、1009、プリポール1010(以上ユニケマ社製)やエンポール1008(コグニス社製)等の市販品が好ましい。これらの混合物、及びエステル誘導体も用いられる。
重合脂肪酸とともに用いうるジカルボン酸(ロ)は、例えば、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ヘキサデカンジオン酸、エイコサンジオン酸、エイコサジエンジエンジオン酸、ジグリコール酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸、キシレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、及びこれらのエステル誘導体等が挙げられ、1種以上であっても良い。
特に、重合性、重合脂肪酸との共重合性、及び得られるポリアミド共重合体の物性などの点から、アゼライン酸、セバシン酸、及びこれらの混合物が好ましく使用される
ジアミン(ハ)としては、具体的には、エチレンジアミン、1,4−ジアミノブタン、テトラメチレンジアミン、メチルペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、ビス−(4,4´−アミノシクロヘキシル)メタン、メタキシリレンジアミンパラキシリレンジアミン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミン等の脂環族ジアミン、炭素数20〜48の重合脂肪酸から誘導されるダイマージアミン等の脂肪族ジアミン類が挙げられ、ヘキサメチレンジアミンが使用される
この他に、カプロラクタムを配合しても良い。
(イ)重合脂肪酸、(ロ)アゼライン酸及び/またはセバシン酸、(ハ)ジアミンは、上記重合脂肪酸系ポリアミドブロック共重合体(B−1)の構造式を満足する割合で混合する。例えば、上記(ロ)に対する(イ)の重量比(イ)/(ロ)が0.3〜5.2で、かつ全カルボキシル基に対し全アミノ基が実質的に当量になるように混合して重縮合させる。(イ)/(ロ)が0.3未満であると、得られるポリアミド共重合体の可撓性が不十分であり、一方、5.2より大きくなると、柔らかすぎると共に耐熱性の低下が著しく目的とするポリアミド共重合体が得られない。
その一例を示すと、窒素で十分に置換した反応容器に、(イ)重合脂肪酸と、(ロ)アゼライン酸及び/またはセバシン酸と、(ハ)ヘキサメチレンジアミンの三者を、上記(ロ)に対する(イ)の重量比(イ)/(ロ)が0.3〜5.2で、かつ全カルボキシル基に対し全アミノ基が実質的に当量になるように仕込み、所定量の分子量調整剤と、少量の重縮合触媒(燐酸等)の存在下で200〜280℃に昇温し、1〜3時間反応させた後、160mmHg程度の減圧下で更に0.5〜2時間反応させることにより、高分子量で可撓性に優れるポリアミド共重合体が得られる。分子量調整剤としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸等のカルボキシル基含有炭化水素を用いることができる。
このようにして製造された重合脂肪酸系ポリアミドブロック共重合体(B−1)としては、富士化成工業株式会社製、「PA−30R」、同「PA−30M」、同「PA−30」、同「PA−40M」、同「PA−50R」、同「PA−50M」、同「PA−60」、同「PA−160M」、同「PA−160」、同「PA−260R」、同「PA−260M」、同「PA−260」、同「PA−270M」、同「PA−280R」、同「PA−280M」、同「PA−280」などが挙げられる。
本発明では、このような市販品を用いることもできるが、重縮合させる原料投入量を変えて合成することにより、樹脂バインダーのソフトセグメント(低いガラス転移温度でエントロピー弾性を示す柔軟な構造を持つ成分)と、ハードセグメント(水素結合あるいは高ガラス転移温度相などを形成する分子間を拘束する成分)の骨格および比率を調整すれば、TsとTfとが制御されたものを得ることができる。例えばTsはハードセグメントの骨格、Tfはソフトセグメントの骨格によって左右され、TsからTfにかけての粘度上昇挙動は、それらの比率によってコントロールできる。なお、重合脂肪酸系ポリアミドブロック共重合体(B−1)は、ソフトセグメントを有しないが、ジアミンと不飽和脂肪酸の重合体が柔軟性のあるソフトセグメント的な挙動を示す。
一方、この重合脂肪酸系ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体(B−2)は、特定の重合脂肪酸(イ)、ジカルボン酸(ロ)、およびジアミン(ハ)のうち、(イ)と(ハ)の2成分、または(イ)、(ロ)、(ハ)の3成分を混合し、重縮合して得られた上記重合脂肪酸系ポリアミドブロック共重合体のオリゴマーに、ポリオキシアルキレングリコール又はジヒドロキシ炭化水素(ニ)を反応させて製造される。
ポリオキシアルキレングリコール(ニ)としては、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのブロックまたはランダム共重合体、エチレンオキサイドとテトラヒドロフランとのブロックまたはランダム共重合体、及びこれらの混合物が挙げられ、ポリオキシテトラメチレングリコールが使用される
ジヒドロキシ炭化水素としては、エチレングリコール、プロピレングリコールなどの他、例えばオレフィンやブタジエンを重合して末端を水酸基化し、かつその二重結合を水素添加して得られるポリオレフィングリコールや水添ポリブタジエングリコール等を挙げることができる。
このようにして製造された重合脂肪酸系ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体(B−2)としては、富士化成工業株式会社製、「TPAE8」、同「TPAE10・C」、同「TPAE10・HP」、同「TPAE12」などが挙げられる。
この重合脂肪酸系ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体(B−2)の場合も、上記と同様に、重縮合させる原料投入量を変えて、樹脂バインダーのソフトセグメント(ポリエーテルエステル骨格)と、ハードセグメント(重合脂肪酸系ポリアミド骨格)の種類および比率を調整すれば、TsとTfとが制御されたものを得ることができる。
粘度−温度依存性をゆるやかにして、射出成形性を向上させるという観点からすれば、重合脂肪酸系ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体(B−2)のポリエーテルエステル骨格(a)と重合脂肪酸系ポリアミド骨格(b)との共重合比(a):(b)は、10:90〜90:10の間で適宜変化させることが好ましい。特に、(a):(b)が、80:20〜50:50のものが好ましい。重合脂肪酸系ポリアミド骨格(a)が10未満の場合、樹脂が柔らかくなり過ぎて、必要な成形体強度が得られなくなる場合があり、90を超えると成形体が脆くなる場合がある。
これらの重合脂肪酸系ポリアミドブロック共重合体(B−1)、重合脂肪酸系ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体(B−2)は、上記の条件を満足すれば使用することができるが、樹脂単独での機械特性において、引張降伏応力が18MPa以下、好ましくは17MPa以下であり、かつ引張破壊応力が50MPa以下、好ましくは45MPa以下であることが望ましい。ここで、応力測定は、JIS K7162に基づき、常温の金型に射出成形し乾燥した試料について評価したものである。引張降伏応力が18MPaを超えるか、引張破壊応力が50MPaを超えると、低温での可撓性が悪化するので好ましくない。
また、これらのブロック共重合体は、その遊離酸の量を表す酸価が3以下であることが好ましい。ここで酸価は、JIS K5601−2−1に準拠し試料のポリアミド共重合体1gを中和するのに要する水酸化カリウムのmg数をもって表される。そして、具体的には、トルエン:ノルマルブタノール=2:1とした溶剤に試料を溶解し、フェノールフタレイン指示薬溶液を加えた上で0.1mol/Lの水酸化カリウムメチルアルコール溶液で滴定して求められる。
酸価が3を超えると、ブロック共重合体に含まれる遊離酸の量が多いので、混練トルクが大きくなり組成物の流動性が低下するので好ましくない。
ところで、ボンド磁石用組成物のΔT(℃)が20℃以上になるものであれば、上記の重合脂肪酸系ポリ(エーテルエステル)アミドブロック共重合体を主たる成分として、これに通常のナイロン12やナイロン6などの熱可塑性樹脂を従たる成分として混合することもできる。
従たる成分として配合しうる樹脂としては、例えば、ナイロン6、ナイロン12、ナイロン6−12、4−6ナイロン、およびその変性ナイロン、ナイロン系エラストマー等のポリアミド樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニル系樹脂、アクリル系樹脂、アクリロニトリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ふっ素樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテルエーテルケトンなどが挙げられる。
これら熱可塑性樹脂の溶融粘度や分子量は、所望の機械的強度が得られる範囲内で低い方が望ましく、例えば12ナイロンの場合であれば、分子量は15,000以下であることが好ましい。また原料としての形状は、パウダー、ビーズ、ペレット等、特に限定されないが、磁性粉との均一混合性から考えるとパウダー状が望ましい。
これらの中では、得られる成形体の種々の特性やその製造方法の容易性から、12ナイロンなどのポリアミド系樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂の使用が好ましい。これら熱可塑性樹脂の2種類以上をブレンドして使用することも可能である。
ただし、主たる樹脂バインダーとなる重合脂肪酸系ポリ(エーテルエステル)アミドブロック共重合体に対して、これら熱可塑性樹脂を50重量%以上配合することは望ましくない。50重量%以上を配合すると、破断伸び、磁気特性のいずれも低下し、低温環境下での可撓性を改善できないことがある。
なお、本発明者らが行った試験によると、前記の先行文献(特許文献1)に記載された樹脂バインダーを配合した組成物では、成形性に改善傾向が認められるものの、固化開始温度が本発明の組成物よりも低くなる樹脂バインダーであったため、ΔTが狭くなり、成形品表面に荒れが残り、十分な効果は得られなかった。
また、前記の先行文献(特許文献2、3)には、磁石組成物全体に対して重合脂肪酸系ポリ(エーテルエステル)アミド系樹脂を多く入れすぎると、相対的に磁粉含有率が低下するために磁気特性が低下するので好ましくないと記載されているが、本発明に係る重合脂肪酸ポリ(エーテルエステル)アミドブロック共重合体は、機械特性がよいので、この配合量を樹脂バインダーの50重量%以上とすれば、一体成形品などで、ボンド磁石とヨーク材との熱膨張率の差から生じるボンド磁石の応力割れ等の発生を抑制できる。
本発明の樹脂バインダーは、上記の(B−1)重合脂肪酸系ポリアミドブロック共重合体、及び/又は(B−2)重合脂肪酸系ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体の主たる樹脂に、シラン系化合物が1重量%以上、好ましくは3重量%以上となるように組合わせることができる。
(シラン系化合物)
本発明において、シラン系化合物とは、アルコキシシラン(官能基を有しないもの)、ハロゲン化シラン(クロロシランなど)、シラザンなどのように、希土類と遷移金属の合金や、その表面の無機被覆成分に対して反応性がある基を有するが、樹脂の有機成分とは反応しないか、反応性が低い珪素含有化合物を指すものとする。したがって、磁性粉の無機被覆成分に対して反応性がある基を有し、しかも樹脂の有機成分との反応性も高い珪素含有化合物(すなわち、シランカップリング剤)は除外される
シラン系化合物は、磁性粉の無機成分のみと反応するが、これに対して、シランカップリング剤を用いると、さらに樹脂バインダーの有機基とも反応するため、磁性粉と樹脂成分との密着性が高くなるので、コンパウンドの粘度が高まり、流動性も低下してしまう。該カップリング剤で表面処理することにより、充填材の配合量が多い場合などには、混練中のトルクが上昇し、磁性粉の表面の保護皮膜が剥離する、また、混練温度が上昇し、せん断発熱により、磁性粉が劣化し保磁力が低下する、さらには、射出成形時の流動性が低くなり、高温射出による磁性粉が劣化するなどの問題が生じることがある。したがって、このような場合は、カップリング剤の使用は実質的に制限される。
アルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ヘプタデカトリフルオロデシルトリメキシシランなど挙げられる。これらシラン系化合物は、単独もしくは互いに混合して用いることが出来る。
具体的には、信越化学工業(株)製「KBM04」、同「KBM13」、同「KBM22」、同「KBM103」、同「KBM202SS」、同「KBE04」、同「KBE13」、同「KBE22」、同「KBE103」、同「KBE202」、同「KBM3063」、同「KBE3063」、同「KBM3103」、同「KBM3103C」、同「KBM7103」、同「KBM7803」、日本ユニカー(株)製、「A−137」、同「A−162」、同「A−163」、同「AZ−6177」、同「A−1230」、同「Y−11597」などが挙げられる。
ハロゲン化シランには、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、トリエチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、トリフロロプロピルトリクロロシラン、ヘプタデカフロロデシルトリクロロシランなどが挙げられる。具体的には、信越化学工業(株)製「KA13」、同「KA12」、同「KA22」、同「KA31」、同「KA103」、同「KA202」、同「KA7103」、同「KA7803」などが挙げられる。
シラザンには、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサエチルジシラザン、トリメチルトリエチルジシラザン、シクロシラザン、ポリシクロシラザンなどがあり、具体的には信越化学工業(株)製「HMDS3」が例示できる。
3.ボンド磁石用組成物の製造方法
本発明のボンド磁石用組成物は、(1)上記磁性粉を用意して、これを融点が150〜500℃の金属化合物又は燐酸化合物により被覆するか、カップリング剤で被覆した後、(2)樹脂バインダーを混合し、磁性粉を分散することにより製造される。
(1)金属化合物又は燐酸化合物による被覆
本発明の表面処理方法としては、事前に融点が150〜500℃の金属化合物又は燐酸化合物により、磁性粉に表面処理を施した後、磁性粉とカップリング剤で処理することができる。
(金属化合物)
金属化合物としては、本出願人が特開2001−207201号公報で提案したような、亜鉛(Zn)のようにそれ自身が反応後または未反応後にZn含有皮膜を形成し、かつR−T−N系磁性粉の表面に実質的に均一に被覆しうるものであり、具体的には、Zn、錫(Sn)、インジウム(In)、鉛(Pb)などが挙げられる。
金属化合物は、希土類元素を含む鉄系磁性粉表面を保護するために、磁性粉の0.1〜9.1重量%を必要とする。皮膜は、磁性粉とZnなどの金属粉末を混合し、不活性ガス中、200〜500℃で熱処理して、磁性粉表面を被覆した後、熱処理によって凝集した磁性粉を解砕することで得られる。
(燐酸化合物)
燐酸化合物としては、それ自身が反応後または未反応後に燐酸塩を形成し、かつ希土類−遷移金属系磁性粉の表面に被覆されることが重要となる。これらの条件を満足させることが可能な表面被覆用材料としては、一般に市販されている燐酸、燐酸溶液、燐酸塩溶液、これらの混合物等、および/または燐酸塩系表面処理剤を使用できる。燐酸化合物には、燐酸をはじめ、亜燐酸、次亜燐酸、ピロ燐酸、直鎖状のポリ燐酸、環状のメタ燐酸が含まれる。燐酸系表面処理剤としては、たとえば、燐酸系、燐酸マンガン系、燐酸亜鉛系、燐酸水素ナトリウム系、燐酸カルシウム系、有機燐酸エステル系などの有機燐酸化合物などがある。これらの燐酸化合物は、単独もしくは二種類以上で用いることが出来る。
また、燐酸アンモニウム、燐酸アンモニウムマグネシウムなど、更には磁性粉表面でホパイト、フォスフォフェライト等を形成する燐酸亜鉛系、ショルツァイト、フォスフォフィライト、ホパイト等を形成する燐酸亜鉛カルシウム系、マンガンヒューリオライト、鉄ヒューリオライト等を形成する燐酸マンガン系、ストレンナイト、ヘマタイト等からなる燐酸鉄系などの被膜を形成する化合物が挙げられる。上記の燐酸化合物は、通常、キレート剤、中和剤等と混合して処理剤とされる。
これらのうち、燐酸亜鉛系、燐酸マンガン系、燐酸鉄系化合物が好ましい性能を発揮するが、その理由は、これらの金属元素が希土類系金属を成分とする磁性粉末の表面に保護膜を形成しやすいためと考えられる。これら燐酸化合物は、上記の化合物単独でも複数種を組合せてもよい。
表面に金属化合物皮膜又は平均3〜100nmの燐酸塩皮膜が均一に被覆された希土類−鉄系磁性粉は、本出願人が提案したように、従来に比べて耐候性が著しく向上している(特開2003−7521号公報)。この磁性粉を、ナイロン6、ナイロン12、あるいはナイロン6−12などの従来のポリアミドと混練して得られるボンド磁石用組成物は、耐候性は大幅に改善されるものの、溶融流動性や成形加工性が未だ不十分で、成形して得られた磁石は機械強度が若干低下する。ところが、重合脂肪酸系ポリ(エーテルエステル)アミドブロック共重合体を主たる樹脂バインダーとする本発明によって改善される。
また、上記希土類−鉄系磁性粉の中でも、20〜25重量%のR(希土類元素)、2.1〜3.9重量%のN(窒素)、0.2〜2.0重量%のP(リン)、0.5〜5.0重量%のO(酸素)、及び残部がT(遷移金属元素および不可避的不純物)であり、不可避的不純物であるH(水素)の含有量を0.3重量%以下としたThZn17型、またはThNi17型結晶構造をもつ希土類−鉄−窒素(R−T−N)系磁性粉を選択した場合には、成形体の表面性状も良好で、溶融流動性、成形加工性、成形体の機械強度が改善される点でさらに効果的である。
ここで希土類元素(R)は、20〜25重量%、好ましくは23〜25重量%含有されている。Rが20重量%未満では磁性粉の残留磁化と保磁力が低下し、25重量%を超えると磁性粉の残留磁化と耐候性が低下する。N(窒素)は2.1〜3.9重量%、好ましくは2.8〜3.5重量%含有されている。Nが2.1重量%未満であるか、あるいは3.9重量%を超えると磁性粉の残留磁化と保磁力が低下するので好ましくない。
一方、燐酸塩皮膜の成分であるP(リン)の含有量は0.2〜2.0重量%、好ましくは0.3〜1.0重量%である。Pが0.2重量%未満では磁性粉の耐候性や耐熱性に劣り、2.0重量%を超えるとその残留磁化が低下するので好ましくない。また、O(酸素)は0.5〜5.0重量%、好ましくは1.0〜3.0重量%である。Oが0.5重量%未満では、磁性粉表面の燐酸塩皮膜が十分に形成されていないので、耐候性や耐熱性が劣るのに加えて表面活性が高いため、大気中で取り扱ったとき発火のおそれがある。一方、5.0重量%を超えると残留磁化が低下するので好ましくない。
そして、残部が磁性粉の主成分の遷移金属元素、すなわち、FeまたはCoなどである。燐酸塩皮膜の成分として、Zn、Cu、Mnなどがさらに含まれてもよい。このようなことから、遷移金属元素としては、Feの他に、Co、Zn、Cu又はMnから選択される1種以上が含まれるものが好適といえる。さらに、不可避的に混入する任意成分のH(水素)は0〜0.3重量%、好ましくは0.1重量%以下である。Hは耐候性に悪影響を及ぼし、0.3重量%を超えると耐候性が低下すると共に、保磁力も低下するので極力排除するのが望ましい。
また、希土類−遷移金属系磁性粉の物性は、特に限定されるものではないが、得られるボンド磁石組成物の溶融流動性、磁性粉の配向性、充填率等の観点から、希土類−遷移金属系磁性粉の平均粒径は、1〜100μmとすることが好ましい。その中でも、1〜50μmが好ましく、1〜10μmであることがさらに好ましい。平均粒径を1〜10μmとすると、成分組成を上記範囲とすることで、室温での保磁力が400kA/m以上の希土類−遷移金属(R−Fe−N)系磁性粉となる。ここで平均粒径が1μm未満では磁性粉の残留磁化が低下し、10μmを超えると室温での保磁力が400kA/mを下回ることがある。
ただし、上記したように、HDDR法によって製造される異方性Nd−Fe−B系磁性粉については、平均粒径を0.1〜10μmとすると磁気特性が低下する場合があるので、10〜100μmにすることが好ましい。
(カップリング剤)
金属化合物又は燐酸塩で被覆された磁性粉は、さらにカップリング剤によって被覆することができる。
本発明においては、上記の磁性粉にシラン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、ジルコネート系カップリング剤の少なくとも一種を用いて表面処理を施す。この表面処理により磁性粉の表面が被覆されることにより、高充填時の溶融流動性をより効果的に向上させることができる。
シラン系カップリング剤としては、例えばビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン)、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどがある。これらのシラン系カップリング剤も、単独もしくは混合して用いることが出来る。
アルミニウム系カップリング剤としては、アルコキシアルミニウムキレート類が挙げられる。具体的には、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートなどである。これらのアルミニウム系カップリング剤は、単独もしくは二種類以上で用いることが出来る。
チタネート系カップリング剤としては、一般に市販されている、たとえばイソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル)チタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネートなどがある。これらの中では、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネートが特に好ましい。なお、これらのチタネートカップリング剤は、単独もしくは混合して用いることが出来る。
カップリング剤は、湿式処理法、乾式処理法のいずれかで被覆処理され、その後、加熱乾燥させれば、より安定して磁性粉に定着する。すなわち、カップリング剤溶液、磁性粉は、プラネタリーミキサーなどにより、十分に混合撹拌(例えば40rpm、20℃、保持・撹拌時間20分間)し、最後に、100〜150℃の真空オーブン中で10〜30時間乾燥させる。
カップリング剤の添加量は、その種類や濃度により異なるが、概ね磁性粉100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましく、更に好ましくは0.1〜5重量部である。0.1重量部よりも少ないと、充分な溶融流動性向上や、耐環境性向上の効果が得られず、10重量部よりも多くなると成形体の密度が低下して、ボンド磁石の機械強度低下や、所望の磁気特性が得られなくなる。
本発明の表面処理方法としては、必要により事前に金属化合物又は燐酸化合物による表面処理工程を設けて磁性粉に被覆処理を施した後、磁性粉とカップリング剤で処理し、その後、樹脂バインダーとを混合することが好ましいが、磁性粉と樹脂バインダーとカップリング剤とを一緒に混合しても良い。しかしながら、より確実な表面処理被膜を得るためには、磁性粉の粉砕時等を用い、磁性粉に事前にカップリング剤で処理した後、樹脂バインダーと混合することが望ましい。
(3)樹脂バインダーへの磁性粉の分散
最後に、上記の方法により表面処理された磁性粉は、樹脂バインダーに混合し、分散させる。
樹脂バインダー(B)の配合量は、特に制限されるものではないが、組成物100重量部に対して1〜50重量部、好ましくは3〜50重量部とする。さらには、5〜30重量部、特に、7〜20重量部がより好ましい。樹脂バインダー(B)が1重量部よりも少ないと著しい混練トルクの上昇、流動性の低下を招いて成形困難になるだけでなく、磁気特性が不十分であり、50重量部よりも多いと、所望の磁気特性が得られないので好ましくない。
また、本発明では上述のように磁性粉を高充填した場合に顕著な効果を奏するものであるが、本発明のボンド磁石用組成物によれば、磁性粉の配合量が80重量部より少ない場合でも、磁性粉の均一分散性などの点で有利である。
本発明のボンド磁石用組成物を得る場合は、必要により、下記のような添加剤、充填材を配合した後、このボンド磁石用組成物を溶融混練すれば良く、例えばバンバリーミキサー、ニーダー、ロール、ニーダールーダー、単軸押出機、二軸押出機等の混練機などを使用して行う。
(添加剤)
ボンド磁石用組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、反応性希釈剤、未反応性希釈剤、増粘剤、滑剤、離型剤、紫外線吸収剤、難燃剤や種々の安定剤など、他の添加剤を配合することができる。
反応性希釈剤としては、スチレン、脂肪酸ジグリシジルエーテル、エチレングリコールグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテルなどが挙げられる。
未反応性希釈剤としては、エタノール、イソプロパノールなどのアルコールが挙げられる。
増粘剤としては、酸化ベリリウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酸化亜鉛などが挙げられる。
また、滑剤としては、例えばパラフィンワックス、流動パラフィン、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、エステルワックス、カルナウバ、マイクロワックス等のワックス類、ステアリン酸、1,2−オキシステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、オレイン酸等の脂肪酸類、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ラウリン酸カルシウム、リノール酸亜鉛、リシノール酸カルシウム、2−エチルヘキソイン酸亜鉛等の脂肪酸塩(金属石鹸類)ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘン酸アミド、パルミチン酸アミド、ラウリン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ジステアリルアジピン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、ジオレイルアジピン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド等脂肪酸アミド類、ステアリン酸ブチル等の脂肪酸エステル、エチレングリコール、ステアリルアルコール等のアルコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、及びこれら変性物からなるポリエーテル類、ジメチルポリシロキサン、シリコングリース等のポリシロキサン類、弗素系オイル、弗素系グリース、含弗素樹脂粉末といった弗素化合物、窒化珪素、炭化珪素、酸化マグネシウム、アルミナ、二酸化珪素、二硫化モリブデン等の無機化合物粉体が挙げられる。滑剤の配合量は、磁性粉100重量部に対して、通常0.01〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部である。
離型剤としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸金属塩とステアリン酸亜鉛との混合系などが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、フェニルサリシレート、p−第3ブチルフェニルサリシレート、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、3−2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ第3ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系;蓚酸アニリド誘導体などが挙げられる。
難燃剤としては、三酸化アンチモン、アンチモン酸ソーダ、有機臭素化合物、塩素化パラフィン、塩素化ポリエチレンなどが挙げられる。
また、安定剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−{3−(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−4−{3−(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,2,3−トリアザスピロ[4,5]ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、こはく酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[[2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル]イミノ]]、2−(3,5−ジ・第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)等のヒンダード・アミン系安定剤のほか、フェノール系、ホスファイト系、チオエーテル系等の抗酸化剤等が挙げられ、これらの一種または二種以上を使うことが出来る。
安定剤の配合量は、磁性粉全量に対して、通常0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜3重量部である。
これらの添加剤の添加量は、樹脂バインダーの種類や磁性粉の種類などに応じて適宜選定され、特に制限されるものではないが、通常はボンド磁石用組成物100重量部に対して、合計で0.1〜20重量部、特に0.1〜3重量部とすることが好ましい。
(充填剤)
さらに、本発明のボンド磁石用組成物には、マイカなどのクレイやウィスカあるいはタルク、炭素繊維、ガラス繊維など補強効果の大きな充填材を本発明の目的を妨げない範囲で適宜添加することができる。すなわち、ボンド磁石に要求される磁気特性が比較的低く、上記磁性粉の充填量が比較的少ない場合には、ボンド磁石の機械強度が低くなりやすく、このような場合には機械強度を補うためにマイカやウィスカなどの充填材を添加して、ボンド磁石の機械強度を補うことができる。
これらの充填剤の種類や配合量は、特に制限されるものではなく、要求されるボンド磁石の特性に応じて適宜選択すればよい。
4.ボンド磁石
上記のボンド磁石用組成物は、190〜280℃の温度で加熱された後、所望の形状を有する本発明のボンド磁石に成形される。
射出成形、圧縮成形、押出成形、圧延成形、或いはトランスファー成形等で成形することによって、磁気特性、形状自由度のみならず、耐錆特性、機械的強度、柔軟性、耐熱性などにも優れた本発明のボンド磁石が得られる。
上記本発明のボンド磁石用組成物の成形法は、特に限定されるものではないが、溶融流動性が優れ、高磁気特性で高機械強度が要求されている射出成形が最も効果的である。
射出成形では、最高履歴温度が265℃以下、好ましくは260℃以下、より好ましくは250℃以下となる条件でボンド磁石用組成物を成形する。最高履歴温度が265℃を超えると、磁気特性が低下するという問題が生じるので好ましくない。
本発明のボンド磁石は、一体成形によって製造する場合において、製品の強度や精度が向上するだけでなく量産性が高くなり、ボンド磁石の特徴が有効に具現化される。すなわち、金属材料および/または無機材料部品と一体成形することにより、成形後の冷却過程でボンド磁石と金属材料および/または無機材料部品との線膨張係数の差に起因するボンド磁石の割れの問題が著しく改善される。ヒートサイクル試験による一体成形品の割れの問題が著しく改善される。金属材料、無機材料部品とは、ヨーク材(バックヨーク)、ハブ、シャフトなどであり、その大きさ、形状などは特に限定されない。
たとえば、図2に示すようなキャビティ2、コア3を有する金型1を用いて、その内周側あるいは外周側に円柱状または円筒状の鉄や珪素鋼板などのバックヨーク(例えば鋼製リング4)を配置し、これらを一体成形して円筒状ボンド磁石10(図3または図4)を製造することができる。
ここで、ボンド磁石の外径をDo、内径をDiとしたとき肉厚をDoで割った値、(Do−Di)/2Doが2%以上である円筒状ボンド磁石を成形すると、80℃で1時間の高温保持と−30℃で1時間の低温保持を繰り返すヒートサイクル試験を50回経ても割れが生じない。このヒートサイクル試験において、80℃と−30℃の切り替わり時間は1時間である。
肉厚をDoで割った値、(Do−Di)/2Doが2%未満であると、このヒートサイクル試験条件ではボンド磁石が割れてしまう。肉厚をDoで割った値は、好ましくは3%以上であり、5%以上であることが特に好ましい。この値を3%以上とすることで、ヒートサイクル試験を200回経ても割れが生じないボンド磁石を得ることも可能となる。
また、成形体内部にポアなどの成形欠陥が存在すると、その欠陥部に応力が集中し割れが起こりやすいので、射出成形用金型のゲートとエアベントの数やそれらの配置を調整し、欠陥をなるべく少なくすることも重要である。さらには、型締め後にエアベントなどを経由して金型キャビティ部やスプルー・ランナー部を減圧し、その後射出成形することで、いっそう成形欠陥を低減することができ、ヒートサイクル試験を100回経ても割れないボンド磁石を得ることができる。ここでキャビティ部は、ゲージ圧で−0.02MPa以下、好ましくは−0.05MPa以下、さらに好ましくは−0.07MPa以下に減圧するとよい。
なお、得られた一体成形ボンド磁石の中心にロータの軸を挿入し、この一体成形品を小型モータとして用いれば、カメラ、ビデオ、OA機器、自動車、その他精密機器の性能を格段に向上させることができる。
ボンド磁石用組成物が異方性の磁性粉末を含有する場合には、成形機の金型に磁気回路を組み込み、組成物の成形空間(金型キャビティ)に配向磁界がかかるようにすると、異方性のボンド磁石が製造できる。このとき配向磁界は、400kA/m以上、好ましくは800kA/m以上とすることによって高い磁気特性のボンド磁石が得られる。ボンド磁石用組成物が等方性の磁性粉末を含有する場合には、組成物の成形空間(金型キャビティ)に配向磁界をかけないで行う。
以下に本発明の実施例および比較例を示すが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。
使用した各種磁性粉、カップリング剤、樹脂バインダーの成分、及びそれらを用いたボンド磁石の性能の評価方法は、下記の通りである。
(1)成分
磁性粉
・磁粉1、Sm−Fe−N系(商品名:SFN微粉B、住友金属鉱山(株)製)、Sm 24.5重量%、N 3.4重量%、残部Fe;平均粒径:2.6μm。酸化サマリウムと鉄粉を原料として還元拡散法で得られたSm−Fe合金粉末を、アンモニアと水素の混合ガスにより窒化し粉砕した、ThZn17型結晶構造を持つ磁性粉末。
・磁粉2−1、等方性Nd−Fe−B系(マグネクエンチインターナショナル製)「商品名:MQP−B」、平均粒径80μm。
・磁粉2−2、異方性Nd−Fe−B系(住友特殊金属(株)製)、「商品名:HDDR−B」。平均粒径:69μm。
・磁粉2−3、異方性Nd−Fe−B系(愛知製鋼(株)製)、「商品名:MFP−12」。平均粒径:109μm。
・磁粉3、Sm−Co系磁性粉末(信越化学工業(株)製)、平均粒径:83μm。
・磁粉4、Srフェライト系(商品名:HF−330、同和鉱業(株)製)
カップリング剤
・シランカップリング剤(アミノプロピルトリメトキシシラン、商品名:SH6020、東レダウコーニング社製)
樹脂バインダー
・共重合ポリアミドA
オレイン酸、リノール酸、アゼライン酸、セバシン酸、ヘキサメチレンジアミンとを原料として、ステアリン酸と共に攪拌しながら窒素雰囲気下250℃で反応させることにより、融点192℃、結晶化温度150℃、MI値が690g/10min.、数平均分子量約11000である共重合ポリアミド(重合脂肪酸系ポリアミドブロック共重合体)が得られた。ここでMI値は、JIS K 7210に従って測定した(230℃、21.2Nの荷重で測定。以下、同じ)。また酸価は2.5であった。
・共重合ポリアミドB
オレイン酸、リノール酸、アゼライン酸、セバシン酸、ヘキサメチレンジアミンとを原料として、ステアリン酸と共に攪拌しながら窒素雰囲気下250℃で反応させることにより、融点175℃、結晶化温度131℃、MI値710g/10min.、数平均分子量約10000である共重合ポリアミド(重合脂肪酸系ポリアミドブロック共重合体)が得られた。また酸価は1.2であった。
・共重合ポリアミドC
オレイン酸、リノール酸、アゼライン酸、セバシン酸、ヘキサメチレンジアミンとを原料として、ステアリン酸と共に攪拌しながら窒素雰囲気下、250℃で反応させることにより、融点175℃、結晶化温度131℃、MI値460g/10min.、数平均分子量約10000である共重合ポリアミド(重合脂肪酸系ポリアミドブロック共重合体)が得られた。また酸価は1.9であった。
・共重合ポリアミドD、重合脂肪酸系ポリアミド(商品名:PA−30L、富士化成工業(株)製)、数平均分子量約14000であり、酸価は3.2であった。
・ポリアミドエラストマーA
オレイン酸、リノール酸、アゼライン酸、セバシン酸、ヘキサメチレンジアミンとを原料として窒素雰囲気下190℃で反応させたポリアミドオリゴマーに、ポリオキシテトラメチレングリコール、アゼライン酸を添加し、均一になるよう攪拌しながら270℃で重合させた。融点171℃、結晶化温度142℃、MI値400g/10min.、数平均分子量約10000である重量比でハードセグメント40%、ソフトセグメント60%のポリアミドエラストマーA(重合脂肪酸系ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体)が得られた。また酸価は1.8であった。
・ポリアミドエラストマーB
ポリアミドオリゴマーに対するポリオキシテトラメチレングリコールとアゼライン酸の配合比を変えた以外はポリアミドエラストマーAと同様にして、融点153℃、結晶化温度122℃、MI値1600g/10min.、数平均分子量約6000である重量比でハードセグメント20%、ソフトセグメント80%のポリアミドエラストマーB(重合脂肪酸系ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体)が得られた。また酸価は2.3であった。
・ポリアミドエラストマーC
ポリアミドオリゴマーに対するポリオキシテトラメチレングリコールとアゼライン酸の配合比を変えた以外はポリアミドエラストマーAと同様にして、融点201℃、結晶化温度181℃、MI値920g/10min.、数平均分子量約10000である重量比でハードセグメント60%、ソフトセグメント40%のポリアミドエラストマーC(重合脂肪酸系ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体)が得られた。また酸価は2.0であった。
・ポリアミドエラストマーD、重合脂肪酸系ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体(商品名:TPAE8、富士化成工業(株)製)、数平均分子量約12000。また酸価は2.8であった。
・ 共重合ナイロン(商品名:グリロンC、エムス・ジャパン(株)製)、数平均分子量約14000。
・ポリアミド12A(商品名:3014U 宇部興産(株)製)、引張降伏応力43MPa、引張破壊応力55MPa、数平均分子量約13000。
・ポリアミド12B(商品名:A1709P、ダイセルヒュルス(株)製)、数平均分子量約13000。
(2)試験・評価方法
・固化温度
MR−300ソリキッドメータ((株)レオロジー製)のパラレルプレート間に組成物を配置し、不活性ガス雰囲気中、250℃に加熱して組成物を溶融させた。パラレルプレートの直径は18mmで、ギャップは1.2mmとした。振動数1Hz、振幅0.3°でパラレルプレートを振動させ、2℃/min.で冷却しながら、組成物の粘度ηの温度変化を測定した。粘度ηの増加率が大きくなり始める温度を固化開始温度Ts(℃)、ηの増大がほぼ飽和した温度を固化終了温度Tf(℃)とした。
・組成物流動性評価
JIS K7210に従って、φ2.1mm、長さ8mmのオリフィスを用いてシリンダー温度250℃、荷重21.6kgfで測定した。
・磁石特性
210〜240℃で組成物をφ20×13mmの円柱状に射出成形した。金型キャビティには13mm方向に1600kA/mの配向磁界をかけている。なお、磁粉2−1のNd−Fe−B系磁性粉末については等方性磁性粉であるため、配向磁界をかけずに成形した。得られたボンド磁石を3200kA/mでパルス着磁し、B−Hループトレーサで最大エネルギー積(BH)max.を測定した。
・射出成形性
型締力70tの油圧射出成形機で60×7×37mmの板状磁石を成形した。ゲートは60×7mmの面に2点ピンポイントゲートとして配置されている。金型温度は冷却水を循環させて10℃としている。圧力50%、速度20%に設定し、比較的低速で射出する条件で成形温度を220〜270℃の範囲で調整し、得られたリング状射出成形磁石の表面性状を観察した。
表面性状がきわめて良好なものを◎、良好なものを○、磁石表面に荒れがあるものを△、射出充填できずショートショットになったものを×とした。
[実施例1〜24]
アミノプロピルトリメトキシシランをエタノール水溶液中に溶解させて、磁性粉とミキサー混合した。攪拌を続けながら100℃で加熱乾燥し、表面処理した磁性粉を得た。次に、得られた磁性粉と熱可塑性樹脂バインダー(主たる樹脂:共重合ポリアミド又はポリアミドエラストマー)とをラボプラストミルを用いて200℃で混練し、得られた混練物をプラスチック粉砕器で粉砕した。粉砕した混練物を射出成形機に投入し、射出成形磁石を製造した。
用いた磁性粉、熱可塑性樹脂バインダーとそれらの配合、得られた混練物の固化開始温度Ts、固化終了温度Tf、それらの差ΔT、φ20×13mm射出成形磁石の(BH)max、リング状磁石の成形温度とその表面性状を表1〜3、表7に示す。
[比較例1〜17]
上記実施例1〜24と同様にして、表面処理した磁性粉を得た。次に、得られた磁性粉と熱可塑性樹脂バインダー(主たる樹脂:ポリアミド12A又はポリアミド12B)とをラボプラストミルを用いて200℃で混練し、得られた混練物をプラスチック粉砕器で粉砕した。粉砕した混練物を射出成形機に投入し、射出成形磁石を製造した。
用いた磁性粉、熱可塑性樹脂バインダーとそれらの配合(組成)、得られた混練物の固化開始温度Ts、固化終了温度Tf、それらの差ΔT、φ20×13mm射出成形磁石の(BH)max、リング状磁石の成形温度とその表面性状を表4〜6に示す。
Figure 0004501574
Figure 0004501574
Figure 0004501574
Figure 0004501574
Figure 0004501574
[従来例1]
本発明の実施例1で得られた表面処理済みのSm−Fe−N系磁性粉末91.2重量%と、ナイロン12B(商品名:A1709P、ダイセルヒュルス(株)製)4.0重量%と、共重合ナイロン(商品名:グリロンC、エムス・ジャパン(株)製)4.0重量%と、酸化防止剤のN,N−ビス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル}ヒドラジン0.4重量%と、滑剤のm−キシリレンビスステアリン酸アミド0.4重量%とを混合し、ラボプラストミルを用いて230℃で混練した。
得られた混練物の固化開始温度Ts、固化終了温度Tf、それらの差ΔT、φ20×13mm射出成形磁石の(BH)max、リング状磁石の成形温度とその表面性状を表6に示す。
[従来例2]
本発明の実施例1で得られた表面処理済みのSm−Fe−N系磁性粉末91.2重量%と、ナイロン12A(商品名:3014U、宇部興産(株)製)5.1重量%と、重合脂肪酸系ポリアミドエラストマー(商品名:TPAE8、富士化成工業(株)製)1.3重量%と、酸化防止剤(商品名:IRGANOX MD1024、チバ・スペシャルティケミカルズ(株)製)2.4重量%とを混合し、ラボプラストミルを用いて230℃で混練した。
得られた混練物の固化開始温度Ts、固化終了温度Tf、それらの差ΔT、φ20×13mm射出成形磁石の(BH)max、リング状磁石の成形温度とその表面性状を表6に示す。
[従来例3]
本発明の実施例1で得られた表面処理済みのSm−Fe−N系磁性粉末91.2重量%と、ナイロン12A(商品名:3014U、宇部興産(株)製)5.1重量%と、重合脂肪酸系ポリアミド(商品名:PA−30L、富士化成工業(株)製)1.3重量%と、酸化防止剤(商品名:IRGANOX MD1024、チバ・スペシャルティケミカルズ(株)製)2.4重量%とを混合し、ラボプラストミルを用いて230℃で混練した。
得られた混練物の固化開始温度Ts、固化終了温度Tf、それらの差ΔT、φ20×13mm射出成形磁石の(BH)max、リング状磁石の成形温度とその表面性状を表6に示す。
Figure 0004501574
Figure 0004501574
表1〜7より分かるように、実施例ではボンド用樹脂組成物のΔTが20℃以上であり、この組成物を用いると、成形温度220〜270℃の温度範囲で良好な表面性状の射出成形磁石が得られた。一方、比較例ではボンド用樹脂組成物のΔTが20℃未満であり、この組成物を用いると、ショートショット(組成物が金型キャビティに完全充填されない状態)であったり、充填されているものの成形体表面に湯じわなどの荒れが見られる状態になった。
また、公知技術を参考にして製造した従来例の組成物でも、ΔTが20℃未満であるため、成形体表面に荒れが残った。なお実施例3など本実施例の中には、従来例や比較例に比べて固化終了温度Tfの高いものがある。Tfが高いものは、低いものに比べて射出後の早い段階で組成物の溶融粘度が上昇し、成形性が悪くなるように思えるが、必ずしもそのようになっていない。
詳細は不明であるが、本発明のΔTが20℃以上である性質を有するボンド用樹脂組成物では、射出成形の極めて急速な冷却速度で樹脂バインダーが過冷却状態となり、Tf以下の温度でも溶融状態を保つためではないかと推測される。
(実施例25)
図2に示す直径Dcが20mmのコア3と、直径Doが48mm、高さHが14mmのキャビティ2を有する金型1に、外径Diで、内径Dcが20mm、高さHが14mmの鉄製リング4を挿入し、これらによって構成される空間に実施例7で得たボンド磁石用組成物を1点サイドゲートから射出成形することによって、図3に示す鉄製リング4を一体成形した外周48mm、高さ14mm、肉厚(Do−Di)/2 mmのボンド磁石10を製造した。このとき、金型温度は35℃、ノズル温度は245℃に設定した。得られた一体成形ボンド磁石10個は、成形後常温で1日経過した後も割れなかった。これを引き続きヒートサイクル試験にかけて、割れが発生した個数を確認した。ヒートサイクル試験条件は、80℃1時間保持と−30℃1時間保持で切り替わり時間1時間、サイクル数50回、としている。結果を表8に示す。なお、Di=43mmの一体成形磁石については、さらに試験を継続し、ヒートサイクル回数を200回まで行った後の割れ個数が1個だった。
Figure 0004501574
(実施例26)
実施例10で得られたボンド磁石用組成物を用いた以外は実施例25と同様にして、一体成形ボンド磁石を製造した。得られた一体成形ボンド磁石10個は、成形後常温で1日経過した後も割れなかった。これを引き続きヒートサイクル試験を行った。結果を表9に示す。なお、Di=43mmの一体成形磁石については、さらに試験を継続し、ヒートサイクル回数を200回まで行った後の割れ個数が2個だった。
Figure 0004501574
(実施例27)
金型エアベントを通してキャビティ内を−0.07MPaに減圧後に射出成形した以外は、実施例25と同様にして一体成形ボンド磁石を製造し、そのヒートサイクル試験を行った。結果を表10に示す。なお、Di=43mmの一体成形磁石については、さらに試験を継続し、ヒートサイクル回数を200回まで行った後の割れ個数は0個だった。
Figure 0004501574
(実施例28)
実施例20で得られたボンド磁石用組成物を用いた以外は実施例25と同様にして、一体成形ボンド磁石を製造した。得られた一体成形ボンド磁石10個は、成形後常温で1日経過した後も割れなかった。これらを用いて引き続きヒートサイクル試験を行った。結果を表11に示す。なお、Di=43mmの一体成形磁石については、さらに試験を継続し、ヒートサイクル回数を200回まで行った後の割れ個数が1個だった。
Figure 0004501574
(比較例18)
比較例6で得られたボンド磁石用組成物を用いて、ノズル温度280℃とした以外は実施例25と同様にして、一体成形ボンド磁石を製造した。得られたボンド磁石表面は荒れていた。Di=47、46、43mmの一体成形磁石については、射出成形後室温で1時間以内に10個すべてが割れた。Di=38mmの一体成形磁石についてヒートサイクル試験を行った。結果を表12に示す。
Figure 0004501574
(従来例4)
従来例1で得られたボンド磁石用組成物を用いて、ノズル温度280℃とした以外は実施例25と同様にして、一体成形ボンド磁石を製造した。得られたボンド磁石表面は荒れていた。Di=47、46mmの一体成形磁石については、射出成形後室温で1時間以内に10個すべてが割れた。Di=43、38mmの一体成形磁石についてヒートサイクル試験を行った。結果を表13に示す。
Figure 0004501574
本発明のボンド磁石用組成物を成形して得たボンド磁石は、一般家電製品、通信・音響機器、医療機器、一般産業機器に至る幅広い分野で活用でき、その工業的価値は極めて大きい。
ボンド磁石用組成物の粘度η*の温度依存性を表すグラフである。 磁石用組成物を鉄製リングと一体成形して、円筒状ボンド磁石を製造するための金型を示す斜視図である。 内周側に鉄製リングを一体成形した円筒状ボンド磁石を示す斜視図である。 外周側に鉄製リングを一体成形した円筒状ボンド磁石を示す斜視図である。
符号の説明
1 金型
2 キャビティ
3 コア
4 鋼製リング
10 ボンド磁石

Claims (12)

  1. 希土類−遷移金属系磁性粉(A)を重合脂肪酸系ポリアミドブロック共重合体(B−1)又は重合脂肪酸系ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体(B−2)から選ばれる1種以上を含む樹脂バインダー(B)に混合し分散させたボンド磁石用組成物において、
    重合脂肪酸系ポリアミドブロック共重合体(B−1)は、融点175〜192℃、結晶化温度131〜150℃、MI値460〜710g/10min、数平均分子量10000〜11000、酸価1.2〜2.5で、下記の一般式(1)で示される重合脂肪酸系ポリアミドブロック共重合体であり、
    また、重合脂肪酸系ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体(B−2)は、融点153〜201℃、結晶化温度142〜181℃、MI値400〜1600g/10min、数平均分子量6000〜11000、酸価1.8〜2.3で、下記の一般式(1)で示される骨格を繰り返し単位とする重合脂肪酸系ポリアミド骨格(a)と、一般式(2)で示されるポリエーテルエステルアミド骨格(b)を含有する重合脂肪酸系ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体であって、
    上記の重合脂肪酸系ポリアミドブロック共重合体(B−1)又は重合脂肪酸系ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体(B−2)から選ばれる1種以上を樹脂バインダー(B)全体の50重量%以上含有することにより、溶融状態にあるボンド磁石用組成物の温度を降下すると、該組成物の粘度の増加率が大きくなり始めるときの温度(固化開始温度:Ts)と、粘度の増加率が小さくなり始めるときの温度(固化終了温度:Tf)との差ΔTを20℃以上にしたことを特徴とするボンド磁石用組成物。
    一般式(1)
    Figure 0004501574
    (式中、R、Rは、ヘキサメチレンジアミンの残基であり、Rは、アゼライン酸、セバシン酸又はステアリン酸の残基、Rは、オレイン酸及びリノール酸の重合脂肪酸残基を表し、mは〜70の整数、nは1〜150の整数、xは1〜100の整数である。)、
    一般式(2)
    Figure 0004501574
    (式中、Rは、ポリオキシテトラメチレングリコールの残基であり、Rは、アゼライン酸の残基を表し、qは1〜20の整数である。)
  2. 磁性粉(A)は、希土類(Nd又はSm)と遷移金属(Fe及び/又はCo)を含有することを特徴とする請求項1に記載のボンド磁石用組成物。
  3. 磁性粉(A)は、平均粒径が1〜100μmであることを特徴とする請求項1に記載のボンド磁石用組成物。
  4. 磁性粉(A)は、さらにフェライト磁性粉を含んでいることを特徴とする請求項1に記載のボンド磁石用組成物。
  5. 重合脂肪酸系ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体(B−2)は、重合脂肪酸系ポリアミド骨格(a)とポリエーテルエステル骨格(b)の共重合比(a):(b)が、10:90〜90:10であることを特徴とする請求項1に記載のボンド磁石用組成物。
  6. 樹脂バインダー(B)は、引張降伏応力が18MPa以下であり、かつ引張破壊応力が50MPa以下であることを特徴とする請求項1に記載のボンド磁石用組成物。
  7. 樹脂バインダー(B)は、配合量が組成物100重量部に対して1〜50重量部であることを特徴とする請求項1に記載のボンド磁石用組成物。
  8. 固化開始温度Tsが170℃以上であることを特徴とする請求項1に記載のボンド磁石用組成物。
  9. 請求項1〜のいずれかに記載のボンド磁石用組成物を、射出成形してなるボンド磁石。
  10. 請求項1〜のいずれかに記載のボンド磁石用組成物を、射出成形、圧縮成形又は押出成形のいずれかにより他の金属材料および/または無機材料部品と一体成形してなるボンド磁石。
  11. 射出成形が265℃以下で行われることを特徴とする請求項9又は10に記載のボンド磁石。
  12. 射出成形により、外径をDo、内径をDiとしたとき肉厚をDoで割った値、(Do−Di)/2Doが2%以上となるように円筒状に成形されてなる請求項10に記載のボンド磁石
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