JP2005179773A - 希土類−鉄−マンガン系母合金粉末とその製造方法、それを用いた異方性希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末とその製造方法、並びにそれを用いた希土類ボンド磁石用組成物と希土類ボンド磁石 - Google Patents

希土類−鉄−マンガン系母合金粉末とその製造方法、それを用いた異方性希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末とその製造方法、並びにそれを用いた希土類ボンド磁石用組成物と希土類ボンド磁石 Download PDF

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Abstract

【課題】良好な角形性を有するとともに製造再現性に優れた異方性希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末に好適な希土類−鉄−マンガン系母合金粉末とその製造方法、それを窒化して得られる磁石粉末とその製造方法、さらには、得られる希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末と樹脂バインダとを含有する耐熱性と耐薬品性に優れた希土類ボンド磁石用組成物とそれを用いた希土類ボンド磁石を提供。
【解決手段】還元拡散法を利用して異方性希土類−鉄−窒素系磁石用の希土類−鉄−マンガン系母合金粉末を製造する方法であって、還元剤によって還元する金属原料として、粒径が10〜70μmの粉末が全体の80%以上を占める鉄粉末(A)と、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の80%以上を占めるマンガン酸化物粉末(B)と、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の80%以上を占める希土類酸化物粉末(C)からなる混合物を用いる。
【選択図】なし

Description

本発明は、希土類−鉄−マンガン系母合金粉末とその製造方法、それを用いた異方性希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末とその製造方法、並びにそれを用いた希土類ボンド磁石用組成物と希土類ボンド磁石に関し、さらに詳しくは、良好な角形性を有するとともに製造再現性に優れた異方性希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末に好適な希土類−鉄−マンガン系母合金粉末とその製造方法、それを窒化して得られる異方性希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末とその製造方法、さらには、得られる希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末とポリフェニレンサルファイド、液晶ポリマ−、又は芳香族系ポリアミドから選ばれる少なくとも一種の樹脂バインダとを含有する耐熱性と耐薬品性に優れた希土類ボンド磁石用組成物とそれを用いた希土類ボンド磁石に関する。
フェライト磁石、アルニコ磁石、希土類磁石等が、自動車、一般家電製品、通信・音響機器、医療機器、一般産業機器をはじめとする種々の製品にモ−タなどとして組み込まれ、使用されている。これら磁石は、主に焼結法で製造されるが、脆く、薄肉化しにくいため複雑形状への成形は困難であり、また焼結時に15〜20%も収縮するため、寸法精度を高められず、研磨等の後加工が必要で、用途面において大きな制約を受けている。
これに対し、ボンド磁石は、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂等の熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂、フェノ−ル樹脂等の熱硬化性樹脂をバインダとし、磁石粉末を充填して容易に製造できるため、新しい用途開拓が繰り広げられている。
これら樹脂バインダの中で、ポリフェニレンサルファイド(PPS)は280℃を超える高い融点を有しているとともに、有機酸や無機酸、強アルカリ、油脂、有機溶媒などに対する優れた耐薬品性も併せ持っている。そのためPPSをバインダとしたボンド磁石は、高い耐熱性や耐薬品性を必要とする用途に用いられている。また、PPSに匹敵する良好な耐熱性と耐薬品性を有する樹脂バインダとして、芳香族系ポリアミドや液晶ポリマ−が知られている。
磁石粉末には多くの種類があるが、BaフェライトやSrフェライトなどのハ−ドフェライトである場合には、磁気特性が悪く最大エネルギ−積で20kJ/m未満であるため、それ以上の性能が必要である場合には希土類遷移金属系磁石粉末が用いられる。
希土類遷移金属系磁石粉末としては、Sm−Co系磁石粉末、Nd−Fe−B系磁石粉末、Sm−Fe−N系磁石粉末が知られており、Sm−Co系のSmTM17磁石粉末(TMはCo、Fe、Cu、Zr、Hfなど)やNd−Fe−B系のMQ磁石粉末(マグネクエンチインタ−ナショナル製等方性粉末)を用いたPPSボンド磁石が実用化されている。
Sm−Fe−N系のSmFe17磁石粉末を用いたPPSボンド磁石(例えば、特許文献1参照)は、高温で混練・成形されるため、磁石粉末の保磁力や角形性が低下する問題がある。
また、芳香族系ポリアミドを含有するボンド磁石については、芳香族ポリアミドと脂肪族ポリアミドの混合物を樹脂バインダとしたものが提案されており、固有保磁力8kOe(640kA/m)以上のものが得られているが、磁石粉末の耐熱性が十分でないために原料粉末には固有保磁力が16kOe(1280kA/m)レベルのものを使わざるを得ないという問題を有する(例えば、特許文献2参照)。
SmFe17磁石粉末の耐熱性を向上させるため、粉末表面をZnで処理すること(例えば、特許文献3、4参照)、また磁石粉末を燐酸化合物で処理すること(例えば、特許文献6、7参照)が提案されているが、まだ十分なものとは言えなかった。
一方、耐熱性に優れたSm−Fe−N系磁石粉末として、希土類元素と、鉄または鉄およびコバルトと、マンガンと、窒素とからなる磁性材料が提案されている(例えば、特許文献8参照)。この磁性材料は、従来のSmFe17磁石粉末以上の過剰な窒素を合金粉末に導入することによって製造され、ピニング型の磁化反転機構を示すとされている。この実施例によれば、例えば飽和磁化134emu/g(134Am/kg)で固有保磁力4.1kOe(328kA/m)の磁石粉末や飽和磁化が102emu/g(102Am/kg)で固有保磁力が9.3kOe(744kA/m)の粉末が得られ、これらの粉末は、110℃の温度に200時間さらした後も、初期値の98%以上の優れた保磁力を維持するとしている。
また、K.Majimaらは、その金属組織について研究し、個々の粒子がSm(Fe、Mn)17化合物結晶相からなる10〜30nmの微結晶粒の集合組織(セル状構造)を有しており、セル境界がアモルファス相であると報告している(例えば、非特許文献1参照)。そして、このアモルファス相においては、窒素とマンガン組成が結晶相に比べてかなり高いとしている。
さらに、CuまたはBiの少なくとも一種を含有させることによって、その磁気特性を高めた磁石粉末が提案されており、例えば飽和磁化12.5kG(1.25T)で保磁力9.1kOe(728kA/m)の粉末が得られるとされている(例えば、特許文献9参照)。
本発明者らは、これらに開示された技術を検討してきたが、良好な飽和磁化と保磁力が得られても、減磁曲線の角形性が悪く、また一定の条件で磁石粉末を製造しても高い磁気特性を再現性よく得ることが困難であるということが分かった。また、窒素を導入する前の希土類−鉄−マンガン母合金粉末を溶解法で製造する場合、特に希土類元素がSmであると原料となる金属Smが高価であるため、コスト的にも問題があった。
公知の還元拡散法と特許文献8に開示されたような溶解法を単純に組み合わせただけでは、良好な性能、特に角形性の高い磁石粉末を再現よく良好な収率で得ることが難しく、還元拡散法によって低コストで製造でき、角型性が良好な磁石粉末を製造できる方法が切望されていた。
特開平03−160705号公報 特開2002−270419号公報 特開平09−190909号公報 特開2001−207201号公報 特開2000−058312号公報 特開2002−008911号公報 特開2003−217916号公報 特開平08−055712号公報(段落0032、0033、実施例1〜11) 特開平11−135311号公報 J.Appl.Phys.81(1997)p.4530−4532
本発明の目的は、コスト的に安価な還元拡散法で製造した希土類−鉄−マンガン系母合金粉末に窒素を導入することによって、良好な角形性を有する希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末を再現性よく、良好な収率で得る方法を提供し、さらに、得られた希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末と、樹脂バインダとしてポリフェニレンサルファイド、液晶ポリマ−、芳香族系ポリアミドの少なくとも一種とを含有することにより耐熱性と耐薬品性に優れた希土類ボンド磁石用組成物、および希土類ボンド磁石を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、特定の希土類−鉄−マンガン系母合金の製造原料を用いて還元拡散処理を行うことで、粒度分布がシャ−プで、かつMn組成の粒子間ばらつきが標準偏差で特定値以下に抑えられた希土類−鉄−マンガン系母合金粉末が得られ、この母合金粉末を特定条件で窒化することで、良好な磁気特性を有する希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末が再現性よく製造できることを見出し、さらに、得られた希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末と、ポリフェニレンサルファイド、液晶ポリマ−、芳香族系ポリアミドの少なくとも一種の樹脂バインダとを配合した希土類ボンド磁石用組成物を用いて成形した希土類ボンド磁石が良好な磁気特性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、還元拡散法を利用して異方性希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石用の希土類−鉄−マンガン系母合金粉末を製造する方法であって、還元剤によって還元する金属原料として、粒径が10〜70μmの粉末が全体の80%以上を占める鉄粉末(A)と、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の80%以上を占めるマンガン酸化物粉末(B)と、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の80%以上を占める希土類酸化物粉末(C)からなる混合物を用いることを特徴とする希土類−鉄−マンガン系母合金粉末の製造方法が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、鉄粉末(A)とマンガン酸化物粉末(B)の代わりに、粒径が10〜80μmの粉末が全体の80%以上を占める鉄−マンガン合金粉末を用いることを特徴とする希土類−鉄−マンガン系母合金粉末の製造方法が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、Feの20重量%以下をCoに置換した母合金組成が得られるように、鉄粉末(A)の一部を、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の80%以上を占めるコバルト酸化物粉末(D)と置き換えることを特徴とする希土類−鉄−マンガン系母合金粉末の製造方法が提供される。
さらに、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、金属原料を還元剤によって還元した後、得られた希土類−鉄−マンガン系合金粉末を含有する反応生成物を水素処理して、粒径が10mm以下になるまで崩壊させ、次いで崩壊した反応生成物を可及的速やかに湿式処理して残留不純物を分離除去することを特徴とする希土類−鉄−マンガン系母合金粉末の製造方法が提供される。
さらに、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明の製造方法で得られる希土類−鉄−マンガン系母合金粉末であって、粒径が10〜70μmの粉末が全体の75%以上を占め、かつMn組成の粒子間ばらつきが標準偏差で0.15重量%以下であることを特徴とする希土類−鉄−マンガン系母合金粉末が提供される。
一方、本発明の第6の発明によれば、第5の発明に係わる希土類−鉄−マンガン系母合金粉末を、全気流圧力に対するアンモニア分圧の比が0.4〜0.8であるアンモニアと水素とからなる混合気流中、400〜500℃で熱処理して窒化することを特徴とする異方性希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末の製造方法が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第6の発明の製造方法で得られる希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末であって、22〜27重量%の希土類元素と、7重量%以下のMnと、3.5〜6.0重量%のNと、残部が実質的にFeまたはFeの20重量%以下をCoで置換したFeおよびCoからなり、ThZn17型結晶構造を有する相とアモルファス相とを含有し、かつ磁石粉末の角形性Hkが120kA/m以上であることを特徴とする異方性希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末が提供される。
一方、本発明の第8の発明によれば、第7の発明の異方性希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末と、ポリフェニレンサルファイド、液晶ポリマ−または芳香族系ポリアミドの少なくとも一種の樹脂バインダとを含有することを特徴とする希土類ボンド磁石用組成物が提供される。
また、本発明の第9の発明によれば、第8の発明の希土類ボンド磁石用組成物を、射出成形または押出成形してなる希土類ボンド磁石が提供される。
本発明によれば、還元拡散法で希土類−鉄−マンガン系母合金を製造することにより、該母合金の粉末の粒度分布がシャ−プで、かつMn組成の粒子間ばらつきが極めて小さく抑えた粉末が得られ、これを用いれば十分に窒化することができ、角形性Hkが120kA/mを超える良好な希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末を再現よく良好な収率で得ることができる。また、得られた希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末と、樹脂バインダとして、ポリフェニレンサルファイド、液晶ポリマ−、芳香族系ポリアミドの少なくとも一種を使用することによって、耐熱性と耐薬品性に優れた希土類ボンド磁石用組成物、および希土類ボンド磁石を得ることができる。
以下、本発明の希土類−鉄−マンガン系母合金粉末とその製造方法、それを用いた異方性希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末とその製造方法、並びにそれを用いた希土類ボンド磁石用組成物と希土類ボンド磁石についてさらに詳しく説明する。
1.希土類−鉄−マンガン系母合金粉末の製造方法
本発明においては、(1)希土類−鉄−マンガン系母合金粉末の原料粉末と還元剤を混合し、(2)この混合物を特定の温度に加熱し、希土類元素を鉄系合金に還元拡散させて、(3)得られた反応生成物を水素処理して崩壊させ、(4)崩壊した粉末を湿式処理して製造する。
還元拡散法は、例えば特開昭61−295308号公報に記載されているように、希土類酸化物粉末と、他の金属の粉末(本発明においては鉄、マンガン、必要に応じてコバルトを指す)と、Caなどの還元剤との混合物を、不活性ガス雰囲気中などで加熱した後、反応生成混合物を湿式処理して、副生したCaOおよび残留Caなどの還元剤成分(残留不純物)を除去することによって、直接合金粉末を得る方法である。
(1)原料粉末の混合
還元拡散法では、原料粉末として少なくとも希土類酸化物粉末、鉄粉末、マンガン酸化物粉末を用いる。
本発明においては原料粉末として希土類酸化物粉末、鉄粉末、マンガン酸化物粉末を用いるが、原料粉末の選択が重要であり、粒径が10〜70μmの粉末が全体の80%以上を占める鉄粉末、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の80%以上を占めるマンガン酸化物粉末、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の80%以上を占める希土類酸化物粉末を用いなければならない。
また、Feの20重量%以下をCoで置換した組成の希土類−鉄−コバルト−マンガン系母合金粉末を製造する場合には、Co源としてコバルト酸化物粉末を用いる。この場合は、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の80%以上を占めるコバルト酸化物粉末であることが必要である。
本発明に用いられる希土類酸化物粉末としては、特に制限されないが、Sm、Ge、Tb、およびCeから選ばれる少なくとも1種の元素、あるいは、さらにPr、Nd、Dy、Ho、Er、Tm、およびYbから選ばれる少なくとも1種の元素が含まれるものが好ましい。中でもSmが含まれるものは、本発明の効果を顕著に発揮させることが可能となるので特に好ましい。Smが含まれるものの場合、高い保磁力を得るためにはSmを希土類全体の60重量%以上、好ましくは90重量%以上にすることが必要である。
鉄粉末においては、粒径10μm未満の粒子が多くなり上記範囲からはずれると、希土類−鉄(−コバルト)−マンガン母合金粉末粒子が多結晶体となり、これを用いて製造される希土類−鉄(−コバルト)−マンガン−窒素系磁石粉末の磁化が低下する。一方、粒径70μmを超えるものが多くなりこの範囲からはずれると、希土類−鉄(−コバルト)−マンガン母合金粉末中に希土類元素が拡散していない鉄部、または鉄−マンガン部が多くなるとともに母合金粉末の粒径も大きくなり窒素分布が不均一になって、これを用いて製造される希土類−鉄(−コバルト)−マンガン−窒素系磁石粉末の角形性が低下する。
鉄粉末としては、例えば還元鉄粉、ガスアトマイズ粉、水アトマイズ粉、電解鉄粉などが使用でき、必要に応じて上記粒度になるように分級する。なお、鉄粉末の30重量%までを鉄酸化物粉末としてもよいが、この場合には粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の80%以上を占める鉄酸化物粉末を用いる。
これに対し、他の原料であるマンガン酸化物粉末、希土類酸化物粉末、コバルト酸化物粉末は、これらの中でもっとも多い希土類酸化物粉末でも組成が30重量%未満であることから、還元拡散反応時に、反応容器内部で上記鉄粉末の周りに均一に分布存在していることが不可欠である。したがって、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の80%以上を占めることが必要である。ここで粒径が0.1μm未満の粉末が多くなりこの範囲からはずれると、製造中に粉末が舞い上がり取り扱いにくくなる。また、10μmを超えるものが多くなりこの範囲からはずれると、還元拡散法で得られた希土類−鉄(−コバルト)−マンガン母合金粉末中のMn組成の粒子間ばらつきが標準偏差で0.15wt%以下であるように構成するのが困難になるとともに、希土類元素が拡散していない鉄部、または鉄(−コバルト)−マンガン部が多くなる。
なお、マンガンとコバルト粉末としては、金属粉末を使用することも可能であるが、得られた希土類−鉄(−コバルト)−マンガン母合金粉末中のMn組成の粒子間ばらつきを標準偏差で0.15wt%以下であるように構成するためには、酸化物粉末を使用するのが好ましく、また取り扱い時の発火に対する安全性からも酸化物が好ましい。
マンガン酸化物としては、たとえば酸化マンガンや二酸化マンガン、これらの混合物で、上記粒度を持つものが使用できる。
また、コバルト酸化物としては、たとえば酸化第一コバルトや四三酸化コバルト、これらの混合物で、上記粒度を持つものが使用できる。
希土類−鉄(−コバルト)−マンガン母合金粉末中のMn組成の粒子間ばらつきが標準偏差で0.15wt%以下となるように構成するためには、原料粉末として鉄−マンガン合金粉末と希土類酸化物粉末を用いることもできる。
また、Feの20重量%以下をCoで置換した組成の希土類−鉄−コバルト−マンガン−窒素系磁石粉末を製造する場合には、鉄−コバルト−マンガン合金粉末を用いることができる。
これらの鉄(−コバルト)−マンガン合金粉末としては、たとえば溶解合金の粉砕粉や水アトマイズ法やガスアトマイズ法などで得られたアトマイズ粉などが使用できる。ここで鉄(−コバルト)−マンガン合金粉末については、粒径が10〜80μmの粉末が全体の80%以上を占めること、希土類酸化物粉末については粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の80%以上を占めることが必要である。
鉄(−コバルト)−マンガン合金粉末において、粒径10μm未満のものが多くなりこの範囲からはずれると、希土類−鉄(−コバルト)−マンガン母合金粉末粒子が多結晶体となり、これを用いて製造される希土類−鉄(−コバルト)−マンガン−窒素系磁石粉末の磁化が低下する。一方、粒径80μmを超えるものが多くなりこの範囲からはずれると、希土類−鉄(−コバルト)−マンガン母合金粉末中に希土類元素が拡散していない鉄部または鉄(−コバルト)−マンガン部が多くなるとともに母合金粉末の粒径も大きくなり窒素分布が不均一になって、これを用いて製造された希土類−鉄(−コバルト)−マンガン−窒素系磁石粉末の角形性が低下する。
希土類酸化物粉末については、還元拡散反応時に上記鉄(−コバルト)−マンガン合金粉末の周りに均一に分布存在していることが不可欠である。
このためには、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の80%以上を占めるものであることが必要である。ここで粒径が0.1μm未満の粉末が多くなりこの範囲からはずれると、粉末が舞い上がり取り扱いにくく、10μmを超えるものが多くなりこの範囲からはずれると、還元拡散法で得られた希土類−鉄(−コバルト)−マンガン母合金粉末中に希土類元素が拡散していない鉄部または鉄(−コバルト)−マンガン部が多くなる。以上のように、Mn量の均一な希土類−鉄(−コバルト)−マンガン母合金粉末を還元拡散法で得るためには、原料粉末(鉄粉末、マンガン酸化物、希土類酸化物)の選択及び粒度コントロ−ルが必要である。
また、上記原料粉末には、保磁力の向上、生産性の向上、さらに低コスト化のため、Cr、Nb、Mo、Sb、Ge、Zr、V、Si、Al、Ta、Cu等の一種以上を添加しても良いが、その添加量は、総計で7重量%以下とすることが望ましい。また、不可避的不純物として、C、B等が5重量%以下含有されていても良い。
(2)還元拡散
上記原料粉末と還元剤とを反応容器に投入し、特定条件で加熱処理することによって、希土類酸化物と他の酸化物原料とを還元するとともに鉄粉末に拡散させて、希土類−鉄(−コバルト)−マンガン母合金粉末を生成させる。
還元剤としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属およびこれらの水素化物から選ばれるが、取り扱いの安全性とコストの点で、金属カルシウムが好ましい。還元剤は、上記原料粉末と混合するか、カルシウム蒸気が原料粉末と接触しうるよう分離しておくこともできる。分離すると均一窒化を促進し、得られた磁石粉末の角形性を向上させることができる。
原料粉末とともに、後の湿式処理工程において反応生成物の崩壊を促進させる添加剤を混合することも効果的である。崩壊促進剤としては、塩化カルシウムなどのアルカリ土類金属塩や酸化カルシウムなどを用いることができ、原料粉末と同時に均一に混合する。
各原料粉末は、それぞれの粉体特性差によって分離しないように均一に混合することが重要である。混合方法としては、たとえばリボンブレンダ−、タンブラ−、S字ブレンダ−、V字ブレンダ−、ナウタ−ミキサ−、ヘンシェルミキサ−、ス−パ−ミキサ−、ハイスピ−ドミキサ−、ボ−ルミル、振動ミル、アトライタ−、ジェットミルなどが使用できる。
還元温度は、1090〜1250℃、特に1100〜1230℃の範囲とするのが望ましい。1090℃未満では鉄粉末に対して、マンガン、希土類元素、コバルトの拡散が不均一となり、これを用いて製造される希土類−鉄(−コバルト)−マンガン−窒素系磁石粉末の保磁力や角形性が低下する。1250℃を超えると、生成した希土類−鉄(−コバルト)−マンガン母合金粉末が粒成長を起こすとともに互いに焼結するため、均一窒化が困難になり磁石粉末の角形性が低下する。以上のように、Mn量の均一な希土類−鉄(−コバルト)−マンガン母合金粉末を還元拡散法で得るためには、この還元温度のコントロ−ルが重要である。
ところで、従来の溶解法では、希土類−鉄−マンガン系母合金粉末を篩分級などによりシャ−プな粒度分布を持つものとし、さらに窒素を導入して得られた希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末では、手間がかかる粒度調整を行ってはじめて、高い保磁力が得られるため製品収率が低くなり、かかる点でも工業製品としてコスト的に問題があった。
例えば前記特許文献8(実施例)では、希土類原料として希土類金属を用いた溶解法が採用されているが、このような希土類金属は還元拡散法で用いられる希土類酸化物原料に比べて高価である。特に、希土類元素が、優れた磁気特性をもたらすSmの場合にその差は顕著である。また溶解法では、得られた合金中のαFe相などをなくすための均質化熱処理工程が必要になり、さらに窒素を導入する前に均質化熱処理した合金を粗粉砕する工程と、均質な窒化を行うため粗粉砕粉末を分級し、ある粒度範囲よりも粗い粉末と細かな粉末を除去する工程が必要になる。これらの付加的な工程は、磁石粉末のコストを上げることになり好ましくない。また、上記分級工程で発生した細かな粉末は、そのままでは使用できないため製品収率を低下させ、粉末コストをさらに上げることになる。
なお、この特許文献8には、母合金の調製方法として還元拡散法(R/D法)も可能である旨が記載されているが、本発明者らの実験によれば、この程度に開示された情報だけでは良好な性能、特に高い角形性の磁石粉末を再現よく、良好な収率で得ることが難しかった。
(3)水素処理
還元剤としてカルシウムを用いて還元拡散反応を行うと、得られた希土類−鉄(−コバルト)−マンガン母合金粉末は、酸化カルシウム、未反応の余剰の金属カルシウムなどからなる塊状の混合物となる。そのため、この反応生成物に対して次に水素処理を行う。
水素処理は、500℃以下の温度で実施するが、取り出した崩壊物の粒径が10mm以下、好ましくは1mm以下になるように、反応温度と時間を設定する必要がある。崩壊物が10mmを超える状態では、湿式処理に引き続いて行われる窒化処理工程で均一な窒化が困難になり、磁石粉末の角形性が低下する。
例えば特開平09−241708号公報や特開平11−124605号公報に準じて水素処理すると、反応生成物を反応容器から冷却後に取り出して、大気中に晒すことによって自然崩壊するとされている。ところが、本発明の原料粉末と還元拡散条件で得られた反応生成物は、水素処理後に容器から取り出した時点で既に崩壊しており、引き続き行われる湿式処理工程での崩壊性も向上している。そのため、湿式処理後に得られる希土類−鉄(−コバルト)−マンガン母合金粉末は、一次粒子が焼結してなる二次粒子の量が少なく、ほとんどが一次粒子の形態を呈している。そして、このような母合金粉末から製造された希土類−鉄(−コバルト)−マンガン−窒素系磁石粉末は、磁化および減磁曲線の角形性が良好なものとなる。
(4)湿式処理
水素処理によって崩壊させた反応生成物は、可及的速やかに湿式処理工程に持ち込んで、希土類−鉄(−コバルト)−マンガン母合金粉末から酸化カルシウムなどの還元剤成分に起因する副生成物(残留不純物)を分離除去する。
反応生成物を可及的速やかに湿式処理工程に持ち込むのは、崩壊した反応生成物を長時間大気中に放置すると、生成した希土類−鉄(−コバルト)−マンガン母合金粉末が酸化すると同時に、炭酸カルシウムなどの還元剤成分の炭酸化物が生成し除去しにくくなり、その結果、窒化が均一に進行せず、最終的に得られた磁石粉末の磁化、保磁力、角形性が低下するためである。したがって、崩壊した反応生成物は、大気中では3日以内、好ましくは1日以内、仕掛品として不活性ガス雰囲気中に保管する場合には2週間以内に湿式処理するとよい。
湿式処理は、まず崩壊した生成物を水中に投入し、デカンテ−ション−注水−デカンテ−ションを繰り返し行い、Ca(OH)の多くを除去する。適切に水素処理された反応生成物は、従来の水素処理物よりも、一層激しく水と反応する。
次に、残留するCa(OH)および/または母合金粉末表面の酸化被膜を除去するために、酢酸および/または塩酸を用いて酸洗浄する。このときの水溶液の水素イオン濃度はpH4〜6の範囲で実施するとよい。
このような処理終了後には、例えば水洗し、アルコ−ルあるいはアセトン等の有機溶媒で脱水し、不活性ガス雰囲気中または真空中で乾燥することで、希土類−鉄(−コバルト)−マンガン母合金粉末を得ることができる。
2.母合金粉末
本発明の希土類−鉄(−コバルト)−マンガン母合金粉末は、粒径10〜70μmの粉末が全体の75%以上を占めるとともに、従来制御が難しかったMn組成の粒子間ばらつきが標準偏差で0.15wt%以下であり、ThZn17型結晶構造を有するものである。
粒径10μm未満の微粉末が多くなりこの範囲からはずれると、微粉末が過剰に窒化されることから、磁石粉末の磁化と角形性が低下する。一方、粒径70μmを超える粗粉末が多くなりこの範囲からはずれると、その粗粉末の窒素分布が不均一になって、得られた磁石粉末の角形性が低下する。また、Mn組成の多い部分には窒素が入りやすいため、Mn組成の粒子間ばらつきが標準偏差で0.15重量%を超えると、窒素分布が不均一になり、磁石粉末の角形性が低下する。
なお、本発明において、粉末の粒径はレ−ザ−回折式粒度分布計による分布曲線によって評価したものである。また、Mn組成は、樹脂に埋め込んだ母合金粉末を研磨し、個々の粒子の断面をEPMAによって定量分析して求めたものである。
3.磁石粉末の製造方法
本発明の異方性希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末は、上記の希土類−鉄−マンガン系母合金粉末を、全気流圧力に対するアンモニア分圧の比が特定範囲にあるアンモニアと水素とからなる混合気流中、特定温度で熱処理して窒化して製造する。
希土類−鉄−マンガン母合金粉末は、全気流圧力に対するアンモニア分圧の比が0.4〜0.8、好ましくは0.4〜0.6であるアンモニアと水素とからなる混合気流中400〜500℃、好ましくは410〜460℃で窒化熱処理する。
ここで全気流圧力に対するアンモニア分圧の比が0.4未満であると、長時間かけても窒化が進まず、窒素量を0.35重量%以上とすることができず、アンモニア分圧の比が0.8を超えると個々の磁石粉末の表面近傍と中央付近とで窒素組成が均一にならず、特に表面付近でアモルファス相が増えるとともに、Sm(Fe、Mn)17化合物結晶相からなる10〜30nmのセルの結晶方位が乱れるため、磁石粉末の磁化と角形性が低下する。
加熱温度が400℃未満では窒化が進みにくく、一方、500℃を超えると合金が希土類元素の窒化物と鉄に分解することがあるので好ましくない。加熱温度が低すぎたり加熱時間が短かすぎると粉末内部に未窒化相が残り、逆に温度が高すぎたり加熱時間が長すぎると過窒化となり、磁石粉末の磁化、保磁力、角型性が低下するため、適宜処理条件を最適化する。なお、加熱装置としては、静置式加熱炉、流動床式加熱炉、回転式加熱炉等を用いることができるが、合金微粉末とガスとの接触を均一にするためには、粉末を攪拌しながら窒化すればよい。
前記特許文献8には、「アンモニア分圧を0.1〜0.7の範囲に制御すれば、窒化効率が高い上に本発明の窒素量範囲全域の磁性材料を作製することができる」(段落0036)、また「加熱温度は、母合金組成、窒化雰囲気によって異なるが、200〜650℃の範囲で選ばれるのが望ましい」(段落0037)と記載されており、実施例においては、溶解法で製造された母合金粉末をアンモニア分圧0.25〜0.40atm、加熱温度440〜480℃の範囲で窒化することが記載されている。しかし、本発明者らの行った実験では、本発明の還元拡散法で製造された母合金粉末を用いる場合においては、このような条件では好ましい窒化が行えなかった。
このようなことから、特許文献8ではアンモニア分圧0.4未満でも窒化が可能としているが、本発明ではアンモニア分圧0.4以上でなければならないという窒化条件の相違点は、熔解法で製造された母合金と、還元拡散法で製造された母合金とで、合金の粒性状(結晶相、アモルファス相の成分や大きさ)などが異なり、母合金内部への窒素の拡散機構が根本的に異なっていることに起因するものと推定される。
窒化熱処理に引き続いて、水素ガスおよび/または不活性ガス中で合金粉末を熱処理すると、磁石粉末内部の窒素分布をさらに均一化することができ、この結果、角形性を向上できるものと考えられる。
4.希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末
本発明の希土類−鉄(−コバルト)−マンガン−窒素系磁石粉末は、22〜27重量%の希土類元素と、7重量%以下のMnを含み、3.5〜6.0重量%のNと、残部が実質的にFeまたはFeおよびCoの組成を有するものである。
希土類元素としては、Smを希土類全体の60重量%以上、好ましくは90重量%以上にするのが、高い保磁力を得るために必要である。希土類元素が22重量%未満であると、磁石粉末に希土類元素が未拡散の鉄(−コバルト)−マンガン相が残留するので、磁化と保磁力と角形性が低下する。また27重量%を超えると、ThZn17型のSm(Fe、Mn)17化合物結晶相よりも希土類リッチ窒化物相が形成され、磁石粉末の磁化と角形性が低下する。
Mnは、保磁力を発現させるための必須元素であるが、7重量%を超えると本発明の磁石粉末の磁化が低下する。好ましいMn量は2〜6重量%、より好ましいMn量は3〜5重量%である。
なお、磁石粉末中に存在するThZn17型Sm(Fe、Mn)17化合物結晶相において、Mn量が増えるにつれて、わずかに格子定数が増加しX線密度は減少する。具体的には、Mnを含まない場合の7.68mg/mに対して、Mn量4重量%程度では7.66mg/mとなる。また、該化合物結晶相のキュリ−温度も、Mn量が増えるにつれて低下し、Mnを含まない場合の476℃からFeの5原子%をMnで置換した場合には434℃になる。
N量は、3.5重量%未満では保磁力と角形性が低下し、6.0重量%を超えると、磁石粉末中のアモルファス相が増加するとともに、個々のセルにおいてThZn17型結晶構造を持つSm(Fe、Mn)17化合物結晶相のc軸が揃わなくなってくるため、磁化が低下する。好ましいN量は、4.0〜6.0重量%、より好ましいN量は、4.5〜6.0重量%である。なおFeの20重量%以下をCoで置換するとキュリ−温度が上昇し、磁化や磁化の温度係数を改善できる。
なお、こうして得られた磁石粉末には、必要により、燐酸、カップリング剤などを用いて表面処理を施すことで大気中の酸素や高温高湿度に対する耐候性を向上させることができる。
5.希土類ボンド磁石用組成物
本発明の希土類ボンド磁石用組成物は、希土類−鉄(−コバルト)−マンガン−窒素系磁石粉末に、(a)熱可塑性樹脂バインダ、及び所望の(b)添加剤を混合することで得ることができる。
(a)樹脂バインダ
本発明の希土類ボンド磁石用組成物において、樹脂バインダは、ポリフェニレンサルファイド、液晶ポリマ−、芳香族系ポリアミドの熱可塑性樹脂の中から選択される。
ポリフェニレンサルファイドには、直鎖型のもの、分岐型構造を有するもの、架橋型のもの、末端基変性を有するものなどがあるが、本発明においては直鎖型のものが好ましい。
例えば、直鎖型ポリフェニレンサルファイド樹脂の分子量は、得られる樹脂結合型磁石に所望の機械的強度が得られる範囲で低い方が好ましい。具体的には、重量平均分子量が40,000〜100,000であることが好ましい。この範囲は、加熱成形時の温度(例えば、300℃)における粘度で、通常、50〜1000poise、好ましくは100〜600poiseに相当する分子量である。分子量が小さすぎて40,000未満のものではボンド磁石の機械強度が低下して、成形できなくなる場合があり、逆に分子量が大きすぎて100,000を超えるものでは、射出成形時の流動性に劣るものとなり、成形性が悪化する場合がある。
直鎖型ポリフェニレンサルファイド樹脂は、従来公知の方法により容易に合成することができるが、ト−プレンPPS LN−1〔商品名、(株)ト−プレン製〕などの市販品を使用することもできる。
分子構造の中に分岐型構造を有するポリフェニレンサルファイド樹脂としては、300℃における溶融粘度が300ポイズ以下のものを用いることもできる。
架橋型ポリフェニレンサルファイドとしては、ト−プレンPPS H−1〔商品名、 (株) ト−プレン製〕などの市販品がある。
末端基変性ポリフェニレンサルファイドとしては、H元素置換率が約50%以上、300℃における溶融粘度が100ポイズ(商品名:ト−プレンPPS LR−01G、(株)ト−プレン製)、H元素置換率が約50%以上、300℃における溶融粘度が230ポイズ(商品名:ト−プレンPPS LR−02G、(株)ト−プレン製)、H元素置換率が約50%以上、300℃における溶融粘度が290ポイズ(商品名:ト−プレンPPS LR−03、(株)ト−プレン製)、H元素置換率が約50%以上、300℃における溶融粘度が580ポイズ(商品名:ト−プレンPPS LR−1G、(株)ト−プレン製)などを挙げることができる。
液晶ポリマ−は、光学的に異方性の溶融相を形成し得る熱可塑性ポリマ−であるが、耐熱性と耐薬品性の観点では全芳香型ポリエステル樹脂が好ましい。全芳香族型とは、用いる各モノマ−ユニットが脂肪族成分を有しないモノマ−、すなわち芳香族のみから誘導される液晶ポリマ−のことである。
熱可塑性液晶ポリマ−の原料となる化合物としては、(イ)芳香族ヒドロキシカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体、(ロ)芳香族ジヒドロキシ化合物またはそのエステル形成性誘導体と芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体との組み合わせが好ましい。
芳香族ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、4’−ヒドロキシ−4−ビフェニルカルボン酸などが挙げられるが、p−ヒドロキシ安息香酸または2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸が好ましい。芳香族ヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体としては、p−アセトキシ安息香酸、2−アセトキシ−6−ナフトエ酸、4’−アセトキシ−4−ビフェニルカルボン酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸のエステル、p−ヒドロキシ安息香酸クロリド、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸クロリドなどの芳香族ヒドロキシカルボン酸のハロゲン化物などが挙げられる。
芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えば、ヒドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、4,4’−ビスフェノ−ルなどが挙げられるが、ヒドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレンが好ましい。また、芳香族ジヒドロキシ化合物のエステル形成性誘導体としては、ヒドロキノンジアセテ−ト、2,6−ジアセトキシナフタレンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物のエステルなどが挙げられる。
芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸などが挙げられるが、テレフタル酸、イソフタル酸または2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましい。また、芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体としては、テレフタル酸ジクロリド、イソフタル酸ジクロリド、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジクロリド、4,4’−ビフェニルジカルボン酸ジクロリドなどの芳香族ジカルボン酸のハロゲン化物などが挙げられる。
芳香族系ポリアミドは、骨格の中にテレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分と、ジアミン単位として炭素数6〜18の脂肪族アルキレンジアミン単位を含有するものである。
かかる炭素数6〜18の脂肪族アルキレンジアミン単位としては、例えば、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン 、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン等の直鎖状脂肪族アルキレンジアミン;1−ブチル−1,2−エタンジアミン、1,1−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1−エチル−1,4−ブタンジアミン、1,2−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1,3−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1,4−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、2,3−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2,5−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、3,3−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,2−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4−ジエチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,2−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2,3−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2,4−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2,5−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン 、3−メチル−1,8−オクタンジアミン 、4−メチル−1,8−オクタンジアミン 、1,3−ジメチル−1,8−オクタンジアミン 、1,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン 、2,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン 、3,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン 、4,5−ジメチル−1,8−オクタンジアミン 、2,2−ジメチル−1,8−オクタンジアミン 、3,3−ジメチル−1,8−オクタンジアミン 、4,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン 、5−メチル−1,9−ノナンジアミン等の分岐鎖状脂肪族アルキレンジアミン等から誘導される単位を挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。
本発明においては、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分と1,6−ヘキサンジアミンを主成分とするジアミン成分からなる芳香族系ポリアミド(PA6T)や、PA9Tが好ましい。PA6T系ポリアミドは、ナイロン66などの脂肪族ポリアミドに比較して低吸水性であり、吸水による寸法変化といった問題点を克服できる材料である。耐熱性と耐薬品性に加えて、成形性が重要視される場合には、分子骨格中に2−メチル−1,8−オクタンジアミンの含有量が60mol%以下、特に50mol%以下であるものが好ましい。
これら熱可塑性樹脂は単独で用いてもよいし、これら2種類以上をブレンドした系でもよい。これらの形状はパウダ−、ビ−ズ、ペレット等特に限定されないが、磁石粉末との均一混合性から考えるとパウダ−が望ましい。
必須成分のポリフェニレンサルファイド樹脂、液晶ポリマ−、あるいは芳香族系ポリアミドのいずれかには、他種の樹脂、例えば、6ナイロン、66ナイロン、46ナイロンなどのポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレ−トやポリブチレンテレフタレ−ト等のポリエステル系樹脂、ポリアセタ−ル樹脂、ポリエ−テルエ−テルケトン樹脂等、これらの単重合体や他種モノマ−との共重合体、他の物質での末端基変性品などを混合し使用しても差し支えない。
(b)添加剤
また本発明の組成物を製造するとき、カップリング剤や滑剤や安定剤などの添加剤を使用すると、さらに組成物の加熱流動性が向上し成形性や磁気特性が向上する。
カップリング剤としては、シラン系カップリング剤、たとえばビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン)、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシランなどがある。
また、チタン系カップリング剤として、たとえばイソプロピルトリイソステアロイルチタネ−ト、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネ−ト、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェ−ト)チタネ−ト、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネ−ト、テトライソプロピルチタネ−ト、テトラブチルチタネ−ト、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネ−ト、イソプロピルトリオクタノイルチタネ−ト、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネ−ト、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェ−ト)チタネ−ト、ビス(ジオクチルパイロホスフェ−ト)エチレンチタネ−ト、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネ−ト、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシルホスファイト)チタネ−ト、イソプロピルトリクミルフェニルチタネ−ト、ビス(ジオクチルパイロホスフェ−ト)オキシアセテ−トチタネ−ト、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネ−トなどが挙げられる。
これらカップリング剤は、樹脂バインダの種類にあわせた適当なものを選択しそれらの一種または二種以上を使うことが出来る。
滑剤としては、例えばパラフィンワックス、流動パラフィン、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、エステルワックス、カルナウバ、マイクロワックス等のワックス類、ステアリン酸、1,2−オキシステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、オレイン酸等の脂肪酸類、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ラウリン酸カルシウム、リノ−ル酸亜鉛、リシノ−ル酸カルシウム、2−エチルヘキソイン酸亜鉛等の脂肪酸塩(金属石鹸類)ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘン酸アミド、パルミチン酸アミド、ラウリン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ジステアリルアジピン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、ジオレイルアジピン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド等脂肪酸アミド類、ステアリン酸ブチル等の脂肪酸エステル、エチレングリコ−ル、ステアリルアルコ−ル等のアルコ−ル類、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリテトラメチレングリコ−ル、及びこれら変性物からなるポリエ−テル類、ジメチルポリシロキサン、シリコングリ−ス等のポリシロキサン類、弗素系オイル、弗素系グリ−ス、含弗素樹脂粉末といった弗素化合物、窒化珪素、炭化珪素、酸化マグネシウム、アルミナ、二酸化珪素、二硫化モリブデン等の無機化合物粉体が挙げられる。
また、安定剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケ−ト、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケ−ト、1−[2−{3−(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−4−{3−(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,2,3−トリアザスピロ[4,5]ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、こはく酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン、[[2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル]]]イミノ]]、2−(3,5−ジ・第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)等のヒンダ−ド・アミン系安定剤のほか、フェノ−ル系、ホスファイト系、チオエ−テル系等の抗酸化剤等が挙げられる。
また、滑剤としては、パラフィンワックス、流動パラフィン、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、エステルワックス、カルナウバ、マイクロワックスなどのワックス類、ステアリン酸、12−オキシステアリン酸、ラウリン酸などの脂肪酸類や、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、ラウリン酸カルシウム、リノ−ル酸亜鉛、リノ−ル酸カルシウム、2−エチルヘキソイン酸亜鉛などの脂肪酸塩、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘン酸アミド、パルミチン酸アミド、ラウリン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ジステアリルアジピン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、ジオレイルアジピン酸アミド、N−ステアリルスアリン酸アミド、N−オレイルステアリン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、メチロ−ルステアリン酸アミド、メチロ−ルベヘン酸アミドなどの脂肪酸アミド、ステアリン酸ブチルなどの脂肪酸エステル、エチレングリコ−ル、ステアリルアルコ−ルなどのアルコ−ル類、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリテトラメチレングリコ−ルおよびこれらの変性物からなるポリエ−テル類、シリコ−ンオイル、シリコングリ−スなどのポリシロキサン類、フッ素系オイル、フッ素系グリ−ス、含フッ素樹脂粉末といったフッ素化合物、窒化珪素、炭化珪素、酸化マグネシウム、アルミナ、シリカゲルなどの無機化合物粉体などが挙げられ、これらの一種または二種以上を使うことが出来る。
本発明の希土類ボンド磁石用組成物は、上記磁石粉末に樹脂バインダ−を配合した後、例えばリボンブレンダ−、タンブラ−、ナウタ−ミキサ−、ヘンシェルミキサ−、ス−パ−ミキサ−、プラネタリ−ミキサ−等の混合機、およびバンバリ−ミキサ−、ニ−ダ−、ロ−ル、ニ−ダ−ル−ダ−、単軸押出機、二軸押出機等の混練機を使用して混合し、混練することによって得ることができる。
混練雰囲気としては、窒素ガスなどの不活性ガスであるのが好ましい。混練温度は、一般に250〜350℃であるが、特にポリフェニレンサルファイドにおいては290〜330℃に設定される。本発明の組成物においては、330℃を超える温度で混練すると樹脂が熱分解して機械強度を低下させるためである。
6.希土類ボンド磁石
この希土類ボンド磁石用組成物を各種熱可塑性樹脂用の成形機、好ましくは射出成形機、押出成形機で成形することによって、本発明の希土類−鉄(−コバルト)−マンガン−窒素系磁石粉末と上記の樹脂バインダなどからなる希土類ボンド磁石が製造できる。また、得られた混練物をプラスチック粉砕器にかけることによって、Sm−Fe−Mn−Nボンド磁石組成物ペレットを得、該ペレットを成形機に投入して成形を行うことができる。
希土類ボンド磁石用組成物からボンド磁石を成形する際には、一般に組成物の流動性Q値が高いことが望ましい。ボンド磁石の成形性は、成形機の種類や成形条件や金型設計によって変わるが、通常0.10cc/s以上がよく、0.20cc/s以上であるのがさらに好ましい。ここで、希土類ボンド磁石用組成物の流動性Q値を、JIS K7210に準じて測定する。
金型に磁界をかけながら成形すると、磁界方向に磁石粉末が整列した異方性の希土類ボンド磁石が得られる。金型キャビティにかける配向磁界強度としては400kA/m以上必要である。ここで磁界強度が400kA/m未満であると磁性粉末の配向が低下し、磁気特性の良好な希土類ボンド磁石が得られない。また、射出成形機または押出成形機のノズル温度は250〜350℃に設定される。
特に、ポリフェニレンサルファイドを用いた希土類ボンド磁石用組成物においては、290〜340℃に設定される。本発明の組成物においては、340℃を超える温度で成形すると樹脂が熱分解して機械強度を低下させるためである。ただし、本発明の希土類−鉄(−コバルト)−マンガン−窒素系磁石粉末は、耐熱性が良好であるため、高温成形しても磁気特性の低下は少ない。
また、金型温度は、60〜160℃に設定することが好ましい。特にポリフェニレンサルファイドを用いた希土類ボンド磁石用組成物においては、120〜160℃に設定される。120℃未満では、ポリフェニレンサルファイド樹脂の結晶化度が低く、成形体の機械強度が低いためである。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
次の要領で、(1)原料粉末、還元剤を混合して還元拡散法でSm−Fe−Mn系母合金粉末を調製し、(2)これを窒化して、Sm−Fe−Mn−窒素系磁石粉末を製造した。さらに、(3)得られた磁石粉末に樹脂バインダ−を混合し、希土類ボンド磁石用樹脂組成物とし、(4)これを成形して、希土類ボンド磁石を製造した。
(1)還元拡散法
原料粉末として、アトマイズ法で製造された、粒径が10〜70μmの粉末が全体の94%を占める鉄粉末(Fe純度99%)412.7gと、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の83%を占める二酸化マンガン粉末(MnO純度91%)37.4gと、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の96%を占める酸化サマリウム粉末(Sm純度99.5%)192.5gを秤量し、粒度4メッシュ(タイラ−メッシュ、目開き4.699mm)以下の金属カルシウム粒(Ca純度99%)121.0gをヘンシェルミキサ−で混合した。
これをステンレススチ−ル反応容器に挿入し、容器内をロ−タリ−ポンプで真空引きしてArガス置換した後、Arガスを流しながら1180℃まで昇温し、4時間保持し冷却した。次に、Arガスを水素ガスに切り替えて昇温し、250℃で4時間保持して冷却した。反応容器から取り出した時点で反応生成物は崩壊しており、その全量が16メッシュ(タイラ−メッシュ、目開き0.991mm)の篩を通過するものであった(以下、実施例2〜20において、特に記載がない限り、崩壊物全量が16メッシュの篩を通過した。)。
取り出した崩壊物を直ちに純水中に投入したところ、ガス発生を伴う反応が激しく起こった。このスラリ−から、Ca(OH)懸濁物をデカンテ−ションによって分離し、純水を注水後2時間攪拌し、次いでデカンテ−ションを行う操作を5回繰り返した。得られた合金粉末スラリ−を攪拌しながら希酢酸を滴下し、pH5.0に15分間保持した。合金粉末を濾過後、エタノ−ルで数回掛水洗浄し50℃で真空乾燥することによって、Sm−Fe−Mn母合金粉末を得た。
この粉末組成は、Sm25.0重量%、Mn3.9重量%、Oが0.09重量%、Hが0.49重量%、Ca0.02重量%、残部Feとなっており、粒径が10〜70μmの粉末が全体の86%を占めるものとなっていた。
また、粉末を樹脂に埋め込み研磨した断面について、EPMAにてビ−ム径を1.0μmとしてMn量を定量分析した。任意の10個の粒子について分析したところ、Mn組成のばらつきは標準偏差で0.07重量%であった。またX線回折法により解析した結果、図1に示すようにThZn17型結晶構造(a=0.862nm、c=1.243nm)を有するほぼ単相の合金粉末であることがわかった。
(2)窒化
次に、得られたSm−Fe−Mn母合金粉末を回転式環状炉に投入し、アンモニア分圧0.05MPa、水素分圧0.05MPaの混合気流中435℃で9時間加熱処理し、引き続き水素気流中と窒素気流中で3時間焼鈍した後、冷却して取り出した。
このようにして得られたSm−Fe−Mn−N磁石粉末の化学分析組成は、Sm23.7重量%、Mn3.7重量%、Nが5.0重量%、Oが0.18重量%、Hは0.01重量%未満、残部Feであった。
投入量からの算出値と回収量から計算される製品収率は95%であった。またX線回折法により解析した結果、図1に示すようにThZn17型結晶構造(a=0.874nm、c=1.268nm)に対応する回折線と2θ=44.7°(Cu−Kα)の未同定回折線とからなることがわかった。
また、透過型電子顕微鏡で微細組織を観察したところ、数10nm〜数100nmまでのセル状構造が観察され、電子線回折パタ−ンはThZn17型結晶構造に対応するスポットとハロ−からなっており、ThZn17型結晶構造を有する相とアモルファス相とを含有していることが分かった。この磁石粉末のキュリ−温度を示差走査熱量分析計(DSC)で評価したところ430°Cだった。
得られた磁石粉末を粒度調整することなしに、そのまま最大磁界1200kA/mの振動試料型磁力計で磁気特性を評価した。ここで、日本ボンド磁石工業協会ボンド磁石試験法ガイドブックBMG−2005に準じて1600kA/mの配向磁界をかけて試料を作製し、4000kA/mの磁界で着磁している。
分析組成とThZn17型結晶構造の格子定数から算出された粉末のX線密度は7.66g/ccで、この値で換算された粉末の磁気特性は、反磁界補正なしで、Jm=0.971T、Hc=754kA/m、Hk=218kA/mであった。
この換算については、振動試料型磁力計で測定される質量磁化σ(Am/kg)とX線密度Dx(g/cc)とから、J=4×π×10−4×Dx×σによって行われる。
ここでJmは第一象限における磁化の最大値であり、Hcは保磁力である。またHkは減磁曲線の角形性を表し、第二象限において、磁化JがBrの90%の値を取るときの減磁界の大きさである。
なお、得られた磁石粉末の密度を、ヘリウムガスおよび窒素ガスを用いた定容積膨張法で評価したところ、7.54g/ccだった。X線密度が磁石粉末の主相であるThZn17型結晶相の密度であるのに対して、このガス置換法で評価された密度は、アモルファス相も含めた粉末全体の密度を表しているために、差が生じているものと思われる。
この磁石粉末を、95℃95%RHの環境下に188時間放置して磁気特性を測定したところ、Jm=0.975T、Hc=745kA/m、Hk=205kA/mと変化はほとんどなかった。また錆などの変色は全く見られなかった。
この磁石粉末を窒素雰囲気中300℃で1時間加熱して磁気特性を測定したところ、Jm=0.992T、Hc=724kA/m、Hk=173kA/mであり、劣化が小さく良好な耐熱性を示した。
なお、この粉末を平均粒径5μmまでジェットミル解砕して同様に磁気特性を測定したところ、Jm=1.019T、Hc=777kA/m、Hk=284kA/mであった。
(3)希土類ボンド磁石組成物の製造
次に、上記で得られた粒度調整していないSm−Fe−Mn−N磁石粉末88.0重量%と重量平均分子量70,000の直鎖型ポリフェニレンサルファイド樹脂12.0重量%とをヘンシェルミキサ−にて混合し、窒素ガス雰囲気中300℃でニ−ダ−混練した。得られた混練物をプラスチック粉砕器にかけることによって、Sm−Fe−Mn−Nボンド磁石組成物ペレットを得た。
このボンド磁石用組成物の流動性Q値を、JIS K7210に準じて、φ2.1mm長さ8mmのオリフィスを用いて、シリンダ−温度320℃、荷重21.6kgfで測定したところ、0.23cc/sであった。
(4)希土類ボンド磁石の製造
このペレットを射出成形機に投入し、ノズル温度320℃、金型温度135℃とし、金型キャビティに640kA/mまでの配向磁界をかけながら、直径10mm、高さ7mmの異方性ボンド磁石を製造した。得られた射出成形磁石の磁気特性は、配向磁界640kA/mのとき、Br=0.49T、HcJ=730kA/m、Hk=178kA/m、比重4.65であった。混練時に300℃ないし成形時に320℃の高温に晒されても、その保磁力HcJは、磁石粉末の保磁力からあまり低下していないことが分かる。また、配向磁界を変えながら成形した磁石の磁気特性を図2に示す。この図2より、異方性ボンド磁石として十分な磁気特性を得るためには、配向磁界を400kA/m以上にする必要があることが分かる。
配向磁界640kA/mで成形した異方性ボンド磁石のサンプル2個を、180℃の高温に加熱保持し、室温に取り出し不可逆減磁を測定し、その経時変化(保持時間に対する依存性)を測定した。図3に示すように、サンプルは2個とも初期減磁を除き安定性が良好であることが分かる。
さらに、この異方性ボンド磁石の減磁曲線を、23〜175℃の温度範囲で測定した結果を図4に示す。これより23〜175℃の間でのBrの温度係数は、α(Br)=−0.17%/K、HcJの温度係数は、α(HcJ)=−0.3%/Kであった。
(実施例2)
原料粉末を鉄粉末269.2g、二酸化マンガン粉末24.4g、酸化サマリウム粉末130.8g、金属カルシウム粒77.7gとし、還元温度を1190℃とした以外は実施例1と同様にして、Sm−Fe−Mn母合金粉末を製造した。Sm−Fe−Mn母合金粉末の粒径は、10〜70μmの粉末が全体の93%を占めていた。また、Mn組成の粒子間ばらつきは0.09重量%であった。
この粉末を実施例1と同様にして窒化して得たSm−Fe−Mn−N磁石粉末は、化学分析組成が、Sm25.9重量%、Mn3.5重量%、Nが5.0重量%、Oが0.19重量%、Hは0.01重量%未満、残部Feであった。製品収率は95%であった。粉末のX線密度7.66g/ccで換算された粉末の磁気特性は、反磁界補正なしで、Jm=0.909T、Hc=906kA/m、Hk=139kA/mであった。実施例1と同様、窒素雰囲気中300℃1時間の耐熱試験後に評価した粉末のHkは130kA/mで、良好な耐熱性を示した。
(実施例3)
原料粉末の鉄粉末291.7g、二酸化マンガン粉末18.9g、酸化サマリウム粉末139.5g、金属カルシウム粒78.6gと配合比を変え、還元温度を1150℃とし、温度435℃で13時間窒化した以外は実施例2と同様にして、Sm−Fe−Mn−N磁石粉末を製造した。
得られたSm−Fe−Mn−N磁石粉末は、化学分析組成が、Sm24.3重量%、Mn2.6重量%、Nが4.7重量%、Oが0.19重量%、Hは0.01重量%未満、残部Feであった。製品収率は94%であった。粉末のX線回折から求めた格子定数a=0.875nm、c=1.268nmと、組成から計算したX線密度は7.67g/ccで、この値で換算された粉末の磁気特性はJm=1.018T、Hc=627kA/m、Hk=216kA/mであった。またDSCにより評価したキュリ−温度は444°Cだった。実施例1と同様、窒素雰囲気中300℃1時間の耐熱試験後に評価した粉末のHkは195kA/mで、良好な耐熱性を示した。本実施例においてSm−Fe−Mn母合金粉末の粒径は、10〜70μmの粉末が全体の83%を占めていた。またMn組成の粒子間ばらつきは0.10重量%であった。
(実施例4)
原料粉末の鉄粉末170.9g、二酸化マンガン粉末29.6g、酸化サマリウム粉末87.2g、金属カルシウム粒63.9gと配合比を変え、還元温度を1150℃とし、温度450℃で6時間窒化した以外は実施例2と同様にして、Sm−Fe−Mn−N磁石粉末を製造した。
得られたSm−Fe−Mn−N磁石粉末は、化学分析組成が、Sm23.7重量%、Mn6.4重量%、Nが5.9重量%、Oが0.10重量%、Hは0.01重量%、残部Feであった。製品収率は95%であった。DSCにより評価したキュリ−温度は398°Cだった。粉末の磁気特性はσm=92.8Am/kg、Hc=876kA/m、Hk=162kA/mであった。実施例1と同様、窒素雰囲気中300℃1時間の耐熱試験後に評価した粉末のHkは147kA/mで、良好な耐熱性を示した。本実施例においてSm−Fe−Mn母合金粉末の粒径は、10〜70μmの粉末が全体の83%を占めていた。またMn組成の粒子間ばらつきは0.10重量%であった。
(実施例5)
原料粉末の鉄粉末242.3g、二酸化マンガン粉末24.4g、酸化サマリウム粉末130.8g、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の82%を占める酸化コバルト粉末(CaO純度99重量%)26.9g、金属カルシウム粒73.5gと配合比を変え、還元温度を1230℃とし、温度435℃で10時間窒化した以外は実施例2と同様にしてSm−Fe−Co−Mn−N磁石粉末を製造した。
得られたSm−Fe−Co−Mn−N磁石粉末は、化学分析組成が、Sm24.0重量%、Mn3.6重量%、Coが6.8重量%、Nが4.6重量%、Oが0.09重量%、Hは0.01重量%未満、残部Feであった。製品収率は93%であった。粉末の磁気特性はσm=106.2Am/kg、Hc=736kA/m、Hk=235kA/mであった。実施例1と同様、窒素雰囲気中300℃1時間の耐熱試験後に評価した粉末のHkは210kA/mで、良好な耐熱性を示した。本実施例において、水素処理によって崩壊した反応生成物には16メッシュ(タイラ−メッシュ、目開き0.991mm)以上のものが含まれていたが、その全量が10mm以下であった。またSm−Fe−Co−Mn母合金粉末の粒径は、10〜70μmの粉末が全体の81%を占めていた。またMn組成の粒子間ばらつきは0.07重量%であった。
この磁石粉末を用いた以外、実施例1と同様にして射出成形磁石を得た。この23〜175℃の間での温度係数はα(Br)=−0.12%/K、α(HcJ)=−0.3%/Kであった。
(実施例6)
原料粉末として、アトマイズ法で製造された、粒径が10〜80μmの粉末が全体の90%を占める5.5Mn−Fe合金粉末(Mn5.5重量%、Fe93.8重量%)948.2gと、酸化サマリウム粉末436.0g、金属カルシウム粒180.5gと配合比を変え、還元温度を1190℃とし、温度435℃で9時間窒化した以外は実施例2と同様にしてSm−Fe−Mn−N磁石粉末を製造した。
得られたSm−Fe−Mn−N磁石粉末は、化学分析組成が、Sm24.1重量%、Mn3.6重量%、Nが4.4重量%、Oが0.15重量%、Hは0.01重量%未満、残部Feであった。製品収率は96%であった。X線密度7.66g/ccで換算された粉末の磁気特性はJm=1.068T、Hc=642kA/m、Hk=250kA/mであった。
実施例1と同様、窒素雰囲気中300℃1時間の耐熱試験後に評価した粉末のHkは227kA/mで、良好な耐熱性を示した。本実施例においてSm−Fe−Mn母合金粉末の粒径は、10〜70μmの粉末が全体の90%を占めていた。またMn組成の粒子間ばらつきは0.05重量%であった。
(実施例7)
原料粉末として、アトマイズ法で製造された、粒径が10〜80μmの粉末が全体の84%を占める5.5Mn−16Co−Fe合金粉末(Mn5.5重量%、Co16.0重量%、Fe77.9重量%)948.2gと、酸化サマリウム粉末436.0gを用い、金属カルシウム粒180.5gとの配合比を変え、還元温度を1190℃とし、温度435℃で10時間窒化した以外は実施例2と同様にして、Sm−Fe−Co−Mn−N磁石粉末を製造した。
得られたSm−Fe−Co−Mn−N磁石粉末は、化学分析組成が、Sm24.2重量%、Co12.3重量%、Mn3.7重量%、Nが4.2重量%、Oが0.13重量%、Hは0.01重量%未満、残部Feであった。製品収率は94%であった。粉末の磁気特性はσm=113.1Am/kg、Hc=631kA/m、Hk=239kA/mであった。実施例1と同様、窒素雰囲気中300℃1時間の耐熱試験後に評価した粉末のHkは209kA/mで、良好な耐熱性を示した。本実施例においてSm−Fe−Co−Mn母合金粉末の粒径は、10〜70μmの粉末が全体の88%を占めていた。またMn組成の粒子間ばらつきは0.06重量%であった。
この磁石粉末を用いた以外、実施例1と同様にして射出成形磁石を得た。この23〜175℃の間での温度係数はα(Br)=−0.07%/K、α(HcJ)=−0.3%/Kであった。
(実施例8)
原料粉末の鉄粉末269.2g、二酸化マンガン粉末24.4g、酸化サマリウム粉末130.8gに対して、金属カルシウム粒を81.1gと配合比を変え、還元温度を1100℃とし、温度435℃で8.5時間窒化した以外は実施例2と同様にして、Sm−Fe−Mn−N磁石粉末を製造した。
得られたSm−Fe−Mn−N磁石粉末は、化学分析組成が、Sm24.9重量%、Mn3.6重量%、Nが4.5重量%、Oが0.12重量%、Hは0.01重量%未満、残部Feであった。製品収率は97%であった。X線密度7.66g/ccで換算された粉末の磁気特性はJm=0.943T、Hc=704kA/m、Hk=239kA/mであった。
実施例1と同様、窒素雰囲気中300℃1時間の耐熱試験後に評価した粉末のHkは213kA/mで、良好な耐熱性を示した。本実施例においてSm−Fe−Mn母合金粉末の粒径は、10〜70μmの粉末が全体の79%を占めていた。またMn組成の粒子間ばらつきは0.12重量%であった。
(実施例9)
原料粉末の鉄粉末269.2g、二酸化マンガン粉末24.4g、酸化サマリウム粉末125.5gと、金属カルシウム粒75.6gとの配合比を変え、温度435℃で7.5時間窒化した以外は実施例2と同様にして、Sm−Fe−Mn−N磁石粉末を製造した。
得られたSm−Fe−Mn−N磁石粉末は、化学分析組成が、Sm24.4重量%、Mn3.7重量%、Nが4.4重量%、Oが0.15重量%、Hは0.01重量%未満、残部Feであった。製品収率は95%であった。X線密度7.66g/ccで換算された粉末の磁気特性はJm=1.073T、Hc=660kA/m、Hk=246kA/mであった。
実施例1と同様、窒素雰囲気中300℃1時間の耐熱試験後に評価した粉末のHkは225kA/mで、良好な耐熱性を示した。本実施例においてSm−Fe−Mn母合金粉末の粒径は、10〜70μmの粉末が全体の88%を占めていた。またMn組成の粒子間ばらつきは0.07重量%であった。
(実施例10)
温度435℃で9時間窒化した以外は実施例9と同様にして、Sm−Fe−Mn−N磁石粉末を製造した。得られたSm−Fe−Mn−N磁石粉末は、化学分析組成が、Sm24.3重量%、Mn3.7重量%、Nが4.8重量%、Oが0.16重量%、Hは0.01重量%未満、残部Feであった。製品収率は95%であった。X線密度7.66g/ccで換算された粉末の磁気特性はJm=0.965T、Hc=960kA/m、Hk=280kA/mであった。
実施例1と同様、窒素雰囲気中300℃1時間の耐熱試験後に評価した粉末のHkは248kA/mで、良好な耐熱性を示した。本実施例においてSm−Fe−Mn母合金粉末の粒径は、10〜70μmの粉末が全体の88%を占めていた。またMn組成の粒子間ばらつきは0.07重量%であった。
(実施例11)
温度430℃で7.5時間窒化した以外は実施例9と同様にして、Sm−Fe−Mn−N磁石粉末を製造した。得られたSm−Fe−Mn−N磁石粉末は、化学分析組成が、Sm24.5重量%、Mn3.7重量%、Nが3.9重量%、Oが0.15重量%、Hは0.01重量%未満、残部Feであった。製品収率は95%であった。X線密度7.66g/ccで換算された粉末の磁気特性はJm=1.163T、Hc=365kA/m、Hk=149kA/mであった。
実施例1と同様、窒素雰囲気中300℃1時間の耐熱試験後に評価した粉末のHkは140kA/mで、良好な耐熱性を示した。本実施例においてSm−Fe−Mn母合金粉末の粒径は、10〜70μmの粉末が全体の88%を占めていた。またMn組成の粒子間ばらつきは0.07重量%であった。
(実施例12)
原料粉末として、アトマイズ法で製造された、粒径が10〜70μmの粉末が全体の82%を占める鉄粉末(Fe純度99%)を用いた以外は実施例9と同様にして、Sm−Fe−Mn−N磁石粉末を製造した。得られたSm−Fe−Mn−N磁石粉末は、化学分析組成が、Sm24.4重量%、Mn3.7重量%、Nが4.5重量%、Oが0.12重量%、Hは0.01重量%未満、残部Feであった。製品収率は93%であった。X線密度7.66g/ccで換算された粉末の磁気特性はJm=1.052T、Hc=623kA/m、Hk=187kA/mであった。
実施例1と同様、窒素雰囲気中300℃1時間の耐熱試験後に評価した粉末のHkは158kA/mで、良好な耐熱性を示した。本実施例においてSm−Fe−Mn母合金粉末の粒径は、10〜70μmの粉末が全体の77%を占めていた。またMn組成の粒子間ばらつきは0.10重量%であった。
(実施例13)
原料粉末として、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の84%を占める酸化サマリウム粉末(Sm純度99.5%)を用いた以外は実施例9と同様にして、Sm−Fe−Mn−N磁石粉末を製造した。得られたSm−Fe−Mn−N磁石粉末は、化学分析組成が、Sm24.3重量%、Mn3.5重量%、Nが4.5重量%、Oが0.10重量%、Hは0.01重量%未満、残部Feであった。製品収率は94%であった。X線密度7.66g/ccで換算された粉末の磁気特性はJm=1.080T、Hc=643kA/m、Hk=208kA/mであった。
実施例1と同様、窒素雰囲気中300℃1時間の耐熱試験後に評価した粉末のHkは182kA/mで、良好な耐熱性を示した。本実施例においてSm−Fe−Mn母合金粉末の粒径は、10〜70μmの粉末が全体の78%を占めていた。またMn組成の粒子間ばらつきは0.13重量%であった。
(実施例14)
還元拡散後に、反応生成物の水素処理を500℃で0.5時間行った以外は、実施例9と同様にして、Sm−Fe−Mn−N磁石粉末を製造した。得られたSm−Fe−Mn−N磁石粉末は、化学分析組成が、Sm24.4重量%、Mn3.5重量%、Nが4.3重量%、Oが0.10重量%、Hは0.01重量%未満、残部Feであった。製品収率は93%であった。X線密度7.66g/ccで換算された粉末の磁気特性はJm=1.028T、Hc=635kA/m、Hk=230kA/mであった。
実施例1と同様、窒素雰囲気中300℃1時間の耐熱試験後に評価した粉末のHkは207kA/mで、良好な耐熱性を示した。本実施例において、水素処理によって崩壊した反応生成物には16メッシュ(タイラ−メッシュ、目開き0.991mm)以上のものが含まれていたが、その全量が10mm以下であった。またSm−Fe−Mn母合金粉末の粒径は、10〜70μmの粉末が全体の82%を占めていた。またMn組成の粒子間ばらつきは0.07重量%であった。
(実施例15)
Sm−Fe−Mn母合金粉末をアンモニア分圧0.04MPa、水素分圧0.06MPaの混合気流中440℃で9時間加熱処理した以外は、実施例9と同様にして、Sm−Fe−Mn−N磁石粉末を製造した。得られたSm−Fe−Mn−N磁石粉末は、化学分析組成が、Sm24.4重量%、Mn3.5重量%、N4.4重量%、O0.11重量%、Hは0.01重量%未満、残部Feであった。製品収率は95%であった。X線密度7.66g/ccで換算された粉末の磁気特性はJm=1.063T、Hc=638kA/m、Hk=250kA/mであった。
実施例1と同様、窒素雰囲気中300℃1時間の耐熱試験後に評価した粉末のHkは232kA/mで、良好な耐熱性を示した。本実施例においてSm−Fe−Mn母合金粉末の粒径は、10〜70μmの粉末が全体の88%を占めていた。またMn組成の粒子間ばらつきは0.07重量%であった。
(実施例16)
Sm−Fe−Mn母合金粉末をアンモニア分圧0.08MPa、水素分圧0.02MPaの混合気流中400℃で10時間加熱処理した以外は、実施例9と同様にして、Sm−Fe−Mn−N磁石粉末を製造した。得られたSm−Fe−Mn−N磁石粉末は、化学分析組成が、Sm24.5重量%、Mn3.5重量%、Nが3.9重量%、Oが0.11重量%、Hは0.01重量%未満、残部Feであった。製品収率は95%であった。X線密度7.66g/ccで換算された粉末の磁気特性はJm=1.038T、Hc=418kA/m、Hk=177kA/mであった。
実施例1と同様、窒素雰囲気中300℃1時間の耐熱試験後に評価した粉末のHkは159kA/mで、良好な耐熱性を示した。本実施例においてSm−Fe−Mn母合金粉末の粒径は、10〜70μmの粉末が全体の88%を占めていた。またMn組成の粒子間ばらつきは0.07重量%であった。
(実施例17)
Sm−Fe−Mn母合金粉末をアンモニア分圧0.04MPa、水素分圧0.06MPaの混合気流中490℃で9時間加熱処理した以外は、実施例9と同様にして、Sm−Fe−Mn−N磁石粉末を製造した。得られたSm−Fe−Mn−N磁石粉末は、化学分析組成が、Sm24.2重量%、Mn3.5重量%、Nが5.3重量%、Oが0.17重量%、Hは0.01重量%、残部Feであった。製品収率は95%であった。X線密度7.66g/ccで換算された粉末の磁気特性はJm=0.886T、Hc=834kA/m、Hk=210kA/mであった。
実施例1と同様、窒素雰囲気中300℃1時間の耐熱試験後に評価した粉末のHkは181kA/mで、良好な耐熱性を示した。本実施例においてSm−Fe−Mn母合金粉末の粒径は、10〜70μmの粉末が全体の88%を占めていた。またMn組成の粒子間ばらつきは0.07重量%であった。
(実施例18)
原料粉末の鉄粉末897.0g、二酸化マンガン粉末81.3g、酸化サマリウム粉末436.0gと、金属カルシウム粒270.0gとの配合比を変えた以外は、実施例2と同様にしてSm−Fe−Mn−N磁石粉末を製造した。得られたSm−Fe−Mn−N磁石粉末は、化学分析組成が、Sm22.3重量%、Mn3.8重量%、Nが4.3重量%、Oが0.12重量%、Hは0.01重量%未満、残部Feであった。製品収率は98%であった。X線密度7.66g/ccで換算された粉末の磁気特性はJm=0.940T、Hc=715kA/m、Hk=139kA/mであった。
実施例1と同様、窒素雰囲気中300℃1時間の耐熱試験後に評価した粉末のHkは131kA/mで、良好な耐熱性を示した。本実施例において、水素処理によって崩壊した反応生成物には16メッシュ(タイラ−メッシュ、目開き0.991mm)以上のものが含まれていたが、その全量が10mm以下であった。またSm−Fe−Mn母合金粉末の粒径は、10〜70μmの粉末が全体の76%を占めていた。またMn組成の粒子間ばらつきは0.09重量%であった。
(実施例19)
原料粉末の鉄粉末897.0g、二酸化マンガン粉末81.3g、酸化サマリウム粉末522.0gと、金属カルシウム粒319.2gとの配合比を変えた以外は、実施例2と同様にしてSm−Fe−Mn−N磁石粉末を製造した。得られたSm−Fe−Mn−N磁石粉末は、化学分析組成が、Sm26.7重量%、Mn3.7重量%、Nが5.2重量%、Oが0.13重量%、Hは0.01重量%未満、残部Feであった。製品収率は98%であった。X線密度7.66g/ccで換算された粉末の磁気特性はJm=0.792T、Hc=1016kA/m、Hk=227kA/mであった。
実施例1と同様、窒素雰囲気中300℃1時間の耐熱試験後に評価した粉末のHkは219kA/mで、良好な耐熱性を示した。本実施例においてSm−Fe−Mn母合金粉末の粒径は、10〜70μmの粉末が全体の88%を占めていた。また、Mn組成の粒子間ばらつきは0.08重量%であった。
(実施例20)
原料粉末の酸化サマリウム粉末125.5gを、酸化サマリウム粉末110.4gと粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の90%を占める酸化セリウム粉末(CeO純度95%)15.0gとした以外は、実施例2と同様にしてSm−Ce−Fe−Mn−N磁石粉末を製造した。得られたSm−Ce−Fe−Mn−N磁石粉末は、化学分析組成が、Sm21.3重量%、Ce3.0重量%、Mn3.5重量%、Nが4.8重量%、Oが0.13重量%、Hは0.01重量%未満、残部Feであった。製品収率は95%であった。粉末の磁気特性はσm=83.5Am/kg、Hc=537kA/m、Hk=133kA/mであった。
実施例1と同様、窒素雰囲気中300℃1時間の耐熱試験後に評価した粉末のHkは127kA/mで、良好な耐熱性を示した。本実施例においてSm−Ce−Fe−Mn母合金粉末の粒径は、10〜70μmの粉末が全体の85%を占めていた。またMn組成の粒子間ばらつきは0.08重量%であった。
(実施例21)
樹脂バインダとして、直鎖型ポリフェニレンサルファイド樹脂の重量平均分子量を40,000とした以外は、実施例1と同様にして希土類ボンド磁石用組成物ペレットを製造した。このボンド磁石用組成物の流動性Q値は、シリンダ−温度320℃において、0.37cc/sであった。
ペレットを射出成形機に投入し、ノズル温度320℃、金型温度135℃とし、金型キャビティに640kA/mの配向磁界をかけながら、直径10mm高さ7mmの異方性ボンド磁石を製造した。得られた射出成形磁石の磁気特性は、Br=0.50T、Hc=J728kA/m、Hk=183kA/m、比重4.68であった。
(実施例22)
樹脂バインダとして、直鎖型ポリフェニレンサルファイド樹脂の重量平均分子量を100,000とした以外は、実施例1と同様にして希土類ボンド磁石用組成物ペレットを製造した。このボンド磁石用組成物の流動性Q値は、シリンダ−温度320℃において、0.07cc/sであった。
ペレットを射出成形機に投入し、ノズル温度320℃、金型温度135℃とし、金型キャビティに640kA/mの配向磁界をかけながら、直径10mm高さ7mmの異方性ボンド磁石を製造した。得られた射出成形磁石の磁気特性は、Br=0.48T、HcJ=730kA/m、Hk=170kA/m、比重4.65であった。
(実施例23)
樹脂バインダとして、全芳香型ポリエステルの液晶ポリマ−を用い、混練温度を340℃とした以外は、実施例1と同様にして希土類ボンド磁石用組成物ペレットを製造した。このボンド磁石用組成物の流動性Q値は、シリンダ−温度340℃において、0.11cc/sであった。
ペレットを射出成形機に投入し、ノズル温度350℃、金型温度120℃とし、金型キャビティに640kA/mの配向磁界をかけながら直径10mm高さ7mmの異方性ボンド磁石を製造した。得られた射出成形磁石の磁気特性は、Br=0.46T、HcJ=712kA/m、Hk=163kA/m、比重4.55であった。
(実施例24)
芳香族系ポリアミドの樹脂バインダとして、テレフタル酸を有するPA9T(2−メチル−1,8−オクタンジアミンの含有量は0mol%)を10.0重量%とし、Sm−Fe−Mn−N磁石粉末を90.0重量%として、混練温度を320℃とした以外は、実施例1と同様にして希土類ボンド磁石用組成物ペレットを製造した。このボンド磁石用組成物の流動性Q値は、シリンダ−温度330℃において、0.05cc/sであった。
ペレットを射出成形機に投入し、ノズル温度330℃、金型温度140℃とし、金型キャビティに640kA/mの配向磁界をかけながら、直径10mm高さ7mmの異方性ボンド磁石を製造した。得られた射出成形磁石の磁気特性は、Br=0.47T、HcJ=640kA/m、Hk=112kA/m、比重4.77であった。
(実施例25)
2−メチル−1,8−オクタンジアミンの含有量が15mol%であるPA9Tを用いた以外は、実施例24と同様にして希土類ボンド磁石用組成物ペレットを製造した。このボンド磁石用組成物の流動性Q値は、シリンダ−温度330℃において、0.11cc/sであった。
ペレットを射出成形機に投入し、ノズル温度330℃、金型温度140℃とし、金型キャビティに640kA/mの配向磁界をかけながら、直径10mm高さ7mmの異方性ボンド磁石を製造した。得られた射出成形磁石の磁気特性は、Br=0.47T、HcJ=642kA/m、Hk=121kA/m、比重4.77であった。
(実施例26)
2−メチル−1,8−オクタンジアミンの含有量が50mol%であるPA9Tを9.5重量%、Sm−Fe−Mn−N磁石粉末を90.5重量%とし、混練温度を310℃用いた以外は、実施例24と同様にして希土類ボンド磁石用組成物ペレットを製造した。このボンド磁石用組成物の流動性Q値は、シリンダ−温度320℃において、0.25cc/sであった。
ペレットを射出成形機に投入し、ノズル温度330℃、金型温度140℃とし、金型キャビティに640kA/mの配向磁界をかけながら、直径10mm高さ7mmの異方性ボンド磁石を製造した。得られた射出成形磁石の磁気特性は、Br=0.49T、HcJ=664kA/m、Hk=127kA/m、比重4.86であった。
(実施例27)
実施例1と実施例21〜26のボンド磁石用組成物から、縦15mm横8mm厚み2mmの板状試料を、各実施例の条件で射出成形して製造した。これらをガソリン80vol%とメタノ−ル20vol%の混合溶液中に浸漬し、80℃で16時間加熱した。浸漬していない試料と浸漬した試料を各5枚用意し、三点曲げ強さを測定したところ、すべての試料において浸漬後の曲げ強さは浸漬前の70%以上を有していた。
(実施例28)
実施例1と実施例21〜26のボンド磁石用組成物から、縦15mm横8mm厚み2mmの板状試料を、各実施例の条件で射出成形して製造した。これらをLLC(ロングライフク−ラント液:ラジエ−タ耐久冷却液)が50vol%と純水50vol%の混合溶液中に浸漬し、80℃で100時間加熱した。浸漬していない試料と浸漬した試料を各5枚用意し、三点曲げ強さを測定したところ、すべての試料において浸漬後の曲げ強さは浸漬前の80%以上を有していた。
(比較例1)
原料粉末として、10μm未満の微粉末が全体の20%で、粒径が10〜70μmの粉末が全体の78%を占める粉砕した電解鉄粉末(Fe純度99%)を用いた以外は実施例9と同様にして、Sm−Fe−Mn−N磁石粉末を製造した。
得られたSm−Fe−Mn−N磁石粉末は、化学分析組成が、Sm24.4重量%、Mn3.6重量%、Nが4.6重量%、Oが0.19重量%、Hは0.01重量%未満、残部Feであった。X線密度7.66g/ccで換算された粉末の磁気特性はJm=0.891T、Hc=524kA/m、Hk=111kA/mであった。本比較例においてSm−Fe−Mn母合金粉末の粒径は、10〜70μmの粉末が全体の74%を占めていた。また、Mn組成の粒子間ばらつきは0.16重量%であった。
(比較例2)
原料粉末として、70μmを超える粗粉末が全体の22%で、粒径が10〜70μmの粉末が全体の75%を占めるアトマイズ鉄粉末(Fe純度99%)を用いた以外は実施例9と同様にして、Sm−Fe−Mn−N磁石粉末を製造した。
得られたSm−Fe−Mn−N磁石粉末は、化学分析組成が、Sm24.4重量%、Mn3.5重量%、Nが4.4重量%、Oが0.11重量%、Hは0.01重量%未満、残部Feであった。X線密度7.66g/ccで換算された粉末の磁気特性はJm=1.102T、Hc=314kA/m、Hk=90kA/mであった。本比較例においてSm−Fe−Mn母合金粉末の粒径は、10〜70μmの粉末が全体の70%を占めていた。またMn組成の粒子間ばらつきは0.20重量%であった。
(比較例3)
原料粉末として、10μmを超える粗粉末が全体の22%で、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の78%を占める二酸化マンガン粉末(MnO純度91%)を用いた以外は実施例9と同様にして、Sm−Fe−Mn−N磁石粉末を製造した。
得られたSm−Fe−Mn−N磁石粉末は、化学分析組成が、Sm24.4重量%、Mn3.6重量%、Nが4.5重量%、Oが0.13重量%、Hは0.01重量%未満、残部Feであった。X線密度7.66g/ccで換算された粉末の磁気特性はJm=0.901T、Hc=318kA/m、Hk=107kA/mであった。本比較例においてSm−Fe−Mn母合金粉末の粒径は、10〜70μmの粉末が全体の79%を占めていた。またMn組成の粒子間ばらつきは0.19重量%であった。
(比較例4)
原料粉末として、10μmを超える粗粉末が全体の22%で、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の78%を占める酸化サマリウム粉末(Sm純度99.5%)を用いた以外は実施例9と同様にして、Sm−Fe−Mn−N磁石粉末を製造した。
得られたSm−Fe−Mn−N磁石粉末は、化学分析組成が、Sm24.1重量%、Mn3.6重量%、Nが4.5重量%、Oが0.15重量%、Hは0.01重量%未満、残部Feであった。X線密度7.66g/ccで換算された粉末の磁気特性はJm=1.076T、Hc=326kA/m、Hk=105kA/mであった。本比較例においてSm−Fe−Mn母合金粉末の粒径は、10〜70μmの粉末が全体の73%を占めていた。またMn組成の粒子間ばらつきは0.16重量%であった。
(比較例5)
還元温度を1080℃とした以外は実施例9と同様にして、Sm−Fe−Mn−N磁石粉末を製造した。
得られたSm−Fe−Mn−N磁石粉末は、化学分析組成が、Sm24.1重量%、Mn3.4重量%、Nが4.6重量%、Oが0.14重量%、Hは0.01重量%未満、残部Feであった。X線密度7.66g/ccで換算された粉末の磁気特性はJm=0.993T、Hc=308kA/m、Hk=95kA/mであった。本比較例においてSm−Fe−Mn母合金粉末の粒径は、10〜70μmの粉末が全体の80%を占めていた。またMn組成の粒子間ばらつきは0.17重量%であった。
(比較例6)
還元温度を1260℃とした以外は実施例9と同様にして、Sm−Fe−Mn−N磁石粉末を製造した。
得られたSm−Fe−Mn−N磁石粉末は、化学分析組成が、Sm24.1重量%、Mn3.5重量%、Nが4.1重量%、Oが0.12重量%、Hは0.01重量%未満、残部Feであった。X線密度7.66g/ccで換算された粉末の磁気特性はJm=0.851T、Hc=287kA/m、Hk=73kA/mであった。本実施例においてSm−Fe−Mn母合金粉末の粒径は、10〜70μmの粉末が全体の57%を占めていた。またMn組成の粒子間ばらつきは0.08重量%であった。
(比較例7)
Sm−Fe−Mn母合金粉末をアンモニア分圧0.035MPa、水素分圧0.065MPaの混合気流中460℃で9時間加熱処理した以外は、実施例9と同様にして、Sm−Fe−Mn−N磁石粉末を製造した。
得られたSm−Fe−Mn−N磁石粉末は、化学分析組成が、Sm24.7重量%、Mn3.6重量%、Nが3.4重量%、Oが0.09重量%、Hは0.01重量%未満、残部Feであった。X線密度7.66g/ccで換算された粉末の磁気特性はJm=1.219T、Hc=87kA/m、Hk=29kA/mであった。本比較例においてSm−Fe−Mn母合金粉末の粒径は、10〜70μmの粉末が全体の88%を占めていた。またMn組成の粒子間ばらつきは0.07重量%であった。
(比較例8)
Sm−Fe−Mn母合金粉末をアンモニア分圧0.09MPa、水素分圧0.01MPaの混合気流中410℃で9時間加熱処理した以外は、実施例9と同様にして、Sm−Fe−Mn−N磁石粉末を製造した。
得られたSm−Fe−Mn−N磁石粉末は、化学分析組成が、Sm24.3重量%、Mn3.6重量%、Nが4.9重量%、Oが0.09重量%、Hは0.01重量%未満、残部Feであった。X線密度7.66g/ccで換算された粉末の磁気特性はJm=0.927T、Hc=278kA/m、Hk=84kA/mであった。本比較例においてSm−Fe−Mn母合金粉末の粒径は、10〜70μmの粉末が全体の88%を占めていた。また、Mn組成の粒子間ばらつきは0.07重量%であった。
(比較例9)
Sm−Fe−Mn母合金粉末をアンモニア分圧0.08MPa、水素分圧0.02MPaの混合気流中390℃で9時間加熱処理した以外は、実施例9と同様にして、Sm−Fe−Mn−N磁石粉末を製造した。
得られたSm−Fe−Mn−N磁石粉末は、化学分析組成が、Sm24.8重量%、M
n3.6重量%、Nが2.8重量%、Oが0.07重量%、Hは0.01重量%未満、残部Feであった。X線密度7.66g/ccで換算された粉末の磁気特性はJm=1.199T、Hc=101kA/m、Hk=24kA/mであった。本比較例においてSm−Fe−Mn母合金粉末の粒径は、10〜70μmの粉末が全体の88%を占めていた。またMn組成の粒子間ばらつきは0.07重量%であった。
(比較例10)
Sm−Fe−Mn母合金粉末をアンモニア分圧0.04MPa、水素分圧0.06MPaの混合気流中510℃で9時間加熱処理した以外は、実施例9と同様にして、Sm−Fe−Mn−N磁石粉末を製造した。
得られたSm−Fe−Mn−N磁石粉末は、化学分析組成が、Sm24.0重量%、Mn3.6重量%、Nが6.3重量%、Oが0.11重量%、Hは0.01重量%未満、残部Feであった。X線密度7.66g/ccで換算された粉末の磁気特性はJm=0.534T、Hc=24kA/m、Hk=4kA/mであった。本比較例においてSm−Fe−Mn母合金粉末の粒径は、10〜70μmの粉末が全体の88%を占めていた。またMn組成の粒子間ばらつきは0.07重量%であった。
(比較例11)
原料粉末の鉄粉末897.0g、二酸化マンガン粉末81.3g、酸化サマリウム粉末426.2g、金属カルシウム粒263.9gと配合比を変えた以外は、実施例2と同様にしてSm−Fe−Mn−N磁石粉末を製造した。
得られたSm−Fe−Mn−N磁石粉末は、化学分析組成が、Sm21.8重量%、Mn3.8重量%、Nが5.1重量%、Oが0.11重量%、Hは0.01重量%未満、残部Feであった。X線密度7.66g/ccで換算された粉末の磁気特性はJm=1.228T、Hc=197kA/m、Hk=58kA/mであった。本比較例において、水素処理によって崩壊した反応生成物には16メッシュ(タイラ−メッシュ、目開き0.991mm)以上のものが含まれていたが、その全量が10mm以下であった。またSm−Fe−Mn母合金粉末の粒径は、10〜70μmの粉末が全体の78%を占めていた。またMn組成の粒子間ばらつきは0.14重量%であった。
(比較例12)
原料粉末の鉄粉末897.0g、二酸化マンガン粉末81.3g、酸化サマリウム粉末533.7g、金属カルシウム粒313.4gと配合比を変えた以外は、実施例2と同様にしてSm−Fe−Mn−N磁石粉末を製造した。
得られたSm−Fe−Mn−N磁石粉末は、化学分析組成が、Sm27.3重量%、Mn3.5重量%、Nが4.4重量%、Oが0.16重量%、Hは0.01重量%未満、残部Feであった。X線密度7.66g/ccで換算された粉末の磁気特性はJm=0.735T、Hc=782kA/m、Hk=102kA/mであった。本比較例において、Sm−Fe−Mn母合金粉末の粒径は、10〜70μmの粉末が全体の80%を占めていた。またMn組成の粒子間ばらつきは0.11重量%であった。
(比較例13)
原料粉末の鉄粉末269.2g、二酸化マンガン粉末48.1g、酸化サマリウム粉末125.5g、金属カルシウム粒94.7gと配合比を変え、温度435℃で9時間窒化した以外は実施例2と同様にしてSm−Fe−Mn−N磁石粉末を製造した。
得られたSm−Fe−Mn−N磁石粉末は、化学分析組成が、Sm24.3重量%、Mn7.3重量%、Nが4.8重量%、Oが0.13重量%、Hは0.01重量%、残部Feであった。またDSCにより評価したキュリ−温度は389°Cだった。粉末の磁気特性はσm=78.7Am/kg、Hc=982kA/m、Hk=244kA/mであった。本比較例においてSm−Fe−Mn母合金粉末の粒径は、10〜70μmの粉末が全体の85%を占めていた。またMn組成の粒子間ばらつきは0.09重量%であった。
(比較例14)
樹脂バインダとしてPA12を6.3重量%と脂肪酸アミド2.0重量%、Sm−Fe−Mn−N磁石粉末を91.7重量%とし、混練温度を200℃とした以外は、実施例24と同様にして希土類ボンド磁石用組成物ペレットを製造した。このボンド磁石用組成物の流動性Q値は、シリンダ−温度250℃において、0.20cc/sであった。
ペレットを射出成形機に投入し、ノズル温度200℃、金型温度110℃とし、金型キャビティに640kA/mの配向磁界をかけながら、直径10mm高さ7mmと縦15mm横8mm厚み2mmの2種類の異方性ボンド磁石を製造した。直径10mm高さ7mmの射出成形磁石の磁気特性は、Br=0.50T、HcJ=704kA/m、Hk=193kA/m、比重4.91であった。
縦15mm横8mm厚み2mmの板状試料をガソリン80vol%とメタノ−ル20vol%の混合溶液中に浸漬し、80℃で16時間加熱した。加熱後の試料には多数のクラックが発生していた。浸漬していない試料と浸漬した試料を各5枚用意し、三点曲げ強さを測定したところ、すべての試料において浸漬後の曲げ強さは浸漬前の30%まで低下した。
(従来例1)
純度99.5%の金属Sm258gと純度99.9%の電解Fe706gと、純度99.9%の金属Mn39gをAr雰囲気中で高周波溶解し鋳造した合金塊を、Ar雰囲気中1130℃で24時間熱処理した。次に、この合金塊をN雰囲気中ジョ−クラッシャ−で粉砕し、さらにN雰囲気中ハイブリッドミルで粉砕した。この粉砕粉を150メッシュ(タイラ−メッシュ、目開き0.104mm)の篩で分級し、106μm以下のSm24.9重量%、Mn3.8重量%、Oが0.04重量%、残部FeのSm−Fe−Mn母合金粉末を得た。なお、この粉末は、粒径が10〜70μmの粉末が全体の64%を占めるものとなっていた。また、Mn組成のばらつきは標準偏差で0.05重量%であった。またX線回折法により、ThZn17型結晶構造を有するほぼ単相の合金粉末であることがわかった。
次に、得られたSm−Fe−Mn母合金粉末を回転式環状炉に投入し、アンモニア分圧0.035MPa、水素分圧0.065MPaの混合気流中465℃で4時間加熱処理し、引き続きAr気流中で1時間焼鈍した後、冷却して取り出した。
このようにして得られたSm−Fe−Mn−N磁石粉末の化学分析組成は、Sm23.7重量%、Mn3.5重量%、Nが5.0重量%、Oが0.10重量%、Hは0.01重量%未満、残部Feであった。
投入量からの算出値と回収量から計算される製品収率は63%であった。またX線回折法により解析した結果、ThZn17型結晶構造に対応する回折線と2θ=44.7°(Cu−Kα)の未同定回折線とからなることがわかった。
得られた磁石粉末を粒度調整することなしに、測定した粉末の磁気特性は、Jm=0.983T、Hc=422kA/m、Hk=48kA/mであった。
(従来例2)
従来例1で得られた磁石粉末を400メッシュ(タイラ−メッシュ、目開き0.038mm)の篩で分級し、篩下の磁石粉末の磁気特性を測定したところ、Jm=0.966T、Hc=503kA/m、Hk=82kA/mであった。
このとき、篩下の収率は31%であったので、製品収率としては63%×31%=20%であった。
(従来例3)
従来例1で得られた磁石粉末を400メッシュの篩で分級し、200メッシュ(タイラ−メッシュ、目開き0.074mm)アンダ−で400メッシュ(タイラ−メッシュ、目開き0.038mm)オ−バ−の粉末を得た。なお、この粉末は、粒径が10〜70μmの粉末が全体の91%を占めるものとなっていた。
この粉末を従来例1と同様に加熱処理・焼鈍することによって窒化し、Sm23.9重量%、Mn3.5重量%、Nが4.8重量%、Oが0.11重量%、Hは0.01重量%未満、残部FeのSm−Fe−Mn−N磁石粉末を得た。製品収率は11%であった。この磁石粉末の磁気特性を測定したところ、Jm=1.005T、Hc=704kA/m、Hk=114kA/mであった。
(参考例1)
還元拡散後に、反応生成物の水素処理を250℃で0.5時間行った以外は、実施例9と同様にして、Sm−Fe−Mn−N磁石粉末を製造した。
得られたSm−Fe−Mn−N磁石粉末は、化学分析組成が、Sm24.4重量%、Mn3.5重量%、Nが4.4重量%、Oが0.16重量%、Hは0.01重量%未満、残部Feであった。X線密度7.66g/ccで換算された粉末の磁気特性はJm=0.971T、Hc=513kA/m、Hk=109kA/mであった。本比較(参考)例において、水素処理によって崩壊した反応生成物には、10mmを超えるものが全体の27重量%含まれていた。また、Sm−Fe−Mn母合金粉末の粒径は、10〜70μmの粉末が全体の73%を占めていた。またMn組成の粒子間ばらつきは0.07重量%であった。
(参考例2)
樹脂バインダとして、直鎖型ポリフェニレンサルファイド樹脂の重量平均分子量を30,000とした以外は、実施例1と同様にして希土類ボンド磁石用組成物ペレットを製造した。このボンド磁石用組成物の流動性Q値は、シリンダ−温度320℃において、0.50cc/sであった。
ペレットを射出成形機に投入し、ノズル温度320℃、金型温度135℃とし、金型キャビティに640kA/mの配向磁界をかけながら直径10mm高さ7mmの異方性ボンド磁石を製造しようとしたが、成形体が脆くて金型から取り出すことができなかった。
(参考例3)
樹脂バインダとして、直鎖型ポリフェニレンサルファイド樹脂の重量平均分子量を120,000とした以外は、実施例1と同様にして希土類ボンド磁石用組成物ペレットを製造した。このボンド磁石用組成物はシリンダ−温度320℃において流動せず、流動性Q値を測定できなかった。
ペレットを射出成形機に投入し、金型温度135℃とし、ノズル温度350℃まで上げながら、直径10mm高さ7mmの異方性ボンド磁石を製造しようとしたが、ショ−トショットで成形できなかった。
(参考例4)
2−メチル−1,8−オクタンジアミンの含有量が65mol%であるPA9Tを9.5重量%、Sm−Fe−Mn−N磁石粉末を90.5重量%とし、混練温度を310℃用いた以外は、実施例24と同様にして希土類ボンド磁石用組成物ペレットを製造した。このボンド磁石用組成物の流動性Q値は、シリンダ−温度320℃において、0.41cc/sであった。
ペレットを射出成形機に投入し、ノズル温度320℃、金型温度140℃とし、金型キャビティに640kA/mの配向磁界をかけながら、直径10mm高さ7mmと縦15mm横8mm厚み2mmの2種類の異方性ボンド磁石を製造した。直径10mm高さ7mmの射出成形磁石の磁気特性は、Br=0.49T、HcJ=670kA/m、Hk=135kA/m、比重4.86であった。
縦15mm横8mm厚み2mmの板状試料をLLC50vol%と純水50vol%の混合溶液中に浸漬し、80℃で100時間加熱した。浸漬していない試料と浸漬した試料を各5枚用意し、三点曲げ強さを測定したところ、浸漬後の曲げ強さは浸漬前の60%以下に低下した。
上記の結果、実施例によれば、特定の原料粉末を用いて還元拡散法で製造された希土類−鉄(−コバルト)−マンガン系母合金、これを特定条件で窒化した希土類−鉄(−コバルト)−マンガン−窒素系磁石粉末、さらにはこれに特定の樹脂バインダを配合し、調製した希土類ボンド磁石は、いずれも好ましい性能(磁気特性、耐熱性、耐薬品性)を有することが分かる。
これに対して、比較例1、2は原料の鉄粉末の粒径が好ましい範囲からはずれたもので、粒径が10〜70μmの希土類−鉄−マンガン母合金粉末が全体の75%未満となりMn組成の粒子間ばらつきは0.15wt%を超えたため、磁石粉末の角形性が低下している。
比較例3は原料のマンガン酸化物粉末の粒径が好ましい範囲からはずれたもので、Mn組成の粒子間ばらつきが0.15wt%を超えたため、磁石粉末の角形性が低下している。
比較例4は原料の希土類酸化物粉末の粒径が好ましい範囲からはずれたもので、粒径が10〜70μmの希土類−鉄−マンガン母合金粉末が全体の75%未満となりMn組成の粒子間ばらつきは0.15wt%を超えたため、磁石粉末の角形性が低下している。
比較例5、6は還元温度が好ましい範囲からはずれたもので、粒径が10〜70μmの希土類−鉄−マンガン母合金粉末が全体の75%未満となるか、またはMn組成の粒子間ばらつきは0.15wt%を超えているため、磁石粉末の角形性が低下している。
比較例7、8は窒化するときのアンモニア分圧が好ましい範囲からはずれたもので、磁石粉末の角形性が低下している。
比較例9、10は窒化温度が好ましい範囲からはずれたもので、磁石粉末の角形性が低下している。
比較例11、12は磁石粉末のSm組成が好ましい範囲からはずれたもので、磁石粉末の角形性が低下している。
比較例13は磁石粉末のMn組成が好ましい範囲からはずれたもので、磁石粉末の角形性が低下している。
比較例7、9、10は磁石粉末のN組成が好ましい範囲からはずれたもので、磁石粉末の角形性が低下している。
比較例14は従来のポリアミド樹脂を用いたので、耐薬品性に劣るものとなった。
一方、従来例1〜3は、高周波溶解法で鋳造した合金塊を粉砕後、アンモニア分圧0.4未満のアンモニア、水素混合気流中で窒化したため、得られた磁石粉末の製品収率は低く、磁気特性も本発明の結果に及ばなかった。
本発明の希土類ボンド磁石用組成物を成形して得たボンド磁石は、従来の希土類ボンド磁石に比べて安価である上に、特に耐熱性と耐薬品性に優れるところから、ガソリンをはじめとする燃料ポンプ、耐LLC(ロングライフク−ラント液:ラジエ−タ耐久冷却液)性が要求される温水ポンプ、また代替フロンなど耐冷媒性が要求されるコンプレッサなどのモ−タ・アクチュエ−タ用に有効で、その工業的価値は極めて大きい。
実施例1のSm−Fe−Mn母合金粉末とSm−Fe−Mn−N磁石粉末のX線回折を示す図面である。 実施例1の希土類ボンド磁石用組成物の配向特性を示す図面である。 実施例1で得られた希土類ボンド磁石の不可逆減磁の経時変化を示す図面である。 実施例1で得られた希土類ボンド磁石の減磁曲線の温度変化を示す図面である。

Claims (9)

  1. 還元拡散法を利用して異方性希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石用の希土類−鉄−マンガン系母合金粉末を製造する方法であって、
    還元剤によって還元する金属原料として、粒径が10〜70μmの粉末が全体の80%以上を占める鉄粉末(A)と、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の80%以上を占めるマンガン酸化物粉末(B)と、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の80%以上を占める希土類酸化物粉末(C)からなる混合物を用いることを特徴とする希土類−鉄−マンガン系母合金粉末の製造方法。
  2. 鉄粉末(A)とマンガン酸化物粉末(B)の代わりに、粒径が10〜80μmの粉末が全体の80%以上を占める鉄−マンガン合金粉末を用いることを特徴とする請求項1に記載の希土類−鉄−マンガン系母合金粉末の製造方法。
  3. Feの20重量%以下をCoに置換した母合金組成が得られるように、鉄粉末(A)の一部を、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の80%以上を占めるコバルト酸化物粉末(D)と置き換えることを特徴とする請求項1に記載の希土類−鉄−マンガン系母合金粉末の製造方法。
  4. 金属原料を還元剤によって還元した後、得られた希土類−鉄−マンガン系合金粉末を含有する反応生成物を水素処理して、粒径が10mm以下になるまで崩壊させ、次いで崩壊した反応生成物を可及的速やかに湿式処理して残留不純物を分離除去することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の希土類−鉄−マンガン系母合金粉末の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法で得られる希土類−鉄−マンガン系母合金粉末であって、
    粒径が10〜70μmの粉末が全体の75%以上を占め、かつMn組成の粒子間ばらつきが標準偏差で0.15重量%以下であることを特徴とする希土類−鉄−マンガン系母合金粉末。
  6. 請求項5に記載の希土類−鉄−マンガン系母合金粉末を、全気流圧力に対するアンモニア分圧の比が0.4〜0.8であるアンモニアと水素とからなる混合気流中、400〜500℃で熱処理して窒化することを特徴とする異方性希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末の製造方法。
  7. 請求項6に記載の製造方法で得られる異方性希土類−鉄−マンガン磁石粉末であって、
    22〜27重量%の希土類元素と、7重量%以下のMnと、3.5〜6.0重量%のNと、残部が実質的にFeまたはFeの20重量%以下をCoで置換したFeおよびCoからなり、ThZn17型結晶構造を有する相とアモルファス相とを含有し、かつ磁石粉末の角形性Hkが120kA/m以上であることを特徴とする異方性希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末。
  8. 請求項7に記載の異方性希土類−鉄−マンガン−窒素系磁石粉末と、ポリフェニレンサルファイド、液晶ポリマ−または芳香族系ポリアミドの少なくとも一種の樹脂バインダとを含有することを特徴とする希土類ボンド磁石用組成物。
  9. 請求項8に記載の希土類ボンド磁石用組成物を、射出成形または押出成形してなる希土類ボンド磁石。
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