JP5045868B2 - ボンド磁石用複合磁性粉末、ボンド磁石用樹脂組成物及びボンド磁石 - Google Patents

ボンド磁石用複合磁性粉末、ボンド磁石用樹脂組成物及びボンド磁石 Download PDF

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本発明は、磁性粉末の高充填化が可能で、しかも、配向性の低下を抑制することができる成形性に優れたボンド磁石用樹脂組成物及び該ボンド磁石用樹脂組成物を用いたボンド磁石に関するものである。
周知の通り、ボンド磁石は、ポリアミド樹脂やエチレン−エチルアクリレート共重合体、ポリフェニレンスルフィド等の熱可塑性樹脂をバインダーとし、これにフェライト粒子粉末や希土類磁性粉末等の磁性粉末を充填して成型したものであり、焼結法で製造される磁石と比べ、軽量で割れにくく、加工性が良いため生産性に優れることから多量に使用されている。
ボンド磁石の磁気特性向上のためには磁性粉末をより多く充填する方法がもっとも効果的であるが、一方で、熱可塑性樹脂が減少することによる成形性の低下が起こる。
また、近年、多様な用途に使用されている異方性の希土類磁性粉は高い磁気特性を有しているが、磁性粉末を充填しすぎると前記の成形性の低下と共に配向性が低下するため、磁性粉の高充填が必ずしも磁気特性の向上にならないという問題があった。
従来、より高い磁気特性を有するボンド磁石を得るために、Sm−Fe−N系磁性粒子粉末とNd−Fe−B系異方性磁性粉末とを併用して用いることが知られている(特許文献1〜7)。
特開平5−152116号公報 特開平6−132107号公報 特開平6−208913号公報 特開平8−031626号公報 特開平9−171916号公報 特開2005−116991号公報
磁性粉末の高充填化が可能で、しかも、配向性の低下を抑制することができる成形性に優れたボンド磁石用樹脂組成物は、現在、最も要求されているところであるが、かかるボンド磁石用樹脂組成物及びボンド磁石は未だ得られていない。
即ち、前出特許文献1〜6に記載の技術では、Sm−Fe−N系磁性粒子粉末が合金又は薄帯を粉砕して得られたものであり、その磁性粉粒子形状が不定形であり、充填率を向上させることは可能であるが、成形性及び配向性を向上させることが困難であった。
そこで、本発明は成形性に優れたボンド磁石用樹脂組成物及び機械的強度と耐熱性とに優れたボンド磁石を提供することを技術的課題とする。
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって達成できる。
即ち、本発明は、Sm−Fe−N系磁性粒子粉末とNd−Fe−B系異方性磁性粉末との複合磁性粉末であって、前記Sm−Fe−N系磁性粒子粉末は粒状でであって平均粒径が1.0〜6.0μmであり、前記Nd−Fe−B系異方性磁性粒子粉末はHDDR法によって得られるものであって平均粒径が20〜120μmであり、Sm−Fe−N系磁性粒子粉末とNd−Fe−B系異方性磁性粉末との混合割合が、Sm−Fe−N系磁性粒子粉末5〜40重量%、Nd−Fe−B系異方性磁性粉末60〜95重量%であることを特徴とするボンド磁石用複合磁性粉末である(本発明1)。
また、本発明は、前記ボンド磁石用複合磁性粉末であって、Sm−Fe−N系磁性粒子粉末、Nd−Fe−B系異方性磁性粉末及び複合磁性粉末について、1.0tの荷重をかけたときの圧縮密度をそれぞれρB、ρC、ρAとした場合、ρA≧ρC≧ρBの関係式を満たすことを特徴とするボンド磁石用複合磁性粉末である(本発明2)。
また、本発明は、磁性粉末と樹脂とからなるボンド磁石用樹脂組成物であって、磁性粉末として前記本発明1乃至2のいずれかに記載のボンド磁石用複合磁性粉末を用いることを特徴とするボンド磁石用樹脂組成物である(本発明3)。
また、本発明は、前記ボンド磁石用樹脂組成物であって、該ボンド磁石用樹脂組成物の流動性が90g/10min以上で、かつ、射出成型によって得られた樹脂組成物の磁気特性が、(BH)max=127.3kJ/m(16MGOe)以上であることを特徴とするボンド磁石用樹脂組成物である(本発明5)。
また、本発明は、前記ボンド磁石用樹脂組成物からなることを特徴とするボンド磁石である(本発明6)。
本発明に係るボンド磁石用複合磁性粉末は、磁性粉末の充填率を高くするとともに、しかも、配向性の低下を抑制することができるので、ボンド磁石用として好適である。
本発明に係る樹脂組成物は、磁力が高く、流動性に優れるので、ボンド磁石用樹脂組成物として好適である。
本発明に係るボンド磁石は、高い配向性を有しているため、より繊細な配向制御を行なうことができ、精密な磁極のコントロールが必要とされる小型モーターや、マグネットロール用として好適である。
本発明の構成をより詳しく説明すれば、次の通りである。
先ず、本発明に係るボンド磁石用複合磁性粉末について述べる。
本発明に係るボンド磁石用複合磁性粉末は、Sm−Fe−N系磁性粒子粉末と異方性のNd−Fe−B系磁性粉末とからなる。
本発明におけるSm−Fe−N系磁性粒子粉末の粒子形状は粒状である。粒子形状に鋭角部分がある場合には流動性が低下する。よって、鋭角部分がなく、好ましくは球状であり、球形度(最長径/最短径)が1.0〜2.0であることがより好ましい。
本発明におけるSm−Fe−N系磁性粒子粉末の平均粒径は1.0〜6.0μmである。Sm−Fe−N系磁性粒子粉末の平均粒径が前記範囲外の場合、流動性に優れた樹脂組成物が得られない。好ましくは2.0〜4.0μmである。
本発明におけるSm−Fe−N系磁性粒子粉末のBET比表面積値は0.10〜1.80m/gが好ましい。
本発明におけるSm−Fe−N系磁性粒子粉末の圧縮密度(ρB)は4.0〜4.5g/cm程度である。
本発明におけるSm−Fe−N系磁性粒子粉末の磁気特性は(粉末を磁場中配向させて測定したところ)、保磁力が238.7〜1750.7kA/m(3.0〜22.0kOe)であり、残留磁束密度が800〜1300mT(8〜13kG)であり、最大磁気エネルギー積が79.4〜396.8kJ/m(10〜50MGOe)である。
本発明におけるSm−Fe−N系磁性粒子粉末は、例えば、酸化鉄粒子粉末と酸化サマリウム粒子粉末との混合物又は鉄とサマリウムの複合酸化物に還元反応を行い、次いで、金属Caを混合して800〜1200℃の温度範囲、不活性ガス雰囲気下で還元拡散反応を行ってSm−Fe合金粒子とし、次いで、窒素雰囲気に切り替え、300〜600℃の温度範囲で窒化反応を行ってSm−Fe−N系磁性粒子とし、得られたSm−Fe−N系磁性粒子を水洗、粉砕、乾燥してSm−Fe−N系磁性粒子粉末を得ることができる。得られたSm−Fe−N系磁性粒子粉末は各種処理剤を用いて表面処理、安定化処理することが好ましい。樹脂組成物の成形性やボンド磁石の強度を考慮するとカップリング剤の使用が好ましく、シラン系カップリング剤の使用がより好ましい。
本発明におけるNd−Fe−B系異方性磁性粉末の平均粒径は20〜120μmである。Nd−Fe−B系異方性磁性粉末の平均粒径が前記範囲外の場合、流動性に優れた樹脂組成物が得られない。より好ましくは40〜80μmである。
本発明におけるNd−Fe−B系異方性磁性粉末の形状は、特に制御する必要はないが、粒状、板状、不定形など、種々のものを用いることができる。
本発明におけるNd−Fe−B系異方性磁性粉末の圧縮密度(ρC)は4.7〜5.2g/cm程度である。
本発明におけるNd−Fe−B系異方性磁性粉末の保磁力iHcは700〜1500kA/m(8.8〜18.9kOe)が好ましく、より好ましくは900〜1300kA/m(11.3〜16.3kOe)であり、残留磁化は0.9〜1.6T(9.0〜16.0kG)が好ましく、より好ましくは1.1〜1.4T(11.0〜14.0kG)である。
本発明におけるNd−Fe−B系異方性磁性粉末はHDDR法によって得られるものであり、具体的には、Nd−Fe−B系合金を高温で水素ガスと反応させて結晶を分解させ、次いで、脱水素により、異方化を伴う再結晶化をさせることで得ることができる。得られたNd−Fe−B系異方性磁性粉末は各種処理剤を用いて表面処理、安定化処理することが好ましい。樹脂組成物の成形性やボンド磁石の強度を考慮するとカップリング剤の使用が好ましく、シラン系カップリング剤の使用がより好ましい。
Sm−Fe−N系磁性粒子粉末とNd−Fe−B系異方性磁性粉末との混合割合は、Sm−Fe−N系磁性粒子粉末5〜40重量%、Nd−Fe−B系異方性磁性粉末60〜95重量%である。混合比率が前記範囲外の場合には、流動性が低くなり好ましくない。より好ましくはSm−Fe−N系磁性粒子粉末10〜25重量%、Nd−Fe−B系異方性磁性粉末70〜90重量%である。
本発明に係る複合粉末の圧縮密度(ρA)は5.1〜5.4g/cm程度である。
本発明に係るボンド磁石用複合磁性粉末の圧縮密度(ρA)は、Sm−Fe−N系磁性粒子粉末の圧縮密度(ρB)とNd−Fe−B系異方性磁性粉末の圧縮密度(ρC)との関係から、ρA≧ρC≧ρBの関係式を満たすことが好ましい。圧縮密度について前記関係式を満たさない場合には、流動性に優れた樹脂組成物が得られない。これはボンド磁石用樹脂組成物において、充填される磁性粉末の充填され易さが非常に重要である点に着目して検討した結果である。圧縮密度の小さい磁性粉末は、一定体積において磁性粉の粒子同士がお互いに干渉して空間を占有しあうことから自由に動くことができない。圧縮密度の大きい磁性粉末は粒子同士が干渉しにくく、空間を効果的に動くことができる。すなわち、圧縮密度の大きい磁性粉末を使用した樹脂組成物は溶融状態においても磁性粉末の粒子が干渉しにくく流動性の高い樹脂組成物となる。
本発明においては、Sm−Fe−N系磁性粒子粉末はNd−Fe−B系異方性磁性粉末よりも平均粒径が小さいことから、Sm−Fe−N系磁性粒子粉末がNd−Fe−B系異方性磁性粉末間に入り込み、Nd−Fe−B系異方性磁性粉末同士の干渉を軽減することで、高充填時における高い流動性と配向性を実現しているものと本発明者は推定している。
次に、本発明に係るボンド磁石用樹脂組成物について述べる。
本発明におけるボンド磁石用樹脂組成物は、前記複合磁性粉末を結合剤樹脂中に分散してなるものであって、当該複合磁性粉末を85〜98重量%含有し、残部が結合剤樹脂とその他添加剤とからなる。
前記結合剤樹脂としては、成形法によって種々選択することができ、射出成形、押し出し成形及びカレンダー成形の場合には熱可塑性樹脂が使用でき、圧縮成形の場合には、熱硬化性樹脂が使用できる。前記熱可塑性樹脂としては、例えば、ナイロン(PA)系、ポリプロピレン(PP)系、エチレンビニルアセテート(EVA)系、エチレンエチルアクリレート(EEA)系、ポリフェニレンサルファイド(PPS)系、液晶樹脂(LCP)系、エラストマー系、ゴム系等の樹脂が使用でき、前記熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ系、フェノール系等の樹脂を使用することができる。
なお、ボンド磁石用樹脂組成物を製造するに際して、成形を容易にし、磁気特性を十分に引き出すために、必要により、結合剤樹脂の他に可塑剤、滑剤、カップリング剤など周知の添加物を使用してもよい。
これらの添加物は、目的に応じて適切なものを選択すればよく、可塑剤としては、それぞれの使用樹脂に応じた市販品を使用することができ、その合計量は使用する結合剤樹脂に対して0.01〜5.0重量%程度が使用できる。
前記滑剤としては、ステアリン酸とその誘導体、ビスアミド系化合物、無機滑剤、オイル系等が使用でき、ボンド磁石全体に対して0.01〜1.0重量%程度が使用できる。
前記カップリング剤としては、使用樹脂とフィラーに応じた市販品が使用でき、使用する結合剤樹脂に対して0.01〜3.0重量%程度が使用できる。
本発明に係るボンド磁石用樹脂組成物の流動性(MFR)は、後述する評価法において、90g/10minが好ましい。90g/10min未満の場合には、射出成型の成形性と生産性、及び、成形品の外観が著しく低下する。より好ましくは90〜200g/10min程度が望ましい。
本発明に係るボンド磁石用樹脂組成物は、射出成型によって得られた樹脂組成物の磁気特性のうち(BH)maxが127.3kJ/m(16.0MGOe)以上であることが好ましい。
次に、本発明に係るボンド磁石用樹脂組成物の製造法について述べる。
本発明に係るボンド磁石用樹脂組成物は、複合磁性粉末と結合剤樹脂とを混合、混練してボンド磁石用樹脂組成物を得る。
本発明において、前記各成分の混合方法は特に限定されず、例えば、リボンブレンダー、タンブラー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の混合機、あるいは、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、ニーダールーダー、単軸押出機、二軸押出機等の混練機を使用して実施することができる。
前記各成分を混合した後は、パウダー、ペレット又はこれらの混合物の形状を呈するボンド磁石用樹脂組成物として得られるが、取扱易い点で、ペレットが好ましい。
次に、本発明に係るボンド磁石について述べる。
本発明に係るボンド磁石は異方性であり、磁気特性は目的とする用途に応じて種々変化させることができるが、残留磁束密度は0.8T(8.0kG)以上であり、保磁力は636〜1114kA/m(8.0〜14.0kOe)であり、最大エネルギー積は111.4〜151.2kJ/m(14〜19MGOe)であることが好ましい。
ボンド磁石の成形密度は4.5〜5.9g/cmであることが好ましい。
本発明におけるボンド磁石は、前記ボンド磁石用樹脂組成物を用いて、射出成形、押出成形、圧縮成形又はカレンダー成形等の周知の成形法で成形加工した後、常法に従って電磁石着磁やパルス着磁することにより、ボンド磁石とすることができる。
<作用>
本発明において重要な点は、Sm−Fe−N系磁性粒子粉末とNd−Fe−B系異方性磁性粉末とを混合した複合磁性粉末において、Sm−Fe−N系磁性粒子粉末の粒子形状を鋭角部分のない粒状にしたことによって、高い充填率でも流動性に優れたボンド磁石用樹脂組成物が得られるという事実である。
従来、Sm−Fe−N系磁性粒子粉末とNd−Fe−B系異方性磁性粉末とを混合する場合には、Sm−Fe−N系磁性粒子粉末として合金又は薄帯を粉砕したものを用いており、その磁性粉末の粒子形状は不定形であり、単に充填率を向上させることは可能であるが、高い充填率であってしかも配向性を高くすることは困難であった。
本発明では、Sm−Fe−N系磁性粒子粉末の粒子形状を鋭角部(エッジ部分)が無いような形状とし、且つ、Sm−Fe−N系磁性粒子粉末とNd−Fe−B系異方性磁性粉末との粒径を最適化したことによって、樹脂組成物を形成する際に、流動性を向上させることができ、高い充填率でも配向性に優れた樹脂組成物を得ることができたものである。
従って、射出成型や押出成形によって製造することができ、そうして製造された成形品は高い配向率を有しているため、より高い磁力を有し、また、繊細な配向制御を行なうことも可能となるため、均一な磁力分布を持つボンド磁石を提供することができる。
本発明の代表的な実施の形態は次の通りである。
各磁性粉末の圧縮密度(CD)の測定方法は、φ25.4mmの円筒状の金型に所定の表面処理を施した各磁性粉末を35g充填し、1.0t/cmの圧力で押し固めた後取り出し、高さを測定して計算により求めた。
ボンド磁石用樹脂組成物の流動性(MFR)はメルトインデクサ(型式P−101、(株)東洋精機製作所製)を用いて加熱筒温度270℃、荷重5kgfの条件で測定した。
ボンド磁石の磁気特性は、希土類温度係数測定装置(型式TRF−5BH−25auto、東英工業株式会社製)を用いて常温で測定した。
ボンド磁石の外観について目視観察し、つやの有無、ウエルドの有無を確認した。ウエルドが無く、つやがある方が、成形性が良く高い配向性が期待でき、複合磁性粉末が均一に分散されていることを示す。
上記ボンド磁石の外観におけるつやの有無、ウエルドの有無から判断して、実用上の使用について下記3段階で評価した。
○: 使用できる。
△: 実用上使用可能。
×: 実用上使用できない。
<複合磁性粉末を用いたボンド磁石用組成物、及び、ボンド磁石の製造>
実施例1
Nd−Fe−B系磁性粉末(HDDR磁性粉末、株式会社NEOMAX製)を平均粒径60μmに粉砕した後、2−プロパノールで50%に希釈したシラン系カップリング剤(0.5重量%)をヘンシェルミキサーに投入し攪拌しながら100℃で加熱してNd−Fe−B系磁性粉末の表面処理を行った。この表面処理後のNd−Fe−B系磁性粉末の圧縮密度(ρC)は5.04g/cmであった。
酸化鉄粒子粉末と酸化サマリウム粒子を水素気流下、熱処理炉にて還元反応を行なって鉄粒子と酸化サマリウム粒子との混合物を得た。次に得られた鉄粒子と酸化サマリウム粒子に粒状金属Caを混合し、アルゴン気流下、雰囲気炉にて1050℃に加熱後、冷却し、窒素雰囲気に切り替え、420℃にて窒化反応を行なった。得られた焼成物を水中にて解砕、副生物などを洗浄により取り除き、濾過、乾燥を行い、Sm−Fe−N系磁性粒子粉末を得た。
得られたSm−Fe−N系磁性粒子粉末は、図1に示すとおり、角張った部分が無く、粒状であった。
Sm−Fe−N系磁性粒子粉末(平均粒径2.5μm)と2−プロパノールで50%に希釈したシラン系カップリング剤(1.0重量%)とをヘンシェルミキサーに投入し、窒素雰囲気下で攪拌しながら100℃で加熱してSm−Fe−N系磁性粒子粉末の表面処理を行った。この表面処理後のSm−Fe−N系磁性粒子粉末の圧縮密度(ρB)は4.24g/cmであった。
前記の表面処理を施したNd−Fe−B系磁性粉末とSm−Fe−N系磁性粒子粉末を重量比で8:2の比率で混合した。この複合粉末の圧縮密度(ρA)は5.22g/cmであった。
前記複合粉末(94.8重量%)と、ZZ3000P(12ナイロン、3.6重量%、ダイセルデグサ製)、A−1709P(12ナイロン、0.9重量%、ダイセルデグサ製)、ビスアミド系添加剤(0.2重量%)、ヒンダートフェノール系添加剤(0.5重量%)を加え、十分混合攪拌した。
得られた混合物を、20mmφ二軸押出機(回転数96rpm、3mmφダイ、シリンダー温度210℃)にて押し出し後、切断して3mmφ×4mmのペレット状のボンド磁石用樹脂組成物とした。
得られた樹脂組成物を20t磁場射出成形機(型式J20MII、(株)日本製鋼所製、シリンダー温度230℃〜275℃、金型温度80℃)にて磁力測定用円柱状ボンド磁石(直径φ10mm、高さ7mm)を得た。
ペレット状のボンド磁石用樹脂組成物の流動性を示すMFRは加熱筒温度270℃、荷重5kgfの条件で120g/10minであり、残留磁束密度は0.94T(9.4kG)、保磁力は702kA/m(8.8kOe)、最大エネルギー積は134.5kJ/m(16.9MGOe)であった。
実施例2〜6、比較例1〜13
Nd−Fe−B系磁性粉末の添加量、Sm−Fe−N系磁性粒子粉末の種類及び添加量を種々変化させた以外は前記実施例1と同様にして、複合磁性粉末を調製し、ボンド磁石用組成物を作成、ボンド磁石を成形した。
このときの製造条件及び複合磁性粉末、樹脂組成物並びにボンド磁石の諸特性を表1及び表2に示す。
比較例5〜11で用いたSm−Fe−N系磁性粒子粉末の電子顕微鏡写真を図2に示す。角張った部分が存在する粒子であった。
なお、比較例9〜11では、流動性が悪く、金型への充填が完全にできなかったため、樹脂組成物を形成することができなかった。
本発明に係るボンド磁石用複合磁性粉末は、磁性粉末の充填率を高くするとともに、しかも、配向性の低下を抑制することができるので、ボンド磁石用として好適である。
本発明に係る樹脂組成物は、磁力が高く、流動性に優れるので、ボンド磁石用樹脂組成物として好適である。
本発明に係るボンド磁石は、配向率が良好なため高磁力であり、かつ、均一な磁力分布のボンド磁石を提供することが可能である。
実施例で用いたSm−Fe−N系磁性粒子粉末の電子顕微鏡写真である(倍率4000倍) 比較例で用いたSm−Fe−N系磁性粒子粉末の電子顕微鏡写真である(倍率4000倍)

Claims (3)

  1. 磁性粉末と樹脂とからなるボンド磁石用樹脂組成物であって、磁性粉末としてSm−Fe−N系磁性粒子粉末とNd−Fe−B系異方性磁性粉末との複合磁性粉末を用い、前記Sm−Fe−N系磁性粒子粉末は粒子形状が粒状であって鋭角部分がなく平均粒径が1.0〜6.0μmであり、前記Nd−Fe−B系異方性磁性粒子粉末はHDDR法によって得られるものであって平均粒径が20〜120μmであり、Sm−Fe−N系磁性粒子粉末とNd−Fe−B系異方性磁性粉末との混合割合が、Sm−Fe−N系磁性粒子粉末5〜40重量%、Nd−Fe−B系異方性磁性粉末60〜95重量%であり、ボンド磁石用樹脂組成物の流動性が90g/10min以上で、かつ、射出成型によって得られた樹脂組成物の磁気特性が、(BH)max=127.3kJ/m(16MGOe)以上であることを特徴とするボンド磁石用樹脂組成物。
  2. 請求項1記載のSm−Fe−N系磁性粒子粉末、Nd−Fe−B系異方性磁性粉末及び複合磁性粉末について、1.0tの荷重をかけたときの圧縮密度をそれぞれρB、ρC、ρAとした場合、ρA≧ρC≧ρBの関係式を満たすボンド磁石用樹脂組成物。
  3. 請求項1又は請求項2記載のボンド磁石用樹脂組成物からなることを特徴とするボンド磁石。
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