JP2005290398A - 希土類磁石粉末およびそれを用いたコンパウンドならびにそれを用いたボンド磁石 - Google Patents

希土類磁石粉末およびそれを用いたコンパウンドならびにそれを用いたボンド磁石 Download PDF

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Abstract

【課題】射出成形用コンパウンドの流動性を向上することができるR−Fe−B系磁石粉末を提供する。
【解決手段】50%質量粒径(D50:粒径の小さい方から積算した合計質量が粒子全体質量の50%になるところの粒径)が40μm以上100μm以下である第1のR−Fe−B系磁石粉末と、50%質量粒径(D50)が5μm以上20μm以下であり、90%質量粒径(D90:粒径の小さい方から積算した合計質量が粒子全体質量の90%になるところの粒径)が30μm以下である第2のR−Fe−B系磁石粉末とを混合することによって得られた希土類磁石粉末であって、前記第2のR−Fe−B系磁石粉末を全体の5質量%以上40質量%以下の範囲で含み、前記第2のR−Fe−B系磁石粉末が、少なくとも1種の硬磁性相と少なくとも1種の軟磁性相とを含み、磁気的に等方性なTi含有ナノコンポジット磁石粉末である。
【選択図】なし

Description

本発明は、ボンド磁石用の希土類磁石粉末に関し、特に、R−Fe−B系磁石粉末およびそれを用いたコンパウンドならびにそれを用いたボンド磁石に関する。
永久磁石粉末をバインダと混合したコンパウンドを所定形状にすることで製造されるボンド磁石は、焼結磁石では作製が困難な、複雑な形状や薄肉形状の磁石を容易に得ることができることから、近年多方面で需要が増加している。
バインダとして樹脂を用いるボンド磁石の成形方法としては、主に、圧縮成形と射出成形とが用いられる。熱硬化性樹脂を用いるボンド磁石は主に圧縮成形で、熱可塑性樹脂を用いるボンド磁石は主に射出成形で成形される。特に、射出成形は、金型の設計自由度が大きく、様々な形状のボンド磁石を成形できるなどの利点を有している。特に、近年、射出成形を用いて、マグロール(磁気ロールともいう。)などに直接磁石を形成する方法や、ヨークに直接磁石を成形固定する、いわゆる一体成形を行う用途が増えてきている。射出成形による一体成形は、焼結磁石などの組み込みで必要となる接着工程などを必要とすることがなく、組立工程の簡略化が可能であるなどの利点を有している。
しかしながら、射出成形用のコンパウンドは、圧縮成形用のコンパウンドに比べて、溶融時に高い流動性を有することが要求される。これは、射出成形が、粉末あるいはペレット状のコンパウンドを加熱溶融し、溶融状態のコンパウンドを所望の形状のキャビティーが形成された金型内に射出し、キャビティまで圧送され充填されたコンパウンドを冷却・固化させて成形するものであり、コンパウンドが金型内で冷却されて流動性が低下するまでの短時間のうちにキャビティ内に充分に充填する必要があることに起因する。すなわちコンパウンドの溶融時の流動性が充分でないと、キャビティ内で充填密度のばらつきが発生し、その結果として磁気特性がばらつくという問題が発生する。もちろん、ひどい場合には、キャビティ内に充填できないという事態も発生する。
そのため、射出成形によるボンド磁石はその形状や大きさがある程度限られており、細い流路あるいは長い流路を必要とする形状や薄肉形状のボンド磁石を射出成形で形成することは困難である。高い流動性を得るためにコンパウンド中の磁粉含有率を低下させると、当然のことながら磁気特性が低下する。
部品の多様化や小型軽量化が進むなか、充分な磁気特性を発現できるだけの磁粉含有率を有し、且つ、射出成形が可能な高い流動性を有するコンパウンドに対する需要は益々増大している。特に、異方性ボンド磁石を射出成形で作製するためには、コンパウンドを射出成形した後、キャビティ内に充填されたコンパウンドに配向磁界を印加し、磁気異方性を有する磁石粉末(例えばHDDR法で製造された磁石粉末)の粒子を所定の方向に配向させる必要があるので更に高い流動性が求められる。
永久磁石のなかで、希土類磁石は磁気特性に優れ、その中でもR−Fe−B系磁石は最大エネルギー積((BH)max)が最も大きいので、R−Fe−B系磁石粉末を用いることによって高性能のボンド磁石を得ることができる。特に、異方性R−Fe−B系磁石粉末を用いた異方性ボンド磁石は120kJ/m3(15MGOe)を超える磁気特性を発揮し得る。
ボンド磁石用コンパウンドの溶融時の流動性を改善する1つの方法として、磁石粉末の粒度分布を調整するという方法がある。
例えば、本願出願人は、特許文献1や特許文献2に、粒径が53μm以下、さらには粒径が38μm以下のTi含有ナノコンポジット磁粉を磁粉全体に対して2質量%以上含有させることにより流動性が改善され、従来のコンパウンドでは成形が困難であった複雑な形状のボンド磁石成形体を得ることが可能となることを開示している。特許文献2の実施例には、磁粉含有率が61体積%のコンパウンドを用いて、280℃×押出し荷重5kgfで320g〜366g/10分のメルトフローレート(MFR)が得られることが記載されている。また、Ti含有ナノコンポジット磁粉(特許文献3参照)は、耐酸化性に優れているので、粒径が53μm以下、さらには粒径が38μm以下に粉砕しても磁気特性が低下しないという特徴を有している。
上記特許文献1または2に記載されている技術を用いると、コンパウンドの流動性を向上できるものの、必ずしも充分な流動性が得られたとは言えず、特に、磁粉含有率が65体積%以上で射出成形可能なコンパウンドを得ることが困難であった。例えば、射出成形でマグロールを成形可能なコンパウンドを提供することは出来なかった。
一方、特許文献4および特許文献5には、代表的な異方性磁石粉末であるHDDR磁石粉末に、Nd−Fe−B系等方性ナノコンポジット磁石粉末を混合することにより、磁粉含有率を向上するとともに、耐候性に優れるボンド磁石が得られた例が記載されている。しかしながら、こられの特許文献は、圧縮成形時のHDDR磁石粉末の割れやひずみを抑制することを目的としており、射出成形用のコンパウンドに求められる流動性については検討されていない。上述したように、異方性ボンド磁石を得るためには、異方性磁石粉末の粒子を磁界配向させる必要があるので更に高い流動性が求められる。
特開2003−201501号公報 特開2003−224010号公報 特許第3264664号公報 特開平9−115711号公報 特開平10−32134号公報
本発明は、上記諸点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、射出成形用コンパウンドの流動性を向上することができるR−Fe−B系磁石粉末を提供することにある。
本発明による希土類磁石粉末は、50%質量粒径(D50:粒径の小さい方から積算した合計質量が粒子全体質量の50%になるところの粒径)が40μm以上100μm以下である第1のR−Fe−B系磁石粉末と、50%質量粒径(D50)が5μm以上20μm以下であり、90%質量粒径(D90:粒径の小さい方から積算した合計質量が粒子全体質量の90%になるところの粒径)が30μm以下である第2のR−Fe−B系磁石粉末とを混合することによって得られた希土類磁石粉末であって、前記第2のR−Fe−B系磁石粉末を全体の5質量%以上40質量%以下の範囲で含み、前記第2のR−Fe−B系磁石粉末が、少なくとも1種の硬磁性相と少なくとも1種の軟磁性相とを含み、組成式が(Fe1-mm100-x-y-z-nxyTizn(TはCoおよびNiからなる群から選択された1種以上の元素、QはBおよびCからなる群から選択されBを必ず含む1種以上の元素、RはNdまたはPrを必ず含む1種以上の希土類元素、MはAl、Si、V、Cr、Mn、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Ag、Hf、Ta、W、Pt、Au、In、SnおよびPbからなる群から選択された1種以上の金属元素)で表現され、組成比率x、y、z、mおよびnが、それぞれ、10≦x≦20原子%、6≦y<10原子%、0.1≦z≦12原子%、0≦m≦0.5、および0≦n≦10原子%を満足する、磁気的に等方性なTi含有ナノコンポジット磁石粉末であることを特徴とする。
前記第2のR−Fe−B系磁石粉末を全体の10質量%以上30質量%以下の範囲で含むことがさらに好ましい。
前記Ti含有ナノコンポジット磁石粉末の組成式は、11≦x≦14原子%、6<y<10原子%、1≦z≦7原子%、0≦m≦0.5、および0≦n≦10原子%を満足することが更に好ましい。
さらに、前記組成式におけるRは、NdまたはPrを80原子%以上含むことが好ましい。
ある実施形態において、前記第1のR−Fe−B系磁石粉末は異方性磁石粉末である。
ある実施形態において、前記第1のR−Fe−B系磁石粉末は前記Ti含有ナノコンポジット磁石粉末である。
ある実施形態において、前記第2のR−Fe−B系磁石粉末の90%質量粒径(D90)は10μm以上である。
ある実施形態において、全体の10%質量粒径(D10:粒径の小さい方から積算した合計質量が粒子全体質量の10%になるところの粒径)が16μm以下である。
ある実施形態において、全体の50%質量粒径(D50)が35μm以上である。
ある実施形態において、全体の90%質量粒径(D90)が200μm以下である。
ある実施形態において、前記第2のR−Fe−B系磁石粉末の固有保磁力HcJは500kA/m以上であり、さらに、800kA/m以上であることが好ましい。
ある実施形態において、前記第2のR−Fe−B系磁石粉末の残留磁束密度Brが0.75T以上である。
ある実施形態において、前記第2のR−Fe−B系磁石粉末の最大エネルギー積は80kJ/m3以上である。
ある実施形態において、前記第2のR−Fe−B系磁石粉末の固有保磁力は、前記第1のR−Fe−B系磁石粉末の固有保磁力の95%よりも大きい。
本発明の上記いずれかの第2のR−Fe−B系磁石粉末は、上記いずれかの第1粉末に上記所定量混合するだけで、高い流動性を有するコンパウンドを実現できる希土類磁石粉末を得ることが出来る。
本発明の射出成形ボンド磁石用コンパウンドは、上記のいずれかの希土類磁石粉末と、熱可塑性樹脂とを含むことを特徴とする。
本発明のボンド磁石は、希土類系ボンド磁石用コンパウンドを用いて射出成形により成形されたことを特徴とする。
ある実施形態において、前記ボンド磁石は、板状、円弧状、円筒形状のいずれかの形状で、厚さが2mm以下である。
本発明によると、射出成形用コンパウンドの流動性を向上することができるR−Fe−B系磁石粉末が提供される。本発明の希土類磁石粉末を用いると、例えば、磁粉含有率が65体積%以上で射出成形可能なコンパウンドを得ることができる。本発明によると、例えばマグロールを射出成形によって容易に成形することができるコンパウンドが提供される。さらに、本発明によると、最大エネルギー積が120kJ/m3以上の異方性ボンド磁石を射出成形によって容易に成形することができるコンパウンドが提供される。
本発明者は、R−Fe−B系ボンド磁石の射出成形用コンパウンドの流動性を向上することを主な目的に、R−Fe−B系磁石粉末の粒度分布と流動性との関係を詳細に検討した結果、本発明に想到した。
本発明による希土類磁石粉末は、50%質量粒径(D50:粒径の小さい方から積算した合計質量が粒子全体質量の50%になるところの粒径)が40μm以上100μm以下である第1のR−Fe−B系磁石粉末と、50%質量粒径(D50)が5μm以上20μm以下であり、90%質量粒径(D90:粒径の小さい方から積算した合計質量が粒子全体質量の90%になるところの粒径)が30μm以下である第2のR−Fe−B系磁石粉末とを混合することによって得られた希土類磁石粉末である。
第1のR−Fe−B系磁石粉末は、公知のR−Fe−B系磁石粉末から用途に応じて適宜選択され、等方性磁粉であっても良いし、異方性磁粉であってもよい。ここで、R−Fe−B系磁石とは、良く知られているように、Nd2Fe14B型結晶相を硬磁性相とする磁石である。その中でも、磁気特性の観点から、Ndおよび/またはPrをRの80原子%以上含むものが好ましい。
第1のR−Fe−B系磁石粉末としては、例えば、Magnequench International社(以下、「MQI社」と略する。)から販売されているR−Fe−B系磁石粉末、いわゆるMQ粉を用いることができる。MQ粉は、一般に、Fe100-a-bab(Feは鉄、Bは硼素、Rは、Pr、Nd、Dy、およびTbからなる群から選択された少なくとも1種の希土類元素、Bは硼素)の組成式で表され、この組成式中のaおよびbが、1原子%≦a≦6原子%、および10原子%≦b≦25原子%の関係を満足しており、Rの含有率bが高い希土類合金粉末である。
また、第1のR−Fe−B系磁石粉末として、Nd2Fe14B型結晶相を硬磁性相として含むナノコンポジット磁石(「交換スプリング磁石」ともいう。)の粉末を用いることもできる。なお、磁気特性の観点から、特許文献1から3に記載されているTi含有ナノコンポジット磁石の粉末を用いることが好ましい(本発明の実施形態の希土類磁石粉末は、第2のR−Fe−B系磁石粉末として、Ti含有ナノコンポジット磁石粉末を含むので、その詳細については後述する)。もちろん、必要に応じて、MQ粉とナノコンポジット磁粉とを混合して用いることも出来る。
さらに、第1のR−Fe−B系磁石粉末として、特許文献4および特許文献5に記載されているHDDR磁粉を用いることが出来る。また、熱間アプセット法による異方性R−Fe−B系磁石粉末などを用いることもできる。HDDR磁粉は、特開平1−132106号公報や特開平2−4901号公報に記載されているように、所定の組成を有する希土類磁石合金を水素中で加熱して水素を吸蔵させた後、脱水素処理し、次いで冷却してから粉砕することによって得られる(HDDR:Hydrogenation−Disproportionation−Desorption−Recombination)。HDDR磁粉は、平均結晶粒径が1μm以下のNd2Fe14B型結晶相を主相とする微細な結晶組織を有する。
第1のR−Fe−B系磁石粉末の粒度分布を上記のように設定するのは、以下の理由による。第1のR−Fe−B系磁石粉末のD50が40μm未満となると、磁石粉末の組成によっては、粉末粒子の酸化により磁気特性が低下したり、さらには、発火などの危険性が増す。また、D50が100μmを越えると射出成形に必要な流動性を得ることが困難になる。従って、第1のR−Fe−B系磁石粉末のD50は、40μm以上100μm以下であることが好ましい。
本発明の希土類磁石粉末は、第2の希土類磁石粉末を全体の5質量%以上40質量%以下の範囲で含む。さらに、この第2のR−Fe−B系磁石粉末は、特許文献1から3に記載されているTi含有ナノコンポジット磁石粉末(但し粒度分布は上記の範囲に限られる)である。後に実験例を示して説明するように、D50が5μm以上20μm以下で、D90が30μm以下である第2のR−Fe−B系磁石粉末を全体の5質量%以上40質量%以下となるように第1のR−Fe−B系磁石粉末に混合することによって、この混合粉を用いたコンパウンドの流動性を著しく向上することが出来る。これは、予想外の効果である。例えば、特許文献2には、38μm以下の粒子の含有率が約16質量%を超える磁粉を用いると成形性が低下すると記載されている。このように、一般に、粒径の細かい粒子は多過ぎると流動性が低下すると考えられていたのに対し、本発明の希土類磁石粉末は、D50が5μm以上20μm以下でD90が30μm以下という、粒径の小さい第2のR−Fe−B系磁石粉末を全体に対し5質量%以上40質量%以下の範囲で含む。その結果、例えば、希土類磁石粉末の全体のD10が16μm以下であっても、特許文献3に記載されている希土類磁石粉末を用いる場合よりも高い流動性(例えば、MFRが2倍以上)を有するコンパウンドを得ることが出来る。
第2のR−Fe−B系磁石粉末の希土類磁石粉末全体に対する割合は、5質量%以上40質量%以下であることが好ましく、10質量%以上30質量%以下であることが更に好ましい。第2のR−Fe−B系磁石粉末の割合が5質量%未満では流動性向上の効果が充分に得られず、40質量%を超えると磁粉含有率の高い射出成形ボンド磁石を作製した際に、充分な成形密度が得られないことがある。また、粉末の比表面積が大きくなるため、酸化による磁気特性の低下が大きくなることがある。
また、第2のR−Fe−B系磁石粉末のD50が20μmを超えると流動性向上の効果が充分に得られない。また、D50が5μm未満であると、酸化などによる磁気特性の低下が大きくなる。さらに、粒径1μm以下の粒子の割合が増加することにより、磁粉−樹脂界面の割合が増加したり、コンパウンドを製造する際の混錬工程や成形時において、磁粉が酸化される際の発熱によって樹脂の熱劣化が促進されたりすることによって、却ってコンパウンドの流動性を低下させることがある。
また、高い流動性を得るためには、第2のR−Fe−B系磁石粉末のD90は10μm以上であることが好ましく、希土類磁石粉末の全体のD50が35μm以上であることが好ましい。また、希土類磁石粉末の全体のD90は、200μm以下であることが好ましい。
本発明の希土類磁石粉末が含む第2のR−Fe−B系磁石粉末は、Ti含有ナノコンポジット磁石粉末である。具体的には、少なくとも1種の硬磁性相と少なくとも1種の軟磁性相とを含み、組成式が(Fe1-mm100-x-y-z-nxyTizn(TはCoおよびNiからなる群から選択された1種以上の元素、QはBおよびCからなる群から選択されBを必ず含む1種以上の元素、RはNdまたはPrを必ず含む1種以上の希土類元素、MはAl、Si、V、Cr、Mn、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Ag、Hf、Ta、W、Pt、Au、In、SnおよびPbからなる群から選択された1種以上の金属元素)で表現され、組成比率x、y、z、mおよびnが、それぞれ、10≦x≦20原子%、6≦y<10原子%、0.1≦z≦12原子%、0≦m≦0.5、および0≦n≦10原子%を満足する磁気的に等方性なTi含有ナノコンポジット磁石粉末である。
第2のR−Fe−B系磁石粉末は、上述したように粒径が小さな粒子であり、例えばMQ粉などのR−Fe−B系磁石粉末を用いると、磁気特性の低下が著しく、その結果、ボンド磁石の磁気特性が低下する。上述の粒度分布を有するR−Fe−B系磁石粉末で充分な磁気特性(例えば、固有保磁力HcJが500kA/m以上、あるいは残留磁束密度Brが0.75T以上、あるいは最大エネルギー積が80kJ/m3以上)を有し、かつ、粉末の自然発火等の危険性が無いのは、Ti含有ナノコンポジット磁石粉末のみである。特に、第1のR−Fe−B系磁石粉末としてHDDR粉などの異方性磁粉を用いる場合には、第2のR−Fe−B系磁石粉末の固有保磁力HcJが800kA/mよりも低いと、希土類磁石粉末(混合粉末)およびボンド磁石の減磁曲線の角型性が低下するので好ましくないが、上述したように粒径が小さな粒子でこのように高い固有保磁力HcJを有するR−Fe−B系磁石粉末は他にない。
このように、Ti含有ナノコンポジット磁石粉末は優れた磁気特性を有しているので、Ti含有ナノコンポジット磁石粉末を希土類磁石粉末の全体に対して40質量%となるように混合しても、第1のR−Fe−B系磁石粉末の磁気特性を低下させることがなく、逆に、Ti含有ナノコンポジット磁石粉末を混合することにより流動性が向上するので、ボンド磁石中の希土類磁石粉末の含有率を高めることができる結果、ボンド磁石の磁気特性を向上することができる。勿論、第1のR−Fe−B系磁石粉末および第2のR−Fe−B系磁石粉末のいずれにもTi含有ナノコンポジット磁石粉末を用いることが出来る。
なお、Ti含有ナノコンポジット磁石粉末であっても、上記の条件を満足するよう粒径になると酸化による磁気特性(特に保磁力)の低下が起こる。本発明者の実験によると、磁気特性の低下を抑制するためには、Ti含有ナノコンポジット磁石粉末の組成式が、11≦x≦14原子%、6<y<10原子%、1≦z≦7原子%、0≦m≦0.5、および0≦n≦10原子%を満足することが好ましい。特にHDDRなどの異方性磁粉と混合する場合には、このような組成範囲のTi含有ナノコンポジット磁石粉末を用いることが好ましい。
Ti含有ナノコンポジット磁石は、特許文献1から3に記載されているように、上記の組成を有する合金の溶湯から液体急冷法によって得られた急冷合金を必要に応じて結晶化熱処理することによって得られる。Ti含有ナノコンポジット磁石を粉砕し、必要に応じて分級することによって、Ti含有ナノコンポジット磁石粉末が得られる。Ti含有ナノコンポジット磁石は、硬磁性相であるNd2Fe14B型化合物相(結晶相)と、軟磁性相である鉄基硼化物相(結晶相)とが混在する微細結晶集合体であり、磁気的に等方性のナノコンポジット磁石である。好ましい態様では、Ti含有ナノコンポジット磁石中に占める全結晶相の体積比率は全体の95%以上であり、かつ、アモルファス相の体積比率は全体の5%以下である。特に、硬磁性を担うNd2Fe14B型化合物相の体積比率は、全体の65%以上85%以下であることが好ましい。
Ti含有ナノコンポジット磁石中に含まれる強磁性鉄基硼化物は、Nd2Fe14B型化合物相の粒界に存在しており、好ましい実施形態では、Nd2Fe14B型化合物相の平均結晶粒径は10nm以上200nm以下、強磁性鉄基硼化物相の平均結晶粒径は1nm以上100nm以下の範囲内にあり、Nd2Fe14B型化合物相は強磁性鉄基硼化物相よりも大きい。
Ti含有ナノコンポジット磁石粉末は、上述のような組成および組織を有しているので、硬磁性相と軟磁性相とが交換相互作用によって磁気的に結合しており、希土類元素の含有率が比較的低いにも拘わらず、従来の急冷磁石粉末と同等またはそれ以上の優れた磁気特性を有し、さらにはFe3B相を主相とする従来のナノコンポジット磁石粉末よりも、優れた磁気特性(特に保磁力)を有する。
Ti含有ナノコンポジット磁石粉末は、高性能異方性磁粉であるHDDR粉と同等の1000kA/m以上の保磁力を有し得る。従って、第1のR−Fe−B系磁石粉末としてHDDR磁粉を採用しても、第1のR−Fe−B系磁石粉末の保磁力の95%以上の保磁力を有するTi含有ナノコンポジット磁石粉末からなる第2のR−Fe−B系磁石粉末を用いれば、磁気特性、特に減磁曲線の角型性に優れたボンド磁石を得ることができる。
また、異方性磁石粉末と混合する場合には、第2のR−Fe−B系磁石粉末は射出成形時の配向磁界の影響を受けにくいため、高いコンパウンド流動性を容易に得ることができるという利点も有する。
さらに、等方性のボンド磁石を作製する場合には、第1のR−Fe−B系磁石粉末にもTi含有ナノコンポジット磁石粉末を用いることができる。この場合には、メルトスピニング法やストリップキャスティング法で作製されたTi含有ナノコンポジット磁石から第1のR−Fe−B系磁石粉末を作製するとともに、同じTi含有ナノコンポジット磁石を微粉砕することにより第2のR−Fe−B系磁石粉末を得ることができる。
Ti含有ナノコンポジット磁石の製造方法は、例えば、特許文献1から3または特開2003−328014号公報に記載されている方法を採用することができる。粉砕や分級は上記特許文献に記載されている方法に限られず、公知の方法を広く採用することができる。なお、希土類磁石粉末の粒度分布は、レーザー回折式粒度分布計で求めることが好ましい。上記の粒度分布を示す数値(D10、D50およびD90等)は、島津製作所製のレーザー回折式粒度分布計SALD3100を用いた測定結果に基づいている。
上述の第1のR−Fe−B系磁石粉末および第2のR−Fe−B系磁石粉末との混合粉である希土類磁石粉末を用いて公知の方法でコンパウンドを製造することが出来る。例えば、上記希土類磁石粉末を所望の熱可塑性樹脂と混合した後、加圧ニーダや混錬押出機によって溶融混錬し、ペレット化することにより射出成形用のコンパウンドが得られる。
コンパウンド中の希土類磁石粉末の体積分率は、第1のR−Fe−B系磁石粉末として異方性磁粉を採用した場合には65体積%以上、また、第1のR−Fe−B系磁石粉末として等方性磁粉を採用した場合には、70体積%以上においても優れた流動性を有するコンパウンドを比較的容易に得ることができる。
熱可塑性樹脂としては、ナイロン6や、ナイロン66、ナイロン12樹脂など、公知の樹脂(エンジニアリングプラスチックやスーパーエンジニアリングプラスチック)を用いることが出来る。その中でも、溶融温度が250℃以上(コンパウンドの加熱溶融混錬および/または射出成形における、混錬温度および/または成形温度が280℃以上)の樹脂、特に、ポリフェニレンサルファイド樹脂または液晶ポリマーは、優れた流動性が得られるだけでなく、高温での熱安定性の観点から、特に好適に用いられる。上記希土類磁石粉末に含まれる第2のR−Fe−B系磁石粉末の粒径は小さいので、第2のR−Fe−B系磁石粉末の代わりに同等の粒度分布を有するMQ粉を用いると、加熱溶融混錬や成形時において磁粉が酸化される際の発熱によって樹脂が劣化することがある。特に、ポリフェニレンサルファイド樹脂や液晶ポリマー等のように300℃以上の温度での加熱溶融混錬や成形を必要とする樹脂を用いる場合にこの傾向が顕著となるが、本発明の希土類磁石粉末に含まれるTi含有ナノコンポジット磁石粉末からなる第2のR−Fe−B系磁石粉末は酸化され難いので、このような劣化が起こりにくい。
また、希土類磁石粉末を樹脂と混錬する前に、熱安定性をさらに向上させるために、希土類磁石粉末に対してりん酸処理などの化成処理を行ったり、シラン系やチタネート系のカップリング剤などによるカップリング処理を行ったりしてもよい。さらに混錬時には滑剤や酸化防止剤など、公知の添加剤を配合してもよい。
本発明のコンパウンドは、例えば希土類磁石粉末の含有率が65体積%の場合、押出し荷重15kgf、270℃の条件で少なくとも500g/10分以上、のMFRが得られ、典型的には1000g/10分以上のMFRを得ることが可能となり、従来の(例えば特許文献2に記載されている)コンパウンドのMFRの2〜5倍以上に改善される。
従って、従来のコンパウンドでは成形が難しかった、板状、円弧状、円筒形状のいずれかの形状で、厚さが2mm以下で、且つ磁石の単重が50g以上のボンド磁石を、希土類磁石粉末を65体積%以上含むコンパウンドで成形することが出来る。
また、モーター用部品やマグロールなどのように中心軸方向に長いボンド磁石を一体成形することは従来のコンパウンドでは困難であったが、本発明のコンパウンドを用いれば成形可能である。
さらに、後述する実験例からもわかるように、本発明によると、コンパウンドの高い流動性が向上するとともに、得られるボンド磁石の機械特性(強度)も低下せず、むしろ向上する。一般に、カップリング剤等の添加量を増やしたり、樹脂の溶融粘度を下げるなどしてコンパウンドの流動性を向上させると、機械特性が低下するのに対し、本発明によると機械特性を犠牲にすることなく、むしろ機械特性を向上しつつ、流動性を改善するという効果を得ることが出来る。
以下に具体的な実験例を示し、本発明の実施形態をさらに詳細に説明する。
(第1のR−Fe−B系磁石粉末)
第1のR−Fe−B系磁石粉末として、Ti含有ナノコンポジット磁石粉末、市販のMQP―O粉の粒度分布を調整した磁石粉末、およびHDDR法によるNd−Fe−B系異方性磁石粉末を用いた。
(第2のR−Fe−B系磁石粉末)
第2のR−Fe−B系磁石粉末として、本発明の実施例の希土類磁石粉末に用いるTi含有ナノコンポジット磁石粉末(磁粉組成はAとBの2種類、粒度分布によりA−1からA−5およびB−1)と、比較のために、市販されているMQ粉(MQP−B粉およびMQP−O粉)および従来のナノコンポジット磁石粉末(非Ti系ナノコンポジット磁石粉末)を用いた。
[Ti含有ナノコンポジット磁粉:磁粉組成―A(A−1〜A−5)]
Nd:8.9原子%、B:12.6原子%、Ti:3.0原子%、C:1.4原子%、Nb:1原子%、残部Feの合金組成になるように配合した原料5kgを坩堝内に投入した後、50kPaに保持したAr雰囲気中にて高周波誘導加熱により合金溶湯を得た。
ストリップキャスト法を用いて急冷合金を得た。具体的には、坩堝を傾転することによって、前記合金溶湯をシュートを介して、ロール表面周速度14m/秒にて回転する純銅製の冷却ロール(直径250mm)上に供給し、合金溶湯を急冷した。なお、ロールに溶湯を供給する際には、シュート上で溶湯を2条に分流し、その際の溶湯の供給速度は坩堝の傾転角を調整することにより、1条あたり1.3kg/分に調整した。
得られた急冷合金を850μm以下に粉砕した後、長さ約500mmの均熱体を有するフープベルト炉を用い、Ar流気下、ベルト送り速度100mm/分にて780℃に保持した炉内へ粉末を20g/分の供給速度で投入することによって熱処理を施し、粗粉砕粉を得た。
得られた粗粉砕粉をAr雰囲気下でハンマーミルを用いて粉砕した後、ロータ式分級機によって分級することにより、第2のR−Fe−B系磁石粉末として、表1に示す粒度分布を有する磁粉A−1〜A−3を得た。得られた磁粉A−1〜A−3の磁気特性を表1に示す。なお、磁粉A−1〜A−3の粒度分布はレーザー回折式粒度分布計(島津製作所製SALD3100)により、分散媒としてイオン交換水、界面活性剤として市販の中性洗剤を用いて、湿式で測定した。また、磁気特性は振動試料型磁力計(VSM)を用いて測定した。
また、得られた粗粉砕粉を、遊星ボールミルを用いて粉砕することにより、表1に示すA−4の磁粉を得た。得られた磁粉A−4の粒度分布ならびに磁気特性を表1に示す。
一方、得られた粗粉砕粉を、D50が約70μmとなるようにピンディスクミルを用いて粉砕して得られた粉末を、JIS Z 8801の標準ふるい(メッシュ目開き38μm)によって分級することにより、磁粉A−5を得た。得られた磁粉A−5の粒度分布ならびに磁気特性を表1に示す。
[Ti含有ナノコンポジット磁粉:磁粉組成―B(B−1)]
Nd:8.2原子%、B:9.5原子%、Ti:2.0原子%、C:1.0原子%、残部Feの合金組成になるように配合した原料5kgを坩堝内に投入した後、50kPaに保持したAr雰囲気中にて高周波誘導加熱により合金溶湯を得た。
ストリップキャスト法を用いて急冷合金を得た。具体的には、坩堝を傾転することによって、前記合金溶湯をシュートを介して、ロール表面周速度15m/秒にて回転する純銅製の冷却ロール(直径250mm)上に供給し、合金溶湯を急冷した。なお、ロールに溶湯を供給する際には、シュート上で溶湯を2条に分流し、その際の溶湯の供給速度は坩堝の傾転角を調整することにより、1条あたり1.3kg/分に調整した。
得られた急冷合金を850μm以下に粉砕した後、長さ約500mmの均熱体を有するフープベルト炉を用い、Ar流気下、ベルト送り速度100mm/分にて700℃に保持した炉内へ粉末を20g/分の供給速度で投入することによって熱処理を施し、粗粉砕粉を得た。
得られた粗粉砕粉をAr雰囲気下でハンマーミルを用いて粉砕した後、ロータ式分級機によって分級することにより、第2のR−Fe−B系磁石粉末として、表1に示す粒度分布を有する磁粉B−1を得た。得られた磁粉B−1の磁気特性を表1に示す。なお、磁粉B−1の粒度分布はレーザー回折式粒度分布計(島津製作所製SALD3100)を、磁気特性は振動試料型磁力計(VSM)を用いて測定した。
[比較材―1:MQP−B粉(C−1)]
R(Nd+Pr)が10原子%以上である、市販のMQP−B粉をAr雰囲気下でハンマーミルを用いて粉砕した後、ロータ式分級機によって分級することにより、第2のR−Fe−B系磁石粉末として、表1に示す粒度分布を有する磁粉C−1を得た。得られた磁粉C−1の磁気特性を表1に示す。なお、磁粉C−1の粒度分布はレーザー回折式粒度分布計(島津製作所製SALD3100)を、磁気特性は振動試料型磁力計(VSM)を用いて測定した。
[比較材―2:MQP−O粉(D−1)]
R(Nd+Pr)が10原子%以上である、市販のMQP−O粉をAr雰囲気下でハンマーミルを用いて粉砕した後、ロータ式分級機によって分級することにより、第2のR−Fe−B系磁石粉末として、表1に示す粒度分布を有する磁粉D−1を得た。得られた磁粉D−1の磁気特性を表1に示す。なお、磁粉D−1の粒度分布はレーザー回折式粒度分布計(島津製作所製SALD3100)を、磁気特性は振動試料型磁力計(VSM)を用いて測定した。
[比較材―3:従来のナノコンポジット磁粉(E−1)]
Nd:4.5原子%、B:18.5原子%、Co:2.0原子%、Cr:2.0原子%、残部Feの合金組成になるように配合した原料5kgを坩堝内に投入した後、50kPaに保持したAr雰囲気中にて高周波誘導加熱により合金溶湯を得た。
ストリップキャスト法を用いて急冷合金を得た。具体的には、坩堝を傾転することによって、前記合金溶湯をシュートを介して、ロール表面周速度8m/秒にて回転する純銅製の冷却ロール(直径250mm)上に供給し、合金溶湯を急冷した。なお、合金溶湯の供給速度は5kg/分に調整した。
得られた急冷合金を850μm以下に粉砕した後、長さ約500mmの均熱体を有するフープベルト炉を用い、Ar流気下、ベルト送り速度100mm/分にて700℃に保持した炉内へ粉末を20g/分の供給速度で投入することによって熱処理を施し、粗粉砕粉を得た。
得られた粗粉砕粉をAr雰囲気下でハンマーミルを用いて粉砕した後、ロータ式分級機によって分級することにより、第2のR−Fe−B系磁石粉末として、表1に示す粒度分布を有する磁粉E−1を得た。磁粉E−1は、Fe3B相を主相とする非Ti系のナノコンポジット磁粉である。得られた磁粉E−1の磁気特性を表1に示す。なお、磁粉E−1の粒度分布はレーザー回折式粒度分布計(島津製作所製SALD3100)を、磁気特性は振動試料型磁力計(VSM)を用いて測定した。
Figure 2005290398
表1に示したように、磁粉A−1からA−5は、優れた磁気特性(特に保磁力HcJ)を有している。磁粉B−1は、磁粉A−1からA−5に比べると、保磁力HcJが低い。種々検討した結果、Ti含有ナノコンポジット磁石粉末の組成式が、11≦x≦14原子%、6<y<10原子%、1≦z≦7原子%、0≦m≦0.5、および0≦n≦10原子%を満足すると、粒子の微細化による磁気特性の低下が小さく、第2のR−Fe−B系磁石粉末として特に好適に用いることができる。
MQ粉を粉砕することによって作製された磁粉C−1およびD−1も粒子の微細化によって磁気特性が低下するため、磁粉A−1からA−5に比べると、保磁力HcJが低い。非Ti系のナノコンポジット磁粉E−1の磁気特性は、他の磁粉に比べて明らかに劣っている。
また、磁粉A−1からA−5は、表1に示したように異なる粒度分布を有している。磁粉A−1からA−3は、D50が5μm以上20μm以下であり、D90が30μm以下である(すなわち、本発明による実施例の第2のR−Fe−B系磁石粉末に対応する)。磁粉A−4は、D50が5μm未満であり、また、D90も10μm以下と、磁粉A−1からA−3に比べて粒径が小さい磁粉である。一方、磁粉A−5は、D50が20μm超であり、また、D90も30μm超と、磁粉A−1からA−3に比べて粒径が大きい磁粉である。磁粉B−1、磁粉C−1、磁粉D−1および磁粉E−1は、磁粉A−2とほぼ同じ粒度分布を有している。
上述の第2のR−Fe−B系磁石粉末を第1のR−Fe−B系磁石粉末に混合することによって希土類磁石粉末(混合粉)を調製し、それを用いて得られるコンパウンドの流動性および磁気特性、機械特性と粒度分布との関係を検討する実験を行った。
(実験例1)
第1のR−Fe−B系磁石粉末として、磁粉組成―A(Nd:8.9原子%、B:12.6原子%、Ti:3.0原子%、C:1.4原子%、Nb:1原子%)のTi含有ナノコンポジット磁石粉末を用い、磁粉A−5と同様の条件にて、急冷合金の作製、粗粉砕、熱処理を行った後、ピンディスクミルにて更に粉砕を行い、D50=74μm、Br=0.80T、HcJ=1010kA/m、(BH)max=107.0kJ/m3の磁石粉末を得た。
得られた第1のR−Fe−B系磁石粉末に、第2のR−Fe−B系磁石粉末として磁粉A−1〜A−5を、表2に示す割合となるように混合を行った。
得られた混合磁粉(比重:約7.5)94質量%、ナイロン12樹脂(比重:約1.0)5.5質量%、酸化防止剤(2’,3−ビス[[3−[3,5−ジ―tert−ブチル―4―ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジド)0.5質量%を混合した後、ラボプラストミル(東洋精機製作所製)を用いて、回転数80rpm、温度230℃で10分間混錬を行い、冷却した後、粉砕を行うことにより、射出成形用コンパウンドを得た。磁粉および樹脂の比重から求めたコンパウンド中の磁粉含有率は約67.6体積%である。
得られたコンパウンドの流動性について、JIS K 7210に基づくメルトフローレート(MFR)をメルトインデクサ(テクノセブン製)を用いて評価した。ただし、MFR測定時の温度は270℃、荷重は5kgとした。
また、得られたコンパウンドについて、射出成形機を用いて、射出温度250℃にて射出成形を行い、径15mm×高さ5mmの円柱状の射出成形ボンド磁石を作製した。
得られた射出成形ボンド磁石の寸法ならびに重量から、成形密度を算出した。また、3.2MA/m以上のパルス磁界で着磁を行った後、BHトレーサを用いて、射出成形ボンド磁石の磁気特性を測定した。以上の結果を表2に示す。
Figure 2005290398
表2からわかるように、第2のR−Fe−B系磁石粉末を混合していない希土類磁石粉末(表2中の最下段)を用いたコンパウンドは、MFRが非常に小さく、ボンド磁石を形成できなかった。これに対し、磁粉A−1からA−5を混合することによって、流動性が改善されていることが分かる。特に、磁粉A−1からA−3のMFRの改善効果が著しい。また、磁粉A−1からA−3を用いて得られたボンド磁石の成形密度(比重)は5.40g/cm3以上であり、磁気特性も優れていることからも、磁粉A−1からA−3を混合したコンパウンドの流動性が優れる結果、良好なボンド磁石が得られたことがわかる。
[実験例2]
第1のR−Fe−B系磁石粉末として、磁粉組成―A(Nd:8.9原子%、B:12.6原子%、Ti:3.0原子%、C:1.4原子%、Nb:1原子%)のTi含有ナノコンポジット磁石粉末を用い、磁粉A−5と同様の条件にて、急冷合金の作製、粗粉砕、熱処理を行った後、ピンディスクミルにて更に粉砕を行い、D50=74μm、Br=0.80T、HcJ=1010kA/m、(BH)max=107.0kJ/m3の磁石粉末を得た。
得られた第1のR−Fe−B系磁石粉末に、第2のR−Fe−B系磁石粉末として磁粉A−2を、表3に示す割合(5質量%から50質量%)となるように混合を行った。
得られた混合磁粉、ナイロン12樹脂、酸化防止剤(2’,3−ビス[[3−[3,5−ジ―tert−ブチル―4―ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジド)を表3に示す割合にて混合した後、ラボプラストミル(東洋精機製作所製)を用いて、回転数80rpm、温度230℃で10分間混錬を行い、冷却した後、粉砕を行うことにより、射出成形用コンパウンドを得た。
得られたコンパウンドの流動性について、JIS K 7210に準ずるメルトフローレート(MFR)をメルトインデクサ(テクノセブン製)を用いて評価した。ただし、MFR測定時の温度は270℃、荷重は5kgとした。
また、得られたコンパウンドについて、射出成形機を用いて、射出温度250℃にて射出成形を行い、径15mm×高さ5mmの円柱状の射出成形ボンド磁石を作製した。
得られた射出成形ボンド磁石の寸法ならびに重量から、成形密度を算出した。また、3.2MA/m以上のパルス磁界で着磁を行った後、BHトレーサを用いて、射出成形ボンド磁石の磁気特性を測定した。
また、一部の条件については、射出成形機を用いて射出温度250℃にて射出成形を行い、4mm×10mm×80mmの棒状の射出成形ボンド磁石を作製した。
得られた棒状の磁石について、JIS K 7171―1994に基づく曲げ試験を行い、最大曲げ強度を測定した。なお、測定は4mm方向に荷重をかけ、サンプルの支持間隔64mm、圧子降下速度は2mm/minとした。以上の結果を表3に示す。
Figure 2005290398
また、ここで用いた希土類磁石粉末の粒度分布のデータを表4に示す。表4の上段はJIS Z 8801標準ふるいによって求めた希土類磁石粉末の全体の粒度分布を示し、中段はレーザー回折式粒度分布計(島津製作所製SALD3100)によって求めた希土類磁石粉末の全体の粒度分布を示し、下段はJIS Z 8801標準ふるい(メッシュ目開き38μm)で分級した38μm以下の希土類磁石粉末の粒度分布をレーザー回折式粒度分布計で求めた結果を示している。ここで、表中の斜体文字は測定値から計算によって補完した値を示している。なお、一部の試料について、計算値がレーザー回折式粒度分布計による測定値とほぼ一致することを確かめている。
Figure 2005290398
レーザ回折式粒度分布計を用いて測定した粒度分布の一部を図1のグラフに示す。図1(a)は、第1のR−Fe−B系磁石粉末の粒度分布を示し、図1(b)は第2のR−Fe−B系磁石粉末(すなわち磁粉A−2)の粒度分布を示し、図1(c)は、磁粉A−2を5質量%含む希土類磁石粉末の粒度分布を示し、図1(d)は、磁粉A−2を30質量%含む希土類磁石粉末の粒度分布を示している。
なお、ふるいを用いると粒子の短径が反映されやすいのに対し、レーザ回折式粒度分布計を用いると長径が測定される点に留意されたい。さらに、粒径が1μm以下の粒子は大きな粒子の表面に付着し、ふるいを通らないことがあるので、38μm以下の粒子をふるいで分級した後のデータは、粒径が1μm以下の粒子の分率を過少に評価している傾向がある。
表4には参考のために特許文献2に記載されている希土類磁石粉末(実施例のNCP−13に近い粒度分布を有する)の粒度分布をあわせて示している。表4から分かるように、ここで用いた希土類磁石粉末は、いずれも特許文献2に記載されている希土類磁石粉末よりも38μm以下の粒子が非常に多い。第2のR−Fe−B系磁石粉末を加えていない第1のR−Fe−B系磁石粉末でさえ38μm以下の粒子を30質量%以上含んでいる。特許文献2の教示しているところによると、38μm以下の粒子を30質量%以上も含む希土類磁石粉末に、さらに微細な粉末を混合することによって、コンパウンドの流動性が改善することは起こり得ない。
表3をみると、磁粉A−2を混合することによって、いずれもMFRが改善していることが分かる。驚くべきことに、磁粉A−2を全体の5質量%含むだけでMFRが著しく改善する。表3の中段のデータをみると、磁粉A−2を全体の5質量%から40質量%含む希土類磁石粉末を用いたコンパウンドのMFRが高く、特に、10質量%から30質量%含む希土類磁石粉末を用いたコンパウンドのMFRが特に高い。
表3の結果および表4に示した粒度分布から、D50が5μm以上20μm以下であり、D90が30μm以下であるとともに、D90は10μm以上であることが好ましいことがわかる。さらに、希土類磁石粉末の全体のD10が16μm以下であることが好ましく、また、全体のD50が35μm以上であることが好ましいと言える。また、図1(d)に示した粒度分布のように、10μm以上30μm以下の範囲にピークを持つような粒度分布にすることによって、特に優れた流動性改善効果が得られると考えられる。
[実験例3]
第1のR−Fe−B系磁石粉末として、磁粉組成―B(Nd:8.2原子%、B:9.5原子%、Ti:2.0原子%、C:1.0原子%、残部Fe)のTi含有ナノコンポジット磁石粉末を用い、磁粉B−1と同様の条件にて、急冷合金の作製、粗粉砕、熱処理を行った後、ピンディスクミルにて更に粉砕を行い、D50=61μm、Br=0.85T、HcJ=597kA/m、(BH)max=117.8kJ/m3の磁石粉末を得た。この第1のR−Fe−B系磁石粉末は、実験例1および2で用いた第1のR−Fe−B系磁石粉末とほぼ同じ粒度分布を有している。
得られた第1のR−Fe−B系磁石粉末に、第2のR−Fe−B系磁石粉末として磁粉B−1ならびに磁粉C−1を、表5に示す割合となるように混合を行った。
得られた混合磁粉(比重:約7.5)90質量%とPPS樹脂(比重:約1.35)10質量%を混合した後、ラボプラストミル(東洋精機製作所製)を用いて、回転数80rpm、温度330℃で10分間混錬を行い、冷却した後、粉砕を行うことにより、射出成形用コンパウンドを得た。なお、混錬終了直後のコンパウンド温度を熱電対で計測した。磁粉および樹脂の比重から求めたコンパウンド中の磁粉含有率は、約61.8体積%である。
得られたコンパウンドの流動性について、JIS K 7210に準ずるメルトフローレート(MFR)をメルトインデクサ(テクノセブン製)を用いて評価した。ただし、MFR測定時の温度は320℃、荷重は15kgとした。
また、得られたコンパウンドについて、射出成形機を用いて、射出温度330℃にて射出成形を行い、径15mm×高さ5mmの円柱状の射出成形ボンド磁石を作製した。
得られた射出成形ボンド磁石の寸法ならびに重量から、成形密度を算出した。また、3.2MA/m以上のパルス磁界で着磁を行った後、BHトレーサを用いて、射出成形ボンド磁石の磁気特性を測定した。以上の結果を表5に示す。
Figure 2005290398
表5からわかるように、磁粉B−1を混合することによってMFRが著しく改善されている。また、磁粉C−1を混合することによってもMFRは改善するものの、磁粉B−1に比べるとその効果の程度は低い。このように、第2のR−Fe−B系磁石粉末としてMQ粉を用いるよりもTi含有ナノコンポジット磁石粉末を用いる方が流動性を改善する効果が大きいことが分かる。さらに、磁気特性(特に保磁力HcJ)についても、磁粉B−1を混合した方が、磁粉C−1を混合するよりも高い。
[実験例4]
第1のR−Fe−B系磁石粉末として、市販のMQP―O粉をピンディスクミルで粉砕し、D50=53μm、Br=0.79T、HcJ=1019kA/m、(BH)max=103.4kJ/m3の磁石粉末を得た。
得られた第1のR−Fe−B系磁石粉末に、第2のR−Fe−B系磁石粉末として磁粉A−2ならびに磁粉D−1を、表6に示す割合となるように混合を行った。
得られた混合磁粉(比重:約7.5)90質量%とPPS樹脂(比重:約1.35)10質量%を混合した後、ラボプラストミル(東洋精機製作所製)を用いて、回転数80rpm、温度330℃で10分間混錬を行い、冷却した後、粉砕を行うことにより、射出成形用コンパウンドを得た。なお、混錬終了直後のコンパウンド温度を熱電対で計測した。磁粉および樹脂の比重から求めたコンパウンド中の磁粉含有率は、約61.8体積%である。
得られたコンパウンドの流動性について、JIS K 7210に準ずるメルトフローレート(MFR)をメルトインデクサ(テクノセブン製)を用いて評価した。ただし、MFR測定時の温度は320℃、荷重は15kgとした。
また、得られたコンパウンドについて、射出成形機を用いて、射出温度330℃にて射出成形を行い、径15mm×高さ5mmの円柱状の射出成形ボンド磁石を作製した。
得られた射出成形ボンド磁石の寸法ならびに重量から、成形密度を算出した。また、3.2MA/m以上のパルス磁界で着磁を行った後、BHトレーサを用いて、射出成形ボンド磁石の磁気特性を測定した。以上の結果を表6に示す。
Figure 2005290398
表6からわかるように、磁粉A−2を混合することによってMFRが著しく改善されている。また、磁粉D−1を混合することによってもMFRは多少改善するが、磁粉A−2に比べるとその効果の程度はかなり低い。このように、第2のR−Fe−B系磁石粉末としてMQ粉を用いるよりもTi含有ナノコンポジット磁石粉末を用いる方が流動性を改善する効果が大きいことが分かる。さらに、磁気特性(特に保磁力HcJ)についても、磁粉A−2を混合した方が、磁粉D−1を混合するよりも高い。
[実験例5]
第1のR−Fe−B系磁石粉末として、HDDR法によるNd−Fe−B系異方性磁石粉末を採用した。具体的には、Nd:12.4原子%、Fe:64.9原子%、Cu:0.1原子%、Co:16.1原子%、Ga:0.2原子%、Zr:0.1原子%、B:6.2原子%の鋳隗を作製し、アルゴンガス雰囲気中で1100℃×24時間焼鈍したものを、酸素濃度0.5%以下のアルゴンガス雰囲気中で粉砕してから、これを0.15MPaの水素ガス加圧雰囲気中で870℃×3時間の水素化熱処理を行い、その後、減圧(1kPa)アルゴンガス流気中で850℃×1時間の脱水素処理を行い、その後冷却することによって得られた、D50=63μm、Br=1.31T、HcJ=1019kA/m、(BH)max=300.4kJ/m3の磁石粉末を用いた。
得られた第1のR−Fe−B系磁石粉末に、第2のR−Fe−B系磁石粉末として磁粉A−2ならびに磁粉E−1の磁粉を、表7に示す割合となるように混合を行った。
得られた混合磁粉、ナイロン12樹脂、酸化防止剤(2’,3−ビス[[3−[3,5−ジ―tert−ブチル―4―ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジド)、滑剤(エチレンビスステアリン酸アミド)を表7に示す割合にて混合した後、ラボプラストミル(東洋精機製作所製)を用いて、回転数80rpm、温度230℃で10分間混錬を行い、冷却した後、粉砕を行うことにより、射出成形用コンパウンドを得た。
得られたコンパウンドの流動性について、JIS K 7210に準ずるメルトフローレート(MFR)をメルトインデクサ(テクノセブン製)を用いて評価した。ただし、MFR測定時の温度は270℃、荷重は5kgとした。
また、得られたコンパウンドについて、磁界中射出成形機を用いて、射出温度260℃、配向磁界800kA/m(試料の高さ方向)、金型温度80℃の条件にて射出成形を行い、径15mm×高さ5mmの円柱状の射出成形ボンド磁石を作製した。
得られた射出成形ボンド磁石の寸法ならびに重量から、成形密度を算出した。また、3.2MA/m以上のパルス磁界で着磁を行った後、BHトレーサを用いて、射出成形ボンド磁石の磁気特性を測定した。得られた結果を表7に示す。なお、Br/J1.2の値は、配向度を示す指標で、磁場1.2MA/mにおける磁化Jの値で残留磁束密度Brを除したものであり、数値が1に近いほど配向性に優れることを示す。
Figure 2005290398
表7からわかるように、磁粉A−2を混合することによってMFRが著しく改善されている。HDDR粉だけを用いた場合に比べてMFRの値は約4倍以上となっている。また、磁粉E−1を混合することによってもMFRを同程度改善することができるが、磁気特性(特に保磁力HcJ)に劣る。また、配向度を示すBr/J1.2の値を見ると、磁粉A−2を混合したものは、HDDR粉だけを用いた場合より1に近く、HDDR粉末の配向度を向上していることが分かる。
[実験例6]
実験例1のうち、第2のR−Fe−B系磁石粉末としてA−2ならびにA−5を用いたコンパウンドにより、外形50mm、内径36.4mm(厚さ1.8mm)、高さ40mmの円筒径の磁石の成形試験を行った。金型としては、円筒形の高さ方向からコンパウンドが注入されるように、径1mmのゲートを4つ有するものを用い、射出温度260℃で成形を行った。その結果、第2のR−Fe−B系磁石粉末として磁粉A−2を用いたコンパウンドでは円筒形の磁石が作製できたのに対し、磁粉A−5を用いたコンパウンドでは、ゲートから一番遠い部分までコンパウンドが充分充填されず、成形不良となった。
本発明によると、射出成形用コンパウンドの流動性を向上することができるR−Fe−B系磁石粉末が提供される。従って、従来射出成形で成形することが困難であった複雑な形状のボンド磁石や一体成形型のボンド磁石を射出成形で成形することが可能となる。あるいは、ボンド磁石中の希土類磁石粉末の含有率を増大することによってボンド磁石の高性能化を実現することが出来る。異方性ボンド磁石については、さらに、配向性を高めることよる高性能化を図ることが出来る。
本発明によると、射出成形用のボンド磁石の適用範囲が広がるとともに高性能化を実現することができる。
本発明の実施形態で用いた希土類磁石粉末の粒度分布の例を示すグラフであり、(a)は、第1のR−Fe−B系磁石粉末の粒度分布を示し、(b)は第2のR−Fe−B系磁石粉末(磁粉A−2)の粒度分布を示し、(c)は、磁粉A−2を5質量%含む希土類磁石粉末の粒度分布を示し、(d)は、磁粉A−2を30質量%含む希土類磁石粉末の粒度分布を示す。

Claims (15)

  1. 50%質量粒径(D50:粒径の小さい方から積算した合計質量が粒子全体質量の50%になるところの粒径)が40μm以上100μm以下である第1のR−Fe−B系磁石粉末と、50%質量粒径(D50)が5μm以上20μm以下であり、90%質量粒径(D90:粒径の小さい方から積算した合計質量が粒子全体質量の90%になるところの粒径)が30μm以下である第2のR−Fe−B系磁石粉末とを混合することによって得られた希土類磁石粉末であって、前記第2のR−Fe−B系磁石粉末を全体の5質量%以上40質量%以下の範囲で含み、
    前記第2のR−Fe−B系磁石粉末が、少なくとも1種の硬磁性相と少なくとも1種の軟磁性相とを含み、組成式が(Fe1-mm100-x-y-z-nxyTizn(TはCoおよびNiからなる群から選択された1種以上の元素、QはBおよびCからなる群から選択されBを必ず含む1種以上の元素、RはNdまたはPrを必ず含む1種以上の希土類元素、MはAl、Si、V、Cr、Mn、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Ag、Hf、Ta、W、Pt、Au、In、SnおよびPbからなる群から選択された1種以上の金属元素)で表現され、組成比率x、y、z、mおよびnが、それぞれ、
    10≦x≦20原子%、
    6≦y<10原子%、
    0.1≦z≦12原子%、
    0≦m≦0.5、および
    0≦n≦10原子%
    を満足し、かつ、磁気的に等方性なTi含有ナノコンポジット磁石粉末である、
    希土類磁石粉末。
  2. 前記第1のR−Fe−B系磁石粉末は異方性磁石粉末である、請求項1に記載の希土類磁石粉末。
  3. 前記第1のR−Fe−B系磁石粉末は前記Ti含有ナノコンポジット磁石粉末である、請求項1に記載の希土類磁石粉末。
  4. 前記第2のR−Fe−B系磁石粉末の90%質量粒径(D90)は10μm以上である、請求項1から3のいずれかに記載の希土類磁石粉末。
  5. 全体の10%質量粒径(D10:粒径の小さい方から積算した合計質量が粒子全体質量の10%になるところの粒径)が16μm以下である、請求項1から4のいずれかに記載の希土類磁石粉末。
  6. 全体の50%質量粒径(D50)が35μm以上である、請求項1から5のいずれかに記載の希土類磁石粉末。
  7. 全体の90%質量粒径(D90)が200μm以下である、請求項1から6のいずれかに記載の希土類磁石粉末。
  8. 前記第2のR−Fe−B系磁石粉末の固有保磁力HcJが500kA/m以上である、請求項1から7のいずれかに記載の希土類磁石粉末。
  9. 前記第2のR−Fe−B系磁石粉末の残留磁束密度Brが0.75T以上である、請求項1から8のいずれかに記載の希土類磁石粉末。
  10. 前記第2のR−Fe−B系磁石粉末の最大エネルギー積が80kJ/m3以上である、請求項1から9のいずれかに記載の希土類磁石粉末。
  11. 前記第2のR−Fe−B系磁石粉末の固有保磁力が、前記第1のR−Fe−B系磁石粉末の固有保磁力の95%よりも大きい、請求項1から10のいずれかに記載の希土類磁石粉末。
  12. 請求項1から11のいずれかに記載の希土類磁石粉末に用いられる前記第2のR−Fe−B系磁石粉末。
  13. 請求項1から11のいずれかに記載の希土類磁石粉末と、熱可塑性樹脂とを含む、射出成形ボンド磁石用コンパウンド。
  14. 請求項13に記載の希土類系ボンド磁石用コンパウンドを用いて射出成形により成形されたボンド磁石。
  15. 板状、円弧状、円筒形状のいずれかの形状で、厚さが2mm以下である、請求項14に記載のボンド磁石。
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