JP4687493B2 - 希土類焼結磁石及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、希土類焼結磁石及びその製造方法に関する。
高性能永久磁石として代表的な希土類−鉄−硼素系の希土類焼結磁石は、正方晶化合物であるR2Fe14B型結晶相(主相)と粒界相とを含む組織を有し、優れた磁石特性を発揮する。ここで、Rは希土類元素及びイットリウムからなる群から選択された少なくとも1種の元素であり、主としてNd及び/又はPrを含む。Feは鉄、Bは硼素であり、これらの元素の一部は他の元素によって置換されていても良い。粒界相には、希土類元素Rの濃度が相対的に高いRリッチ相と、硼素の濃度が相対的に高いBリッチ相とが存在している。
以下、希土類−鉄−硼素系の希土類焼結磁石を「R−T−B系焼結磁石」と称することとする。ここで、「T」は鉄を主成分とする遷移金属元素である。R−T−B系焼結磁石では、R214B相(主相)が磁化作用に寄与する強磁性相であり、粒界相に存在するRリッチ相は低融点の非磁性相である。
R−T−B系焼結磁石は、R−T−B系焼結磁石用合金(母合金)の微粉末(平均粒径:数μm)をプレス装置で圧縮成形した後、焼結することによって製造される。焼結後、必要に応じて時効処理が施される。R−T−B系焼結磁石の製造に用いられる母合金は、金型鋳造によるインゴット法や冷却ロールを用いて合金溶湯を急冷するストリップキャスト法を用いて好適に作製される。
保磁力の高いR−Fe−B系焼結磁石を製造するためには、希土類元素Rとして広く用いられているNdやPrの一部を、重希土類であるDy、Ho、及び/又はTbで置換することが行われている(例えば特許文献1)。Dy、Tb、Hoは、異方性磁界の高い希土類元素であるため、主相の希土類元素RのサイトでNdを置換することにより、保磁力を増大させる効果を発揮する。
一方、保磁力発現のため、AlやCuを微量に添加することがR−T−B系焼結磁石の開発当初から行われてきた(例えば、特許文献2)。R−T−B系焼結磁石が開発された当時、不可避的不純物として原料合金中に混入していたAlやCuが、その後、R−T−B系焼結磁石の高い保磁力を実現する上で不可欠ともいえる添加元素であることがわかってきた。逆に、AlやCuを意図的に排除すると、R−T−B系焼結磁石の保磁力は極めて低い値しか示さず、実用には供しないこともわかっている。
また、特許文献5および特許文献6は、保磁力向上効果を得るため、V(バナジウム)を添加することを開示している。
特開昭60−32306号公報 特開平5−234733号公報 特開平4−217302号公報 特開昭60−138056号公報 特開2004−277795号公報 特許第2787580号明細書
Dy、Tb、Hoは、その添加量を増やすほど、保磁力が高く上昇するという効果が得られるが、Dy、Tb、Hoは稀少元素であるため、今後、電気自動車の実用化が進展し、電気自動車用モーターなどに用いられる高耐熱磁石の需要が拡大してゆくと、Dy資源が逼迫する結果、原料コストの増加が懸念される。このため、高保磁力磁石におけるDy使用量削減技術の開発が強く求められている。一方、AlやCuの添加は、保磁力を向上させるが、残留磁束密度の低下を招くという問題がある。更に、Vの添加には、残留磁束密度Brの低下を引き起こすという問題がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、AlやCuを添加した場合の保磁力と同等の保磁力を発揮しつつ、AlやCuを添加した場合よりも残留磁束密度を向上させた希土類焼結磁石を提供することにある。
本発明の希土類焼結磁石は、12.0原子%〜15.0原子%の希土類元素(Nd、Pr、Gd、Tb、Dy、及びHoからなる群から選択された少なくとも一種の元素であり、Nd及び/又はPrを50%以上含む)と、5.5原子%〜8.5原子%の硼素(B)と、0.005原子%〜0.30原子%の銀(Ag)と、0.05原子%〜1.0原子%の元素M(Mは、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、およびWからなる群から選択された少なくとも1種の元素)と、残部の鉄(Fe)及び不可避的不純物とを含有する。
好ましい実施形態において、Agの組成比率が0.005原子%〜0.20原子%である。
好ましい実施形態において、不可避的不純物はAlを含み、前記Alの含有量は0.4原子%以下である。
本発明による希土類焼結磁石の製造方法は、12.0原子%〜15.0原子%の希土類元素(Nd、Pr、Gd、Tb、Dy、及びHoからなる群から選択された少なくとも一種の元素であり、Nd及び/又はPrを50%以上含む)と、5.5原子%〜8.5原子%の硼素(B)と、0.005原子%〜0.30原子%の銀(Ag)と、0.05原子%〜1.0原子%の元素M(Mは、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、およびWからなる群から選択された少なくとも1種の元素)と、残部の鉄(Fe)及び不可避的不純物とを含有する合金を用意する工程と、前記合金を粉砕して粉末を作製する工程と、前記粉末を焼結する工程とを含む。
本発明による他の希土類焼結磁石の製造方法は、12.0原子%〜15.0原子%の希土類元素(Nd、Pr、Gd、Tb、Dy、及びHoからなる群から選択された少なくとも一種の元素であり、Nd及び/又はPrを50%以上含む)と、5.5原子%〜8.5原子%の硼素(B)と、残部の鉄(Fe)及び不可避的不純物とを含有する合金を用意する工程と、前記合金を粉砕して粉末を作製する工程と、前記粉末に対して0.005原子%〜0.30原子%の銀(Ag)および0.05原子%〜1.0原子%の元素M(Mは、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、およびWからなる群から選択された少なくとも1種の元素)を添加し、微量元素添加粉末を作製する工程と、前記微量元素を焼結する工程とを含む。
本発明の希土類焼結磁石は、微量に添加したAgおよび元素M(Mは、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、およびWからなる群から選択された少なくとも1種の元素)の働きにより、CuやAlを添加した従来のR−Fe−B系焼結磁石と同等の保磁力を発現するとともに、それらの磁石よりも高い残留磁束密度を示すことができる。
従来、保磁力を高める目的で、種々の元素を添加する試みが行われてきた。しかしながら、比較の対象となるR−T−B系焼結磁石には、不可避的不純物とともに、当然の如くAlやCuが含有されていた。これらの元素を含有しない場合に得られる保磁力が余りに低かったためである。
しかしながら、本発明者は、敢えてAlやCuの添加を行わないNd−Fe−B系焼結磁石の基本三元組成に対して、種々の元素を微量に添加したところ、微量のAgを添加した場合に、残留磁束密度を低下させることなく保磁力を大幅に向上させる効果が発現することを見出し、本発明を完成するに至った。また、Agに加えて、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、およびWからなる群から選択された少なくとも1種の元素を添加した場合に、更に保磁力が増加するという好ましい効果が得られることを見出した。
なお、従来、AgをR−T−B系焼結磁石に添加する試みが全く行われてこなかったわけではない。例えば特許文献2〜4には、添加の目的は異なるとはいえ、AgをR−T−B系焼結磁石に添加することが記載されている。しかしながら、添加の対象となるR−T−B系焼結磁石には、当然にAlやCuが(意図的又は不可避的に)添加されていたため、Ag添加による保磁力上昇効果は、AlやCuあるいはDyなどによる保磁力上昇効果に埋もれてしまって観察されなかった。しかも、後に詳しく説明するように、本願発明者が見出したAg添加効果は、その添加量を極めて低く、かつ狭い範囲に抑えることによって得られるものであり、特許文献2〜4などに教示されている添加量では、Ag添加効果を適切に得ることはできなかった。
このように本発明は、基本的組成を有するR−T−B系焼結磁石を比較例として用い、しかも、極めて微量のAgおよび元素Mを添加することによって初めてわかる新しい知見に基づいてなされたものである。
本願発明者の検討によると、添加したAgおよび元素Mは、焼結磁石の粒界相中に存在するものと考えられる。R−T−B系焼結磁石では、その保磁力の発現に粒界相が重要な役割を担っていることが知られており、添加した微量のAgや元素Mが粒界相中において保磁力を高める何らかの作用をしていると推定される。しかしながら、これらの微量元素添加による保磁力上昇メカニズムの詳細は、現在のところ不明であり、本願発明者は鋭意解明を試みつつある。
以下、本発明の希土類焼結磁石の好ましい実施形態を説明する。
(実施形態)
[原料合金]
まず、12.0原子%〜15.0原子%の希土類元素Rと、5.5原子%〜8.5原子%のBと、0.005原子%〜0.30原子%のAgと、0.05原子%〜1.0原子%の元素Mと、残部Fe及び不可避的不純物とを含有する原料合金を用意する。ここで、Rは、Nd、Pr、Gd、Tb、Dy、及びHoからなる群から選択された少なくとも一種の元素であり、Nd及び/又はPrを50%以上含む。また、Mは、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、およびWからなる群から選択された少なくとも1種の元素である。
R、B、Feの組成比率が上記範囲から外れると、R−T−B系焼結磁石の基本的な組織構造が得られず、所望の磁石特性を発揮させることができない。本発明では、0.005原子%〜0.30原子%という極めて微量のAgと0.05原子%〜1.0原子%の元素Mとを添加することにより、基本三元組成のR−Fe−B系希土類磁石に比べ、残留磁束密度をほとんど低下させることなく、保磁力を2倍以上に増加させることが可能である。添加するAgの組成比率が0.005原子%未満になると、保磁力上昇効果が得られず、逆にAgが0.30原子%を超えると、保磁力が低下してしまうという問題が発生する。このため、Agの組成比率は0.005原子%以上0.30原子%以下の範囲に設定される。Agの組成比率の好ましい範囲は0.005原子%以上0.20原子%以下である。また、元素Mの組成比率が1.0原子%を超えると、保磁力は向上するが、残留磁束密度が低下してしまう。このため、元素Mの組成比率は0.05原子%以上1.0原子%以下の範囲に設定される。元素Mの組成比率の好ましい範囲は0.1原子%以上0.5原子%以下である。
なお、Agおよび元素Mの添加のタイミングは、焼結工程前であれば任意である。原料合金の溶解時に添加してもよいし、Agや元素Mを含まない母合金を用意し、ジェットミルによって粉砕する前、又は粉砕した後にAgや元素Mの微粉末として添加してもよい。また、Agのみを添加した母合金を用意し、母合金をジェットミルによって粉砕した後、元素Mの微粉末を添加しても良いし、元素Mのみを添加した母合金を用意し、母合金をジェットミルによって粉砕した後、Ag微粉末を添加しても良い。すなわち、Agと元素Mの添加タイミングは同時である必要は無い。
添加するAgの微粉末は、Agメタルを粉砕することによって作製されたものであってもよいし、Ag酸化物の粉末であってもよい。粉末状態のAgメタル又はAg化合物の平均粒径は、例えば0.5μm〜50μmに設定され得る。このような粒径範囲にあれば、他の合金粉末と混合して適正な焼結体を得ることができるからである。元素Mの粉末についても、Agの粉末と同様である。粉末状態のMメタル又はM化合物の平均粒径は、例えば0.5μm〜50μmに設定され得る。
なお、本発明の焼結磁石は、不可避的不純物としてAlやCuを含有していてもよいが、Alの含有量が増加すると、残留磁束密度が低下するため、Alの含有量は0.4原子%以下に調節することが好ましい。また、添加するAgのうちの50%以下を、他の金属元素に置き換えてもよい。例えば、Agの50原子%以下を、Ni、Pd、Pt、Cu、Au、Ga、Inからなる群から選択された少なくとも一種の元素で置換してもよい。
本発明による焼結磁石の製造に用いられる母合金を作製するには、例えばインゴット鋳造法や急冷法(ストリップキャスティング法や遠心鋳造法など)を用いることができる。以下、ストリップキャスティング法を用いる場合を例にとり、原料合金の作製方法を説明する。
まず、上記組成を有する合金をアルゴン雰囲気中において高周波溶解によって溶融し、合金溶湯を形成する。次に、この合金溶湯を1350℃に保持した後、単ロール法によって合金溶湯を急冷し、例えば厚さ約0.3mmのフレーク状合金鋳塊を得る。このときの急冷条件は、例えばロール周速度約1m/秒、冷却速度500℃/秒、過冷却200℃とする。こうして作製した急冷合金鋳片を、次の水素粉砕前に、1〜10mmの大きさのフレーク状に粉砕する。なお、ストリップキャスト法による原料合金の製造方法は、例えば、米国特許第5、383、978号明細書に開示されている。
このような原料合金の段階において、既にAgや元素Mが添加されていても良いし、以下に説明する粉砕工程の後に添加されても良い。
[粗粉砕工程]
上記のフレーク状に粗く粉砕された原料合金鋳片を水素炉の内部へ挿入する。次に、水素炉の内部で水素脆化処理(以下、「水素粉砕処理」と称する場合がある)工程を行なう。水素粉砕後の粗粉砕合金粉末を水素炉から取り出す際、粗粉砕粉が大気と接触しないように、不活性雰囲気下で取り出し動作を実行することが好ましい。そうすれば、粗粉砕粉が酸化・発熱することが防止され、磁石の磁気特性が向上するからである。
水素粉砕によって、希土類合金は0.1mm〜数mm程度の大きさに粉砕され、その平均粒径は500μm以下となる。水素粉砕後、脆化した原料合金をロータリクーラ等の冷却装置によって、より細かく解砕するとともに冷却することが好ましい。比較的高い温度状態のまま原料を取り出す場合は、ロータリクーラ等による冷却処理の時間を相対的に長くすれば良い。
[微粉砕工程]
次に、粗粉砕粉に対してジェットミル粉砕装置を用いて微粉砕を実行する。本実施形態で使用するジェットミル粉砕装置にはサイクロン分級機が接続されている。ジェットミル粉砕装置は、粗粉砕工程で粗く粉砕された希土類合金(粗粉砕粉)の供給を受け、粉砕機内で粉砕する。粉砕機内で粉砕された粉末はサイクロン分級機を経て回収タンクに集められる。こうして、0.1〜20μm程度の微粉末を得ることができる。このような微粉砕に用いる粉砕装置は、ジェットミルに限定されず、アトライタやボールミルであってもよい。
[プレス成形]
本実施形態では、上記方法で作製された磁性粉末に対し、ロッキングミキサー内で潤滑剤を例えば0.3wt%添加・混合し、潤滑剤で合金粉末粒子の表面を被覆する。次に、上述の方法で作製した磁性粉末を公知のプレス装置を用いて配向磁界中で成形する。印加する磁界の強度は、例えば1テスラ(T)である。
[焼結工程]
上記の粉末成形体に対して、650〜1000℃の範囲内の温度で10〜240分間保持する工程と、その後、上記の保持温度よりも高い温度(例えば1000〜1100℃)で焼結を更に進める工程とを順次行なうことが好ましい。焼結時、特に液相が生成されるとき(温度が650〜1000℃の範囲内にあるとき)、粒界相中のRリッチ相が融け始め、液相が形成される。その後、焼結が進行し、焼結磁石が形成される。焼結後、必要に応じて、時効処理が行われる。
以下、本発明の実施例を説明する。
(実施例1)
Nd:14.1原子%、B:6.1原子%、Ag:0.005〜0.30原子%、Mo:0.4原子%、残部Feからなる合金を用意し、上述した実施形態における製造方法により、焼結磁石を作製した(実施例1)。一方、Agおよび元素Mを添加しないこと以外では実施例1と同様の組成を有する母合金を用い、実施例1と同様にして比較例1を作製した。
プレス成形前における粉末の平均粒径は4.4μmであった。成形は、1.0Tの磁場中で行った。成形後、1000〜1100℃で4時間の焼結工程、及び620℃で2時間の時効処理を行った。得られた焼結体は、11mm×10mm×18mmの直方体形状を有していた。
図1は、Ag添加量と保磁力HcJ(kA/m)との関係を示すグラフである。■のデータは、0.4原子%のMoを添加した実施例に関しており、◇のデータは、Moを添加しない比較例に関している。
図1からわかるように、実施例も比較例も、僅か0.05原子%のAgを添加するだけで、Ag無添加の場合における保磁力HcJ(約340kA/m)に比べて2倍以上の値(約930kA/m)に増加することがわかる。図1の例では、Ag添加量が0.1原子%程度で保磁力HcJはピーク値を示している。Ag添加量が0.3原子%を超えて大きくなると、Ag添加の効果はほとんど得られなくなる。
また図1から明らかなように、Agに加えて0.4原子%のMoを添加することにより、保磁力が更に増大することがわかる。
詳しい実験によると、Mo以外にも、Ti、V、Nb、およびWからなる群から選択された少なくとも1種の元素を添加しても、Ag微量添加による保磁力増大効果が更に促進されることがわかった。これらの元素Mの添加効果は、Agの組成比率が0.005〜0.30原子%の範囲にあるとき発現することも確認した。
(実施例2)
Nd:14.1原子%、B:6.1原子%、Ag:0.1原子%、元素M(Mは、Ti、V、Nb、Mo、およびWからなる群から選択された少なくとも1種の元素):0.05原子%〜1.0原子、残部Feからなる合金を用意し、上述した実施形態における製造方法により、焼結磁石を作製した(実施例2)。一方、元素Mを添加しないこと以外では実施例2と同様の組成を有する母合金を用い、実施例1と同様にして比較例2を作製した。
プレス成形前における粉末の平均粒径は4.4μmであった。成形は、1.0Tの磁場中で行った。成形後、1000〜1100℃で4時間の焼結工程、及び620℃で2時間の時効処理を行った。得られた焼結体は、11mm×10mm×18mmの直方体形状を有していた。
図2は、元素Mの添加量と保磁力HcJ(kA/m)との関係を示すグラフである。グラフの縦軸は保磁力HcJ(kA/m)である。
図2からわかるように、僅か0.1原子%程度のTi、V、Nb、Mo、Wを添加するだけで、比較例2(0.1原子%のAg添加あり)の保磁力HcJ(約95kA/m)に比べて増加することがわかる。図2の例では、元素Mの添加量が増加するつれて保磁力HcJも増加している。
更に詳しい実験によると、元素M添加の効果は、M添加量が0.05原子%以上1.0原子%以下の範囲内で発現することがわかった。
また、残留磁束密度については、実施例1および実施例2の欄に記載した本発明の希土類磁石は、CuやAlが添加された従来のR−Fe−B系希土類磁石と同等の値を示した。
なお、M元素としては、上記実施例において添加した元素以外に、Cr、Zr、Hf、Taを用いても同様の効果を得ることを確認した。
本発明の希土類焼結磁石は、CuやAlが添加された従来のR−Fe−B系希土類焼結磁石と同等の保磁力を発現するとともに、それらの磁石よりも高い残留磁束密度を示す。このため、本発明の希土類焼結磁石は、保磁力及び残留磁束密度の両方が高い値を有することの求められる種々の用度に好適に用いられる。
Ag添加量と保磁力HcJとの関係を示すグラフである。 元素Mの添加量と保磁力HcJとの関係を示すグラフである。

Claims (4)

  1. 12.0原子%〜15.0原子%の希土類元素(Nd、Pr、Gb、Tb、Dy、及びHoからなる群から選択された少なくとも一種の元素であり、Nd及び/又はPrを50%以上含む)と、
    5.5原子%〜8.5原子%の硼素(B)と、
    0.005原子%〜0.20原子%の銀(Ag)と、
    0.05原子%〜1.0原子%の元素M(Mは、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、およびWからなる群から選択された少なくとも1種の元素)と、
    残部の鉄(Fe)及び不可避的不純物と、
    を含有する希土類焼結磁石。
  2. 不可避的不純物はAlを含み、前記Alの含有量は0.4原子%以下である請求項1に記載の希土類焼結磁石。
  3. 12.0原子%〜15.0原子%の希土類元素(Nd、Pr、Gb、Tb、Dy、及びHoからなる群から選択された少なくとも一種の元素であり、Nd及び/又はPrを50%以上含む)と、5.5原子%〜8.5原子%の硼素(B)と、0.005原子%〜0.20原子%の銀(Ag)と、0.05原子%〜1.0原子%の元素M(Mは、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、およびWからなる群から選択された少なくとも1種の元素)と、残部の鉄(Fe)及び不可避的不純物とを含有する合金を用意する工程と、
    前記合金を粉砕して粉末を作製する工程と、
    前記粉末を焼結する工程と、
    を含む希土類焼結磁石の製造方法。
  4. 12.0原子%〜15.0原子%の希土類元素(Nd、Pr、Gb、Tb、Dy、及びHoからなる群から選択された少なくとも一種の元素であり、Nd及び/又はPrを50%以上含む)と、5.5原子%〜8.5原子%の硼素(B)と、残部の鉄(Fe)及び不可避的不純物とを含有する合金を用意する工程と、
    前記合金を粉砕して粉末を作製する工程と、
    前記粉末に対して0.005原子%〜0.20原子%の銀(Ag)および0.05原子%〜1.0原子%の元素M(Mは、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、およびWからなる群から選択された少なくとも1種の元素)を添加し、微量元素添加粉末を作製する工程と、
    前記微量元素添加粉末を焼結する工程と、
    を含む希土類焼結磁石の製造方法。
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