JP7021578B2 - R-t-b系焼結磁石の製造方法 - Google Patents
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Description
R1:28.5~33.5質量%(R1は、希土類元素のうちの少なくとも1種であり、NdおよびPrの少なくとも1種を含む)、
B:0.84~0.92質量%、
Ga:0.3~0.7質量%、
Cu:0.05~0.35質量%、
Al:0.02~0.50質量%、および
T:63.0質量%以上(Tは、FeとCoでありTの90質量%以上がFeである)を含み、下記式(1)を満足するR-T-B系焼結磁石の製造方法であって、
14×[B]/10.8<[T]/55.85 (1)
([B]は質量%で示すBの含有量であり、[T]は質量%で示すTの含有量である)
R2:80~95質量%(R2は、希土類元素のうちの少なくとも1種)、
Ga:5~20質量%(Gaの40質量%以下をCuで置換できる)、および
Fe:0~1質量%(Feの一部または全部をCoで置換できる)を含むR-Ga合金を準備する工程と、
前記R-Ga合金を水素雰囲気で200℃以上450℃以下の温度に加熱して、水素吸蔵R-Ga合金粗粉末を得る水素吸蔵工程と、
前記水素吸蔵R-Ga合金粗粉末が水素を吸蔵している状態で粉砕しメジアン径d50が1.5~6.0μmであるR-Ga合金粉末を準備する工程と、
メジアン径d50が3.5~7.0μmである主合金粉末を準備する工程と、
前記R-Ga合金粉末と前記主合金粉末とを混合して混合合金粉末を準備する工程であって、当該混合合金粉末に対する前記R-Ga合金粉末の質量比が、1~5質量%である、混合合金粉末を準備する工程と、
前記混合合金粉末を成形して成形体を得る成形工程と、
前記成形体を焼結し焼結体を得る焼結工程と、および
前記焼結体に熱処理を施す熱処理工程と、を含み、
前記R-Ga合金粉末と前記主合金粉末が下記式(2)を満足するR-T-B系焼結磁石の製造方法である。
(主合金粉末のd50)×0.9>(R-Ga合金粉末のd50)・・(2)
(主合金粉末のd50)×0.8>(R-Ga合金粉末のd50)・・(3)
(主合金粉末のd50)×0.7>(R-Ga合金粉末のd50)・・(4)
(主合金粉末のd50)×0.5>(R-Ga合金粉末のd50)・・(5)
ここで、「主合金粉末」とは、混合時に、混合合金粉末の全質量の95%以上を占める合金粉末のことを指す。また、「R-Ga合金粉末」とは、RとGaを主成分とし、Feの含有量が1質量%以下の合金(R-Ga合金)から成る合金粉末のことを指す。
(主合金粉末のd50)×0.9>(R-Ga合金粉末のd50)・・(2)
(主合金粉末のd50)×0.8>(R-Ga合金粉末のd50)・・(3)
(主合金粉末のd50)×0.7>(R-Ga合金粉末のd50)・・(4)
(主合金粉末のd50)×0.5>(R-Ga合金粉末のd50)・・(5)
式(2)は、R-Ga合金粉末の粒度が、主合金粉末の粒度の90%未満であることを意味している。
式(3)は、R-Ga合金粉末の粒度が、主合金粉末の粒度の80%未満であることを意味している。
式(4)は、R-Ga合金粉末の粒度が、主合金粉末の粒度の70%未満であることを意味している。
式(5)は、R-Ga合金粉末の粒度が、主合金粉末の粒度の50%未満であることを意味している。
分散圧:4bar
測定レンジ:R2
計算モード:HRLD
の条件にて測定されたメジアン径d50のことを示す。
以下に、本発明に係る製造方法により得られるR-T-B系焼結磁石と、本発明に係るR-T-B系焼結磁石の製造方法について詳述する。
まず、本発明の実施形態に係る製造方法により得られるR-T-B系焼結磁石(以下、単に「焼結磁石」と記載する場合がある)について説明する。
本実施形態に係るR-T-B系焼結磁石の組成は、
R1:28.5~33.5質量%(R1は、希土類元素のうちの少なくとも1種でありNdおよびPrの少なくとも1種を含む)、
B:0.84~0.92質量%、
Ga:0.3~0.7質量%、
Cu:0.05~0.35質量%、
Al:0.02~0.50質量%、
T:63.0質量%以上(Tは、FeとCoでありTの90質量%以上がFeである)を含み、下記式(1)を満足する。
14×[B]/10.8<[T]/55.85 (1)
([B]は質量%で示すBの含有量であり、[T]は質量%で示すTの含有量である)
R1:28.5~33.5質量%(R1は、希土類元素のうちの少なくとも1種であり、NdおよびPrの少なくとも1種を含む)、
B:0.84~0.92質量%、
Ga:0.3~0.7質量%、
Cu:0.05~0.35質量%、
Al:0.02~0.50質量%、
を含み、
残部がT(Tは、FeとCoでありTの90質量%以上がFeである)および不可避的不純物であり、下記式(1)を満足する。
14×[B]/10.8<[T]/55.85 (1)
([B]は質量%で示すBの含有量であり、[T]は質量%で示すTの含有量である)
R1は、希土類元素のうちの少なくとも1種であり、NdおよびPrの少なくとも1種を含む。焼結磁石中のR1の含有量は、28.5~33.5質量%である。R1が28.5質量%未満であると焼結時の緻密化が困難となるおそれがあり、33.5質量%を超えると主相比率が低下して高いBrが得られないおそれがある。R1の含有量は、好ましくは29.5~32.5質量%である。R1がこのような範囲であれば、より高いBrを得ることができる。
焼結磁石中のBの含有量は、0.84~0.92質量%である。Bが0.84質量%未満であるとR2T17相が生成されて高いHcJが得られないおそれがあり、0.92質量%を超えるとR-T-Ga相の生成量が少なすぎて高いHcJが得られないおそれがある。Bの含有量は、好ましくは0.85~0.92質量%である。Bの一部はCと置換することができる。
14×[B]/10.8<[T]/55.85 (1)
式(1)を満足することにより、Bの含有量が一般的なR-T-B系焼結磁石よりも少なくなる。一般的なR-T-B系焼結磁石は、主相であるR2T14B相以外に軟磁性相であるR2T17相が生成しないように、[T]/55.85(Feの原子量)は14×[B]/10.8(Bの原子量)よりも少ない組成となっている([T]は、質量%で示すFeの含有量である)。本発明のR-T-B系焼結磁石は、一般的なR-T-B系焼結磁石と異なり、[T]/55.85が14×[B]/10.8よりも多くなるように式(1)で規定している。なお、本発明のR-T-B系焼結磁石におけるTの主成分はFeであるため、Feの原子量を用いた。
焼結磁石中のGaの含有量は、0.3~0.7質量%である。Gaが0.3質量%未満であると、R-T-Ga相の生成量が少なすぎて、R2T17相を消失させることができず、高いHcJを得ることができないおそれがあり、0.7質量%を超えると不要なGaが存在することになり、主相比率が低下してBrが低下するおそれがある。
焼結磁石中のCuの含有量は、0.05~0.35質量%である。Cuが0.05質量%未満であると高いHcJを得ることができないおそれがあり、0.35質量%を超えると焼結性が悪化して高いHcJが得られないおそれがある。
焼結磁石中のAlの含有量は、0.02~0.50質量%である。Alを含有することによりHcJを向上させることができるが、含有量が多すぎるとBrが低下する。そのため、Alの含有量は0.02~0.50質量とする。Alは通常、製造工程で不可避的不純物として0.02質量%以上含有されるが、不可避的不純物で含有される量と意図的に添加した量の合計で0.50質量%以下含有してもよい。
Tは、遷移金属元素のうち少なくとも1種であり、Feを必ず含む。
焼結磁石中のTの含有量は63.0質量%以上である。また、Tの全量を100質量%としたとき、その10質量%以下をCoで置換できる。すなわち、Tの全量の90質量%以上がFeである。Coを含有することにより耐食性を向上させることができるが、Coの置換量がFeの10質量%を超えると、高いBrが得られないおそれがある。Tの含有量は、63.0質量%以上であり、且つ、上述した式(1)を満足する。Tの含有量が63.0質量%未満であると、大幅にBrが低下する恐れがある。好ましくは、Tが残部である。さらに、本発明のR-T-B系焼結磁石は、ジジム合金(Nd-Pr)、電解鉄、フェロボロンなどに通常含有される不可避的不純物としてCr、Mn、Si、La、Ce、Sm、Ca、Mgなどを含有することができる。さらに、製造工程中の不可避的不純物として、O(酸素)、N(窒素)およびC(炭素)などを例示できる。また、本発明のR-T-B系焼結磁石は、1種以上の他の元素(不可避的不純物以外の意図的に加えた元素)を含んでもよい。例えば、このような元素として、少量(各々0.1質量%程度)のAg、Zn、In、Sn、Ti、Ge、Y、H、F、P、S、V、Ni、Mo、Hf、Ta、W、Nb、Zrなどを含有してもよい。また、上述した不可避的不純物として挙げた元素を意図的に加えてもよい。このような元素は、合計で例えば1.0質量%程度含まれてもよい。この程度であれば、高いHcJを有するR-T-B系焼結磁石を得ることが十分に可能である。
上述した本実施形態に係る組成を有するR-T-B系焼結磁石は、主合金粉末とR-Ga合金粉末とを用いて、ブレンド法により製造することができる。具体的には、本発明に係るR-T-B系焼結磁石の製造方法は、以下の工程1.~8.を含む。また、図1には、工程1.~5.を説明するフローチャートを示す。
1.R-Ga合金を準備する工程
2.水素吸蔵R-Ga合金粗粉末を得る水素吸蔵工程
3.R-Ga合金粉末を準備する工程
4.主合金粉末を準備する工程
5.混合合金粉末を準備する工程
6.成形工程
7.焼結工程
8.熱処理工程
工程1.~3.(R-Ga合金を準備する工程~R-Ga合金粉末を準備する工程)と工程4.(主合金粉末を準備する工程)との順序は任意であり、例えば、最初に工程4.を行った後に工程1.~3.を行ってもよい。また、各工程は、それぞれ異なる場所で作製してもよい。
また、R-Ga合金粉末は、水素吸蔵R-Ga合金粗粉末と主合金の粗粉末の一部とを混合することにより準備してもよい。この場合、主合金粉末のd50は、R-Ga合金粉末とともに作製された微細な主合金粉末のd50と、別に作製された主合金粉末のd50とにおけるそれぞれの混合合金粉末に対する質量比を考慮し、計算してもとめる。もとめた主合金粉末のd50が本発明の範囲内(3.5~7.0μm)となり、さらに下記式(2)を満足すればよい。
(主合金粉末のd50)×0.9>(R-Ga合金粉末のd50)・・(2)
以下に、本発明の実施形態に係るR-T-B系焼結磁石の製造方法の詳細を説明する。
この工程では、R-Ga合金を準備する(図1)。
本発明の態様に係るR-Ga合金の組成は、
R2:80~95質量%(R2は、希土類元素のうちの少なくとも1種)、
Ga:5~20質量%(Gaの40質量%以下をCuで置換できる)、
Fe:0~1質量%(Feの一部またはすべてをCoで置換できる)を含む。
このような組成を有するR-Ga合金は、特定の温度に加熱して水素を吸蔵させ、水素を吸蔵した状態のまま粉砕することにより、d50が1.5~6.0μmの微細なR-Ga合金粉末に粉砕することができる。
以下に、R-Ga合金に含まれる各元素の限定理由を記載する。
R2は、希土類元素の少なくとも1種である。R-Ga合金中のR2の含有量は、80~95質量%である。R-Ga合金中のR2が80質量%未満であると、高いHcJを有するR-T-B系焼結磁石を得ることができないおそれがあり、95質量%を超えるとR2量が多すぎるため、酸化の問題が発生して、磁気特性の低下や発火の危険等を招き、生産上問題となるおそれがある。
R-Ga合金中のGaの含有量は、5~20質量%である。Gaが5質量%未満であると、高いHcJを有するR-T-B系焼結磁石を得ることができないおそれがあり、20質量%を超えるとHcJが低下するおそれがある。Gaの40質量%以下をCuで置換できる。
R-Ga合金中のFeの含有量は0~1質量%である。Feが1質量%を超えると高いHcJを得ることができない。また、Feの一部またはすべてをCoで置換できる。好ましくは、R-Ga合金には、FeおよびCoを含有しない。
この工程では、得られたR-Ga合金(R-Ga合金鋳片)を粉砕して、水素吸蔵R-Ga合金粗粉末を準備する(図1)。
上述した組成からなるR-Ga合金を、水素雰囲気で200℃以上450℃以下の温度に加熱して、水素吸蔵R-Ga合金粗粉末を得る。本明細書において、「水素吸蔵R-Ga合金粗粉末」とは、R-Ga合金を水素吸蔵処理することにより得られる粗粉末状のR-Ga合金粉末を意味する。
なお本明細書において、「R-Ga合金粉末」とは、d50が6μm以下のR-Ga合金の粉末を意味する。
この工程では、水素吸蔵R-Ga合金粗粉末を粉砕して、微細なR-Ga合金粉末を準備する(図1)。
得られた前記水素吸蔵R-Ga合金粗粉末を、水素を吸蔵している状態で粉砕して、メジアン径d50が1.5~6.0μmである微細なR-Ga合金粉末を作製する。水素吸蔵R-Ga合金粗粉末は水素を吸蔵している状態である。この状態で粉砕(微粉砕)することにより、R-Ga合金を微細な粉末に粉砕することができる。
(主合金粉末のd50)×0.9>(R-Ga合金粉末のd50)・・(2)
R-Ga合金粉末のd50が6μmを超えると、R-Ga合金粉末の粒度が大きくなりすぎて、主合金粉末との粒度差の関係式(上記式(2))を満足しにくくなるため、好ましくない。また、R-Ga合金粉末は微粉砕が難しく、d50を1.5μm未満に粉砕することは困難であるため、d50は1.5μm以上とするのが好ましい。
水素吸蔵R-Ga合金粗粉末が水素を吸蔵している状態で、不活性ガス中でジェットミル等により微粉砕することによりR-Ga合金粉末(微粉砕粉末)を得る。ここで、本発明において、水素吸蔵R-Ga合金粗粉末が水素を吸蔵している状態とは、水素吸蔵R-Ga合金粗粉末が含有する水素量が2600ppm以上であることをいう。水素吸蔵R-Ga合金粗粉末が水素を吸蔵している状態で微粉砕することにより、d50が1.5~6.0μmの微細なR-Ga合金粉末を得ることができる。そのような微細なR-Ga合金粉末を用いて製造したR-T-B系焼結磁石は、高いHcJを有することができる。
さらに好ましくは、水素吸蔵R-Ga合金粗粉末を加熱することなく、水素吸蔵工程後の水素吸蔵R-Ga合金粗粉末を粉砕(微粉砕)する。(但し、微粉砕時に水素吸蔵R-Ga合金粗粉末の温度が上昇する場合があるため、自身の発熱による温度上昇は加熱に含まない。)
また、本発明では、R-Ga合金粉末の粒度と主合金粉末の粒度が特定の関係を満たすように、各合金粉末の粒度を制御する必要がある。R-Ga合金粉末をジェットミルにより作製する場合は、ジェットミルへの原料供給量(5~300g/分)、分級ロータ回転数(3500~9000rpm)、粉砕時のガスの種類(アルゴン、窒素、ヘリウム等)、ガスの圧力(0.4MPa~0.8MPa)、粉砕時間等の条件を調整することによって所望の粒度に制御することができる。
この工程では、メジアン径d50が3.5~7.0μmである主合金粉末を準備する(図1)。
主合金粉末のd50が7.0μmを超えると、焼結後のR-T-B系焼結磁石における平均結晶粒径が増加(例えば8μm以上)してHcJが低下する恐れがある。
(主合金粉末のd50)×0.9>(R-Ga合金粉末のd50)・・(2)
Rm:27.5~33.0質量%(Rmは、希土類元素の少なくとも1種であり、NdおよびPrの少なくとも1種を含む)、
B:0.85~0.97質量%、
Ga:0.25~0.65質量%、
Cu:0.05~0.37質量%、
Al:0.02~0.53質量%、
Fe:65質量%以上を含む。
得られたフレーク状の主合金鋳片は、例えば公知の粉砕方法を用いて主合金粉末(微粉砕粉末)に粉砕する。具体的には、主合金を水素粉砕等によって粗粉砕し、平均粒度が1.0mm以下の粗粉末を準備する。次に、主合金の粗粉末を、不活性ガス中でジェットミル等により微粉砕し、d50が3.5~7.0μmの微細な粉末(主合金粉末)が得られる。
なお本明細書において、「主合金粉末」とは、d50が7μm以下の主合金の粉末を意味する。
この工程では、それぞれ準備したR-Ga合金粉末(微粉末)と主合金粉末(微粉末)とを混合して、混合合金粉末(微粉末)を得る(図1)。
R-Ga合金粉末と主合金粉末は例えば、V型混合機などの公知の混合器で混合すればよい。
(主合金粉末のd50)×0.9>(R-Ga合金粉末のd50)・・(2)
これにより、後述する焼結工程において、RとGaを含む液相成分の分散性を向上させることができると考えられる。これにより、焼結後の組織において、二粒子粒界の厚さを均一にかつ厚くすることができる。また、二粒子粒界内におけるR-Ga相の生成を、より確実に達成することができる。
(主合金粉末のd50)×0.8>(R-Ga合金粉末のd50)・・(3)
(主合金粉末のd50)×0.7>(R-Ga合金粉末のd50)・・(4)
(主合金粉末のd50)×0.5>(R-Ga合金粉末のd50)・・(5)
この工程では、混合合金粉末を所定形状に成形して、成形体を得る。
得られた混合合金粉末を用いて磁界中成形を行い、成形体を得る。磁界中成形は、金型のキャビティー内に乾燥した合金粉末を挿入し、磁界を印加しながら成形する乾式成形法、金型のキャビティー内にスラリーを注入し、スラリーの分散媒を排出しながら成形する湿式成形法を含む既知の任意の磁界中成形方法を用いてよい。
この工程では、得られた成形体を焼結して、焼結体を得る。
成形体を焼結することにより焼結磁石を得る。成形体の焼結は既知の方法を用いることができる。なお、焼結時の雰囲気による酸化を防止するために、焼結は真空雰囲気中または不活性ガス中で行うことが好ましい。不活性ガスは、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスを用いることが好ましい。
この工程では、焼結体に熱処理を施して、最終的なR-T-B系焼結磁石を得る。
得られた焼結磁石に対し、磁気特性を向上させることを目的とした熱処理を行うことが好ましい。熱処理温度、熱処理時間などは既知の条件を用いることができる。例えば、比較的低い温度(400℃以上600℃以下)のみでの熱処理(一段熱処理)をしてもよく、あるいは比較的高い温度(700℃以上焼結温度以下(例えば1050℃以下))で熱処理を行った後比較的低い温度(400℃以上600℃以下)で熱処理(二段熱処理)をしてもよい。好ましい条件は、730℃以上1020℃以下で5分から500分程度の熱処理を施し、冷却後(室温まで冷却後、または440℃以上550℃以下まで冷却後)、さらに440℃以上550℃以下で5分から500分程度熱処理をすることが挙げられる。熱処理雰囲気は、真空雰囲気あるいは不活性ガス(ヘリウムやアルゴンなど)で行うことが好ましい。
およそ表1の試料No.1-1及び1-2に示すR-T-B系焼結磁石の組成となるように各元素を秤量し、ストリップキャスト法により、それぞれの合金を作製した。得られた各合金に対して、公知の水素粉砕を行い粗粉砕粉末を得た。具体的には、前記合金をそれぞれ水素炉内に装入した後真空にし、室温で絶対圧が295kPaになるまで水素導入し水素脆化した後、550℃まで真空中で加熱、冷却する脱水素処理を施し、粗粉砕粉末を得た。
表5に記載の他の試料(試料No.1-4~1-15)、並びに表10に記載の各試料についても、各合金および混合比の条件を同様の記載ルールに沿って記載している。
およそ表8の試料No.2-1及び2-2に示すR-T-B系焼結磁石の組成となるように各元素を秤量し、ストリップキャスト法により、それぞれの合金を作製した。得られた前記合金を実施例1と同様な方法で公知の水素粉砕を行い粗粉砕粉末を得た。具体的には、前記合金をそれぞれ水素炉内に装入した後真空にし、室温で絶対圧が295kPaになるまで水素導入し水素脆化した後、550℃まで真空中で加熱、冷却する脱水素処理を施し、粗粉砕粉末を得た。
主合金として実施例1の合金No.Aの粗粉砕粉末(主合金の粗粉末)を準備した。次に水素吸蔵R-Ga合金粗粉末として実施例1の水素吸蔵R-Ga合金No.G-1を準備した。準備した主合金の粗粉砕粉末をジェットミルにより微粉砕し、微粉砕の条件を調整することによりメジアン径d50が4.8μmの微粉砕粉末(主合金粉末)を得た。また、R-Ga合金粉末は、水素吸蔵R-Ga合金粗粉末と主合金の粗粉末の一部とを混合することにより準備した。具体的には、実施例1の合金No.Aの粗粉砕粉末(主合金の粗粉末)と実施例1の水素吸蔵R-Ga合金No.G-1とを80:20(質量比率)で混合した後ジェットミルにより微粉砕し、微粉砕の条件を調整することによりメジアン径d50が2.3μmの微粉砕粉末(主合金粉末及びR-Ga合金粉末)を得た。なお、主相合金の粗粉末と水素吸蔵RGa合金粗粉末の粉砕性は同等であることを確認している。得られた主合金粉末(メジアン径d50が4.8μmの主合金粉末及びR-Ga合金粉末とともに得られたメジアン径d50が2.3μmの主合金粉末)とR-Ga合金粉末(メジアン径d50が2.3μm)をV型混合機に投入して混合し、混合合金粉末(微粉砕粉末)を作成した。混合合金粉末の質量に対するR-Ga合金粉末の質量の比は2.5質量%であった。また、R-Ga合金粉末とともに作製した微細な主合金粉末のd50(2.3μm)と、別に作製した主合金粉末のd50(4.8μm)とにおけるそれぞれの混合合金粉末に対する質量比を考慮し、計算した所、主合金粉末のd50は4.5μmであった。
Claims (4)
- R1:28.5~33.5質量%(R1は、希土類元素のうちの少なくとも1種であり、NdおよびPrの少なくとも1種を含む)、
B:0.84~0.92質量%、
Ga:0.3~0.7質量%、
Cu:0.05~0.35質量%、
Al:0.02~0.50質量%、および
T:63.0質量%以上(Tは、FeとCoでありTの90質量%以上がFeである)を含み、下記式(1)を満足するR-T-B系焼結磁石の製造方法であって、
14×[B]/10.8<[T]/55.85 (1)
([B]は質量%で示すBの含有量であり、[T]は質量%で示すTの含有量である)
R2:80~95質量%(R2は、希土類元素のうちの少なくとも1種)、
Ga:5~20質量%(Gaの40質量%以下をCuで置換できる)、および
Fe:0~1質量%(Feの一部または全部をCoで置換できる)を含むR-Ga合金を準備する工程と、
前記R-Ga合金を水素雰囲気で200℃以上450℃以下の温度に加熱して、水素吸蔵R-Ga合金粗粉末を得る水素吸蔵工程と、
前記水素吸蔵R-Ga合金粗粉末が水素を吸蔵している状態で粉砕しメジアン径d50が1.5~6.0μmであるR-Ga合金粉末を準備する工程と、
メジアン径d50が3.5~7.0μmである主合金粉末を準備する工程と、
前記R-Ga合金粉末と前記主合金粉末とを混合して混合合金粉末を準備する工程であって、当該混合合金粉末に対する前記R-Ga合金粉末の質量比が、1~5質量%である、混合合金粉末を準備する工程と、
前記混合合金粉末を成形して成形体を得る成形工程と、
前記成形体を焼結し焼結体を得る焼結工程と、
前記焼結体に熱処理を施す熱処理工程と、を含み、
前記R-Ga合金粉末と前記主合金粉末が下記式(2)を満足するR-T-B系焼結磁石の製造方法。
(主合金粉末のd50)×0.9>(R-Ga合金粉末のd50)・・(2) - 前記R-Ga合金粉末と前記主合金粉末が下記式(3)を満足する請求項1に記載の製造方法。
(主合金粉末のd50)×0.8>(R-Ga合金粉末のd50)・・(3) - 前記R-Ga合金粉末と前記主合金粉末が下記式(4)を満足する請求項1に記載の製造方法。
(主合金粉末のd50)×0.7>(R-Ga合金粉末のd50)・・(4) - 前記R-Ga合金粉末と前記主合金粉末が下記式(5)を満足する請求項1に記載の製造方法。
(主合金粉末のd50)×0.5>(R-Ga合金粉末のd50)・・(5)
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