JP7021578B2 - R-t-b系焼結磁石の製造方法 - Google Patents

R-t-b系焼結磁石の製造方法 Download PDF

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Description

本開示は、R-T-B系焼結磁石の製造方法に関する。
R-T-B系焼結磁石(Rは希土類元素のうちの少なくとも一種であり、NdおよびPrの少なくとも1種を含む、Tは遷移金属元素のうちの少なくとも一種でありFeを必ず含む)は、R14B型結晶構造を有する化合物からなる主相と、この主相の粒界部分に位置する粒界相とから構成されており、永久磁石の中で最も高性能な磁石として知られている。
このため、ハードディスクドライブのボイスコイルモータ(VCM)、電気自動車(EV、HV、PHV)用モータ、産業機器用モータなどの各種モータや家電製品など多種多様な用途に用いられている。
このように用途が広がるにつれ、例えば電気自動車用モータで用いられた場合は、100℃~160℃のような高温下に曝される場合があり、高温下においても安定した動作が要求されている。
しかし、従来のR-T-B系焼結磁石は、高温になると保磁力HcJ(以下、単に「HcJ」と記載する場合がある)が低下し、不可逆熱減磁が起こるという問題がある。電気自動車用モータにR-T-B系焼結磁石が使用される場合、高温下での使用によりHcJが低下し、モータの安定した動作が得られない恐れがある。そのため、室温において高いHcJを有し、かつ高温においても高いHcJを有するR-T-B系焼結磁石が求められている。
室温におけるHcJ向上のために、従来R-T-B系焼結磁石に重希土類元素RH(主としてDy)を添加していたが、残留磁束密度B(以下、単に「B」と記載する場合がある)が低下するという問題があった。さらに、Dyは、産出地が限定されている等の理由から、供給が不安定であり、また価格が大きく変動することがあるなどの問題を有している。そのため、Dyなどの重希土類元素RHをできるだけ使用せずにR-T-B系焼結磁石のHcJを向上させる技術が求められている。
このような技術として、例えば特許文献1は、通常のR-T-B系合金よりもB量を低くするとともに、Al、GaおよびCuのうちから選ばれる1種以上である金属元素Mを含有させることによりR17相を生成させ、当該R17相を原料として生成させた遷移金属リッチ相(R-T-Ga相)の体積率を充分に確保することにより、Dyの含有量を抑制しつつ、保磁力の高いR-T-B系焼結磁石が得られることを開示している。
国際公開第2013/008756号公報
しかし、特許文献1に記載されるR-T-B系焼結磁石はHcJが向上しているものの、近年の要求を満足するには不十分である。
そこで本発明は、高いB及び高いHcJを有するR-T-B系焼結磁石の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の態様1は、
R1:28.5~33.5質量%(R1は、希土類元素のうちの少なくとも1種であり、NdおよびPrの少なくとも1種を含む)、
B:0.84~0.92質量%、
Ga:0.3~0.7質量%、
Cu:0.05~0.35質量%、
Al:0.02~0.50質量%、および
T:63.0質量%以上(Tは、FeとCoでありTの90質量%以上がFeである)を含み、下記式(1)を満足するR-T-B系焼結磁石の製造方法であって、

14×[B]/10.8<[T]/55.85 (1)
([B]は質量%で示すBの含有量であり、[T]は質量%で示すTの含有量である)

R2:80~95質量%(R2は、希土類元素のうちの少なくとも1種)、
Ga:5~20質量%(Gaの40質量%以下をCuで置換できる)、および
Fe:0~1質量%(Feの一部または全部をCoで置換できる)を含むR-Ga合金を準備する工程と、
前記R-Ga合金を水素雰囲気で200℃以上450℃以下の温度に加熱して、水素吸蔵R-Ga合金粗粉末を得る水素吸蔵工程と、
前記水素吸蔵R-Ga合金粗粉末が水素を吸蔵している状態で粉砕しメジアン径d50が1.5~6.0μmであるR-Ga合金粉末を準備する工程と、
メジアン径d50が3.5~7.0μmである主合金粉末を準備する工程と、
前記R-Ga合金粉末と前記主合金粉末とを混合して混合合金粉末を準備する工程であって、当該混合合金粉末に対する前記R-Ga合金粉末の質量比が、1~5質量%である、混合合金粉末を準備する工程と、
前記混合合金粉末を成形して成形体を得る成形工程と、
前記成形体を焼結し焼結体を得る焼結工程と、および
前記焼結体に熱処理を施す熱処理工程と、を含み、
前記R-Ga合金粉末と前記主合金粉末が下記式(2)を満足するR-T-B系焼結磁石の製造方法である。

(主合金粉末のd50)×0.9>(R-Ga合金粉末のd50)・・(2)
本発明の態様2は、前記R-Ga合金粉末と前記主合金粉末が下記式(3)を満足する態様1に記載の製造方法である。

(主合金粉末のd50)×0.8>(R-Ga合金粉末のd50)・・(3)
本発明の態様3は、前記R-Ga合金粉末と前記主合金粉末が下記式(4)を満足する態様1に記載の製造方法である。

(主合金粉末のd50)×0.7>(R-Ga合金粉末のd50)・・(4)
本発明の態様4は、前記R-Ga合金粉末と前記主合金粉末が下記式(5)を満足する態様1に記載の製造方法である。

(主合金粉末のd50)×0.5>(R-Ga合金粉末のd50)・・(5)
本発明によれば、高いB及び高いHcJを有するR-T-B系焼結磁石の製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の工程の例を示すフローチャートである。
以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するためのR-T-B系焼結磁石の製造方法を例示するものであって、本発明を以下に限定するものではない。
特許文献1に記載されているように一般的なR-T-B系焼結磁石よりもB量を少なく(R14B型化合物の化学量論比のB量よりも少なく)し、Ga等を添加することにより、遷移金属リッチ相(R-T-Ga相)を生成させてHcJを向上させることができる。しかし、本発明者らが鋭意検討した結果、R-T-Ga相は若干の磁化を有しており、R-T-B系焼結磁石における2つの主相間に存在する第一の粒界(以下、「二粒子粒界」と記載する場合がある)と、3つ以上の主相間に存在する第二の粒界(以下、「三重点粒界」と記載する場合がある)のうち、特にHcJに主に影響すると考えられる二粒子粒界にR-T-Ga相が多く存在すると、HcJ向上の妨げになることが分かった。また、R-T-Ga相の生成とともに、二粒子粒界にR-T-Ga相よりも磁化が低いと考えられるR-Ga相が生成されていることが分かった。そこで、高いHcJを有するR-T-B系焼結磁石を得るためには、R-T-Ga相を生成する必要はあるものの、二粒子粒界にR-Ga相を多く生成させることが重要であると想定した。
本発明者らは、二粒子粒界にR-Ga相を多く生成させるためには、R-Ga合金粉末と主合金粉末とを準備し、それらの合金粉末を混合する、いわゆるブレンド法によりR-T-B系焼結磁石を製造することが有効であると考えた。
ここで、「主合金粉末」とは、混合時に、混合合金粉末の全質量の95%以上を占める合金粉末のことを指す。また、「R-Ga合金粉末」とは、RとGaを主成分とし、Feの含有量が1質量%以下の合金(R-Ga合金)から成る合金粉末のことを指す。
しかし、R-Ga合金は粉砕性が悪く、ブレンド法において、R-Ga合金粉末を得るために通常の水素粉砕等の方法を用いて粉砕しても、メジアン径d50(気流分散式レーザー回折法による測定で得られる体積中心値(体積基準メジアン径)をいう。以下において同じ。また、単に「d50」と記載する場合がある)が20μm程度の大きさまでしか粉砕することができなかった。このような大きさのR-Ga合金を用いてブレンド法によりR-T-B系焼結磁石を製造した場合、R-T-B系焼結磁石の二粒子粒界にR-Ga相を十分に生成させることができず、さらには、そもそも粒径が大きすぎる(高いB及び高いHcJを得るにはd50が8μm以下、より好ましくは1.5~6μmに粉砕する必要がある)ため高いB及び高いHcJを有するR-T-B系焼結磁石を得ることができなかった。R-Ga合金に対してFeを過多に添加することにより粉砕性を高めることができたが、この場合、得られたR-T-B系焼結磁石の二粒子粒界において、磁化を有するFe濃度が上昇し、やはり高いHcJを得ることができなかった。
本発明者らはさらに鋭意検討した結果、ブレンド法において、特定組成のR-Ga合金に対して特定の温度で水素を吸蔵させ、水素が吸蔵された状態(水素量が2600ppm以上)のR-Ga合金を粉砕することにより、得られるR-Ga合金粉末の大きさをd50が8μm以下(典型的には、d50=1.5~6μm)まで小さくできることを見出した。これにより、HcJを低下させる原因となるFeを過多に添加することなく、R-Ga合金を8μm以下に粉砕することができる。そして、本発明の特定組成のR-Ga合金粉末と主合金粉末とを用いてR-T-B系焼結磁石を作製することにより、二粒子粒界に多くのR-Ga相が生成されると考えられる。これにより高いB及び高いHcJを有するR-T-B系焼結磁石を得ることができる。
さらに、本発明は、組成の異なる2種類の合金粉末を混合して焼結するに際し、R-Ga合金粉末の粒径を相対的に小さくする。R-Ga合金粉末の粒径を主合金粉末よりも相対的に小さくすることで、焼結過程において、RとGaを含む液相成分の分散性を向上させることができると考えられる。その結果、焼結後の組織において、二粒子粒界に確実にR-Ga相を生成させることができる。
このような効果を確実に得るためには、主合金粉末のメジアン径d50とR-Ga粉末のメジアン径d50とを、下記式(2)を満足するように制御する必要がある。特に、それらのメジアン径d50の関係が、下記式(3)を満足するのが好ましく、下記式(4)を満足するのがさらに好ましく、下記式(5)を満足するのが特に好ましい。

(主合金粉末のd50)×0.9>(R-Ga合金粉末のd50)・・(2)
(主合金粉末のd50)×0.8>(R-Ga合金粉末のd50)・・(3)
(主合金粉末のd50)×0.7>(R-Ga合金粉末のd50)・・(4)
(主合金粉末のd50)×0.5>(R-Ga合金粉末のd50)・・(5)
各式の意義は以下の通りである。
式(2)は、R-Ga合金粉末の粒度が、主合金粉末の粒度の90%未満であることを意味している。
式(3)は、R-Ga合金粉末の粒度が、主合金粉末の粒度の80%未満であることを意味している。
式(4)は、R-Ga合金粉末の粒度が、主合金粉末の粒度の70%未満であることを意味している。
式(5)は、R-Ga合金粉末の粒度が、主合金粉末の粒度の50%未満であることを意味している。
なお本発明の実施形態におけるメジアン径d50は、Sympatec社製の粒度分布測定装置「HELOS&RODOS」において
分散圧:4bar
測定レンジ:R2
計算モード:HRLD
の条件にて測定されたメジアン径d50のことを示す。
R-Ga合金粉末の粒度と主合金粉末の粒度を異ならせることにより、厚さが厚くかつ均一な二粒子粒界を得やすくなり、その結果、得られたR-T-B系焼結磁石のHcJを向上させることができると考えられる。特に、それらの粒子の粒度差が大きくなるほど、HcJの向上効果を高めることができる。
以下に、本発明に係る製造方法により得られるR-T-B系焼結磁石と、本発明に係るR-T-B系焼結磁石の製造方法について詳述する。
[R-T-B系焼結磁石]
まず、本発明の実施形態に係る製造方法により得られるR-T-B系焼結磁石(以下、単に「焼結磁石」と記載する場合がある)について説明する。
本実施形態に係るR-T-B系焼結磁石の組成は、
R1:28.5~33.5質量%(R1は、希土類元素のうちの少なくとも1種でありNdおよびPrの少なくとも1種を含む)、
B:0.84~0.92質量%、
Ga:0.3~0.7質量%、
Cu:0.05~0.35質量%、
Al:0.02~0.50質量%、
T:63.0質量%以上(Tは、FeとCoでありTの90質量%以上がFeである)を含み、下記式(1)を満足する。

14×[B]/10.8<[T]/55.85 (1)
([B]は質量%で示すBの含有量であり、[T]は質量%で示すTの含有量である)
また、本発明の好ましい実施形態に係るR-T-B系焼結磁石の組成は、
R1:28.5~33.5質量%(R1は、希土類元素のうちの少なくとも1種であり、NdおよびPrの少なくとも1種を含む)、
B:0.84~0.92質量%、
Ga:0.3~0.7質量%、
Cu:0.05~0.35質量%、
Al:0.02~0.50質量%、
を含み、
残部がT(Tは、FeとCoでありTの90質量%以上がFeである)および不可避的不純物であり、下記式(1)を満足する。

14×[B]/10.8<[T]/55.85 (1)
([B]は質量%で示すBの含有量であり、[T]は質量%で示すTの含有量である)
上記組成により、一般的なR-T-B系焼結磁石よりもB量を少なくするとともに、Ga等を含有させているので、二粒子粒界にR-T-Ga相が生成して、高いHcJを有することができる。ここで、R-T-Ga相とは、代表的にはNdFe13Ga化合物である。R13Ga化合物は、LaCo11Ga型結晶構造を有する。また、R13Ga化合物は、その状態によっては、R13-δGa1+δ化合物(δは典型的には2以下)になっている場合がある。例えば、R-T-B系焼結磁石中に比較的多くCu、Alが含有される場合、R13-δ(Ga1-x-yCuAl1+δになっている場合がある。
(R1:28.5~33.5質量%)
R1は、希土類元素のうちの少なくとも1種であり、NdおよびPrの少なくとも1種を含む。焼結磁石中のR1の含有量は、28.5~33.5質量%である。R1が28.5質量%未満であると焼結時の緻密化が困難となるおそれがあり、33.5質量%を超えると主相比率が低下して高いBが得られないおそれがある。R1の含有量は、好ましくは29.5~32.5質量%である。R1がこのような範囲であれば、より高いBを得ることができる。
(B:0.84~0.92質量%)
焼結磁石中のBの含有量は、0.84~0.92質量%である。Bが0.84質量%未満であるとR17相が生成されて高いHcJが得られないおそれがあり、0.92質量%を超えるとR-T-Ga相の生成量が少なすぎて高いHcJが得られないおそれがある。Bの含有量は、好ましくは0.85~0.92質量%である。Bの一部はCと置換することができる。
Bの含有量は下記式(1)を満たす。

14×[B]/10.8<[T]/55.85 (1)

式(1)を満足することにより、Bの含有量が一般的なR-T-B系焼結磁石よりも少なくなる。一般的なR-T-B系焼結磁石は、主相であるR14B相以外に軟磁性相であるR17相が生成しないように、[T]/55.85(Feの原子量)は14×[B]/10.8(Bの原子量)よりも少ない組成となっている([T]は、質量%で示すFeの含有量である)。本発明のR-T-B系焼結磁石は、一般的なR-T-B系焼結磁石と異なり、[T]/55.85が14×[B]/10.8よりも多くなるように式(1)で規定している。なお、本発明のR-T-B系焼結磁石におけるTの主成分はFeであるため、Feの原子量を用いた。
(Ga:0.3~0.7質量%)
焼結磁石中のGaの含有量は、0.3~0.7質量%である。Gaが0.3質量%未満であると、R-T-Ga相の生成量が少なすぎて、R17相を消失させることができず、高いHcJを得ることができないおそれがあり、0.7質量%を超えると不要なGaが存在することになり、主相比率が低下してBが低下するおそれがある。
(Cu:0.05~0.35質量%)
焼結磁石中のCuの含有量は、0.05~0.35質量%である。Cuが0.05質量%未満であると高いHcJを得ることができないおそれがあり、0.35質量%を超えると焼結性が悪化して高いHcJが得られないおそれがある。
(Al:0.02~0.50質量%)
焼結磁石中のAlの含有量は、0.02~0.50質量%である。Alを含有することによりHcJを向上させることができるが、含有量が多すぎるとBが低下する。そのため、Alの含有量は0.02~0.50質量とする。Alは通常、製造工程で不可避的不純物として0.02質量%以上含有されるが、不可避的不純物で含有される量と意図的に添加した量の合計で0.50質量%以下含有してもよい。
(T:63.0質量%以上(Tは、FeとCoでありTの90質量%以上がFeである))
Tは、遷移金属元素のうち少なくとも1種であり、Feを必ず含む。
焼結磁石中のTの含有量は63.0質量%以上である。また、Tの全量を100質量%としたとき、その10質量%以下をCoで置換できる。すなわち、Tの全量の90質量%以上がFeである。Coを含有することにより耐食性を向上させることができるが、Coの置換量がFeの10質量%を超えると、高いBが得られないおそれがある。Tの含有量は、63.0質量%以上であり、且つ、上述した式(1)を満足する。Tの含有量が63.0質量%未満であると、大幅にBが低下する恐れがある。好ましくは、Tが残部である。さらに、本発明のR-T-B系焼結磁石は、ジジム合金(Nd-Pr)、電解鉄、フェロボロンなどに通常含有される不可避的不純物としてCr、Mn、Si、La、Ce、Sm、Ca、Mgなどを含有することができる。さらに、製造工程中の不可避的不純物として、O(酸素)、N(窒素)およびC(炭素)などを例示できる。また、本発明のR-T-B系焼結磁石は、1種以上の他の元素(不可避的不純物以外の意図的に加えた元素)を含んでもよい。例えば、このような元素として、少量(各々0.1質量%程度)のAg、Zn、In、Sn、Ti、Ge、Y、H、F、P、S、V、Ni、Mo、Hf、Ta、W、Nb、Zrなどを含有してもよい。また、上述した不可避的不純物として挙げた元素を意図的に加えてもよい。このような元素は、合計で例えば1.0質量%程度含まれてもよい。この程度であれば、高いHcJを有するR-T-B系焼結磁石を得ることが十分に可能である。
[R-T-B系焼結磁石の製造方法]
上述した本実施形態に係る組成を有するR-T-B系焼結磁石は、主合金粉末とR-Ga合金粉末とを用いて、ブレンド法により製造することができる。具体的には、本発明に係るR-T-B系焼結磁石の製造方法は、以下の工程1.~8.を含む。また、図1には、工程1.~5.を説明するフローチャートを示す。

1.R-Ga合金を準備する工程
2.水素吸蔵R-Ga合金粗粉末を得る水素吸蔵工程
3.R-Ga合金粉末を準備する工程
4.主合金粉末を準備する工程
5.混合合金粉末を準備する工程
6.成形工程
7.焼結工程
8.熱処理工程
本発明では、主合金とR-Ga合金は別々に微粉砕し、主合金粉末とR-Ga合金粉末を作製する(上記の工程2.~4.)。
工程1.~3.(R-Ga合金を準備する工程~R-Ga合金粉末を準備する工程)と工程4.(主合金粉末を準備する工程)との順序は任意であり、例えば、最初に工程4.を行った後に工程1.~3.を行ってもよい。また、各工程は、それぞれ異なる場所で作製してもよい。
また、R-Ga合金粉末は、水素吸蔵R-Ga合金粗粉末と主合金の粗粉末の一部とを混合することにより準備してもよい。この場合、主合金粉末のd50は、R-Ga合金粉末とともに作製された微細な主合金粉末のd50と、別に作製された主合金粉末のd50とにおけるそれぞれの混合合金粉末に対する質量比を考慮し、計算してもとめる。もとめた主合金粉末のd50が本発明の範囲内(3.5~7.0μm)となり、さらに下記式(2)を満足すればよい。

(主合金粉末のd50)×0.9>(R-Ga合金粉末のd50)・・(2)
後述するように、主合金粉末とR-Ga合金粉末が上記式(2)を満たすようにするためには、微粉砕の条件を、主合金粉末(上記の工程4.)とR-Ga合金粉末(上記の工程3.)とで変える必要がある。
以下に、本発明の実施形態に係るR-T-B系焼結磁石の製造方法の詳細を説明する。
1.R-Ga合金を準備する工程
この工程では、R-Ga合金を準備する(図1)。
本発明の態様に係るR-Ga合金の組成は、
R2:80~95質量%(R2は、希土類元素のうちの少なくとも1種)、
Ga:5~20質量%(Gaの40質量%以下をCuで置換できる)、
Fe:0~1質量%(Feの一部またはすべてをCoで置換できる)を含む。
このような組成を有するR-Ga合金は、特定の温度に加熱して水素を吸蔵させ、水素を吸蔵した状態のまま粉砕することにより、d50が1.5~6.0μmの微細なR-Ga合金粉末に粉砕することができる。
このようなd50が1.5~6.0μmのR-Ga合金粉末と、d50が3.5~7.0μmの主合金粉末と、を混合した混合合金粉末を、成形、焼結および熱処理することにより、高いB及び高いHcJを有するR-T-B系焼結磁石を得ることができる。
以下に、R-Ga合金に含まれる各元素の限定理由を記載する。
(R2:80~95質量%)
R2は、希土類元素の少なくとも1種である。R-Ga合金中のR2の含有量は、80~95質量%である。R-Ga合金中のR2が80質量%未満であると、高いHcJを有するR-T-B系焼結磁石を得ることができないおそれがあり、95質量%を超えるとR2量が多すぎるため、酸化の問題が発生して、磁気特性の低下や発火の危険等を招き、生産上問題となるおそれがある。
(Ga:5~20質量%)
R-Ga合金中のGaの含有量は、5~20質量%である。Gaが5質量%未満であると、高いHcJを有するR-T-B系焼結磁石を得ることができないおそれがあり、20質量%を超えるとHcJが低下するおそれがある。Gaの40質量%以下をCuで置換できる。
(Fe:0~1質量%)
R-Ga合金中のFeの含有量は0~1質量%である。Feが1質量%を超えると高いHcJを得ることができない。また、Feの一部またはすべてをCoで置換できる。好ましくは、R-Ga合金には、FeおよびCoを含有しない。
R-Ga合金は、R2、GaおよびFeを上述した範囲で含み、残部が不可避的不純物からなることが好ましい。不可避的不純物としては、例えばCr、Mn、Si、La、Ce、Sm、Ca、Mgなどを含有することができる。さらに、製造工程中の不可避的不純物として、O(酸素)、N(窒素)およびC(炭素)などを例示できる。また本発明のR-Ga合金は、1種以上の他の元素(不可避的不純物以外の意図的に加えた元素)を含んでもよい。例えば、このような元素として、少量(各々0.1質量%程度)のAg、Zn、In、Sn、Ti、Ge、Y、H、F、P、S、V、Ni、Mo、Hf、Ta、W、Nb、Zrなどを含有してもよい。また、上述した不可避的不純物として挙げた元素を意図的に加えてもよい。このような元素は、合計で例えば1.0質量%程度含まれてもよい。この程度であれば、高いHcJを有するR-T-B系焼結磁石を得ることが十分に可能である。
上述した組成からなるR-Ga合金は、既知のR-T-B系焼結磁石の製造方法と同様の方法により製造することができる。例えば、金型鋳造によるインゴット法や、冷却ロールを用いて合金溶湯を急冷するストリップキャスト法等によりフレーク状の合金鋳片を作製する。
なお、R-Ga合金は上述したR-Ga合金の組成範囲内であれば複数種類のR-Ga合金を準備してもよい。この場合、複数種類のR-Ga合金を用いて得られたR-Ga合金粉末の合計の質量比が、混合合金粉末に対して1~5質量%となればよい。
2.水素吸蔵R-Ga合金粗粉末を得る水素吸蔵工程
この工程では、得られたR-Ga合金(R-Ga合金鋳片)を粉砕して、水素吸蔵R-Ga合金粗粉末を準備する(図1)。
上述した組成からなるR-Ga合金を、水素雰囲気で200℃以上450℃以下の温度に加熱して、水素吸蔵R-Ga合金粗粉末を得る。本明細書において、「水素吸蔵R-Ga合金粗粉末」とは、R-Ga合金を水素吸蔵処理することにより得られる粗粉末状のR-Ga合金粉末を意味する。
具体的には、フレーク状のR-Ga合金鋳片を水素炉の内部へ収容し、水素吸蔵処理を行う。水素吸蔵処理は、水素炉内を真空引きした後、炉内温度を200℃以上450℃以下に設定し、圧力が30kPa~1.0MPaの水素ガスを水素炉内に供給し(すなわち、炉内を水素雰囲気にして)、R-Ga合金鋳片に水素を吸蔵させることによって行う。なお、R-Ga合金への加熱温度は、R-Ga合金に熱電対をとりつけることにより確認することができる。水素の吸蔵によってR-Ga合金鋳片は自然崩壊して脆化(一部は粉化)し、例えば1.0mm以下の粗粉末状の水素吸蔵R-Ga合金(水素吸蔵R-Ga合金粗粉末)を得る。
200℃未満の温度で水素吸蔵処理を行うと、水素の吸蔵量が少なすぎるため、脆化させることができない。また450℃を超える温度に加熱するとR-Ga合金が溶融してしまい、粉砕することができない。従って、R-Ga合金を200℃以上450℃以下の温度で水素吸蔵処理を行う。このような温度範囲で水素吸蔵処理を行うことにより、後述する粉砕工程において、d50が1.5~6.0μmの微細なR-Ga合金粉末を得ることができ、当該R-Ga合金粉末を用いて製造したR-T-B系焼結磁石は高いHcJを有することができる。
なお本明細書において、「R-Ga合金粉末」とは、d50が6μm以下のR-Ga合金の粉末を意味する。
3.R-Ga合金粉末を準備する工程
この工程では、水素吸蔵R-Ga合金粗粉末を粉砕して、微細なR-Ga合金粉末を準備する(図1)。
得られた前記水素吸蔵R-Ga合金粗粉末を、水素を吸蔵している状態で粉砕して、メジアン径d50が1.5~6.0μmである微細なR-Ga合金粉末を作製する。水素吸蔵R-Ga合金粗粉末は水素を吸蔵している状態である。この状態で粉砕(微粉砕)することにより、R-Ga合金を微細な粉末に粉砕することができる。
水素吸蔵R-Ga合金粗粉末の粉砕では、粉砕後のR-Ga合金粉末が、d50=1.5~6.0μmを満たし、かつ主合金粉末の粒度より小さくなるように(具体的には、下記式(2)を満足するように)、粉砕する。

(主合金粉末のd50)×0.9>(R-Ga合金粉末のd50)・・(2)

R-Ga合金粉末のd50が6μmを超えると、R-Ga合金粉末の粒度が大きくなりすぎて、主合金粉末との粒度差の関係式(上記式(2))を満足しにくくなるため、好ましくない。また、R-Ga合金粉末は微粉砕が難しく、d50を1.5μm未満に粉砕することは困難であるため、d50は1.5μm以上とするのが好ましい。
以下、水素吸蔵R-Ga合金粗粉末を粉砕する方法について具体的に説明する。
水素吸蔵R-Ga合金粗粉末が水素を吸蔵している状態で、不活性ガス中でジェットミル等により微粉砕することによりR-Ga合金粉末(微粉砕粉末)を得る。ここで、本発明において、水素吸蔵R-Ga合金粗粉末が水素を吸蔵している状態とは、水素吸蔵R-Ga合金粗粉末が含有する水素量が2600ppm以上であることをいう。水素吸蔵R-Ga合金粗粉末が水素を吸蔵している状態で微粉砕することにより、d50が1.5~6.0μmの微細なR-Ga合金粉末を得ることができる。そのような微細なR-Ga合金粉末を用いて製造したR-T-B系焼結磁石は、高いHcJを有することができる。
なお、水素吸蔵R-Ga合金粗粉末に対して、例えば500℃~800℃程度の温度に加熱する脱水素処理を行うと、水素吸蔵R-Ga合金粗粉末がほとんど水素を含有しなくなり、更に水素吸蔵R-Ga合金粗粉末が溶融してしまうため、当該粉砕工程によって、d50が1.5~6.0μmの微細なR-Ga合金粉末を得ることができない。
上述した水素吸蔵工程において水素吸蔵R-Ga合金粗粉末を得た後から(すなわち、水素炉から水素吸蔵R-Ga合金粗粉末を取り出した時から)、微粉砕が完了するまでの間、水素吸蔵R-Ga合金粗粉末を450℃を超える温度に加熱することなく粉砕することが好ましい。このような条件であれば、水素吸蔵R-Ga合金粗粉末が溶融しないため、d50が1.5~6.0μmの微細なR-Ga合金粉末を確実に得ることができる。
さらに好ましくは、水素吸蔵R-Ga合金粗粉末を加熱することなく、水素吸蔵工程後の水素吸蔵R-Ga合金粗粉末を粉砕(微粉砕)する。(但し、微粉砕時に水素吸蔵R-Ga合金粗粉末の温度が上昇する場合があるため、自身の発熱による温度上昇は加熱に含まない。)
ジェットミル粉砕の際(例えば、ジェットミル粉砕前、ジェットミル粉砕中およびジェットミル粉砕後)には、水素吸蔵R-Ga合金粗粉末に、助剤として既知の潤滑剤を添加してもよい。
このように、R-Ga合金に対して、200℃以上450℃以下の温度で水素吸蔵処理を行い、水素を吸蔵した状態のまま粉砕することにより、d50が1.5~6.0μmの微細なR-Ga合金粉末を得ることができる。
また、本発明では、R-Ga合金粉末の粒度と主合金粉末の粒度が特定の関係を満たすように、各合金粉末の粒度を制御する必要がある。R-Ga合金粉末をジェットミルにより作製する場合は、ジェットミルへの原料供給量(5~300g/分)、分級ロータ回転数(3500~9000rpm)、粉砕時のガスの種類(アルゴン、窒素、ヘリウム等)、ガスの圧力(0.4MPa~0.8MPa)、粉砕時間等の条件を調整することによって所望の粒度に制御することができる。
微細なR-Ga合金粉末を用いて、主合金粉末と混合するブレンド法によってR-T-B系焼結磁石を製造することにより、二粒子粒界に多くのR-Ga相が存在すると考えられ、それにより高いHcJを有するR-T-B系焼結磁石を得ることができる。ここで、R-Ga相とは、R:70質量%以上95質量%以下、Ga:5質量%以上30質量%以下、T(Fe):20質量%以下(0を含む)を含むものである。R-T-B系焼結磁石中にCuを比較的多く含む場合は、Gaの一部がCuで置換されるため、例えばR(Ga,Cu)化合物になっている場合がある。
4.主合金粉末を準備する工程
この工程では、メジアン径d50が3.5~7.0μmである主合金粉末を準備する(図1)。
主合金粉末のd50が7.0μmを超えると、焼結後のR-T-B系焼結磁石における平均結晶粒径が増加(例えば8μm以上)してHcJが低下する恐れがある。
一方、主合金粉末のd50が3.5μm未満であると、主合金粉末の粒度が小さくなりすぎて、R-Ga合金粉末との粒度差の関係式(下記式(2))を満足しにくくなるため、好ましくない。

(主合金粉末のd50)×0.9>(R-Ga合金粉末のd50)・・(2)
本発明の態様に係る主合金粉末は、上述したR-Ga合金粉末と混合して、上述した組成を有するR-T-B系焼結磁石となるように調整した、任意の組成にすることができる。例えば、主合金粉末は、既知のR-T-B系焼結磁石用合金を粉砕することにより得ることができる。また、主合金粉末は、R(Rは、希土類元素の少なくとも1種であり、NdおよびPrの少なくとも1種を含む)を27.5質量%以上で含有することが好ましい。つまり、主合金粉末は、典型的な例としては、Rが27.5質量%以上の既知のR-T-B系焼結磁石用合金を粉砕することにより得ることが出来る。Rが27.5質量%未満であると、本発明のR-T-B系焼結磁石の焼結時に、緻密化が困難となるおそれがある。
主合金粉末の組成は、R-Ga合金粉末の組成、R-Ga合金粉末との混合量により異なるが、例えば以下の組成範囲とすることができる。
Rm:27.5~33.0質量%(Rmは、希土類元素の少なくとも1種であり、NdおよびPrの少なくとも1種を含む)、
B:0.85~0.97質量%、
Ga:0.25~0.65質量%、
Cu:0.05~0.37質量%、
Al:0.02~0.53質量%、
Fe:65質量%以上を含む。
上述した組成からなる主合金は、例えば、金型鋳造によるインゴット法や、冷却ロールを用いて合金溶湯を急冷するストリップキャスト法等により得ることができる、フレーク状の合金鋳片である。
得られたフレーク状の主合金鋳片は、例えば公知の粉砕方法を用いて主合金粉末(微粉砕粉末)に粉砕する。具体的には、主合金を水素粉砕等によって粗粉砕し、平均粒度が1.0mm以下の粗粉末を準備する。次に、主合金の粗粉末を、不活性ガス中でジェットミル等により微粉砕し、d50が3.5~7.0μmの微細な粉末(主合金粉末)が得られる。
なお本明細書において、「主合金粉末」とは、d50が7μm以下の主合金の粉末を意味する。
また、本発明では、R-Ga合金粉末の粒度と主合金粉末の粒度が特定の関係を満たすように、各合金粉末の粒度を制御する必要がある。主合金粉末はR-Ga合金粉末同様に、をジェットミルにより作製する場合は、ジェットミルへの原料供給量(5~300g/分)、分級ロータ回転数(3500~9000rpm)、粉砕時のガスの種類(アルゴン、窒素、ヘリウム等)、ガスの圧力(0.4MPa~0.8MPa)、粉砕時間等の条件を調整することによって所定の粒度に制御することができる。
なお、主合金粉末は組成の異なる複数種類の主合金粉末を用いてもよい。この場合、複数種類の主合金粉末の合計の質量比が、混合合金粉末に対して95~99質量%となればよい。
5.混合合金粉末を準備する工程
この工程では、それぞれ準備したR-Ga合金粉末(微粉末)と主合金粉末(微粉末)とを混合して、混合合金粉末(微粉末)を得る(図1)。
R-Ga合金粉末と主合金粉末は例えば、V型混合機などの公知の混合器で混合すればよい。
このように、R-Ga合金に対して、200℃以上450℃以下の温度で水素吸蔵処理を行い、水素吸蔵R-Ga合金粗粉末が水素を吸蔵した状態のまま、水素吸蔵R-Ga合金粗粉末を粉砕(微粉砕)することにより、d50が1.5~6.0μmのR-Ga合金粉末(微粉砕粉末)を含む混合合金粉末(微粉砕粉末)を得ることができる。このような微細なR-Ga合金粉末を含む混合合金粉末を用いてR-T-B系焼結磁石を製造することにより、焼結磁石の二粒子粒界に多くのR-Ga相を存在させることができ、それにより焼結磁石のHcJを向上できる、と考えられる。
混合合金粉末の質量を100%としたとき、混合合金粉末に対するR-Ga合金粉末の質量比が1~5%となるように、R-Ga合金粉末と主合金粉末とを混合する。混合合金粉末の質量に対するR-Ga合金粉末(微粉砕粉末)の質量の比をこのような範囲にすることにより、高いHcJを有することができる。
なお、本発明では、混合合金粉末に用いる主合金粉末とR-Ga合金粉末とは、下記式(2)を満足する。

(主合金粉末のd50)×0.9>(R-Ga合金粉末のd50)・・(2)

これにより、後述する焼結工程において、RとGaを含む液相成分の分散性を向上させることができると考えられる。これにより、焼結後の組織において、二粒子粒界の厚さを均一にかつ厚くすることができる。また、二粒子粒界内におけるR-Ga相の生成を、より確実に達成することができる。
主合金粉末とR-Ga合金粉末とは、下記式(3)を満足するのが好ましく、下記式(4)を満足するのがさらに好ましく、下記式(5)を満足すのが特に好ましい。

(主合金粉末のd50)×0.8>(R-Ga合金粉末のd50)・・(3)
(主合金粉末のd50)×0.7>(R-Ga合金粉末のd50)・・(4)
(主合金粉末のd50)×0.5>(R-Ga合金粉末のd50)・・(5)
6.成形工程
この工程では、混合合金粉末を所定形状に成形して、成形体を得る。
得られた混合合金粉末を用いて磁界中成形を行い、成形体を得る。磁界中成形は、金型のキャビティー内に乾燥した合金粉末を挿入し、磁界を印加しながら成形する乾式成形法、金型のキャビティー内にスラリーを注入し、スラリーの分散媒を排出しながら成形する湿式成形法を含む既知の任意の磁界中成形方法を用いてよい。
7.焼結工程
この工程では、得られた成形体を焼結して、焼結体を得る。
成形体を焼結することにより焼結磁石を得る。成形体の焼結は既知の方法を用いることができる。なお、焼結時の雰囲気による酸化を防止するために、焼結は真空雰囲気中または不活性ガス中で行うことが好ましい。不活性ガスは、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスを用いることが好ましい。
8.熱処理工程
この工程では、焼結体に熱処理を施して、最終的なR-T-B系焼結磁石を得る。
得られた焼結磁石に対し、磁気特性を向上させることを目的とした熱処理を行うことが好ましい。熱処理温度、熱処理時間などは既知の条件を用いることができる。例えば、比較的低い温度(400℃以上600℃以下)のみでの熱処理(一段熱処理)をしてもよく、あるいは比較的高い温度(700℃以上焼結温度以下(例えば1050℃以下))で熱処理を行った後比較的低い温度(400℃以上600℃以下)で熱処理(二段熱処理)をしてもよい。好ましい条件は、730℃以上1020℃以下で5分から500分程度の熱処理を施し、冷却後(室温まで冷却後、または440℃以上550℃以下まで冷却後)、さらに440℃以上550℃以下で5分から500分程度熱処理をすることが挙げられる。熱処理雰囲気は、真空雰囲気あるいは不活性ガス(ヘリウムやアルゴンなど)で行うことが好ましい。
最終的な製品形状にするなどの目的で、得られた焼結磁石に研削などの機械加工を施してもよい。その場合、熱処理は機械加工前でも機械加工後でもよい。さらに、得られた焼結磁石に、表面処理を施してもよい。表面処理は、既知の表面処理であってもよく、例えばAl蒸着や電気Niめっきや樹脂塗料などの表面処理を行うことができる。
本開示を実施例によりさらに詳細に説明するが、本開示はそれらに限定されるものではない。
・実施例1
およそ表1の試料No.1-1及び1-2に示すR-T-B系焼結磁石の組成となるように各元素を秤量し、ストリップキャスト法により、それぞれの合金を作製した。得られた各合金に対して、公知の水素粉砕を行い粗粉砕粉末を得た。具体的には、前記合金をそれぞれ水素炉内に装入した後真空にし、室温で絶対圧が295kPaになるまで水素導入し水素脆化した後、550℃まで真空中で加熱、冷却する脱水素処理を施し、粗粉砕粉末を得た。
前記粗粉砕粉末をそれぞれジェットミルにより微粉砕し、メジアン径d50(気流分散法によるレーザー回折法で得られる体積中心値)が4.5μmの微粉砕粉末を作製した。メジアン径d50は、Sympatec社製の粒度分布測定装置「HELOS&RODOS」を用いて、分散圧:4bar、測定レンジ:R2、計算モード:HRLDの条件にて測定した。以下全ての実施例におけるメジアン径d50も同様の条件で測定している。前記微粉砕粉末に、潤滑剤としてステアリン酸亜鉛を微粉砕粉末100質量部に対して0.05質量部添加、混合した。その後、磁界中で成形し、成形体を得た。なお、成形装置には、磁界印加方向と加圧方向とが直交する、いわゆる直角磁界成形装置(横磁界成形装置)を用いた。得られた成形体を、真空中で組成に応じて1030~1070℃(サンプル毎に焼結による緻密化が十分起こる温度を選定)で4時間焼結し、R-T-B系焼結磁石を得た。焼結磁石の密度は7.5Mg/m以上であった。焼結後のR-T-B系焼結磁石に、真空中で900℃で2時間保持した後室温まで冷却し、次いで真空中で500℃で2時間保持した後、室温まで冷却する熱処理を施した。得られたR-T-B系焼結磁石の成分の分析結果を表1に示す。
表1におけるNd、Pr、B、Zr、Co、Al、Cu、Ga及びFeは、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP-OES)を使用して測定した。また、O(酸素量)は、ガス融解-赤外線吸収法、N(窒素量)は、ガス融解-熱伝導法、C(炭素量)は、燃焼-赤外線吸収法、によるガス分析装置を使用して測定した。以下、表6、表8及び表11も同様である。また、表1に、本発明における式(1)を満たしている場合は「○」と満たしていない場合は「×」と記載した。以下、表6、表8及び表11も同様である。
Figure 0007021578000001
更に、およそ表2に示す主合金(No.A~F)およびR-Ga合金(No.G~L)の組成となるように各元素を秤量し、ストリップキャスト法により合金を作製した。得られた主合金およびR-Ga合金の成分の分析結果を表2に示す。表2におけるNd、Pr、B、Zr、Co、Al、Cu、Ga及びFeは、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP-OES)を使用して測定した。得られた前記主合金を上述した公知の水素粉砕と同様な条件で水素粉砕を行い、主合金の粗粉砕粉末(主合金粗粉末)を得た。また、得られた前記R-Ga合金に対して表3に示す条件で水素吸蔵工程を行うことにより水素吸蔵R-Ga合金の粗粉砕粉末(水素吸蔵R-Ga合金粗粉末)を得た。例えば、表3の水素吸蔵R-Ga合金No.G-4は、表2の合金No.GのR-Ga合金を水素炉内に装入した後、真空で250℃に加熱し、絶対圧が295kPaになるまで水素導入し水素脆化させた後、冷却し、さらに450℃まで真空中で加熱、冷却する追加処理を行ったものである。
表3に記載の他の水素吸蔵R-Ga合金粗粉末(合金No.G-1~G-3、G-5、G-6、H-1、I-1、J-1、K-1及びL-1)についても、同様の記載ルールに沿って記載している。なお、R-Ga合金への加熱温度は、R-Ga合金に熱電対をとりつけることにより確認した。
また、水素吸蔵R-Ga合金No.G-1~G-5における水素含有量(水素量)を測定した。測定結果を表3に示す。水素含有量は、株式会社堀場製作所製:EMGA-621Wの装置を用いて、Ar雰囲気中で加熱・溶解カラム分離―熱伝導度法(TCD)により測定した。尚、水素吸蔵R-Ga合金No.G-1~G-4、H-1、I-1、J-1、K-1及びL-1は後工程の微粉砕をすることができたが、水素吸蔵R-Ga合金No.G-5は、合金の加熱温度が低すぎた(100℃)ため、R-Ga合金が水素脆化せず(水素含有量が50ppmと少ない)、微粉砕することができなかった。そのため、表3に示す様に、水素吸蔵R-Ga合金粗粉末は、少なくとも水素を2600ppm(G-2)以上吸蔵させた状態で粉砕しなければならない。更に、水素吸蔵R-Ga合金No.G-6は、加熱温度が高すぎた(450℃を超える温度で加熱した)ため、R-Ga合金が溶解してしまい微粉砕することができなかった。
得られた主合金の粗粉砕粉末(主合金粗粉末)をジェットミルにより微粉砕し微粉砕粉末(主合金粉末)を得た(表4の主合金粉末No.a~f)。得られた主合金粉末のメジアン径d50(気流分散法によるレーザー回折法で得られる体積中心値)の結果を表4に示す。また、得られた水素吸蔵R-Ga合金粗粉末をジェットミルにより微粉砕し微粉砕粉末(R-Ga合金粉末)を得た(表4のR-Ga合金粉末No.g-1~l-1)。得られたR-Ga合金粉末のメジアン径d50の結果を表4に示す。得られた主合金粉末とR-Ga合金粉末を、表5に示す条件でそれぞれV型混合機に投入して混合し、混合合金粉末(微粉砕粉末)を作製した。得られた混合合金粉末のメジアン径d50の結果を表7に示す。例えば、表5における試料No.1-3は、表4に示す主合金粉末No.aとR-Ga合金粉末No.g-1を混合し、混合合金粉末を作製したものであり、前記混合合金粉末の質量に対するR-Ga合金粉末の質量の比(この場合、主合金粉末No.aと水素吸蔵R-Ga合金No.g-1を混合した混合合金の全質量に対する、水素吸蔵R-Ga合金No.g-1の質量の比)は2.5質量%である。
表5に記載の他の試料(試料No.1-4~1-15)、並びに表10に記載の各試料についても、各合金および混合比の条件を同様の記載ルールに沿って記載している。
前混合合金粉末に、潤滑剤としてステアリン酸亜鉛を微粉砕粉末100質量部に対して0.05質量部添加、混合した後、磁界中で成形し、成形体を得た。なお、成形装置には、磁界印加方向と加圧方向とが直交する、いわゆる直角磁界成形装置(横磁界成形装置)を用いた。得られた成形体を、真空中で組成に応じて1030~1070℃(サンプル毎に焼結による緻密化が十分起こる温度を選定)で4時間焼結し、R-T-B系焼結磁石を得た。焼結磁石の密度は7.5Mg/m以上であった。焼結後のR-T-B系焼結磁石に、真空中で900℃で2時間保持した後室温まで冷却し、次いで真空中で500℃で2時間保持した後、室温まで冷却する熱処理を施した。得られたR-T-B系焼結磁石の成分の分析結果を表6に示す。
Figure 0007021578000002
Figure 0007021578000003
Figure 0007021578000004
Figure 0007021578000005
Figure 0007021578000006
熱処理後の焼結磁石(試料No.1-1~1-15)に機械加工を施し、縦7mm、横7mm、厚み7mmの試料を作製し、B-Hトレーサによって各試料の特性(B及びHcJ)を測定した。測定結果を表7に示す。また、表7に、本発明における式(1)~(5)のそれぞれについて、満たしている場合は「○」と満たしていない場合は「×」と記載した。以下、表12も同様である。
Figure 0007021578000007
表7に示すように、試料No.1-1及び1-2は単一合金を用いて作製した比較例である。また、試料No.1-1~1-15は混合合金粉末におけるメジアン径d50がほぼ同じ(4.4~4.5μm)である。試料No.1-3~1-6及び1-13~1-15は試料No.1-1とほぼ同じ組成(R-T-B系焼結磁石の組成)となるように主合金粉末とR-Ga合金粉末を含む混合合金粉末を用いて作製(つまり、本発明の製造方法により作製)した本発明例であり、試料No.1-8は試料No.1-2とほぼ同じ組成(R-T-B系焼結磁石の組成)となるように主合金粉末とR-Ga合金粉末を含む混合合金粉末を用いて作製(つまり、本発明の製造方法により作製)した本発明例である。試料No.1-3~1-6及び1-13~1-15(いずれも本発明例)の特性(B及びHcJ)と試料No.1-1(比較例)の特性(B及びHcJ)及び試料No.1-8(本発明例)の特性(B及びHcJ)と試料No.1-2(比較例)の特性(B及びHcJ)をそれぞれ比較すると、いずれも本発明例の試料の方が高いB及び高いHcJが得られている。
これに対し、本開示の組成範囲(R-T-B系焼結磁石の組成範囲)から外れている試料No.1-9(B量及び式1が本開示の範囲外)、試料No.1-10及び1-11(B量が本開示の範囲外)、1-12(R-Ga合金におけるFe量が本開示の範囲外)の比較例は、本開示の製造方法により作製しているものの、HcJが大幅に低下している。
・実施例2
およそ表8の試料No.2-1及び2-2に示すR-T-B系焼結磁石の組成となるように各元素を秤量し、ストリップキャスト法により、それぞれの合金を作製した。得られた前記合金を実施例1と同様な方法で公知の水素粉砕を行い粗粉砕粉末を得た。具体的には、前記合金をそれぞれ水素炉内に装入した後真空にし、室温で絶対圧が295kPaになるまで水素導入し水素脆化した後、550℃まで真空中で加熱、冷却する脱水素処理を施し、粗粉砕粉末を得た。
前記粗粉砕粉末をそれぞれジェットミルにより微粉砕し、微粉砕の条件を調整することで試料No.2-1はメジアン径d50が3.9μm、試料No.2-2はメジアン径d50が5.5μmの微粉砕粉末をそれぞれ作製した。得られた微粉砕粉末を用いて実施例1と同様な方法で成形して成形体を得た。さらに、得られた成形体を実施例1と同様な方法で焼結、熱処理を行った。得られたR-T-B系焼結磁石の成分の分析結果を表8に示す。
Figure 0007021578000008
主合金として実施例1の合金No.Aの粗粉砕粉末(主合金の粗粉末)を準備した。更に水素吸蔵R-Ga合金粗粉末として実施例1の水素吸蔵R-Ga合金No.G-1を準備した。準備した主合金の粗粉砕粉末をジェットミルにより微粉砕し、微粉砕の条件を調整することによりメジアン径d50の異なる複数種類の微粉砕粉末(主合金粉末)を得た(表9の主合金粉末Noa-1~a-4)。得られた主合金粉末のメジアン径d50の結果を表9に示す。また、準備した水素吸蔵R-Ga合金粗粉末をジェットミルにより微粉砕し、微粉砕の条件を調整することによりメジアン径d50の異なる複数種類の微粉砕粉末(R-Ga合金粉末)を得た(表9のR-Ga合金粉末No.g-5~g-10)。得られたR-Ga合金粉末のメジアン径d50の結果を表9に示す。得られた主合金粉末(微粉砕粉末)とR-Ga合金粉末(微粉砕粉末)を表10に示す条件でそれぞれV型混合機に投入して混合し、混合合金粉末(微粉砕粉末)を作製した。得られた混合合金粉末のメジアン径d50の結果を表12に示す。
得られた混合合金粉末を用いて実施例1と同様な方法で成形して成形体を得た。さらに、得られた成形体を実施例1と同様な方法で焼結、熱処理を行った。得られた焼結体(R-T-B系焼結磁石)の成分の分析結果を表11に示す。
Figure 0007021578000009
Figure 0007021578000010
Figure 0007021578000011
熱処理後の焼結磁石(試料No.2-1~2-11)に機械加工を施し、縦7mm、横7mm、厚み7mmの試料を作製し、B-Hトレーサによって各試料の特性(B及びHcJ)を測定した。測定結果を表12に示す。
Figure 0007021578000012
表12に示すように、試料No.2-1及び2-2は単一合金を用いて作製した比較例である。また、表8及び表11に示すように試料No.2-1~2-11は全てほぼ同じ組成である。試料No.2-5は試料No.2-1と混合合金粉末におけるメジアン径d50がほぼ同じとなるように主合金粉末とR-Ga合金粉末を含む混合合金粉末を用いて作製(つまり、本発明の製造方法により作製)した本発明例であり、試料No.2-8~2-11は試料No.2-2と混合合金粉末におけるメジアン径d50がほぼ同じとなるように主合金粉末とR-Ga合金粉末を含む混合合金粉末を用いて作製(つまり、本発明の製造方法により作製)した本発明例である。試料No.2-5(本発明例)の特性(B及びHcJ)と試料No.2-1(比較例)の特性(B及びHcJ)及び試料No.2-8~2-11(いずれも本発明例)の特性(B及びHcJ)と試料No.2-2(比較例)の特性(B及びHcJ)をそれぞれ比較すると、いずれも本発明例の試料の方が高いB及び高いHcJが得られている。また、試料No.2-8~2-11から明らかなように、式(2)のみ(試料No.2-11)でなく、式(3)(試料No.2-10)、式(4)(試料No.2-9)、式(5)(試料No.2-8)を満たしていくにつれてさらに高いHcJが得られている。
これに対し、本発明の式(2)を満たしていない試料No.2-3、2-4、2-6及び2-7の比較例は、本発明例と比較してB及びHcJがいずれも低下している。
・実施例3
主合金として実施例1の合金No.Aの粗粉砕粉末(主合金の粗粉末)を準備した。次に水素吸蔵R-Ga合金粗粉末として実施例1の水素吸蔵R-Ga合金No.G-1を準備した。準備した主合金の粗粉砕粉末をジェットミルにより微粉砕し、微粉砕の条件を調整することによりメジアン径d50が4.8μmの微粉砕粉末(主合金粉末)を得た。また、R-Ga合金粉末は、水素吸蔵R-Ga合金粗粉末と主合金の粗粉末の一部とを混合することにより準備した。具体的には、実施例1の合金No.Aの粗粉砕粉末(主合金の粗粉末)と実施例1の水素吸蔵R-Ga合金No.G-1とを80:20(質量比率)で混合した後ジェットミルにより微粉砕し、微粉砕の条件を調整することによりメジアン径d50が2.3μmの微粉砕粉末(主合金粉末及びR-Ga合金粉末)を得た。なお、主相合金の粗粉末と水素吸蔵RGa合金粗粉末の粉砕性は同等であることを確認している。得られた主合金粉末(メジアン径d50が4.8μmの主合金粉末及びR-Ga合金粉末とともに得られたメジアン径d50が2.3μmの主合金粉末)とR-Ga合金粉末(メジアン径d50が2.3μm)をV型混合機に投入して混合し、混合合金粉末(微粉砕粉末)を作成した。混合合金粉末の質量に対するR-Ga合金粉末の質量の比は2.5質量%であった。また、R-Ga合金粉末とともに作製した微細な主合金粉末のd50(2.3μm)と、別に作製した主合金粉末のd50(4.8μm)とにおけるそれぞれの混合合金粉末に対する質量比を考慮し、計算した所、主合金粉末のd50は4.5μmであった。
得られた混合合金粉末を用いて実施例1と同様な方法で成形して成形体を得た。さらに、得られた成形体を実施例1と同様な方法で焼結、熱処理を行った。得られた焼結体(R-T-B系焼結磁石)の成分の分析結果を表13に示す。また、熱処理後の焼結磁石に機械加工を施し、縦7mm、横7mm、厚み7mmの試料を作製し、B-Hトレーサによって各試料の特性(B及びHcJ)を測定した。測定結果を表14に示す。
Figure 0007021578000013
Figure 0007021578000014
表14に示すように、R-Ga合金粉末を水素吸蔵R-Ga合金粗粉末と主合金の粗粉末の一部とを混合することにより準備した場合においても、高いB及び高いHcJが得られている。

Claims (4)

  1. R1:28.5~33.5質量%(R1は、希土類元素のうちの少なくとも1種であり、NdおよびPrの少なくとも1種を含む)、
    B:0.84~0.92質量%、
    Ga:0.3~0.7質量%、
    Cu:0.05~0.35質量%、
    Al:0.02~0.50質量%、および
    T:63.0質量%以上(Tは、FeとCoでありTの90質量%以上がFeである)を含み、下記式(1)を満足するR-T-B系焼結磁石の製造方法であって、

    14×[B]/10.8<[T]/55.85 (1)
    ([B]は質量%で示すBの含有量であり、[T]は質量%で示すTの含有量である)

    R2:80~95質量%(R2は、希土類元素のうちの少なくとも1種)、
    Ga:5~20質量%(Gaの40質量%以下をCuで置換できる)、および
    Fe:0~1質量%(Feの一部または全部をCoで置換できる)を含むR-Ga合金を準備する工程と、
    前記R-Ga合金を水素雰囲気で200℃以上450℃以下の温度に加熱して、水素吸蔵R-Ga合金粗粉末を得る水素吸蔵工程と、
    前記水素吸蔵R-Ga合金粗粉末が水素を吸蔵している状態で粉砕しメジアン径d50が1.5~6.0μmであるR-Ga合金粉末を準備する工程と、
    メジアン径d50が3.5~7.0μmである主合金粉末を準備する工程と、
    前記R-Ga合金粉末と前記主合金粉末とを混合して混合合金粉末を準備する工程であって、当該混合合金粉末に対する前記R-Ga合金粉末の質量比が、1~5質量%である、混合合金粉末を準備する工程と、
    前記混合合金粉末を成形して成形体を得る成形工程と、
    前記成形体を焼結し焼結体を得る焼結工程と、
    前記焼結体に熱処理を施す熱処理工程と、を含み、
    前記R-Ga合金粉末と前記主合金粉末が下記式(2)を満足するR-T-B系焼結磁石の製造方法。

    (主合金粉末のd50)×0.9>(R-Ga合金粉末のd50)・・(2)
  2. 前記R-Ga合金粉末と前記主合金粉末が下記式(3)を満足する請求項1に記載の製造方法。

    (主合金粉末のd50)×0.8>(R-Ga合金粉末のd50)・・(3)
  3. 前記R-Ga合金粉末と前記主合金粉末が下記式(4)を満足する請求項1に記載の製造方法。

    (主合金粉末のd50)×0.7>(R-Ga合金粉末のd50)・・(4)
  4. 前記R-Ga合金粉末と前記主合金粉末が下記式(5)を満足する請求項1に記載の製造方法。

    (主合金粉末のd50)×0.5>(R-Ga合金粉末のd50)・・(5)
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