JP2010123722A - 永久磁石とそれを用いた永久磁石モータおよび発電機 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐熱性に優れるSm−Co系磁石のFe濃度を、磁石特性をもたらす結晶構造等を維持しつつ高めることによって、磁化の向上および低コスト化を図る。
【解決手段】永久磁石は、R(FeSiCuCo1−p−q−r−s100−x(式中、RはYを含む希土類元素から選ばれる少なくとも1種の元素、MはTi、ZrおよびHfから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、xは8≦x≦20原子%を満足する数、p、q、rおよびsはそれぞれ原子比で0.3≦p≦0.6、0.005≦q≦0.1、0.005≦r≦0.1、0.005≦s≦0.15を満足する数である)で表される組成を有し、主としてThZn17型結晶相とCaCu型結晶相とからなる組織を有する。
【選択図】なし

Description

本発明は永久磁石とそれを用いた永久磁石モータおよび発電機に関する。
高性能な希土類磁石としてはSm−Co系磁石やNd−Fe−B系磁石等が知られており、モータや発電機等の電気機器に使用されている。これらの磁石には鉄(Fe)やコバルト(Co)が多量に含まれており、飽和磁化の増大に寄与している。さらに、サマリウム(Sm)やネオジム(Nd)等の希土類元素は結晶場中における4f電子の挙動に由来して大きな磁気異方性をもたらしている。これらによって、大きな保磁力が得られることから、高性能な永久磁石が実現されている。
永久磁石を用いた各種電気機器に対する小型軽量化や低消費電力化の要求が高まり、それらに対応するために永久磁石のより一層の高性能化が求められている。具体的には、最大磁気エネルギー積(BHmax)を向上させた、より高性能な永久磁石が求められている。さらに、最近ではハイブリッド自動車(HEV)や電気自動車(EV)等のモータに永久磁石を使用するにあたって、永久磁石の耐熱性を高めることが求められている。
HEVやEV用のモータには、主としてNd−Fe−B系磁石が適用されている。このような用途では高い耐熱性が求められるため、ネオジム(Nd)の一部をジスプロシウム(Dy)で置換して保磁力を高めた(Nd,Dy)−Fe−B系磁石が用いられている。Dyは希少元素の一つであることから、HEVやEV用のモータの本格的な普及に際してDyを使用しない永久磁石が強く求められている。このような点に対して、Sm−Co系磁石はDyを使用しない系で優れた耐熱性を示すことが知られている。
Sm−Co系の永久磁石としては、SmとCoとの二元系金属間化合物に基づくSmCo型磁石と、ThZn17型結晶相とCaCu型結晶相との二相分離組織を有し、磁壁ピンニング型の保磁力発現機構により磁石特性を得ているSmCo17型磁石(特許文献1〜3参照)とが知られている。SmCo17型磁石はSmCo型磁石に比べて保磁力や最大磁気エネルギー積等の磁石特性に優れ、また高いキュリー温度に由来して優れた耐熱性を有している。しかしながら、Sm−Co系磁石はCoを多量に含むために高コストであり、さらにNd−Fe−B系磁石に比べて磁化が小さいという難点を有している。
SmCo17型磁石の磁化の向上には、飽和磁化の大きいFeの含有量を増加させることが有効である。また、Fe含有量を増加させることでSmCo17型磁石を低コスト化することができる。しかし、Fe含有量の増加はSmCo17型磁石の前駆体であるTbCu型結晶相(高温相)の不安定化を招き、その結果としてThZn17型結晶相とCaCu型結晶相との二相分離組織が得られなくなる。このようなことから、Fe濃度が高い組成でTbCu型結晶相を安定化させ、それに時効処理を施して得られるThZn17型結晶相とCaCu型結晶相との二相分離組織のFe濃度を増加させることによって、SmCo17型磁石の磁化の向上や低コスト化を図ることが求められている。
特開昭52−96923号公報 特開昭52−115000号公報 特開昭53−137022号公報
本発明の目的は、耐熱性に優れるSm−Co系磁石のFe濃度を、磁石特性をもたらす結晶構造等を維持しつつ高めることによって、磁化の向上および低コスト化を図ることを可能にした永久磁石とそれを用いた永久磁石モータおよび発電機を提供することにある。
本発明の態様に係る永久磁石は、
組成式:R(FeSiCuCo1−p−q−r−s100−x
(式中、RはYを含む希土類元素から選ばれる少なくとも1種の元素、MはTi、ZrおよびHfから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、xは8≦x≦20原子%を満足する数、p、q、rおよびsはそれぞれ原子比で0.3≦p≦0.6、0.005≦q≦0.1、0.005≦r≦0.1、0.005≦s≦0.15を満足する数である)
で表される組成を有し、かつ主としてThZn17型結晶相とCaCu型結晶相とからなる組織を有することを特徴としている。
本発明の他の態様に係る永久磁石モータは、本発明の態様に係る永久磁石を具備することを特徴としている。本発明のさらに他の態様に係る発電機は、本発明の態様に係る永久磁石を具備することを特徴としている。
本発明の態様に係る永久磁石によれば、Feを高濃度に含む組成でThZn17型結晶相とCaCu型結晶相との二相分離組織を安定して得ることができる。従って、低コストで磁気特性に優れ、耐熱性の良好な永久磁石を提供することが可能となる。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。この実施形態の永久磁石は、
組成式:R(FeSiCuCo1−p−q−r−s100−x …(1)
(式中、RはYを含む希土類元素から選ばれる少なくとも1種の元素、MはTi、ZrおよびHfから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、xは8≦x≦20原子%を満足する数、p、q、rおよびsはそれぞれ原子比で0.3≦p≦0.6、0.005≦q≦0.1、0.005≦r≦0.1、0.005≦s≦0.15を満足する数である)
で表される組成を有している。
この実施形態の永久磁石は(1)式の組成を満足した上で、主としてThZn17型結晶相とCaCu型結晶相とからなる組織を有している。すなわち、この実施形態の永久磁石はR(主としてSm)−Co系を基本とし、これにFe、元素M(Ti、ZrおよびHfから選ばれる少なくとも1種)、CuおよびSiを配合することで、高Fe濃度組成でThZn17型結晶相とCaCu型結晶相との二相分離組織を実現したものである。
ここで、ThZn17型結晶相(以下、2−17相と記す)とCaCu型結晶相(以下、1−5相と記す)との二相分離組織を有するR−Co系永久磁石(RCo17型磁石)は、前述したように高温相であるTbCu型結晶相(以下、1−7相と記す)を前駆体とし、これに時効処理を施して2−17相と1−5相とに相分離させることによって、磁壁ピンニング型の保磁力発現機構により磁石特性を得ている。
上述したような前駆体(1−7相)から相分離(2−17相と1−5相)させて永久磁石を作製するにあたって、高Fe濃度を実現するためには前駆体の安定性、すなわち高Fe濃度での1−7相の安定性を高める必要がある。このような点に対して、この実施形態ではR−(Co,Fe,M,Cu)系に、さらにSiを含有させているため、従来よりも高Fe濃度組成で1−7相を安定化させることができる。
そして、高Fe濃度の1−7相を出発材料とし、これに適当な条件で時効熱処理を施すことによって、従来のSm−Co系磁石よりも高Fe濃度組成で2−17相と1−5相との二相分離組織を得ることができる。従って、耐熱性に優れるR−Co系永久磁石の磁石特性(磁化等)の向上並びに低コスト化を実現することが可能となる。高Fe濃度の1−7相を安定化できた理由としては、Siの電気陰性度が高いこと、またSiの原子半径がFeと近いこと等が挙げられる。
この実施形態のR−Co系永久磁石は(1)式で表される組成を有する。(1)式において、元素RとしてはYを含む希土類元素から選ばれる少なくとも1種の元素が使用される。R元素はいずれも磁石材料に大きな磁気異方性をもたらし、高い保磁力を付与するために8〜20原子%の範囲で配合される。元素Rの配合量が8原子%未満であると、多量のα−Fe相が析出して大きな保磁力を得ることができない。元素Rの配合量が20原子%を超えると飽和磁化の低下が著しい。元素Rの配合量は10〜15原子%の範囲とすることがより好ましく、さらに好ましくは10.5〜12.5原子%の範囲である。
元素Rとしてはサマリウム(Sm)、ネオジム(Nd)およびプラセオジム(Pr)から選ばれる少なくとも1種の元素を使用することが好ましく、特にSmを用いることが望ましい。Smは磁石材料の性能、とりわけ保磁力を高めるのに有効である。このような点から、元素Rの総量の50原子%以上をSmとすることが好ましく、さらに好ましくは元素Rの総量の70原子%以上をSmとすることである。
元素Mとしてはチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)およびハフニウム(Hf)から選ばれる少なくとも1種の元素が用いられる。元素Mを配合することによって、高Fe濃度組成で大きな保磁力を発現させることができる。元素Mの配合量は(1)式のq値として0.005≦q≦0.1の範囲、すなわちFe、Co、Cu、元素MおよびSiの総量の0.5〜10原子%の範囲とする。
元素Mの配合量がFe、Co、Cu、元素MおよびSiの総量の10原子%を超えると磁化の低下が著しくなり、また0.5原子%未満であるとFe濃度を高める効果を十分に得ることができない。元素Mの配合量は0.01≦q≦0.06の範囲とすることが好ましく、さらに好ましくは0.02≦q≦0.04の範囲である。さらに、M元素の総量の50原子%以上をZrとすることによって、保磁力をより一層高めることができる。元素Mのうち、HfはTiやZrに比べて高価であるため、Hfを使用する場合においても元素Mの総量の20原子%未満とすることが望ましい。
ケイ素(Si)は上述したように高Fe濃度組成における1−7相の安定化に寄与するものであり、これにより磁化の向上並びに低コスト化を実現することが可能となる。Siの配合量は(1)式のr値として0.005≦r≦0.1の範囲、すなわちFe、Co、Cu、元素MおよびSiの総量の0.5〜10原子%の範囲とする。これよりSiを多量に配合すると磁化の低下が著しく、またこれより少量であるとFe濃度を高める効果を十分に得ることができない。Siの配合量は0.01≦r≦0.05の範囲とすることがより好ましく、さらに好ましくは0.01≦r≦0.03の範囲である。
Siの一部はGeおよびSnから選ばれる少なくとも1種の元素Xで置換してもよい。これによって、保磁力等の磁石特性を高めることができる。ただし、元素XによるSiの置換量が過剰になると高Fe濃度組成における1−7相の安定化効果が低下するおそがある。このため、元素Xによる置換量はSi量の20原子%以下とすることが好ましい。
銅(Cu)はR−Co系永久磁石において高い保磁力を発現させるために必須の元素である。Cuの配合量は(1)式のs値として0.005≦s≦0.15の範囲、すなわちFe、Co、Cu、元素MおよびSiの総量の0.5〜15原子%の範囲とする。Cuの配合量がFe、Co、Cu、元素MおよびSiの総量の15原子%を超えると磁化の低下が著しくなり、また0.5原子%未満であると高い保磁力を得ることが困難になる。Cuの配合量を示すs値は0.02≦r≦0.1の範囲とすることがより好ましく、さらに好ましくは0.03≦s≦0.08の範囲である。
鉄(Fe)は主として磁石材料の磁化を担うものである。Feの配合量を増やすことによって、磁石材料の飽和磁化を高めることができる。ただし、Feの配合量が過剰になるとα−Fe相が析出したり、また2−17相と1−5相との二相分離組織が得られにくくなって、保磁力が低下するおそれがある。Feの配合量は(1)式のp値として0.3≦p≦0.6の範囲、すなわちFe、Co、Cu、元素MおよびSiの総量の30〜60原子%の範囲とする。Feの配合量を示すp値は0.3≦p≦0.5の範囲とすることがより好ましく、さらに好ましくは0.35≦p≦0.45の範囲である。
コバルト(Co)は磁石材料の磁化を担うと共に、高い保磁力を発現させるために重要な元素である。また、Coを多く配合するとキュリー温度が向上し、磁石特性の熱安定性を高めることができる。Coの配合量が少ないとこれらの効果が小さくなる。ただし、Coを過剰に配合すると相対的にFeの配合量が減少し、Fe濃度の増加に基づく磁化の向上効果が低下する。Coの配合量はFe、Co、Cu、元素MおよびSiの総量に対する各元素の配合量、特にFeの配合量が30〜60原子%の範囲となるように設定される。
Coの一部はNi、V、Cr、Mn、Al、Ga、Nb、TaおよびWから選ばれる少なくとも1種の元素Zで置換してもよい。これによって、保磁力等の磁石特性を高めることができる。ただし、元素ZによるCoの置換量が過剰になると磁化の低下を招くおそれがあるため、元素Zによる置換量はCo量の20原子%以下とすることが好ましい。
上述した組成を有するR−Co系永久磁石は、CuリッチなCaCu相(1−5相)とFeリッチなThZn17型結晶相(2−17相)とが二相分離した微細組織を有しており、このような二相分離組織に基づいて磁石特性を示すものである。そして、この実施形態では主としてThZn17型結晶相(2−17相)のFe濃度を高めているため、R−Co系永久磁石の磁化を向上させ、さらに低コスト化することが可能となる。
この実施形態の永久磁石は、例えば以下のようにして作製される。まず、各元素を所定量含む合金粉末を作製する。合金粉末は合金原料をアーク溶解や高周波溶解した後に鋳造した合金インゴットを粉砕して調製される。合金粉末はストリップキャスト法等でフレーク状の合金薄帯を作製した後に粉砕して調整してもよい。合金粉末の他の調製方法としては、メカニカルアロイング法、メカニカルグラインディング法、ガスアトマイズ法、還元拡散法等が挙げられる。合金粉末または粉砕前の合金に対して必要に応じて熱処理を施して均質化してもよい。合金の粉砕はジェットミル、ボールミル等を用いて実施される。粉砕は粉末の酸化を防止するために、不活性ガス雰囲気中で行うことが好ましい。
次いで、電磁石等による磁場中に設置した金型内に合金粉末を充填し、磁場を印加しながら加圧成形することによって、合金粉末の結晶軸を配向させた圧粉体を作製する。このような圧粉体を1200℃〜1300℃の範囲の温度で0.5〜15時間の条件で焼結することによって、緻密な焼結体が得られる。焼結は酸化等を防止するために、通常真空中やアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気中で実施される。
焼結温度が1200℃未満の場合には焼結体の密度が低下し、1300℃を超えると粉末中のSm等が蒸発して良好な磁気特性が得られない。焼結温度は1150〜1250℃の範囲とすることがより好ましい。焼結時間が0.5時間未満の場合には焼結体の密度が不均一となり、15時間を超えると粉末中のSm等が蒸発して良好な磁気特性が得られない。焼結時間は1〜5時間の範囲とすることがより好ましい。
次に、焼結体に溶体化熱処理および時効熱処理を施して結晶組織を制御する。溶体化熱処理は前駆体である1−7相を得るために、1130〜1230℃の範囲の温度で0.5〜8時間保持することが好ましい。時効熱処理は前駆体である1−7相を2−17相と1−5相とに相分離させるために、700〜900℃の範囲の温度で0.5〜20時間保持した後に400℃まで徐冷し、引き続いて室温まで冷却することにより実施することが好ましい。時効熱処理後の徐冷は0.5〜5℃/分の範囲の冷却速度で実施することが好ましい。結晶組織の制御は保磁力を制御する上で重要である。
溶体化熱処理温度が1130℃未満の場合には1−7相の割合を十分に高めることができず、良好な磁気特性が得られない。溶体化熱処理温度が1230℃を超える場合にも1−7相の割合が減少し、良好な磁気特性が得られない。溶体化熱処理温度は1150〜1210℃の範囲とすることがより好ましい。溶体化熱処理時間が0.5時間未満の場合には構成相が不均一となり、8時間を超えると焼結体中のSm等が蒸発して良好な磁気特性が得られない。溶体化熱処理時間は1〜4時間の範囲とすることがより好ましい。溶体化熱処理は酸化防止のため、真空中やアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気中で実施される。
時効熱処理温度が700℃未満または900℃を超えると、均質な2−17相と1−5相との混合相が得られない。時効熱処理温度は750〜900℃の範囲とすることがより好ましい。時効熱処理時間が0.5時間未満の場合には、1−7相から2−17相と1−5相への相分離を完了させることができず、20時間を超えると結晶粒の粗大化等により磁気特性が低下するおそれがある。時効熱処理時間は1〜10時間の範囲とすることがより好ましい。時効熱処理は酸化防止のために、通常真空中やアルゴンガス等の等の不活性ガス雰囲気中で実施される。
上述したような製造方法を適用することによって、高Fe濃度で2−17相と1−5相との二相分離組織を有する永久磁石、具体的には焼結磁石を得ることができる。この実施形態の永久磁石は焼結磁石に限らず、ボンド磁石であってもよい。ボンド磁石は、例えば結晶構造等を制御した磁石材料(合金粉末)を樹脂系バインダやメタルバインダ等のバインダ成分と混合し、この混合物を所望の磁石形状に圧縮成形して作製される。
この実施形態の永久磁石は、主として永久磁石モータや発電機に用いられる。永久磁石モータ(発電機)は従来の誘導モータ(発電機)と比較して効率に優れ、小型化や低騒音化等の利点を有することから、鉄道車両、ハイブリッド自動車(HEV)、電気自動車(EV)等の駆動モータや発電機として普及が進んでいる。この実施形態の永久磁石を具備する永久磁石モータや発電機、すなわち本発明の実施形態による永久磁石モータや発電機によれば、高効率化、小型化、低コスト化等を実現することが可能となる。さらに、R−Co系永久磁石は耐熱性に優れることから、鉄道車両、HEV、EV等の駆動モータや発電機に好適である。なお、永久磁石モータや発電機には各種公知の構成が適用される。
さらに、この実施形態の永久磁石は、例えば特開2008−29148号公報や特開2008−43172号公報に開示されているような可変磁束ドライブシステムにおける可変磁石や固定磁石としても有効である。可変磁石または固定磁石の少なくとも一方に実施形態の永久磁石を適用することによって、可変磁束ドライブシステムの高効率化、小型化、低コスト化等を実現することができる。
次に、本発明の具体的な実施例について説明する。
(実施例1〜4)
まず、高純度の各原料を表1に示す割合で調合し、これらをArガス雰囲気中でアーク溶解して合金インゴットを作製した。次いで、これら合金インゴットを乳鉢で粗粉砕した後、ボールミルを用いてそれぞれ平均粒径が数μm程度となるように微粉砕した。これら微粉末をそれぞれ磁場中でプレス成型して圧粉体を成形した後、Arガス雰囲気中にて1250℃×1時間の条件で焼結することによって、それぞれ焼結体を作製した。
次に、これらの焼結体を1180℃×1時間の条件で真空熱処理することによって、焼結体の結晶組織の制御を行った。各焼結体のX線回折を実施した結果、熱処理後の焼結体は全てTbCu型構造を示し、その結晶c軸が磁場方向に配向していることが確認された。これらの焼結体を真空中にて850℃×10時間の条件で熱処理した後、400℃まで1℃/分の冷却速度で徐冷し、400℃で1時間保持した後に室温まで炉冷することによって、それぞれ目的とする焼結磁石を得た。
このようにして作製した焼結磁石の組織(時効熱処理後の生成相)をTEM観察したところ、いずれも2−17相と1−5相との二相分離組織を有していることが確認された。このような焼結磁石を後述する特性評価に供した。
(比較例1、2)
高純度の各原料を表1に示す割合で調合して調製した原料粉末を用いて、実施例1と同様にして焼結体をそれぞれ作製した。得られた焼結体のX線回折を実施したところ、2−17相の生成を示す回折ピークが観測された。このような焼結体からなる磁石を後述する特性評価に供した。
次に、実施例1〜4および比較例1〜2の各焼結磁石について、残留磁化、保磁力、BHmaxをBHトレーサで測定した。これらの測定結果を表1に示す。表1から明らかなように、Siを配合した実施例1〜4の焼結磁石では200kA/m以上の保磁力が得られている。さらに、残留磁化も1.0T以上と高いことが確認された。これに対して、比較例1、2の焼結磁石は保磁力が200kA/m未満と低いものであった。
Figure 2010123722

Claims (7)

  1. 組成式:R(FeSiCuCo1−p−q−r−s100−x
    (式中、RはYを含む希土類元素から選ばれる少なくとも1種の元素、MはTi、ZrおよびHfから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、xは8≦x≦20原子%を満足する数、p、q、rおよびsはそれぞれ原子比で0.3≦p≦0.6、0.005≦q≦0.1、0.005≦r≦0.1、0.005≦s≦0.15を満足する数である)
    で表される組成を有し、かつ主としてThZn17型結晶相とCaCu型結晶相とからなる組織を有することを特徴とする永久磁石。
  2. 請求項1記載の永久磁石において、
    前記元素Rの総量の50原子%以上がSmであることを特徴とする永久磁石。
  3. 請求項1または請求項2記載の永久磁石において、
    前記元素Mの総量の50原子%以上がZrであることを特徴とする永久磁石。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載の永久磁石において、
    前記Coの一部が20原子%以下の範囲でNi、V、Cr、Mn、Al、Ga、Nb、TaおよびWから選ばれる少なくとも1種で置換されていることを特徴とする永久磁石。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項記載の永久磁石において、
    前記Siの一部が20原子%以下の範囲でGeおよびSnから選ばれる少なくとも1種で置換されていることを特徴とする永久磁石。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項記載の永久磁石を具備することを特徴とする永久磁石モータ。
  7. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項記載の永久磁石を具備することを特徴とする発電機。
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