JP4534553B2 - R−t−b系焼結磁石及びその製造方法 - Google Patents

R−t−b系焼結磁石及びその製造方法 Download PDF

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本発明は、R(Rは希土類元素から選択される1種又は2種以上の元素)、T(TはFe又はFe及びCoを含む遷移金属元素から選択される1種又は2種以上の元素)及びB(ホウ素)を主成分とするR−T−B系焼結磁石に関する。
焼結磁石の中でもR−T−B系焼結磁石は、磁気特性に優れていること、主成分であるNdが資源的に豊富で比較的安価であることから、種々の用途に使用されている。
R−T−B系焼結磁石の磁気特性を向上するための研究開発も精力的に行われている。例えば、特開平1−219143号公報(特許文献1)では、R−T−B系焼結磁石に0.02〜0.5at%のCuを添加することにより、磁気特性が向上し、熱処理条件も改善されることが報告されている。しかしながら、特許文献1に記載の方法は、高性能磁石に要求されるような高磁気特性、具体的には高い保磁力(HcJ)及び残留磁束密度(Br)を得るには不十分であった。
ここで、焼結で得られるR−T−B系焼結磁石の磁気特性は焼結温度に依存するところがある。その一方、工業的生産規模においては焼結炉内の全域で加熱温度を均一にすることは困難である。したがって、R−T−B系焼結磁石において、焼結温度が変動しても所望する磁気特性を得ることが要求される。ここで、所望する磁気特性を得ることのできる温度範囲を焼結温度幅ということにする。
R−T−B系焼結磁石の主相比率を高めて高特性化を図るには、合金中の酸素量を低下させることが必要である。そのためには磁石を製造するにあたりその工程で様々な制約を受ける。すなわち、合金から焼結に至るまで酸素量を増やさない管理が必要である。低酸素で得られた微粉を焼結する際、その結晶粒を微細な状態で維持することは難しく、最適な焼結温度よりわずかに焼結温度が高くなると、結晶粒は容易に焼結時に粒成長し、磁気特性、特に保磁力が低下する。これは微粉に占める酸素比率が少ないために非常に活性な状態にあることに起因しており、焼結時に容易に異常な粒成長を惹起するため、及び結晶粒の成長を抑制することのできる酸化物が不足するためである。
そこで、特開2002−75717号公報(特許文献2)では、Co、Al、Cu、さらにZr、Nb又はHfを含有するR−T−B系焼結磁石中に微細なZrB化合物、NbB化合物又はHfB化合物(以下、M−B化合物)を均一に分散して析出させることにより、焼結過程における異常な粒成長を抑制できることが開示されている。
特開平1−219143号公報 特開2002−75717号公報 特公平5−31807号公報 特許第3254229号公報
特許文献2によればM−B化合物を分散・析出することによって焼結温度幅が拡大されている。しかしながら、特許文献2に開示される実施例3−1では焼結温度幅が20℃程度と狭い。よって、量産炉などで高い磁気特性を得るには、さらに焼結温度幅を広げることが望ましい。
そこで本発明は、結晶粒が成長しやすい酸素量の少ないR−T−B系焼結磁石において、結晶粒の成長を抑制し磁気特性、特に保磁力を向上させることを目的とする。加えて本発明は、高い保磁力を有しつつ焼結温度幅の広いR−T−B系焼結磁石を提供することを目的とする。
近年、高性能なR−T−B系焼結磁石を製造する場合、組成の異なる合金粉末を混合、焼結する混合法が提案されている(例えば、特公平5−31807号公報(特許文献3)、特許第3254229号公報(特許文献4))。この混合法は、典型的には、R14B系金属間化合物(Rは希土類元素から選択される1種又は2種以上の元素、TはFe又はFe及びCoを含む遷移金属元素から選択される1種又は2種以上の元素)を主体とする主相形成用の合金と、主相間に存在する粒界相を形成するための合金とを混合する。ここで、主相形成用の合金はRの含有量が相対的に少ないために低R合金と呼ばれることがある。一方、粒界相形成用の合金はRの含有量が相対的に多いために高R合金と呼ばれることがある。
本発明者は、Taを低R合金に含有させ、混合法を用いてR−T−B系焼結磁石を得ると、保磁力の向上に有効であるとともに、焼結温度幅が広くなることを見出した。
本発明は以上の知見に基づくものであり、R14B相(Rは希土類元素から選択される1種又は2種以上の元素、TはFe又はFe及びCoを含む遷移金属元素から選択される1種又は2種以上の元素)からなる主相結晶粒と、主相結晶粒よりRを多く含む粒界相とを備え、主相結晶粒中にTaを含む焼結体からなり、Taは主相結晶粒中にTa−Fe化合物として存在し、酸素量が2000ppm以下であることを特徴とするR−T−B系焼結磁石である。
本発明において、主相結晶粒中のTaはTa−Fe化合物として存在することが重要である。このTa−Fe化合物は高融点であるため、焼結過程における主相結晶粒の粗大化を抑制することができる。その結果、焼結後の組織が微細となり、保磁力を向上することができる。
本発明において、Taを低R合金に含有させることによる保磁力の向上効果は、焼結体中に含まれる酸素量が1500ppm以下、さらには1000ppm以下と低酸素量の場合に有効である。
また本発明のR−T−B系焼結磁石においては、R:25〜35wt%、B:0.5〜4.5wt%、Al及びCuの1種又は2種を0.02〜0.6wt%、Ta:0.1〜2.0wt%、Co:4wt%以下(0を含まず)、残部実質的にFeからなる組成とすることが望ましい。
本発明は以上のR−T−B系焼結磁石を製造する方法を提供する。この製造方法は、R14B化合物(Rは希土類元素から選択される1種又は2種以上の元素、TはFe又はFe及びCoを含む遷移金属元素から選択される1種又は2種以上の元素)からなる主相結晶粒と、主相結晶粒よりRを多く含む粒界相とを備える焼結体からなるR−T−B系焼結磁石の製造方法であって、R14B化合物を主体としTaを含む低R合金粉末と、低R合金粉末よりもRの量が多く、かつR及びTを主体とする高R合金粉末とを含む成形体を作製し、この成形体を焼結することを特徴としている。
本発明のR−T−B系焼結磁石によれば、焼結体の酸素量が低い場合であっても、微細な結晶組織とすることにより、高い保磁力を得ることができる。しかも本発明のR−T−B系焼結磁石は、広い焼結温度幅を有している。
<組織>
はじめに本発明の特徴であるR−T−B系焼結磁石の組織について説明する。
本発明において、焼結体組織中の主相結晶粒中にTaが存在している点に特徴がある。特に、このTaは、Ta−Fe化合物として主相結晶粒中に存在している。Ta−Fe化合物は、FeTaが1775℃、FeTaが1875℃と、融点が高い。このように高融点の化合物が主相結晶粒中に存在することにより、焼結過程における主相結晶粒の粗大化を抑え、結果的に焼結後の組織を微細なものとすることができる。その結果、高い保磁力を得ることができる。
<化学組成>
次に、本発明によるR−T−B系焼結磁石の望ましい化学組成について説明する。ここでいう化学組成は焼結後における化学組成をいう。
本発明のR−T−B系焼結磁石は、Rを25〜35wt%含有する。
ここで、RはYを含む概念を有しており、La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Yb,Lu及びYから選択される1種又は2種以上の元素である。Rの量が25wt%未満であると、R−T−B系焼結磁石の主相となるR14B結晶粒の生成が十分ではない。このため、軟磁性を持つα−Feなどが析出し、保磁力が著しく低下する。一方、Rの量が35wt%を超えると主相を構成するR14B結晶粒の体積比率が低下し、残留磁束密度が低下する。またRの量が35wt%を超えるとRが酸素と反応し、含有する酸素量が増え、これに伴い保磁力発生に有効なR−リッチ相が減少し、保磁力の低下を招く。したがって、Rの量は25〜35wt%とする。望ましいRの量は28〜33wt%、さらに望ましいRの量は29〜32wt%である。
Ndは資源的に豊富で比較的安価であることから、Rとしての主成分をNdとすることが好ましい。またDyの含有は異方性磁界を増加させるため、保磁力を向上させる上で有効である。よって、RとしてNd及びDyを選択し、Nd及びDyの合計を25〜35wt%とすることが望ましい。そして、この範囲において、Dyの量は0.1〜8wt%が望ましい。Dyは、残留磁束密度及び保磁力のいずれを重視するかによって上記範囲内においてその量を定めることが望ましい。つまり、高い残留磁束密度を得たい場合にはDy量を0.1〜3.5wt%とし、高い保磁力を得たい場合にはDy量を3.5〜8wt%とすることが望ましい。
また、本発明のR−T−B系焼結磁石は、ホウ素(B)を0.5〜4.5wt%含有する。Bが0.5wt%未満の場合には高い保磁力を得ることができない。但し、Bが4.5wt%を超えると残留磁束密度が低下する傾向がある。したがって、上限を4.5wt%とする。望ましいBの量は0.5〜1.5wt%、さらに望ましいBの量は0.8〜1.2wt%である。
本発明のR−T−B系焼結磁石は、Al及びCuの1種又は2種を0.02〜0.6wt%の範囲で含有することができる。この範囲でAl及びCuの1種又は2種を含有させることにより、得られる希土類永久磁石の高保磁力化、高耐食性化、温度特性の改善が可能となる。Alを添加する場合において、望ましいAlの量は0.03〜0.3wt%、さらに望ましいAlの量は0.05〜0.25wt%である。また、Cuを添加する場合において、Cuの量は0.3wt%以下(0を含まず)、望ましくは0.15wt%以下(0を含まず)、さらに望ましいCuの量は0.03〜0.08wt%である。
本発明のR−T−B系焼結磁石は、Taを0.1〜2.0wt%含有する。R−T−B系焼結磁石の磁気特性向上を図るために酸素含有量を低減する際に、Taは焼結過程での結晶粒の異常成長を抑制する効果を発揮し、焼結体の組織を均一かつ微細にする。したがって、Taは酸素量が低い場合にその効果が顕著になる。Taの望ましい量は0.2〜1.7wt%、さらに望ましい量は0.3〜1.5wt%である。
本発明のR−T−B系焼結磁石は、その酸素量を2000ppm以下とする。酸素量が多いと非磁性成分である酸化物相が増大して、磁気特性を低下させる。そこで本発明では、焼結体中に含まれる酸素量を、2000ppm以下、望ましくは1500ppm以下、さらに望ましくは1000ppm以下とする。但し、単純に酸素量を低下させたのでは、粒成長抑制効果を有していた酸化物相が不足し、焼結時に十分な密度上昇を得る過程で粒成長が容易に起こる。そこで、本発明では、焼結過程での主相結晶粒の異常成長を抑制する効果を発揮するTaを、R−T−B系焼結磁石中、特に主相結晶粒中に所定量含有させる。ただし、粒界相中にTaが存在していても、本発明の効果を阻害することはない。
本発明のR−T−B系焼結磁石は、Coを4wt%以下(0を含まず)、望ましくは0.1〜2.0wt%、さらに望ましくは0.3〜1.0wt%含有する。CoはFeと同様の相を形成するが、キュリー温度の向上、粒界相の耐食性向上に効果がある。
<製造方法>
次に、本発明によるR−T−B系焼結磁石の好適な製造方法について説明する。
本実施の形態では、R14B結晶粒を主体とする合金(低R合金)と、低R合金よりRを多く含む合金(高R合金)とを用いて本発明に係るR−T−B系焼結磁石を製造する方法について示す。
はじめに、原料金属を真空又は不活性ガス、好ましくはAr雰囲気中でストリップキャスティングすることにより、低R合金及び高R合金を得る。原料金属としては、希土類金属あるいは希土類合金、純鉄、フェロボロン、さらにはこれらの合金等を使用することができる。得られた原料合金は、凝固偏析がある場合は必要に応じて溶体化処理を行なう。その条件は真空又はAr雰囲気下、700〜1500℃の領域で1時間以上保持すれば良い。
本発明で特徴的な事項は、Taを低R合金から添加するという点である。これは、<組織>の欄で説明したように、低R合金からTaを添加することにより、主相中にTa−Fe化合物を生成して結晶粒の異常成長を抑制する。
低R合金は、R14B結晶粒を主体とするものであれば、その組成を限定する必要はないが、Rを25〜35wt%、Bを0.5〜4.5wt%、残部Tの組成とすればよい。また、高R合金は、Rを30〜65wt%、Bを0〜5wt%、残部Tの組成とすればよい。
低R合金には、R、T及びBの他に、Cu及びAlを含有させることができる。このとき低R合金は、R−Cu−Al−Ta−T(Fe)−B系の合金を構成する。一方、高R合金には、R及びT(Fe)の他に、Cu、Co及びAlを含有させることができる。このとき高R合金は、R−Cu−Co−Al−Ta−T(Fe−Co)系の合金を構成する。
低R合金及び高R合金が作製された後、これらの各母合金は別々に又は一緒に粉砕される。粉砕工程には、粗粉砕工程と微粉砕工程とがある。まず、各母合金を、それぞれ粒径数百μm程度になるまで粗粉砕する。粗粉砕は、スタンプミル、ジョークラッシャー、ブラウンミル等の機械的手段を用い、不活性ガス雰囲気中にて行なうことができる。また、機械的な手段を用いることなく、水素を吸蔵させることにより粗粉砕を行うこともできる。さらに、水素吸蔵を行った後に、機械的な手段で粗粉砕を行うことができる。いずれの手法を用いるかは、母合金の形態によっても相違する。水素吸蔵を行った後は、脱水素することが望ましい。R−T−B系焼結磁石にとって、水素は不純物だからである。
粗粉砕工程後、微粉砕工程に移る。微粉砕は、主にジェットミルが用いられ、粒径数百μm程度の粗粉砕粉末が、平均粒径3〜5μmになるまで粉砕される。ジェットミルは、高圧の非酸化性ガス(例えば窒素ガス)を狭いノズルより開放して高速のガス流を発生させ、この高速のガス流により粗粉砕粉末を加速し、粗粉砕粉末同士の衝突やターゲットあるいは容器壁との衝突を発生させて粉砕する方法である。
微粉砕工程において低R合金及び高R合金を別々に粉砕した場合には、微粉砕された低R合金粉末及び高R合金粉末とを窒素雰囲気中で混合する。低R合金粉末及び高R合金粉末の混合比率は、重量比で80:20〜97:3程度とすればよい。同様に、低R合金及び高R合金を一緒に微粉砕する場合の混合比率も重量比で80:20〜97:3程度とすればよい。微粉砕時に、ステアリン酸亜鉛等の添加剤を0.01〜0.3wt%程度添加することにより、成形時の配向性が高い微粉を得ることができる。
次いで、低R合金粉末及び高R合金粉末からなる混合粉末を、磁場印加によってその結晶軸を配向させた状態で加圧成形する。この磁場中成形は、940〜1400kA/mの磁場中で、70〜150MPaの圧力で行なえばよい。
磁場中成形後、その成形体を真空又は不活性ガス雰囲気中で焼結する。焼結温度は、組成、粉砕方法、粒度と粒度分布の違い等、諸条件により調整する必要があるが、1000〜1100℃で1〜5時間程度焼結すればよい。
焼結後、得られた焼結体に時効処理を施すことができる。時効処理は、保磁力を制御する上で重要である。時効処理を2段に分けて行なう場合には、800℃近傍、600℃近傍での所定時間保持することが有効である。800℃近傍での熱処理を焼結後に行なうと、保磁力が増大するため、混合法においては特に有効である。また、600℃近傍の熱処理で保磁力が大きく増加するため、時効処理を1段で行なう場合には、600℃近傍の時効処理を施すとよい。
次に、具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。なお、以下では実施例1〜実施例2に分けて本発明によるR−T−B系焼結磁石を説明するが、用意した原料合金、各製造工程は共通するところがあるため、はじめにこの点について説明しておく。
1)原料合金
ストリップキャスティング法により、表1に示す組成の低R合金及び高R合金を作製した。
2)粉砕工程
室温にて水素を吸蔵させた後、Ar雰囲気中で600℃×1時間の脱水素を行なう水素粉砕処理を行なった。
高磁気特性を得るために、本実験では焼結体酸素量を2000ppm以下に抑えるために、水素処理(粉砕処理後の回収)から焼結(焼結炉に投入する)までの各工程の雰囲気を、100ppm未満の酸素濃度に抑えてある。以後、無酸素プロセスと称す。
Figure 0004534553
水素吸蔵処理された低R合金及び高R合金、さらには添加剤を混合する。添加剤の種類は特に限定されるものではなく、粉砕性の向上並びに成形時の配向性の向上に寄与するものを適宜選択すればよいが、本実施例ではステアリン酸亜鉛を0.05〜0.1wt%混合した。添加剤の混合は、例えばナウターミキサー等により5〜30分間ほど行なう程度でよい。
その後、ジェットミルを用いて合金粉末が平均粒径4.0μm程度になるまで微粉砕を行なった。
当然ながら、低R合金、高R合金及び添加剤の混合工程と微粉砕工程は、ともに無酸素プロセスで行っている。
微粉砕を行う前に、複数種類の低R合金を調合し、所望の組成(特にTa量)となるように混合することができる。この場合の混合も、例えばナウターミキサー等により5〜30分間ほど行なう程度でよい。
3)成形工程
得られた微粉末を磁場中にて成形する。具体的には、120kA/mの磁場中で1200MPaの圧力で成形を行い、成形体を得た。本工程も無酸素プロセスにて行なった。
4)焼結、時効工程
この成形体を真空中において1020〜1080℃で4時間焼結した後、急冷した。次いで得られた焼結体に800℃×1時間と540℃×1時間(ともにAr雰囲気中)の2段時効処理を施した。
表1に示す低R合金A1〜A3及び高R合金B1を用い、表2に示す最終組成となるように配合した。その後、各々の混合物を水素粉砕処理し、次いでジェットミルにて微粉砕した。その後磁場中成形した後に、1020℃、1050℃及び1080℃で焼結(4時間保持)し、得られた焼結体に2段時効処理を施した。
得られたR−T−B系焼結磁石について、残留磁束密度(Br)、保磁力(HcJ)及び角形比(Hk/HcJ)をB−Hトレーサにより測定した。なお、Hkは磁気ヒステリシスループの第2象限において、磁束密度が残留磁束密度の90%になるときの外部磁界強度である。また、得られたR−T−B系焼結磁石について、焼結体に含まれる酸素量を測定した。その結果を表2に示す。
Figure 0004534553
本実施例は、高い磁気特性を得るために、無酸素プロセスにより焼結体の酸素量を1000ppm以下と低減し、かつ粉砕粉末の平均粒径を4.0μmと微細なものとした。したがって、焼結過程における異常粒成長が生じやすくなっている。 図1に、焼結温度と、残留磁束密度(Br)、保磁力(HcJ)及び角型比(Hk/HcJ)の関係を示している。
表2及び図1に示すように、低R合金にTaを添加して得られた焼結磁石は、Taを含まない焼結磁石に比べて保磁力(HcJ)が高いことがわかる。
また、磁気特性の中で角形比(Hk/HcJ)が異常粒成長による低下傾向が最も早く現れる。つまり、角形比(Hk/HcJ)は異常粒成長の傾向を把握することのできる一指標となる。そこで、90%以上の角形比(Hk/HcJ)が得られた焼結温度域を、焼結温度幅と定義すると、Taを添加しない焼結磁石は焼結温度幅が0である。これに対して低R合金にTaを添加した焼結磁石は、1020〜1080℃において90%以上の角形比(Hk/HcJ)を得ている。つまり、Taを0.50%添加した焼結磁石の焼結温度幅は60℃以上である。
焼結温度が1050℃の焼結磁石の破断面のSEM(走査型電子顕微鏡、1000倍)像を示すが、Taを含まない焼結磁石(図2(a))と比べてTaを0.50wt%含む焼結磁石(図2(b))の方が微細な結晶組織を示すことがわかる。
表2のNo.8の焼結磁石について、TEM(透過型電子顕微鏡)による組織観察を行ったところ、主相結晶粒内である図3の点線で囲まれた領域に、Ta−Fe化合物の存在が確認された。したがって、低R合金にTaを添加することにより得られた焼結磁石の保磁力(HcJ)が向上すること及び焼結温度幅が広いことは、このTa−Fe化合物の存在が要因と判断される。
低R合金にTaを添加した焼結磁石は、Ta量の増加に伴って保磁力(HcJ)が向上する傾向がある。但し、低R合金添加による焼結磁石であっても、Ta添加量を2.5wt%まで増加させると、Ta無添加焼結磁石よりも残留磁束密度(Br)が低くなる。一方で、Ta量が0.1wt%未満では、保磁力向上の効果が十分ではない。したがって、Taの量は、0.1〜2.0wt%の範囲とすることが望ましい。
表1に示す合金を用いて、表3に示す最終組成となるように配合した以外は実施例1と同様にしてR−T−B系焼結磁石を得たのちに、やはり実施例1と同様に磁気特性を測定した。その結果を表3に合わせて示す。
Figure 0004534553
表3に示すように、Al量及びCu量を増加させることにより保磁力(HcJ)を向上できることがわかる。また、Dy量を増加させることによっても保磁力(HcJ)を向上できることがわかる。したがって、本発明によればTa、より具体的にはTa−Fe化合物を主相結晶粒内に存在させることによる保磁力(HcJ)向上効果に加えて、Al、Cu及びDyの量を調整することにより特に保磁力(HcJ)の高いR−T−B系焼結磁石を得ることができる。さらに、R(Nd+Dy)量及びB量を増減することによって磁気特性が変動することがわかる。
実施例1における焼結温度と、残留磁束密度(Br)、保磁力(HcJ)及び角形比(Hk/HcJ)の関係を示すグラフである。 実施例1におけるR−T−B系焼結磁石の破断面のSEM(走査型電子顕微鏡、1000倍)像である。 実施例1におけるR−T−B系焼結磁石のTEM(透過型電子顕微鏡)像である。

Claims (5)

  1. 14B相(Rは希土類元素から選択される1種又は2種以上の元素、TはFe又はFe及びCoを含む遷移金属元素から選択される1種又は2種以上の元素)からなる主相結晶粒と、前記主相結晶粒よりRを多く含む粒界相とを備え、前記主相結晶粒中にTaを含む焼結体からなり、
    Taは前記主相結晶粒中にTa−Fe化合物として存在し、
    酸素量が2000ppm以下であることを特徴とするR−T−B系焼結磁石。
  2. 酸素量が1500ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載のR−T−B系焼結磁石。
  3. 酸素量が1000ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載のR−T−B系焼結磁石。
  4. R:25〜35wt%、B:0.5〜4.5wt%、Al及びCuの1種又は2種を0.02〜0.6wt%、Ta:0.1〜2.0wt%、Co:4wt%以下(0を含まず)、残部実質的にFeからなる組成を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のR−T−B系焼結磁石。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のR−T−B系焼結磁石の製造方法であって、
    14B化合物(Rは希土類元素から選択される1種又は2種以上の元素、TはFe又はFe及びCoを含む遷移金属元素から選択される1種又は2種以上の元素)からなる主相結晶粒と、前記主相結晶粒よりRを多く含む粒界相とを備える焼結体からなるR−T−B系焼結磁石の製造方法であって、
    前記R14B化合物を主体としTaを含む低R合金粉末と、前記低R合金粉末よりもRを多く含み、かつR及びTを主体とする高R合金粉末とを含む成形体を作製する工程と、
    前記成形体を焼結する工程と、を含むことを特徴とするR−T−B系焼結磁石の製造方法。
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