JP2005159052A - R−t−b系永久磁石及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高い残留磁束密度を得るために酸素含有量を低減したR−T−B系永久磁石において、異常粒成長を抑制して高い保磁力及び角形比を得ることによって総合的に良好な磁気特性を備えることのできるR−T−B系永久磁石をより低コストで提供する。
【解決手段】 R214B化合物を主体とする第1合金粉末、R及びTを主体とし第1合金粉末よりもR量の多い第2合金粉末並びにM酸化物粉末(M酸化物は酸化ガリウム、酸化スズ、酸化シリコン、酸化バナジウム、酸化チタン及び酸化ビスマスの1種又は2種以上)の混合粉末から構成される成形体を得る工程と、成形体を焼結する焼結工程とを含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、希土類元素(R)、Fe又はFe及びCoを必須とする少なくとも1種以上の遷移金属元素(T)及びホウ素(B)を主成分とする磁気特性に優れたR−T−B系永久磁石及びその製造方法に関するものである。
希土類磁石の中でもR−T−B系永久磁石は、磁気特性に優れていることに加えて、主成分であるNdが資源的に豊富で比較的安価であるという特徴を有している。R−T−B系永久磁石の磁気特性、特に残留磁束密度を向上するためには、合金中の酸素(O)含有量を低下させることが有効である。しかし、合金中のO含有量を極端に低下させると焼結工程において異常粒成長が生じて保磁力及び角形比が低下してしまい、総合的にみた磁気特性は決して高いものとはならない。
この問題に対して、特許文献1(特開2002−75717号公報)では、R−T−B系永久磁石中にZrB化合物、NbB化合物又はHfB化合物を分散させることにより、異常粒成長を抑制する提案がなされている。
また、特許文献2(特公平4−26525号公報)、特許文献3(特開昭61−289605号公報)及び特許文献4(特開昭62−134907号公報)では、保磁力向上あるいは粒成長抑制のために希土類酸化物を添加する提案がなされている。
特開2002−75717号公報 特公平4−26525号公報 特開昭61−289605号公報 特開昭62−134907号公報
ところが、特許文献1にて提案されたZrB化合物、NbB化合物又はHfB化合物を析出させるためのZr、Nb及びHfは高価であり、電子部品・機器の低コスト化の観点からすると好ましくない。また、特許文献1の提案は、ZrB化合物、NbB化合物又はHfB化合物を焼結中に析出することを前提としているため、それに見合うだけのZr、Nb又はHfを原料合金に含有させる必要がある。このことは、既存の組成を有する原料合金に代わる新たな組成の原料合金を作製しなければならないことを意味しており、Zr、Nb及びHfがそもそも高価なことも相俟って作製される磁石のコストを上昇させる要因となる。
特許文献2〜4にて提案された希土類酸化物の添加は、特許文献1のようなコストの問題を有しないものの、重要な磁気特性である残留磁束密度を低下させる傾向にあり、総合的に良好な磁気特性を得ることができない。また、O含有量の低いR−T−B系永久磁石についての適用は未検討であった。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、高い残留磁束密度を得るためにO含有量を低減したR−T−B系永久磁石において、異常粒成長を抑制して高い保磁力及び角形比を得ることによって総合的に良好な磁気特性を備えることのできるR−T−B系永久磁石をより低コストで提供することを目的とする。
かかる目的のもと、添加物について鋭意検討を進めた結果、特定の元素(Ga、Sn、Si、V、Ti及びBiの1種又は2種以上)を所定量添加した場合に、焼結時の異常粒成長が抑制されるとともに、高い角形性及び良好な保磁力が得られ、総合的に良好な磁気特性を備えたR−T−B系永久磁石を安価に製造し得ることを見出した。また、上記特定の元素は、各元素の酸化物として添加することが有効であることを見出した。
本発明は以上の知見に基づくものであり、R:27.5〜32wt%(Rは希土類元素の1種又は2種以上、ただし希土類元素はYを含む概念である)、B:0.9〜1.2wt%、Al:0.05〜0.3wt%、Co:3.0wt%以下(ただし、0を含まず)、M:0.01〜0.5wt%(MはGa、Sn、Si、V、Ti及びBiの1種又は2種以上)、Cu:0.02〜1.2wt%、O:300〜3000ppm、C:200〜1300ppm、N:200〜1500ppm、残部実質的にFeの組成を有する焼結体からなることを特徴とするR−T−B系永久磁石である。
以上の本発明によるR−T−B系永久磁石は、R:27.5〜32wt%(Rは希土類元素の1種又は2種以上、ただし希土類元素はYを含む概念である)、B:0.9〜1.2wt%、Al:0.05〜0.3wt%、Co:3.0wt%以下(ただし、0を含まず)、M:0.01〜0.5wt%(MはGa、Sn、Si、V、Ti及びBiの1種又は2種以上)、Cu:0.02〜1.2wt%、O:300〜3000ppm、C:200〜1300ppm、N:200〜1500ppm、残部実質的にFeの組成を有する焼結体からなるR−T−B系永久磁石を製造する方法であって、R214B化合物を主体とする第1合金粉末、R及びTを主体とし第1合金粉末よりもR量の多い第2合金粉末並びにM酸化物粉末(M酸化物は酸化ガリウム、酸化スズ、酸化シリコン、酸化バナジウム、酸化チタン及び酸化ビスマスの1種又は2種以上)の混合粉末から構成される成形体を得る工程と、この成形体を焼結する焼結工程とを含む製造方法によって得ることができる。
本発明によれば、高い残留磁束密度を得るためにO含有量を低減したR−T−B系永久磁石において、異常粒成長を抑制して高い保磁力及び角形比を得ることによって総合的に良好な磁気特性を備えるR−T−B系永久磁石を得ることができる。本発明に用いられる元素は、特許文献1に開示されたZr、Nb及びHfよりも安価である。しかも、本発明はM酸化物粉末を添加するという手法を採用するため、新たな組成の原料合金を作製する必要がないばかりか、酸化物粉末自体安価である。したがって、本発明によれば低コストで総合的に良好な磁気特性を備えるR−T−B系永久磁石を得ることができる。
以下、本発明によるR−T−B系永久磁石について詳細に説明する。
<化学組成>
本発明のR−T−B系永久磁石は、希土類元素(R)を27.5〜32wt%含有する。
ここで、Rは、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Yb及びLuの1種又は2種以上である。R含有量が27.5wt%未満であると、軟磁性を持つα−Feなどが析出し、保磁力が著しく低下する。また、27.5wt%未満では、焼結性が劣ってくる。一方、R含有量が32wt%を超えると主相であるR214B結晶粒の体積比率が低下して残留磁束密度が低下する。したがって、R含有量は27.5〜32wt%とする。望ましいR含有量は28〜31.5wt%、さらに望ましいR含有量は29〜31wt%である。
Rの中ではNdやPrが最も磁気特性のバランスが良いことと、資源的に豊富で比較的安価であることから、Rとしての主成分をNdやPrとすることが望ましい。また、Dyの含有は異方性磁界を大きくさせるために保磁力を向上させる上で有効である。よって、RとしてNd、Pr及びDyを選択することが望ましい。Dyは、残留磁束密度及び保磁力のいずれを重視するかによって上記範囲内においてその含有量を定めることが望ましい。つまり、高い残留磁束密度を得たい場合にはDyを0.1〜4wt%とし、高い保磁力を得たい場合にはDyを4〜12wt%とすることが望ましい。
また、本発明のR−T−B系永久磁石は、ホウ素(B)を0.9〜1.2wt%含有する。B含有量が0.9wt%未満の場合には高い保磁力を得ることができない。ただし、B含有量が1.2wt%を超えると残留磁束密度が低下する。したがって、上限を1.2wt%とする。望ましいB含有量は0.9〜1.15wt%、さらに望ましいB含有量は0.95〜1.1wt%である。
本発明のR−T−B系永久磁石は、Alを0.05〜0.3wt%含有する。Alは保磁力向上の効果及び高い保磁力を得ることのできる時効処理の温度範囲を拡大する効果を有している。しかし、Alの過剰な添加は残留磁束密度の低下を招くため、0.05〜0.3wt%とする。望ましいAl含有量は0.15〜0.3wt%、さらに望ましいAl含有量は0.1〜0.25wt%である。
本発明のR−T−B系永久磁石は、Coを3.0wt%以下(ただし、0を含まず)含有する。Coはキュリー温度の向上及び耐食性の向上に効果がある。また、Cuと複合添加することにより、高い保磁力が得られる時効処理温度範囲が拡大するという効果をも有する。しかし、過剰の添加は保磁力の低下を招くとともに、コストを上昇させるため3.0wt%以下とする。望ましいCoの含有量は0.2〜3.0wt%、さらに望ましいCoの含有量は0.2〜1.5wt%である。
本発明のR−T−B系永久磁石は、Cuを0.02〜1.2wt%含有する。CuはAlと同様に保磁力の向上に効果がある。CuはAlよりも少量で保磁力向上の効果があるが、その過剰な添加は残留磁束密度の低下を招くため、0.02〜1.2wt%とする。望ましいCu含有量は0.02〜0.5wt%、さらに望ましいCu含有量は0.02〜0.2wt%である。
本発明のR−T−B系永久磁石は、M(ただし、MはGa、Sn、Si、V、Ti及びBiの1種又は2種以上)を0.01〜0.5wt%含有する。Mは、焼結時の異常粒成長を抑制することにより、高い保磁力及び角形比を得る上で重要な元素である。M含有量が0.01wt%未満ではこの効果を十分に得ることができない。また、M含有量が0.5wt%を超えると焼結性が低下し、高い保磁力が得られにくくなる。望ましいM含有量は0.01〜0.3wt%、さらに望ましいM含有量は0.02〜0.25wt%である。なお、後述するように、本発明のR−T−B系永久磁石を製造する際にMはM酸化物として添加されることが重要である。
本発明のR−T−B系永久磁石はO含有量を300〜3000ppmとする。O含有量を300ppm未満とすることは工業的な生産規模では困難である。一方、O含有量が3000ppmを超える場合には、酸化物を形成するRの量が多くなり、磁気的に有効なRが減少して保磁力が低下する。O含有量は500〜2000ppm、さらには700〜1500ppmとすることが望ましい。なお、以上のO含有量はM酸化物粉末の添加に基づくOを含んだ値である。
また、本発明のR−T−B系永久磁石は炭素(C)含有量を200〜1300ppmとする。C含有量を300ppm未満とすることは工業的な生産規模では困難である。一方、C含有量が1300ppmを超える場合には、炭化物を形成するRの量が多くなり、磁気的に有効なRが減少して保磁力が低下する。C含有量は300〜1000ppm、さらには500〜900ppmとすることが望ましい。
本発明のR−T−B系永久磁石は窒素(N)含有量を200〜1500ppmとする。焼結体中のN含有量が200ppm未満では耐食性が劣る。一方、1500ppmを超えると窒化物を形成するR量が多くなるために、磁気的に有効なRが減少して保磁力が低下する。上記範囲とすることによって、優れた耐食性と高い磁気特性を両立させることができる。N含有量は200〜1000ppm、さらには400〜800ppmとすることが望ましい。
次に、本発明によるR−T−B系永久磁石の好適な製造方法について説明する。
本実施の形態では、R214B化合物を主体とする低R合金と、低R合金よりRを多く含む高R合金とを用いて本発明に係るR−T−B系永久磁石を製造する方法について示す。このように2種以上の異なる組成の合金を用いることを混合法と呼んでいる。混合法は、R−T−B系永久磁石にとって理想的な組織を得ることができるため、高い磁気特性を得る上で有効である。もっとも、本発明によるR−T−B系永久磁石は、混合法により製造されるものに限定されないことは言うまでもない。
はじめに、原料金属を真空又は不活性ガス、好ましくはAr雰囲気中でストリップキャスティング、その他公知の方法により低R合金及び高R合金を得る。原料金属としては、希土類金属あるいは希土類合金、純鉄、フェロボロン、さらにはこれらの合金等を使用することができる。
低R合金には、R、Fe及びBの他にCu及びAlを含有させることができる。このとき低R合金は、R−Cu−Al−Fe−B系の合金を構成する。また、高R合金には、R、Fe及びBの他に、Cu、Co及びAlを含有させることができる。このとき高R合金は、R−Cu−Co−Al−Fe−Co−B系の合金を構成する。
低R合金及び高R合金を作製した後、これらの各母合金は別々に又は一緒に粉砕される。粉砕は、一般に粗粉砕と微粉砕とから構成される。まず、各母合金の鋳塊を、それぞれ粒径数百μm程度になるまで粗粉砕する。粗粉砕は、スタンプミル、ジョークラッシャー、ブラウンミル等を用い、不活性ガス雰囲気中にて行なうことが望ましい。粗粉砕性を向上させるために、水素を吸蔵させた後に粗粉砕を行なうことが効果的である。また、水素吸蔵を行った後に、水素を放出させ、さらに粗粉砕を行うこともできる。
粗粉砕後、微粉砕に移る。微粉砕には主にジェットミルが用いられる。粗粉砕では、粒径数百μm程度の粗粉砕粉末が、平均粒径1〜10μm、望ましくは3〜7μmまで粉砕される。R−T−B系永久磁石のN含有量は、ジェットミルを行う雰囲気ガスの種類、雰囲気中のO濃度、粉砕ガス圧を変動することにより制御することができる。
微粉砕において低R合金及び高R合金を別々に粉砕した場合には、微粉砕された低R合金粉末及び高R合金粉末とを例えば窒素雰囲気中で混合する。低R合金粉末及び高R合金粉末の混合比率は、重量比で80:20〜97:3程度とすればよい。低R合金及び高R合金を一緒に粉砕する場合の混合比率も同様である。微粉砕時に、オレイン酸アミド、ステアリン酸亜鉛等の粉砕助剤を0.01〜0.3wt%程度添加することにより、成形時に配向性の高い微粉末を得ることができる。
次いで、この混合された微粉末を、磁場印加によってその結晶軸を配向させた状態で加圧成形する。この磁場中成形は、12〜17kOe前後の磁場中で、0.7〜1.5t/cm2前後の圧力で行なえばよい。
本発明では、粗粉砕前、微粉砕前あるいは磁場中成形前にM酸化物粉末を添加、混合する。その結果、磁場中成形に供される混合粉末及び得られる成形体は、低R合金粉末、高R合金粉末及びM酸化物粉末から構成される。
磁場中成形後、低R合金粉末、高R合金粉末及びM酸化物粉末の混合粉末からなる成形体を真空又は不活性ガス雰囲気中で焼結する。焼結温度は、組成、粉砕方法、粒度と粒度分布の違い等、諸条件により調整する必要があるが、1000〜1100℃の範囲で1〜10時間程度保持すればよい。この焼結過程において、添加されたM酸化物が異常結晶粒成長を抑制する。
焼結後、得られた焼結体に時効処理を施すことができる。この時効処理は、保磁力を制御する重要な工程である。時効処理を2段に分けて行なう場合には、800℃近傍、600℃近傍での所定時間の保持が有効である。800℃近傍での熱処理を焼結後に行なうと、保磁力が増大するため、混合法においては特に有効である。また、600℃近傍の熱処理で保磁力が大きく増加するため、時効処理を1段で行なう場合には、600℃近傍の時効処理を施すとよい。
焼結体のO含有量を300〜3000ppmとするためには、粉砕から焼結までの工程の雰囲気中のO含有量を低く、例えば300ppm程度に制御する必要がある。また、焼結体のN含有量を200〜1500ppmとするためには、原料合金の溶解〜焼結までの工程の条件を制御する必要があり、特に前述したようにジェットミルにより微粉砕を行う場合には、雰囲気ガスの種類、雰囲気中のO濃度、粉砕ガス圧を変動することによりN含有量を制御することができる。このように、製造工程の雰囲気等の条件を制御することによりO及びN含有量を本発明の範囲内に制御することができる。なお、焼結体のO含有量は、M酸化物粉末添加に起因するOを含んでいる。したがって、M酸化物粉末の添加量を調整することが、焼結体のO含有量の制御に繋がる。
ストリップキャスティング法により表1に示す2種類の合金a(低R合金)及び合金b(高R合金)を作製した。そして、合金a及び合金bを90:10(重量比)に秤量、混合した。この混合物に対して室温にて水素を吸蔵させた後、Ar雰囲気中で600℃×1時間の脱水素を行なう水素粉砕処理(粗粉砕)を行なった。なお、焼結体のO含有量を3000ppm以下に抑えるために、水素粉砕処理(粉砕処理後の回収)から焼結(焼結炉に投入する)までの各工程の雰囲気を100ppm未満の酸素濃度に抑えてある。以後、この低酸素雰囲気による製造プロセスを無酸素プロセスと称する。
Figure 2005159052
微粉砕を行なう前に粗粉砕粉末に粉砕助剤を混合した。粉砕助剤は、特に限定はないが、本実施例ではオレイン酸アミドを0.1wt%添加した。粉砕助剤の混合には、例えばナウタミキサを用いることができる。
その後、ジェットミルを用いて微粉砕を行なった。ジェットミルを経た微粉砕粉末をレーザー回折式粒度分布測定器を用いて測定した結果、平均粒径D50(累積体積が50%になる粒子の粒径)は5.24μmであった。
次に、この微粉砕粉末にM酸化物粉末を0.05wt%添加、混合した。なお、添加、混合はナウタミキサを用いて行った。
得られた混合粉末を磁場中にて成形した。具体的には、15kOeの磁場中で1.2t/cm2の圧力で成形を行った。
この成形体を真空中において1030℃で4時間及び1050℃で4時間保持する焼結を行った後に急冷した。得られた焼結体に800℃で1時間、さらに550℃で2.5時間(ともにAr雰囲気中)保持する2段時効処理を施すことによりR−T−B系永久磁石を作製した。なお、試料No.1はM酸化物粉末を添加しない以外は、試料No.2〜7と同様にしてR−T−B系永久磁石を作製した場合、試料No.8及びNo.9は無酸素プロセスを適用せず作製した場合、また試料No.10及びNo.11はジェットミル時の粉砕条件を変えN含有量の多いR−T−B系永久磁石を作製した場合の結果を示す。なお、無酸素プロセスを適用しない試料No.8及びNo.9は、磁場中成形時の雰囲気中の酸素濃度を1000ppm程度とした。
得られたR−T−B系永久磁石について、残留磁束密度(Br)、保磁力(HcJ)及び角形比(Hk/HcJ)をB−Hトレーサにより測定した。なお、角形比(Hk/HcJ)は磁石性能の指標となるものであり、磁気ヒステリシスループの第2象限における角張の度合いを表す。またHkは、磁気ヒステリシスループの第2象限において、磁束密度が残留磁束密度の90%になるときの外部磁界強度である。その結果を表2に示す。
Figure 2005159052
表2より、M酸化物粉末を添加することにより焼結時の異常粒成長を抑制して保磁力(HcJ)及び角形比(Hk/HcJ)を向上できることがわかる。保磁力(HcJ)向上効果の観点からはSiO2、VO及びTiO2が望ましく、角形比(Hk/HcJ)向上効果の観点からはGa23及びSnO2が望ましいことがわかる。ただし、試料No.7〜10を参照するとわかるように、O含有量又はN含有量が本発明で規定する範囲を超えていると、M酸化物粉末の添加効果を享受することができない。
焼結温度を1030℃(4時間)と1050℃(4時間)の2種類とする点を除いて実施例1と同様にしてR−T−B系永久磁石を作製し、実施例1と同様に磁気特性(残留磁束密度(Br)、保磁力(HcJ)及び角形比(Hk/HcJ))を測定した。その結果を表3に示す。
Figure 2005159052
表3に示すように、SnO2又はSiO2を添加することにより保磁力(HcJ)を向上できることがわかる。この効果は1030℃の焼結温度よりも1050℃の焼結温度のときに顕著となる。
M酸化物としてSnO2を選択し、その添加量、焼結温度を変更させて実施例1と同様にR−T−B系永久磁石を得た。なお、微粉砕粉末のD50は3.8μmである。得られたR−T−B系永久磁石の磁気特性(残留磁束密度(Br)、保磁力(HcJ)及び角形比(Hk/HcJ))を測定した。その結果を図1及び図2に示す。なお、図1はSnO2添加量と磁気特性の関係を示すグラフ、図2は焼結温度と磁気特性の関係を示すグラフである。また、得られた1050℃焼結による焼結体の所定元素について組成分析を行った結果を表4に示す。
Figure 2005159052
図1、図2及び表4より以下のことがわかる。
SnO2の添加量と磁気特性の関係についてみると、SnO2の添加量が増加するにつれて保磁力(HcJ)及び角形比(Hk/HcJ)は向上する傾向にあるが、残留磁束密度(Br)は僅かに低下する。
また、焼結温度が1070℃と高い場合には残留磁束密度(Br)、保磁力(HcJ)及び角形比(Hk/HcJ)が著しく低下するが、SnO2を0.05wt%以上の範囲で添加することによりこれら特性の低下を抑制することができる。ただし、SnO2を0.6wt%添加した場合には、高い角形比(Hk/HcJ)は得られるが、焼結性が劣り十分な密度が得られないため残留磁束密度(Br)及び保磁力(HcJ)が低下する。
さらに、焼結体中のSn含有量が0.5wt%以下、O含有量が1500ppm以下の場合に、高い磁気特性が得られていると判断される。
実施例3で得られたR−T−B系永久磁石のSnO2添加量と磁気特性の関係を示すグラフである。 実施例3で得られたR−T−B系永久磁石の焼結温度と磁気特性の関係を示すグラフである。

Claims (2)

  1. R:27.5〜32wt%(Rは希土類元素の1種又は2種以上、ただし希土類元素はYを含む概念である)、B:0.9〜1.2wt%、Al:0.05〜0.3wt%、Co:3.0wt%以下(ただし、0を含まず)、M:0.01〜0.5wt%(MはGa、Sn、Si、V、Ti及びBiの1種又は2種以上)、Cu:0.02〜1.2wt%、O:300〜3000ppm、C:200〜1300ppm、N:200〜1500ppm、残部実質的にFeの組成を有する焼結体からなることを特徴とするR−T−B系永久磁石。
  2. R:27.5〜32wt%(Rは希土類元素の1種又は2種以上、ただし希土類元素はYを含む概念である)、B:0.9〜1.2wt%、Al:0.05〜0.3wt%、Co:3.0wt%以下(ただし、0を含まず)、M:0.01〜0.5wt%(MはGa、Sn、Si、V、Ti及びBiの1種又は2種以上)、Cu:0.02〜1.2wt%、O:300〜3000ppm、C:200〜1300ppm、N:200〜1500ppm、残部実質的にFeの組成を有する焼結体からなるR−T−B系永久磁石を製造する方法であって、
    214B化合物を主体とする第1合金粉末、R及びTを主体とし前記第1合金粉末よりもR量の多い第2合金粉末並びにM酸化物粉末(M酸化物は酸化ガリウム、酸化スズ、酸化シリコン、酸化バナジウム、酸化チタン及び酸化ビスマスの1種又は2種以上)の混合粉末から構成される成形体を得る工程と、
    前記成形体を焼結する焼結工程と、
    を含むことを特徴とするR−T−B系永久磁石の製造方法。
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