JP4548127B2 - R−t−b系焼結磁石 - Google Patents

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本発明は、R(Rは希土類元素の1種又は2種以上、但し希土類元素はYを含む概念である)、T(TはFe又はFe及びCoを必須とする少なくとも1種以上の遷移金属元素)及びB(ホウ素)を主成分とするR−T−B系焼結磁石に関し、特に保磁力及び機械的強度の向上を図ったR−T−B系焼結磁石に関する。
近年自動車用途や産業機器にR−T−B系焼結磁石の使用が増加している。これらの用途では一般的に高温でも永久磁石として機能するため高保磁力が要求される。また、磁気特性以外にも機械的な強度が要求される。当該磁石がモータのロータに使用される際に、あるいは種々のデバイスに設置される際に相当の応力が付与されるためである。
高保磁力を得るために次の3方策が有効であることが知られている。
(1)Rとして、そのコストの観点から専らNd、Prを用いているが、その一部を重希土類元素であるDy等で置換して、異方性磁界を向上させる。
(2)Rの含有量を増やす。
(3)焼結体の結晶粒径を微細にする。
また強度を向上させる方法としては、例えば、特開平11−97223号公報(特許文献1)で主相結晶粒の粒度分布を調整することが開示されている。
特開平11−97223号公報
以上のように、保磁力を向上する方法、機械的強度(以下、単に強度)を向上する方法は、各々知られているが、保磁力及び機械的強度をともに向上する方法はこれまで提案された例を見出すことができない。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、保磁力及び機械的強度を向上することのできるR−T−B系焼結磁石を提供することを目的とする。
本発明は、高保磁力かつ高強度のR−T−B系焼結磁石を得ることを目的として、Rとして重希土類元素を含有することを前提とする。これは、従来から知られている、重希土類元素を含有させることによる異方性磁界向上の手法を踏襲するものである。その上で、強度向上を図るための手法を本発明者等は検討した。その結果、R−T−B系焼結磁石に含有される特定の元素と、重希土類元素の存在形態によって、保磁力及び強度が変動することを確認した。より具体的に言うと、重希土類元素とCo及び/又はCuを含有するR−T−B系焼結磁石において、焼結体の粒界相における重希土類元素とCo及び/又はCuにそれぞれ濃度分布がある場合において、重希土類元素の高濃度域とCo及び/又はCuの高濃度域が重複せずに異なる位置に存在する場合に、高保磁力及び高強度が実現されることが判明した。
以上の知見に基づく本発明のR−T−B系焼結磁石は、R214B化合物(ただし、Rは希土類元素の1種又は2種以上、TはFe又はFe及びCoを必須とする1種又は2種以上の遷移金属元素)からなる主相と、主相よりRを多く含む粒界相と、を備えるとともに、Rとして重希土類元素であるTbを、またCu及びCoを含む焼結体からなり、焼結体は、R:22〜33wt%(Rの中で重希土類元素が8wt%以下(ただし、0を含まず))、B:0.5〜1.5wt%、Al:0.03〜0.3wt%、Cu:0.15wt%以下(ただし、0を含まず)、Co:8wt%以下(ただし、0を含まず)、残部実質的にFeからなり、|Tb(wt%)−Co(wt%)|が2wt%以下である組成を有するとともに、粒界相において、Tbの高濃度領域とCu及び/又はCoの高濃度領域とが異なる位置に存在することを特徴とする。
発明を実施する上で、R:22〜33wt%(Rの中で重希土類元素が8wt%以下(ただし、0を含まず))、B:0.5〜1.5wt%、Al:0.03〜0.3wt%、Cu:0.15wt%以下(ただし、0を含まず)、Co:8wt%以下(ただし、0を含まず)、残部実質的にFeからなる組成を有するが、この組成の中で、Co:0.5〜4wt%であることが特に望ましい。
以上説明したように、本発明によれば、保磁力及び機械的強度をともに向上することのできるR−T−B系焼結磁石を提供することができる。
以下、本発明について詳述する。
R−T−B系焼結磁石はR、Fe及びBが基本的な元素であるが、その他に保磁力や耐食性改善、製造容易性等の目的でCo及び/又はCuを添加することがある。
また、Rとしては高い磁束密度を得る目的でNdやPrが主に使用されるが、Dy、Tbに置換することでR214B化合物から構成される主相の異方性磁界が向上し、高保磁力の磁石を製造することが可能である。
R−T−B系焼結磁石は、主相のほかに、主相結晶粒同士を区画する粒界相が存在する。この粒界相は、基本元素であるR、Fe及びBも含め、R−T−B系焼結磁石を構成するほとんどの元素を含んでおり、Rリッチ相、Bリッチ相、R酸化物相など複数種の相から形成される。この粒界相は、主相よりもRを多く含んでいる。
重希土類元素を含むR−T−B系焼結磁石は、粒界相に重希土類元素を含む。この場合、重希土類元素の濃度は、粒界相において均一ではなく、濃度分布が存在する。つまり、粒界相には重希土類元素の濃度が高い高濃度領域が存在する。
また、Co及び/又はCuを含有するR−T−B系焼結磁石は、粒界相にCo及び/又はCuを含む。この場合、Co及び/又はCuの濃度は、粒界相において均一ではなく、濃度分布が存在する。つまり、粒界相にはCo及び/又はCuの濃度が高い高濃度領域が存在する。
ここで、本発明において高濃度領域か否かは、EPMAによる元素マッピングの結果から判断する。具体的には所定元素についての元素マッピング結果において、当該元素の全分析点の平均値をAve、標準偏差をσとすると、Ave+2σの値以上の部分を当該元素の高濃度領域と定義する。
例えば、図1に示すR−T−B系焼結磁石の場合、CuのAveが15.5、標準偏差σが10.0であるから、Ave+2σ=35.5となる。したがって、図1に示すR−T−B系焼結磁石の場合は、Cuの高濃度領域は、Cuの元素マッピングにおいて濃度が35.5以上の領域となる。Co、重希土類元素についても同様である。
本発明は、このように粒界相において、重希土類元素の高濃度領域とCo及び/又はCuの高濃度領域を、異なる位置に存在させることにより、R−T−B系焼結磁石の高強度化を図ることができる。R−T−B系焼結磁石は粒界破断を起こすため、粒界相の性質が強度に影響を及ぼすと解されるが、以上のような粒界相とすることにより高強度になる理由は明確ではない。
ちなみに、主相(結晶粒)においては、重希土類元素、Coの濃度はほぼ均一といえる。したがって、本発明において、主相であるか、粒界相であるかの判断は、重希土類元素の濃度、あるいはCoの濃度分布に基づいて判断することができる。また、例えば図1に示す元素マッピングにおいて、Tbに関する元素マッピングと反射電子線像より、Tbの濃度が高い領域に対応する反射電子線像の白い領域が粒界相と判断することができる。
図3は、後述する実施例(本発明)によるR−T−B系焼結磁石をEPMAで面分析した結果に基づいて、Cu、Co及びTb(重希土類元素)の高濃度領域を模写したものである。また、図4は、後述する比較例によるR−T−B系焼結磁石をEPMAで面分析した結果に基づいて、Cu、Co及びTb(重希土類元素)の高濃度領域を模写したものである。図3(特に、Cu+Co+Tbの図参照)に示すように、本発明によるR−T−B系焼結磁石は、ハッチングで示すCu及びCoの高濃度領域と白抜きで示すTbの高濃度領域とは、その存在位置が異なっている。これに対して、図4(特に、Cu+Co+Tbの図参照)に示すように、比較例によるR−T−B系焼結磁石は、ハッチングで示すCu及びCoの高濃度領域と白抜きで示すTbの高濃度領域とは、その存在位置がほとんど重複している。そして、図3に示す本発明によるR−T−B系焼結磁石は、図4に示すR−T−B系焼結磁石よりも、強度が高く、かつ保磁力も高い。
以上の図3に示したような組織、つまり重希土類元素の高濃度領域とCo及び/又はCuの高濃度領域を異なる位置に存在する組織とするためにはどのような方法を採用してもよいが、原料合金の形態、焼結工程や時効工程における降温過程の冷却速度を制御することで、このような組織を実現することができる。本発明者等は、R−T−B系焼結磁石の粒界相の液相が固化する温度域を急冷することで、重希土類元素の高濃度領域とCo及び/又はCuの高濃度領域を異なる位置に存在する組織にできることを確認している。急冷の好ましい条件は、焼結又は時効処理の降温過程において、900〜600℃の温度域を30℃/min以上の平均速度で冷却する。例えば、焼結の後に時効処理を行う場合、時効処理において上記急冷処理を施せばよい。つまり、900〜600℃の温度域を通過する工程が複数回ある場合は、最後の工程で急冷処理を行えばよい。焼結後に時効処理を行わない場合は、焼結の降温過程で急冷処理を行えばよいことになる。
以上本発明の特徴部分について説明したが、以下では本発明が適用されるR−T−B系焼結磁石の組成、急冷処理以外の製造工程について順次説明する。
<組成>
本発明によるR−T−B系焼結磁石は、Rを22〜33wt%含有する。
ここで、RはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Yb、Lu及びYからなるグループから選択される1種又は2種以上であるが、本発明は重希土類元素を必須元素として含む。本発明における重希土類元素とは、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Yb、Lu及びYの1種又は2種以上をいうが、本発明はTbを必ず含む
Rの量が22wt%未満であると、R−T−B系焼結磁石の主相となるR214B化合物の生成が十分ではない。このため、軟磁性を持つα−Feなどが析出し、保磁力が著しく低下する。一方、Rの量が33wt%を超えると主相であるR214B化合物の体積比率が低下し、残留磁束密度が低下する。またRが33wt%を超えるとRが酸素と反応し、含有する酸素量が増え、これに伴い保磁力発生に有効なRリッチ相が減少し、保磁力の低下を招く。したがって、Rの量は22〜33wt%とする。望ましいRの量は28〜33wt%、さらに望ましいRの量は29〜32wt%である。
Ndは資源的に豊富で比較的安価であることから、Rとしての主成分をNdとすることが好ましい。また重希土類元素の含有は異方性磁界を増加させるために、保磁力を向上させる上で有効である。よって、本発明では、重希土類元素の含有を必須とする。そして、上記Rの範囲において、重希土類元素の量は8wt%以下(ただし、0を含まず)とすることが望ましい。重希土類元素は、残留磁束密度及び保磁力のいずれを重視するかによって上記範囲内においてその量を定めることが望ましい。つまり、相対的に高い残留磁束密度を得たい場合には重希土類元素量を1〜3wt%とし、高い保磁力を得たい場合には重希土類元素量を3〜8wt%とすることが望ましい。重希土類元素含有の効果である保磁力向上にとっては、Tbが最も望ましく、他の希土類元素よりも少量で保磁力向上の効果を得ることができる。なお、Tbを含有する場合であっても、Tbの一部をDyで置換することより、高保磁力を得つつ低コスト化を図ることもできる。
また、本発明によるR−T−B系焼結磁石は、ホウ素(B)を0.5〜1.5wt%含有する。Bが0.5wt%未満の場合には高い保磁力を得ることができない。ただし、Bが1.5wt%を超えると残留磁束密度が低下する傾向がある。望ましいBの量は0.7〜1.3wt%、さらに望ましいBの量は0.8〜1.2wt%である。
本発明によるR−T−B系焼結磁石は、Alを0.03〜0.3wt%、Cuを0.15wt%以下(ただし、0を含まず)含有することができる。この範囲でAl、Cuを含有させることにより、得られるR−T−B系焼結磁石の高保磁力化、高耐食性化、温度特性の改善が可能となる。Alを添加する場合において、望ましいAlの量は0.05〜0.25wt%、さらに望ましいAlの量は0.1〜0.23wt%である。また、Cuを添加する場合において、Cuの量は0.02〜0.12wt%とすることが望ましく、0.03〜0.1wt%とすることがより望ましい。本発明は、粒界相において、Cuの高濃度領域が重希土類元素の高濃度領域と異なる位置に存在するところに特徴がある。
本発明によるR−T−B系焼結磁石は、Coを8wt%以下(ただし、0を含まず)、望ましくは0.1〜4wt%、さらに望ましくは0.2〜2wt%含有する。CoはFeと同様の相を形成するが、キュリー温度の向上、粒界相の耐食性向上に効果がある。本発明は、粒界相において、Coの高濃度領域が重希土類元素の高濃度領域と異なる位置に存在するところに特徴がある。
ここで、本発明は、|Tb(wt%)−Co(wt%)|を2wt%以下とする。Tbの含有量とCoの含有量の差が大きくなると、粒界相においてTbの高濃度領域及びCoの高濃度領域が一致する傾向にあるためである。
本発明によるR−T−B系焼結磁石は、Zr、Nb及びHfの1種又は2種以上(以下、M元素と総称することがある)を0.05〜0.3wt%含有することが望ましい。R−T−B系焼結磁石の磁気特性向上を図るために酸素含有量を低減する際に、M元素は焼結過程での結晶粒の異常成長を抑制する効果を発揮し、焼結体の組織を均一かつ微細にする。したがって、M元素は酸素量が低い場合にその効果が顕著になる。M元素の望ましい量は0.1〜0.25wt%、さらに望ましい量は0.15〜0.25wt%である。
本発明によるR−T−B系焼結磁石は、その酸素量を5000ppm以下とすることが好ましく、さらに好ましくは2000〜3000ppmとする。酸素量が多いと非磁性成分である酸化物相が増大して磁気特性が低下する一方、酸素量が少なすぎると酸化物相の量が不足することにより焼結時に結晶粒が異常成長するおそれがあるためである。
本発明のR−T−B系焼結磁石は、組成の異なる複数種の原料合金から製造することができる。典型的には主相形成用の原料合金と粒界相形成用の原料合金を用いるものである。後述する実施例の合金Aが主相形成用の原料合金、合金Bが粒界相形成用の原料合金である。そして、Rのうちで重希土類元素であるTbの50%以上を粒界相形成用の原料合金から供給し、他のR、典型的にはNdは主相形成用の原料合金から供給することが、本発明のR−T−B系焼結磁石を得るのに有効である。Tbは、その全てを粒界相形成用の原料合金から供給することがより好ましい。
<製造方法>
次に、本発明によるR−T−B系焼結磁石の製造方法の望ましい形態について説明する。
原料金属を真空又は不活性ガス、好ましくはAr雰囲気中でストリップキャスティングすることにより、原料合金を得ることができる。原料金属としては、希土類金属あるいは希土類合金、純鉄、フェロボロン、さらにはこれらの合金等を使用することができる。
原料合金が作製された後、これらの母合金は粉砕される。粉砕工程には、粗粉砕工程と微粉砕工程とがある。まず、各母合金をそれぞれ粒径数百μm程度になるまで粗粉砕する。粗粉砕は、スタンプミル、ジョークラッシャー、ブラウンミル等を用い、不活性ガス雰囲気中にて行なうことができる。粗粉砕性を向上させるために、水素を吸蔵させた後、粗粉砕を行なうこともできる。また、水素吸蔵を行った後に、水素を放出させることにより、粗粉砕を行うこともできる。
高磁気特性を得るために、粉砕処理(粉砕処理後の回収)から焼結(焼結炉に投入する)までの各工程の雰囲気を低酸素濃度にすることが好ましい。1つの基準として、焼結体の酸素量を5000ppm以下に制御する場合には各工程の酸素の濃度を3000ppm以下に制御し、焼結体の酸素量を2000〜3000ppmに制御する場合には各工程の酸素の濃度を100ppm以下に制御する。
粗粉砕工程後、微粉砕工程に移る。微粉砕は、主にジェットミルが用いられ、粒径数百μm程度の粗粉砕粉末が、平均粒径3〜5μmになるまで粉砕される。ジェットミルは、高圧の不活性ガス(例えば窒素ガス)を狭いノズルより開放して高速のガス流を発生させ、この高速のガス流により粗粉砕粉末を加速し、粗粉砕粉末同士の衝突やターゲットあるいは容器壁との衝突を発生させて粉砕する方法である。微粉砕時に、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸アミド等の添加剤を添加することにより、成形時に配向性の高い微粉を得ることができる。
次いで、微粉砕された合金粉末を、磁場印加によってその結晶軸を配向させた状態で磁場中成形する。磁場中成形における成形圧力は30〜300MPaの範囲とすればよい。成形圧力は成形開始から終了まで一定であってもよく、漸増または漸減してもよく、あるいは不規則変化してもよい。成形圧力が低いほど配向性は良好となるが、成形圧力が低すぎると成形体の強度が不足してハンドリングに問題が生じるので、この点を考慮して上記範囲から成形圧力を選択する。磁場中成形で得られる成形体の最終的な相対密度は、通常、50〜60%である。印加する磁場は、960〜1600kA/m程度とすればよい。また、印加する磁場は静磁場に限定されず、パルス状磁場とすることもできる。また、静磁場とパルス状磁場を併用することもできる。
磁場中成形後、その成形体を真空又は不活性ガス雰囲気中で焼結する。焼結温度は、組成、粉砕方法、粒度と粒度分布の違い等、諸条件により調整する必要があるが、1000〜1200℃で1〜10時間程度焼結すればよい。焼結後、得られた焼結体に時効処理を施すことができる。時効処理は、保磁力を制御する上で重要である。時効処理を2段に分けて行なう場合には、800〜900℃近傍、600〜700℃近傍での所定時間の保持が有効である。
本発明では、前述したように、焼結の降温過程又は時効処理の降温過程で急冷処理を施すことが望ましい。この急冷処理は、900〜600℃の温度域で30℃/min以上の平均速度で降温するものである。冷却速度は、30℃/min以上の範囲であれば制限はないが、設備的に100℃/minを超える冷却速度とすることは困難な場合が多い。
ストリップキャスト法により表1〜8に示す組成を有する合金A及び合金Bを作製し、表1〜8に示す混合比に配合した。
Figure 0004548127
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合金A及び合金Bからなる各混合物(実施例1〜6,ただし、実施例5,6は本発明に対する参考例であり、以下同じ)に室温で水素吸蔵処理を施した後に、600℃で脱水素処理を行って合金A及び合金Bを粗粉砕した。粗粉砕された合金A及び合金Bに、粉砕助剤としてオレイン酸アミドを0.1wt%添加し、ジェットミルにて微粉砕を行って平均粒径4.5μmの微粉を得た。
得られた微粉を磁場中成形、焼結及び時効処理を行って焼結磁石を得た。磁場中成形の条件は、印加磁場が1200kA/m、成形圧力が100MPaである。焼結及び時効処理は、焼結は1050℃で3時間保持し、時効処理は900℃で1時間保持及び530℃で1時間保持の2段時効処理とした。また、焼結後の降温過程(1050〜600℃)の冷却速度を50℃/min、1段目の時効処理の降温過程(900〜600℃)の冷却速度を50℃/minに制御した。
なお、焼結後の酸素量を低減するため、以上の粗粉砕から焼結に至るまでの雰囲気の酸素量を制御した。
得られた各R−T−B系焼結磁石(実施例1〜6)を、10mm×10mm×1.5mmに加工し、磁場中成形の配向方向と垂直な方向に荷重をかけて3点曲げ強度を測定(JIS R 1601準拠)した。また、得られた各R−T−B系焼結磁石について磁気特性を測定した。以上の測定結果を表9に示す。なお、得られた各R−T−B系焼結磁石について、その酸素量を測定したところ、2000〜3000ppmの範囲にあった。
合金A及び合金Bを用いて、焼結及び時効処理を、焼結を1050℃で3時間保持し、時効処理を900℃で1時間保持及び530℃で1時間保持の2段時効処理とする以外は、上記と同条件でR−T−B系焼結磁石を製造した(比較例1〜8)。ただし、これら比較例は、焼結後の降温過程(1050〜600℃)の冷却速度を15℃/min、1段目の時効処理の降温過程(900〜600℃)の冷却速度を15℃/minに制御した。
得られたR−T−B系焼結磁石(比較例)について、実施例と同様に3点曲げ強度及び磁気特性を測定した。その結果を表9に示す。なお、得られた各R−T−B系焼結磁石について、その酸素量を測定したところ、2000〜3000ppmの範囲にあった。
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表9に示すように、実施例1〜4と比較例1〜4の対比、実施例5〜6と比較例7〜8の対比より、実施例によるR−T−B系焼結磁石及び比較例によるR−T−B系焼結磁石は、組成及び基本的な製造方法が一致しているにもかかわらず、強度及び磁気特性に差異がある。そこで、その原因を究明するために、実施例1によるR−T−B系焼結磁石及び比較例1によるR−T−B系焼結磁石の組織をEPMAにより観察した。その結果を図1(実施例1)及び図2(比較例1)に示す。図1及び図2に示すように、Cu、Co及びTbに濃度分布がある。図1及び図2において、白色の部分ほど当該元素の濃度が高いことを示しているが、一般的に主相には濃度分布がほとんど存在しないことから、この白色の濃度の高い領域は粒界相に該当すると解される。
図1及び図2について、Cu、Co及びTbの高濃度領域の存在位置を確認するために、図1及び図2の高濃度領域を模写した。図3(実施例)及び図4(比較例)にその模写を示す。図3及び図4において、Cu及びCoの高濃度領域はハッチングで示されている。また、図3及び図4において、Tb高濃度領域は白抜きで示されている。
図3及び図4には、Cu、Co及びTbの模写を重ね合わせた図も示している。Cu+Co+Tbと表記されている図である。この図3のこの図より、実施例1によるR−T−B系焼結磁石は、Co及びCuと重希土類元素であるTbの存在位置が相違していることがわかった。これに対して、図4に示すように、比較例1によるR−T−B系焼結磁石は、Cu及びCoの高濃度領域と重希土類元素の高濃度領域とが一致している場合がある。
このような粒界相の組織の相違が、3点曲げ強度の差異及び保磁力(HcJ)の差異に関連しているものと解される。
また、各焼結体について、EPMAによる元素マッピングを行い、粒界相において、Dy及び/又はTb(重希土類元素)の高濃度領域とCu及び/又はCoの高濃度領域の存在位置を確認した。その結果も表9に併せて示すが、実施例2〜4、5及び6は、Dy及び/又はTb(重希土類元素)の高濃度領域とCu及び/又はCoの高濃度領域が異なる領域に存在していることがわかった。なお、高濃度領域の特定は、発明を実施するための最良の形態の欄で説明した基準により行った。
実施例1と比較例5、比較例6との対比より、Co、Tbの添加を合金A又は合金Bのいずれに添加するかによって、Dy及び/又はTb(重希土類元素)の高濃度領域とCu及び/又はCoの高濃度領域の存在位置が異なるか否かに影響するものと解される。
実施例による焼結磁石のEPMAによる観察結果を示す図である。 比較例による焼結磁石のEPMAによる観察結果を示す図である。 図1を模写した図である。 図2を模写した図である。

Claims (2)

  1. 14B化合物(ただし、Rは希土類元素の1種又は2種以上、TはFe又はFe及びCoを必須とする1種又は2種以上の遷移金属元素)からなる主相と、
    前記主相よりRを多く含む粒界相と、を備えるとともに、
    Rとして重希土類元素であるTbを、またCu及びCoを含む焼結体からなり、
    前記焼結体は、R:22〜33wt%(Rの中で重希土類元素が8wt%以下(ただし、0を含まず))、B:0.5〜1.5wt%、Al:0.03〜0.3wt%、Cu:0.15wt%以下(ただし、0を含まず)、Co:8wt%以下(ただし、0を含まず)、残部実質的にFeからなり、|Tb(wt%)−Co(wt%)|が2wt%以下である組成を有するとともに、
    前記粒界相において、Tbの高濃度領域とCu及び/又はCoの高濃度領域とが異なる位置に存在することを特徴とするR−T−B系焼結磁石。
  2. 前記焼結体の酸素量が2000〜3000ppmである請求項1に記載のR−T−B系焼結磁石
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