JP4821128B2 - R−Fe−B系希土類永久磁石 - Google Patents

R−Fe−B系希土類永久磁石 Download PDF

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本発明は、R(Rは希土類元素の1種又は2種以上、但し希土類元素はYを含む概念である)、Fe、Co及びB(ホウ素)を基本構成元素とするR−Fe−B系希土類永久磁石に関するものである。
希土類永久磁石の中でもR−Fe−B系希土類永久磁石は、磁気特性に優れていること、主成分であるNdが資源的に豊富で比較的安価であることから、各種モータ等の電気機器に使用されている。R−Fe−B系希土類永久磁石の磁気特性を向上するための研究開発も精力的に行われている。例えば、組成面からの提案として、特開2000−234151号公報(特許文献1)には、重量百分率で、28〜35%:R(RはNd、Pr、Dy、Tb、Hoから選択される1種又は2種以上の希土類元素)、0.1〜3.6%:Co、0.9〜1.3%:B、0.05〜1.0%:Al、0.02〜0.25%:Cu、0.02〜0.3%:Zr及び/又はCr、0.03〜0.1%:C、0.1〜0.8%:O、0.002〜0.02%:N、残部Fe及び不可避の不純物からなるR−Fe−B系希土類永久磁石が開示されている。
R−Fe−B系希土類永久磁石に対してある種の元素を添加すると保磁力を向上させることができる。例えば、RとしてのNdの一部を重希土類元素(Dy、Tb等)で置換すれば、保磁力を著しく向上することができる。しかし、重希土類元素の磁気モーメントはFeと逆向きに結合するため、重希土類元素の含有によって飽和磁化が減少する。したがって、重希土類元素の含有量を増やすと保磁力を向上できるが、残留磁束密度はそれにほぼ比例して減少する。特許文献1は、保磁力及び残留磁束密度の両者を向上する、つまり実質的な意味において磁気特性を向上できるR−Fe−B系希土類永久磁石を提供している。
特許文献1は、Cuと同時にZr及び/又はCrをすることにより、保磁力及び残留磁束密度の両者が向上することを開示している。特許文献1に開示されている実施例によれば、Zrの含有量が0.1wt%の場合及びCrの含有量が0.1wt%の場合に、各々、保磁力を2kOe、残留磁束密度を0.2kG向上できる。
特開2000−234151号公報
上述したように、特許文献1は実質的な意味において磁気特性が向上されたR−Fe−B系希土類永久磁石を提供している。しかるに特許文献1は、R、Fe、Co及びBというR−Fe−B系希土類永久磁石の基本構成元素以外の元素を含有せしめており、このような元素を添加することなくR−Fe−B系希土類永久磁石の磁気特性を実質的な意味において向上できれば、R−Fe−B系希土類永久磁石のさらなる磁気特性の向上に寄与するところが大きい。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、R、Fe、Co及びBといった基本構成元素以外の元素を実質的に添加することなく保磁力及び残留磁束密度がともに向上されたR−Fe−B系希土類永久磁石を提供することを目的とする。
本発明者はR−Fe−B系希土類永久磁石において、Co及びRが比較的低い特定の含有量の範囲にある場合に、保磁力(HcJ)がピークを示すC(炭素)含有量が存在することを見出した。つまり、本発明者等の検討によれば、従来のCo及びRの含有範囲では、C含有量が増加するにつれて保磁力(HcJ)が減少する傾向にあるが、本発明が提案するCo及びRの含有量においては、保磁力(HcJ)に関して最適なC含有量の範囲が存在する。一方で、残留磁束密度(Br)については、C含有量の増加に伴って残留磁束密度(Br)が向上する傾向を示し、保磁力(HcJ)に関して最適なC含有量の範囲において、高い残留磁束密度(Br)を得ることができる。ここで、Cはこれまで不可避的に含有する元素として認識されていた。そして、Cの含有量は、原料金属のC含有量、あるいは製造工程中の混入量によって制御することができる。つまり本発明によるR−Fe−B系希土類永久磁石は、基本構成元素以外に新たな元素を実質的に添加することなくR−Fe−B系希土類永久磁石の保磁力(HcJ)及び残留磁束密度(Br)を向上できる。
このような特徴を有する本発明のR−Fe−B系希土類永久磁石は、R:28〜30wt%(Rは希土類元素の1種又は2種以上、但し希土類元素はYを含む概念である)、B:0.5〜4wt%、Co:0.1〜0.8wt%、C:800〜1500ppm、残部実質的にFeからなる組成を有する焼結体からなることを特徴としている。
本発明のR−Fe−B系希土類永久磁石において、C、R及びCoは、C:700〜1300ppm、R:28〜29.5wt%、Co:0.1〜0.8wt%であることが高い磁気特性にとって好ましい。
また、本発明のR−Fe−B系希土類永久磁石において、焼結体のO含有量が2000ppm以下であることが高い磁気特性にとって好ましい。ここで、O含有量を低くすると焼結体組織が粗くなるのがR−Fe−B系希土類永久磁石の一般的な傾向であるが、本発明によれば高い保磁力(HcJ)の得られる範囲のC含有量で焼結体組織が微細化する。つまり本発明によれば、焼結体のO含有量が2000ppm以下であっても、平均結晶粒径が3.4μm以下という微細な結晶組織を得ることができる。
本発明のR−Fe−B系希土類永久磁石は、Al及びCuの1種又は2種:0.02〜0.6wt%、Zr、Nb及びHfの1種又は2種以上:0.02〜1.5wt%を含むことにより、より高い磁気特性を得ることができる。
本発明のR−Fe−B系希土類永久磁石によれば、上述したように、基本構成元素以外に新たな元素を実質的に添加することなくR−Fe−B系希土類永久磁石の磁気特性を向上できるが、さらにそのRの含有量及びCoの含有量が比較的低い範囲にあるため、R−Fe−B系希土類永久磁石の低コスト化にも寄与する。
<化学組成>
本発明によるR−Fe−B系希土類永久磁石の化学組成について説明する。ここでいう化学組成は焼結後における化学組成をいう。本発明によるR−Fe−B系希土類永久磁石は、後述するように混合法により製造することができるが、混合法に用いる低R合金及び高R合金については、製造方法についての説明中で触れることにする。
本発明のR−Fe−B系希土類永久磁石は、Rを28〜30wt%含有する。
本発明における、RはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Yb、Lu及びYからなるグループから選択される1種又は2種以上である。
Rの量が28wt%未満では、R−Fe−B系希土類永久磁石の主相となるR2Fe141化合物の生成が十分ではない。このため、軟磁性を持つα−Feなどが析出し、保磁力が著しく低下する。一方、Rの量が30wt%を超えると、C含有量を制御しても高い磁気特性、特に保磁力を得ることができない。したがって、Rの量は28〜30wt%とする。好ましいRの量は28.5〜29.5wt%である。
R−Fe−B系希土類永久磁石の主相を形成するR2Fe141化合物の化学量論組成(原子百分比)は、R11.77Fe82.355.88であり、重量比にするとR:26.7wt%、Fe:72.3wt%、B:1wt%である。R2Fe141化合物から構成される主相の存在比率を多くすれば、R−Fe−B系希土類永久磁石の残留磁束密度を向上することができる。本発明のR−Fe−B系希土類永久磁石のR含有量は、上記の化学量論組成に近いことから、この点からも磁気特性の向上に寄与することができる。
Ndは資源的に豊富で比較的安価であることから、Rとしての主成分をNdとすることが好ましい。また、重希土類元素を含有することにより主相の異方性磁界が増加して、保磁力を向上することができる。よって、Rの一部を重希土類元素で置換する形態とすることが本発明にとって好ましい。ここで重希土類元素としては、Dy及びTbの1種又は2種を用いることが好ましい。重希土類元素は、0.1〜3wt%の範囲とすることが好ましく、0.3〜2wt%の範囲とすることがさらに好ましい。
本発明のR−Fe−B系希土類永久磁石は、ホウ素(B)を0.5〜4%含有する。Bが0.5wt%未満の場合には高い保磁力を得ることができない。但し、Bが4wt%を超えると残留磁束密度が低下する傾向がある。したがって、上限を4wt%とする。好ましいBの量は0.5〜1.5wt%、さらに好ましいBの量は0.8〜1.2wt%である。
本発明のR−Fe−B系希土類永久磁石は、Coを0.1〜0.8wt%の範囲で含有する。Coはキュリー温度の向上及び耐食性の向上に効果がある元素であるが、本発明ではC含有量の制御による高い磁気特性を得るための前提として、0.8wt%以下とする。後述する比較例2のように、1.3wt%を超えると、C含有量を制御しても高い保磁力を得ることができない。さらに好ましいCoの含有量は0.3〜0.8wt%である。
本発明のR−Fe−B系希土類永久磁石は、C含有量を800〜1500ppmとする。
上述したように、本発明のR含有量、Co含有量の範囲においてC含有量を800〜1500ppmとすることにより、保磁力及び残留磁束密度がともに高いR−Fe−B系希土類永久磁石を得ることができるからである。
好ましいC含有量は800〜1300ppm、さらに好ましいC含有量は800〜1200ppmである。
後述する実施例1のR−Fe−B系希土類永久磁石について、焼結体のC含有量と焼結体平均結晶粒径の関係が図3に示されている。理由は明らかでないが、図3より、C含有量が800〜1500ppmの範囲にあると焼結体の組織が微細になることがわかる。このように微細な結晶組織となったことにより、このC含有量の範囲で高い保磁力が得られたものと解することができる。
本発明のR−Fe−B系希土類永久磁石は、以上の元素以外に残部が実質的にFeから構成されるが、以下に示す元素を含有することができる。
本発明のR−Fe−B系希土類永久磁石は、Al及びCuの1種又は2種を0.02〜0.6wt%の範囲で含有することができる。この範囲でAl及びCuの1種又は2種を含有させることにより、得られるR−Fe−B系希土類永久磁石の高保磁力化、高耐食性化、温度特性の改善が可能となる。Alを添加する場合において、好ましいAlの量は0.03〜0.3wt%、さらに好ましいAlの量は0.05〜0.25wt%である。また、Cuを添加する場合において、Cuの量は0.3wt%以下(ただし、0を含まず)、望ましくは0.2wt%以下(ただし、0を含まず)、さらに好ましいCuの量は0.03〜0.15wt%である。
本発明のR−Fe−B系希土類永久磁石は、Zr、Nb及びHfの1種又は2種以上を0.02〜1.5wt%含有することができる。R−Fe−B系希土類永久磁石の磁気特性向上を図るために酸素含有量を低減する際に、Zr、Nb及びHfは焼結過程での結晶粒の異常成長を抑制する効果を発揮し、焼結体の組織を均一かつ微細にする。したがって、Zr、Nb及びHfは酸素量が低い場合にその効果が顕著になる。Zr、Nb及びHfの1種又は2種以上の望ましい量は0.05〜1.3wt%、さらに望ましい量は0.08〜1wt%である。
本発明のR−Fe−B系希土類永久磁石は、保磁力向上のためにBi及びGaの1種又は2種を含有することが有効である。Bi及びGaの1種又は2種は0.01〜0.2wt%の範囲で含有することが好ましい。Bi及びGaの1種又は2種のさらに好ましい範囲は0.03〜0.15wt%、より好ましい範囲は0.05〜0.12wt%である。
本発明のR−Fe−B系希土類永久磁石は、他の元素の含有を許容する。例えば、Ti、Sn、Ta、Si、V、Agを1wt%以下の範囲で含有することができる。
次に、本発明によるR−Fe−B系希土類永久磁石の製造方法の好ましい形態について説明する。
本発明は、R2Fe141を主体とする合金(低R合金)と、低R合金よりRを多く含む合金(高R合金)とを用いる混合法によりR−Fe−B系希土類永久磁石を製造することが好ましい。R含有量が低いため、単一の合金で製造するには製造条件の厳密な制御が必要だからである。ここで、低R合金は主にR−Fe−B系希土類永久磁石の主相を形成するための合金であり、高R合金は主に粒界相を形成するための合金である。
原料金属を真空又は不活性ガス、好ましくはAr雰囲気中でストリップキャスティングすることにより、低R合金及び高R合金を得る。原料金属としては、希土類金属あるいは希土類合金、純鉄、フェロボロン、さらにはこれらの合金等を使用することができる。この原料金属に含有されるCの量によって、R−Fe−B系希土類永久磁石のC含有量を調整することができる。
低R合金には、基本構成元素であるR、Fe及びBの他に、Zr、Cu及び/又はAlを含有させることができる。このとき低R合金は、R−Cu−Al−Zr−Fe−B系の合金を構成する。また、高R合金には、基本構成元素であるR、Co及びFeの他に、Cu及び/又はAlを含有させることができる。このとき高R合金は、R−Cu−Al−Co−Fe系の合金を構成する。
低R合金及び高R合金が作製された後、これらの各母合金は別々に又は一緒に粉砕される。粉砕工程には、粗粉砕工程と微粉砕工程とがある。まず、各母合金を、それぞれ粒径数百μm程度になるまで粗粉砕する。粗粉砕は、スタンプミル、ジョークラッシャー、ブラウンミル等を用い、不活性ガス雰囲気中にて行なうことが望ましい。粗粉砕性を向上させるために、水素を吸蔵させた後、粗粉砕を行なうことが効果的である。また、水素吸蔵を行った後に、水素を放出させ、さらに粗粉砕を行うこともできる。また、水素吸蔵処理を粗粉砕と位置づけることもできる。
粗粉砕工程後、微粉砕工程に移る。微粉砕は、主にジェットミルが用いられ、粒径数百μm程度の粗粉砕粉末が、平均粒径3〜5μmになるまで粉砕される。ジェットミルは、高圧の不活性ガス(例えば窒素ガス)を狭いノズルより開放して高速のガス流を発生させ、この高速のガス流により粗粉砕粉末を加速し、粗粉砕粉末同士の衝突やターゲットあるいは容器壁との衝突を発生させて粉砕する方法である。
微粉砕時に、脂肪酸アミド、脂肪酸、金属石鹸等の潤滑剤を0.01〜0.3wt%程度添加することにより、成形時に配向性の高い微粉を得ることができる。また、焼結体のC含有量をこの潤滑剤の量によって調整することができる。
微粉砕工程において低R合金及び高R合金を別々に粉砕した場合には、微粉砕された低R合金粉末及び高R合金粉末を窒素雰囲気中で混合する。この混合時に潤滑剤を添加することもできる。低R合金粉末及び高R合金粉末の混合比率は、重量比で80:20〜97:3程度とすればよい。同様に、低R合金及び高R合金を一緒に粉砕する場合の混合比率も重量比で80:20〜97:3程度とすればよい。
次いで、低R合金粉末及び高R合金粉末からなる混合粉末を、磁場印加によってその結晶軸を配向させた状態で加圧中成形する。この磁場中成形の条件は、12〜20kOe(960〜1600kA/m)前後の磁場で、0.3〜3.0t/cm2(30〜300MPa)とすればよい。
磁場中成形後、その成形体を真空又は不活性ガス雰囲気中で焼結する。焼結温度は、組成、粉砕方法、粒度と粒度分布の違い等、諸条件により調整する必要があるが、1000〜1100℃で1〜5時間程度焼結すればよい。
この焼結の昇温過程で、先に添加されている潤滑剤は分解、除去される。ただし、添加された潤滑剤の全ての成分を除去することは、工業的生産規模では困難なため、潤滑剤の構成元素であるCが残留する。したがって、焼結の昇温過程を制御することにより、焼結体のC含有量を調整することができる。
焼結後、得られた焼結体に時効処理を施すことができる。時効処理は、保磁力を制御する上で重要である。時効処理を2段に分けて行なう場合には、750〜950℃及び500〜700℃での所定時間の保持が有効である。750〜950℃での熱処理を焼結後に行なうと、保磁力が増大するため、混合法においては特に有効である。また、500〜700℃℃の熱処理で保磁力が大きく増加するため、時効処理を1段で行なう場合には、500〜700℃の時効処理を施すとよい。
次に、具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
<実施例1>
以下の要領でR−Fe−B系希土類永久磁石を製造した。
1)原料合金
ストリップキャスティング法により、以下の組成(wt%)を有する低R合金及び高R合金を作製し、低R合金及び高R合金を90:10の重量比で配合した。
低R合金:22.1%Nd−6.0%Pr−0.05%Cu−0.2%Al−0.2%Zr−1.1%B−bal.Fe
高R合金:37.1%Nd−0.05%Cu−0.2%Al−5.0%Co−bal.Fe
2)水素粉砕工程
低R合金及び高R合金を配合後、室温にて水素を吸蔵させた後、Ar雰囲気中で600℃×1時間の脱水素を行なう、水素粉砕処理を行なった。
なお、水素粉砕処理(粉砕処理後の回収)から後の焼結(焼結炉に投入する)までの各工程を、100ppm以下の低酸素雰囲気で行った。
3)微粉砕工程
水素粉砕処理された低R合金及び高R合金に対して、潤滑剤として0.03〜0.2wt%のオレイン酸アミド又はカプリル酸アミドを添加、混合した後に微粉砕を行った。
微粉砕はジェットミルを用い、低R合金及び高R合金からなる合金粉末の平均粒径が4μm程度になるまで行なった。
4)磁場中成形工程
得られた微粉末を磁場中にて成形する。具体的には、この磁場中成形は、15kOeの磁場、1.2t/cm2の成形圧力とした。
5)焼結、時効工程
得られた成形体を真空中において1040〜1100℃で2時間焼結した後、急冷した。次いで得られた焼結体に800℃×1時間と550℃×2.5時間(ともにAr雰囲気中)の2段時効処理を施した。
6)その他
微粉砕工程の前後に添加した潤滑剤の量、焼結における昇温条件を変動することにより、C含有量の異なる焼結体を製造した。
得られた焼結体の組成は下記の通りである。また、得られた焼結体のC(炭素)量、O(酸素)量及びN(窒素)量は下記の範囲にある。なお、本実施例では水素粉砕処理〜焼結を50ppm以下の低酸素雰囲気で行っているため、O含有量は低減できるが、その代わりにN含有量が高めになる。
焼結体組成:23.5%Nd−5.5%Pr−0.5%Co−0.05%Cu−0.2%Al−0.2%Zr−1.0%B−bal.Fe
C量:260〜1600ppm
O量:560〜1330ppm
N量:320〜380ppm
得られたR−Fe−B系希土類永久磁石について、B−Hトレーサにより磁気特性を測定するとともに、焼結体の平均結晶粒径を測定した。
なお、平均結晶粒径は以下の方法にて算出した。焼結体の断面を鏡面研磨した後に偏光顕微鏡にて観察を行い、得られた組織像から画像処理によって個々の結晶粒を計測し、その面積に相当する円相当径を算出した後にその平均値を求めることにより算出した。
焼結体のC量と磁気特性の関係を図1(保磁力(HcJ))及び図2(残留磁束密度(Br))に示す。図1及び図2に示すように、焼結体のC量の増加に伴って残留磁束密度(Br)は向上しているが、保磁力(HcJ)はC含有量が1000ppm付近でピークを示している。
焼結体のC量と平均結晶粒径の関係を図3に示す。図3に示すように、C含有量が1000ppm付近で、平均結晶粒径が最も低くなり、組織が微細化される。このように、焼結体中のC含有量を調整することにより、焼結体組織を微細化することができる。
<実施例2>
実施例1と同様の低R合金と実施例1に示した高R合金に対しNd量のみを32.1wt%とした高R合金とを用いて、焼結体の組成を下記とした以外は実施例1と同様にして、焼結体を製造しその磁気特性を測定した。なお、下記組成の焼結体は、R(Nd+Pr)量が実施例1に比べると0.5wt%少ない28.5wt%である。また、得られた焼結体のC(炭素)量、O(酸素)量及びN(窒素)量は下記の通りである。
焼結体組成:23.0%Nd−5.5%Pr−0.5%Co−0.05%Cu−0.2%Al−0.2%Zr−1.0%B−bal.Fe
C量:260〜1700ppm
O量:520〜1050ppm
N量:330〜410ppm
焼結体のC量と磁気特性の関係を図4(保磁力(HcJ))及び図5(残留磁束密度(Br))に示す。図4及び図5に示すように、実施例1と同様に、焼結体のC量の増加に伴って残留磁束密度(Br)は向上し、かつ保磁力(HcJ)はC含有量が1000ppm付近でピークを示している。ただし、実施例2の保磁力(HcJ)のピークは13.8kOe程度で、しかもそれに対応する残留磁束密度(Br)は14.6kGであり、実施例1に比べると磁気特性が低い値に留まっている。これは、R(Nd+Pr)量を少なくしたことにより、R−Fe−B系希土類永久磁石の焼結性向上に作用すると共に保持力(HcJ)発生に重要な役割を果たすRリッチ相の量が少なくなったため、焼結性低下を招くと共に保磁力(HcJ)が低下したものと解される。
<比較例1>
実施例1に示した低R合金に対しNd量のみを24.3wt%とした低R合金と実施例1と同様の高R合金とを用いて、焼結体の組成を下記とした以外は実施例1と同様にして、焼結体を製造しその磁気特性を測定した。なお、下記組成の焼結体は、R(Nd+Pr)量が実施例1に比べると2.0wt%多い31.0wt%である。また、得られた焼結体のC(炭素)量、O(酸素)量及びN(窒素)量は下記の通りである。
焼結体組成:25.5%Nd−5.5%Pr−0.5%Co−0.05%Cu−0.2%Al−0.2%Zr−1.0%B−bal.Fe
C量:300〜1300ppm
O量:650〜1420ppm
N量:350〜430ppm
焼結体のC量と磁気特性の関係を図6(保磁力(HcJ))及び図7(残留磁束密度(Br))に示す。図6及び図7に示すように、焼結体のC含有量の増加に伴い残留磁束密度(Br)は向上するが、保磁力(HcJ)は低下する。
<比較例2>
実施例1と同様の低R合金と実施例1に示した高R合金に対しCo量のみを15.0%とした高R合金とを用いて、焼結体の組成を下記とした以外は実施例1と同様にして、焼結体を製造しその磁気特性を測定した。なお、下記組成の焼結体は、Co量が実施例1に比べると1wt%多い1.5wt%である。また、得られた焼結体のC(炭素)量、O(酸素)量及びN(窒素)量は下記の通りである。
焼結体組成:23.5%Nd−5.5%Pr−1.5%Co−0.05%Cu−0.2%Al−0.2%Zr−1.0%B−bal.Fe
C量:500〜1400ppm
O量:540〜1220ppm
N量:280〜400ppm
焼結体のC量と磁気特性の関係を図8(保磁力(HcJ))及び図9(残留磁束密度(Br))に示す。図8及び図9に示すように、焼結体のC含有量の増加に伴い残留磁束密度(Br)は向上するが、保磁力(HcJ)は低下する。これは、比較例1と同様の傾向である。
<実施例、比較例まとめ>
以上の実施例1、2及び比較例1、2の結果を以下に要約する。
1)R含有量が31.0wt%、Co含有量が1.5wt%の場合には、焼結体のC含有量の増加に伴い残留磁束密度(Br)は向上するが、保磁力(HcJ)は低下する。これに対して、R含有量が29.0wt%又は28.5wt%、Co含有量が0.5wt%の場合には、焼結体のC含有量の増加に伴い残留磁束密度(Br)は向上し、かつ保磁力(HcJ)がピークを示すC含有量が存在する。
2)R含有量が29.0wt%又は28.5wt%、Co含有量が0.5wt%の場合には、焼結体のC含有量が800〜1500ppmの範囲、好ましくは800〜1300ppm、さらに好ましくは800〜1200ppmで、高い保磁力(HcJ)及び残留磁束密度(Br)を得ることができる。このように、本発明によれば、R及びCoというR−Fe−B系希土類永久磁石の基本的な構成元素の含有量を特定し、かつR−Fe−B系希土類永久磁石に不可避的に含有するC含有量のみを制御することにより、高い保磁力(HcJ)及び残留磁束密度(Br)を得ることを可能とする。このことは、コストを低減しつつR−Fe−B系希土類永久磁石の磁気特性を向上できることを示している。
3)実施例1のR−Fe−B系希土類永久磁石は、酸素量が1330ppmと低いにもかかわらず、C含有量が800〜1500ppmの範囲では、平均結晶粒径が3.4μm以下と微細な組織を得ることができる。
実施例1のR−Fe−B系希土類永久磁石のC含有量と保磁力(HcJ)の関係を示すグラフである。 実施例1のR−Fe−B系希土類永久磁石のC含有量と残留磁束密度(Br)の関係を示すグラフである。 実施例1のR−Fe−B系希土類永久磁石のC含有量と焼結体平均結晶粒径の関係を示すグラフである。 実施例2のR−Fe−B系希土類永久磁石のC含有量と保磁力(HcJ)の関係を示すグラフである。 実施例2のR−Fe−B系希土類永久磁石のC含有量と残留磁束密度(Br)の関係を示すグラフである。 比較例1のR−Fe−B系希土類永久磁石のC含有量と保磁力(HcJ)の関係を示すグラフである。 比較例1のR−Fe−B系希土類永久磁石のC含有量と残留磁束密度(Br)の関係を示すグラフである。 比較例2のR−Fe−B系希土類永久磁石のC含有量と保磁力(HcJ)の関係を示すグラフである。 比較例2のR−Fe−B系希土類永久磁石のC含有量と残留磁束密度(Br)の関係を示すグラフである。

Claims (5)

  1. R:28〜30wt%(Rは希土類元素の1種又は2種以上、但し希土類元素はYを含む概念である)、
    B:0.5〜4wt%、
    Co:0.1〜0.8wt%
    C:800〜1500ppm、
    残部実質的にFeからなる組成を有する焼結体からなることを特徴とするR−Fe−B系希土類永久磁石。
  2. 前記焼結体は、C:800〜1300ppmであることを特徴とする請求項1に記載のR−Fe−B系希土類永久磁石。
  3. 前記焼結体は、R:28〜29.5wt%であることを特徴とする請求項1又は2に記載のR−Fe−B系希土類永久磁石。
  4. 前記焼結体は、O:2000ppm以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のR−Fe−B系希土類永久磁石。
  5. 前記焼結体は、平均結晶粒径が3.4μm以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のR−Fe−B系希土類永久磁石。
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