JPH0845719A - ボンド磁石用急冷薄帯、ボンド磁石用粉末、ボンド磁石及びそれらの製造方法 - Google Patents

ボンド磁石用急冷薄帯、ボンド磁石用粉末、ボンド磁石及びそれらの製造方法

Info

Publication number
JPH0845719A
JPH0845719A JP6227188A JP22718894A JPH0845719A JP H0845719 A JPH0845719 A JP H0845719A JP 6227188 A JP6227188 A JP 6227188A JP 22718894 A JP22718894 A JP 22718894A JP H0845719 A JPH0845719 A JP H0845719A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
bonded magnet
quenched ribbon
magnet
powder
bond magnet
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6227188A
Other languages
English (en)
Inventor
Keiji Koyama
恵史 小山
Takayuki Nishio
孝幸 西尾
Takashi Furuya
嵩司 古谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daido Steel Co Ltd
Original Assignee
Daido Steel Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daido Steel Co Ltd filed Critical Daido Steel Co Ltd
Priority to JP6227188A priority Critical patent/JPH0845719A/ja
Publication of JPH0845719A publication Critical patent/JPH0845719A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F1/00Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties
    • H01F1/01Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
    • H01F1/03Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity
    • H01F1/032Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of hard-magnetic materials
    • H01F1/04Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of hard-magnetic materials metals or alloys
    • H01F1/047Alloys characterised by their composition
    • H01F1/053Alloys characterised by their composition containing rare earth metals
    • H01F1/055Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5
    • H01F1/057Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5 and IIIa elements, e.g. Nd2Fe14B
    • H01F1/0571Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5 and IIIa elements, e.g. Nd2Fe14B in the form of particles, e.g. rapid quenched powders or ribbon flakes

Abstract

(57)【要約】 【目的】 磁気特性の優れたボンド磁石用急冷薄帯、ボ
ンド磁石用粉末、ボンド磁石及びそれらの製造方法を提
供する。 【構成】 本発明のボンド磁石用急冷薄帯は、所定量の
合金成分を含む溶湯を急冷して得られるその平均結晶粒
径が1μm以下であり、その組成式が、RxFe1
00-x-y-vyGev:ただし、RはNdを主成分とし、そ
の一部がDyないしPrの少なくとも一方によって置換
される場合がある希土類成分であり、9≦x≦15、4
≦y10、0.1≦v≦3、とされる。Geの添加によ
り、急冷薄帯の磁気特性、特に最大エネルギー積がGe
を添加しないものに比べて良好となる。Geは、その一
部をZr、Al、Si、Ti、V、Ga、Nb、Mo、
Hf、Ta、Wのうちから選択される1種又は2種以上
の合金成分Mで置換することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、Nd、Fe及びBを主
成分とするボンド磁石用急冷薄帯、ボンド磁石用粉末、
ボンド磁石及びそれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】Nd−Fe−B系磁石材料は、高性能希
土類磁石材料の中でもとりわけ優れた磁気特性を有する
ことから、各種電気機器や自動車用のモータ、あるいは
コンピュータ用のボイスコイルモータ等に広く使用され
ている。このNd−Fe−B系磁石材料は、その製法に
より、焼結磁石、熱間加工磁石及びボンド磁石(樹脂結
合磁石)の3種類に大別される。このうちボンド磁石
は、所定量の合金成分を配合・溶解後、溶湯を単ロール
法等により急冷凝固させて得られる急冷薄帯を粉砕して
原料磁石粉末を作り、その粉末をエポキシ樹脂、あるい
はナイロン樹脂等の樹脂バインダとともに成形して所望
の形状の磁石とするものである。上記磁石粉末は、主要
な硬磁性相であるNd2Fe14B型正方晶金属間化合物
相(以下2−14−1相という)が単磁区粒子径以下と
なった微細結晶粒組織を有し、粉末の状態で高い保磁力
を示す。このようなボンド磁石は、焼結磁石及び圧延磁
石と異なり成形後の加工がほとんど不要で寸法精度が高
く、形状自由度に優れ、しかも生産性が高いことから、
特に小型モーター用のリング磁石などに大量に使用され
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記Nd−Fe−B系
ボンド磁石は形状自由度に優れている反面、粉末粒子内
で2−14−1相の各結晶粒の容易磁化方向(正方晶の
c軸方向)がランダムに配列したいわゆる等方性磁石で
あり、例えば磁石粉体粒子の磁界中配向により異方性化
が可能な焼結磁石等に比べて最大エネルギー積が低い欠
点があり、量産レベルにおいて射出成形磁石で6MGO
e、圧縮成形磁石で10MGOe程度が限界であった。
【0004】本発明の課題は、Nd−Fe−B系ボンド
磁石用急冷薄帯のFe成分を置換する合金成分を工夫す
ることにより、磁気特性、特に最大エネルギー積の優れ
たボンド磁石用急冷薄帯及びその製造方法を提供し、そ
の急冷薄帯を用いたボンド磁石用粉末ならびにボンド磁
石、さらにはそれらの製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】上記した
問題を解決するために、本発明のボンド磁石用急冷薄帯
は、所定量の合金成分を含む溶湯を急冷して得られるそ
の平均結晶粒径が1μm以下であり、その組成式が、R
xFe100-x-y-vyGev:ただし、RはNdを主成分と
し、その一部がDyないしPrの少なくとも一方によっ
て置換される場合がある希土類成分であり、9≦x≦1
5、4≦y≦10、0.1≦v≦3、であることを特徴
とする。
【0006】上記急冷薄帯は、溶湯からの急冷により、
飽和磁束密度及び一軸結晶磁気異方性がいずれも大きい
2Fe14B型正方晶金属間化合物相(以下2−14−
1相という)が平均粒径1μm以下の微細結晶粒となっ
た組織を生じ、急冷直後の状態で高い保磁力と残留磁束
密度を示すので、これを所定の粒子径の粉末に粉砕すれ
ばそのまま高性能のボンド磁石用原料として使用でき
る。なお、上記平均粒径が1μmを超えると、薄帯の保
磁力ないし減磁曲線の角形性が損なわれて充分な磁石性
能が得られなくなるので、その平均粒径は上記範囲のも
のとされ、望ましくは0.5μm以下、さらに望ましく
は0.1μm以下とされる。
【0007】本発明の急冷薄帯の特徴は、Geが、Fe
の一部を置換する形で0.1〜3原子%の範囲内で添加
されていることにあり(すなわち前記組成式において
0.1≦v≦3)、本発明者らは、上記Geの添加によ
り、急冷薄帯の磁気特性、特に最大エネルギー積がGe
を添加しないものに比べて良好であることを見い出した
ものである。Geの添加量が上述のものとされる理由は
下記の通りである。まず、添加量が0.1原子%未満で
あると、最大エネルギー積改善の効果が充分に得られな
くなる。一方、添加量が3原子%を超えると、非磁性原
子であるGeの2−14−1相中の含有量が増大し、飽
和磁束密度が低下して、却って最大エネルギー積の低下
を招く。従って、Geの添加量は上記範囲内で設定さ
れ、望ましくは0.2〜1.5原子%、さらに望ましく
は0.3〜1.0原子%とされる。ここで、急冷薄帯の
最大エネルギー積が上昇する原因としては、例えば、溶
湯の急冷凝固時に生ずる2−14−1相の結晶粒がGe
添加により、さらに微細化されること等が考えられる。
【0008】上記急冷薄帯に含有されるGeは、その一
部をZr、Al、Si、Ti、V、Ga、Nb、Mo、
Hf、Ta、Wのうちから選択される1種又は2種以上
の合金成分Mで置換することができる。その置換量は、
Geと合金成分Mとの合計含有量(原子比率)を1とし
た場合、その合計含有量に対するGe含有量の比率w
が、0.05以上1未満となるように設定される。すな
わち、急冷薄帯の組成式をRxFe100-x-y-z-vy(G
w1-wvとした場合に、0.05≦w<1とされ
る。なお、Ge及び合金成分Mの含有量(原子%)は、
それぞれw×v及び(1−w)×vで表される。
【0009】Geが合金成分Mにより上記範囲内で置換
されることにより、Ge単独添加の場合とほぼ同等ない
しそれ以上の最大エネルギー積を有する急冷薄帯を得る
ことができる。ただし、Ge含有量の比率wが0.05
未満となると、充分な最大エネルギー積が得られなくな
るので、wは0.05以上とされる。なお、Ge含有量
の比率wは、望ましくは0.1〜0.5、さらに望まし
くは0.1〜0.3の範囲内で設定するのがよい。ま
た、添加元素MとGeとの共添加による薄帯のエネルギ
ー積向上の効果は、添加元素MがZr、Nb、Moの場
合に特に顕著に得ることができる。
【0010】また、上記急冷薄帯のFe成分の一部を、
30原子%以下の範囲内でCoにより置換することがで
きる。すなわち、急冷薄帯の組成式をRxFe
100-x-y-z-vCozyGevあるいはRxFe100-x-y-z-v
Cozy(Gew1-wvとした場合に、0<z≦30
とすることができる。Coは主に2−14−1相に取り
込まれ、上記組成範囲内でCoを含有させることによ
り、2−14−1相のキュリー温度が上昇するとともに
残留磁束密度の温度係数が改善され、自動車用モータの
ような高温の使用環境においても、安定かつ優れた磁気
特性が確保されるボンド磁石用急冷薄帯を得ることがで
きる。また、Coの添加により急冷薄帯の化学的安定性
が向上し、高温多湿の環境下でも、その薄帯を用いたボ
ンド磁石が腐食されたり磁気特性が低下したりすること
が抑制される。しかしながら、その含有量が30原子%
を超えると2−14−1相の飽和磁束密度が低下し、最
大エネルギー積の低下につながるので好ましくない。な
お、Coの含有量は、望ましくは2.5〜20原子%、
さらに望ましくは5〜10原子%の範囲内で設定するの
がよい。
【0011】次に、上記以外の成分であるが、希土類成
分Rは急冷薄帯の優れた磁気特性を担う2−14−1相
の主要構成成分であって、Ndを主体とし、合計の含有
量が9〜15原子%の範囲に設定される(すなわち9≦
x≦15)。希土類成分Rの含有量が9原子%未満にな
ると、軟磁性相であるα−Fe相の比率が増大し、保磁
力の低下を招く。一方、15原子%を超えると希土類成
分を主体とする非磁性相の比率が増大し、飽和磁束密度
の低下を招く。これらはいずれも最大エネルギー積の低
下につながるので、希土類成分Rの含有量は上記範囲の
ものとされ、望ましくは10〜13原子%、さらに望ま
しくは11〜12原子%の範囲内で設定するのがよい。
【0012】また、Ndを主体とする希土類成分Rの一
部をDy又はPrで置換することができる。Dyを添加
することにより、2−14−1相の一軸磁気異方性の異
方性磁界が高められ、急冷薄帯の保磁力を大幅に向上さ
せることができる。これにより、例えばコンピュータの
ハードディスクドライブや自動車用のモータなど、温度
が上昇しやすい環境で磁石が使用される場合、高温での
保磁力の低下分が補われるので、厳しい温度環境での使
用に耐える急冷薄帯を得ることができる。その添加量
は、例えば0.1〜5原子%の範囲内で適宜選択でき
る。ただし、添加量が5原子%を超えると2−14−1
相の飽和磁束密度が低下し、最大エネルギー積の低下を
招くほか、Dyは高価であるため磁石の原料コスト上昇
を招くので好ましくない。なお、TbはDyよりもさら
に高価であるが、Dyとほぼ同等の効果を有しており、
上記Dyとの合計含有量が0.1〜5原子%となるの範
囲内で含有されていても差しつかえない。
【0013】一方、Prは2−14−1相中のNdを置
換した場合に、その飽和磁束密度及び異方性磁界の値を
それほど変化させないため、急冷薄帯のNd成分の相当
量、場合によってはその全量をPrで置換することも可
能であるが、Prの分離希土はNdのそれよりも高価で
あり、その分離希土の形での過剰な配合は、原料コスト
の上昇を招くため好ましくない。しかしながら、Prは
希土類原料の分離精製工程においてNdとともに分離抽
出され、NdとPrの非分離希土であるジジムはNd及
びPrの分離希土よりも安価であるので、これらをジジ
ム(例えばジジムメタル)の形で配合すれば原料コスト
を低減することができるので好都合である。この場合、
最終的に得られる急冷薄帯中のPrの含有量は、使用さ
れるジジム中のPr含有比率により定まることとなる。
【0014】なお、上記した以外の希土類元素は、いず
れもエネルギー積の上昇に寄与しないか逆にこれを低下
させるものであり、できるだけ含有されないことが望ま
しいが、例えばその総量が1原子%以下の範囲内で不可
避的に混入するものは含有されていても差しつかえな
い。
【0015】次に、Bは、希土類成分Rと同様に2−1
4−1相の必須構成成分であり、その含有量は4〜10
原子%の範囲内(すなわち4≦y≦10)で設定され
る。Bの含有量が4原子%未満となると、軟磁性のNd
2Fe17型相が生成して保磁力の低下を招き、含有量が
10原子%を超えると非磁性のNdFe44型相が生成
して飽和磁束密度が低下する。いずれの場合も、最大エ
ネルギー積を低下させることにつながるので、B含有量
は上記範囲のものとされる。Bの含有量は、望ましくは
4〜8原子%、さらに望ましくは5〜7原子%の範囲内
で設定するのがよい。
【0016】Feは、上記成分以外の残部として含有さ
れ、2−14−1相の必須構成成分として、その大きな
飽和磁化の主要部を担うものである。
【0017】以上述べたボンド磁石用急冷薄帯は、その
平均粒子径が500μm以下となるように粉砕してボン
ド磁石用粉末とすることができる。そして、その粉末を
エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ナイロン樹脂等の樹脂
により結合することにより、ボンド磁石とすることがで
きる。ここで、上記ボンド磁石粉末の平均粒子径が50
0μm以上であると、ボンド磁石内における磁石粉末及
び樹脂の分布が不均一となり、ボンド磁石の表面磁束分
布のばらつきを生ずる原因となるので、平均粒子径は上
記以下のものとされる。一方、平均粒子径が細かくなり
すぎると、例えば圧縮成形によりボンド磁石を製造する
場合、磁石粉末の流れ性が低下し、その成形金型へのス
ムーズな充填が困難になり生産性の低下を引き起こすの
で、所定の平均粒子径以上に設定される。なお、磁石粉
末の平均粒子径は、望ましくは50〜400μm、さら
に望ましくは100〜300μmの範囲内で設定するの
がよい。
【0018】以下、本発明のボンド磁石用急冷薄帯、そ
れを用いたボンド磁石用粉末及びボンド磁石の製造方法
について説明する。
【0019】まず、所定量の合金成分を配合し、次に不
活性ガス雰囲気あるいは真空雰囲気等、所定の雰囲気中
でその合金成分を溶解する。配合される合金成分は、そ
れぞれの成分を単独で配合しても、Nd−Fe合金やフ
ェロボロン等の母合金の形で配合してもいずれでもよ
い。また、溶解は、例えば高周波誘導溶解、アーク溶解
等公知の溶解方法を用いることができる。
【0020】次に、その溶湯を急冷凝固させることによ
り、薄帯状ないしフレーク状の急冷薄帯が製造される。
急冷の雰囲気は、例えばアルゴン等の不活性ガス雰囲気
が用いられ、急冷の方法としては、単ロール法を始め、
双ロール法、スプラットクエンチ法、遠心急冷法、ガス
アトマイズ法等、各種方法が適用できる。これらのう
ち、特に単ロール法は、溶湯の冷却効率が高く、またロ
ール周速による冷却速度の調整が容易で、均質で高性能
の急冷薄帯を大量生産するのに好適である。この場合、
ロール周速を5〜35m/秒、望ましくは10〜30m
/秒とすることが、微細で均一な結晶粒を有し、磁気特
性に優れた急冷薄帯を得る上で望ましい。
【0021】得られた急冷薄帯は、スタンプミル、フェ
ザーミル、ディスクミル等を用いる公知の粉砕方法によ
り、前述の平均粒子径となるように粉砕され、ボンド磁
石用粉末とされる。なお、粉砕する薄帯が少量の場合
は、乳鉢等を用いて粉砕してもよい。
【0022】ここで、前記急冷凝固により得られる急冷
薄帯は、その粉砕前又は粉砕後に400〜1000℃の
温度範囲において熱処理することができる。急冷直後の
薄帯は、例えば水冷ロールとの接触部付近等、冷却速度
の特に大きくなる部分に非晶質部を生じる場合がある。
この非晶質部は軟磁性であり、保磁力、減磁曲線の角型
性、エネルギー積の低下等を引き起こす原因となる。そ
こで、急冷薄帯に対し上記熱処理を行うことにより、急
冷直後に生じていた上記非晶質部を結晶化することがで
き、エネルギー積の低下等を防止することができる。こ
こで、熱処理温度が400℃より低い場合は、上記非晶
質部の結晶化が充分進まず、上述の効果が充分得られな
い。一方、熱処理温度が1000℃を超えると、結晶粒
が成長して粗大化し、保磁力ないしエネルギー積は却っ
て低下する。従って、熱処理温度は上述の範囲内で設定
され、望ましくは500〜800℃、さらに望ましくは
600〜700℃の範囲内で設定される。
【0023】以上の方法により得られるボンド磁石用粉
末を樹脂成分と混合し、加圧成形又は射出成形すること
によりボンド磁石が製造される。加圧成形による場合
は、上記磁石粉末に、エポキシ樹脂フェノール樹脂等の
粉末状の熱硬化性樹脂を所定量、例えば1〜5重量%程
度混合し、これを金型プレス成形等により、例えば5〜
10t/cm2程度の加圧力で圧縮成形する。成形後、
得られた成形体を所定温度、例えば80〜180℃程度
に加熱することにより樹脂を硬化させ、ボンド磁石を得
る。なお、樹脂硬化のための加熱は、上記加圧成形中に
行ってもよい。この方法によれば、得られるボンド磁石
中の磁石粉末の密度を高くでき、小型モータ用の高性能
リング磁石等を製造するのに適している。
【0024】一方、射出成形による場合は、まず、ナイ
ロン樹脂等の熱可塑性樹脂を磁石粉末に対し、圧縮成形
の場合よりやや多い量、例えば2〜10重量%程度添加
し、これを混練して成形用のコンパウンドを作製する。
そして、このコンパウンドを加熱軟化させ、所定の成形
機を用いてこれを射出成形することにより、所望の形状
のボンド磁石を得るものである。この方法により得られ
るボンド磁石は、磁石粉末密度がやや低いため、性能は
圧縮成形によるものに及ばないが、多様で複雑な形状の
磁石を容易に製造できる利点があり、モータスピンドル
等の付属部品を上記コンパウンドとともに一体成形する
こともできる。
【0025】なお、以上の方法により得られたボンド磁
石に、電着塗装、浸漬塗装、スプレー塗装、ニッケルメ
ッキ等の各種表面処理を施すことができる。
【0026】
【実施例】
(実施例1)表1に示した各種組成を有するインゴット
をアーク溶解により作製し、このインゴットをアルゴン
雰囲気中で、先端部にノズルを有する石英るつぼ中で高
周波誘導溶解し、これに所定のアルゴンガス圧を印加し
て、溶湯を上記ノズルからクロムメッキを施した銅ロー
ル(単ロール)に射出することにより急冷薄帯を得た。
なお、ロールの周速は20m/秒とした。次に、薄帯を
乳鉢により粒子径が300μm以下となるように粉砕
し、さらにアルゴン雰囲気中で、600〜800℃の温
度範囲で熱処理して各組成のボンド磁石粉末を得た。こ
れら磁石粉末に、未硬化のエポキシ樹脂粉末を混合し、
9t/cm2の圧力で圧縮成形の後、成形体を加熱して
樹脂を硬化させ、ボンド磁石を得た。得られたボンド磁
石の磁化曲線をB−Hトレーサにより室温で測定し、最
大エネルギー積((BH)max)を求めた。結果を表
1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】Geを添加したボンド磁石(No.1〜
4)はいずれも、添加しないもの(No.8、9、比較
例)に比べて最大エネルギー積が大きいことがわかる。
また、Geの一部をZrで置換することにより(試料番
号5〜7)、最大エネルギー積はさらに向上した。
【0029】(実施例2)表2に示した各種組成を有す
るインゴットを作成し、実施例1と同様の方法によりボ
ンド磁石を作製し、その最大エネルギー積を測定した。
結果を表2に示す。Al、Si、Ti、V、Ga、N
b、Mo、Hf、Ta、Wの各種合金成分をGeととも
に複合添加したボンド磁石(No.10〜19)は、上
記合金成分を単独で添加したもの(No.20〜29、
比較例)に比べて最大エネルギー積が高いことがわか
る。
【0030】
【表2】
【0031】(実施例3)表3に示した各種組成を有す
るインゴットを作成し、実施例1と同様の方法によりボ
ンド磁石を作製し、その最大エネルギー積を測定した。
結果を表3に示す。Coを10原子%ならびにGeを
0.5原子%含有するボンド磁石(No.30)、及び
このボンド磁石について、Zr、Al、Si、Ti、
V、Ga、Nb、Mo、Hf、Ta、Wの各種合金成分
をGeとともに複合添加したボンド磁石(No.31〜
41)は、Geを添加せずに上記合金成分のみを添加し
たもの(No.42〜52、比較例)、及び上記合金成
分及びGeのいずれも含有しないもの(No.53、比
較例)に比べて最大エネルギー積が高いことがわかる。
【0032】
【表3】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 33/04 G 38/00 303 D H01F 1/053 1/08 H01F 1/08 A

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定量の合金成分を含む溶湯を急冷して
    得られるその平均結晶粒径が1μm以下であり、その組
    成式が、 RxFe100-x-y-vyGev: ただし、RはNdを主成分とし、その一部がDyないし
    Prの少なくとも一方によって置換される場合がある希
    土類成分であり、9≦x≦15、4≦y≦10、0.1
    ≦v≦3、 であることを特徴とするボンド磁石用急冷薄帯。
  2. 【請求項2】 所定量の合金成分を含む溶湯を急冷して
    得られるその平均結晶粒径が1μm以下であり、その組
    成式が、 RxFe100-x-y-vy(Gew1-wv: ただし、RはNdを主成分とし、その一部がDyないし
    Prの少なくとも一方によって置換される場合がある希
    土類成分であり、かつMは、Zr、Al、Si、Ti、
    V、Ga、Nb、Mo、Hf、Ta、Wのうちから選択
    される1種又は2種以上であって、9≦x≦15、4≦
    y≦10、0.05≦w<1、0.1≦v≦3、 であることを特徴とするボンド磁石用急冷薄帯。
  3. 【請求項3】 所定量の合金成分を含む溶湯を急冷して
    得られるその平均結晶粒径が1μm以下であり、その組
    成式が、 RxFe100-x-y-vCozyGev: ただし、RはNdを主成分とし、その一部がDyないし
    Prの少なくとも一方によって置換される場合がある希
    土類成分であり、9≦x≦15、4≦y≦10、0<z
    ≦30、0.1≦v≦3、 であることを特徴とするボンド磁石用急冷薄帯。
  4. 【請求項4】 所定量の合金成分を含む溶湯を急冷して
    得られるその平均結晶粒径が1μm以下であり、その組
    成式が、 RxFe100-x-y-z-vCozy(Gew1-wv: ただし、RはNdを主成分とし、その一部がDyないし
    Prの少なくとも一方によって置換される場合がある希
    土類成分であり、かつMは、Zr、Al、Si、Ti、
    V、Ga、Nb、Mo、Hf、Ta、Wのうちから選択
    される1種又は2種以上であって、9≦x≦15、4≦
    y≦10、0<z≦30、0.05≦w<1、0.1≦
    v≦3、 であることを特徴とするボンド磁石用急冷薄帯。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかに記載のボ
    ンド磁石用急冷薄帯を粉砕して得られ、その平均粒子径
    が500μm以下であることを特徴とするボンド磁石用
    粉末。
  6. 【請求項6】 請求項5記載のボンド磁石用粉末が樹脂
    結合されたことを特徴とするボンド磁石。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし4のいずれかに記載のボ
    ンド磁石用急冷薄帯の製造方法であって、 所定量の合金成分を配合後、その合金成分を溶解する工
    程と、 その溶解された溶湯を薄帯状ないしフレーク状に急冷凝
    固させる工程と、 を含むことを特徴とするボンド磁石用急冷薄帯の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の方法により得られるボン
    ド磁石用急冷薄帯を、その平均粒子径が500μm以下
    となるように粉砕することを特徴とするボンド磁石用粉
    末の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記急冷薄帯が、前記粉砕前又は粉砕後
    に400〜1000℃の温度範囲において熱処理される
    請求項8記載のボンド磁石用粉末の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項8又は9記載の方法により得ら
    れるボンド磁石用粉末を樹脂成分と混合後、加圧成形又
    は射出成形することを特徴とするボンド磁石の製造方
    法。
JP6227188A 1994-07-29 1994-07-29 ボンド磁石用急冷薄帯、ボンド磁石用粉末、ボンド磁石及びそれらの製造方法 Pending JPH0845719A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6227188A JPH0845719A (ja) 1994-07-29 1994-07-29 ボンド磁石用急冷薄帯、ボンド磁石用粉末、ボンド磁石及びそれらの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6227188A JPH0845719A (ja) 1994-07-29 1994-07-29 ボンド磁石用急冷薄帯、ボンド磁石用粉末、ボンド磁石及びそれらの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0845719A true JPH0845719A (ja) 1996-02-16

Family

ID=16856876

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6227188A Pending JPH0845719A (ja) 1994-07-29 1994-07-29 ボンド磁石用急冷薄帯、ボンド磁石用粉末、ボンド磁石及びそれらの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0845719A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62170127U (ja) * 1986-04-21 1987-10-28
JP2001035714A (ja) * 1999-05-19 2001-02-09 Toshiba Corp ボンド磁石とボンド磁石の製造方法、およびそれを用いたアクチュエータ
US6852246B2 (en) 1999-06-11 2005-02-08 Seiko Epson Corporation Magnetic powder and isotropic bonded magnet
US7087185B2 (en) 1999-07-22 2006-08-08 Seiko Epson Corporation Magnetic powder and isotropic bonded magnet

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62170127U (ja) * 1986-04-21 1987-10-28
JP2001035714A (ja) * 1999-05-19 2001-02-09 Toshiba Corp ボンド磁石とボンド磁石の製造方法、およびそれを用いたアクチュエータ
JP4709340B2 (ja) * 1999-05-19 2011-06-22 株式会社東芝 ボンド磁石の製造方法、およびアクチュエータ
US6852246B2 (en) 1999-06-11 2005-02-08 Seiko Epson Corporation Magnetic powder and isotropic bonded magnet
US7087185B2 (en) 1999-07-22 2006-08-08 Seiko Epson Corporation Magnetic powder and isotropic bonded magnet

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2530641B2 (ja) 磁気異方性ボンド磁石、それに用いる磁粉及びその製造方法
JP3171558B2 (ja) 磁性材料およびボンド磁石
JP2003049204A (ja) 鉄基希土類合金粉末および鉄基希土類合金粉末を含むコンパウンドならびにそれを用いた永久磁石
KR0149901B1 (ko) 철계 영구자석 및 그 제조방법과 영구 본드자석용 철계 영구자석 합금 분말 및 철계 본드자석
EP0542529B1 (en) Method of making alloy powders of the RE-Fe/Co-B-M-type and bonded magnets containing this alloy powder
JP2727506B2 (ja) 永久磁石およびその製造方法
JPH0447024B2 (ja)
JPH0845719A (ja) ボンド磁石用急冷薄帯、ボンド磁石用粉末、ボンド磁石及びそれらの製造方法
JPH08335506A (ja) 高保磁力鉄基永久磁石及びボンド磁石
JP2986611B2 (ja) Fe−B−R系ボンド磁石
JPH0653882B2 (ja) ボンド磁石用合金粉末及びその製造方法
JP4329595B2 (ja) 希土類磁石粉末およびそれを用いたコンパウンドならびにそれを用いたボンド磁石
JPS6386502A (ja) 希土類磁石とその製造方法
JP2925840B2 (ja) Fe−B−R系ボンド磁石
JPH10135020A (ja) ラジアル異方性ボンド磁石
JP6278192B2 (ja) 磁石粉末、ボンド磁石およびモータ
JP3040895B2 (ja) 希土類ボンド磁石とその製造方法
JP3032385B2 (ja) Fe−B−R系ボンド磁石
JPH07176417A (ja) 鉄基ボンド磁石とその製造方法
JPH02109305A (ja) 高分子複合型希土類磁石の製造方法
JPS63146414A (ja) ボンド磁石の製造方法
JP3131022B2 (ja) Fe−B−R系ボンド磁石
JPH08203714A (ja) 鉄基永久磁石とその製造方法並びにボンド磁石用鉄基永久磁石合金粉末と鉄基ボンド磁石
JP3131040B2 (ja) Fe−B−R系ボンド磁石の製造方法
JP2000223305A (ja) 希土類−Fe−Co−B系磁石粉末およびその製造方法並びにこの粉末を用いたボンド磁石